第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、1939年の創業以来、「社会的使命に徹し、ME機器の開発を通じて、医学の進歩に寄与する」を経営理念として、心電計をはじめ呼吸器・循環器系を中心に総合的な医療機器の製造・販売を通して人々の健康に大きく貢献してまいりました。

 また、大きく変動する社会情勢に合わせ、医療機器も従来の病気の診断・治療ばかりでなく、健康維持・向上やQOL(Quality of Life)充実への役割が大きくなってきております。

 このような環境の下、当社グループは「安全・安心・快適」をコーポレートスローガンとして掲げ、提供する商品の品質の向上、他社との差別化を図った製品開発、変化する医療ニーズに即した商品戦略に努め「お客様に信頼される企業」を目指してまいります。

 

 (2)経営戦略や指標

 診療報酬、薬価、特定保険医療材料の公定償還価格改定など、引き続き不透明な市場環境が予測されますが、お客様に安心してご使用いただくための品質管理・安全管理体制の充実と、同業他社には無い差別化した製品の開発、販売体制整備のための投資、国内外の競合メーカーとの価格競争力を高めるためのコスト削減に引き続き取り組んでまいります。

 また、資本効率を高めるべく創出したキャッシュ・フローを継続的に成長投資に回していくことで企業価値向上に努め、株主の皆様へ安定的な成果配分を継続していく所存でございます。

 中期経営計画方針としては、少子高齢化の進展に伴い変化する医療環境に適応すべく事業戦略を策定し、効率的な組織運営を実現することで強固な経営基盤を構築していくことを掲げております。

 成長性が見込まれる分野への戦略的投資や効果的な研究開発の取り組みにより、医療機関への総合提案の実現、在宅医療分野における地域密着体制の強化を図り、事業リスクの的確な把握、ガバナンス・コンプライアンス体制の強化や人材育成による組織の活性化を通じて、グループ経営管理体制の充実を目指し、事業の持続可能性を確保してまいります。

 地域医療を支えるという使命感のもと、「予防、検査、治療、経過観察、リハビリ、在宅、介護」というワンストップサービスによる一貫した医療環境を提供することで、お客様に価値を提供するとともに持続的成長を実現してまいります。

 当社グループは、経営環境の変化に左右されない持続的成長を目指す中で、2028年3月期に連結売上高1,470億円、連結営業利益280億円を目標としております。部材、資源価格等の高騰や急激な為替変動など先行きが不透明な状況ではございますが、グループ一丸となってさらなる収益性の向上に取り組んでまいります。

 

 (3)優先的に対処すべき中長期的課題

 高齢化の進展による医療需要の増加と医療費抑制への動きが進む一方、医師を含む医療従事者不足が深刻な問題となるなど、日本を取り巻く医療環境は変化の時を迎えています。

 デジタル化による効率化で良質な医療提供や医療費の適正化を図り、持続可能な社会保障を構築するために「全国医療情報プラットフォーム」の創設、電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普及)、「診療報酬改定DX」の取り組みが進んでおります。2040年のあるべき医療提供体制の構築という視点では、入院・在宅・介護とのさらなる提供体制も目指すべき方向性として、新たな地域医療構想に含められております。

 当社は、医療従事者の方々の業務負荷軽減や業務効率化等に貢献できるよう、医療ICT等を通じた取り組みや製品、サービスを提供していくことで、引き続き地域医療を支えてまいります。そして経営理念、経営基本方針の下、お客様第一主義を基軸に、新たな価値を生み出すと共にグループの協業強化により経営環境の変化に迅速に対応し、さらなる成長を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、日々変化する経営環境を的確に把握し対応するとともに、継続的な企業価値の向上、健全で透明性の高い効率的な経営を実現する上で、コーポレート・ガバナンス(企業統治)は経営上最も重要な課題のひとつと位置付けております。

 経営の意思決定や監督と業務執行の分離化を図ることで、迅速かつ効率的な経営を実現し、戦略性と機動性に富んだ経営活動を行うことを基本方針としております。

 「社会的使命に徹し、ME機器の開発を通じて、医学の進歩に寄与する。」を理念に掲げ、"CSR(企業の社会的責任)"への取り組み、各ステークホルダーとの信頼関係を構築し、企業価値の向上に努めていきたいと考えております。

 当社では、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立していくために、サステナビリティに関する課題への取り組みを継続的かつ組織的に推進・協議することを目的としたサステナビリティ委員会を2024年度に設置しました。

 サステナビリティ委員会は取締役会の諮問機関として設置されておりますが、継続して以下の対応を行い、取締役会に対して答申を行います。

・サステナビリティに関する方針、マテリアリティ(重要課題)、指標及び目標の審議

・指標及び目標に対する進捗管理

・リスク及び機会の審議

 

(2)戦略

 当社グループは創業以来、変化する医療環境においても、社員一人ひとりが共通の価値観を持ち社会からの期待に応えるべく、「お客様第一主義」の行動指針を踏まえて考動し、課題解決に貢献できる価値ある医療機器やサービスなどを提供することで、持続可能な社会の実現と、企業としての持続的成長の両立を目指してまいりました。こうしたことを実践できる人材を確保し、育成していくための社内制度と社内環境整備を進めています。

 

人材の多様性の確保

 国籍・性別・経歴・障がいの有無などに関わらず多様な価値観を尊重し、人材の多様性の確保に努めるとともに、健康でモチベーション高く働くことを目指し、仕事と生活の両立を支援する制度の整備や、自己実現とキャリア形成の支援づくりに取り組みます。

 

人材育成

 医療機器に関する専門知識や、臨床的知識、ビジネススキルの向上を目的とし、年次別研修や昇格時研修などの必修研修をはじめ、自律的な学習を支援するための募集型研修を実施しています。中でも従業員が主体的に学ぶ姿勢を重視し、自社構築のeラーニングサイトを活用した能動的な学びの場をグループ全体に提供しています。

 

働き方への取組み

 テレワーク、時差勤務、時短勤務などの制度活用を推進することにより、仕事と育児・介護の両立を始めとするワークライフバランスの向上を支援しております。加えて、経営理念の浸透、職場環境の改善、業務効率化への取り組みにより、社員の働きがいと会社の成長の両立を目指しております。

 これらの取り組みが、女性活躍推進、並びに仕事と子育ての両立に資するものであると厚生労働省から認められ、当社は2023年に、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」、並びに次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定」を受けております。

 

 なお、地球環境の保全や気象変動対応への取り組みなどについては、上記「(1)ガバナンス」に記載のとおり、サステナビリティ委員会にて審議を行っております。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、グループ全体のリスク管理方針及び管理体制について、「内部統制制度に関する基本方針書」を定め、その方針や体制に基づきコンプライアンス・リスク管理委員会を定期的に開催し、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、未然防止に努めております。

 一方、サステナビリティに係るリスク管理については、「(1)ガバナンス」に記載のとおり、サステナビリティ委員会がコンプライアンス・リスク管理委員会と連携し、取締役会に報告・提言を行う予定です。

 

 

(4)指標及び目標

 特に重視している指標とその目標値及び実績値は以下のとおりです。

指標

目標

実績(前連結会計年度)

実績(当連結会計年度)

女性管理職比率

10以上

6.7%(連結会社3.7%)

6.1%(連結会社3.2%)

e-ラーニングを含めた研修の受講率

100

96.0%(連結会社87.7%)

95.5%(連結会社90.3%)

男性育休取得率

50以上

52.9%(連結会社29.6%)

75.0%(連結会社37.2%)

「働きがい」を感じる社員の比率

80以上

75.0%

77.0

 

※女性管理職:課長職以上の役職者である女性従業員

※「働きがい」を感じる社員の比率:毎年当社内で実施している無記名アンケートによる

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等、事業の持続可能性に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 医療行政による影響

 国内では、医療の質の向上や医療費抑制政策が進められており、2年に1度診療報酬や薬価、特定保険医療材料の公定償還価格の改定が行われております。医療行政の方針変更が行なわれた際には、企業間競争の激化や販売価格の減少に繋がる可能性があり、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法的規制等について

 医療機器の製造・販売は医薬品医療機器等法の規制を受けており、審査承認までに一定期間を要する場合があります。また、医療機器によっては治験等を行う必要があり、商品化までには長期間を要する場合があります。

 今後、規制の改定、新たな規制の設立等、予測できない変更が生じた場合には、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定の取引先等で取引の継続性が不安定であるものへの高い依存度について

 当社グループは、人工呼吸器、ペースメーカ、除細動器などを輸入・販売しております。

 今後、取引における継続性の安定に支障が生じた際には、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性がありますが、特定企業への依存度が高くなり過ぎないように十分配慮しております。

(4) 余剰在庫の発生要因について

 商品及び製品を安定的に供給する社会的使命に応えるため、将来の需要予測に基づき在庫を確保する必要があります。しかし、将来の需要予測に対して販売実績等が下回った場合には、営業循環過程から外れた余剰在庫が発生する可能性があります。

(5) 品質問題について

 当社グループは、国際規格ISOの基準等に基づいて、厳格な品質管理体制の下、製品の製造をしております。しかし、予期せぬ製品の欠陥・瑕疵等により品質に問題が生じた場合には、製品販売停止・リコールが発生する可能性があり、そのような場合、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 海外事業に伴うリスク

 当社グループは、海外代理店向けに製品を供給しているほか、海外に販売拠点や開発、生産拠点を持っております。

 今後、海外各国における予期せぬ法規制の制定や変更、テロ、自然災害等が生じた際は、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 為替等の変動について

 当社グループは、海外に子会社を有しており、一部においては外国企業より原材料、商品などを調達・輸入しているため、急激な為替の変動が生じた場合には、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 減損会計について

 当社グループが保有する資産につきまして、減損損失の必要性が生じた場合には、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 激甚災害による当社グループへの影響

 当社グループは国内、海外に拠点を有しており、気候変動が進展すること等による激甚災害の被災や電力逼迫により事業活動へ支障が生じますと当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 新興感染症にかかる事業継続等の影響について

 新興感染症等の拡大により、安定的に製商品等を供給できなくなること、また、経済への影響が長期化し、取引先や協力会社などの事業活動に影響が生じた場合には、当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは事業継続性確保の観点から、厚生労働省等による基準をベースに、グループ従業員やその家庭における状況に応じた対応策をすみやかに実施できる体制を整備しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調にあるものの、先行きについては国際情勢等を受けた資源価格の上昇や、世界的な貿易摩擦による影響が危惧される等、不透明な状況が続いています。

 医療機器業界においては、新興感染症等に備えた体制の構築を継続しつつ、地域医療構想による医療機関の機能分化と連携を通した効率的な医療提供体制の構築を支える製品・サービスの提供が求められています。

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 a.財政状態

 

2024年3月期

2025年3月期

前年比

金額

金額

増減額

総資産額(百万円)

209,064

221,321

12,257

負債額(百万円)

40,056

39,669

△386

純資産額(百万円)

169,008

181,652

12,643

 

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ122億57百万円増加し、2,213億21百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ3億86百万円減少し、396億69百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ126億43百万円増加し、1,816億52百万円となりました。

 

 b.経営成績

 

2024年3月期

2025年3月期

前期比

金額

金額

増減額

増減率(%)

売上高(百万円)

140,323

139,007

△1,316

△0.9

営業利益(百万円)

26,506

25,874

△631

△2.4

経常利益(百万円)

26,990

26,633

△357

△1.3

親会社株主に帰属する

当期純利益(百万円)

18,693

18,605

△87

△0.5

 

 当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は1,390億7百万円(前年同期比0.9%減)となりました。利益につきましては、連結営業利益は258億74百万円(前年同期比2.4%減)、連結経常利益は266億33百万円(前年同期比1.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は186億5百万円(前年同期比0.5%減)となりました。

 

 

セグメントの名称

2024年3月期

2025年3月期

前期比

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

増減額(百万円)

増減率(%)

生体検査装置部門

30,664

21.9

28,549

20.5

△2,115

△6.9

生体情報モニター部門

9,722

6.9

9,782

7.0

60

0.6

治療装置部門

59,706

42.5

61,951

44.6

2,244

3.8

消耗品等部門

40,229

28.7

38,724

27.9

△1,505

△3.7

合計

140,323

100.0

139,007

100.0

△1,316

△0.9

 当連結会計年度のセグメント別売上高は、次のとおりであります。

 生体検査装置部門では、連結売上高は285億49百万円となりました。

 生体情報モニター部門では、連結売上高は97億82百万円となりました。

 治療装置部門では、連結売上高は619億51百万円となりました。

 消耗品等部門では、連結売上高は387億24百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 

2024年3月期

2025年3月期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

23,914

33,019

9,105

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△14,779

△17,053

△2,273

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△17,066

△5,810

11,255

換算差額(百万円)

190

△5

△196

現金及び現金同等物の増減額(百万円)

△7,741

10,150

17,891

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

57,198

67,348

10,150

 

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、次のとおりであります。

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

 当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは前期比91億5百万円増のプラス330億19百万円となりました。

 主な内訳は、税金等調整前当期純利益271億27百万円、減価償却費105億49百万円等です。

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

 当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは前期比22億73百万円減のマイナス170億53百万円となりました。

 主な内訳は、有形固定資産の取得による支出124億96百万円等です。

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

 当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは前期比112億55百万円増のマイナス58億10百万円となりました。

 主な内訳は、配当金の支払額55億19百万円等です。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高と比較して101億50百万円増加し673億48百万円となりました。

 

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率(%)

72.0

76.7

78.8

80.8

82.1

時価ベースの自己資本比率(%)

66.2

60.4

62.4

95.5

83.2

債務償還年数(年)

0.1

0.1

0.1

0.1

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

554.5

621.2

619.9

692.2

657.2

 (注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

  時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

  債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

  インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算定しております。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算定しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

生体検査装置部門

6,050

92.2

生体情報モニター部門

5,899

85.4

治療装置部門

4,294

129.0

消耗品等部門

10,179

103.5

合計

26,423

99.2

 (注)金額は販売価格によっております。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

生体検査装置部門

13,621

88.3

生体情報モニター部門

2,791

100.9

治療装置部門

32,306

99.6

消耗品等部門

8,369

74.0

合計

57,089

92.2

 

c.受注実績

 該当事項はありません。

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

生体検査装置部門

28,549

93.1

生体情報モニター部門

9,782

100.6

治療装置部門

61,951

103.8

消耗品等部門

38,724

96.3

合計

139,007

99.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績等

 1)財政状態

 当連結会計年度末の財政状態は、総資産が前連結会計年度末と比べて122億57百万円増加し、2,213億21百万円となりました。

 これは、現金及び預金が121億52百万円増加したことなどが主な要因であります。

 負債は、前連結会計年度末と比べて3億86百万円減少し、396億69百万円となりました。

 これは、退職給付に係る負債が10億51百万円減少したことなどが主な要因であります。

 純資産は、前連結会計年度末と比べて126億43百万円増加し、1,816億52百万円となりました。

 これは、その他有価証券評価差額金10億2百万円減少したものの、利益剰余金が130億80百万円増加したことなどが主な要因であります。

 この結果、自己資本比率は、82.1%(前連結会計年度末比1.3ポイント増)となりました。

 

 2)経営成績

 当社グループの当連結会計年度の連結売上高は1,390億7百万円(前年同期比0.9%減)となりました。

 連結営業利益につきましては258億74百万円(前年同期比2.4%減)、連結経常利益は266億33百万円(前年同期比1.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は186億5百万円(前年同期比0.5%減)となりました。

 

 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 国内では医療提供体制の改革として、患者様の容態に応じた適切な医療を、地域において効果的かつ効率的に提供する体制を整備し、できるだけ早く社会に復帰し、安心して生活を送れるようにするための取り組みが進められております。

 当連結会計年度においては、感染症への対応力強化、拡大防止等に関連する補正予算が終息方向に向かい、さらには当社取扱い製品における診療報酬が改定されるなど不透明な状況ではありましたが、在宅レンタル事業、消耗品や保守などのランニングビジネスが好調に推移したことに加え、優秀な人材の維持・確保および社員育成のための研修など組織力向上のための人的投資を継続する中でも、経費を一定水準に抑えることで、全体費用のコントロールにもつなげることができました。

 また持続的成長の基盤となるモノづくり改革に取り組む中、サプライチェーン最適化に向けて部品の共通化や内製化などコストアップ防止とコストダウンの両輪を推進しつつ、安定供給を前提とした効率的な在庫管理、品目の集約、リードタイムの短縮などプロセス改善活動にも注力いたしました。

 その結果、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも計画を達成いたしました。

 医療業界を取り巻く環境が大きな転換期を迎えている中、引き続き医療機器等の供給体制の確保に全力を尽くし、医療従事者の皆様の負担を軽減し、より効果的・効率的な医療サービスの提供や安全・安心で質の高い医療を実現するため、当社グループだからこそできるシステムソリューションを基軸に、さらなる基盤事業の強化に取り組んでまいります。

 

 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは連結売上高、連結営業利益を中期経営計画上の重要な指標として位置付け、経営環境の変化に左右されない持続的成長の実現を目指しております。

 定量的目標としては、2028年3月期の連結売上高1,470億円、連結営業利益280億円を目標としております。

 

 d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

1)生体検査装置部門

超音波画像診断装置、血圧脈波検査装置、現地仕入品が減少し、連結売上高は285億49百万円(前年同期比6.9%減)、セグメント利益は47億82百万円(前年同期比5.8%減)となりました。また、資産は198億22百万円となり、前連結会計年度に比べ12億36百万円減少しました。

2)生体情報モニター部門

モニタの連結売上高は97億82百万円(前年同期比0.6%増)、セグメント利益は16億87百万円(前年同期比1.8%減)となりました。また、資産は74億58百万円となり、前連結会計年度に比べ94百万円減少しました。

3)治療装置部門

 在宅医療向けレンタル事業、AEDが伸長し、連結売上高は619億51百万円(前年同期比3.8%増)、セグメント利益は130億66百万円(前年同期比1.8%増)となりました。また、資産は590億83百万円となり、前連結会計年度に比べ31億24百万円増加しました。

4)消耗品等部門

 上記各部門の器械装置に使用する消耗品や修理、保守を含みます。

 消耗品等部門の連結売上高は387億24百万円(前年同期比3.7%減)、セグメント利益は63億38百万円(前年同期比7.8%減)となりました。また、資産は260億54百万円となり、前連結会計年度に比べ12億3百万円減少しました。

 

②キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、資本効率を高めるべく創出したキャッシュ・フローを持続的な成長のための投資や各事業に係る運転資金の他、設備投資に回していくことで企業価値向上に努め、株主の皆様へ安定的な利益還元に必要な資金の確保、並びに強固な財務基盤の維持を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出に努めております。

 また、必要な運転資金及び設備投資資金などについては内部留保により大部分をまかなっております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は673億円となっております。

 当連結会計年度末のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

  当社は、2024年12月26日開催の取締役会において、2025年4月1日を合併効力発生日として、当社の完全子会社であるフクダライフテック株式会社(以下、「ライフテック」といいます)を吸収合併すること(以下「本合併」といいます)を決議し、同日付で合併しました。

 

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

当社グループの主力製品は、心臓や血管、肺などの呼吸・循環器系疾患の検査・診断及び治療等に使用される機器であります。

その中で研究開発活動の中心は、創業以来、研究開発を積み重ねてきた心電計を中核とする心電図関連機器をはじめ、各種生体情報モニタ、除細動器、さらに酸素濃縮装置などがあります。また、これらの機器とともに使用される生体電極、センサ類も重要な製品であります。

当社グループの研究開発活動は、「社会的使命に徹し、ME機器の開発を通じて、医学の進歩に寄与する」との経営理念に沿って、また「ユーザーニーズへの適合」を常に念頭において取り組んでまいりました。今後も一層その理念の追求に努めます。さらに研究開発体制の体質改善を図り、新技術の確立とタイムリーな新製品の市場投入に努め、経営基盤のさらなる強化につなげていく所存です。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は4,221百万円(売上高の3.0%)です。

 開発部門の活動が複数のセグメントに渡っていることから、セグメントごとの研究開発費の金額は記載しておりません。

 研究分野においては、心電計や血圧脈波検査装置などの生体検査装置部門、生体情報モニター部門、除細動器や酸素濃縮器などの治療装置部門、生体電極やセンサ類を含む各部門の器械装置に使用する消耗品類、空気清浄除菌脱臭装置や簡易陰圧装置などの消耗品等部門において、いずれも担当分野の基礎研究、要素技術開発に取り組んでおり、今後のさらなる新製品開発の基盤作りに努めております。