文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、企業理念である「市民に愛され市民に貢献する」を基盤とし、2030年を見据えて、サステナブル社会、デジタル社会に対応し成長できるシチズングループのありたい姿を描き、そこからバックキャストすることで5つのマテリアリティ「気候変動への対応と循環型社会への貢献」、「質の高い生活への貢献」、「産業分野におけるソリューションの提供」、「働きがいの向上と人財の育成」、「社会的責任の遂行」を設定しました。
長期ビジョンの実現に向けて、グループ中期経営ビジョン「豊かな未来(とき)をつなぐ」、“Crafting a new tomorrow”を揚げ、2022 年度(2023年3月期)から 2024年度(2025年3月期)までの3か年の「中期経営計画2024」を策定し、新たな価値創造に挑戦し、世の中に安心と信頼、そして感動を届け、豊かなときをつなぐ存在になることを目指してまいります。
(2) 経営戦略等
グループ中期経営ビジョン実現に向けて、本中期経営計画における以下の重点戦略に取り組んでまいります。
① 事業ポートフォリオの戦略
時計事業と工作機械事業を、グループ成長を牽引するコア事業と位置付け、経営資源を戦略的に投資していくことで更なる成長を目指してまいります。デバイス事業及び電子機器他事業は、安定成長を目指しながら、事業や製品の選択と集中を進めてまいります。また、成長の可能性がある新事業領域の探索も進めてまいります。
本中期経営計画における事業別の戦略は、以下のとおりです。
時計事業
時計事業は、グループビジョンと同じく「豊かな未来(とき)をつなぐ」、"Crafting a new tomorrow"をビジョンとして掲げ、グローバル市場におけるブランドイメージの明確化、カスタマーエクスペリエンスの向上を通じて、「グローバルブランド戦略」、「プレミアムブランド及び機械式時計戦略」、「継続的なユーザー接点の強化とデータ活用」の3つの重点戦略に取り組んでまいります。
グループを牽引するコア事業として、経営資源を戦略的に投資するとともに、収益性の改善と持続的な成長に取り組んでまいります。
工作機械事業
工作機械事業は、世界最先端の生産革新ソリューションを創造し、「新・モノづくり企業」のポジションを確立するために、売上1,000億円に向けた事業基盤の構築、加工技術による差別化、自動化・省力化領域の拡大に取り組んでまいります。成長が見込まれるアジア地域での営業、サービス体制の強化を図ることで、更なる成長を目指してまいります。
デバイス事業
デバイス事業は、市場変化に合わせた製品の選択と集中、収益力改善及び当社の強みを最大限に活かせる領域における事業拡大により、確固たる競争優位を確立してまいります。当社グループの強みである小型金属加工技術を活かした自動車部品事業では、高付加価値製品やEV関連部品の拡大及び自動車部品以外の領域の開拓を進め、オプトデバイス事業では、高効率、長寿命、環境配慮型の照明用LEDなどの拡充を図ってまいります。
電子機器他事業
電子機器他事業では、当社グループの強みをしっかりと見極め、事業と製品の選択と集中を行うとともに、生産効率の向上や合理化による安定的な利益確保を目指してまいります。
② DX戦略の推進及び人財の育成
「ユーザー視点での価値の創出・向上を継続的に行える企業グループへ」をDXビジョンとして掲げ、「業務プロセスの変革による高収益体質への転換」、「製品・サービスの変革による新たなユーザー価値の創出」、「企業風土の変革」の3つの方針に取り組んでまいります。
「業務プロセスの変革による高収益体質への転換」では業務の効率化・高度化、データ活用による意思決定の高度化、デジタル活用によるモノづくりの進化を、「製品・サービスの変革による新たなユーザー価値の創出」では、新たなユーザー体験の提供、新たなビジネスモデルの構築に取り組んでまいります。
人財ビジョンとして「社員一人一人が中期ビジョン実現への貢献を実感し、シチズンで働くことを誇りに感じる」を掲げ、デジタル施策を着実に進めると同時に、「企業風土の変革」をグループで連携して進めてまいります。
(3) 経営環境
当社を取り巻く経営環境として、主に以下の環境変化を認識しております。
① 新型コロナウイルス感染拡大の影響による消費の落ち込み
② ロシアのウクライナ侵攻による世界経済への影響
③ Eコマース需要の更なる拡大と実店舗流通の構造変化
④ スマートウオッチ市場の拡大に伴う、ファッションウオッチを中心とした時計市場の縮小
⑤ アナログクオーツムーブメント市場の縮小
当社は、以上のような経営環境変化の影響を受け業績下振れのリスクが高まっていることを認識し、中核事業である時計事業及び工作機械事業における以下の5つの課題について優先的に取り組んでまいります。
① 機械式完成品の拡充及び機械式ムーブメント外販の拡大
② 環境意識の高まりを捉えた、「Eco-Drive」の特性や環境に配慮した素材の更なる訴求
③ 製品価値を含む、体験価値を提供する双方向のコミュニケーションの構築
④ スマートウオッチと競合しない領域へのシフト
⑤ 工作機械事業の事業基盤強化
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の時計事業、工作機械事業における経営環境変化を認識し、以下の5つの課題について優先的に取り組んでまいります。
① 機械式完成品の拡充及び機械式ムーブメント外販の拡大
引き続き安定的な需要が見込まれる機械式時計市場において、シチズン機械式時計の成長に向け、機械式ムーブメントを搭載した最上位ブランド「The CITIZEN」と、モダンでスポーティなデザインが特徴のブランド「Series 8」の取り組みを強化してまいります。ムーブメント事業については、更なる製造の自動化、合理化の推進と付加価値化を進めながら収益性の強化を図ってまいります。
② 環境意識の高まりを捉えた、「Eco-Drive」の特性や環境に配慮した素材の更なる訴求
環境に優しい「Eco-Drive」を搭載したモデルを基軸に、更なるユーザーとのコミュニケーションの強化を図ってまいります。
また、地球環境や人に配慮したサステナブルウオッチブランド「CITIZEN L」をグローバルレディースブランドの中核として育成を進めてまいります。
③ 製品価値を含む、体験価値を提供する双方向のコミュニケーションの構築
店舗、ECサイト、広告、アフターサービスなどそれぞれのタッチポイントを強化することでユーザーとつながり続ける仕組みづくりを行ってまいります。
また、これらのデータを分析することで、製品・サービス価値を向上させ、継続的にユーザーに購入頂ける循環サイクルの構築に取り組んでまいります。
④ スマートウオッチと競合しない領域へのシフト
これまでの機能的価値に加え、製品の持つ背景やストーリーへの共感、心地良い着け心地などの着用体験、そしてアフターサービスの充実など「時刻を確認する」だけの価値から、ワクワクする高揚感や、長く使えるという安心感等、ユーザーにとっての価値を高めてまいります。グローバルブランドであるPROMASTER、CITIZEN Lを中心に情緒的価値を付加していくことで、ブランドイメージを向上させ、ブランドプレゼンスを高めてまいります。
⑤ 工作機械事業の事業基盤強化
景気変動の影響を受けやすい工作機械事業は、売上拡大を下支えしている中国、タイ、本社工場の生産能力を増強し、営業、サービス体制の強化を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、時計、工作機械、デバイス、電子機器等の製造販売を主な事業とし、全世界で事業展開を行っております。そして、ユーザーは一般個人のほか、多種多様な製造業にまで広範囲に渡っております。従って、当社グループの業績は、多岐に渡る変動要因の影響を受けます。その要因の主なものは以下のとおりです。
時計事業
時計事業においては、ウオッチでは国内競合メーカーのほか、スイス高級腕時計メーカー、中国製普及価格帯時計メーカー、スマートウオッチメーカー等との競争も激しく、また、スマートフォン等の時計機能代替製品との競争も内在しております。ムーブメント事業においては、スマートウオッチ市場拡大の影響により低価格帯を中心としたアナログクオーツ市場が減少傾向にあることや中国メーカーの台頭等に基因する競争環境の激化による単価下落の環境にあるため、数量減少及びシェア低下の危険性があります。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による外出規制、店舗の営業停止や営業時間の短縮、サプライチェーンの停滞等がさらに深刻化、長期化した場合には、世界的な消費マインドの冷え込みにより今後の業績に影響を与える可能性があります。
工作機械事業
工作機械事業は、景気変動に伴う設備投資需要の落ち込み、天然資源や原材料価格の大幅な高騰、事業を展開する国及び地域における規制又は法令の重要な変更、市場での激しい競争、サプライチェーンの停滞、混乱等の影響を受け、今後の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
デバイス事業
デバイス事業は、技術革新のスピードが早く、顧客要求の変化や新製品・サービスの導入頻度が高いことから、既存製品・サービスの陳腐化による販売価格の下落等が業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。精密加工部品においては、販売先の自動車メーカーやスマートフォンメーカーの技術革新の動向による影響を受けます。オプトデバイスにおいては、一部製品で特許実施許諾の契約を結んでおりますが、何らかの事情により提携関係が解消され、特許の実施許諾が受けられない状態になった場合、当事業に影響を及ぼす可能性があります。
電子機器他事業
電子機器他事業は、景気変動による設備投資、顧客の事業活動、個人消費の低迷に伴う需要減の影響や、製品安全関連の法規制・規格等の厳格化は、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、国内競合メーカーはもとより、中国等の電子機器メーカーとの競争が激しく、技術革新が早いことから、販売価格の下落や開発等の遅れ、半導体をはじめとしたサプライチェーンの混乱等が業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの製品の売上高における海外比率は高く、また、全世界に販売されております。このため、各地域における景気・消費動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該地域の政治的・経済的な社会情勢が、同様に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替変動のリスクについて
上記②のとおり、当社グループの製品の売上高における海外比率は高いため、為替予約及び通貨オプション等によるリスクヘッジを行うとともに、海外生産の拡充・強化を推し進めておりますが、当社グループの業績は為替変動の影響を受けます。
④ 中国生産依存度について
中国は当社グループの製品における主な生産拠点の一つであり、中国において何らかのトラブルによる生産支障及び、生産に支障をきたすような規制等が実施された場合、または人民元が大幅に切り上げられた場合等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 減損損失について
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
⑥ 特許及びその他の知的財産について
当社グループが研究開発及び生産活動を行う中でさまざまな知的財産権にかかわる技術を使用しており、それらの知的財産権は当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
特に一部製品において、特許実施許諾の契約を結んで製造を行っておりますが、何らかの事情により提携関係が解消され、特許の実施許諾が受けられない状態になった場合、当事業に影響を与える可能性があります。
⑦ 地震等の自然災害によるリスクについて
当社グループの本社・工場等の設備安全について火災・地震などの自然災害の発生時に、人的被害・工場などの設備破損が生じないよう、防災シミュレーション活動などを通じて管理体制の確立を行っております。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動や商品供給に支障をきたしたり、復旧などにかかる費用などで業績及び財務状況に大きな影響が出る可能性があります。
⑧ M&A及び業務提携等に関するリスクについて
当社グループは、M&Aや業務提携等を通じた事業基盤の強化に取り組んでおります。これらを実行するにあたっては、対象企業の入念な調査、検討を行いますが、未認識債務の判明等や事業の展開等が計画どおりに進まない場合、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 借入金のリスクについて
当社グループの借入金の一部は、取引先金融機関とシンジケート・ローン契約及びコミットメント・ライン契約を締結していますが、これらの契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上返済請求を受けることがあり、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
⑩ 情報セキュリティに関するリスク
不正なアクセスや外部からのサイバー攻撃が世界中で増え続けている中、当社グループは情報セキュリティ強化に取り組んでおりますが、外部からのサイバー攻撃やその他の原因によって情報システム機能に支障が生じた場合、またはサービスプロバイダーによるサービス停止等が発生した場合は、当社グループの事業活動、業績及び財務状況に大きな影響が出る可能性があります。
当社グループは、顧客等から入手した個人情報並びに当社グループ及び顧客の技術、研究開発、製造、販売に関する機密情報を様々な形態で保持及び管理しております。当社グループはこれらの機密情報を保護するための管理を行っておりますが、当初想定していない事態が発生した場合は有効に機能しなくなる可能性があります。そのため、これらの情報が権限なく開示された場合、当社グループが損害賠償請求、または訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績、財務状況、評判及び信用に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ その他のリスクについて
上記以外でも、当社グループの業績は、急激な技術革新等による社会インフラや市場競争状態の変化、当社グループの財務的・経営的状況の変動、国内外の主要市場における貿易規制等各種規制、移転価格税制等の国際税務リスク、株式市場や債券市場の大幅な変動により多様な影響を受けます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当期の国内経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響から徐々に持ち直しの動きが見られていましたが、新たな変異株の蔓延や半導体を中心とした部材不足などの影響を受け先行き不透明感が強まる状況で推移しました。また、北米及び欧州経済も同様に、新型コロナウイルスの感染再拡大や物価上昇による個人消費の落ち込みが懸念される中、全体的に回復傾向を維持しました。アジア経済は、中国市場において経済活動の制限による先行き不透明感から景気は低迷したほか、その他のアジア地域も感染の抑制状況により回復に違いが出る展開となり、経済活動は勢いを欠くものとなりました。
このような情勢のもと、当社グループは従来のものづくりだけでなく、今までにない新たな価値創造に挑戦すべく、時計事業及び工作機械事業の成長促進、サステナブル経営の推進、品質コンプライアンスの強化を図ってまいりました。
当期の連結業績は、売上高は2,814億円(前期比36.2%増)、営業利益は222億円(前年同期は95億円の営業損失)と増収増益となりました。また、経常利益は273億円(前年同期は41億円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は221億円(前年同期は251億円の親会社株主に帰属する当期純損失)といずれも増益となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(時計事業)
ウオッチ販売のうち、“CITIZEN”ブランドの国内市場は、最上位ブランドである「The CITIZEN」のメカニカルモデルや機械式時計ブランド「CITIZEN Series 8」などの新製品を投入し高い評価を得ることができました。しかし、度重なる感染拡大防止対策等により消費の回復は弱いものとなり、売上は小幅な回復に留まりました。
海外市場のうち北米市場は物流の混乱や急激なインフレなどのマイナス要因を抱える中、個人消費の回復が堅調に進み、ジュエリーチェーンや百貨店などの実店舗販売に加えEC販売も好調に推移しました。また、欧州市場においても足元の回復ペースは弱含みながらも、経済活動の再開に向けた動きを背景に安定的に推移しました。アジア市場は、中国市場が前年比増収を確保したものの、景況感の悪化を受け回復ペースは徐々に鈍化傾向をたどりました。また、その他アジア地域は新型コロナウイルスの感染拡大状況によって違いはあるものの、緩やかな回復となりました。
“BULOVA”ブランドは、主力の北米市場においてEC販売、実店舗販売が大きく売り上げを伸ばし、増収となりました。
ムーブメント販売は、機械式ムーブメントが堅調に推移したことに加え、北米市場向けなどで高付加価値アナログクオーツムーブメントも売上を伸ばし、増収となりました。
なお、腕時計の生産規模は、前連結会計年度比50.7%増加し、約1,247億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、時計事業全体では、依然として新型コロナウイルスの感染拡大の影響が拭えない中、EC販売の強化に向けた取組みの加速や、流通に適した製品展開を進めた結果、売上高は1,310億円(前期比37.1%増)と増収となりました。営業利益においては、主に海外市場の売上回復と2020年度に実施した事業構造改革の効果が寄与したことにより103億円の営業利益(前年同期は81億円の営業損失)と、増益となりました。
(工作機械事業)
工作機械事業は世界的な部材不足の影響による長納期化が進む中、国内市場は自動車向けの回復に遅れが見られているものの、半導体関連をはじめ、建機、住宅設備関連など幅広い業種で引き続き受注は好調を維持し、増収となりました。海外市場は、中国市場で医療、通信、自動車関連等が伸長したほか、欧州市場も特にドイツ、イタリア等において自動車関連を中心に堅調さを保ち、大幅な増収となりました。また、米州市場においても医療関連を中心に積極的な設備投資が継続しており、増収となりました。
なお、工作機械の生産規模は、前連結会計年度比92.9%増加し、約889億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、工作機械事業全体では従来より取り組んできたLFV(低周波振動切削)技術を搭載した製品の拡大も寄与し、売上高は810億円(前期比73.4%増)と増収となりました。また、好調な市況を受け大きく売上が伸長したことにより、営業利益は125億円(前期比328.9%増)と、増益となりました。
(デバイス事業)
精密加工部品のうち自動車部品は、世界的な半導体の供給不足による自動車メーカーの減産の影響を受け、足元は苦戦を強いられましたが増収を確保しました。スイッチは、顧客の在庫調整の影響を受けスマートフォン向けが低調に推移し、減収となりました。
オプトデバイスのうちチップLEDは、アミューズメント向け等の受注が落ち込んだものの、車載向けLEDや照明用LEDが順調に売り上げを伸ばし、増収となりました。
なお、オプトデバイスの生産規模は、前連結会計年度比6.3%増加し、約151億円(販売価格ベース)でありました。
その他部品は、水晶デバイスが引き続きIoT製品の拡大やデジタル化の進展に伴い幅広い分野で需要が増加しているほか、小型モーターも医療関連や半導体関連が堅調に推移し、その他の部品全体で増収となりました。
以上の結果、デバイス事業全体では、売上高は500億円(前期比9.0%増)と、増収となりました。営業利益においては、売り上げの回復が寄与し28億円(前年同期は4億円の営業損失)と、増益となりました。
(電子機器他事業)
情報機器は、フォトプリンターの需要が回復傾向にあるものの部材供給の遅れもあり減収となりましたが、POSプリンターやバーコードプリンターが、経済活動の再開に伴い欧州や国内市場などで売上を伸ばし、増収となりました。健康機器は、体温計の特需に一服感があるものの売上は堅調に推移し、また、健康意識の高まりにより個人使用が増えている血圧計も好調に推移した結果、増収となりました。
以上の結果、電子機器他事業全体では、売上高は192億円(前期比4.9%増)、営業利益は11億円(前期比197.5%増)と、増収増益となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ291億円増加し、3,949億円となりました。資産の内、流動資産は、現金及び預金が90億円、棚卸資産が67億円増加したこと等により、256億円の増加となりました。固定資産につきましては、投資有価証券が39億円、建物及び構築物が10億円増加した一方で、建設仮勘定が16億円減少したこと等により、34億円の増加となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、支払手形及び買掛金が27億円、電子記録債務が48億円増加した一方で、短期借入金が48億円、長期借入金が38億円減少したこと等により33億円増加し、1,562億円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、為替換算調整勘定が117億円、利益剰余金が175億円それぞれ増加した一方で、自己株式を71億円取得したこと等により258億円増加し、2,386億円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度に比べ116億円増加し、当連結会計年度末には、1,112億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度と比べ272億円増加し346億円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が266億円、仕入債務の増加額39億円、減価償却費111億円等の増加要因がありました一方、売上債権の増加額20億円、法人税等の支払額31億円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比べ19億円支出が増加し、95億円の支出となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入23億円等の増加要因がありました一方、有形固定資産の取得による支出95億円、無形固定資産の取得による支出21億円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比べ382億円支出が増加し、199億円の支出となりました。これは主に長期借入金の返済による支出80億円、自己株式の取得による支出71億円、配当金の支払額35億円等の減少要因によるものであります。
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことをしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績については、セグメント業績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、経営者は見積り及び判断・評価につきまして、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における経営成績等に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び部品等の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。自己資金につきましては国内グループ会社間の資金効率を上げるためキャッシュマネージメントシステムを導入しております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入と債券市場からの社債等による調達を基本としております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース債務含む)の残高は67,241百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は111,237百万円となっております。
不測の事態に備えて、金融機関との良好な関係の維持に努めるとともに、複数の金融機関との間で合計20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、2019年度から2021年度までの「中期経営計画2021」において、グループ中期経営ビジョンとして「Innovation for the next ~時を感じ、未来に感動を~」を掲げ、これまでのものづくりにとどまらない新たな価値創造に挑戦してきました。
しかしながら、新型コロナウイルスの 感染拡大の影響が想定以上の規模となり、またその影響も長引いたことから、「中期経営計画 2021」で掲げた数値目標を大きく下回る厳しい結果となりました。一方、各事業の施策を着実に実施し、資本効率が向上したことにより、ROEは目標を上回り、今後の成長に向けた土台作りが行えたものと認識しています。
2022年度から始まる「中期経営計画 2024」では、引き続き時計事業と工作機械事業を、グループの成長を牽引するコア事業と位置づけ、リソースを戦略的に投資していくことで、更なる成長を目指していきます。2024年度までに売上高水準を引き上げながら更なる収益性の改善を進め、売上高3,200億円、営業利益率8%、ROE8%以上の達成を目指します。
中期経営計画2021
中期経営計画2024
技術援助を受けている契約
(注) ロイヤリティとして売上高の一定率を支払っております。
当社グループの研究開発活動は、グループ事業戦略に基づき、“市民に愛され市民に貢献する”という企業理念実現のため、将来を見据え、新たな顧客価値創出を担う研究開発体制を構築しております。
研究開発体制としては、研究開発センターが中央開発機能を持ち、経営方針に沿ってグループを俯瞰した研究開発を行っております。また、それぞれの事業に関わる製品開発、生産技術開発等は、時計事業の製品開発部門と技術開発部門、および各事業会社が担っております。
なお、研究開発費につきましては、各事業に配分できない基礎研究費用890百万円が含まれており、当連結会計年度中に投下した研究開発費は、
主な研究開発活動
研究開発センターにおいては、当社のもつ基盤技術をより深化させるとともに、マーケティング活動にも力を入れ、新たな顧客を創造し続けることができる新技術・新製品の開発を行っております。また、グループ各社から、材料解析依頼や各種技術相談に応じることで、グループ研究開発活動の支援も行っております。
シチズン時計㈱では、要素部品の小型化、高性能化により、小型化・薄型のムーブメントを実現し、シチズンブランドの主力商品であるエコ・ドライブのラインアップの強化を推し進めると共に、高精度な機械式ムーブメントの開発にも注力しています。
『シチズン エル』は2022年にブランド誕生から10周年を迎えます。サステナブルなものづくりを体現する『シチズン エル』のシグネチャーライン「アンビリュナ」から「私たちは自然とひとつである」というメッセージを込めた4モデルを2022年7月に発売します。本ラインナップでは生物学者・福岡伸一氏監修のもと、生物の仕組みや自然の美しさに学び、時計としての審美性や身に着けた時の心地良さにバイオミミクリーの考え方を取り入れました。心地よい着用感のために海綿動物の多孔構造に着目し汗を発散しやすい軽量なニットバンドは、回収されたペットボトルや衣料品からリサイクルしたポリエステル繊維「ECOPET®(以下エコペット)」を一部に使用した素材をホールガーメント®で編みこまれ、多孔構造により伸縮性や耐久性に優れ手洗いも可能です。
また、富士フイルム㈱が開発した構造色インクを時計業界で初採用し、光を受けることで色彩が現れる特殊な文字板を共同開発しました。モルフォ蝶や玉虫などの美しい色で知られる「構造色」は、光の反射によって現れるため、光によってシチズン独自の光発電技術で時を刻みながら、美しい自然界の色彩を映し出します。さらには、全モデルにラボグロウン・ダイヤモンドを採用し、サステナブルなウオッチブランドとして10周年の節目で発売する、自然に学び、その驚くべき仕組みや美しさをデザインに取り入れたモデルです。
今後も、腕時計としての美しさと精度を追求し、グローバル展開を目指した環境に優しい「エコ・ドライブ」、「エコ・ドライブ電波腕時計」と、マニュファクチュール(自社一貫生産)としての実力を発揮した機械式時計の拡販に向け、表面処理・外装技術、精密加工技術、低消費電力技術、高感度受信技術、高密度実装技術、エネルギー源、通信技術の開発を継続し、「技術と美の融合」を実現していきます。
当事業に係わる研究開発費は
シチズンマシナリー㈱では、グローバル化と情報化の進展による顧客ニーズの多様化に対応する革新的なモノづくり『個の量産』を提唱し、事業を推進しています。
メインとなる製品ブランドとして、主軸台移動形自動旋盤の「Cincom」、主軸台固定形自動旋盤の「Miyano」、3台もしくは4台分の単軸旋盤を1台に集約した「MC20」の3つの工作機械商品群と、ロボットをはじめとする工作機械の周辺装置「FAフレンドリー」を展開しています。また、切削加工において切りくずの絡みつきを解消するLFV(低周波振動切削)技術、摩擦接合技術を用いた残材削減機能は、生産性向上、環境負荷低減など国内外より高い評価をいただいています。
IoT分野においては、当社が蓄積した多彩なソリューションを提供するalkapplysolution(アルカプリソリューション)を展開し、またセンシング技術やAIを活用した故障予測についても研究開発を推進しています。
今後も革新的なモノづくりの実現を通して、お客さまの安心と成長、そして世界中の製造業の発展及び環境負荷低減に貢献することを目指し、シチズンマシナリーは挑戦を続けます。
当事業に係わる研究開発費は
シチズン電子㈱ではLEDを中心としたオプトデバイス事業と、精密加工技術を生かしたスイッチ事業を中心に、開発提案型企業として新鮮で驚きのある製品づくりに挑戦しています。
照明用LEDは、「COB Series Version9」と「High Intensity COB Series Version4」を2021年9月に発表。「COB Series Version9」では、10年前に発表した製品と比較し、発光効率が約2倍になっております。その上、発光効率向上による省エネ効果だけでなく、長期間使用しても明るさを維持する長期信頼性、耐ガス特性も改善しておりLED光源や照明器具の交換や修繕間隔を長く取れることから、環境負荷低減にも寄与する製品となっています。照明用LED以外では、拡大する3Dセンシング市場向けに独自のパッケージ構造により高出力高速化を実現したVCSEL製品を開発、また新型コロナウィルス対策として関心が高い殺菌用深紫外LEDアセンブリ製品の開発や、今後AR市場等で需要が見込まれる小型レーザーパッケージ開発も進めております。
スイッチ事業では小型・薄型、防塵・防水という特長を生かし、急速に発展しているウェアラブル市場向けに製品開発を行っております。加えて、押すといった従来のスイッチの動作だけでなく、新たな付加価値創出に向け多機能な入力デバイスの開発にも取り組んでいます。
シチズンファインデバイス㈱では、長年築き上げてきた独自の技術を活かし、各事業部門の技術の融合を図り、新技術開発、新製品開発を積極的に行うとともに、マーケティング活動も盛んに行い、新たな研究開発テーマ創出につなげています。
自動車部品を中心とする金属部品加工の分野では、セラミックス加工技術の1つであるワイヤー研削を高精度穴加工に活用して、エンジン部品の製品化に結びつけました。セラミックス事業で培った素材・材料技術の分野では、高硬度特性を持つ新材料のサイアロンを用いた各種部品、小型軸受部品、LD素子実装用の薄膜サブマウントなどを開発しています。新たに創設したマイクロデバイス事業の分野では、セラミックスと水晶の加工、応用技術を融合させた高付加価値製品の創出に取り組んでいます。
表示デバイスの分野では、表示ディスプレイ以外の用途として、光の位相制御を行う光変調素子を開発しています。また、耐光性のあるLCOSパネルの開発も行っています。
センサの分野では、高温耐久性の高いランガテイト結晶を用いて、燃費改善に貢献する車載向け燃焼圧センサを開発しました。継続した製品開発を行い、二輪も含めた車載の更なる拡大と、自動車以外の分野への市場拡大を目指しています。
また、精機事業の分野では、画像処理を活用した装置への要求の高まりに向けて、新たな開発体制を構築し、AIを活用した画像処理技術の開発に取り組んでいます。
当事業に係わる研究開発費は
シチズン・システムズ㈱では、業務用プリンター製品及びヘルスケア製品を中心に開発を行っております。
プリンター関連のうち、POSプリンターは、現状POS製品の特長を生かしたソリューションビジネスへ向けての決済端末を一体化したシステムや受付端末などの多様化する使用環境への対応を進めております。バーコードプリンターは、特定市場に対応した製品の開発を進めております。フォトプリンターは、市場要求に対応した新製品の開発に取り組んでおります。健康機器関連のうち、主力の体温計、血圧計は基本的機能の向上と操作性改善への取組みを進めております。また自社アプリやPHRに繋がる商品ラインナップ拡充に向けた開発を進めております。
当事業に係わる研究開発費は