当社グループは高機能・高品質・低コストで顧客満足度の高い製品を世界に提供し、キヤノングループ共通の企業理念である「世界人類との共生」に貢献し、世界各地で親しまれ、尊敬される優良企業として存在することを経営の基本としております。
さらに、当社グループは人類の今日的課題である地球環境保全を企業行動の規範として位置付け、あらゆる企業活動に反映させてまいります。
当社グループは、世界でトップレベルの高収益企業となることを経営方針としており、その実現のため、売上高経常利益率15%を達成すべき目標として取組んでまいります。
世界経済は全体として緩やかな回復傾向が見られましたが、米国と中国における通商問題、アジア新興国や中東、欧州における経済・政策など、今後も混沌とした情勢が続くと考えられます。日本経済は、企業収益や雇用情勢に改善の兆しが見える一方、消費税の増税を控え、消費者物価指数も伸び悩むなど、先行きの不透明感が続いています。当社グループを取り巻く環境は引き続き厳しく、予断を許さない情勢が続いています。
このような状況下で、当社は以下の課題に取り組んでまいります。
<成長分野への参入とその確立>
当社グループでは現在、様々な成長分野への参入を進めております。宇宙関連分野ではこれまで開発を進めてきた超小型人工衛星だけでなく、小型ロケットの打ち上げについても事業化へ向けた準備を進めております。医療分野では、血圧計や滅菌機、薬剤分包機に加え、歯科用ミリングマシンも販売を開始しました。さらに、農業分野では当社で新たに開発した「植物工場用自動生産装置」を用いて当社内で野菜の栽培がスタートし、同時に自動生産装置の他社への販売も開始しました。
新たな事業に取り組むにあたり、従来にも増して全社員の持てる力を最大限に結集し、質の創造(世界に通用する倫理観・知識・技術および実行力を持った高品質企業を目指す)を強力に推進してまいります。
<製品品質と研究開発力の質の向上>
研究開発部門は縦横の情報交換をさらに密に行い、「製品品質の向上」、すなわちユーザーニーズを的確にとらえ、新しいアイデアを取り入れた「ムダのない商品開発」を実行してまいります。さらに、「研究開発力の質の向上」を図るため、時代の流れをよく見極め、新しいものに失敗を恐れずに挑戦してまいります。加えて、社員一人ひとりが各々の分野で第一人者となるために行動し、そのために必要な投資や人材の育成と活用を図り、お客様に喜んでいただける製品を創出してまいります。
<事業・製品・生産拠点にマッチした生産体制の追求>
部品発注・生産から顧客への製品納入まで、物・情報の流れの過程でのすべてのムダを徹底的に排除し、生産工場の機能を常に見直し、生産性を向上させてまいります。そして、生産工場で働く人々のやりがいとスピードを重視した現場中心主義の体制を追求し続け、環境変化に素早くかつ柔軟に対応し、高機能、高品質、低コストで真に価値ある製品をお客様に提供し続けてまいります。
当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
当社は、親会社であるキヤノン株式会社(2018年12月31日現在、当社の議決権の55.3%を所有)を中心とするキヤノングループの一員であります。
当社グループの売上高のうち、キヤノン株式会社に対する売上高の構成比は、当連結会計年度において51.7%を占めております。当社はキヤノン株式会社との間で取引基本契約及び技術研究開発基本契約などを締結して、請負取引及び売買契約に関する基本的な事項を取り決めております。
そのため、キヤノン株式会社の販売戦略や生産体制に関する方針の転換等があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
キヤノングループ各社との主な取引関係は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」における「関連当事者情報」をご参照下さい。
また、キヤノングループにおいては、当社グループの一部製品または一部事業が競合関係にある場合があります。それぞれ得意な業務分野や技術分野を持って事業展開を図っておりますが、今後の製品戦略の変更等によって、競合関係に大きな変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要な市場である国及び地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。日本、アジア、北米、欧州及び当社グループが事業活動を行うその他の主要な市場において、対象製品の需給の大きな変化や景気後退による個人消費や民間設備投資の減少によって、当社グループが提供する製品・サービスの需要の減少や価格競争の激化が進展する可能性があります。
このような環境下において、当社グループは売上高や収益性を維持できる保証はありません。
当社グループは製品の一部をマレーシア及びベトナムで生産し、中国では当社グループ外の会社に生産委託しております。こうした海外における生産の当社グループの生産高に占める割合は、当連結会計年度で11.6%となっております。当該生産拠点においては、予期しない法律や規制の変更、経済的変動、政治的混乱等のリスクが存在するため、これらの事象が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替の変動の影響を軽減し、また、これを回避するために様々な手段を講じておりますが、急激な為替の変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各生産部門の新製品対応や技術革新、あるいは生産能力の増強のため、毎年、新規または更新のための設備投資が必要であります。2018年12月31日現在、24億円の設備投資を計画しております。これらの設備投資の実施により、償却費負担が増加しますが、計画通り生産が増加していかない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは先端技術の研究開発を行うための投資を行っております。当連結会計年度において一般管理費に計上した研究開発費は41億8百万円であり、売上高の4.5%を占めております。今後も積極的な研究開発投資を実行していく予定ですが、当該研究開発活動が計画通りに進む保証はなく、十分な成果が適時に上がる保証もありません。
また、当社グループが選定した研究開発テーマに基づき開発した新規技術やそれを応用した製品が普及しない場合や、事業環境の変化等により更なる研究開発費の負担が生じた場合には、先行投資した研究開発費の回収が困難になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「地球環境保全のための活動と実践」という方針のもと、全ての事業活動において環境を重視した様々な施策を推進し、環境、健康及び安全等に関する様々な法律・規則に従っております。予期せぬ法令違反等が生じた場合は、当社グループの社会的信用が失墜するのみでなく、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは知的財産権(特許権等)の保護について、社内の管理体制を強化し、細心の注意を払っておりますが、将来当社グループが認識していない第三者の所有する知的財産権を侵害した場合、または当社グループが知的財産権を有する技術に対し第三者から当該権利を侵害された場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外事業に関連して、訴訟その他法律的手続きの対象となるリスクがあります。当連結会計年度において当社グループの事業に影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
地震等の自然災害や事故、テロをはじめとした当社グループによるコントロールが不可能な事由によって、当社グループの生産拠点及び設備等が壊滅的な損害を被る可能性があります。この場合は当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高が低下し、さらに、生産拠点等の修復または代替のために巨額な費用を要することとなる可能性があります。
以上に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年3月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(重要な会計方針及び見積もり)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産、負債の金額及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
(1)経営成績
当連結会計年度(2018年1月1日から2018年12月31日まで)の世界経済は、米国において消費や雇用者数が引き続き増加するなど着実に回復が続いていますが、米国と中国の通商問題やアジア新興国等の経済・政策、欧州諸国の政局に関して先行きの不透明感が続きました。日本経済は企業収益や雇用情勢が引き続き改善しており、消費者物価が緩やかに上昇するなど、個人消費も緩やかな回復基調が続きました。
このような状況の中、当社グループは収益の拡大を目指し、全社を挙げた拡販活動や生産性向上活動を推し進め、業績の確保と収益性の改善を図ってまいりましたが、当期の連結売上高は907億67百万円(前期比8.4%増)、連結経常利益は95億2百万円(前期比3.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は71億6百万円(前期比8.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(コンポーネント)
コンポーネントセグメントにおきましては、デジタルカメラ市場は、手軽に高画質な写真撮影が可能な製品への需要が高まっていますが、スマートフォンのカメラ機能の充実により厳しい状況が続いています。このような状況の中、さまざまなカメラ部品について積極的に受注活動を展開した結果、売上は堅調に推移しました。レーザープリンター・複合機向けのレーザースキャナーユニットは、生産性の向上や構成部品の内製化を積極的に推し進め、引き続き原価低減に取り組みました。また、既存製品の生産増加により、売上は堅調に推移しました。なお、ベトナム子会社において生産を行っている複合機向けのリーダーユニットは引き続き受注が堅調に推移し、加えて新規キーユニットの生産を開始し、売上が増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は510億75百万円(前期比7.2%増)、営業利益は85億9百万円(前期比0.9%増)となりました。
(電子情報機器)
電子情報機器セグメントにおきましては、ドキュメントスキャナーは、低速機から高速機までラインアップをより充実させたimageFORMULA(イメージフォーミュラ)シリーズの一層の拡販に努めた結果、米国向け・欧州向け等の販売が好調に推移しました。また、昨年10月に販売を開始した「DR-G2140/G2110」などの新製品が好評を得て、売上は増加しました。ハンディターミナル関連では、以前より販売しているハンディターミナルに加え、スマートフォンやタブレット端末と連携するモバイルプリンターや決済端末の拡販に努めました。新製品のモバイルプリンター「BP-F600」の販売を開始しましたが、ハンディターミナル本体等の販売が前期を下回り、売上は減少しました。レーザープリンターは、自動化を始めとした生産性の向上、物流の改善等に加え、生産体制の更なる拡充に向け全力で取り組みました。新たに複数のオプション製品の取り込みや他社製品の受託生産の増加もあり、売上は増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は294億88百万円(前期比11.3%増)、営業利益は38億4百万円(前期比0.4%減)となりました。
(その他)
その他セグメントにおきましては、情報関連事業は、情報セキュリティ対策ソフト「SML」、金融機関向け情報系システム「entrance® Banking(エントランス・バンキング)」、顧客情報管理システム(CRM)等の拡販活動を積極的に展開し、売上は増加しました。環境機器事業は、小型三次元加工機「MF-150A MarkⅡ」および業務用生ごみ処理機「Land care 16Ⅱ」、小型電動射出成形機「LS-715シリーズ」に加え、2018年度グッドデザイン賞を受賞した新製品の歯科用ミリングマシン「MD-350」も販売を開始しました。精密機器事業で扱っている医療関連機器では、血圧計や滅菌機に加え、新たに薬剤分包機がキヤノングループ内から生産移管され、売上は増加しました。また、スペースワン株式会社では、世界的に高まりつつある小型人工衛星打上げの需要に応えるべく、2021年度中の事業化を目指し、取り組みを加速しております。
これらの結果、当セグメントの売上高は102億3百万円(前期比6.0%増)、42百万円の営業損失となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 金額は販売価格によっております。
3. 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(単位:百万円)
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は1,129億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ47億78百万円増加しました。流動資産は752億18百万円となり、45億19百万円増加しました。固定資産は377億81百万円となり、2億59百万円増加しました。うち有形固定資産は322億26百万円となり、5億34百万円減少しました。
当連結会計年度末の負債は214億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億72百万円増加しました。流動負債は170億8百万円となり、4億11百万円減少しました。固定負債は44億円となり、15億84百万円増加しました。
当連結会計年度末の純資産は915億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億5百万円増加しました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の81.2%から79.8%となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度においては、主に税金等調整前当期純利益と減価償却費により、営業活動によるキャッシュ・フローは71億92百万円の収入(前期比24億87百万円減)となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは貸付けによる支出により125億60百万円の支出(前期比154億55百万円増)となり、フリーキャッシュ・フローは53億67百万円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払及び非支配株主からの払込みによる収入により19億5百万円の支出(前期比4億85百万円減)となり、これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は187億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ73億60百万円減少しました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費及び設備投資資金です。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。
キヤノン株式会社との契約
当社は、キヤノン株式会社との間に以下の契約を締結しております。
当社グループは競争が激化する厳しい市場環境に対応するため、現行事業の更なる拡大と、新規事業の創出を図るべく、新製品開発活動を行っております。
当連結会計年度において、一般管理費に計上している研究開発費は41億8百円であります。
セグメントごとの研究開発活動状況は次のとおりであります。
(1)コンポーネント
デジタルカメラ市場の縮小が続く中、セットメーカー各社はスマートフォンとの親和性やスマートフォンには無い機能を訴求することで新たな需要を掘り起こすべく、製品開発に取り組んでいます。また、デジタルカメラ市場の中でも唯一成長を続けるミラーレスカメラでは、小型、軽量化、高機能化の競争が激しさを増し、当社を取り巻く市場環境は厳しさを増しております。このような環境下において、当社はセットメーカーのカスタムニーズに的確に応えたシャッターや絞りユニット、光学フィルタを開発し、シェア拡大に取り組んでまいりました。
このような活動の結果、当セグメントにおける研究開発費の金額は3億3百万円となりました。
(2)電子情報機器
ドキュメントスキャナーにおいては、A3原稿対応の「DR-G2140/G2110/G2090」を開発しました。新CIS(イメージセンサー)やDRプロセッサーの採用とマシンの制御と処理プロセスの見直しにより、高速・高品質の画像処理を実現しています。新たに有線LANのインターフェースを搭載し、ネットワーク環境での使用が可能となりました。また、汚れやしわのある原稿、薄い文字の原稿などが混ざっていても、ページごとに最適な画像処理を実行することができる新しい画像処理機能「Active Threshold」を開発し、本機種に搭載しました。小切手専用のチェックスキャナーにおいては、安価な小型モデル「CR-L1」を新規に開発しました。小規模な銀行支店や小売店などでの使用を想定し、従来機CR-50シリーズで培った技術を活かし、主要部品を見直してコストダウンを図りました。読み取りにUV光源を用いたモデルも開発し、特定の国で標準とされているUVインクによる小切手の真贋検知に対応しています。
ハンディターミナルにおいては、PCやスマートデバイスからの印刷に対応したモバイルプリンターにおいて、機能および安定性を向上させた新ドライバをリリースしました。また、今後の新製品に採用予定の新規プラットフォームの検討のための研究開発も開始しています。
このような活動の結果、当セグメントにおける研究開発費の金額は9億75百万円となりました。
なお、各セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費の金額は27億86百万円となりました。
また、新規事業参入の一環として、これまで培ってきた高精度・高品質・低コストの製造技術を活かした超小型人工衛星の開発・製造を中心とした宇宙関連ビジネスへの取り組みを加速させています。2017年6月には自社開発・製造の超小型人工衛星「CE-SAT-Ⅰ」の打上げに成功し、運用実証も順調に進んでいるほか、小型ロケットの開発も進めています。農業分野では、これまで工場向けの生産管理システムや生産設備、自動化装置を開発・製造してきた経験を活かし、植物工場向けの生産設備や自動化装置の開発に取り組みました。現在、植物の植え替えを自動化する移植機の他社への販売を開始したほか、植物工場の温度・湿度等の管理システムや種まき・収穫の自動化装置の販売の準備を進めています。