当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
(1)経営成績の分析
当中間連結会計期間における世界経済は、主要国における景気支援策などにより、全般に景気は緩やかな回復傾向にありました。一方、米国の通商政策を巡る不確実性の高まりや、ウクライナおよび中東情勢を背景とした地政学リスクが長期化するなど依然として先行きが不透明な経済情勢が続きました。
当社グループの主要関連市場におきましては、主力の工作機械の需要については、国内市場は低調に推移した一方、海外市場においては主に中国において回復基調となり、米国や欧州においても一部で動きがみられました。また、小型プリンターの需要は主力の米国市場において回復が進みました。
このような状況のなか、当中間連結会計期間の売上高は、全体に為替の円高による影響を受けるなか、工作機械および特機ともに売上が増加したことから336億1百万円(前年同期比8.4%増)となりました。利益につきましては、売上の増加などにより営業利益は26億6千2百万円(同71.9%増)、経常利益は27億5百万円(同34.7%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は19億6千8百万円(同236.6%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当中間連結会計期間より、報告セグメントの記載順序を変更しております。
(工作機械事業)
CNC自動旋盤では、中国および米国市場を中心に売上は増加しました。地域別の売上につきましては、米国市場では昨年11月の大統領選挙以降に受注および販売に一時的に改善が見られ売上は増加しました。アジア市場では主に中国において政府の内需拡大策や新しい部品加工ニーズの高まりなどもあり売上は増加しました。また、国内市場では市況が依然として全般に低調ながらも売上は増加しました。一方、欧州市場ではドイツを中心とした主要国での販売が低調に推移したことなどから売上は減少しました。
以上の結果、当事業の売上高は258億7千万円(前年同期比3.2%増)と増加し、営業利益は31億3千9百万円(同25.4%増)と大幅な増益となりました。
(特機事業)
小型プリンターでは、米国市場を中心に売上は増加しました。地域別の売上につきましては、米国市場は前期の後半より流通在庫が適正水準に戻ったことに加えてmPOS需要が堅調に推移したことから売上は大幅に増加しました。一方、欧州市場では大口案件の獲得が低調となり、また、国内市場では市況が全般に低調に推移したことなどから売上は減少しました。
以上の結果、当事業の売上高は77億3千1百万円(前年同期比30.4%増)、営業利益は7億9千4百万円(前年同期は1千4百万円の損失)と大幅な増収増益となりました。
(2)財政状態の分析
当中間連結会計期間末の資産は、現金及び預金や有形固定資産が増加したことなどにより、前期末に比べ218億1千7百万円増加の1,146億2百万円となりました。負債は、仕入債務が増加したものの、短期借入金が減少したことなどにより、前期末に比べ14億5千4百万円減少の168億9千9百万円となりました。純資産は、第三者割当増資による資本金や資本剰余金の増加などにより、前期末に比べ232億7千2百万円増加の977億3百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、営業活動では7億5千4百万円の収入、投資活動では193億4千7百万円の支出、財務活動では214億4百万円の収入となり、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額を加え、前期末に比べ18億3千5百万円増加の254億5千5百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、売上債権や棚卸資産の増加などがあったものの、税金等調整前中間純利益や仕入債務の増加などにより、7億5千4百万円の収入(前年同期は45億4千4百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、定期預金の預入や有形固定資産の取得による支出などにより、193億4千7百万円の支出(前年同期は8億7百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、短期借入金の純減などがあったものの、第三者割当増資に伴う株式の発行による収入などにより、214億4百万円の収入(前年同期は62億4千9百万円の支出)となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は12億2千9百万円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(資本業務提携契約)
当社は、2025年4月7日開催の取締役会において、Taiyo Pacific Partners L.P.(以下、「TPP」という。)および、TPPが運営するTaiyo Unleash Acrux Holdings, LP(以下、「引受人」といい、引受人、TPPを総称して以下、「TPPグループ」という。)と、下記のとおり、当社の企業価値向上のための諸施策に係る合意を含む資本提携契約を締結することを決議し、同日付で締結いたしました。
(1) 契約の概要
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契約締結日 |
契約締結先 |
相手先の住所 |
内容 |
業務提携の内容 |
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2025年4月7日 |
Taiyo Unleash Acrux Holdings, LP (引受人)
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Harneys Fiduciary (Cayman) Limited, 4th Floor, Harbour Place, 103 South Church Street, PO Box 10240, Grand Cayman KY1-1002, Cayman Islands |
資本業務提携
引受人による 当社普通株式の引受16,108,300株 |
①当社の中長期の事業戦略オプションの客観的・実質的な検討 ②当社の事業投資戦略の強化 ③当社の資本配分政策の高度化 |
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Taiyo Pacific Partners L.P. |
5300 Carillon Point, Kirkland, WA 98033, USA |
(注)1 2025年5月27日付で引受人による当社の第三者割当増資16,108,300株の払込が完了しております。
2 本提携契約には、本第三者割当増資に係る払込金額全額の払込がなされることを条件として、当社の取締役候補者1名を指名する権利をTPPグループが有する旨の合意ならびに当社の株主総会または取締役会において当社がTPPグループ以外の第三者に対して、株式、新株予約権、新株予約権付社債、転換社債、新株引受権その他株式を新たに取得できる証券または権利を発行または処分しようとする場合(発行済新株予約権の行使による株式の発行および2025年3月27日開催の定時株主総会で承認された取締役の株式報酬制度に基づく株式の発行を除く。)、その他TPPグループの議決権割合に影響する行為をしようとする場合(組織再編によるものを含む。)、その内容および条件をTPPグループに事前に通知し、TPPグループの事前の書面による承諾を要する旨の合意が含まれております。
(2) 合意の目的
TPPグループから投資戦略の強化および資本配分政策の高度化等の支援を受け、更なる企業価値の向上を果たすことを目的としております。(注)2に記載の各合意も、本提携の実効性を促進することを目的としています。
(3) 取締役会における検討状況その他の当該提出会社における当該合意に係る意思決定に至る過程
当社グループは、2022年2月9日に公表した中期経営計画において、当社グループの「2030年の目指す姿」に向けたロードマップを示しており、その実現に向け、第1次中期経営計画として2022年12月期から2024年12月期の3年間を「変革の土台作り」の期間と位置づけ諸施策を推進してきたところ、当社グループの次なる成長に向け、同ロードマップに基づき、2025年12月期から2027年12月期を「変革の推進」と位置づけた第2次中期経営計画(以下、「第2次中期経営計画」という。)を策定し、これを2025年2月12日に公表いたしましたが、TPPは、①エンゲージメント投資ファンドの先駆けであり、多数の投資プロフェッショナルを抱えており、20年超にわたり多数の日本企業の企業価値向上を支援してきた実績のある投資家として、当社グループの事業投資戦略の強化および資本政策最適化を通じた企業価値向上に貢献いただけること、②国際的なネットワークを有し、異なる業態を含めた多様な企業とのパートナーシップの強化による継続的な成長と事業の拡大をご支援いただけること、③当社グループとも20年超の関係があり、これまでも100回を超える面談を実施し、企業価値向上に向けた建設的な対話を継続してきた信頼関係があることから、当社は、第2次中期経営計画の検討段階から、TPPよりこれらの支援を受けるべく、TPPのエンゲージメントを積極的に受け入れTPPとの間で企業価値向上に向けた施策に係る協議を行ってまいりました。
当社としては、上記①から③までのとおり、投資戦略の強化および資本配分政策の高度化ならびに他企業とのパートナーシップ強化の支援を受けることができること、また、長年来の関係により構築された信頼関係があり、かつ、当社グループの経営理念・経営方針および第2次中期経営計画の意義についても深く理解いただいていることから、企業価値向上に向けた建設的な対話の継続および当社との第2次中期経営計画の検討過程を通じて、TPPが当社の企業価値向上に向けた施策実行のために、最適なパートナーであると考えるに至り、TPPに対し、2025年2月下旬頃、当社との第2次中期経営計画の重点施策を取り組むための事業投資資金の調達として、本第三者割当増資に係る初期的打診を行いました。
これに対し、TPPは、(i)当社グループの経営理念・経営方針には常に深い理解を有しており、今般公表した第2次中期経営計画についても賛同していること、(ⅱ)第2次中期経営計画に従って「変革の推進」のための各施策を、時機を逸さずに実施していく必要があり、そのための必要な資金の調達手法として第三者割当増資が最適であると考えていること、(ⅲ)当社の筆頭株主となることでこれまで以上に緊密な関係を構築し、当社株式の長期保有を前提に事業投資戦略の強化や資本配分政策の高度化等のサポートを行い、積極的な施策を共同して行っていくことで当社の一層の企業価値の向上を図ることができると考えていること、(ⅳ)それらにより希薄化に伴う既存株主の方々の経済的な不利益が生じることを抑制することができると考えていることなどを踏まえ、当社に対し、本第三者割当増資引受けのご意向を表明してくださいました。
当社取締役会は、TPPグループおよび当社から独立した当社のファイナンシャル・アドバイザーから本提携に係る交渉等に関する専門的助言および補助ならびに本提携に係る情報共有等を受けるとともに、当社およびTPPグループから独立した当社のリーガル・アドバイザーより、本提携の諸手続ならびに本提携に係る当社の意思決定の方法およびその過程等に関する助言を含む法的助言を受けながら、本提携契約のタームシートおよび契約書案を検討し、TPPグループと交渉した結果を踏まえ、2025年4月7日開催の取締役会において所用により欠席した社外取締役1名を除いた、社外取締役3名を含む、出席取締役全員一致で本提携契約の締結を承認可決しました。
(4) 合意が当社の企業統治に及ぼす影響
当社は、当該合意が当社の企業統治に及ぼす影響は軽微であると考えております。その理由は、前記(3)記載の①から③までのとおり、投資戦略の強化および資本配分政策の高度化ならびに他企業とのパートナーシップ強化の支援を受けることができること、長年来の関係および企業価値向上に向けた建設的な対話の継続により構築された信頼関係があること、当社グループの経営理念・経営方針および第2次中期経営計画の意義についても深く理解いただいていることから、TPPが当社の企業価値向上に向けた施策実行のために最適なパートナーであると考えており、両社の信頼関係をより強固なものとし、当社の企業価値向上を円滑かつ確実に進めるために本提携契約を締結し、本提携の実効性を促進することを目的しているためです。また、役員候補者の指名に関しては、当社の指名・報酬委員会の答申を経て適正であるとした場合に株主総会に上程する手続きとなるよう本契約にも規定しております。むしろ、本提携により、業務提携を推進することおよび引受人が当社の筆頭株主である主要株主となることを同時に実現することで、その相乗効果として当社の企業価値向上とそれによる当社株主共同の利益の拡大を加速することができると認識しております。