第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 

 当社は、企業理念「THE ESPEC MIND」の実践と長期ビジョンの実現に向けた事業活動により「経済的価値」「社会的価値」の創出と向上を図り、持続的成長を目指すサステナビリティ経営を推進しております。2021年度には、サステナビリティ方針を策定し、ステークホルダーのみなさまとのより良い価値交換を実現していくためのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。2025年度の重要課題は、グローバルな事業を通じた社会課題解決、責任ある製品サービスの提供、環境への配慮、多様な人材の確保・育成、人権の尊重、デジタル技術の活用、グループガバナンスの強化の7つです。これらの課題を中期経営計画の各戦略に反映し、取り組んでまいります。なお、重要課題は、社会の変化に合わせて柔軟に見直しを行ってまいります。

 

(1)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、営業利益率、当期純利益、ROEです。

 当社は中期経営計画「PROGRESSIVE PLUS 2027」を推進してまいりましたが、初年度である2025年度は、受注高・売上高はターゲット市場を中心に堅調に推移したものの、装置事業における中国市場の競争激化や、EV減速に伴う受託試験事業の収益悪化等により、利益面につきましては期初計画を下回る結果となりました。このような事業環境の変化をふまえ、誠に遺憾ながら2027年度の目標を見直しました。ROE目標につきましては、財務資本戦略をさらに強化することとし、当初目標を据え置いております。なお、基本方針及び成長戦略の基本的な方向性に変更はございません。

 中期経営計画「PROGRESSIVE PLUS 2027」の基本方針、2027年度目標、中期経営戦略につきましては、(2)②に記載しております。収益改善策を強化するとともに成長戦略を着実に実行し、「筋肉質で持続可能な高利益体質の確立」を目指してまいります。

 

(2)長期ビジョン及び中期経営計画

①長期ビジョン「ESPEC Vision 2035」

 当社は、長期ビジョン「ESPEC Vision 2035」として、10年後も環境試験業界において世界的トップランナーであり、当社の創業の精神であるプログレッシブを継承するとともにイノベーティブな発想・活動ができるエスペックグループを目指してまいります。

<エスペックの姿> グローバルに最も頼られる存在へ

          ・環境試験の世界的トップランナー

          ・プログレッシブでイノベーティブなグループ

 

②中期経営計画「PROGRESSIVE PLUS 2027」(2025~2027年度)

<基本方針>

 『筋肉質で持続可能な高利益体質の確立』

 質の向上と利益成長により「筋肉質な企業」となることで持続的な企業価値向上を目指す

<ターゲット市場>

 AI半導体、自動運転、衛星通信

<2027年度目標>

 修正前 売上高700億円、営業利益105億円、営業利益率15.0%、当期純利益76億円、ROE12.0%以上

 修正後 売上高760億円、営業利益91億円、営業利益率12.0%、当期純利益67億円、ROE12.0%以上

 ※想定為替レート(米ドル)は145円としておりましたが、155円に変更しております。

 

<中期経営戦略>

a.事業戦略(装置事業戦略、グローバル戦略、モノづくり戦略、サービス事業戦略、新規事業戦略)

 装置事業ではターゲット市場であるAI半導体、自動運転、衛星通信分野の試験ニーズに、多彩な製品群やカスタム対応力、新製品開発によりお応えしてまいります。また、日本、米国、中国を重視するエリアとし、グループの総合力を活かしてグローバル市場での競争優位性を確立してまいります。さらに、京都府の福知山工場のリノベーションにより、省力化・自動化を推進し、モノづくりの高効率化に取り組んでまいります。サービス事業では、受託試験事業において「あいち次世代モビリティ・テストラボ」を中心に収益改善を図ってまいります。アフターサービス事業では、IT・デジタル技術の活用により、装置の遠隔監視等、顧客の課題を解決するサービスを提供してまいります。あわせて、将来の収益の柱となる新たな事業創出を目指し、CAE(Computer Aided Engineering)に関連したサーマルソリューションサービスや食品機械事業の拡大に取り組んでまいります。

 

 

b.財務資本戦略(財務資本戦略、IR戦略)

 財務資本戦略では、総資産の効率化に取り組むとともに、資本効率を意識したバランスシート・マネジメントとして、事業リスクや成長投資に必要な自己資本水準を見極めたうえで自己資本比率が70%以内になるようコントロールしてまいります。また、成長投資や企業価値向上に向けて、必要に応じて負債を活用する等、財務の健全性と資本効率の両立を図ってまいります。あわせて、中期経営計画3年間のキャッシュアロケーション方針に基づき、株主還元を積極的に行ってまいります。IR戦略では、株式市場での評価向上及び経営強化に向けて、株主・投資家との対話の充実に取り組んでまいります。

 

c.ESG(非財務戦略)

 人的資本の最大化の取り組みとして、経営の基盤となる人・組織の力を高めてまいります。人材の獲得と育成の両面での取り組みを強化するとともに、オープンなコミュニケーションを促進し、従業員の働きがいの創出とエンゲージメントの向上を図ってまいります。環境への取り組みとしては、第8次環境中期計画PlusⅡ(2026~2027年度)のもと、地球温暖化対策と生物多様性保全活動を引き続き推進してまいります。また、グループガバナンスやリスクマネジメントの強化に取り組んでまいります。

 

③2025年度の主な取り組み

a.事業戦略(装置事業戦略、グローバル戦略、モノづくり戦略、サービス事業戦略、新規事業戦略)

 装置事業では、日本や東南アジア、台湾ではAI半導体分野、北米では衛星通信分野の開拓が進むとともに、ターゲット市場向け新製品としてAIサーバー向け恒温恒湿室や、大型基板の試験に対応した高度加速寿命試験装置等を発売いたしました。また、経営課題であったカスタム製品の収益性は改善したものの、競争激化により中国市場の収益が悪化いたしました。サービス事業では、EV減速に伴う顧客の開発計画中止・遅れにより受託試験事業の収益が悪化いたしました。アフターサービス事業につきましては、技術料の見直しを行い、収益性の改善に努めました。新規事業では、サーマルソリューション事業として新製品・サービスを拡充いたしました。

 

b.財務資本戦略(財務資本戦略、IR戦略)

 原材料在庫の圧縮や生産リードタイムの改善による仕掛品の圧縮により総資産の効率化を進めるとともに、成長投資と株主還元の両立を図ってまいりました。また、株主還元方針に基づき、2025年11月に自己株式の取得を決定するとともに、自己株式の消却に関する基本方針を制定いたしました。IR活動としましては、延べ199社(2024年度比1.3倍)のアナリスト・機関投資家と面談を実施いたしました。また、オンラインでの決算説明会や個人投資家向け会社説明会の実施、スポンサードリサーチレポートの発行等に取り組みました。

 

c.ESG(非財務戦略)

 人的資本の取り組みとして、新しいビジョン実現型人事評価制度の運用を開始するとともに、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」及び当社従業員のうち経営補佐職層に対して自社の株式を給付するインセンティブプラン「株式給付信託(J-ESOP)」を導入いたしました。また、長期ビジョン「ESPEC Vision 2035」の発表会の開催や、役員と社員が対話するダイレクトコミュニケーションの実施等インターナルコミュニケーションを推進してまいりました。環境への取り組みとしては、第8次環境中期計画(2022~2025年度)を進めるとともに、第8次環境中期計画PlusⅡ(2026~2027年度)を策定いたしました。ガバナンスでは、BCPの再構築に着手するとともに人権方針を策定いたしました。

 

④2026年度の経営方針・目標・重点戦略

<経営方針>

『筋肉質経営を軸に、収益構造を転換する突破フェーズ

 ―基盤強化に向けて構造的課題を解決し、成果につなげる―』

 

<目標> 売上高730億円、営業利益80億円、営業利益率11.0%、当期純利益58.8億円、ROE10.0%

 

<重点戦略>

a.事業戦略(装置事業戦略、グローバル戦略、モノづくり戦略、サービス事業戦略、新規事業戦略)

 ターゲット市場であるAI半導体分野では新製品の投入を進め、衛星通信分野では北米での生産能力を増強いたします。また、モノづくりの高効率化に向けて京都府の福知山工場のリノベーションを進めてまいります。受託試験事業では、電動化・自動運転モジュール、航空機器関連の受注拡大に取り組んでまいります。

 

 

 

 

b.財務資本戦略(財務資本戦略、IR戦略)

 中期経営計画3年間のキャッシュアロケーション方針に基づき、株主還元を実施してまいります。IR活動としましては、株主・投資家との接点強化と対話の充実に努めてまいります。

 

c.ESG(非財務戦略)

 人的資本の取り組みとして、2025年度に開始したビジョン実現型人事評価制度の運用定着や、インターナルコミュニケーションの強化に取り組んでまいります。また、第8次環境中期計画PlusⅡ(2026~2027年度)を推進してまいります。ガバナンスでは、サプライチェーンリスクを注視し、適切な対応を行ってまいります。

 

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組

 企業理念「THE ESPEC MIND」には二つの重要な考え方があります。一つは「企業は公器」であることです。私たちは事業や企業活動を通じて社会に貢献する企業でありたいと考えています。二つ目は、エスペックは「ステークホルダーとの価値交換性の向上を目指す」ということです。これは、ステークホルダーのみなさまとの間で、お互いにとってより良い関係を築いていきたいということです。当社のサステナビリティ経営は「THE ESPEC MIND」の実践であり、ESPEC Vision 2035の達成に向けた取り組みそのものです。当社は、こうした企業理念の実践と長期ビジョンの実現に向けた事業活動により「経済的価値」と「社会的価値」の創出と向上を図り、持続的成長を目指してまいります。

 

ESPEC Vision 2035/将来像

■エスペックの姿

グローバルに最も頼られる存在へ

・環境試験の世界的トップランナー

・プログレッシブでイノベーティブなグループ

■エスペックの事業

・環境試験における技術・シェアの世界的トップランナー

・いかなる変化をも乗り越える事業対応力を持つ

■エスペックの文化

・イノベーティブが活動のスタンダードになっている文化

・プロフェッショナリズムにあふれている文化

 

エスペックの「サステナビリティ経営」

 企業理念の実践と長期ビジョンの実現に向けた事業活動により「経済的価値」「社会的価値」の創出と向上を図り、持続的成長を目指してまいります。

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サステナビリティ方針

・企業理念「THE ESPEC MIND」の実践により、「経済的価値」と「社会的価値」の創出と向上を図ります

・ステークホルダーとのより良い価値交換により持続的成長を目指します

・ESPEC Vision 2035のもと、「環境創造技術」をかなめとした事業活動を通じて地球環境や社会課題の解決に貢献します

・サステナビリティに関する情報開示を積極的に行います

 

エスペックのステークホルダー・エンゲージメント

 私たちは社会に貢献する企業であり続けるためにステークホルダーとのエンゲージメントを大切にしています。そのため、前長期ビジョンESPEC Vision 2025では、2025年までに果たしたい「約束」をステークホルダーごとに設定し、コミュニケーションの活性化に取り組みました。現長期ビジョンESPEC Vision 2035においてもステークホルダーと築き上げたい関係を明確にし、社会の公器としての責任を果たすとともに価値交換性の向上に努めてまいります。

 

※ステークホルダー・エンゲージメントの主な取り組み(ステークホルダーごとの主な対話の方法・機会)に関する詳細は、エスペックレポート2025をご参照ください。

 

 

①ガバナンス

 サステナビリティ推進本部を設置し、サステナビリティの推進やSDGsの達成に貢献する取り組みを強化しております。サステナビリティ推進本部は、サステナビリティ方針やマテリアリティ(重要課題)の策定・見直し、中期経営計画及び環境中期計画への反映、サステナビリティ情報開示の役割の中心を担っております。サステナビリティの取り組みに関する進捗と課題については、取締役会または執行役員会にて報告を行っています。取締役会はサステナビリティ推進本部の報告を受け、サステナビリティの取り組みについて議論・監督を行っております。また、サステナビリティ推進本部は、情報開示委員会、内部統制システム委員会、リスク管理委員会、情報セキュリティ委員会、全社環境管理委員会と連携し、全社におけるサステナビリティ経営を推進しております。

 

2025年度の取締役会・執行役員会での決議・報告

取締役会

・ESPEC Vision 2035の策定(決議事項)

・企業文化の良質化に向けた研修報告及び2026年度計画(報告事項)

・役員研修等報告及び2026年度計画(報告事項)

・ストレスチェックの結果と今後の取り組み(報告事項)

・信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)導入(決議事項)

・経営補佐職層向け株式報酬制度の導入(協議・決議事項)

・自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく情報開示(報告事項)

執行役員会

・人権方針の策定

・健康経営宣言・方針の策定、取り組み

・企業文化の良質化に向けた研修・全社イベント報告及び2026年度計画

・人事評価制度の運用状況、人材育成(エグゼクティブ育成、グローバルトレーニープログラム等)

・エンゲージメント調査、心理的安全性・1on1アンケート結果と対応

・2026年度のマテリアリティ

・日経サステナブル総合調査2025「SDGs経営編」「スマートワーク経営編」の結果と対応

 

 

②戦略

当社は、社会と共に成長し中長期の価値向上を果たすために、優先的に取り組むマテリアリティ(重要課題)を特定しております。マテリアリティ(重要課題)の特定にあたっては、まず、GRIスタンダードやSDGs(持続可能な開発目標)、外部調査などを参照し社会課題を抽出しました。次に、抽出した課題について、THE ESPEC MINDや長期ビジョンとの整合性等の観点から、持続的成長を図るために取り組むべき課題の選定を行いました。これらの選定した課題について執行役員会で協議し、特定しました。

 2025年度のマテリアリティは、グローバルな事業を通じた社会課題解決、責任ある製品サービスの提供、環境への配慮、多様な人材の確保・育成、人権の尊重、デジタル技術の活用、グループガバナンスの強化の7つです。これらの課題を中期経営計画の各戦略に反映し、その解決に向けた取り組みを推進しております。なお、マテリアリティは、社会の変化に合わせて柔軟に見直しを行っております。

 

③リスク管理

 当社は、サステナビリティに関連するリスクを識別・評価するためリスク管理委員会を設置し、内部統制システム委員会と一体で運用し、サステナビリティ推進本部と連携することでリスク管理の徹底を図っております。リスク管理委員会はリスクについて影響の高さと対策状況に応じて4つの象限に分類し評価を行っております。また、象限ごとに対応方針を決定し、主管部門の活動に反映しております。

 主要なリスクの詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④指標及び目標

 マテリアリティごとのリスクと機会、2025年度のKPI目標は以下のとおりです。なお、2025年度のKPI実績は2026年10月にエスペックレポートにて開示予定です。

 

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(2)地球環境に関する考え方及び取組

 当社は2026年度より第8次環境中期計画PlusⅡ(計画実施期間2026~2027年度)を推進しており、地球温暖化対策の強化、生物多様性保全の推進、資源循環の推進と化学物質管理の強化、開示情報の充実に取り組んでおります。

 

地球温暖化対策の強化

 当社は、先端技術開発をされているお客さまへの製品・サービスの提供を通じて、温室効果ガス排出量の低減に貢献しております。また、低GWP(地球温暖化係数)冷媒の搭載や省エネ等環境配慮型製品の開発を進めるとともに、取引先に対し、2027年までにCO2排出量を2019年度比で40%削減することを要請するなど取引先と一体となった活動を強化しております。さらに、当社の事業活動におけるCO2排出量を2019年度比で57%削減することを目指しています。これに向けて、主に再生可能エネルギーの海外事業所への導入を進めてまいります(国内の主要事業所は2021年度に導入完了)。なお、当社は、2030年度までの温室効果ガス排出量削減目標を掲げており、当社の目標は国際的なSBTイニシアチブより「SBT(Science Based Targets)」認定を取得しています。

 

生物多様性保全の推進

 森づくりや水辺づくり等環境保全事業を通じて、生物多様性保全に取り組む企業の活動を支援してまいります。また、林野庁「法人の森林制度」を活用した「エスペック50年の森」づくりを推進し、生物多様性豊かな森の育成を通じて、環境への貢献を目指してまいります。さらに、「エスペック50年の森」及び神戸R&Dセンターを活用し、環境教育を積極的に行い、人材育成に取り組んでまいります。なお、神戸R&Dセンターは、環境省「自然共生サイト」の認定取得、第三者認証「ABINC(いきもの共生事業所)認証」の取得、「令和8年緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰」の受賞など、社外より高い評価をいただいております。

 

資源循環の推進と化学物質管理の強化

製品リサイクルサービスによる当社製品の適正廃棄と資源循環を推進してまいります。また、法規制対応プロセスの効率化や、汚染と廃棄物を出さないモノづくり(開発・設計・製造)に努めてまいります。さらに、事業活動に伴う水リスクの把握と対応を進めてまいります。
 

開示情報の充実

 当社は、国際的な非営利団体CDPの質問書に回答しており、気候変動分野では「Bスコア」、水セキュリティ分野では「B-スコア」に認定されています。サプライヤーエンゲージメント評価では最高評価の「Aスコア」となり、4年連続で「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されました。また、当社は2021年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明し、気候変動に関する情報を開示しております。2025年には、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に賛同し、TNFD アダプターに登録するとともに「エスペックTNFDレポート2025」を発行しました。今後も適切かつ積極的な開示に努めてまいります。

 

■気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応

 当社は2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明いたしました。TCFDの提言に基づき積極的に情報開示を行ってまいります。

 

①ガバナンス

代表取締役社長を委員長とする全社環境管理委員会において、四半期ごとに環境課題に対する実行計画の策定と進捗管理を実施しております。取締役会は本委員会の報告を受け、環境課題への対応方針等について議論・監督を行っております。代表取締役社長は執行役員会の議長を担うと同時に、諮問委員会である全社環境管理委員会の委員長を担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っております。

 

②戦略

 2℃未満及び4℃シナリオにおける気候関連のリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会について、短期・中期・長期の視点で事業影響や財務影響を評価しております。この評価を踏まえ当社戦略のレジリエンスを検証しております。

 

 

気候関連リスク・機会に対する事業インパクト(財務影響と事業リスク)評価と当社の対応

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影響時期:短期10年未満、中期10年~30年未満、長期30年以上

財務影響度:★1億円未満、★★1億円~10億円未満、★★★10億円以上

 

③リスク管理

 リスク管理委員会と全社環境管理委員会及び環境マネジメントシステム(ISO14001)において、リスクの識別・評価を実施し、発生頻度やインパクトから優先順位付けしたうえで対策を決定し、進捗を管理しております。重要リスクについては取締役会に報告し、取締役会による監督体制のもと当社戦略に反映しております。

 

④指標・目標

 当社は、2019年度からグループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでおり、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、SCOPE1,2及びSCOPE3温室効果ガス排出量の2つの指標を定めています。また、2022年度に当社は2030年度までの温室効果ガス排出量削減目標を設定いたしました。この目標は、国際的なSBTイニシアチブよりSBT(Science Based Targets)認定を取得しており、環境中期計画に展開し、実現を目指しております。なお、当社は2019年度から、温室効果ガス排出量の第三者保証を取得しており、2025年度の温室効果ガス排出量についても第三者保証を取得し、2026年7月にサステナビリティサイトにて開示予定です。

 

2030年度温室効果ガス排出量削減目標

・SCOPE1,2  60%削減(2019年度比)

・SCOPE3   30%削減(2019年度比)

 

 

温室効果ガス排出量報告書に基づく2022~2025年度の温室効果ガス排出量(実績)

区分

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

2025年度実績

Scope1

3,576t-CO2e

3,622t-CO2e

3,768t-CO2e

2026年7月開示予定

Scope2

マーケット

ベース

3,717t-CO2e

4,285t-CO2e

5,563t-CO2e

ロケーションベース

11,541t-CO2e

13,138t-CO2e

14,351t-CO2e

Scope3

1,091,612t-CO2e

1,040,425t-CO2e

1,283,101t-CO2e

合計(Scope1+2+3)

1,098,905t-CO2e

1,048,332t-CO2e

1,292,432t-CO2e

(注)温室効果ガス排出量は、各年度における算定対象範囲及び算定方法に基づき算定しています。

 バウンダリ変更等に伴う過年度排出量の再算定は実施していないため、年度間で単純比較できない場合があります。

 なお、第三者保証の対象は各年度の保証報告書記載値に限ります。

 

※TCFDに基づく情報開示に関する詳細は、サステナビリティサイトをご参照ください。

https://www.espec.co.jp/sustainability/env/tcfd.html

 

※TNFDに基づく情報開示に関する詳細は、サステナビリティサイトをご参照ください。

 https://www.espec.co.jp/sustainability/env/tnfd.html

 

(3)人的資本・多様性に関する考え方及び取組

 当社グループは、会社にとって「人」が中心であり、「人」重視の経営こそが会社発展の原動力であるとの認識のもと、人的資本の最大化により、「経済的価値」「社会的価値」を創出することを目指しております。当社は「多様な人材の確保・育成」をマテリアリティとして特定しており、人的資本の最大化に向けて、企業文化の良質化/組織マネジメント、経営戦略と連動した人材育成、個の成長支援、ダイバーシティ&インクルージョン/社員の健康と安全の確保に取り組んでおります。これにより、企業と従業員が成長の喜びをシェアし、活気あふれる企業となることで、持続的な企業価値向上を目指しております。

 

 

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 ①ガバナンス

 当社は、人的資本戦略を推進するために、企業文化の良質化に向けた取り組みやエンゲージメント調査結果への対応など、人的資本の最大化に向けた重要な施策について、執行役員会にて協議・決議を行い、取締役会へ報告を行っています。

 

②戦略

 当社は、基本方針「個人と会社のビジョンを実現するチカラで経済的価値と社会的価値を創出する」のもと、中期経営計画において人的資本戦略を推進しております。また、人材育成方針及び社内環境整備方針を以下の通り定めております。

 

人材育成方針

意欲と能力ある人材への多彩な「成長支援」と「活躍機会の提供」

 自身の成長は自分の意志と意欲に大きく左右されます。まさに成長は自分自身のテーマといえます。当社は成長意欲や能力のある従業員に対して、多彩な成長支援やチャレンジできる機会を提供します。

 

社内環境整備方針

多様なワークスタイルに対応する環境の整備

 従業員が、安心して思う存分能力を発揮できる環境を会社が整えることは重要であると考えます。人々が望むワークスタイルは時代とともに変化します。当社は適切な範囲の中で、時代の要請する多様なワークスタイルに対応する先進的な職場環境の整備に努めてまいります。

 

■人的資本戦略の主な施策

<企業文化の良質化/組織マネジメント>

 企業理念の理解を深めるための研修会や、経営層が社員と対話するダイレクトコミュニケーション、1on1ミーティングなどコミュニケーションの活性化に取り組んでいます。2025年度は、長期ビジョンESPEC Vision 2035を策定し、全社イベントにて発表するとともに、プログレッシブな組織文化の醸成に向けて新しい人事評価制度を開始しました。また、毎年全社員を対象にエンゲージメント調査を実施しており、結果を執行役員会にて報告するとともに、執行役員・本部長が行動計画に基づき率先して職場の課題解決に取り組んでいます。2025年度の調査では、仕事に対する主体的・前向きな心理状態を示すワークエンゲージメントと会社や組織に対する愛着を示すエンプロイーエンゲージメントの両スコアともに目標とする水準に達していることを確認しました。加えて、従業員に対する当社の中長期的な企業価値向上へのインセンティブ付与、福利厚生の拡充、及び株主としての資本参加による従業員の勤労意欲高揚を通じた当社の恒常的な発展を促すことを目的として、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」を導入しました。当該制度の内容につきましては、「第4 提出会社の状況  1 株式等の状況 (8) 役員・従業員株式所有制度の内容」に記載のとおりであります。

 

<経営戦略と連動した人材育成>

 長期ビジョンESPEC Vision 2035の実現に向けて強化すべきターゲット人材を「グローバル人材」「DX人材」と設定し、育成と獲得の両面で取り組んでいます。また、等級・職位ごとに「あるべき人材像」を明確にし、新しい人事評価制度の評価軸としています。2025年度は、人的資本の最大化を図るため人的資本戦略の基本方針の見直しを行いました。

 

<個の成長支援>

 キャリア研修や海外研修、リカレント教育、語学学習支援等教育制度の充実に取り組んでいます。また、管理職のマネジメントスタイルのアップデートに向けて、360°サーベイや人材アセスメントの分析結果といった人材データを活用した研修を行っています。2025年度は、海外研修制度の充実を図るためグローバルトレーニープログラムの見直しを行いました。

 

<ダイバーシティ&インクルージョン/社員の健康と安全の確保>

 女性社員やシニア社員の活躍推進、健康経営の推進、障がい者雇用率の向上、人権の尊重などに取り組んでいます。2025年度は、新たに健康経営宣言・方針を策定するとともに、事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権を尊重するため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権方針を策定しました。

 

 

■女性の活躍推進

 女性の活躍推進については、目指す姿を明確にし、3つの施策に取り組んでおります。

 

女性活躍推進の目指す姿

1.管理職となる女性社員、高い専門性を持つ女性社員が多数活躍している

2.女性社員が幅広い職種で活躍している

3.全社的にワークライフバランスが浸透し、社員にとって働きやすい職場環境になっている

・多様性に富んだ創造性と活力ある会社になっている

・様々な働き方ができる会社になっている

・優秀な人材が集まる会社になっている

 

女性活躍推進に向けた施策

1.女性自身の意識改革

女性社員のキャリア形成支援を目的としたキャリアデザイン研修や、女性リーダー育成研修などを通じて、女性社員自身の意識改革に取り組んでまいります。

2.女性のキャリアを支援する制度の拡充

短時間勤務制度の利用期間拡大等、女性のキャリアを支援する制度の拡充に取り組んでまいります。

3.働きやすい職場づくり

管理職を対象とした女性活躍推進セミナーの開催や、残業時間の抑制に向けた取り組みなどにより、働きやすい職場づくりを進めてまいります。

 

③リスク管理

 人的資本に関するリスク管理につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④指標及び目標

 中期経営計画において、女性管理職比率の2027年度目標を20%以上に設定しております。

 

 また、女性活躍推進に関する行動計画の目標は以下のとおりです。

 なお、仕事と子育ての両立支援に関する取り組みが認められ、2025年3月に厚生労働大臣より「プラチナくるみん」の認定を受けたことに伴い、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の目標は設定しておりません。

 

女性活躍推進に関する行動計画(2026年1月1日~2030年12月31日までの5年間)の目標

指標

(参考)2024年度実績

(参考)2025年度実績

2030年度目標

女性新卒採用率※

30%

25

30%以上

女性管理職比率※

9.8%

8.1

20%以上

年次有給休暇取得率

78%

84

80%以上

※ 女性新卒採用率及び女性管理職比率は、翌年度の4月1日現在のものであります。

※ 女性管理職は、課長職以上(当社社内規定ではマネージャー以上)に占める女性の比率であります。

 

※ダイバーシティの推進に関する詳細は、サステナビリティサイトをご参照ください。

https://www.espec.co.jp/sustainability/social/employee/diversity.html

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

3【事業等のリスク】

 当社は、リスク管理委員会を設置し、内部統制システム委員会と一体で運用し、サステナビリティ推進本部と連携することでリスク管理の徹底を図っております。リスク管理委員会はリスクについて影響の高さと対策状況に応じて4つの象限に分類し評価を行っております。また、象限ごとに対応方針を決定し、主管部門の活動に反映しております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。なお、当社におけるマテリアリティ(重要課題)につきましては、「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組 ②戦略」に記載のとおりであります。

(1)業績変動のリスク

 当社は、電子部品・電子機器及び自動車関連メーカーを主要顧客としており、当社の業績は、これらの業界の業績や設備投資動向の影響を強く受けます。景気変動の影響等により主要顧客の設備投資が低調に推移した場合は、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また当社は、国内市場において高い市場シェアを持っておりますが、国内市場は成熟市場であるため当社の成長は、海外市場での業績に左右されます。高い市場シェアを持つ欧米の環境試験器メーカーや低価格を武器に市場参入を図る中国、台湾メーカーとの競争が当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社におきましては、これらの業績変動リスクの緩和と次代の成長を図るため、海外市場のさらなる拡大と中期経営計画に基づき新たな収益基盤となるサーマルソリューションサービスや食品機械事業の拡大に取り組んでおります。

 

(2)災害、感染症、戦争等に係るリスク

 当社の2025年度における連結売上高に占める海外売上高比率は50.9%と高い水準となっております。事業を展開する国や地域において、大規模な自然災害、重大な感染症の流行、戦争、テロ、政情不安等の予見困難な社会的混乱が発生する事態になった場合、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の主要な製造拠点、研究開発拠点は国内にあり、これらの主要な施設が地震や台風等の自然災害により甚大な損害を被った場合は事業運営が困難になるだけでなく、施設の修復又は建て直しのために巨額の費用が発生する可能性があります。当社が直接被害を受けない場合でも、電力等のインフラの供給が制限されたり、サプライヤーから必要な部品、素材等の供給が受けられない等の間接的な影響により、事業活動に大きな支障が生じる可能性があります。当社におきましては、非常事態が発生した場合又は発生が予想される場合には、危機対応規定に基づき、当社及び関係者が被る損失を最小限にとどめるよう迅速な情報伝達と適切な対処、誠意ある対応を行っております。

 

(3)輸出規制に伴うリスク

 当社商品の輸出及び技術の提供に関しては、外国為替及び外国貿易法、米国輸出管理規則(EAR)等、国内外の輸出管理関連法令の影響下にあります。また、最終需要者等を通じて、懸念国や懸念需要者に大量破壊兵器又は通常兵器等の開発用として転用される可能性もあります。これらのことにより、当社の商品、技術が予期せぬ第三者、用途で使用され、結果として当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社におきましては、最新の法規制を遵守すべく、輸出管理本部を主体として、商品の仕様、仕向地、最終需要者、用途、取引経路等を把握しております。

 

(4)サプライヤーへの依存、原材料の調達及び価格高騰に伴うリスク

 当社は、多種の部品や素材を複数のサプライヤーから購入しております。また、生産量の変化への対応と多様な生産技術を効率よく獲得するため、複数の外注加工業者を活用しております。サプライヤー、外注加工業者の倒産や事業撤退等により供給が停止した場合は生産に問題が生じる可能性があります。また、サプライヤーの責により、欠陥の内在する部品が混入した場合、生産の大幅な遅れや、最悪の場合には納品後の製品に対する対応等のために多額の費用が必要になる可能性があります。また、当社製品の原材料は、主にステンレス、鉄、銅、アルミニウム等の金属材料及び断熱材、樹脂等の化学材料であり、それらの仕入価格は国際市況の影響を受けます。世界的な半導体、電子部品等の不足による調達遅延や、原材料価格が高騰した場合、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社におきましては、サプライヤー及び外注加工業者に対し、厳重な取引先管理を実施し、品質保証、生産管理、環境管理体制、安定調達を目指したサプライチェーンの評価や指導を行い、相互の信頼関係の醸成に努めております。

 

 

(5)業務提携、企業買収等に伴うリスク

 当社は、事業領域の拡大のため、業務、資本提携や企業買収等を実施することがあります。事前調査で把握できなかった問題が生じた場合や、事業環境の変化等により当初想定した効果が得られない場合、のれんの減損処理等によって当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社におきましては、これらの意思決定に際しては、対象となる企業の事業内容や財務内容、取引関係等について詳細な事前審査を実施し、十分にリスクを検討しております。

 

(6)情報セキュリティ事故に伴うリスク

 当社は、業務を遂行するうえで個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。情報漏洩等の情報セキュリティ事故が発生した場合、当社の社会的信用やブランドイメージの低下等によって当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社におきましては、情報セキュリティマネジメントシステムの国際認証規格「ISO27001」に基づき情報資産の管理を徹底しております。

 

(7)環境規制に伴うリスク

当社の主力製品である環境試験器は、使用時のエネルギー消費に起因して温室効果ガスを排出するほか、冷凍機の冷媒としてフロンを使用しています。脱炭素社会への移行に伴い、省エネルギー規制や温室効果を有する冷媒ガスの使用・排出規制等の環境規制がさらに強化される場合、規制に適合するためにコストが増加する可能性があります。また、これらの規制に対応ができない場合や遅れが生じる場合には、製品の販売に支障が出るなど当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社におきましては、「地球温暖化対策」をマテリアリティ(重要課題)の一つと位置づけ、省エネ製品や低GWP(地球温暖化係数)のフロン冷媒を搭載した製品の開発・提供や、100%再生可能エネルギーによる受託試験サービスの提供等に取り組んでおります。

 

(8)人材の確保・育成に係るリスク

当社が企業競争力を維持・強化していくためには、事業運営に必要な有能な人材を確保・育成する必要があります。労働市場の流動化や国内における労働人口の減少が進むなか、人材の獲得競争は激化しています。当社が有能な人材を確保・育成できない場合や、人材流出を防止できない場合には、事業運営への影響、技術・ノウハウの社外流出など、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社におきましては、多様な人材の獲得に向けた採用活動を積極的に行うとともに、従業員エンゲージメントの向上に向けて、企業文化の良質化や、多彩な「成長支援」と「活躍機会の提供」、多様なワークスタイルに対応する環境の整備等に取り組んでおります。

 

(9)グループガバナンス及びコンプライアンスに係るリスク

当社は、国内外に複数の子会社を有し、グローバルにビジネスを展開しております。グループでの統治が十分に機能せず、役員や従業員によるコンプライアンス違反や倫理違反等が発生した場合、社会的信用やブランドイメージの低下、損害賠償請求等によって当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社におきましては、グループでの内部統制を整備するとともに、エスペックグループに所属するすべての役員・従業員が遵守する「エスペック行動憲章・行動規範」の教育・徹底に取り組んでおります。また、各種コンプライアンス研修の実施や、コンプライアンス通報窓口(社内・社外)の設置・運用等、継続的にコンプライアンスの強化を図っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度の当社グループの事業環境につきましては、中期経営計画のターゲット市場としているAI半導体分野では、主に日本、東南アジア、台湾において電子部品・電子機器の試験需要が堅調に推移いたしました。衛星通信分野では、北米において低軌道衛星を運用する民間企業からの試験需要が大幅に拡大いたしました。一方、自動車関連につきましては、EV・バッテリー向けを中心に試験需要が大幅に減少いたしました。

 当連結会計年度の経営成績につきましては、受注高は北米、東南アジアが好調に推移し、前連結会計年度比で7.5%増加の72,596百万円、売上高は日本、北米、東南アジアが好調に推移し、4.1%増加の70,034百万円となり、いずれも過去最高を更新いたしました。利益面につきましては、カスタム製品の利益率改善は進んだものの、中国市場や受託試験サービスの収益悪化に加え、主に受注高の伸長に伴う販管費の増加により、営業利益は前連結会計年度比で5.9%減少し、7,084百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては前連結会計年度比で2.1%減少し、5,879百万円となりました。また、ROE(自己資本当期純利益率)は10.0%となりました。

 

 

前連結会計年度

(第72期)(百万円)

当連結会計年度

(第73期)(百万円)

対前期増減率(%)

受注高

67,514

72,596

7.5

売上高

67,288

70,034

4.1

営業利益

7,526

7,084

△5.9

経常利益

7,793

7,473

△4.1

親会社株主に帰属する当期純利益

6,003

5,879

△2.1

 

 

 セグメント別の状況につきましては、次のとおりであります。

 

当連結会計年度のセグメント別業績

 

受注高

(百万円)

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

装置事業

62,216

59,468

6,606

サービス事業

8,294

8,327

228

その他事業

2,529

2,747

239

連結消去

△442

△507

10

72,596

70,034

7,084

 

 

 

装置事業

 

 

前連結会計年度

(第72期)(百万円)

当連結会計年度

(第73期)(百万円)

対前期増減率(%)

受注高

57,283

62,216

8.6

売上高

57,507

59,468

3.4

営業利益

6,610

6,606

△0.1

 

 

サービス事業

 

前連結会計年度

(第72期)(百万円)

当連結会計年度

(第73期)(百万円)

対前期増減率(%)

受注高

8,532

8,294

△2.8

売上高

8,425

8,327

△1.2

営業利益

793

228

△71.2

 

その他事業

 

前連結会計年度

(第72期)(百万円)

当連結会計年度

(第73期)(百万円)

対前期増減率(%)

受注高

2,170

2,529

16.5

売上高

1,758

2,747

56.3

営業利益

126

239

88.7

 

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は82,922百万円となり、前連結会計年度末と比べ7,074百万円の増加となりました。

 負債は21,521百万円で前連結会計年度末と比べ2,367百万円の増加となりました。

 純資産は61,401百万円で前連結会計年度末と比べ4,707百万円の増加となりました。

 これらの結果、自己資本比率は74.0%と前連結会計年度末と比べ0.7ポイントの減少となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローの増加5,052百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの減少273百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの減少3,880百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額の増加1,032百万円等により、期首時点に比べ1,929百万円増加し、当連結会計年度末には14,695百万円となりました。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

 当連結会計年度における生産実績、受注実績及び販売実績は、次のとおりであります。

a.生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

対前期増減率(%)

装置事業

55,641

5.2

サービス事業

72

△15.2

その他事業

合計

55,714

5.1

(注) 上記金額は販売価格によっております。

 

 

b.受注実績

セグメントの名称

受注高(百万円)

対前期増減率

(%)

受注残高(百万円)

対前期増減率

(%)

装置事業

62,216

8.6

28,187

10.8

サービス事業

8,294

△2.8

1,730

△1.9

その他事業

2,529

16.5

424

△33.9

73,039

7.4

30,342

9.0

消去

△442

△6.3

△33

△65.9

合計

72,596

7.5

30,309

9.2

 

 

 

c.販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

対前期増減率(%)

装置事業

59,468

3.4

サービス事業

8,327

△1.2

その他事業

2,747

56.3

70,542

4.2

消去

△507

25.8

合計

70,034

4.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

 当連結会計年度の事業環境といたしましては、中期経営計画のターゲット市場であるAI半導体分野では、主に日本、東南アジアにて電子部品や半導体向けの試験需要が堅調に推移するとともに、台湾にてAIサーバー関連の受注を獲得いたしました。また、衛星通信分野では、北米にて低軌道衛星の試験需要が大幅に拡大し、受注高は5期連続で過去最高を更新いたしました。当社グループの取り組みといたしましては、装置事業では、ターゲット市場向けの新製品として、AIサーバー向け恒温恒湿室や大型基板の試験に対応した高度加速寿命試験装置等を発売いたしました。また、モノづくりの高効率化に向けて、京都府の福知山工場のリノベーション計画を策定いたしました。サービス事業では、受託試験サービスにおいて、「あいち次世代モビリティ・テストラボ」を中心に販売拡大に取り組みましたが、EV減速に伴う顧客の開発計画中止・遅れにより収益が悪化いたしました。新規事業では、サーマルソリューション事業として新製品・サービスを拡充いたしました。

 当連結会計年度の経営成績といたしましては、装置事業及びその他事業が好調に推移し、受注高は前連結会計年度比で7.5%増加の72,596百万円、売上高は前連結会計年度比で4.1%増加の70,034百万円となりました。売上原価につきましては、前連結会計年度比で5.6%増加し45,739百万円となりました。原価率といたしましては、カスタム製品の利益率改善は進んだものの、中国市場及び受託試験サービスの収益悪化により、65.3%と前連結会計年度比で0.9ポイント悪化いたしました。販売費及び一般管理費につきましては、受注高の伸長に伴う人件費や活動経費の増加等により、17,210百万円(前連結会計年度比750百万円の増加)となりました。これらの結果、利益面につきましては、前連結会計年度比で営業利益は5.9%減少し7,084百万円、経常利益は4.1%減少し7,473百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、政策保有株式の売却に伴う特別利益の計上により、2.1%減少の5,879百万円となりました。

 

b.セグメントごとの経営成績

<装置事業>

 環境試験器につきましては、国内市場では、EV・バッテリー向け投資の一服感により前連結会計年度比で受注高・売上高ともに減少いたしました。海外市場におきましては、北米、東南アジアの受注高が前連結会計年度比で大幅に増加いたしました。一方で、大型製品や複数台一括といった長納期案件が多かったことに加え、経済減速に伴う欧州、韓国の販売減少により、売上高は前連結会計年度並みとなりました。なお、中国については、デフレ経済の影響による競争激化はあったものの、受注高・売上高は前連結会計年度並みとなりました。

 エナジーデバイス装置につきましては、EVバッテリー向け投資の一巡により前連結会計年度比で受注高・売上高ともに減少いたしました。

 半導体関連装置につきましては、受注高は前連結会計年度比で減少いたしましたが、売上高はAIサーバー用電子部品向け一括案件の売上計上により大幅に増加いたしました。

 こうした結果、装置事業全体では、前連結会計年度比で受注高は8.6%増加し62,216百万円、売上高は3.4%増加し59,468百万円となりました。一方、利益面につきましては、カスタム製品の利益率改善は進んだものの、中国市場において競争激化により収益性が低下いたしました。さらに、受注高の伸長に加え、環境配慮型製品やターゲット市場向け製品の開発に伴う研究開発費の拡大等により販管費が増加し、営業利益は前連結会計年度並みの6,606百万円となりました。

 

<サービス事業>

 アフターサービス・エンジニアリングにつきましては、予防保全サービス・修理サービスともに堅調に推移し、前連結会計年度比で受注高・売上高ともに増加いたしました。

 受託試験・レンタルにつきましては、受託試験サービスにおいてEV需要減速に伴う顧客の投資抑制や開発計画変更の影響を受け、前連結会計年度比で受注高・売上高ともに減少いたしました。

 こうした結果、サービス事業全体では、前連結会計年度比で受注高は2.8%減少し8,294百万円、売上高は1.2%減少し8,327百万円となりました。利益面につきましては、アフターサービスにおいて技術料の見直しを行い、収益性の改善に取り組んだものの、受託試験サービスの減収及び減価償却費の増加により、71.2%減少の228百万円と大幅に減少いたしました。

 

 

<その他事業>

 環境保全事業及び植物育成装置事業を中心とするその他事業では、植物工場の大型案件の受注を獲得するとともに、緑地の改修工事に関する案件を獲得いたしました。

 こうした結果、前連結会計年度比で受注高は16.5%増加し2,529百万円、売上高は56.3%増加し2,747百万円となりました。利益面につきましては、増収により88.7%増加の239百万円と大幅に増加いたしました。

 

②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度末における総資産は82,922百万円となり、前連結会計年度末と比べ7,074百万円の増加となりました。これは主に売上高の増加に伴う売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産並びに電子記録債権)の増加3,560百万円、現金及び預金の増加1,928百万円、保有株式の時価上昇による投資有価証券の増加924百万円等によるものであります。

 負債は21,521百万円で前連結会計年度末と比べ2,367百万円の増加となりました。これは主に、契約負債の増加990百万円、繰延税金負債の増加596百万円、信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)導入等に伴う長期借入金の増加305百万円等によるものであります。

 純資産は61,401百万円で前連結会計年度末と比べ4,707百万円の増加となりました。これは主に、当連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純利益が5,879百万円計上された一方、配当金として2,323百万円が剰余金処分されたこと等による利益剰余金の増加3,551百万円、企業環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行及び株主還元策の一環による自己株式の取得等による減少2,099百万円、為替換算調整勘定の増加1,905百万円、その他有価証券評価差額金の増加803百万円等によるものであります。

 これらの結果、自己資本比率は74.0%と前連結会計年度末と比べ0.7ポイントの減少となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローによる資金の増加5,052百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの減少273百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの減少3,880百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額の増加1,032百万円等により、期首時点に比べ1,929百万円増加し、当連結会計年度末には14,695百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は5,052百万円(前年同期は、4,445百万円の資金の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益8,077百万円の計上による資金の収入、売上高の増加に伴う売上債権の増加による資金の支出2,626百万円、法人税等の支払による資金の支出2,081百万円、減価償却費の計上1,960百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は273百万円(前年同期は、1,154百万円の資金の支出)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出1,406百万円、投資有価証券の売却による収入1,065百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は3,880百万円(前年同期は、7,245百万円の資金の支出)となりました。これは主に企業環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行及び株主還元策の一環による自己株式の取得等による支出2,751百万円、配当金の支払額2,316百万円、信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)及び株式給付信託(J-ESOP)の導入に伴う自己株式の処分等による収入960百万円等によるものであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金を自己資金で賄うことを基礎としておりますが、必要に応じて銀行借入により資金調達しております。

 また、運転資金の効率的な調達を行うため、当連結会計年度末において複数の機関との間で合計3,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高3,000百万円)。

 事業活動における運転資金需要の主なものは、当社製品の製造に係る原材料費、労務費、外注加工費等の製造費用、各事業についての販売費及び一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、製造用設備やレンタル用設備、受託試験用設備への投資に加え、情報処理のためのソフトウエアへの投資等があります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって適用した重要な見積りの方法につきましては、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループでは研究開発活動としてコア技術である環境創造技術の深耕とネットワークシステム技術や電子デバイス計測制御技術との組み合わせにより、中期経営計画のターゲット市場であるAI半導体や自動運転分野に向けた各種試験装置の製品開発を行いました。また、新たな事業領域である食品機械市場に向けた製品開発や、シミュレーション技術とのコラボレーションによる熱解析サービスの育成、省エネルギー・地球温暖化対策といった環境負荷低減技術の研究開発を行ってまいりました。

当連結会計年度における研究開発費は1,521百万円であり、事業セグメント別の研究開発費は装置事業1,462百万円、サービス事業58百万円です。装置事業及びサービス事業の研究開発活動の成果は次のとおりであります。

 

(1)装置事業

①直近においては、地球温暖化係数(GWP: Global Warming Potential)の低い新冷媒R-473Aを搭載した恒温恒湿器の各モデル及び自然冷媒CO2冷媒 R-744(GWP値1)を搭載した恒温恒湿器の各モデルの開発を進めております。並行して、将来を見据えた次世代ノンフロン冷凍制御システムの開発にも取り組んでおり、独自技術により性能向上と省エネの両立を実現し、製品ライフサイクル全体の温室効果ガス排出量低減に貢献してまいります。

②急速温度変化チャンバーのハイパフォーマンスモデルをラインアップしました。本モデルは、半導体の業界試験規格及び国際試験規格に適合し、試料温度を20℃/分で勾配制御可能です。高集積化・高密度化により発熱量が増大する高性能半導体の信頼性確保に向けた試験需要に応えてまいります。

③高度加速寿命試験装置に大型基板対応モデルをラインアップしました。本モデルにより一度の試験で大量の試料を評価することを可能とし、電子部品等の開発期間短縮と高信頼性の確保に貢献します。

④AIサーバーの信頼性評価用として、サーバー稼働時を想定した発熱負荷(30kW、60kW)でも試験可能な高発熱負荷対応 恒温恒湿室ウォークインチャンバー2機種を発売しました。本製品は、独自の制御システムにより精密に温湿度制御を行い、サーバーの信頼性評価に関する試験規格ASHRAEに適合した試験を実施することが可能です。本製品により、発熱量の高い高性能半導体や電源を搭載するAIサーバーの信頼性確保に貢献します。

⑤パワーデバイスの放熱特性を評価する「過渡熱抵抗測定機能付パワーサイクル試験装置」を発売しました。当社独自の低ノイズハードウェア設計と新たに採用したノイズ除去アルゴリズムにより、パワーデバイス各構成部材の熱特性を可視化し、熱による劣化カ所の分析を容易にしました。これによりパワーデバイスの長期信頼性に向けた改善に貢献します。

⑥AI半導体市場向けに卓上型無風恒温槽「ワンデバイスチャンバー」をモデルチェンジしました。本モデルは、温度範囲を-30℃~+150℃に拡大するとともに、コントローラーを一新し、PC専用ソフトウェアを用いることでプログラム運転機能を実現しました。本製品により、半導体パッケージや電子実装基板の信頼性評価や、熱設計・熱対策に貢献します。

⑦「熱変形・熱画像データを用いた基板反りCAE解析結果の妥当性確認サービス」を開始しました。本サービスにより、半導体パッケージや電子実装基板をはじめとする電子部品や電子機器の、信頼性向上や評価期間短縮に寄与します。

⑧-70℃の超低温で食品を急速に冷凍し、生鮮食品も鮮度を保ちながら保存できる「超低温ショックフリーザー」を発売しました。環境試験器メーカーならではの独自の温度制御技術を活用し、フードロスの削減という社会課題の解決に貢献します。

⑨神戸R&Dセンターに設置されている全天候型試験ラボを活用し、新たな試験方法の開発を進め、学術講演会等において情報発信を行っております。全天候型試験ラボでは、温度、湿度、雪、雨、霧、太陽光、風のような地球上のさまざまな気象環境を動的に再現することができます。社外への情報発信を進め、顧客の最先端ニーズに応えてまいります。

 

(2)サービス事業

①オンラインコア及びオンラインコンバーターと顧客の試験システムを連携させた環境試験モニターの提供を開始しました。試験データや装置稼働状況を一元的に可視化し、顧客の環境試験業務の効率化及びDX推進に貢献していきます。

②水没試験・浸漬試験を自動で実行できる水没試験装置を開発し、受託試験を開始しました。本装置は、冬場に雨や雪で濡れた道路を車両で走行する場合を想定し、高温になったシステム/コンポーネントに冷水がかかる状態を模擬します。安定した試験プロセスで試験を実施でき、作業者の介在を減らして試験時間の短縮に貢献します。