第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2023年3月24日)現在における、当社グループの将来に関する見通し及び計画等に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは記載の見通しと異なる可能性があります。

 

(1) 企業理念及び目指す企業像

 当社は、変化し続ける時代において、世の中から広く求められ社会の基盤となるような事業の創造を目指しております。

Mission 存在意義 社会と人々に豊かさを

Vision  将来の姿 No.1/Only1を創造し続ける事業グループ

Value  行動指針 時代のニーズを掴み、一歩先を考える

生活を豊かにする商品/サービスを追求する

成長性と革新性を尊重し、チャレンジを応援する

 

 当社グループは、2022年2月22日に公表のとおり、コア事業を従来の「ものづくり」「ヘルスケア」から、「ものづくり(部品・材料)」「ものづくり(音響機器関連)」と再定義いたしました。

 「No.1/Only1を創造し続ける事業グループ」という事業ビジョンに基づき、収益力を高め成長分野へ適切な投資を行い、以下の基本戦略に沿って中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

 [グループ経営の基本戦略]

・コア事業である「ものづくり」事業のシェアと収益力の向上

・非連続的成長に向けたデジタル技術の事業領域横断的な活用

・成長投資財務体質強化を両立させるリスクコントロール

 

 [ものづくり分野の事業における課題]

・素材開発技術を用いたペン先部材・コスメ部材・金属部材等の収益力拡大の継続

・音楽・エンターテイメント向け音響機器事業の収益力拡大

・研究開発やアライアンスによる保有技術の新分野への展開

 

 [中期経営計画 FY25の重要施策と進捗]

① グループ事業の既存分野の強化及び成長分野への投資育成により、成長性と革新性の高い事業グループへ

 各事業子会社の中期重要施策は以下のとおりです。

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 各社中計進捗状況は、以下のとおりです。

テイボー

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AlphaTheta

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JLab

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② ROE8%に向けた財務戦略の推進

 ROE8%以上に向けて、キャッシュ・フロー創出力を高めます。

 成長投資はしながらも、財務健全性を維持し、継続的かつ安定的な株主還元を実施いたします。

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ROE8%の達成に向けた課題とロードマップ

 ROE8%の達成には、総資産回転率が低いため、資本効率の引き上げが課題であります。

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 余剰資金を成長投資に振り向け、既存事業の拡大や新領域の発展により、資本効率を引き上げることにより、ROEを改善してまいります。

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③ サステナビリティやガバナンス経営の推進

 2022年度は、マテリアリティの対応計画を推進、TCFD提言への賛同を表明、各種方針をホームページに開示いたしました。また、2023年度につきましても各目標達成に向けた活動を推進し、統合報告書の発行を目指します。

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 世界水準の技術や品質を持ったものづくり企業をグループの主軸に、No.1/Only1を創造し続ける集団として事業活動を通じて、より良い社会へ貢献します。

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(2) 経営環境

 当社グループはポートフォリオ経営を実施しているため、経営環境は事業セグメントにより異なります。セグメントごとの経営環境は以下のとおりです。

 オミクロン株による新型コロナウイルス感染症の拡大、ロシアのウクライナ侵攻、国際商品相場の高騰、上海ロックダウン、欧米のインフレ加速と景気悪化などにより、経済環境は、想定外の展開となり、先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況下、ものづくり(部品・材料)分野においては、筆記においては、欧州、中国、国内市場が軟調であるものの、アジア及び中南米の需要が回復し、MIMについては上半期は顧客の生産調整による影響が継続する見通しでありますが、下半期には再び成長基調となることを見込んでおります。また、コスト面については生産性の向上や省エネ等に取り組み、収益性の改善に取り組みます。

 ものづくり(音響機器関連)分野においては、ATCについては、堅調な需要に支えられ、下半期に向かい生産の課題が解決し、堅調に成長するものと見込んでおります。コスト面については、上半期は部材調達に係る原価や物流費などのコスト増の環境が継続するものの、下半期には正常化に向かうものと見込んでおります。またJLabについては、米国の市場の落ち込みが継続すると見込んでおりますが、新商品展開や米国以外でシェア拡大を図ってまいります。

 新型コロナウイルス感染症については、当社グループの全ての事業活動にも一定の影響を及ぼしておりますが、当連結会計年度の業績が前連結会計年度末に見積った内容から大きく乖離しなかったことを踏まえ、新型コロナウイルス感染症の当社グループに与える影響は引き続き限定的であると考えております。

 

(3) 経営目標

 2022年2月に公表した中期経営計画 FY25の経営目標は以下のとおりです。

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(注) 中期経営計画 FY21は連結外となった医療情報の数値を除く

(事業EBITDA=営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く))

 

 売上収益、事業EBITDA、営業利益の推移は以下のとおりです。

 

 主要3社グループ事業への投資を通じて、収益性を向上させながら成長を実現してまいります。

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 配当の状況は以下のとおりです。

 

2022年12月期の配当は普通配当42円と特別配当110円の合計152円

2023年12月期の配当予想は、配当性向40%として49円

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2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、特段記載のないものは有価証券報告書提出日(2023年3月24日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループの事業について

 当社グループは、「ものづくり」分野において、事業機会創出・拡大と収益力の強化に取り組んでいます。事業計画策定及び投資にあたっては慎重かつ精緻に調査を行っておりますが、予期せぬ事態により計画どおり進捗しなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症については、当社グループの全ての事業活動に一定の影響を及ぼしています。当社及び各事業会社の経営会議や取締役会において、その影響は適宜報告されており、状況の把握や対策について議論を行っております。その結果、当連結会計年度の業績が前連結会計年度末に見積った内容から大きく乖離がなかったことや、当社グループの事業内容等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の当社グループに与える影響は限定的であると考えております。会計上の見積りに対しての前提については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の見積り及び判断の利用」をご参照ください。

 

(2) 為替の影響について(発生可能性:大  影響度:中)

 当社グループの連結売上収益に占める海外売上収益の割合は、2021年12月期85.7%、2022年12月期88.6%となっております。そのため、為替の変動が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクについては非常に多種多様なファンダメンタルズに影響を受けるため、顕在化する時期について予想が困難であります。現時点では主として本邦通貨建を中心に取引を行うこと及び債権債務の通貨の組み合わせによるナチュラルヘッジを用い、当該リスクについて対策しております。リスク分析については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.金融商品 (2) 財務上のリスク管理方針 ① 為替リスク管理」をご参照ください。

 

(3) カントリーリスクについて(発生可能性:中  影響度:中)

 当社グループの事業は、世界に販路を拡大しております。当社グループが事業活動をしている様々な市場における景気後退やそれに伴う需要の縮小、あるいは海外各国における予期せぬ事故、法規制等の変更により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、海外売上規模については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.事業セグメント (5) 地域ごとの情報」をご参照ください。各事業体が日常的に取引先とコミュニケーションを行うことにより、業務フローを通じて当該リスク管理を行っております。

 

(4) 取引先の与信リスクについて(発生可能性:小  影響度:中)

 当社グループは、新たな成長分野における事業機会を模索する中、各業域における新たな取引先の開拓を積極的に行っております。すべてのセグメントにおいて、取引先の個別与信の判断及び各業域の取引慣行等の事業ノウハウを習得しておりますが、景気後退等による不測の取引先の倒産等が発生することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する時期については個別事情によるところがあり予想が困難でありますが、すべての営業債権についてグループ方針に則り予想信用損失を引き当てております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.金融商品 (2) 財務上のリスク管理方針 ④ 信用リスク管理」をご参照ください。

 

(5) 生産活動について(発生可能性:中  影響度:大)

 当社グループで生産している製品の多くは、国内の工場及びアジア拠点の委託先において生産を行っております。そのため、天災や人災等により工場設備に著しい被害が生じた場合、又は、甚大かつ広域的に発生した大震災の影響で電力需給問題等が生じた場合、生産活動に支障を来す、又は、生産活動ができなくなる可能性があることを認識しております。これらの工場における生産活動の停滞や本社工場の復旧費用等は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクについては発生の時期の予想は困難でありますが、災害時には各社の事業継続計画書に基づき適切な対応が行えるよう体制を整備しております。設備への影響の程度については、「第3 設備の状況」をご参照ください。

 

(6) サイバーリスクについて(発生可能性:小  影響度:大)

 当社グループは、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。当該リスクについては発生時期の予想は困難でありますが、当社グループでは情報セキュリティポリシーを制定し、安全性及び信頼性に万全の対策を講じるとともに、特に関連性の高い傘下のグループ会社では「プライバシーマーク」を取得する等個人情報保護に努めております。しかし、予測しない不正アクセス等により、顧客情報や当社グループの機密情報が漏洩し、また、その漏洩した情報が悪用された場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等が発生する可能性があります。さらに顧客情報の漏洩等が当社グループの信用低下や企業イメージの悪化につながることで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 特許及びその他の知的財産について(発生可能性:小  影響度:大)

 当社グループが研究開発及び生産活動を行う中で様々な知的財産権にかかわる技術を使用しており、それらの知的財産権は当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたもの等であると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 企業買収について(発生可能性:中  影響度:中)

 当社グループは、成長戦略実現のため、今後も積極的に企業買収を実施する予定です。企業買収にあたり、対象となる企業の資産内容や事業状況についてデューディリジェンス(適正価値精査)を実施し、事前にリスクを把握しております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等に伴って当社グループが期待する利益成長やシナジー効果が目論見どおりに実現できない可能性があり、また今後予期しない債務又は追加投入資金等が発生する可能性があり、これらが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクにつきましては発生時期の予想は困難でありますが、定期的なモニタリングを通じ、最重要会議体にて適宜報告・議論を行う体制をとり、リスクに備えております。また、発生の兆候が認識された際は、適切な測定手続きを通じて、適正に財務諸表に反映する体制をとっております。業務執行と監督の体制は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を、リスクが顕在化したときの影響額については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 10.のれん及び無形資産」をご参照ください。

 

(9) のれんについて(発生可能性:中  影響度:中)

 当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれんを計上しております。当社グループは、当該のれんにつきまして、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られない場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。リスクの発生時期、対策、規模等については上記「(8) 企業買収について」をご参照ください。

 

(10) サプライチェーンに関するリスク(発生可能性:中  影響度:大)

 当社グループは生産に使用する様々な原材料・部品等を国内外の調達先から購入しております。当社が調達先から購入する原材料や仕入商品の価格やリードタイムは、世界的な需給動向や輸送環境の動向による影響を受けており、これらの要因が長期にわたる混乱に及んだ場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクの発生時期を見積ることは困難ですが、当連結会計年度においては一定程度影響を及ぼしました。当社グループは、代替部品の検討、製品設計や調達先の多角化、また製品への適正な価格転嫁などにより、需給動向や輸送環境の動向の変動リスクの低減に取り組んでおります。また、サステナビリティの観点に対する社会的要請により、サプライチェーン上の人権状況のチェックや、環境への配慮について、より高度な対応が求められており、調達先に対応の不備があれば、原材料や仕入商品の調達停止による当社グループの財政状態及び経営成績への影響だけでなく、社会的評価が悪影響を受ける可能性もあります。当該不備によるリスクが顕在化する時期を見積ることは困難ですが、当社グループはサステナビリティの取り組みの中で、サプライチェーン管理体制の構築を通じリスクの低減に向けた活動を推進しております。

 

(11) 気候変動に関するリスク

 当社グループは気候変動への対策を重要課題(マテリアリティ)の1つとして掲げ、2022年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFD提言に沿って、事業に与えるリスク・機会を把握し経営戦略へ反映させるとともに、情報開示を進め、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長を目指してまいります。気候変動が事業に与えるリスク・機会に対し当社グループのレジリエンス性の強化や新たな戦略の検討を目的として、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)が公表する「2℃未満シナリオ(一部1.5℃)」と「4℃シナリオ」を用い、シナリオ分析を行いました。また、定量分析では2030年に想定される財務影響を試算しました。

 2℃未満シナリオでは、脱炭素社会への移行に向けた政策や規制が強化されることにより、対応コストが増加、発生することが想定されます。

 4℃シナリオでは、異常気象の激甚化や平均気温の上昇等により対応コストが増加、発生することが想定されます。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは、資本市場における財務諸表の国際的な比較可能性の向上及びグループ内での会計処理の統一等を目的とし、2016年3月期から従来の日本基準に替えて国際会計基準(IFRS)を任意適用し、連結財務諸表を作成し開示しております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2021年12月31日)

 

当連結会計年度

(2022年12月31日)

 

対前連結会計年度

増減率(%)

資産合計

264,141

 

307,257

 

16.3

 流動資産

77,972

 

128,539

 

64.9

 非流動資産

186,168

 

178,717

 

△4.0

負債合計

137,404

 

114,388

 

△16.8

 流動負債

46,106

 

67,109

 

45.6

 非流動負債

91,298

 

47,278

 

△48.2

資本合計

126,736

 

192,869

 

52.2

 親会社の所有者に帰属する持分

111,024

 

192,518

 

73.4

 非支配持分

15,711

 

350

 

△97.8

 

(資産、負債及び資本の状況)

 当連結会計年度末の資産合計は3,072億57百万円となり、前連結会計年度末と比較して431億16百万円増加いたしました。これは主としてJMDCの株式の一部を譲渡し連結の範囲から除外したことに伴う流動化及びその他の金融資産として再評価したことによる増加であります。科目別の詳細は以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度にPEAG, LLC dba JLab Audio(以下「JLab」という。)の企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行ったことにより、前連結会計年度の各数値は修正再表示しております。

 

 流動資産は、505億67百万円の増加となりました。これは主に現金及び現金同等物が582億95百万円増加し、売上債権及びその他の債権が70億30百万円減少したことによるものであります。

 非流動資産は、74億50百万円の減少となりました。これは主にその他の金融資産が325億8百万円増加し、使用権資産が57億73百万円、のれんが235億90百万円、無形資産が47億62百万円減少したことによるものであります。

 

 負債合計は230億16百万円の減少となりました。これは主に未払法人所得税が342億25百万円、繰延税金負債が65億95百万円増加し、仕入債務及びその他の債務が69億86百万円、借入金(流動・非流動)が475億65百万円、契約負債が31億68百万円、リース負債(流動・非流動)が58億5百万円減少したことによるものであります。

 

 資本合計は、661億33百万円の増加となりました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益1,015億48百万円等に伴って利益剰余金が943億15百万円増加し、その他の資本の構成要素が128億76百万円、非支配持分が153億60百万円減少したことによるものであります。

 

 資本の財源及び資金の流動性に関しては以下のとおりであります。

 2022年1月より開始した「中期経営計画 FY25」において、当社グループでは純有利子負債EBITDA倍率が3倍を超過しない範囲を目安として調達をコントロールしております。

 2023年12月期に計画している主な設備投資はものづくり(部品・材料)セグメントにおける生産設備とものづくり(音響機器関連)セグメントにおける基幹系システムのリプレイス等であります。その他、提出日現在、大規模な投資計画については予定しておりません。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大等により、一定の影響を受ける可能性があるため、その対策として、当社グループは手元現預金を一定の水準で保っており、親子間の融資を機動的に実施できる体制にしております。さらに当社及び一部の連結子会社は取引金融機関との間で短期借入枠を設定し、外部からの資金調達も可能な状態としております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物のアロケーション及び借入枠の未使用残高は以下のとおりであります。

(国内会社保有分)    91,008百万円

(海外子会社保有分)    5,428

(借入枠の未使用残高)  19,739

 

 2022年2月25日に「ヘルスケア」セグメントのうち医療情報に関する事業を担っていたJMDCの株式の一部を譲渡し連結の範囲から除外し、コア事業である「ものづくり」事業の収益力・組織力の強化に集中的に取り組む基盤を作ってまいりました。JMDCの連結除外を機に「ヘルスケア」セグメントを廃止し、「ものづくり」セグメントの内訳であった「部品・材料」「音響機器関連」また従来の「ヘルスケア」セグメントに属していた医療検査に関する事業はその重要性から「その他」とした、3つの報告セグメントに変更しております。

 

 当連結会計年度における事業の状況は、以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度にJMDCとその子会社を非継続事業に分類したこと、JLabの企業結合に係る取得対価の配分が完了したことにより、前連結会計年度の各数値は修正再表示しております。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

 

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

 

前年同期比

売上収益

54,481

 

73,515

 

19,034

(34.9%)

事業EBITDA(注)

10,739

 

11,367

 

628

(5.8%)

営業利益

6,068

 

1,262

 

△4,806

(△79.2%)

税引前当期利益

5,315

 

3,944

 

△1,370

(△25.8%)

親会社の所有者に帰属する当期利益

5,115

 

101,548

 

96,433

(-%)

基本的1株当たり当期利益(円)

143.58

 

2,848.36

 

2,704.78

(-%)

(注) 事業EBITDA=営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)

 

(売上収益)

 2021年5月に「音響機器関連」事業にJLabが加入したこと、またDJ機器については欧米の需要回復により増収となったこと、「部品・材料」事業においても引き続きMIM事業の顧客の生産調整等のマイナス影響を受けているものの、ペン先事業においては順調に販売が伸びたことにより増収となり、売上収益は735億15百万円(前年同期比34.9%増)となりました。

 

(事業EBITDA)

 主として部材の調達コストや、原油の高騰等による光熱費が前年同期に比較し増加したこと、また欧州における関税区分の指導通知を受け、追加の関税費用を保守的に3年分見積ったため原価率が悪化しました。また、将来のための投資(研究開発、生産体制の強化等)はおおむね予定通りに実行しており、その結果事業EBITDAは113億67百万円(前年同期比5.8%増)となり、増収による影響は限定的なものにとどまりました。

 

(営業利益)

 非金融資産の減損テストにおいて、米国金利上昇などに伴い、JLabの株式価値の計算過程に用いる割引率が大きく上昇しました。JLabは、輸送リードタイムの長期化や輸送コストの高騰などの外部要因がある中でも、米国市場において前年対比+6%*1、米国外の市場では+46%の成長をしており、コスト削減等にも取り組んでおりますが、主に割引率の上昇を受け、59億円の減損損失をその他の費用に計上し、営業利益は12億62百万円(前年同期比79.2%減)となりました。

*1 出典:NPD Group, Inc。米国におけるトゥルーワイヤレスイヤホンのカテゴリにおける販売金額の対前期成長率

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 JMDCの株式の一部を譲渡したことにより、その売却益や再評価に関連する収益と関連する税金費用を非継続事業からの当期利益に974億22百万円計上しました。また、主に外貨建ての金融資産の為替相場が大きく有利に働いたことによる金融収益を64億52百万円計上し、持分法投資の株価の市場価格の下落による減損損失相当の持分法投資損失を20億64百万円計上しました。それらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,015億48百万円(前年同期は51億15百万円)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 各セグメント別の売上収益は外部顧客への売上収益を記載しており、また、セグメント利益を表す事業EBITDAは営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)の計算式で算出しております。

(単位:百万円)

 

 

 

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

 

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

 

前年同期比

売上収益

 

事業EBITDA

 

事業EBITDA

マージン

(%)

 

売上収益

 

事業EBITDA

 

事業EBITDA

マージン

(%)

 

売上収益

 

事業EBITDA

 

事業EBITDA

マージン

(pt)

ものづくり

部品・材料

12,282

 

4,185

 

34.1

 

12,717

 

3,718

 

29.2

 

434

 

△466

 

△4.8

 

音響機器関連

41,107

 

7,076

 

17.2

 

59,516

 

8,234

 

13.8

 

18,408

 

1,158

 

△3.4

 

合計

53,390

 

11,261

 

21.1

 

72,233

 

11,953

 

16.5

 

18,842

 

691

 

△4.5

その他

 

1,090

 

273

 

25.0

 

1,282

 

272

 

21.3

 

191

 

△0

 

△3.8

全社費用

 

 

△795

 

 

 

△858

 

 

 

△63

 

 

a.ものづくり(部品・材料)

 部品・材料事業においては、MIMについては販売先の在庫調整などの影響を受け前年対比が横ばいとなったものの、筆記においては堅調に販売は進捗し、増収となりました。しかし、物流コストの増加、原油高騰等に伴う電力料金及び原材料の価格上昇などの外部環境の変化を受け、一部販売価格の見直しは開始しましたが、売上収益は127億17百万円(前年同期比3.5%増)と増加したものの、事業EBITDAは37億18百万円(前年同期比11.1%減)と前年同期と比べ4億66百万円の減益となりました。

 

b.ものづくり(音響機器関連)

 音響機器関連事業においては、2021年5月にJLabがグループに加入したこと、またAlphaTheta株式会社においても強い需要に支えられ増収となりましたが、足元回復基調ではありますが期初からの世界的な物流の混乱の影響や半導体不足等による調達難からマージンが低下していることに加え、欧州の関税区分の指導通知を受け、追加の関税費用を保守的に見積ったことなどにより、売上収益は595億16百万円(前年同期比44.8%増)、事業EBITDAは82億34百万円(前年同期比16.4%増)と前年同期と比べ11億58百万円の増益となりました。

 

c.その他

 その他の事業は、売上収益は12億82百万円(前年同期比17.6%増)、事業EBITDAは2億72百万円(前年同期比0.1%減)と前年同期と比べほぼ横ばいとなりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

 

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

3,907

 

11,738

投資活動によるキャッシュ・フロー

△40,460

 

93,391

財務活動によるキャッシュ・フロー

4,275

 

△47,586

現金及び現金同等物の為替変動による影響額

821

 

752

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△31,455

 

58,295

現金及び現金同等物の期末残高

38,141

 

96,436

 

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ582億95百万円増加し、964億36百万円となりました。これは主としてJMDCの株式の一部を譲渡したことによる資金の増加によるものです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは117億38百万円の資金の増加となりました。

 表示科目単位での資金の増加の主な要因は、非継続事業からの税引前当期利益1,471億75百万円、減価償却費及び償却費52億51百万円、固定資産に係る損益59億34百万円となっております。資金の減少の主な要因は、子会社株式売却益1,007億26百万円、投資有価証券評価益461億8百万円となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは933億91百万円の資金の増加となりました。

 表示科目単位での資金の増加の主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入962億円となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは475億86百万円の資金の減少となりました。

 表示科目単位での資金の増加の主な要因は、長期借入れによる収入350億円となっております。資金の減少の主な要因は、長期借入金の返済による支出750億44百万円となっております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

ものづくり(部品・材料)

12,280

1.4

合計

12,280

1.4

(注)1 金額は標準的販売価格にて算出しております。

2 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。

3 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しております。

 

b.仕入実績

 ものづくり(音響機器関連)セグメントにおいては、ファブレス経営を実施しております。

 製造委託の仕入実績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

ものづくり(音響機器関連)

30,373

71.8

合計

30,373

71.8

(注)販売増加により、仕入実績が増加しております。

 

c.受注実績

 当社グループは、受注生産方式の該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

ものづくり(部品・材料)

12,717

3.5

ものづくり(音響機器関連)

59,516

44.8

その他

1,282

17.6

合計

73,515

34.9

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。

3 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。

4 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、「No.1/Only1を創造し続ける事業グループ」を目指し、事業活動を行っております。当連結会計年度において従来の「ヘルスケア」セグメントのうち医療情報に関する事業を担っていたJMDCの株式の一部を譲渡し連結の範囲から除外し、コア事業である「ものづくり」事業の収益力・組織力の強化に集中的に取り組む基盤を作ってまいりました。JMDCの連結除外を機に「ヘルスケア」セグメントを廃止し、「ものづくり」セグメントの内訳であった「部品・材料」「音響機器関連」また従来の「ヘルスケア」セグメントに属していた医療検査に関する事業はその重要性から「その他」とした、3つの報告セグメントに変更し、基盤事業の収益力・キャッシュ創出力の向上を図ってまいりました。当社グループは収益力・成長分野への投資実効性の指標として、事業EBITDAを重要な管理指標として結果を分析、評価しております。その詳細は「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当連結会計年度は中期経営計画 FY25の開始の年度でありました。FY25に事業EBITDA175億円を目標に各重要施策を推進してまいります。当連結会計年度の目標に対する進捗状況は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営目標」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、当連結会計年度において保有していたJMDCの株式の一部を譲渡し連結の範囲から除外しました。詳細は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当該売却によって得た資金により、一部金融機関からの借入金の返済と特別配当の実施を行いました。またノンリコースローンからコーポレートローンへのリファイナンスを実施し、より効率的で機動的な財務状況といたしました。これらの結果、当連結会計年度末は、前連結会計年度末と比較し582億95百万円の資金の増加となりました。

 資金の流動性については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 引き続き、基盤事業の収益力を高め、成長分野に適切に投資し、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(株式譲渡に関する契約)

 当社は2022年2月22日開催の取締役会において、当社が保有するJMDCの一部株式をオムロン株式会社へ譲渡することを決議し、2022年2月25日に譲渡いたしました。詳細等につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.非継続事業」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動につきましては、多様化するお客様のニーズに対応し、独自のノウハウとアイデアを盛り込んだ魅力ある商品開発を目的として、常に未来を見据え、果敢にチャレンジし、進化しつづける研究開発活動に注力しております。当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は5,330百万円であり、主にものづくり(音響機器関連)セグメントにおいて発生しております。

 なお、研究開発費の総額に受託研究等の金額4百万円を含めております。