文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、グループ企業理念「市民に愛され市民に貢献する」のもと2019年2月に、2022年3月期を最終年度とする「シチズングループ中期経営計画2021」(以下「本中期経営計画」という。)を策定しました。
本中期経営計画においてグループ中期経営ビジョン「Innovation for the next ~時を感じ、未来に感動を~」を掲げ、それぞれの事業において、新たな価値創造に挑戦してまいります。
(2) 経営戦略等
本中期経営計画におけるグループ経営ビジョン実現に向けて、以下の3つの重点施策に取り組んでまいります。
1)時計・工作機械事業の成長促進
時計事業は、グループ経営資源を積極的に投下し、100年間培ってきたマニュファクチュールとしての高い技術力や開発力、確かな品質という土台に加え、更に新たな顧客体験を生み出す“コト”の価値をも提供するようなものづくりを進めてまいります。
工作機械事業は、景気動向に左右されやすいという特性もある事から、市場状況に合わせた投資を継続し、景気変動の渦中にあっても、世界最先端の生産革新ソリューションを創造し「新・モノづくり企業」のポジションを確立することを目指してまいります。
2)サステナブル経営の推進
当社グループは、永続的に事業を継続できる企業となる為、事業を通じてさまざまな社会課題の解決を図り、2030年を見据えたグローバルな社会課題であるSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献していくことを目指してまいります。
その一つとして、製品の製造プロセスにおいてはSDGsを視野に入れ、「サステナブルファクトリー」というコンセプトを打ち出し、従来からの環境配慮に加えてサプライチェーン全体で、コンプライアンス、人権や労働慣行に配慮したものづくりを進めてまいります。
3)品質コンプライアンスの強化
当社グループでは、2018年より業務リスクを統括するグループリスクマネジメント委員会に「品質コンプライアンス委員会」を設置し、品質に係るコンプライアンスリスクについて取り組んでまいりました。また、同委員会を通じ「グループ品質行動憲章」を策定し、ものづくり全プロセスにおいてコンプライアンス遵守の徹底に取り組んでおります。
2020年度以降については、当社グループのマテリアリティに特定するとともに、新たに設置した「サステナビリティ委員会」が同委員会を管理及び統括することにより、業務リスクに加えESG・SDGs視点での品質に係るコンプライアンスリスクに取り組む体制としてまいります。
本中期経営計画における事業別の戦略としましては、
1)時計事業
「時を通して新たな価値と体験を創造する」を事業スローガンに掲げ、時計本来の機能や価値を超えた商品や魅力あふれるサービスの提供を目指してまいります。
これまで進めてきたシチズンブランドを核にしたマルチブランド戦略の成果発現に加え、今後成長が見込まれるスマートウオッチや機械式、高級品を中長期的に育成し製品領域の拡大を行ってまいります。また、デジタル技術の活用によるデジタルマーケティングの推進や製造革新によるムーブメント及び完成品のコスト力強化も図ってまいります。
2)工作機械事業
世界最先端の生産革新ソリューションを創造し「新・モノづくり企業」のポジションを確立するために、現状の経営資源を最大限に効率化させる生産革新の実現及び今後期待される新興国市場を中心として既存事業の更なる競争力強化を推進してまいります。また、IoTに対応したソリューション事業の拡充も目指してまいります。
3)デバイス事業及び電子機器他事業
デバイス事業は、市場変化に合わせた製品の選択と集中と生産拠点の集約による収益力改善及び当社の強みを最大限に活かせる領域において事業拡大を図り確固たる競争優位を確立してまいります。当社グループの強みである小型金属加工技術を活かした自動車部品事業は、当社のコア技術である組立・研削技術等を活用した高付加価値製品の拡大を図り、小型化、薄型化、高耐久化が要求されるLEDやスイッチ事業は製品の選択と集中を行い、生産拠点の集約による収益力の改善及び強みを活した新規事業の創出を目指してまいります。
また、電子機器他事業では、当社グループの強みをしっかりと見極め、事業と製品における選択と集中を行い、生産効率の向上や合理化による安定的な利益確保を目指してまいります。
本中期経営計画の達成に向けて、以上の取組み・戦略を推進してまいります。
(3) 経営環境
当社を取り巻く経営環境として、中核事業である時計事業において、主に以下の環境変化を認識しております。
1)新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響による消費の落ち込み
2)新型コロナウイルス感染拡大の影響によるEコマース流通の更なる成長加速と実店舗流通の不振
3)デジタル表示式のスマートウオッチ市場の拡大に伴う、ファッションウオッチを中心とした時計市場の縮小
4)アナログクオーツムーブメント市場の縮小
5)高価格帯を中心とした機械式時計の堅調な需要
当社は、以上のような経営環境変化の影響を受け、業績下振れのリスクが高まっていることを認識し、中核事業である時計事業における課題について優先的に取り組んでまいります。
なお、時計以外の事業につきましては、様々な事業環境の変化、半導体をはじめとしたサプライチェーンの混乱や新型コロナウイルスの影響などによる業績下振れリスクを注視しつつ、「シチズングループ中期経営計画2021」で掲げた取組みを継続してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の時計事業における経営環境変化を認識し、以下の4つの課題について優先的に取り組んでまいります。
1)シチズンブランドの強化
光発電によって時計を駆動させる当社のコア技術である「Eco-Drive」を搭載し、国内主要ブランドとしての地位を築いている「ATTESA」と「xC」については、国内市場での更なる強化とアジア市場への拡販を進めてまいります。また、グローバルブランドとして展開しているプロフェッショナルスポーツウオッチ「PROMASTER」とサステナブルウオッチブランド「CITIZEN L」の更なる拡大を図ってまいります。
さらに、シチズンの“新しい始まり”として、再び本格派の機械式腕時計に回帰すべく、新開発した機械式ムーブメントを搭載した商品を、シチズンを代表するブランド「The CITIZEN」と、モダンでスポーティなデザインが特徴の機械式腕時計ブランド「Series 8」から販売し、シチズンブランドの更なる強化を図ってまいります。
2)EC販売及びデジタルマーケティングの強化
当社は、既存のEC販売の促進に加え、国内市場及び米国における直販ECプラットフォームを活用し、EC販売の更なる拡大を推進してまいります。また「Riiiver」、「FTS(ファイン・チューニング・サービス)」、「AIウオッチレコメンドサービス」といった当社だからこそ提供できる顧客体験や今まで時計に興味がなかった人が腕時計に魅力を感じられるデジタル空間を実現し、新たな顧客とのタッチポイントの創出を行うとともにデジタル技術を活用したコミュニケーションにも積極的に取り組んでまいります。
3)ムーブメント事業の収益改善
需要に見合った生産規模に再構築したアナログクオーツムーブメントの製造体制を維持するとともに、キャリバー統廃合等の合理化や更なる在庫削減を推進し、ムーブメント事業の収益改善を図ってまいります。
さらに、堅調な機械式ムーブメント需要の獲得に向けて、需要に応じた価格戦略を展開することにより、安定的な収益基盤を確立してまいります。
4)重点地域戦略
当社は、今後の成長が見込まれるアジア市場、特に中国市場を再び成長軌道に乗せるべく、若年層向けの商品の拡充及びEC販売の拡大を推進しております。また、当社の主要市場である北米市場においては、利益体質への転換に向け、販売管理費の適正化や得意先向けデジタルプラットフォームの導入による業務効率化を図っております。今後は新型コロナウイルス感染拡大の影響によるEコマース流通の成長加速への対応を迅速に進め、EC販売の更なる拡大を推進してまいります。
重要市場である国内市場は、インバウンド需要に頼らない施策として国内主要ブランド「ATTESA」と「xC」の拡販に加え、シチズンの個性豊かなプレミアムブランドの魅力を紹介する空間「シチズン プレミアム ドアーズ」を通じて「The CITIZEN」を中心とするシチズンの高価格帯商品の販売拡大にも取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、時計、工作機械、デバイス、電子機器等の製造販売を主な事業とし、全世界で事業展開を行っております。そして、ユーザーは一般個人のほか、多種多様な製造業にまで広範囲に渡っております。従って、当社グループの業績は、多岐に渡る変動要因の影響を受けます。その要因の主なものは以下のとおりです。
時計事業
時計事業においては、ウオッチでは国内競合メーカーのほか、スイス高級腕時計メーカー、中国製普及価格帯時計メーカー、スマートウオッチメーカー等との競争も激しく、また、スマートフォン等の時計機能代替製品との競争も内在しております。ムーブメント事業においては、スマートウオッチ市場拡大の影響により低価格帯を中心としたアナログクォーツ市場が減少傾向にあることや中国メーカーの台頭等に基因する競争環境の激化による単価下落の環境にあるため、数量減少及びシェア低下の危険性があります。
また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による外出規制、店舗の営業停止や営業時間の短縮、サプライチェーンの停滞等がさらに深刻化、長期化した場合には、世界的な消費マインドの冷え込みにより今後の業績に影響を与える可能性があります。
工作機械事業
工作機械事業は、景気サイクルや企業の設備投資需要の影響を受けやすく、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による設備投資設意欲の停滞やサプライチェーンの混乱等の影響を受け、今後の業績に影響を与える可能性があります。
デバイス事業
デバイス事業は、技術革新が早く企業間競争も激しいことから、販売価格の下落や開発等の遅れ等が業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。精密加工部品においては、販売先であります自動車メーカーやスマートフォンメーカーの動向に影響を受けます。オプトデバイスにおいては、一部製品で特許実施許諾の契約を結んでおりますが、何らかの事情により提携関係が解消され、特許の実施許諾が受けられない状態になった場合、当事業に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染拡大による工場稼働率の低下及び自動車メーカーを中心とする客先の稼働率低下や半導体をはじめとするサプライチェーンの混乱等により今後の業績に影響を与える可能性があります。
電子機器他事業
電子機器他事業は、景気変動による設備投資、個人消費の影響を受けやすいため、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による世界経済停滞等の影響や半導体をはじめとするサプライチェーンの混乱等の影響を受け、今後の業績に影響を与える可能性があります。また、国内競合メーカーはもとより、中国等の電子機器メーカーとの競争が激しく、技術革新が早いことから、販売価格の下落や開発等の遅れ等が業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの製品の売上高における海外比率は高く、また、全世界に販売されております。このため、各地域における景気・消費動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該地域の政治的・経済的な社会情勢が、同様に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替変動のリスクについて
上記②のとおり、当社グループの製品の売上高における海外比率は高いため、為替予約及び通貨オプション等によるリスクヘッジを行うとともに、海外生産の拡充・強化を推し進めておりますが、当社グループの業績は為替変動の影響を受けます。
④ 中国生産依存度について
中国は当社グループの製品における主な生産拠点の一つであり、中国において何らかのトラブルによる生産支障及び、生産に支障をきたすような規制等が実施された場合、または人民元が大幅に切り上げられた場合等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 減損損失について
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
⑥ 特許及びその他の知的財産について
当社グループが研究開発及び生産活動を行う中でさまざまな知的財産権にかかわる技術を使用しており、それらの知的財産権は当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
特に一部製品において、特許実施許諾の契約を結んで製造を行っておりますが、何らかの事情により提携関係が解消され、特許の実施許諾が受けられない状態になった場合、当事業に影響を与える可能性があります。
⑦ 地震等の自然災害によるリスクについて
当社グループの本社・工場等の設備安全について火災・地震などの自然災害の発生時に、人的被害・工場などの設備破損が生じないよう、防災シミュレーション活動などを通じて管理体制の確立を行っております。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動や商品供給に支障をきたしたり、復旧などにかかる費用などで業績及び財務状況に大きな影響が出る可能性があります。
⑧ M&A及び業務提携等に関するリスクについて
当社グループは、M&Aや業務提携等を通じた事業基盤の強化に取り組んでおります。これらを実行するにあたっては、対象企業の入念な調査、検討を行いますが、未認識債務の判明等や事業の展開等が計画どおりに進まない場合、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 借入金のリスクについて
当社グループの借入金の一部は、取引先金融機関とシンジケート・ローン契約及びコミットメント・ライン契約を締結していますが、これらの契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上返済請求を受けることがあり、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
⑩ 情報セキュリティに関するリスク
不正なアクセスや外部からのサイバー攻撃が世界中で増え続けている中、当社グループは情報セキュリティ強化に取り組んでおりますが、外部からのサイバー攻撃やその他の原因によって情報システム機能に支障が生じた場合、またはサービスプロバイダーによるサービス停止等が発生した場合は、当社グループの事業活動、業績及び財務状況に大きな影響が出る可能性があります。
当社グループは、顧客等から入手した個人情報並びに当社グループ及び顧客の技術、研究開発、製造、販売に関する機密情報を様々な形態で保持及び管理しております。当社グループはこれらの機密情報を保護するための管理を行っておりますが、当初想定していない事態が発生した場合は有効に機能しなくなる可能性があります。そのため、これらの情報が権限なく開示された場合、当社グループが損害賠償請求、または訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績、財務状況、評判及び信用に影響を及ぼす可能性があります。
⑪その他のリスクについて
上記以外でも、当社グループの業績は、急激な技術革新等による社会インフラや市場競争状態の変化、当社グループの財務的・経営的状況の変動、国内外の主要市場における貿易規制等各種規制、移転価格税制等の国際税務リスク、株式市場や債券市場の大幅な変動により多様な影響を受けます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当期における国内経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるインバウンド需要の減少や消費活動の停滞が続く厳しい状況となりました。また、米国経済は、新型コロナウイルス感染者数の再拡大が景気回復の重しとなり緩やかな回復となった他、欧州経済においても多くの国で再び厳しい行動制限が課せられるなど、経済活動は低い水準となりました。アジア経済は中国が回復に向かっているものの、その他のアジア地域は勢いを欠く展開となりました。
このような情勢のもと、当社グループは2019年2月に策定した「シチズングループ中期経営計画2021」に基づき、従来のものづくりだけでなく、今までにない新たな価値創造に挑戦すべく、時計事業及び工作機械事業の成長促進、サステナブル経営の推進、品質コンプライアンスの強化を図ってまいりました。
当期の連結業績は、売上高は2,066億円(前期比25.8%減)、営業損失は95億円(前年同期は61億円の営業利益)と減収減益となりました。また、経常損失は41億円(前年同期は75億円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は特別損失の計上に伴い251億円(前年同期は166億円の親会社株主に帰属する当期純損失)といずれも減益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(時計事業)
ウオッチ販売のうち、“CITIZEN”ブランドの国内市場は、直販ECサイトを立ち上げたほか、チタニウム技術50周年限定モデル「コズミックブルーコレクション」などのブランド横断企画商品や新商品が売上を伸ばしましたが、インバウンド需要の激減や移動自粛に伴う消費意欲の減退を受け、大幅な落ち込みとなりました。
海外市場のうち、欧州市場は長引くロックダウンの影響を受けながらも比較的堅調に推移しました。北米市場は商戦期においてオンライン流通等で回復の兆しが見えたものの、移動や営業活動の制限等により実店舗を中心に低迷を余儀なくされるなど低調に推移し、減収となりました。アジア市場は、中国が順調に回復の動きを強める一方で、アジア市場全体では弱含みが続いており、減収となりました。
“BULOVA”ブランドはEC販売が堅調に推移したものの、主力市場である北米市場を中心に実店舗販売が落ち込んだことから、減収となりました。
ムーブメント販売は、機械式ムーブメントが中国市場を中心に堅調さを保ち、下期にはアナログクオーツムーブメントが持ち直しをみせたものの、世界的な消費の落ち込みを受け減収となりました。
なお、腕時計の生産規模は、前連結会計年度比41.8%減少し、約827億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、時計事業全体では、EC販売強化に向けた取組みを加速しましたが、世界的な経済活動の停滞に伴い、売上高は956億円(前期比32.5%減)と、大幅な減収となりました。また、費用削減等による収益性の改善を図りましたが売上減の影響が大きく、81億円の営業損失(前年同期は39億円の営業利益)と、減益となりました。
(工作機械事業)
国内市場は、自動車関連等の受注は底打ち感が見られたものの、上期の設備投資需要が低調に推移したことから、減収となりました。海外市場は、中国市場でIT関連等が引き続き好調に推移したほか、欧州では自動車関連が大幅に受注を伸ばしており、また、米州市場においても医療関連を中心に受注は上向いているものの、前期を上回るには至らず、減収となりました。
なお、工作機械の生産規模は、前連結会計年度比17.7%減少し、約461億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、工作機械事業全体では、市況が回復基調を辿っている中で、オンラインの展示会を開催するなど受注獲得に向けた新たな取組みを強化しましたが、売上高は467億円(前期比20.2%減)と減収となりました。また、営業利益は29億円(前期比59.6%減)と、減益となりました。
(デバイス事業)
精密加工部品のうち、自動車部品は新車販売台数の復調とともに徐々に売り上げを伸ばし、前年同期に迫る実績となったものの、スマートフォン向けスイッチの販売が落ち込み、精密加工部品全体では減収となりました。
オプトデバイスのうち、チップLEDは、照明向けで厳しい価格競争が継続する中、欧米市場や中国市場の需要減退を受け減収となったほか、車載向けLEDも市場は戻りつつあるものの、オプトデバイス全体では減収となりました。
なお、オプトデバイスの生産規模は、前連結会計年度比39.7%減少し、約142億円(販売価格ベース)でありました。
その他部品のうち、主に通信機器向け水晶デバイスおよび医療向け小型モーターの需要が増加したことから、その他部品は増収となりました。
以上の結果、デバイス事業全体では、売上高は459億円(前期比17.9%減)と、減収となりました。営業損失においては、製品の選択と集中を含む構造改革を推進するなど収益性向上に向けた取り組みを進めましたが4億円(前年同期は9億円の営業利益)と、減益となりました。
(電子機器他事業)
情報機器は、バーコードプリンターなどに回復の動きが見られたほか、主力製品のフォトプリンター、POSプリンターも足元は中国市場等で販売を伸ばしましたが、上期の設備投資意欲の落ち込みの影響が大きく、減収となりました。健康機器は、主に国内市場において体温計の需要が大幅に伸長した結果、増収となりました。また、宝飾製品からの撤退により売上が減少しました。
以上の結果、電子機器他事業全体では、売上高は183億円(前期比18.0%減)、営業利益は3億円(前年同期は2億円の営業損失)と、減収増益となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末に比べ37億円減少し、3,658億円となりました。資産の内、流動資産は、現金及び預金が216億円増加した一方で、たな卸資産が109億円減少したこと等により、87億円の増加となりました。固定資産につきましては、繰延税金資産が93億円、工具、器具及び備品が18億円それぞれ減少したこと等により、125億円の減少となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、長期借入金が272億円、繰延税金負債が16億円それぞれ増加した一方で、短期借入金が75億円減少したこと等により141億円増加し、1,529億円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、為替換算調整勘定が59億円、その他有価証券評価差額金が29億円それぞれ増加した一方で、利益剰余金が264億円減少したこと等により179億円減少し、2,128億円となりました。
当連結会計年度末の利益剰余金が大きく減少しておりますが、これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響による時計事業や工作機械事業等の減益、繰延税金資産の取崩しによる法人税等調整額の増加や特別損失の計上が主な理由です。
また負債では、資金の流動性の確保のため、長期借入金の借入を行っております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度に比べ215億円増加し、当連結会計年度末には、995億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度と比べ98億円減少し74億円となりました。これは主にたな卸資産の減少額137億円、減価償却費115億円、助成金の受取額32億円等の増加要因がありました一方、税金等調整前当期純損失137億円、仕入債務の減少額35億円、事業再編整理損失引当金18億円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比べ78億円支出が減少し、76億円の支出となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入31億円、有形固定資産の売却による収入15億円等の増加要因がありました一方、有形固定資産の取得による支出92億円、無形固定資産の取得による支出28億円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度と比べ253億円収入が増加し、183億円の収入となりました。これは主に主に長期借入れによる収入351億円等の増加要因がありました一方、長期借入金の返済による支出137億円等の減少要因によるものであります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響で税金等調整前当期純損失となりましたこと等により、前年度対比で大きく減少しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ設備投資による支出が減少したことから、前年度対比で投資活動による支出が減少しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の借入により、前年度対比で収入が増加しております。
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことをしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績については、セグメント業績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、経営者は見積り及び判断・評価につきまして、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における経営成績等に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び部品等の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。自己資金につきましては国内グループ会社間の資金効率を上げるためキャッシュマネージメントシステムを導入しております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入と債券市場からの社債等による調達を基本としております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース債務含む)の残高は75,986百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は99,561百万円となっております。
不測の事態に備えて、金融機関との良好な関係の維持に努めるとともに、複数の金融機関との間で合計20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、2019年度から2021年度までの中期経営計画において、グループ中期経営ビジョンとして「Innovation for the next ~時を感じ、未来に感動を~」を掲げ、これまでのものづくりにとどまらない新たな価値創造に挑戦してきました。
中期経営計画においては、時計事業と工作機械事業をコア事業と位置付け、中長期的な成長に向けた取り組みを推進いたします。一方で、前中期経営計画で実施したM&A等の大型投資は一巡したことから、各事業における投資効率やバランスシートに対する意識を高め、資本効率と収益性の向上を目指すため、以下の目標指標を設定しております。
なお、2021年3月期は、時計事業で製造の省人化・合理化を推進し、時計製造子会社の構造改革を実施した他、工作機械事業においては能力増強を図るべく中国工場を移転・拡張し、2021年夏からの稼働に向けた投資を進めました。
新型コロナウイルス感染拡大により中期経営計画で想定した市場環境から大きく変化していることから、目標指標に 対して大きく乖離が生じてはおりますが、引き続き中期経営計画で掲げた施策を着実に推し進めてまいります。
技術援助を受けている契約
(注) ロイヤリティとして売上高の一定率を支払っております。
当社グループの研究開発活動は、グループ事業戦略に基づき、“市民に愛され市民に貢献する”という企業理念実現のため、将来を見据え、新たな顧客価値創出を担う研究開発体制を構築しております。
研究開発体制としては、研究開発センターが中央開発機能を持ち、経営方針に沿ってグループを俯瞰した研究開発を行っております。また、それぞれの事業に関わる製品開発、生産技術開発等は、時計事業の製品開発部門と技術開発部門、および各事業会社が担っております。
なお、研究開発費につきましては、各事業に配分できない基礎研究費用928百万円が含まれており、当連結会計年度中に投下した研究開発費は、
主な研究開発活動
研究開発センターにおいては、当社のもつ基盤技術をより深化させるとともに、マーケティング活動にも力を入れ、新たな顧客を創造し続けることができる新技術・新製品の開発を行っております。また、グループ各社から、材料解析依頼や各種技術相談に応じることで、グループ研究開発活動の支援も行っております。
当社では、要素部品の小型化、高性能化により、小型化・薄型のムーブメントを実現し、シチズンブランドの主力商品であるエコ・ドライブのラインアップの強化を推し進めています。
静電気を利用した「静電発電機」と、「静電モーター」2つの機構を搭載した世界初の「静電誘導時計」を開発し、"BULOVA"ブランドから2020年11月27日より発売を開始いたしました。「静電発電機」は、静電気を帯びた発電タービンが腕の動きによって高速回転することで電力を発生させ、二次電池に蓄えます。一方「静電モーター」は、静電気を帯びたタービンを回転させることで秒針を滑らかに駆動します。この製品は、構造上の様々な困難を克服しながら、唯一無二の世界初の時計を世に出したい、時計の仕組みの面白さを楽しんでもらいたいという強い想いにより、構想から10年の時を経て製品化に至りました。
また、2010年以来11年ぶりとなる自社開発の新型機械式ムーブメントCal.0200を2021年3月に発表、このCal.0200を搭載した「The CITIZEN」メカニカルモデルを2021年8月に発売いたします。Cal.0200は、高精度機械式時計で用いられるフリースプラング方式(時間精度を調整する方式の一つ)を採用することで、時間精度の長期安定性を追求すると共に、スイスにあるManufacture La Joux-Perret S.A.の技術やノウハウを活かして高い審美性を実現したムーブメントです。この製品は、当社による自社設計・自社製造という高い品質力と、歴史と伝統を持つManufacture La Joux-Perret S.A.との技術の融合により、日本・スイス両国の時計製造文化を併せ持つ機械式ムーブメントです。
今後も、腕時計としての美しさと精度を追求し、グローバル展開を目指した環境に優しい「エコ・ドライブ」、「エコ・ドライブ電波腕時計」と、マニュファクチュール(自社一貫生産)としての実力を発揮した機械式時計の拡販に向け、表面処理・外装技術、精密加工技術、低消費電力技術、高感度受信技術、高密度実装技術、エネルギー源、通信技術の開発を継続し、「技術と美の融合」を実現していきます。
当事業に係わる研究開発費は
シチズンマシナリー㈱では、グローバル化と情報化の進展による顧客ニーズの多様化に対応する革新的なモノづくり『個の量産』を提唱し、事業を推進しています。
メインとなる製品ブランドとして、主軸台移動形自動旋盤の「Cincom」、主軸台固定形自動旋盤の「Miyano」、3台もしくは4台分の単軸旋盤を1台に集約した「MC20」の3つの工作機械商品群を展開しています。また、切削加工において切りくずの絡みつきを解消するLFV(低周波振動切削)技術は、生産性向上、環境負荷低減など国内外より高い評価をいただいています。
IoT分野においては、当社が蓄積した多彩なソリューションを提供するalkapplysolution(アルカプリソリューション)を展開し、センシング技術やAIを活用した故障予測についても研究開発を推進しています。
今後も革新的なモノづくりの実現を通して、お客さまの安心と成長、そして世界中の製造業の発展及び環境負荷低減に貢献することを目指し、シチズンマシナリーは挑戦を続けます。
当事業に係わる研究開発費は
シチズン電子㈱ではLEDを生かしたオプティカル事業と精密加工技術を生かしたスイッチ事業を中心に新製品、工法、生産技術の開発を進めております。
オプティカル事業の照明LEDでは、さらなる高輝度、高放熱を実現したCOBや環境に合わせて発光色を可変できる調色モジュールの開発を進めております。製造技術においては新規工法による高品質化やリードタイムの短縮に取り組んでおります。一般LED市場では、非可視光に注目し積極的に開発を推進しております。2021年1月発表の3Dセンシング用のVCSEL製品は独自のパッケージ構造により高出力高速化を実現しました。また新型コロナウィルス対策として関心が高い殺菌用深紫外LEDモジュールの開発も進めております。
スイッチ事業では、2020年10月13日発表の世界最小クラスのタクティクルスイッチに代表されるように、小型化、高品質、高信頼性を武器に急速に発展するウェアラブル市場に積極的に展開してまいります。
シチズンファインデバイス㈱は、長年築き上げてきた独自の技術を活かし、各事業部門の技術の融合を図り、新技術開発、新製品開発を積極的に行うとともに、マーケティング活動も盛んに行い、新たな研究開発テーマ創出につなげています。
自動車部品を中心とする金属部品加工の分野では、セラミックス加工技術の1つであるワイヤー研削を高精度穴加工に活用して、エンジン部品の製品化に結びつけました。セラミックス事業で培った素材・材料技術の分野では、高硬度特性を持つ新材料のサイアロンを用いた各種部品、小型軸受部品、LD素子実装用の薄膜サブマウントなどを開発しています。新たに創設したマイクロデバイス事業の分野では、セラミックスと水晶の加工、応用技術を融合させた高付加価値製品の創出に取り組んでいます。
表示デバイスの分野では、表示ディスプレイ以外の用途として、光の位相制御を行う光変調素子を開発しています。また、耐光性のあるLCOSパネルの開発も行っています。
センサの分野では、高温耐久性の高いランガテイト結晶を用いて、燃費改善に貢献する車載向け燃焼圧センサを開発しました。継続した製品開発を行い、二輪も含めた車載の更なる拡大と、自動車以外の分野への市場拡大を目指しています。
また、精機事業の分野では、画像処理を活用した装置への要求の高まりに向けて、新たな開発体制を構築し、AIを活用した画像処理技術の開発に取り組んでいます。
当事業に係わる研究開発費は
シチズン・システムズ㈱では、業務用プリンター製品及び健康機器製品を中心に開発を行っております。
プリンター関連のうち、POSプリンターとキャッシュレス決済端末を一体化した決済BOXを開発リリースし多様化する使用環境への対応を進めております。バーコードプリンターは、POSと技術共有が可能なミドルレンジを強化した製品をリリースいたしました。フォトプリンターは、多様化する市場要求に対応した新製品の開発に取り組んでおります。健康機器関連のうち、主力の体温計、血圧計は基本的機能の向上と操作性改善への取組みに加え、商品ラインナップ拡充に向けた体組成計・体重計を開発及びリリースをいたしました。
当事業に係わる研究開発費は