第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

 (1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当中間連結会計期間における世界経済は、大幅な減速を回避し、緩やかながらも成長軌道への回復傾向にあるものの、ウクライナや中東における紛争の長期化による政情不安やエネルギー価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続きました。わが国においては、一部自動車メーカの生産・出荷停止の影響などからマイナス成長に転じましたが、段階的に正常化しており、先行きは内需主導の成長軌道に復すると予測されています。また2024年春闘における賃上げ率上昇により、個人消費の拡大から景気の持ち直しが予想されています。

 このような経営環境において、当社は、長期経営ビジョン“世界中で認められ、求められる「モノづくりソリューショングループ」を目指す”のセカンドステージとして、持続可能な成長重視の4つの戦略(事業拡大戦略・環境戦略・人財戦略・財務戦略)を掲げた中期経営計画「Mission G-second(2023年~2025年)」を推進しており、特に当期は環境戦略に関連する事業が伸長しました。展示会への積極的な参加による技術力のアピールや、市場への新製品の投入を実施すると同時に、溶剤リサイクル分野における環境課題解決事業のキックオフ、アジア市場における事業拡大を見込んだインドの部品メーカの子会社化を決定するなど精力的に取り組みました。

 その結果、当中間連結会計期間の売上高は223億9千4百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は14億9千4百万円(前年同期比15.1%増)、経常利益は16億1千万円(前年同期比9.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は10億7百万円(前年同期比20.8%増)となりました。

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 ファスナー事業につきましては、主な需要先である自動車関連業界向けは、型式認証問題に起因した生産停止による影響を受けつつも新規品増加により売上が堅調に推移しました。また後半にはゲーム機向けを中心に精密ねじの需要が高まりましたが、欧州・中国の消費低迷、東南アジアでの日系家電メーカの低迷が受注に影響しました。加えてエネルギー価格の高騰や原材料価格の高止まりにより利益についても厳しい状況となりました。

 このような状況のもと、異種金属接合製品AKROSEなどのCASE関連向け高付加価値製品の拡販を実施しました。また自動車関連業界を中心に、薄板の締結に貢献する「ジョイスタッド」、電子基板の締結時に発生する切粉の飛散や落下を防止する「CPグリップ」は引き続き高い市場評価をいただきました。さらには経済成長の著しいインドの冷間圧造部品メーカの子会社化を決定し、新たな世界戦略のシナジー確立に努めました。

 この結果、売上高は160億3千8百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は6億9千万円(前年同期比13.7%減)となりました。

 産機事業につきましては、昨年、国内外ともに景気先行き不透明感やインフレの懸念などの影響により設備投資姿勢が慎重になったことから、売上に関しては厳しい状況となりました。一方、標準機の受注は堅調に推移したと同時に、価格改定も一定の効果を得られ増益に貢献しました。また国内外の展示会へ異物の飛散を防止する「コンタミ対策ユニット」、新製品である環境負荷低減型単軸自動ねじ締め機「FM515VE」シリーズを展開し、積極的な拡販活動を実施しました。

 このような状況のもと、EV用バッテリー向けの拡販に注力するなど、市場開拓への継続した取り組みを行いました。また、ビジネス創造フォーラムへの参加などを通して産業用設備案件の生産能力拡大に向けての情報収集に取り組みました。

 この結果、売上高は31億3千8百万円(前年同期比9.1%減)、営業利益は5億3千9百万円(前年同期比12.0%増)となりました。

 制御事業につきましては、流量計に関しては新燃料関連の受注もあり復調の兆しが見られましたが、地盤調査機「ジオカルテ」は、建築材料高騰による戸建て住宅着工件数の減少に伴い、引き続き厳しい状況となりました。一方、当期の売上には至らなかったものの働き手不足解消のための自動化・省人化におけるシステム製品の引き合いが増加傾向にあります。また分析装置の売上が堅調に推移しました。国内外において、PFASなどの有害物質の含有量を測定する環境測定装置の元素計や自動粉体装置の需要が高まり、売上と利益に大きく貢献しました。

 このような状況のもと、2023年8月から業務提携を行っていたイーセップ社とシリカ分離膜管を用いた有機溶剤リサイクル装置の共同開発をスタートしました。共同開発にあたっては同社への出資や開発費用の拠出をするなど、早期事業化及び生産体制の構築に努めました。

 この結果、売上高は32億1千2百万円(前年同期比18.1%増)、営業利益は3億2千8百万円(前年同期比369.6%増)となりました。

 メディカル事業につきましては、ターゲット市場である医療業界において、人手不足による業務負担増加やデジタル化の遅れ、医療費の高騰など多くの課題を抱えており少子高齢化の中において早急な課題解決が望まれています。

 このような状況のもと、第一種医療機器製造販売業および製造業の許可を受け、次なる医療機器の品質管理システムの認証取得に向けて取り組みました。また「医療用生体内溶解性高純度マグネシウム材料」の海外特許取得に向けた動きを加速すると同時に、動物実験対応の準備や応用開発への検討を進めました。

 この結果、売上高は5百万円(前年同期比55.4%減)、営業損失は6千3百万円(前年同期は営業損失5千2百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ13億5千8百万円増加し、547億2百万円となりました。これは主に、現金及び預金が7億6千6百万円、電子記録債権が5億6千5百万円増加したのに対し、受取手形及び売掛金が4億4千5百万円、繰延税金資産が9千5百万円減少したことなどによるものです。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ1億1千万円減少し、168億3千1百万円となりました。これは主に、未払金が6千万円、賞与引当金が5千5百万円増加したのに対し、電子記録債務が1億6千7百万円、退職給付に係る負債が1億円減少したことなどによるものです。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億6千8百万円増加し、378億7千1百万円となりました。これは主に、利益剰余金が6億7千1百万円、為替換算調整勘定が4億5千2百万円増加したことなどによるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて5億5千7百万円増加し、85億8千4百万円(前年同期は88億6千2百万円)となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、税金等調整前中間純利益、減価償却費、未払費用の増加などの収入項目が、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払額などの支出項目を上回り、16億2千8百万円の収入(前年同期は23億7千1百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、固定資産の取得や定期預金の預入などの支出項目が、投資有価証券の償還などの収入項目を上回り、8億7百万円の支出(前年同期は5億3千9百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、借入金の返済や配当金の支払いなどにより、4億8千2百万円の支出(前年同期は11億5百万円の支出)となりました。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6)研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は3億5千2百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当社は、2024年2月22日開催の取締役会において、インドのVulcan Forge Private Limitedの株式を取得し、Vulcan Forge Private LimitedおよびVulcan Cold Forge Private Limitedを子会社化することを決議し、同日に株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細は、「第4 経理の状況 1.中間連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。