第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、2020年度を目標年度とする中期経営計画を推進しており、基本方針として、「既存事業の変革」「新規事業の創出・育成」「真のグローバル企業への変革」の3つを掲げております

「既存事業の変革」としては、IoT(モノのインターネット)社会の中で求められる精密加工技術を追求しつつソフトウェア技術を融合した事業体への変革を目指すとともに、付加価値を最大化する生産体制を追求してまいります

事業別では、特機事業では、これまで進めてきたモバイルPOS向け高付加価値製品のさらなる拡充を図るほか、引き続き欧州販売拠点の再編を進めてまいります。また、新システムの導入等によるサプライチェーンマネジメントの強化に取り組んでまいります工作機械事業では、主軸固定型自動旋盤の市場投入により製品ラインアップを拡充するとともに、稼働監視システムに続くIoTを生かしたソフトサービスのさらなる展開を図るほか、モジュラー設計・生産によるリードタイムの短縮と在庫削減に引き続き取り組んでまいります。さらに菊川工場に新設するソリューションセンターの活用や海外販売拠点の拡充により、ビフォア・アフターサービスの強化を図ってまいります精密部品事業では、基本的に非時計部品から撤退し、時計部品の製造・販売に集中するとともに、運営組織のスリム化による固定費削減により収益性の改善を進めてまいります

「新規事業の創出・育成」としては、外部との連携による新規事業およびM&Aの検討を進めるほか、新設した事業企画部門を中心に新たな事業の創出を目指してまいります。また、グローバルに活躍できる人材を育成するほか、さらなる販売チャネルの強化により「真のグローバル企業への変革」を図ってまいります

 

2【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

  なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

①景気変動

当社グループは、各事業を世界各地で展開しておりますが、その需要は販売先の景気動向の影響を受けます。特に主力の工作機械事業は、企業の設備投資需要に大きく影響を受けやすい業界であります。各事業とも、景気サイクルの影響を受けにくい体質になるべく、顧客の開拓や製品開発などに努めておりますが、景気変動により業績が変動する可能性があります。

②生産拠点

当社グループは、海外生産比率が高く、生産委託先を含む海外の生産拠点は主に中国およびタイにあります。また、そこでの生産品目も当社グループが扱う全ての事業にわたっており、何らかのトラブルの発生や規制などがされた場合、生産活動および製品の供給に大きな影響を与える可能性があります。

③価格競争

  当社グループは、企業向けの設備から消費者向け製品用の構成部品まで幅広く取り扱っておりますが、多くの製品で競合メーカーの台頭などにより厳しい価格競争を迫られております。そのため、常に他社を上回る高付加価値の製品および技術開発、また市場開拓やコストダウン活動などを進めておりますが、急激な価格競争になれば収益性やシェアの低下などの可能性があります。

④為替

当社グループは、グローバルに事業を展開し、生産および販売の多くを海外に依存しております。そのため、海外生産の拡大や為替予約などにより為替リスクの低減に努めておりますが、為替の動きにより業績が変動する可能性があります。

⑤地震等による自然災害

  当社グループは、生産拠点の多くは海外にありますが、当社が本社および国内工場を構える静岡県は、東海地震の発生が予想されている地域であり、東海地震を含め大規模地震が発生した場合、本社機能および生産活動のみならず、復旧にかかる費用などで業績および財務状況に大きな影響が出る可能性があります。

  また、世界各地に展開する当社グループの販売拠点、生産拠点およびそれら周辺地域において、大規模な自然災害が発生した場合には、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥その他

当社グループは、主に日本、中国およびタイで生産し全世界で販売しておりますが、各国での貿易摩擦の発生や内国産業保護などによる関税をはじめとする輸出入の規制、環境問題、その他様々な公的規制、また品質問題、特許紛争などが起こった場合、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

前連結会計年度は決算期変更の経過期間となることから、従来2月決算の連結対象会社は10カ月間(2018年3月1日~2018年12月31日)、12月決算の連結対象会社は12カ月間(2018年1月1日~2018年12月31日)を連結対象期間としております。このため、対前期増減を記載しておりません。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

経営成績の状況

当連結会計年度における経済情勢は、米国の景気は緩やかな拡大基調で推移しましたが、欧州の景気はドイツ、英国などの主要国を中心に弱含みで推移しました。アジアでは中国において景気は緩やかな減速が続き、その他の地域においても景気は総じて弱い動きとなりました。わが国においては、一部で弱さがみられたものの、景気は底堅く推移しました

当社グループの主要関連市場におきましては、当社関連の工作機械市場では、需要は国内、海外ともに前半は堅調に推移したものの、後半にかけて減少傾向となりました。特機事業に係るPOS関連市場においては、国内市場の需要は消費増税に関連する特需もあり好調に推移したものの、海外市場では欧州市場を中心に需要は伸び悩みました。精密部品関連市場では、時計部品および非時計部品ともに需要は低調な動きとなりました

このような状況のなか、当連結会計年度の売上高は、606億5千1百万円となりました。利益につきましては、営業利益は58億1千7百万円、経常利益は61億6千1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は精密部品事業関連の事業構造改革費用の計上もあり、40億5千3百万円となりました

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

(特機事業)

小型プリンターでは、米国市場は販売代理店の在庫調整等の影響により、欧州市場では市況の低迷が続き、販売は低調に推移しました。アジア市場では中国においてドットインパクト製品の需要が落ち込みましたが、その他の地域では販売は堅調な動きとなりました。国内市場では消費増税に関連する特需もあり、販売は好調に推移しました

以上の結果、当事業の売上高は125億4千2百万円、営業利益は16億1千4百万円となりました

(工作機械事業)

CNC自動旋盤では、米国市場は医療関連を中心に販売は堅調に推移しました。欧州市場は自動車関連を中心に市況が低迷し、販売は低調に推移しました。アジア市場では中国において医療関連や通信関連の販売が堅調に推移しましたが、その他の地域では販売は低調な動きとなりました。国内市場では主力の自動車関連で設備投資に慎重な動きがみられ、販売は低調に推移しました

以上の結果、当事業の売上高は449億2千万円、営業利益は63億3千2百万円となりました

(精密部品事業)

時計部品は腕時計メーカーの在庫調整等の影響により、非時計部品は中国における需要の落ち込みや海外生産拠点の再編等の影響により、ともに販売は低調に推移しました

以上の結果、当事業の売上高は31億8千8百万円、営業利益は1億8千4百万円となりました

なお、2020年3月末をもって基本的に非時計部品から撤退し、時計部品の製造・販売に集中することにより、当事業の収益性の改善を図ることを決定しました

 

②財政状態の状況

当期末の資産は、たな卸資産などが増加したものの、売上債権や現金及び預金が減少したことなどにより、前期末に比べ35億4千1百万円減少の763億9千3百万円となりました。負債は、仕入債務が減少したことなどにより、前期末に比べ50億1千9百万円減少の256億4百万円となりました。純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前期末に比べ14億7千7百万円増加の507億8千9百万円となりました。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

③キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物の残高は、営業活動では51億2千4百万円の収入の一方、投資活動では31億5千万円の支出、財務活動では30億1千4百万円の支出となり、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額を加え、前期末に比べ10億4千5百万円減少の198億7百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動では、仕入債務の減少やたな卸資産の増加などがあったものの、税金等調整前当期純利益や売上債権の減少などにより、51億2千4百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動では、有形固定資産の取得による支出などにより、31億5千万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動では、配当金の支払いや自己株式の取得による支出などにより、30億1千4百万円の支出となりました。

 

生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

特機事業

13,396,416

工作機械事業

48,492,732

精密部品事業

3,107,113

合計

64,996,262

(注)1  金額は消費税等抜販売価格で算定しております。

2  工作機械事業には、自社の固定資産となるものが79,148千円含まれております。

b.受注実績

  当社グループは見込生産を主体としているため受注実績の記載を省略しております。

c.販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

特機事業

12,542,241

工作機械事業

44,920,915

精密部品事業

3,188,635

合計

60,651,792

(注)1  上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2  主要な販売先については、総販売実績の100分の10を占める販売先がないため記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針に基づき見積りおよび判断を行っており、実際の結果は、見積りによる不確実性のために異なる可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等

当連結会計年度における売上高は、606億5千1百万円となりました。これは主に工作機械事業の売上が前半は堅調に推移したものの、後半にかけて減少傾向となったことによるものであります。また、営業利益は58億1千7百万円となり、売上高営業利益率は9.6%となりました。

セグメント別の売上高及び営業利益については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

営業外損益は、3億4千4百万円の利益となりました。これは主に受取利息を2億5百万円計上したことなどによるものであります。

特別損益は、8億2千8百万円の損失となりました。これは事業構造改革費用を6億8千9百万円計上したことなどによるものであります。

以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、40億5千3百万円となりました。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金や設備投資資金につきましては、自己資金による充当を基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行による調達を実施しております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は112億4千5百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は198億7百万円となっております。

 

④経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、2020年度を最終年度とする中期経営計画を推進しており、売上高600億円、営業利益70億円、DOE4.5%、ROE12%以上を目標としております。

3年目である当連結会計年度は、売上高606億円、営業利益58億円、DOE4.1%、ROE8.3%となりました。引き続き積極的に事業と経営の改革を続け、企業価値の向上に向けてグループ一丸となって努力してまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

  特記すべき事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、長年培った精密加工、組立ての技術を基礎とし、さらなる付加価値創造のため、現行の事業品目に直結した製品開発・技術開発とともに新規事業立ち上げに向けた活動を行っております。

当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであり、研究開発費の総額は1,679百万円であります

(技術センター)

技術センターは東京オフィスを拠点としIoT関連および人工知能(AI)を中心とした情報収集活動を行うとともに、事業部支援として社内のビッグデータの有効活用を図るため、関連企業と協業して技術支援システムの導入検討を推進してまいりました

当事業部門に係る研究開発費は97百万円であります

なお、技術センターは2019年末をもって解散し、事業部への技術支援活動ならびに新規事業の検討に関しましては、工作機械事業に新設された部門にて継続して推進してまいります

(特機事業)

当期は、小型プリンターのmC-Printシリーズにおいて「SteadyLAN™(ステディラン)」を開発しました。「SteadyLAN™」は、ローカルネットワーク、プリンター、iPadを全て有線接続した際に、無線通信不要でiPadからのインターネット利用を可能にするソフトウェアで、無線通信が不安定な環境においてもPOSアプリやモバイルオーダーアプリの安定稼働が実現します。当社プリンターのソフトウェアを新規開発することで実現しました。

また、iPadと自動つり銭機の連携を可能にするハードウェア「mC-Bridge™」を開発し、販売を開始しました。 既存の自動つり銭機は、有線のシリアルインターフェイスによる通信が主流で、シリアルインターフェイスを備えていないiPadでは使用できないという課題がありました。本製品はその課題を解決すべく、「mC-Bridge™」により通信手段をLANに変換することで、iPadにおいても自動つり銭機の導入を可能にしました。また、当社独自の接続開発キット(SDK)により、自動つり銭機の制御アプリ開発工数の削減と、自動的に通信ログをiPadに記録する機能により障害発生時の早期解決を実現します。

当事業部門に係わる研究開発費の金額は765百万円であります。

(工作機械事業)

当期は、ミドルレンジの普及機モデルであるSBシリーズの新製品として最大加工径φ16mmの「SB-16Ⅲ」を開発しました。本モデルは、主に国内およびアジア市場での自動車、情報通信機器等の部品加工をターゲットとして、現行モデルの「SB-12R/16R/20R」から必要な機能を絞り込み、機械本体の占有面積の縮小を図っています

さらに、ハイエンドクラス高機能・複合加工機の新製品として最大加工径φ38mmの「SX-38」を開発しました。本モデルは、既存の大径高機能モデルである「SV-38R」の後継モデルとして、医療、自動車、航空機関連を主要ターゲットとして、タレット型刃物台の仕様別に、クランプ機構により工具ユニットの着脱が容易なクイックチェンジ方式の「type A」、ワンポジション工具駆動方式を採用した「type B」の2タイプを用意しています。「type A」では既存の回転工具ユニットが使用可能です。「type B」ではワンポジション工具駆動により過度な振動や発熱を抑制することで、より安定した精度で連続運転することを可能にしています。タレット刃物台、背面加工専用刃物台、ノンガイドブッシュ仕様時のZ軸案内にすべり案内面を採用し、さらに機械の基台となる脚の肉厚を厚くするなど機械全体の剛性向上に配慮しています。また、各刃物台を斜めに傾けた構成で配置することで、機械前面から各部への距離を短縮し、オペレーターの操作性、作業性の向上を図っています

拡大を続ける中国市場に向けては、ベストセラー機である「SB-20R type G」にφ25mmの材料に対応する仕様を追加したほか、SB-20Jシリーズにノンガイドブッシュタイプの「type EN」を開発し、販売を開始しました。

また、2018年に各国展示会にて発表した主軸固定型旋盤「SK-51」については、来期に予定されている「type A」および「type D」の販売開始およびシリーズ機の開発に向け、各種評価試験を実施しています。

ソフトウェアの開発については、機械稼動監視ソフトSMOOSS-i(スムース-アイ)について、これまでに導入いただいた各ユーザーから得られた情報をもとに改良を重ねています

当事業部門に係わる研究開発費の金額は817百万円であります