(1)業績
当連結会計年度における経済情勢は、米国の景気は着実な回復が続き、欧州の景気も緩やかに回復しました。アジアでは中国において持ち直しの動きがみられ、わが国においても景気は緩やかな回復基調が続きました。
当社グループの主要関連市場におきましては、工作機械市場では国内、海外ともに需要は前期を大幅に上回る水準で推移しました。特機事業におけるPOS関連市場においても欧米市場を中心に需要は堅調に推移しましたが、精密部品関連市場では、HDD部品など一部の需要は伸び悩みました。
なお、当連結会計年度における為替レートは、前期に比べ米ドルおよびユーロともに円安水準で推移しました。
このような状況のなか、当連結会計年度の売上高は、工作機械の販売が過去最高を記録したことなどにより、607億7千2百万円(前期比24.2%増)と大幅な増収となりました。利益につきましては、営業利益は62億1千万円(同72.2%増)、経常利益は70億1千5百万円(同95.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、タイの製造子会社(精密部品事業)等の減損損失があったものの、繰延税金資産の計上などもあり57億8千万円(同81.7%増)と大幅な増益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(特機事業)
小型プリンターでは、米国市場は前半に販売代理店の在庫調整の影響を受けたものの、後半にかけ販売が伸長し、売上は増加しました。欧州市場も先進国を中心とした市況の回復により、売上は大幅に増加しました。アジア市場は中国でドットインパクト製品の販売が伸び悩み、売上は減少しましたが、国内市場はmPOS向けの販売が堅調に推移し、売上は増加しました。
以上の結果、当事業の売上高は123億5百万円(前期比11.0%増)、営業利益は16億2千6百万円(同20.9%増)と増収増益となりました。
(工作機械事業)
CNC自動旋盤では、各地域で需要が旺盛に推移するなか、米国市場は医療関連を中心に、売上は増加しました。欧州市場は自動車関連を中心に設備投資の動きが続き、売上は大幅に増加しました。中国を中心としたアジア市場では自動車や通信、医療関連が、また国内市場では自動車関連の販売が好調に推移し、売上は大幅に増加しました。
以上の結果、当事業の売上高は過去最高となる443億4千2百万円(前期比31.9%増)、営業利益は70億2千7百万円(同60.7%増)と大幅な増収増益となりました。
(精密部品事業)
時計部品は、前半に腕時計メーカーの生産調整の影響を受けたものの、後半にかけ販売が堅調に推移し、売上は増加しました。非時計部品は、医療関連部品などは堅調に推移したものの、HDD部品および自動車部品が減少したため売上は減少しました。
以上の結果、当事業の売上高は41億2千4百万円(前期比2.4%減)、営業利益は2億5千5百万円(同10.5%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当期末の現金及び現金同等物の残高は、営業活動では89億2千3百万円の収入となり、投資活動では50億1千2百万円の支出、財務活動では29億2千5百万円の支出となったものの、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額を加え、前期末に比べ14億7千9百万円増加の219億5千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより、89億2千3百万円の収入(前期は53億3千8百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、有形固定資産や投資有価証券の取得による支出などにより、50億1千2百万円の支出(前期は8億1千3百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、配当金の支払いや自己株式の取得による支出などにより、29億2千5百万円の支出(前期は1億3千8百万円の収入)となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
|
特機事業 |
11,528,171 |
1.7 |
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工作機械事業 |
44,402,175 |
40.6 |
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精密部品事業 |
4,063,350 |
△3.8 |
|
合計 |
59,993,697 |
27.3 |
(注)1 金額は消費税等抜販売価格で算定しております。
2 工作機械事業には、自社の固定資産となるものが44,983千円含まれております。
(2)受注状況
当社グループは見込生産を主体としているため受注状況の記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
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特機事業 |
12,305,845 |
11.0 |
|
工作機械事業 |
44,342,214 |
31.9 |
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精密部品事業 |
4,124,643 |
△2.4 |
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合計 |
60,772,703 |
24.2 |
(注)1 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2 主要な販売先については、総販売実績の100分の10を占める販売先がないため記載を省略しております。
当社グループは、平成32年度を目標年度とする中期経営計画におきまして、基本方針として、「既存事業の変革」「新規事業の創出・育成」「真のグローバル企業への変革」の3つを掲げております。
「既存事業の変革」としては、IoT(モノのインターネット)社会の中で求められる精密加工技術を追求しつつソフトウェア技術を融合した事業体への変革を目指すとともに、付加価値を最大化する生産体制を追求してまいります。
事業別では、特機事業では、高付加価値製品の開発を図るほか、英国のEU離脱を見据え英国販売子会社のドイツ支店を新設したのに続き、欧州販売拠点の再編をさらに進めてまいります。また、物流拠点およびサプライチェーンの再構築によるコストダウンを図ってまいります。工作機械事業では、主軸固定型自動旋盤を市場投入するとともにIoTを生かしたソフトサービスの開発を進めるほか、モジュラー設計・生産によるリードタイムの短縮と在庫削減を実現してまいります。また、成長市場である中国において、生産およびサービス体制の拡充を図ってまいります。精密部品事業では、国内外のネットワークを生かした新規顧客および市場の開拓を図るとともに、海外生産拠点の再編等による収益性向上に取り組んでまいります。また、生産の合理化・無人化を推進するとともにIoTの活用により生産設備の稼働率向上を図ってまいります。
「新規事業の創出・育成」としては、引き続きM&Aや事業提携などを積極的に検討し、第4の事業の創出を目指してまいります。また、グローバルに活躍できる人材を育成、登用するほか、さらなる販売チャネルの強化により「真のグローバル企業への変革」を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①景気変動
当社グループは、各事業を世界各地で展開しておりますが、その需要は販売先の景気動向の影響を受けます。特に主力の工作機械事業は、企業の設備投資需要に大きく影響を受けやすい業界であります。各事業とも、景気サイクルの影響を受けにくい体質になるべく、顧客の開拓や製品開発などに努めておりますが、景気変動により業績が変動する可能性があります。
②生産拠点
当社グループは、海外生産比率が高く、生産委託先を含む海外の生産拠点は主に中国およびタイにあります。また、そこでの生産品目も当社グループが扱う全ての事業にわたっており、何らかのトラブルの発生や規制などがされた場合、生産活動および製品の供給に大きな影響を与える可能性があります。
③価格競争
当社グループは、企業向けの設備から消費者向け製品用の構成部品まで幅広く取り扱っておりますが、多くの製品で競合メーカーの台頭などにより厳しい価格競争を迫られております。そのため、常に他社を上回る高付加価値の製品および技術開発、また市場開拓やコストダウン活動などを進めておりますが、急激な価格競争になれば収益性やシェアの低下などの可能性があります。
④為替
当社グループは、グローバルに事業を展開し、生産および販売の多くを海外に依存しております。そのため、海外生産の拡大や為替予約などにより為替リスクの低減に努めておりますが、為替の動きにより業績が変動する可能性があります。
⑤地震等による自然災害
当社は、生産拠点の多くは海外にありますが、当社が本社および国内工場を構える静岡県は、東海地震の発生が予想されている地域であり、東海地震を含め大規模地震が発生した場合、本社機能および生産活動のみならず、復旧にかかる費用などで業績および財務状況に大きな影響が出る可能性があります。
また、世界各地に展開する当社グループの販売拠点、生産拠点およびそれら周辺地域において、大規模な自然災害が発生した場合には、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑥その他
当社グループは、主に日本、中国およびタイで生産し全世界で販売しておりますが、各国での貿易摩擦の発生や内国産業保護などによる関税をはじめとする輸出入の規制、環境問題、その他様々な公的規制、また品質問題、特許紛争などが起こった場合、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。
特記すべき事項はありません。
当社グループの研究開発体制は、現行の事業品目に直結した製品開発・技術開発を担当する各事業の開発部門と全社の技術支援を総合的に行う研究開発部門から構成されております。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであり、研究開発費の総額は19億9千4百万円であります。
(R&Dセンター)
R&Dセンターは、新規事業分野の事業化に向けて環境発電を応用したビジネスモデルの構築を目指してまいりましたが、早期の事業化が難しいとの判断から、当期をもって活動を終了し組織を廃止いたしました。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は3億5千5百万円であります。
(特機事業)
当期は、モバイルPOS市場に向けてUSB通信機能を搭載した3インチサーマルプリンターの新製品「TSP100IIIU」および可搬性に優れた3インチモバイルプリンター「SM-L300」などを開発したほか、各種ソフトウェアの改良を行いました。
「TSP100IIIU」は、250mm/sの高速印字が可能であり、印刷したレシート用紙の丸まり防止用のデカール機能を搭載したTSP100IIIシリーズの最新モデルです。本製品における最大の特長は、iPhoneやiPad等のiOS端末をLightningケーブルを使用してプリンターのUSB TypeAポートに接続することで、印刷データ通信と同時に最大2.4Aの充電を可能としたことです。また、接続デバイスがWindows/Android端末の場合は、USB TypeBポートへ接続することで安定したUSB通信による印刷が可能です。
「SM-L300」は、既存モデルの2インチモバイルプリンター「SM-L200」で実現した省電力・低電圧・BLE※通信(iOS端末用)・USB5V充電機能を継承しつつ、モバイルプリンター初となるデカール機能を搭載しました。さらに、2mm間隔で用紙幅が調整できる機構を搭載したことでさまざまなサーマル用紙が使用できるとともに、ラベル紙や台紙のないステッキーラベル紙にも印刷することを可能としました。
ソフトウェア開発の面では、「TSP650II」シリーズにおいてAirPrintに対応しました。Apple社の提供するAirPrintは、プリンターが本機能に対応していれば、プリンタードライバーをホスト側にセットアップする必要はなく、ネットワーク経由でアプリケーションからの印刷が可能となる仕組みです。コンシューマー向けプリンター等では多くの機種がAirPrint対応となっていますが、POS向けプリンターでは業界初となります。
また、地域活性化実証実験への対応として、商店街の店舗向けにiOS/Androidのモバイルアプリケーションを作成しました。本アプリケーションは、電子レシート受取り・クーポン発券・顧客満足度調査等の機能を有しており、消費者及び店舗の双方における利便性を向上させ、両者間のコミュニケーションツールとして活用できるものです。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は7億5千2百万円であります。
※BLE(Bluetooth Low Energyの略):近距離無線通信技術であるBluetoothの拡張仕様のひとつ。低消費電力の通信モード
(工作機械事業)
当期は、販売開始以来、機械剛性および操作性の良さから市場にて高い評価を得ている「SR-20J」のリニューアル機「SR-20JⅡtypeA」および「SR-20JⅡtypeB」を開発したほか、IoTに対応したソフトウェアの開発を行いました。また、新規分野参入への対応として主軸固定型自動旋盤の開発を進めました。
「SR-20JⅡtypeA」および「SR-20JⅡtypeB」は、製品開発期間および製造リードタイムの短縮を図るため、モジュラー設計・生産方式を採用しています。また、約4,000台の販売実績を持つ「SR-20J」に対し、モータ出力および機械剛性の向上や、ガイドブッシュ仕様とノンガイドブッシュ仕様を切換え可能にするなど機能アップを実現しています。「typeB」においては背面加工刃物台にY軸を追加することで最大8本の工具を取付可能としており、ユーザーのニーズに合った機械仕様を選択可能にしています。
ソフトウェアの開発については、IoTへの取り組みとして開発した機械稼動監視ソフトを工作機械展示会MECT2017へ出展しました。本ソフトウェアは工場内にある複数台の当社製品をLANで繋ぎ、パソコン、タブレット端末、スマートフォンから機械の稼働状況と履歴の把握を可能とし、アラーム等のメール通知が可能です。現在、複数のユーザーにて試験運用、機能評価を行っており、そこから得られた情報をもとに改良を重ね、販売開始に向けた準備を進めています。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は8億8千5百万円であります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針に基づき見積りおよび判断を行っており、実際の結果は、見積りによる不確実性のために異なる可能性があります。
(2)経営成績の分析
①売上高
売上高は、118億3千5百万円増加の607億7千2百万円(前期比24.2%増)となりました。これは主に工作機械事業の売上が増加したことによるものであります。
セグメントの売上については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。
②売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、76億8千5百万円増加の385億1千万円(前期比24.9%増)となりました。売上高に対する売上原価の割合は、前期に比べ0.4ポイント上昇し63.4%になりました。
販売費及び一般管理費は、15億4千6百万円増加の160億5千2百万円(前期比10.7%増)となりました。これは主に売上の増加に伴い販売直接費や労務費が増加したことによるものであります。
③営業利益
営業利益は、売上の増加に伴い26億3百万円増加の62億1千万円(前期比72.2%増)と大幅な増加となり、売上高営業利益率は前期に比べ2.8ポイント改善し10.2%になりました。
セグメント別では、特機事業は、売上の増加などにより、営業利益は2億8千1百万円増加の16億2千6百万円(前期比20.9%増)となり、売上高営業利益率は前期の12.1%から13.2%と1.1ポイント改善しました。
工作機械事業は、市況の回復に伴い全地域で販売数量が大幅に増加したことにより、販売直接費は増加したものの、営業利益は26億5千4百万円増加の70億2千7百万円(前期比60.7%増)となり、売上高営業利益率は前期の13.0%から15.8%と2.8ポイント改善しました。
精密部品事業は、主に非時計部品の売上が減少したことにより、営業利益は2千9百万円減少の2億5千5百万円(前期比10.5%減)となり、売上高営業利益率は前期の6.7%から6.2%と0.5ポイント低下しました。
④営業外損益
営業外損益は、8億2千8百万円改善し8億5百万円の収益となりました。これは主に為替差損益が大きく改善したことによるものであります。
⑤特別損益
特別損益は、9億3百万円減少の6億5千6百万円の損失となりました。これは当期に減損損失を6億4千1百万円計上したことによるものであります。
⑥法人税等
法人税等は、8千4百万円減少の4億8千7百万円となりました。これは法人税、住民税及び事業税が増加した一方、繰延税金資産の追加計上により法人税等調整額が減少したことによるものであります。
⑦親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、25億9千9百万円増加の57億8千万円(前期比81.7%増)となりました。また、1株当たり当期純利益は前期の81円77銭から73円91銭増加の155円68銭に、1株当たり純資産額は前期の1,151円40銭から111円75銭増加の1,263円15銭となりました。
(3)財政状態の分析
①資産
資産合計は、773億6千2百万円となり、前期末に比べ90億1千2百万円の増加となりました。これは売上債権や現金及び預金の増加に加え、新本社ビル建設に伴う建設仮勘定が増加したことなどによるものであります。
②負債
負債合計は、299億1千6百万円となり、前期末に比べ53億2千万円の増加となりました。これは仕入債務が増加したことなどによるものであります。
③純資産
純資産合計は、474億4千6百万円となり、前期末に比べ36億9千2百万円の増加となりました。これは自己株式の取得があったものの、利益剰余金が増加したことなどによるものであります。
(4)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりであります。