当社グループでは、コロナ禍によりDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速し働き方が大きく変わるなど事業環境が激変するなか、この変化をチャンスと捉え、変革を進めてまいります。事業からの撤退や拠点の整理が相次いだリーマンショック以降のリストラの10年から、アフターコロナを見据えた新しい成長の10年に向かって、既存事業の深耕とともに新規事業の創出が急務です。外部との連携やM&Aの検討を含め、新規事業創出への取り組みを加速してまいります。
既存事業においては、特機事業では、コロナ禍のなか台頭したフードデリバリー等の新しい市場での販売強化に取り組みます。また、高付加価値製品の投入により収益性の向上を図ってまいります。生産面では、生産拠点の再編によるコストダウンと安定供給体制の確立を図ってまいります。
工作機械事業では、受注回復基調のなか生産体制を強化すると同時に集約効果による収益性の向上を図ってまいります。販売面では、脱炭素社会の実現に向け激変する自動車業界を中心とする顧客ニーズの変化を機敏に捉え製品化に活かすべくグローバルマーケティングの強化に取り組みます。主力の欧米市場では、変化する顧客ニーズにマッチした販売チャネルの強化を図り、成長が見込まれるインドおよび東南アジア市場での営業体制を強化して市場開拓を進めてまいります。また、さらなるIoTサービスの拡充も図ってまいります。
当社グループ全社の課題として、デジタルツールの活用による業務効率化、経費削減を図り、真に人がやるべき業務を厳選し生産合理化、販管費削減、人員抑制等の効果につなげていくとともに、新しい教育システムの導入等によりグローバルに活躍できる人材の育成を図ってまいります。また、世界的な脱炭素社会への潮流や上場企業に求められるガバナンスの充実への要請も踏まえながら、ESGの視点での経営の見直しを行ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症のさらなる拡大が発生した場合、輸出入の制限等による調達および出荷の停滞または遅延が生じる可能性や、従業員等への感染により、生産拠点の操業や営業活動、本社機能が停止する可能性があります。当社グループは、従業員の安全を確保するため、国内外出張の制限やマスク着用、手指消毒の徹底等による衛生面の予防、在宅勤務や時差出勤等を実施しております。また、グループ全体の生産および販売、在庫、物流などを適宜状況把握することに努め、事業への影響の低減を図っております。しかしながら、同感染症の影響が長期化した場合、営業活動や生産活動、物流活動の停滞による販売機会のさらなる逸失により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②景気変動
当社グループは、各事業を世界各地で展開しておりますが、それらの需要は販売先の景気動向に左右されやすく、特に主力の工作機械事業は、企業の設備投資需要に影響を受けやすい業界であります。当社グループは、各事業ともに景気サイクルの影響を受けにくい体質にすべく、顧客の開拓や製品開発などに努めておりますが、景気動向が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③為替
当社グループは、各事業を世界各地で展開しており、生産および販売の海外比率が高いため、為替リスクを負っております。当社グループは、為替予約などにより為替リスクの低減に努めておりますが、為替相場が大きく変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④価格競争
当社グループは、取り扱う多くの製品で競合との厳しい価格競争を迫られております。当社グループは、常に他社を上回る高付加価値の製品および技術開発、また市場開拓やコストダウン活動などを進めておりますが、価格競争が激化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤特定の業界への依存
当社グループは、主力の工作機械事業において、自動車業界向け販売が高い比率を占めております。当社グループは、自動車のEV化により新たに見込まれる需要の取り込みや、医療、通信など自動車業界以外の業界のシェア拡大に努めておりますが、自動車業界における生産動向や需要が変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥生産拠点
当社グループは、海外生産比率が高く、生産委託先を含む海外の生産拠点は主に中国およびタイにあります。当社グループは、各事業ともに生産拠点を分散させておりますが、生産拠点における社会情勢の変化や災害等の不測の事象が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦特定の仕入先への依存
当社グループは、一部の部品の調達について、特定の仕入先に依存しております。当社グループは、これらの仕入先と長年にわたり良好な関係を維持し、安定的に供給を受ける体制を構築しておりますが、供給量の減少や品質問題等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧地震等による自然災害
当社グループは、生産拠点の多くは海外にありますが、当社が本社および国内工場を構える静岡県は、南海トラフ地震の発生が予想されている地域であります。当社グループは、BCPを策定し、本社ビルでは免震構造を採用するなどの対策を講じておりますが、南海トラフ地震を含め大規模地震が発生した場合、本社機能および生産活動のみならず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、世界各地に展開する当社グループの販売拠点、生産拠点およびそれらの周辺地域において、大規模な自然災害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨その他
当社グループは、その他のリスクとして、貿易摩擦や公的規制、特許紛争、環境問題、品質問題のほか、人材の確保および育成に関する問題、情報セキュリティ問題などを認識しております。当社グループは、それらのリスクに対し、適宜情報収集に努めておりますが、リスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響により経済活動が制限され、景気は大幅に悪化しました。アジアでは、中国においていち早く経済活動が再開され景気の回復が進みましたが、米国や欧州においては景気の持ち直しの動きがみられたものの全般に低調に推移しました。わが国においては、一部で回復の動きがみられたものの、景気は総じて弱い動きとなりました。
当社グループの主要関連市場におきましては、いずれも後半は回復傾向にあったものの、感染拡大の影響により需要は前半を中心に大きく落ち込みました。POS関連需要は、米国市場は比較的堅調に推移したものの、その他の市場では大幅に減少し、主力の工作機械の需要も、中国にて回復が進んだものの、その他の市場では大幅に減少しました。
このような状況のなか、当連結会計年度の売上高は、工作機械の販売が大幅に減少したことから456億7千万円(前期比24.7%減)となりました。利益につきましては、売上の減少などにより営業利益は21億7千2百万円(同62.6%減)、経常利益は27億7千2百万円(同55.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億3千1百万円(同57.3%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(特機事業)
小型プリンターでは、各市場において新型コロナウイルス感染症による影響を受けるなか、米国市場ではフードデリバリー向けが好調に推移したことなどにより売上は増加しました。一方、欧州市場では市況が低迷し、国内市場では前期の消費増税特需の反動も重なり、それぞれ売上は減少しました。
以上の結果、当事業の売上高は117億2千万円(前期比6.6%減)、営業利益は15億4千5百万円(同4.2%減)と減収減益となりました。
(工作機械事業)
CNC自動旋盤では、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受けるなか、米国市場では販売活動が制限されたこともあり、また、欧州市場および国内市場では低迷する自動車市場向けで後半にかけ回復の兆しがみえ始めたものの、売上は大幅に減少しました。アジア市場では、中国においては、いち早く需要が回復し売上は前期並みとなりました。
以上の結果、当事業の売上高は329億6千6百万円(前期比26.6%減)、営業利益は26億1千4百万円(同58.7%減)と大幅な減収減益となりました。
(精密部品事業)
時計部品は、腕時計メーカーでの新型コロナウイルス感染症の影響による販売不振を受け、売上は大幅に減少しました。なお、非時計部品は2020年3月末をもって基本的に撤退しました。
以上の結果、当事業の売上高は9億8千3百万円(前期比69.2%減)、営業利益は8千3百万円(同54.8%減)と大幅な減収減益となりました。
②財政状態の状況
当期末の資産は、現金及び預金などが増加したものの、たな卸資産や有形固定資産が減少したことなどにより、前期末に比べ47億7千1百万円減少の716億2千1百万円となりました。負債は、仕入債務や流動負債のその他が減少したことなどにより、前期末に比べ38億4百万円減少の217億9千9百万円となりました。純資産は、為替換算調整勘定の減少などにより、前期末に比べ9億6千7百万円減少の498億2千1百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期末の現金及び現金同等物の残高は、営業活動では68億4千2百万円の収入の一方、投資活動では12億5千2百万円の支出、財務活動では21億3千6百万円の支出となり、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額を加え、前期末に比べ32億2千2百万円増加の230億2千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、法人税等の支払いや仕入債務の減少などがあったものの、たな卸資産の減少や税金等調整前当期純利益などにより、68億4千2百万円の収入(前期は51億2千4百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、有形固定資産の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出などにより、12億5千2百万円の支出(前期は31億5千万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、配当金の支払いなどにより、21億3千6百万円の支出(前期は30億1千4百万円の支出)となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
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特機事業 |
9,625,269 |
△28.2 |
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工作機械事業 |
28,205,983 |
△41.8 |
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精密部品事業 |
996,369 |
△67.9 |
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合計 |
38,827,623 |
△40.3 |
(注)1 金額は消費税等抜販売価格で算定しております。
2 工作機械事業には、自社の固定資産となるものが63,295千円含まれております。
b.受注実績
当社グループは見込生産を主体としているため受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
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特機事業 |
11,720,585 |
△6.6 |
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工作機械事業 |
32,966,684 |
△26.6 |
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精密部品事業 |
983,242 |
△69.2 |
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合計 |
45,670,513 |
△24.7 |
(注)1 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2 主要な販売先については、総販売実績の100分の10を占める販売先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針に基づき見積りおよび判断を行っており、実際の結果は、見積りによる不確実性のために異なる可能性があります。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等
当連結会計年度における売上高は、149億8千1百万円減少の456億7千万円(前期比24.7%減)となりました。これは主に新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、工作機械事業の売上が大幅に減少したことによるものであります。また、営業利益は36億4千4百万円減少の21億7千2百万円(同62.6%減)となり、売上高営業利益率は前期に比べ4.8ポイント低下し4.8%となりました。
セグメント別の売上高及び営業利益については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
営業外損益は、2億5千5百万円増加の5億9千9百万円の利益となりました。これは主に為替差益を2億6千5百万円計上したことなどによるものであります。
特別損益は、9億4千4百万円改善し1億1千5百万円の利益となりました。これは前期に事業構造改革費用の計上があったことなどによるものであります。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、23億2千2百万円減少の17億3千1百万円(同57.3%減)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金や設備投資資金につきましては、自己資金による充当を基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行による調達を実施し、十分な手元流動性を確保しております。
また、経営資源配分の考え方につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は110億6千8百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は230億2千9百万円となっております。
④経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年度を最終年度とする中期経営計画を推進し、売上高600億円、営業利益70億円、DOE4.5%、ROE12%以上を目標としていたなか、売上高および営業利益につきましては2018年12月期に数値目標を達成しております。
中期経営計画の最終年度である当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症による需要減退等の影響により、売上高456億円、営業利益21億円、DOE4.1%、ROE3.5%となりました。引き続き積極的に事業と経営の改革を続け、企業価値の向上に向けてグループ一丸となって努力してまいります。
特記すべき事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、長年培った精密加工、組立ての技術を基礎とし、さらなる付加価値創造のため、現行の事業品目に直結した製品開発・技術開発とともに新規事業立ち上げに向けた活動を行っております。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであり、研究開発費の総額は
(特機事業)
当期は、サーマルレシートプリンター「TSP650Ⅱ」の派生モデルとして新たに「TSP650ⅡSK」を開発したほか、mC-Printシリーズにおいて業界初のUSB-C® Power Delivery対応ポートを搭載したモデルを開発しました。
「TSP650ⅡSK」は、新型コロナウイルス感染症の拡大により需要が高まっているフードデリバリー市場向けとして、ライナーレスラベル紙に対応した製品です。通常のラベル紙は台紙に張り付いたシール状のラベルに印刷をしますが、ライナーレスラベルには台紙がなく、ラベル自体がテープのようにロール状に巻かれているため、印刷後に台紙からラベルを剝がす手間がなくなります。また、台紙の廃棄もなく、環境に配慮した設計となっております。
また、当期に開発したUSB-C Power Delivery対応ポートを搭載したmC-Printシリーズは、USBケーブル接続により店舗などでの安定運営を支援するソリューション「SteadyLAN®(ステディラン)」の利用がAndroid™端末やWindowsタブレット端末を使用するユーザーでも可能となり、端末の高速充電とプリンターと端末間の通信を両立させるとともに、プリンターを介した端末の有線インターネット通信を可能としました。
このほか、mPOS市場の周辺機器として、自動釣銭機の連携を可能にした「mC-Bridge®」のAndroid用SDK(ソフトウェア開発キット)を開発しました。これによりiOS端末からだけでなくAndroid端末からでも自動釣銭機の制御が可能となり、モバイル端末を使用している店舗で容易に自動釣銭機の導入を図ることができるようになりました。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は
(工作機械事業)
当期は、主軸移動型自動旋盤のハイエンドモデル「SX-38」およびミドルレンジの普及機モデル「SB-16Ⅲ」の新製品を開発しました。
「SX-38」は最大加工径φ38mmで既存の高機能機である「SV-38R」の後継モデルとして、医療・自動車・航空機関連市場を主要なターゲットとして開発しました。B軸付き櫛刃形刃物台とタレット刃物台を対向に配置することで複合加工能力を増強するとともに、スラント構造を用いて機械前面から各部への距離を短縮し、オペレーターの操作性や作業性の向上を実現しました。さらに、制御システムにおいては、最適な軸移動によりアイドルタイムを大幅に削減するスターモーションシステムを標準搭載しました。タレット刃物台には、クランプ機構により工具ユニットの着脱が容易なクイックチェンジ方式の「type A」、ワンポジション工具駆動により発熱を抑制し工具ユニットの寿命を向上させた「type B」の2つのタイプを用意しました。
「SB-16Ⅲ」はベストセラーとなったSBシリーズから必要な機能を絞り込み、機械本体の専有面積を縮小したモデルです。主に国内およびアジア市場での自動車、情報通信機器等の市場をターゲットとしており、現行モデルの代替機としてもすでに多くの受注をいただいております。
このほか、ソフトウェアについては、2018年に販売を開始した機械稼動監視ソフトSMOOSS-i(スムース-アイ)において、これまでに導入いただいたユーザーからの要望をまとめ、オペレーターの利便性を高めるべく機能追加のバージョンアップを行いました。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は