第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間における世界の経済環境は、インフレ加速は収束傾向にありますが、経済成長は低水準な状況が継続し、地政学上の課題や地球規模の異常気象など経済活動以外の要因による景気悪化リスクの増大など、先行き不透明な状況が続いています。地域別に見ますと、米国においては、個人消費は底堅く推移しているものの、金融環境の引き締まりから製造業を中心に生産活動が低迷し、景気拡大ペースは鈍化傾向が続いています。欧州においては、サービス業を中心に景気は持ち直し傾向が見られるものの、過剰在庫が拡大し失業率の上昇傾向が続き低調に推移するドイツ経済の欧州全域の景気回復に与える影響が懸念されています。中国においては、設備投資の伸び悩みと個人消費の鈍化により深刻化する内需悪化から政府による景気刺激策を打ち出すも、先行きは不透明な状況です。国内においては、為替の円安進行により、輸出企業の業績押し上げ、インバウンド需要の回復などにより大企業やサービス業を中心に景況感の改善傾向が継続し、設備投資も堅調に推移し景気は緩やかな改善傾向がみられます。

 

このような状況のなか、当社グループは、持続的な増収を基調とした安定収益基盤の確立による通期営業損益の改善を最重要課題として事業構造改革に継続的に取り組んでおります。

中核事業の情報画像関連機器事業では、収益性確保を伴う持続的成長に向け、純正サプライ品の継続収益に繋がる日米欧市場に軸足をシフトするとともに、ソフトウェア・サービスでの付加価値提供による差別化・ビジネスモデルの革新を進めています。

大判インクジェットプリンタ製品においては、ステッカー、デカール、屋内外サイン、POP、アパレル市場向けに、MUTOH初のカット機能を搭載した高画質、高生産性の630mm幅エコソルベントインクジェットプリンタ『XpertJet C641SR Pro』を発表しました。また、店舗装飾、公共施設装飾、表示板などの市場向けに、当社従来機に比べ63%増の最大出力速度と一度のメディア搬送で5層印刷を可能とした超高速、高効率、高画質の1,625mm幅Roll to Roll UV-LEDプリンタ『XpertJet 1682UR』の販売を開始しました。

MUTOHは、常にメイド・イン・ジャパンの高品質な製品の設計と製造、そして最高のサービスを提供しています。今後も技術革新に努め、技術の進歩をリードし、業界最高水準の品質を実現する製品を提供してまいります。

3Dプリンタにおいては、一部製品のOEM委託先である国内3Dプリンタメーカーのニッポー株式会社の全株式を10月1日に取得し100%子会社化としました。これにより、開発リソースの強化と製品ラインナップの拡充による販売機会を拡大し、収益力強化と成長戦略を加速いたします。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、為替の円安による押し上げもあり、89億12百万円(前年同期比4.8%増)となりました。

営業利益は、労務費を中心とした販管費の増加を継続した原価率改善の取り組み、高付加価値製品の拡充と販売シフトによる収益性の改善で吸収し6億97百万円(前年同期比36.4%増)となりました。

経常利益は、営業利益に受取利息等の営業外収益と為替差損の減少等により6億98百万円(前年同期比56.4%増)となりました。

親会社株主に帰属する中間純利益は4月9日に開示いたしました「固定資産の譲渡及び特別利益(固定資産売却益)の計上に関するお知らせ」のとおり、海外連結子会社の不動産売却による特別利益の計上5億82百万円等により10億43百万円(前年同期は2億62百万円の利益)となりました。なお、当中間連結会計期間の平均為替レートは、1ドル152.75円(前年同期比8.3%の円安)、1ユーロ166.03円(前年同期比8.2%の円安)に推移しました。

 

①財政状態に関する分析

(資産)

当中間連結会計期間末における資産は294億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億39百万円の増加となりました。

流動資産は183億6百万円となり、8億99百万円の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加10億68百万円、棚卸資産の増加2億24百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少3億61百万円、その他の流動資産の減少36百万円等であります。

固定資産は111億29百万円となり、1億60百万円の減少となりました。その主な要因は、繰延税金資産の増加74百万円、建物及び構築物の減少80百万円、工具器具及び備品の減少12百万円、土地の減少88百万円、建設仮勘定の減少14百万円、その他の無形固定資産の減少13百万円、投資有価証券の減少3百万円等であります。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における負債は51億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ39百万円の増加となりました。

流動負債は39億39百万円となり、48百万円の増加となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金の増加1億83百万円、電子記録債務の増加1億67百万円、未払金の減少1億71百万円、未払法人税等の減少40百万円、その他の流動負債の減少86百万円等であります。

固定負債は12億51百万円となり、8百万円の減少となりました。その主な要因は、繰延税金負債の増加14百万円、退職給付に係る負債の減少8百万円、その他の固定負債の減少14百万円等であります。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産は242億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億99百万円の増加となりました。その主な要因は、配当金の支払い1億82百万円と親会社株主に帰属する中間純利益10億43百万円の計上による利益剰余金の増加8億60百万円、その他有価証券評価差額金の増加13百万円、為替換算調整勘定の減少1億68百万円、退職給付に係る調整累計額の減少22百万円等であります。

 

②経営成績の状況の分析

当中間連結会計期間の業績は、売上高は89億12百万円(前年同期比4.8%増)となり、営業利益は6億97百万円(前年同期比36.4%増)、経常利益は6億98百万円(前年同期比56.4%増)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は10億43百万円(前年同期比297.6%増)となりました。

 

(売上高)

当中間連結会計期間の売上高は、主力の情報画像関連機器事業のアジア地域の販売が好調に推移したこと、為替の円安による押し上げ効果もあり89億12百万円(前中間連結会計期間85億2百万円)で4億9百万円の増収となりました。

 

(営業費用)

当中間連結会計期間の売上原価は50億79百万円(前中間連結会計期間51億18百万円)で39百万円の減少となり、売上原価率は原材料の高騰などによる減益要因を継続した原価率改善の取組みと、一部価格に転嫁したことにより3.2%改善し、57.0%となりました。販売費及び一般管理費については世界的な物価上昇により全体的に増加傾向にあり、31億35百万円(前中間連結会計期間28億72百万円)で2億62百万円の増加となりました。

 

(営業外損益)

当中間連結会計期間の営業外収益は90百万円(前中間連結会計期間78百万円)で12百万円の増加となりました。主な要因は、受取利息の増加と受取保険料の計上によるものです。営業外費用は90百万円(前中間連結会計期間1億43百万円)で52百万円の減少となりました。主な要因は、為替差損の減少によるものです。

 

(特別損益)

当中間連結会計期間の特別損益については、特別利益は、4月9日に東京証券取引所にて開示しました「固定資産の譲渡及び特別利益(固定資産売却益)の計上に関するお知らせ」のとおり、当社グループであるムトーヨーロッパ社の所有する土地建物を譲渡したことによる固定資産売却益の計上などにより5億82百万円(前中間連結会計期間90百万円)で4億91百万円の増加となりました。

 

(法人税等)

当中間連結会計期間の法人税等について、1億85百万円(前中間連結会計期間2億25百万円)で39百万円の減少となりました。主な要因は、上記固定資産売却益を通常の課税所得計算には含めずに法人税等合計を算定したことによります。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

〔情報画像関連機器(アジア・北アメリカ・ヨーロッパ)〕

当中間連結会計期間の経営成績は、売上高68億24百万円(前年同期比5.4%増)、セグメント利益3億51百万円(前年同期比32.0%増)の増収増益となりました。主な要因は、アジア地域の販売が好調に推移したこと、北アメリカ地域における前第2四半期に行った過剰在庫処理による一時的な収益圧迫が解消されたこと、あわせて為替の円安による押し上げなどによります。

地域別には、アジア地域は売上高22億28百万円(前年同期比23.6%増)、セグメント利益4億75百万円(前年同期比64.6%増)、北アメリカ地域は売上高19億33百万円(前年同期比3.6%減)、セグメント利益10百万円(前年同期は19百万円の損失)、ヨーロッパ地域は売上高26億62百万円(前年同期は26億64百万円)、セグメント損失1億35百万円(前年同期は3百万円の損失)となりました。

 

〔情報サービス〕

当中間連結会計期間の経営成績は、売上高11億49百万円(前年同期比7.4%減)、セグメント利益1億81百万円(前年同期比9.7%増)となり、減収増益となりました。学校向け販売が減少しましたが、製品構成の見直し等により収益力が改善しました。

 

〔設計計測機器〕

当中間連結会計期間の経営成績は、売上高6億35百万円(前年同期比16.5%増)、セグメント利益50百万円(前年同期比21.4%減)となりました。高騰する原材料価格の一部を値上げで吸収したもののカバーしきれず、増収減益となりました。

 

〔不動産賃貸〕

当中間連結会計期間の経営成績は、売上高2億3百万円(前年同期比43.8%増)、セグメント利益1億32百万円(前年同期は16百万円の利益)となり、前第2四半期に新規取得した賃貸不動産による増収と取得にかかる一時費用の計上による減益要因の解消により大幅な増収増益となりました。

 

〔その他〕

当中間連結会計期間の経営成績は、売上高99百万円(前年同期比2.5%減)、セグメント損失3百万円(前年同期は7百万円の損失)となり、前年同期に対して減収増益となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における連結キャッシュ・フローは、以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

営業活動によるキャッシュ・フロー

523

820

投資活動によるキャッシュ・フロー

△710

646

財務活動によるキャッシュ・フロー

△287

△273

現金及び現金同等物の増減額

△255

1,063

現金及び現金同等物の中間期末残高

10,023

10,473

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは8億20百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前中間純利益の計上12億80百万円、減価償却費の計上1億72百万円、売上債権及び契約資産の減少3億41百万円、仕入債務の増加3億88百万円等の資金増加要因に対し、固定資産処分益の計上5億82百万円、棚卸資産の増加3億11百万円、法人税等の支払額4億円等の資金減少要因によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは6億46百万円の収入となりました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入7億円等の資金増加要因に対し、有形固定資産の取得による支出52百万円等の資金減少要因によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは2億73百万円の支出となりました。主な要因は、配当金の支払額1億82百万円、非支配株主への配当金の支払額49百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出40百万円等の資金減少要因によります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、4億10百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。