第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営理念体系

 

創業の精神

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思考展開

 

 

社会の課題に自社の技術がどのように役立つかを考え、新しい事業や製品の創造と発展に挑み続ける精神

 

企業理念

未来共有

人間形成

技術追求

未来を見つめ社会の期待と信頼に応える

働く喜びを通じて人をつくり社会に貢献する

独自技術の追究と技術の融合を推進する

 

経営大綱

SCREENグループのあるべき姿とSCREEN Value(企業価値)を高めるための基本指針

CSR憲章・行動規範

 

企業理念にもとづく行動原則を示し、SCREENグループの全役員・従業員が心がけるべき基準を「行動規範」として定めたもの

 

 

(2)経営方針、経営環境及び対処すべき課題

 当社グループは「ソリューションクリエーター*」として、社会的な課題・ニーズを解決する技術、製品、サービスなどを世界中のお客さまに提供し、社会の発展に寄与することによって、「Sustainable Value(社会的価値)」と「経済的価値」からなる「SCREEN Value(企業価値)」向上を目指し、持続的な利益創出や株主還元などを推進してまいります。

 

 当期(2022年3月期)の結果

 中期経営計画「Value Up 2023」(2021年3月期~2024年3月期)の2年目となる2022年3月期は、サプライチェーンマネジメント(SCM)における部材不足による事業運営への影響があったものの、半導体製造装置への旺盛な需要とともに、継続的に取り組んできた資本効率の管理強化により中期経営計画の経済的価値目標達成に向けて大きく進展、収益構造と財務基盤も一層盤石にすることができました。また、持続可能な社会の実現と社会的価値の向上を目指す中期計画「Sustainable Value 2023」の取り組みとして、TCFD提言への賛同を表明しました。

 

 次期(2023年3月期)の計画

 中期経営計画の後半となる3年目を迎える2023年3月期は、成長戦略と構造改革の取り組みをさらに強化し、すべてのステークホルダーに誇れる企業を目指して、以下の経営課題に取り組んでまいります。

 

 (経営課題)

 1)戦略投資の実施

 2)体系化された事業ポートフォリオマネジメントの実践

 3)イノベーションマネジメントの取り組み強化

 4)リスクマネジメントの強化

 5)人事領域の施策強化

 6)Sustainable Value 2023の取り組み

 

* ソリューションクリエーター : 社会的な課題・ニーズを解決する技術、製品、サービスなどを世界中のお客さまに提供し、社会の発

展に寄与することによって、企業価値を高める企業体のことを指します。

 

 

 中期経営計画「Value Up 2023」の進捗状況

 中期経営計画「Value Up 2023」(2021年3月期~2024年3月期)の内容、および2年目の進捗状況は、次のとおりであります。

 

1.基本コンセプト

 「ソリューションクリエーターとしての業界でのプレゼンス確立」

 

2.主たる取り組み成果

 ①イノベーションの創出と持続的成長サイクルによる企業価値向上

半導体製造装置事業のマーケット競争力強化に向けた積極的な研究開発投資。

半導体製造装置の生産体制強化として、彦根事業所内に新工場「S3-4(エス・キューブフォー)」の建設に着手。

新規事業創出のチャレンジ継続(ライフサイエンス、検査・計測、エネルギー、AI)

エネルギー分野で低コストグリーン水素製造に資する水電解システムの共同開発を開始。

 

 ②収益性と効率性を追求し、利益に見合うキャッシュを創出

  「ROIC経営」の更なる浸透。

   ゲンバKPI*の設定・検証を通じた各事業の収益性・効率性の追求。

   「売上高成長率」「ROIC」の2軸による事業ポートフォリオマネジメントの推進。

* ゲンバKPI:ROICを分解し現場で管理できる形にした指標

  営業キャッシュ・フローが大幅増加。中期経営計画の4年間累計目標を前倒しで達成。

 

 ③サステナブル企業に向けたESGへの取り組み

 持続可能な社会の実現と社会的価値の向上を目指す中期計画「Sustainable Value

2023」を展開中。

   E(環境)    : SBT*に参画し事業活動および製品の環境負荷低減を推進

   S(社会)    : 働きがいのある環境づくりと社会課題解決への積極的な活動を実施

   G(ガバナンス) : リスクマネジメントと事業継続計画(BCP)を強化

* SBT  : 科学的根拠にもとづいたCO2排出削減目標の設定を求める、地球温暖化防止に向けた国際的なイニシアチブ

 

3.経済的価値の目標と実績

 中期経営計画「Value Up 2023」における経済的価値の目標と実績は、以下のとおりとなります。

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*上記5項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提としております。

 

 なお、現在本中期経営計画の目標数値の見直しを進めており、2022年7月の2023年3月期第1四半期決算発表時に見直し後の目標数値を開示する予定であります。

 また、2022年3月18日付で、株式会社日本格付研究所の当社「長期発行体格付」がA-(見通し:ポジティブ)に変更となりました(従来のBBB+(ポジティブ)から格上げ)。

 

4.社会的価値向上への取り組み状況

 中期経営計画「Value Up 2023」における社会的価値向上への取り組み状況は、次頁以降の「ESGに重点をおいたサステナブル経営の推進」をご覧ください。

 

(3)ESGに重点をおいたCSR経営の推進

 

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(4)セグメント別の取り組み

 中期経営計画「Value Up 2023」(2021年3月期~2024年3月期)の目標達成に向けた、セグメント別の取り組みは次のとおりです。

 

(半導体製造装置事業:SPE)

①セグメント戦略

・洗浄装置マーケットシェア向上

・収益構造改革の継続

・ポストセールス強化

・サプライチェーンマネジメントの強化によるCCC*の改善

*キャッシュコンバージョンサイクル

 

②最終年度目標(2020年7月発表時点)

売上高

2,800~3,000億円

営業利益率

18~20%

市場前提

WFE市場 年平均成長率+7%
2023年に650億ドル超

 

 事業環境としては、5G、AIの活用拡大を受けたIoT、DXの進展に加え、データセンター需要の拡大、リモートワークの定着などに伴い各種半導体デバイス需要が高まっており、2022年の市場も前期比15%以上成長する見通しです。そのような中、アプリケーション別には、当社が得意とするファウンドリーにおいて、最先端の大型投資のほか、レガシー(成熟)ノードへの投資が継続する見込みです。ロジックでは、先端の量産投資や開発拠点向け投資が増加する見通しです。メモリーにおいては、DRAM向けの微細化投資やNAND Flashの積層化など先端投資の継続が見込まれています。また、画像素子では、既存半導体メーカーだけではなく、新興メーカーやファウンドリーにおいても、車載向けやセキュリティ向けの需要拡大に伴う投資が活発化しています。加えて、環境意識の高まりによって、電力消費を適切に管理するパワーデバイス向け投資も、欧州、日本を中心に活発に行われております。

 こうした市場の活況を背景にSPEでは、過去最大の受注水準が続き、増産体制に入っており、現在建設中の新工場S3-4(エスキューブ・フォー)の操業開始を2023年1月に予定しています。多様なソリューションの提供と供給責任を果たすべく、今後も万全な開発・生産体制を整え、旺盛な市況に対応してまいります。

 

(グラフィックアーツ機器事業:GA)

①セグメント戦略

・商業印刷、パッケージ市場(軟包装など)向けインクジェット製品の拡充

・リカーリングビジネスの強化

 

②最終年度目標(2020年7月発表時点)

売上高

450~500億円

営業利益率

6~8%

市場前提

情報印刷市場+8%

パッケージ印刷市場+20%

(ともにPOD/デジタル印刷分野、2020年-2026年の年平均成長率)

 

 事業環境としては、2021年3月期は少なからずコロナ禍影響を受けたものの、各国の経済対策やワクチンの普及などによる経済環境の改善により、米国、欧州を中心に多品種小ロットタイプのインクジェットデジタル印刷機であるPOD装置の需要が回復しております。また、大量印刷向けCTP装置においても需要の減少に底打ちが見られました。

 このような環境の中GAでは、2022年5月末に英国子会社の譲渡を終え、今後はPODの中核事業と置く商業印刷、パッケージ印刷へリソースの集中を図ります。足元では、部材の不足や価格上昇、物流の逼迫等による供給面の制約などの影響が出ているものの、コスト抑制を図りつつ、POD装置群の拡充・拡販に注力し、インク売上の増加によるリカーリングビジネスの一層の拡大を目指してまいります。

 

(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)

①セグメント戦略

・大型OLED TV向けインクジェット装置の事業化

・エネルギー関連ビジネスの事業化

 

②最終年度目標(2020年7月発表時点)

売上高

450~500億円

営業利益率

8~10%

市場前提

ディスプレー製造装置市場+1%

(2020年-2022年の年平均成長率)

 

 事業環境としては、ディスプレー業界において、巣ごもり需要で一時期上昇したパネル価格は落ち着いたものの、高精細のIT/TV用液晶向けや中小型OLED用の投資が緩やかに続いています。また、中期経営計画最終年度にはTV向けなど大型OLED投資も期待されます。

 このような環境の中FTでは、中期経営計画で掲げているとおり、事業ポートフォリオの変革を目指しています。次世代ディスプレー製造装置の開発に加え、エネルギー分野において、来るべき脱炭素、水素社会に向けた取り組みの一環として、燃料電池の重要部材であるMEA*の量産事業を開始しました。本中期経営計画では、エネルギー関連の売上はまだ僅少にとどまる見通しですが、次世代を見据えた事業育成を進めてまいります。

 

* MEA(Membrane Electrode Assembly) : 固体高分子型燃料電池の耐久性および性能を左右する重要部材。

 

(プリント基板関連機器事業:PE)

①セグメント戦略

・既存装置群のシェア向上

・新製品開発に取り組み、上市する

 

②最終年度に目指す姿および数値目標(2020年7月発表時点)

売上高

120~140億円

営業利益率

8~10%

市場前提

プリント基板市場+6~7%

(2020年-2024年の年平均成長率)

 

 事業環境としては、データセンター、5G、パッケージ向け需要が堅調に推移しており、さらなる成長が期待されます。

 このような環境の中PEでは、主力の直接描画装置(露光機)を中心に、新たに投入した製品が順調に市場へ浸透してきております。引き続きこれら製品を積極的に展開することにより、事業規模の拡大に努めます。また、収益性向上に寄与するポストセールスも安定推移してきており、今後も継続して伸長を図ってまいります。

 

 上記における将来数値は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績などは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

2【事業等のリスク】

 当社グループでは、「SCREENグループリスクマネジメント要綱」および関連規定にもとづいて、ビジネスリスクの洗い出しとその軽減に向けた取り組みを行うとともに、持株会社(HD)がグループ全体のリスクマネジメント状況を把握する仕組みを運用しております。

 

<リスクマネジメント推進体制>

 SCREENグループの企業価値にマイナスの影響を及ぼす恐れのあるリスクを軽減するため、当社代表取締役社長を最高責任者とし、各グループ会社の社長等を各社のリスクマネジメント責任者とする全社横断的なリスクマネジメント体制を確立しています。

 具体的には、「グループリスク委員会」を設置し、企業価値毀損の未然防止・最小化の視点から、SCREENグループ全体に内在するリスクとその状態を把握し、年度ごとの経営環境の変化に応じたグループ重要リスクの特定により、リスク管理の方向性を定め、顕在化の予防に取り組んでいます。3つのディフェンスライン(事業会社系グループ会社等を第1ディフェンスライン、HDの管理部門と機能会社を第2ディフェンスライン、内部監査部門を第3ディフェンスライン)の考え方で、個々のリスク管理の担当と役割を定め、現場と経営層がリスク情報を共有するガバナンス体制を構築しています。また、グループリスクリストの中から特に影響が大きい(または大きくなる可能性の高い)リスクをグループリスク委員会にて協議の上、当期のグループ重要リスクとして選定し、HDの取締役会の決議を得て決定します。

 

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<事業等のリスク>

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)外部要因に関するリスク

①政治状況に関するリスク

 当社グループは、現時点では米中貿易摩擦による業績への影響は大きくないものの、中国向け売上の比率が20%を超えることから、今後米中間の関係悪化が進み、中国への製品の出荷が困難になる場合には、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 また、ロシア・ウクライナ情勢に起因した国際情勢における緊迫感の高まり、長期化による世界的な景気の後退およびそれに伴う需要の縮小が生じた場合には、当社グループによる当該地域向けの取引は僅少なものの、間接的な影響による当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

 

②為替・金利変動に関するリスク

 当社グループは、海外売上高比率が高いため、輸出売上については為替リスクを回避するために積極的に円建て取引を行っておりますが、外貨建てによる取引も存在しております。当社グループは為替予約などによりリスクヘッジを行うことで、為替変動による業績への影響を小さくするよう努力しておりますが、急激な為替変動が起こった場合には、当社グループの利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 また、当連結会計年度末における有利子負債残高はすべて金利を固定しており、金利変動リスクに晒されておりませんが、新たな調達資金については、金利変動の影響を受け、当社グループの利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

(2)業界動向に関するリスク

①半導体・FPD市場の動向に関するリスク

 半導体・FPD市場は、急速な技術革新により大幅に成長する反面、需給バランスの悪化から市況が低迷するという好不況の波に晒されてきました。このような市場環境の中、当社グループは市況の下降局面においても確実に利益を生み出せるよう、ROIC経営を推進しており、その中で損益分岐点売上高比率の改善に取り組んでいますが、予想を上回って市況が悪化した場合には、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

②技術・製品に関するリスク

 当社グループは、各事業戦略に沿った開発テーマの絞り込みや保有技術のグループ内での共有化、外部の技術資源の効率的活用などにより、開発力の強化・活性化に取り組んでおり、最新の技術を取り入れた製品をタイムリーに市場投入しシェアの拡大を図ることで収益体制の強化を目指しております。しかしながら、開発期間が長期化することにより新製品のリリースに遅れが生じた場合には、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

③特定顧客への取引集中に関するリスク

 当社グループは、国内外の主要な半導体メーカーに製造装置を納入しておりますが、この業界では生産能力増強ならびに微細化対応に巨額の投資を必要とすることから一部の大手メーカーへの集約が進んできており、当社グループの売上も特定の顧客に集中する傾向にあります。したがって、これら特定顧客の設備投資動向や特定顧客からの受注動向によっては、当社グループの売上が減少し利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 当社グループでは、次世代デバイスの生産プロセス確立に寄与する競争優位性のある装置を開発・製造し、進化を続ける半導体業界に最適なソリューションを提供し続けることを目指してまいります。

 

④サプライチェーンに関するリスク

 当社グループは、大規模災害やサプライチェーンの障害事例から、国内・海外の生産拠点、部品の調達先を統括した生産補完体制を確立し、事業が大きなダメージを受けないためのシステム構築を推進しております。一方で、半導体製造装置事業における装置需要は急増しており、サプライヤーからの主要部材の調達等において、需給が逼迫し、適時に供給が得られなくなった場合や、部材、製造委託先の確保に障害が発生した場合には、当社グループの生産活動の中断や材料費の高騰などにより、当社グループの売上、利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

(3)公正な取引順守に関するリスク

 当社グループは、企業理念に基づく行動原則、グループの全役員・従業員が心掛けるべき行動規範を定めた「CSR憲章・行動規範」の下、各国の法令や社会規範を順守し、公明正大に良識ある企業活動を展開しています。また、コンプライアンス担当役員を任命し、全グループのコンプライアンス意識の向上や浸透に取り組むとともに、法務・コンプライアンス室が中心となり、国際的なルールや各国法令・規則の順守を推進、各種コンプライアンス教育に取り組んでいます。しかしながら、当社グループの事業活動に関連し、コンプライアンス違反や訴訟、権利侵害に伴う知財紛争等が発生した場合には、当社グループの利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

(4)事業継続に関するリスク

①災害等に関するリスク

 当社グループの国内生産拠点は京滋地区に集中しており、この地区において大規模な地震等が発生した場合、大きな被害を受ける可能性があります。当社グループでは損失を最小限にとどめ、事業の継続または早期再開を図るため、事業継続マネジメントシステム(BCMS)を推進しておりますが、災害等により生産拠点の操業が停止するなどの不測の事態が生じた場合、当社グループの事業継続に悪影響をもたらす可能性があります。

 

②資金調達に関するリスク

 当社グループの借入金に係る契約のうち一部の契約には、各年度の末日の連結純資産および各年度の連結経常損益に関する財務制限条項が付されております。現状、当社グループの財政状態は、財務制限条項に照らして問題のない水準にあるものの、これに抵触し、借入先金融機関の請求があった場合、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。この場合、当社グループの社債およびその他の借入金についても連動して期限の利益を喪失する可能性があります。当社グループが借入金等について期限の利益を喪失し、一括返済の義務を負った場合には、当社グループの事業継続に悪影響をもたらす可能性があります。

 

③パンデミックに関するリスク

 当社グループは、日本国政府が指定感染症として定めた新型コロナウイルス感染症について、当社代表取締役社長を本部長とする災害対策本部を当社本社内に立ち上げ、また国内外拠点に現地対策本部を設置し、社員関係者の感染状況の確認をはじめとした情報収集に努め、現在も対応を進めております。

 なお、当社グループの主力事業である半導体製造装置事業では、装置の据付、調整については可能な限り各国の現地要員で対応できていることから、現在のところ新型コロナウイルス感染症が業績に与える影響は軽微であります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の今後の拡大や長期化の状況によっては、当社グループの業績や事業継続に悪影響をもたらす可能性があります。中国では当リスクがすでに顕在化しており、コロナ禍における上海のロックダウン措置に伴う中国における顧客の工場の稼働停止や、物流停滞等が発生しています。現在、状況は改善に向かっておりますが、ロックダウン措置の再開等により製品の生産・出荷が困難になる場合には、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

④情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、事業遂行に関連して、多数の個人情報や顧客情報、技術情報を有しております。当社グループでは、「SCREENグループIT管理規定」を定め、社内情報システムのセキュリティ強化を図るとともに、グループの全役員・従業員が心がけるべき行動規範を定めた「SCREENグループCSR憲章」を制定し情報管理体制を強化しております。しかしながら、昨今の頻発・巧妙化・高度化するサイバー攻撃を当社およびサプライチェーンが受けた際には、予期せぬ被害によって情報流出や関連する情報システムに大規模な障害等の発生と影響が想定されます。この場合、社会的信用の低下や長期の事業停止等により、当社グループの事業継続にも悪影響をもたらす可能性があります。

 

(5)製品の品質と安全に関するリスク

 当社グループでは、品質マネジメントシステムの規格(ISO9001)に基づく品質管理体制を構築し、製品・サービスの品質および安全性の向上に取り組んでいますが、万一、大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の欠陥が発生し顧客に損失をもたらした場合、多額の追加費用の発生や信頼低下により、当社グループの売上、利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

(6)環境負荷低減・気候変動への対応に関するリスク

 当社グループは、低環境負荷製品へのニーズの高まりや国際的な化学物質規制、環境関連規制の強化などを受け、地球環境に配慮した製品を提供するために、「製品によるCO排出抑制の貢献」「環境適合認定製品の拡大」「製品法規制への対応」に取り組んでおります。また、気候変動対応に関しては、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言へ賛同するとともに、「Science Based Targets (SBT)イニシアチブ」の認定を取得し、事業活動を通して地球環境への負荷を軽減し、脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の構築と持続的な発展に貢献すべく、活動を推進しています。しかしながら、取り組みに遅れが生じ、製品が環境規制等に対応できない場合、当社グループの売上減少により利益等に悪影響をもたらす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるものの、各国の経済対策やワクチンの普及などにより、概ね回復基調で推移しました。一方、ロシア・ウクライナを巡る地政学リスクの高まりや原油など資源価格の高騰に加え、半導体をはじめとする部材の不足や価格上昇、物流の逼迫等による供給面の制約などから、先行きへの不透明感が強まりました。

当社グループを取り巻く事業環境は、エレクトロニクス業界では、5G、AIの活用拡大を受けたIoT、DXの進展に加え、データセンター需要の拡大、リモートワークの定着などが追い風となり、半導体デバイス需要が高まりました。さらには、環境負荷の少ない技術への投資(GX)を意識した半導体の微細化や実装技術分野への投資、自動車のEV化や半導体不足を解消するための成熟ノードへの投資も重なり、半導体メーカーやプリント基板関連の設備投資が堅調に推移しました。印刷関連機器においても、GXやDXへの意識が高まり、北米や欧州など景気に持ち直しの動きが見られる地域を中心に、顧客のPOD装置への設備投資意欲に回復が見られました。

このような状況の中、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金や棚卸資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ、766億7千2百万円(20.0%)増加し4,593億5百万円となりました。

負債合計は、契約負債や仕入債務が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ、374億3千3百万円(21.5%)増加し2,115億1千6百万円となりました。

純資産合計は、その他有価証券評価差額金の減少や配当金の支払いの一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ、392億3千9百万円(18.8%)増加し2,477億8千8百万円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、53.9%となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高は4,118億6千5百万円と前期に比べ、915億4千3百万円(28.6%)増加しました。利益面につきましては、売上の増加や採算性の改善などにより、前期に比べ、営業利益は367億8千万円(150.2%)増加の612億7千3百万円となりました。また、経常利益は367億1千8百万円(161.6%)増加の594億3千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は303億1千7百万円(199.9%)増加の454億8千1百万円となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

(半導体製造装置事業:SPE)

半導体製造装置事業では、前期に比べ、ファウンドリー向け、メモリー向け、ロジック向けの売上が大幅に増加しました。地域別では、台湾向けを中心に各地域で売上が増加しました。その結果、当セグメントの売上高は3,193億9千8百万円(前期比35.6%増)となりました。営業利益は、売上の増加や採算性の改善などにより、628億3千万円(前期比141.7%増)となりました。

 

(グラフィックアーツ機器事業:GA)

グラフィックアーツ機器事業では、顧客の装置稼働状況、設備投資意欲の回復などを受け、装置売上やインクを中心とするリカーリングビジネスの売上が増加したことから、当セグメントの売上高は、433億1千7百万円(前期比15.8%増)となりました。営業利益は、売上の増加などにより、16億3千6百万円(前期比205.5%増)となりました。

 

(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)

ディスプレー製造装置および成膜装置事業では、OLED用中小型パネル向け製造装置の売上は増加したものの、大型液晶パネル向け製造装置の売上が減少したことから、当セグメントの売上高は332億8千6百万円(前期比4.1%減)となりました。営業利益は、採算性の改善などにより、5億8千7百万円(前期比35.0%増)となりました。

 

(プリント基板関連機器事業:PE)

プリント基板関連機器事業では、データセンター需要の拡大などを受け直接描画装置の売上が増加したことから、当セグメントの売上高は133億1千1百万円(前期比27.6%増)となりました。営業利益は、売上の増加などにより、20億7千4百万円(前期比168.3%増)となりました。

 

(その他事業)

その他事業の外部顧客への売上高は28億4百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ702億6千6百万円増加し1,310億1千1百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、その他の流動負債の増加、減価償却費などの

収入項目が、法人税等の支払いや棚卸資産の増加などの支出項目を上回ったことから、817億5千2百万円の収入(前期は572億5百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、新工場建設着手に伴う支払いや研究開発設備等の有形固定資産を取得し

たことなどにより、99億5千2百万円の支出(前期は62億4千2百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、49億5千1百万円の支出(前期は270億7千1百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

SPE

256,274

+42.0

GA

15,804

+44.6

FT

15,974

△40.8

PE

6,873

+58.4

合計

294,926

+32.4

(注)金額は販売予定価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

SPE

399,773

+50.0

195,411

+69.9

GA

46,309

+16.3

10,795

+38.3

FT

33,795

+207.7

25,953

+2.0

PE

17,404

+44.2

7,095

+136.4

合計

497,282

+51.0

239,255

+58.1

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

SPE

319,398

+35.6

GA

43,317

+15.8

FT

33,286

△4.1

PE

13,311

+27.6

その他事業・調整額

2,550

+15.2

合計

411,865

+28.6

(注)1 各セグメントの金額には、セグメント間取引を含んでおります。

     2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の

       とおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.

47,815

14.9

72,307

17.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

(売上高)

当連結会計年度における当社グループの売上高は4,118億6千5百万円と前連結会計年度に比べ、915億4千3百万円(28.6%)増加しました。

 

(営業利益)

売上の増加や採算性の改善などにより、営業利益は前連結会計年度に比べ、367億8千万円(150.2%)増加の612億7千3百万円となりました。

 

(経常利益)

営業外損益は、営業外費用において固定資産除却損が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ6千2百万円悪化しました。

以上の結果、経常利益は367億1千8百万円(161.6%)増加の594億3千8百万円となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

特別損益は、特別損失において減損損失が減少したものの、企業年金基金脱退損失や投資有価証券評価損が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ6億2千万円悪化しました。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は360億9千8百万円(174.6%)増加の567億7千1百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

法人税等合計は、税金等調整前当期純利益が増加したことなどから、前連結会計年度より58億4千7百万円増加し、113億8千9百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、303億1千7百万円(199.9%)増加の454億8千1百万円となりました。

 

 セグメント別の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」および「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)セグメント別の取り組み」に記載のとおりであります。

 

b. 財政状態

財政状態の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2021年3月期~2024年3月期におきまして、中期経営計画「Value Up 2023」に取り組んでおります。なお、中期経営計画の進捗状況および指標の達成状況につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当連結会計年度の所要資金は、自己資金で賄いました。なお、将来の資金安定確保を目的として、総額300億円のコミットメントライン契約を複数の金融機関との間で締結しております。

また、ロシア・ウクライナを巡る地政学リスクの高まりにより先行きが不透明な中、当面は厚めの手元流動性を維持する方針としており、未使用の上記コミットメントライン300億円に加え、影響の長期化に備えた追加の300億円のコミットメントライン契約を2022年6月13日に取引銀行と締結いたしました。

主な資金使途としまして、設備投資計画につきましては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」、配当政策につきましては「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする項目については、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積りおよび判断をしております。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

a. 固定資産の減損について

 減損会計の適用にあたり、当社グループは原則、各社を1グループ単位としてグルーピングを行っております。また、事業の用に供していない遊休資産については、個別物件単位でグルーピングを行っております。当資産グループの回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額などの前提条件に基づいて測定しておりますが、今後の地価の動向や事業の将来の業績によっては、翌年度以降に減損損失が発生する可能性があります。

 

b. 退職給付債務について

 当社グループの退職給付費用および債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。この前提条件や年金資産の長期期待運用収益率が実際の結果と異なる場合、または変更された場合、翌年度以降において認識する退職給付費用および債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、株式会社SCREENホールディングスとグループ会社が密接に連携し、表面処理技術、直接描画技術、画像処理技術のコア技術を融合・展開させることで、基礎研究から商品開発に至るまで積極的な研究開発活動に取り組んでおります。

 当連結会計年度は、半導体製造装置事業を中心とした既存事業の拡大・強化に向けた開発投資を行うとともに、エネルギー、検査計測、ライフサイエンスの各分野においても研究開発活動を積極的に推進し、240億35百万円の研究開発費を投入いたしました。

 なお、当社グループの主な研究開発成果は次のとおりであります。

 半導体製造装置事業では、先端デバイスに対応する洗浄、乾燥、塗布、熱処理、直接描画、装置制御などの技術の更なる向上に取り組み、装置の高性能化・高機能化を進めました。また国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(助成)」に採択されました。海外研究機関との共同研究につきましては、それぞれの分野での最先端プロセスに関連した研究を継続しています。

 グラフィックアーツ機器事業では、Truepressシリーズで培ったインクジェット技術を継承し、多方面にわたる新製品を開発しています。軟包装インクジェット印刷装置では、日本印刷学会で「研究発表奨励賞」を受賞、またUVインクジェットラベル印刷装置では、欧州の印刷業界誌団体(EDP)より「Best Label Printer賞」を受賞するなど、業界からの高い評価を得ております。

 ディスプレー製造装置および成膜装置事業では、塗布、成膜、乾燥などの技術の更なる向上に取り組みました。有機ELディスプレーサイズの大型化や高精細化に対応する技術開発を継続するとともに、燃料電池の高効率生産方式の開発取り組みにおいては、NEDOを通じた取り組みが評価され経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定されました。

 プリント基板関連機器事業では、プリント基板業界の高精度化と高生産性の要望に応えるべく、直接描画装置「Ledia」シリーズの新機種として「Ledia 7F」を開発いたしました。

 上記セグメント以外では、基礎研究や新規事業領域の研究開発を継続するとともに、先端パッケージ業界向けに直接描画装置「LeVina」を開発いたしました。エネルギー分野では、東京ガスと協業し、水素製造に向けた水電解用セルスタックの共同開発を開始いたしました。ライフサイエンス分野では、錠剤印刷装置「OMNITO」の生産性や安定性を向上させた「OMNITO+」の開発や、臓器移植を支援する臓器灌流システムの開発、がんの個別化医療の実現に向けた研究、AFIとの協業によるラベルフリー細胞分離分析システムの開発などを行いました。

 

当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発費は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

SPE

13,748

GA

3,017

FT

1,001

PE

480

上記セグメント以外

5,787

合計

24,035