(1)業績
当連結会計年度における経済情勢は、米国経済は回復基調で推移し、欧州も緩やかな回復が続きました。アジアにおいては、中国の景気は緩やかな減速が続きましたが、東南アジアでは持ち直しの動きもみられました。わが国においては、景気は緩やかな回復基調が続きました。
当社グループの主要関連市場におきましては、特機事業におけるPOS関連市場で需要は回復傾向で推移しましたが、工作機械市場および精密部品に関する市場では、需要は伸び悩みました。
なお、当連結会計年度における為替レートは、前期に比べ米ドル、ユーロともに円高水準で推移しました。
このような状況のなか、当連結会計年度の売上高は、円高の影響に加え、工作機械などで販売が減少したこともあり、489億3千7百万円(前期比10.1%減)となりました。利益につきましては、営業利益は36億6百万円(同37.1%減)、経常利益は35億8千3百万円(同31.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は31億8千1百万円(同14.5%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(特機事業)
小型プリンターでは、国内市場はmPOS向けの販売が好調に推移し、売上は大幅に増加しましたが、円高の影響により、米国市場、欧州市場およびアジア市場で売上は減少しました。
以上の結果、当事業の売上高は110億8千1百万円(前期比2.6%減)、営業利益は、新規事業の開発費用などが発生したこともあり、13億4千5百万円(同12.7%減)となりました。
(工作機械事業)
CNC自動旋盤では、米国市場は円高の影響を受けるなか、期の後半にかけ主力の医療関連を中心に好調に推移し、売上は増加しました。欧州市場は東欧などの新興国や、ドイツなどの主要国でも販売が伸び悩んだことや円高の影響により、売上は大幅に減少しました。アジア市場は中国での販売は好調に推移しましたが、その他の地域の落ち込みや円高の影響もあり、売上は減少しました。国内市場も設備投資に慎重な姿勢がみられ、売上は減少しました。
以上の結果、当事業の売上高は336億2千9百万円(前期比11.9%減)となり、営業利益は43億7千2百万円(同25.2%減)と大幅な減少となりました。
(精密部品事業)
時計部品は、腕時計メーカーの生産調整の影響もあり、売上は減少しました。非時計部品は、自動車部品などの減少や円高の影響により、売上は減少しました。
以上の結果、当事業の売上高は42億2千6百万円(前期比14.2%減)となり、営業利益は2億8千4百万円(同52.0%減)と大幅な減少となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当期末の現金及び現金同等物の残高は、営業活動で53億3千8百万円の収入、投資活動で8億1千3百万円の収入に加え、財務活動でも1億3千8百万円の収入となり、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額を加え、前期末に比べ56億8百万円増加の204億7千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより、53億3千8百万円の収入(前期は31億6百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、有形固定資産の取得による支出などがあったものの、投資有価証券の売却による収入や短期投資の純増減額による収入などにより、8億1千3百万円の収入(前期は10億7千3百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、新株予約権付社債の発行による収入などがあったものの、自己株式の取得による支出や配当金の支払いなどがあり、1億3千8百万円の収入(前期は21億7千9百万円の支出)となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
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特機事業 |
11,334,435 |
4.6 |
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工作機械事業 |
31,575,746 |
△23.1 |
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精密部品事業 |
4,224,216 |
△13.5 |
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合計 |
47,134,398 |
△17.0 |
(注)1 金額は消費税等抜販売価格で算定しております。
2 工作機械事業には、自社の固定資産となるものが88,680千円含まれております。
(2)受注状況
当社グループは見込生産を主体としているため受注状況の記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
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特機事業 |
11,081,612 |
△2.6 |
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工作機械事業 |
33,629,352 |
△11.9 |
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精密部品事業 |
4,226,391 |
△14.2 |
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合計 |
48,937,356 |
△10.1 |
(注)1 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2 主要な販売先については、総販売実績の100分の10を占める販売先がないため記載を省略しております。
当社グループはこのたび、創立70周年に当たる4年後の平成33年2月期を目標年度とする中期経営計画を策定いたしました。本中期経営計画におきましては、基本方針として「既存事業の変革」「新規事業の創出・育成」「真のグローバル企業への変革」の3つを掲げております。
「既存事業の変革」としては、IoT(モノのインターネット)社会の中で求められる精密加工技術を追求するとともにソフトウェア技術を融合した事業体への変革を目指すほか、付加価値を最大化する生産体制も追求してまいります。
事業別では、特機事業では、高付加価値製品の開発を図るほか、英国のEU離脱を見据え欧州販売拠点の再編を進めてまいります。また、サプライチェーンの効率化によるコストダウンを図ってまいります。工作機械事業では、主軸固定型自動旋盤のシリーズ化を図るとともにIoT関連ソフトの開発を進めるほか、モジュラー設計・生産によるリードタイムの短縮と在庫削減を実現してまいります。また、成長市場である中国でサービス体制の強化を進めてまいります。精密部品事業では、国内外合わせて5つの生産拠点のネットワークを積極的に生かし新規顧客および市場の開拓に取り組んでまいります。また、生産の合理化・無人化を推進するとともにIoTの活用により生産設備の稼働率向上を図ってまいります。
「新規事業の創出・育成」としては、IoT関連の事業化に取り組む一方、M&Aや事業提携などを積極的に検討し、第4の事業の創出を目指してまいります。また、グローバルで活躍できる人材を育成、登用するほか、さらなる販売チャネルの強化により「真のグローバル企業への変革」を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①景気変動
当社グループは、各事業を世界各地で展開しておりますが、その需要は販売先の景気動向の影響を受けます。特に主力の工作機械事業は、企業の設備投資需要に大きく影響を受けやすい業界であります。各事業とも、景気サイクルの影響を受けにくい体質になるべく、顧客の開拓や製品開発などに努めておりますが、景気変動により業績が変動する可能性があります。
②生産拠点
当社グループは、海外生産比率が高く、生産委託先を含む海外の生産拠点は主に中国およびタイにあります。また、そこでの生産品目も当社グループが扱う全ての事業にわたっており、何らかのトラブルの発生や規制などがされた場合、生産活動および製品の供給に大きな影響を与える可能性があります。
③価格競争
当社グループは、企業向けの設備から消費者向け製品用の構成部品まで幅広く取り扱っておりますが、多くの製品で競合メーカーの台頭などにより厳しい価格競争を迫られております。そのため、常に他社を上回る高付加価値の製品および技術開発、また市場開拓やコストダウン活動などを進めておりますが、急激な価格競争になれば収益性やシェアの低下などの可能性があります。
④為替
当社グループは、グローバルに事業を展開し、生産および販売の多くを海外に依存しております。そのため、海外生産の拡大や為替予約などにより為替リスクの低減に努めておりますが、為替の動きにより業績が変動する可能性があります。
⑤地震等による自然災害
当社は、生産拠点の多くは海外にありますが、当社が本社および国内工場を構える静岡県は、東海地震の発生が予想されている地域であり、東海地震を含め大規模地震が発生した場合、本社機能および生産活動のみならず、復旧にかかる費用などで業績および財務状況に大きな影響が出る可能性があります。
また、世界各地に展開する当社グループの販売拠点、生産拠点およびそれら周辺地域において、大規模な自然災害が発生した場合には、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑥その他
当社グループは、主に日本、中国およびタイで生産し全世界で販売しておりますが、各国での貿易摩擦の発生や内国産業保護などによる関税をはじめとする輸出入の規制、環境問題、その他様々な公的規制、また品質問題、特許紛争などが起こった場合、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。
特記すべき事項はありません。
当社グループの研究開発体制は、新規事業分野の製品開発を行う研究開発部門と、現行の事業品目に直結した製品開発・技術開発を担当する各事業の開発部門から構成されております。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであり、研究開発費の総額は20億3千2百万円であります。
(R&Dセンター)
R&Dセンターは当下期より、新規事業分野の事業化に向けて製品開発とマーケティングに特化した組織に再構築し、今後大きく成長が期待される環境発電を利用したビジネスモデルの構築に向けて、長年培ってきた小型化技術、電磁誘導技術に回路やソフトウェアの応用技術を加えた高付加価値製品の開発を目指しております。
当期は、微弱な振動を電力に変換する小型振動発電ユニットにセンサーと無線通信機能を付加した見守りシステム向けの「電池レスビーコン」のほか、IoT環境におけるスマート工場向けの「IoTセンサーユニット」や「電池レススイッチ」に加え、電飾用途を狙った「振動発電電源ユニット」の開発を進めました。同時に事業化に向けた顧客ニーズの確認や、新規顧客のさらなる開拓を推進するため、国内外の展示会への出展活動を行ったほか、有望顧客との実証試験にも積極的に取り組んでまいりました。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は4億8千6百万円であります。
(特機事業)
当期は、モバイルPOS市場に向けて3インチサーマルプリンターの新製品「TSP100IIIBI」およびインテリジェントインターフェース「IFBD-HI01X」などを開発したほか、各種ソフトウェアの改良を行いました。
「TSP100IIIBI」は、iPhone等のiOS端末やAndroid端末からでもプリンター側の設定を変更することなくBluetooth通信が出来る機能を搭載することでモバイル機器との接続性をより高めました。また、250mm/sの高速印字が可能なほか、印刷したレシート用紙が丸まることを防止するデカール機能や5VのUSBポートによるタブレット端末等のモバイル機器充電機能を有しています。
「IFBD-HI01X」は、当社のTSP650IIをはじめとする上位機種シリーズ向けに開発されたインテリジェントインターフェースです。無線と有線LANおよびUSB TypeAとBのインターフェースを備えており、印刷データの通信はもとよりバーコードリーダー等の周辺機器との接続が可能となりました。さらに当社が提案する新しいソリューションの「CloudPRNT」にも対応しており、「IFBD-HI01X」を搭載したプリンターがインターネットに繋がっていれば、印刷データを直接プリンターではなくクラウドサーバーを介して送信することで、遠隔地からの印刷ができ様々なシーンでの活用が可能となります。
ソフトウェア開発の面では、各種モバイル機器のOS用に多く採用されてきた当社プリンター向けソフトウェア開発キットである「StarIO SDK」の名称を「StarPRNT SDK」に変更し、新機能として印字に必要な各機能コマンドをAPI※化することでエミュレーションフリーな印字制御を可能にするとともに、iOS端末用の最新プログラミング言語であるSwiftにも対応しました。
また、HTMLレイアウトの表示デザインを直接印刷データとして扱える「Star PassPRNT」は、従来iOS端末専用でしたが、Android端末にも対応するとともにPDFデータも印刷できるようバージョンアップを行いました。さらに、端末を選ばずJavaScriptライブラリーをHTMLファイルに埋め込むことで印刷を可能とする「Star WebPRNTブラウザー」では、プリンターに接続したバーコードリーダーから読み込んだ情報をブラウザー上に表示させることで、より多様化したレシート印刷ができるようになりました。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は7億7千万円であります。
※API:Application Programming Interfaceの略
(工作機械事業)
当期は、2005年に販売開始して以来、長時間連続で安定した精度で加工が可能な機械剛性により市場から好評を得ている「SR-32J」のリニューアル機「SR-32JⅡ」を開発したほか、IoTに対応したソフトウェアの開発を行いました。また、新規分野参入への対応として主軸固定型自動旋盤の開発を進めました。
「SR-32JⅡ」は、製品開発期間および製造リードタイムの短縮を図るため、当社では初となるモジュラーデザインによるブロックビルド生産方式を採用しています。
背面加工用に6軸型ユニットを搭載した直線制御軸5軸の「typeA」、Y2軸制御付き8軸型ユニットを搭載した直線制御軸6軸の「typeB」をラインアップしております。また、正面加工用のクシ刃型刃物台回転工具に5軸型、6軸型の2タイプを用意し、お客様の用途に合わせた最適なツーリングレイアウトを選択可能としています。
機械構造面では、クシ刃型刃物台に当社独自のスラント型すべり案内面構造を採用し、機械剛性を高めることで、安定した精度での長時間連続加工を可能にしています。また、多様な加工ニーズに柔軟に対応するため、ガイドブッシュ仕様、ノンガイドブッシュ仕様の切換え方式を採用しており、加工部品に応じた最適な仕様での加工を可能にしています。さらに、余裕のある機内作業スペースを確保するために跳ね上げ式ドアや、最適なポジションでの操作を可能にする旋回式パネルを採用しています。NC装置には、アラームの内容をNC画面上で確認できるアラームヘルプ機能を始めとした各種ヘルプ機能を搭載し、オペレーターの操作性、作業性の向上を図りました。
ソフトウェア開発の面では、IoTへの取り組みとして機械稼動監視ソフトを開発し、第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)に出展しました。本ソフトウェアは工場内にある複数台の当社工作機械をLANで繋ぎ、パソコン、タブレット端末およびスマートフォンから機械の稼動状況と履歴を把握することができます。今後はユーザーで試験運用を行っていただくことで機能評価などを行い、製品化を目指してまいります。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は7億7千5百万円であります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針に基づき見積りおよび判断を行っており、実際の結果は、見積りによる不確実性のために異なる可能性があります。
(2)経営成績の分析
①売上高
売上高は、55億2千万円減少の489億3千7百万円(前期比10.1%減)となりました。これは全体に為替の影響を受けたことによるものであります。
セグメントの売上については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。
②売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、27億3千3百万円減少の308億2千5百万円(前期比8.1%減)となりました。売上高に対する売上原価の割合は、前期に比べ1.4ポイント上昇し63.0%になりました。
販売費及び一般管理費は、6億5千8百万円減少の145億5百万円(前期比4.3%減)となりました。これは主に為替換算の影響によるものであります。
③営業利益
営業利益は、売上の減少に伴い21億2千8百万円減少の36億6百万円(前期比37.1%減)、売上高営業利益率は7.4%となりました。
セグメント別では、特機事業は、販売数量が増加したものの、為替の影響を受けたことなどにより、営業利益は1億9千6百万円減少の13億4千5百万円(前期比12.7%減)となり、売上高営業利益率は前期の13.5%から12.1%と1.4ポイント低下しました。
工作機械事業は、為替の影響を受けたことに加えて欧州向けを中心に販売数量が減少したため、営業利益は14億7千万円減少の43億7千2百万円(前期比25.2%減)となり、売上高営業利益率は前期の15.3%から13.0%と2.3ポイント低下しました。
精密部品事業は、時計部品および非時計部品ともに販売数量が減少したことにより固定費負担が増加し、営業利益は3億8百万円減少の2億8千4百万円(前期比52.0%減)となり、売上高営業利益率は前期の12.0%から6.7%と5.3ポイント低下しました。
④営業外損益
営業外損益は、5億6百万円改善し2千2百万円の損失となりました。これは主に為替差損が改善したことによるものであります。
⑤特別損益
特別損益は、1億1百万円増加の2億4千7百万円の収益となりました。これは前期に減損損失の計上があったことによるものであります。
⑥親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、5億3千9百万円減少の31億8千1百万円万円(前期比14.5%減)となりました。また、1株当たり当期純利益は前期の87円98銭から6円21銭減少の81円77銭に、1株当たり純資産額は前期の1,164円47銭から13円7銭減少の1,151円40銭となりました。
(3)財政状態の分析
①資産
資産合計は、683億5千万円となり、前期末に比べ5億2千2百万円の増加となりました。これはたな卸資産や有形固定資産、投資有価証券などが減少したものの、現金及び預金が増加したことなどによるものであります。
②負債
負債合計は、245億9千6百万円となり、前期末に比べ69億6千7百万円の増加となりました。これは主に新株予約権付社債の発行によるものであります。
③純資産
純資産合計は、437億5千4百万円となり、前期末に比べ64億4千4百万円の減少となりました。これは主に自己株式の取得によるものであります。
(4)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。