1 会社の経営の基本方針
当社グループは、「たゆみない創造と革新を続け、豊かで楽しい安全な社会づくりに貢献する」を基本理念として定め、当社グループが求め、向かう企業像を明示しております。この基本理念の実現に向け、今後さらに、人々に喜ばれる製品・サービスの創造に努め、世界の国々における取引を通じ関係者の繁栄を図ってまいります。
そして、この理念に基づき、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、株主をはじめとする様々なステークホルダーと良好な関係を築き、社会動向などを踏まえ、透明・公正な意思決定を行い、適宜必要な施策を実施してまいります。
2 中長期的な会社の経営戦略、対処すべき課題及び目標とする経営指標
2018年度を最終年度とした中期経営計画が終了したことに伴い、2019年度から2021年度までの3か年を対象期間とした新中期経営計画を策定し、2019年4月よりスタートしております。
<新中期経営計画の経営方針>
ア.グループガバナンスの強化
「事業間の連携強化と経営幹部の育成」を中期経営計画の根幹とし、事業の垣根を越え、業務上の問題を早期に検出し、問題に対して実効的に対応できる組織・仕組みづくりを目指してまいります。また、経営幹部の任命基準を設定し、評価・研修制度を整え、ジョブローテーションも行いながら経営幹部をはじめ従業員の育成を行ってまいります。これらの施策の実行により株主の皆様をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めてまいります。
なお、麗声東莞における不適切な会計処理に対し、弊社が取りまとめた再発防止策は次のとおりです。
(ア)ガバナンスに関する取組み
a.グループガバナンス体制の強化
b.グループ会社経営幹部の育成
(イ)コンプライアンスに関する取組み
a.全役職員のコンプライアンス意識の徹底
b.弊社内部通報窓口の拡充
(ウ)モニタリング体制(内部統制・内部監査)に関する取組み
a.実効性のある内部監査の実施
b.専門スタッフの育成
c.全社統制機能の見直しと拡充
(エ)コミュニケーションに関する取組み
a.コミュニケーションの改善
イ.収益力の強化
本中期経営計画でも引き続き、強みの部分に経営資源を集中し、「精密分野でのカテゴリーNo.1の実現」を目指してまいります。その中で、接続端子事業とプレシジョン事業は、グループの成長エンジンとしての事業拡大をねらい、電子事業は黒字体質の定着化を図る一方で、時計事業は赤字体質からの脱却を最優先に全力で取り組んでまいります。
ウ.リズムブランド価値向上 ~ステークホルダーとの関係強化~
株主・投資家の皆様、お客様、地域・社会、従業員、当社をとりまくすべてのステークホルダーに信頼され、社会にとって必要不可欠な会社を目指してまいります。
エ.ROEの改善 ~事業利益確保と資産効率化~
ROAの目標値を定め、事業利益の拡大と資産効率化を推進してまいります。また、接続端子・プレシジョン事業の成長分野への重点投資とM&Aの推進、資産の効率化等による財務体質強化により「事業利益確保」「資産効率化」を両輪に財務体質強化とROE改善を推進してまいります。
オ.各事業の状況
(ア)時計事業
国内販売につきましては、ギフト・中高級品を中心とした新型開発を強化し、新型売上の拡大とヒット商品の創出を目指してまいります。また、営業改革として、営業手法の見直しと人材育成を行い、お客様との信頼関係を高めてまいります。また、商品・販売両面の取り組み強化により、リズムブランドの認知浸透を目指してまいります。
海外販売につきましては、更なる成長が見込める中国・米国・アジアにおけるインターネット向け製品の販売強化と人材・新型商品力強化による拡大を目指してまいります。
生産面につきましては、昨今の国際情勢、経営環境の変化を踏まえ、最適な生産体制の追求による合理化や生産性向上についても検討課題としてまいります。
時計事業全体としましては、業務改革による最適な人員配置、事業拠点の統合、在庫削減による資産効率化等の構造改革を実行し、収益力の向上を図ってまいります。
(イ)接続端子事業
自動車・二輪向けのプレス部品および成形・複合品等に強みのある当事業は、グループのネットワークを活かし、更なる営業活動強化、海外への拡販に努めるとともに、家電民生用機器についても売上拡大を図ってまいります。
生産面では、各拠点での内製化推進や半自動化・自動化による利益率向上と、お客様にご満足いただける品質の確保に継続的に取り組んでまいります。
また、将来に向けた基盤作りのため、海外を中心に設備投資とローカルスタッフの強化、充実に努めてまいります。
(ウ)プレシジョン事業
強みである高難度・高品質成形部品の売上拡大を基本政策とし、更なる拡大を目指して技術のレベルアップに挑戦し、お客様からの信頼度向上に努めてまいります。不足技術の強化に加え、新素材の研究と実用化に取り組みます。
国内では、従来の工作機械部品、車載カメラ部品の売上拡大に加えて、新領域の新規受注に取り組みます。生産面においては、昨年度に竣工した工作機械部品の新工場を本格稼働させ、生産能力の最大化を進めることと、本年度竣工する金型・成形工場の最大限の活用に努めてまいります。
海外では、ベトナムでの既存品の安定拡張に加えて、新領域の受注拡大に取り組み、プラスチック精密部品におけるベトナムNo.1に挑戦してまいります。また、中国においては品質管理プロセスの再構築による工程能力改善で、お客様に更にご満足いただける品質の確保と受注拡大に取り組んでまいります。
(エ)電子事業
前中期経営計画で完遂した構造改革を維持しつつ、収益力の改善、技術力の向上、人材の育成に取り組んでまいります。
営業面においては、引き続き、新規案件、新規顧客の獲得に重点的に取り組んでまいります。
生産面では、国内、ベトナム、中国の3拠点の役割を再編し、生産体制のスリム化と効率化を進め、コスト競争力を向上させてまいります。
また、接続端子事業、プレシジョン事業を含めた3事業の連携を強化し、新ビジネスの獲得に取り組んでまいります。電子事業が中心となって推進し、営業、技術、生産におけるシナジー効果の創出を図ります。
株主還元につきましては、安定配当、概ね30%の配当性向を基本とし、状況に応じて自己株式の取得も実施してまいります。また、当社グループ各社では、女性や外国人をはじめとする多様な人財が最大限に活躍できる環境整備に努めてまいります。さらに、収益性向上に向けた施策を積極的に展開するとともに、企業価値、株主価値の向上に努めてまいります。
株主の皆様におかれましては、今後ともより一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①為替変動のリスクについて
当社グループの海外拠点における事業活動の拡大に伴い、外貨建取引の増加や外貨建債権債務残高の増大により為替レートの変動による影響を受けやすくなっております。そのため当社グループは為替予約及び通貨オプション等によるリスクヘッジを行うとともに、海外販売の強化を進めておりますが、為替レートの急激な変動により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②時計生産拠点の海外集中について
当社グループの時計事業の製品は、海外生産が中心であるため、海外において政治経済や法規制の変化など予期せぬ事象が発生した場合には、部品調達や工場操業に支障をきたすなど、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③減損リスクについて
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や、事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④M&A及び業務提携等に関するリスクについて
当社グループは、M&Aや業務提携等を通じた事業強化に取り組んでおります。実行にあたっては対象企業に対する詳細な調査を踏まえた検討を行いますが、事業展開が計画どおり進まない場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤地震等の自然災害によるリスクについて
世界各地に展開する当社グループの生産拠点・販売拠点及びそれら周辺地域において、大規模な自然災害が発生した場合には、生産活動や商品供給に支障をきたしたり、復旧費用等、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥その他のリスクについて
上記以外でも、国内外の主要市場における貿易規制、株式市場や債券市場の大幅な変動などにより当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日)における世界経済は、米国を中心に総じて緩やかな景気回復が続いたものの、米国の通商問題による影響、中国経済の停滞、英国のEU離脱問題等、先行き不透明な状況が続きました。
一方、わが国経済は、良好な企業収益や雇用・所得環境を背景に緩やかな回復基調であるものの、世界経済の不確実性、中国設備投資の減速、金融資本市場の変動等の影響懸念がある中で推移しました。
このような状況のもと、当社グループは、精密分野でのカテゴリーNo.1の実現を目指し、中期経営計画の実現に向け、取り組んでまいりました。売上高につきましては、接続端子事業が国内、海外ともに好調だったものの、時計事業・プレシジョン事業・電子事業が国内、海外ともに減収だった影響で、全体では国内減収、海外増収、合わせて減収となりました。営業利益におきましては、電子事業が黒字化いたしましたが、時計事業・接続端子事業・プレシジョン事業の減益により、全体で減益となりました。
以上のことから業績は次のとおりとなりました。
(単位:百万円)
これらをセグメント別に見てみますと次のとおりであります。
① 時計事業
時計事業におきましては、国内では、新型開発強化およびインターネット販売強化への取り組みにより新型とインターネットの売上は前年に比べ増加しておりますが、クロック市場の縮小及び量販店での売上減少により減収となりました。海外では、米国と中国のインターネット向け販売は増加しておりますが、他市場での売上鈍化により減収となり、時計事業全体でも減収となりました。
利益面につきましても、ベトナム工場の合理化推進による損益改善は進んでいるものの、売上高の減少と麗声東莞の原価上昇等により営業損失となりました。
② 接続端子事業
接続端子事業におきましては、国内では、家電・AV機器向けの部品が堅調に推移し、増収となりました。利益面につきましては、原材料価格の高騰、設備投資による費用増加等により減益となりました。
海外では、インドネシアでの自動車や二輪向け部品の受注が好調に推移し増収となりました。利益面につきましては、売上増加と合理化・省力化の効果はありましたが、原材料価格の高騰、設備投資による費用増加等により減益となりました。
③ プレシジョン事業
プレシジョン事業におきましては、国内では、工作機械部品が好調に推移しましたが、光学機器関連の受注減少により、減収となりました。利益面につきましては、合理化の推進により増益となりました。
海外では、主力のベトナムでの受注減少等により減収減益となりました。
④ 電子事業
電子事業におきましては、国内では、車載製品およびEMS製品が好調に推移するものの、情報機器関連の受注減少により減収となりました。利益面につきましては、構造改革の効果により前年の営業損失から黒字に転換いたしました。
海外では、ベトナムのEMS製品において、取引先の在庫調整による受注減少により減収、営業損失となりました。
⑤ その他
物流事業その他事業につきましては、物流子会社におけるグループ外での受注拡大により増収増益となりました。
(2) 財政状態
①資産
総資産は398億12百万円となり、前連結会計年度末406億19百万円に比べて8億6百万円減少しました。流動資産は、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ4百万円減少しました。固定資産は、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ8億1百万円減少しました。
②負債
負債合計は118億5百万円となり、前連結会計年度末121億95百万円に比べ3億89百万円減少しました。流動負債は、1年内返済予定の長期借入金及び未払法人税等の減少により、前連結会計年度末に比べ2億3百万円減少しました。固定負債は長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ1億86百万円減少しました。
③純資産
純資産合計は、280億7百万円となり、その他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末に比べ、4億16百万円減少しました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(3)資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億31百万円増加し、当連結会計年度末には101億28百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、その他流動資産の減少と、仕入債務の増加等により、24億13百万円の資金の増加(前連結会計年度に比べ79百万円の資金の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、13億75百万円の資金の減少(前連結会計年度に比べ7億23百万円の資金の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払と、長期借入金の返済等により、5億2百万円の資金の減少(前連結会計年度に比べ27億38百万円の資金の増加)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は、日々の運転資金の他、事業計画に照らして必要な資金として、設備投資、研究開発投資などがあります。設備投資、研究開発投資などの投資資金需要に対しては、主に自己資金を充当し必要に応じて金融機関からの借入または社債の発行等により資金を調達することを基本方針としております。当連結会計年度の設備投資の総額は、20億68百万円、研究開発投資の総額は1億37百万円となり、全額自己資金により充当いたしました。その結果、当連結会計年度末の有利子負債は54億27百万円となり前連結会計年度末と比べて2億28百万円の減少となりました。資金の流動性につきましては、当社グループにおける余剰資金の有効活用に努めるほか、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態にも備えております。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は101億28百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。
(5)生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績は次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
販売実績の総販売実績に対する割合が10%を上回っている相手先がないため、記載を省略しております。
3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
当社は、シチズン時計株式会社と商標の使用に関する契約を以下のとおり締結しています。
当社グループの研究開発活動は、時計事業分野と電子事業分野に大別されます。
時計事業分野における新製品開発活動は、アミューズクロックの商品力強化のための新音源開発、Iot機器対応ムーブメントの開発、自社専用時刻サーバーの時刻情報を使用して時計の時刻を合わせるネットワーククロックの開発、導光板開発技術を生かした視認性を従来品より向上させたクロックの開発、デジタル放送に対応した行政防災ラジオの開発、新型ファンの開発、新分野商材として加湿器の開発を行っています。
電子事業分野における新製品開発活動は加飾品に電子回路を組込んだ加飾複合品を軸とした美容関連機器の新製品開発、また従来製品のメーターパネル周りの新製品開発、車載関連のカメラ開発を進めております。
なお、当連結会計年度(2018年4月1日~2019年3月31日)における研究開発費の金額は