第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、1977年の創業以来、「光産業を通じ、社会に貢献します」という経営理念の下、光学製品の総合メーカ「光ソリューション・カンパニー」として、「暮らし」や「いのち」を支える光ソリューションを提供しております。今後も、弛まぬ「ものづくり」への挑戦による新たな価値創出に取り組み、グローバルマーケットでの競争力の向上に努めてまいります。又、急変する外部環境に対して、製品の安定供給、人権の尊重、ガバナンスの強化、並びに気候変動への対応等、当社を取り巻くリスクと機会に適切に対応することで、レジリエントでサステナブルな社会の実現に貢献し、当社に関わる全てのステークホルダーの皆様のご期待に応え続ける企業集団を目指してまいります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、より強固な経営基盤の構築を推進し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益と売上高営業利益率、自己資本利益率(ROE)を重視し、収益力の向上に取り組んでおります。

 

(3) 当社を取り巻く経営環境

光を用いて物質を「加工」「観察」「計測」する等の光技術は、私達の生活の様々な所で活用されており、まさに「光の時代」の到来を迎えようとしております。特に最先端の学術分野及び産業分野では、「高精密化」、「高精細化」、「高耐久化」のニーズが高まっており、その実現に向けて高度な光技術が欠かせなくなっております。

当社グループは、「光ソリューション・カンパニー」として、長年蓄積した最先端の技術・情報・ノウハウを駆使し、幅広く事業を展開しております。量子、時間計測・情報通信、材料、バイオ・ライフサイエンス、天文等の基礎研究や学術分野の他、半導体、電子部品、フラットパネルディスプレイ(FPD)、次世代通信、センシング、ナノテクノロジー、バイオ・ヘルスケア、医療・美容、航空・宇宙、エコ・エネルギー等の産業分野に対して、高性能・高品質・高信頼性の光学製品を提供しており、当社グループの事業機会はますます拡大していくと考えております。

一方、急速なデジタルトランスフォーメーションによる社会基盤の変化、温暖化をはじめとした気候変動、地震・豪雨などの自然災害の他、エネルギー資源の枯渇、既知・未知の感染症の感染拡大、地政学的リスクの高まり、少子高齢化の進展や人権の尊重への侵害などによって、急激に事業環境が変動した場合、当社グループの事業活動に影響を与える可能性がございます。

2025年5月期においては、欧米諸国の個人消費等を中心に底堅く推移したものの、ロシア・ウクライナ情勢及び中東情勢の長期化等の地政学的リスクの高まり、各国金融政策の変更にともなう為替変動等に加えて、米国政権の相互関税を巡る世界各地での通商政策の変化等による景気減速が懸念される等、先行き不透明さを強める状況となりました。反面、当社の主要マーケットである電子部品・半導体関連を中心としたエレクトロニクス業界においては、設備投資需要に回復の兆しが見られております。

このような中、最先端の学術分野及び産業分野のトレンドである、「高精密化」、「高精細化」、「高耐久化」というキーワードの下、新たな光技術に対応する最先端の光学製品の需要増加が見られており、今後の事業機会の拡大が期待されております。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略等

光の時代の到来を迎える中、「光」の可能性を1つずつ形にしてきた「光ソリューション・カンパニー」である当社グループは、「光技術の可能性」を先見し、市場環境・技術トレンド・社会情勢等の変化対応力を高めるべく、長期的な視点に基づく企業風土への変革に向けた中長期経営方針「Great Reset」を推進しております。中長期経営方針の下、以下の4つの重点戦略を強力に進め、日々の「暮らし」や「いのち」を支えることで、社会に貢献してまいります。

<4つの重点戦略>

①成長戦略

・最先端の知・中核技術の融合を通じた新市場・成長市場への展開を強化

・グループ総合力の強化による既存事業の継続成長

②ビジネスモデルの変革

・特定マーケット向けのオリジナル製品の企画、開発、生産への挑戦

・特定マーケット向けの専門企業とのコラボレーション企画、開発の拡大

③事業継承・中核人材育成

・経営意思決定への参加機会の拡大による実戦を通じた次世代経営幹部の育成

・当社オリジナル人材教育研修の拡充による経営理念の浸透及び主体的に価値創出に挑戦する人材の育成

④社会貢献

・すべてのステークホルダーの期待に応え、持続可能な社会に貢献するサステナビリティ経営の推進

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、経営理念の下、中長期経営方針に基づき、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を、以下の項目と認識しており、重点的に取り組んでまいります。

 

<重点取り組み事項>

①営業・マーケティングの強化

積極的な国内外の有力光学展示会への出展や「光ソリューション・カンパニー」ならではの提案営業によるお客様との良好な信頼関係の構築を推進いたします。又、グローバル・ウェブカタログ・システムやSNSを活用した動画による製品紹介、オンラインを活用したフォーラム・セミナー開催等によるお客様とのコミュニティの構築、お客様の属性情報等のデータを活用した情報提供等を推進し、「OptoSigma」ブランドの認知度向上とグローバルマーケットでの需要創出に努めております。

又、最先端の光技術の研究開発を行っている大学や研究機関等との長年に亘る信頼関係の下、当社グループの国内外のネットワークを生かした産官学の連携・協働による最先端の光技術の知の融合に取り組み、光技術の新たな可能性を広げる様々なプロジェクトにも参画しております。最近では、成長産業分野の企業とのコラボレーションによる製品企画・開発も推進しており、光技術を活用した社会課題の解決のための光ソリューションの創出に努めております。

 

②ものづくり力の強化

最先端の研究開発分野やコスト競争の激しい産業分野の多様なニーズに対応すべく、「品質の向上と安定」、「コストダウン」、「短納期化」、「必要数量の適時提供」を強力に推進しております。「光ソリューション・カンパニー」である当社グループだからこそ可能な、商品企画・開発から試作、検証、量産まで一貫してご提案するワンストップサービスと、光学技術、機械加工、電気設計、ソフト開発、システムアップ等の中核技術の融合と生産技術のさらなる改革を進め、競合他社との差別化を図ってまいります。

既存製品については、機能性や操作性等のユーザビリティの向上による高付加価値化を推進いたします。特に、光学モジュールや光学ユニット製品、光学装置までをワンストップで生産可能な当社の技術優位性を生かした光ソリューションの提案に注力してまいります。又、有力な研究機関や産業分野民間企業とのネットワークを生かした連携・協働によって、最先端の技術・情報・ノウハウを駆使した、オリジナリティのある新製品企画・開発に取り組んでおります。その他、サプライヤーや生産協力工場等のサプライチェーンを当社グループのネットワークを活用して複線化を図ることで、安定供給とコスト低減の実現に取り組んでおります。

 

・要素部品事業

新しい生産技術・量産技術開発やグローバルサプライチェーンの強化、最先端の設備投資と生産効率化等による生産コストの低減、キー・テクノロジーの開発の強化による製品機能・品質の向上、生産・営業・技術の各本部の垣根を越えた連携による開発スピードの向上及びリスクマネジメントの強化等により、競争優位性の高い製品の開発・生産を推進してまいります。

・システム製品事業

有力成長分野の研究機関や産業分野のニーズをいち早く捉えて、中核光学技術の優位性を生かせる高付加価値の光学モジュール・光学ユニット製品の開発体制の強化と量産体制の構築により、グローバルマーケットでの販売展開を推進いたします。

 

③経営管理体制の強化

当社グループのサステナビリティ基本方針・コーポレートガバナンス基本方針・シグマ光機行動規範の下、今後の経営環境の変化に応じた適切な内部統制システムとコンプライアンス体制の更なる整備、維持、改善に努め、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切かつ誠実に企業活動を推進してまいります。又、「環境、社会、企業統治(ESG)」の観点を積極的に経営に取り入れ、「光産業を通じ、社会に貢献します」という当社経営理念の実現に向け、レジリエントでサステナブルな社会の創造に貢献すべく業務に邁進してまいります。これらの取り組みにより、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの利益に適う経営を行ってまいります。

今後の先行きが不透明な経営環境の下、経営基盤の強化のため、ITシステムや生産設備の導入・構築を進め、各事業部門の業務の省力化・合理化による生産性の向上を推進し、コスト低減を図ってまいります。

又、人的資本投資の拡充を図り、次世代を担う優秀な人材の育成・確保のため、採用活動の多様化や社員の能力の開発・向上のための人材育成制度や人事評価制度の改善等を積極的に行ってまいります。同時に、社員エンゲージメントの向上、ワークライフバランスを実現するための就業環境も整備いたします。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティに関する取り組み

①サステナビリティに関する考え方

 当社グループは、「光産業を通じ、社会に貢献します」という経営理念の下、当社の中核技術である光技術を通じて社会課題や環境課題 への取り組みを推進しており、「暮らし」や「いのち」を支える価値ある光ソリューションを提供し、持続可能な社会価値を創造することを目指しております。その実現に向けて、当社グループは、「光ソリューション・カンパニー」としてすべてのステークホルダーから信頼され、かつ持続的に企業価値を向上させることを目的として、「サステナビリティ基本方針」「シグマ光機行動規範」を定めております。この基本方針・行動規範の下、その実践を通じて社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指して、適切かつ誠実な企業活動を推進しております。

 

②ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ経営を推進するため、経営幹部(常勤取締役、執行役員、グループ会社経営陣、各本部長並びに各部門長)により構成される経営会議の配下に、経営企画部門を事務局とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、当社グループ全体のサステナビリティ経営を推進する役割を担い、気候変動に係るリスクや環境課題及び人権や多様性等の社会課題、環境や社会に配慮しながら長期的な企業価値の向上を目指す経済課題等、サステナビリティ経営に関わる対応方針の討議及び具体的な企画の立案や実行管理等を進め、活動状況を経営会議に報告しております。又、同じく経営会議の配下にある危機管理委員会及びコンプライアンス委員会と連携をとっております。重要な意思決定事項については、サステナビリティ委員会や各委員会からの報告を踏まえて、取締役会で更なる審議を行った上、意思決定及び監督を行っております。

 

③リスク管理

 当社グループは、リスク管理体制の構築及び維持を図るとともに、サステナビリティに係るリスクを含むすべての事業リスクの予防・極小化に向け、経営会議の配下に、代表取締役社長を委員長とし、管理本部を事務局とする危機管理委員会並びにコンプライアンス委員会を設置しております。危機管理委員会は、四半期に1回、必要に応じては臨時に開催しており、当社グループ全体を対象にした事業リスクの抽出・評価・モニタリングを行っております。重要課題については、危機管理委員会で報告、協議、決定を行い、協議内容を経営会議へ報告しております。経営会議で協議・承認された内容は、取締役会による監督体制の下、当社グループ戦略に反映され、事業活動を通して対応しております。その他、事業リスクに関する個別のテーマについては、それぞれのテーマに関わる各担当部門が業務執行及び財産に係るリスクを認識・把握するとともに、管理部門を中心として組織横断的なリスクへの対応を図っております。

 

(2)人的資本経営に関する取り組み

 当社グループは、「人材」こそ、すべての価値創出の源泉であるという考え方に基づき、「社員教育を通じて、広く感謝の心を持ち、自己と会社のビジョン・ミッションを理解し、その実現に向けて挑戦・創造する人財を育成します。」という経営基本方針を掲げ、ジェンダーや国際性、年齢等に関わらず、すべての従業員一人ひとりがそれぞれの個性と能力を最大限発揮し、やりがいを持って働き続けることを目指して、様々な取り組みを進めております。

 人材育成については、中長期的な視点で捉えており、すべての従業員が「主体性」をもって行動し、組織を横断して「協働」する「多様性」と「専門性」を兼ね備えた人材の育成・輩出を目指して、新入社員、若手・中堅社員、管理職等、それぞれの職位に沿った教育体系及びキャリアパスを定め、教育・研修を実施しております。又、光技術に関わる様々な要素技術をワンストップで提供できる当社グループのビジネスモデルを活かし、グループ間及び社内の業務ローテーション等、従業員が新たな経験(エクスペリエンス) を積み、スキルを高めていくことによるキャリア形成も支援しております。

 社内環境整備に関しては、様々な環境変化への柔軟かつ効率的な対応による持続的な企業価値の創出には、多様な価値観及び専門性を持つ人材が働きやすい環境・風土の醸成が重要であると考えており、ジェンダーや国際性、年齢や文化等の多様性を尊重するとともに、特定の属性に関わらず、公平な人材の採用及び活用を積極的に推進しております。特に、女性をはじめとする全ての従業員が様々なライフイベントの有無に関わらず、継続して働ける環境づくりに向けて、女性活躍推進を進めております。又、新たな価値創出に絶えず挑戦する企業風土の醸成に向けて、人事評価制度の変革、就業制度の改善、IT活用による業務プロセスの改善・業務効率化等、新たな価値創造に挑戦する活動が評価される組織を目指しております。健康面では、労働環境における安全面のリスク管理や年次有給休暇や育児・介護休暇の取得促進、定期健康診断やストレスチェックの実施とフォローアップ等、心身ともに健康で、安心・安全で働きやすい社内環境整備に継続して取り組んでおります。

 

<取り組み事例>

■女性活躍推進

 当社では、「働く女性サミット Working Women’s Summit(以下、WWSという。)」を通して、会社の継続的発展を担う女性人材のキャリアアップへの意欲向上とリーダーの役割と知識の習得、女性社員間のネットワーク構築を図るとともに、仕事と家庭を両立しながら働くことが出来る環境を整えることを目的とした女性活躍プログラムを実施しています。WWSでは、自ら行動することの大切さを改めて認識し、視野が広がることによる新たな気づきや発見、研修プログラムを通して生まれる連帯感と絆を生かし、職場での次世代のリーダーとしての更なる活躍を支援しています。又、女性目線での会社制度や設備等に対する意見を出しあうことで、女性をはじめとする全ての従業員が「いきいきと働ける環境づくり」を進めています。

 

指標

実績

2025年5月期

女性管理職比率

7.9 %

女性の育児休業取得率

100.0 %

男性の育児休業取得率

100.0 %

男女の賃金の格差(全労働者)

67.1 %

男女の賃金の格差(正規雇用労働者)

68.8 %

男女の賃金の格差(非正規雇用労働者)

113.3 %

正規雇用労働者の中途採用比率

80.6 %

採用人数女性比率(全労働者)

56.8 %

採用人数女性比率(新卒採用)

100.0 %

採用人数女性比率(中途採用)

46.7 %

連結グループ子会社・関連会社役員経験者比率

36.8 %

(注)1. 各指標における実績は、提出会社の従業員の状況となります。

2. 男女の賃金格差は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。同一労働の賃金に差異はなく、等級別人数構成の差及び管理職に占める女性の割合によるものであります。

非正規労働者は、個人ごとに契約労働時間の異なるパートタイム労働者のため差異が生じております。

3. 連結グループ子会社・関連会社役員経験者比率は、当社副部長以上の中で、当社グループ子会社・関連会社役員兼任者及び過去1回以上当社グループ子会社・関連会社役員兼任経験者となります。サクセッションプランも踏まえて、グローバル視点及び経営経験を持った人材育成を進めております。

 

3【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

  ①主要事業のビジネスモデルに関わるリスク

 多品種の規格品をカタログ販売しており、お客様の注文に合わせてタイムリーに納品するために、光学基本機器製品、自動応用製品、光学素子・薄膜製品におきましては、需要予測に基づく計画生産を行っているため相当数の在庫を保有しております。しかしながら、環境基準や事業環境等の急激な変化により、それらの在庫評価等に重要な影響を与える事案が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

  ②新製品開発に関わるリスク

 有力な研究機関や産業分野民間企業とのネットワークを生かした連携・協働により、お客様ニーズをいち早く取り入れた新製品企画・開発を実施して安定的な収益の確保に取り組んでまいります。しかしながら、技術動向や市場変化の実態と予測との間に差異が生じる等、お客様ニーズにマッチした魅力ある新製品を開発することができない場合は、当社グループの将来の成長性・収益性に重要な影響を与える可能性があります。

   ③価格競争に関わるリスク

 多品種の規格品をカタログ販売しておりますが、市場の成熟化や産業構造の変化、為替問題等により、国内外の競合他社との間において価格競争が激化する可能性があります。今後、従来製品のコモディティー化の進行や競合他社による低価格戦略、海外の低価格製品の国内流入等によって急激な価格下落が起こった場合や、エネルギー価格や原材料・部品の調達価格の高騰等が発生した場合、また当社の製品価格へのコスト転嫁等が適切にされなかった場合は、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

   ④海外における事業活動に関わるリスク

 米国及び中国に生産販売子会社、フランス及びシンガポールに販売子会社を設立し、海外マーケットに進出しております。これら進出先の予期しない政情・経済の変動や法律規制の変更、テロ等の社会的混乱、災害等による社会的インフラの障害、人材の採用困難又は流出のリスク等により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

   ⑤知的財産権に関わるリスク

 当社グループが提供する製品は、特許権を含む知的財産権の管理を徹底しております。しかしながら、国内外で事業を展開しているため、競合他社等から当社の保有する知的財産権に関する侵害を受ける可能性があります。又、当社が製品開発・生産を行う際には、他社が保有する知的財産権を侵害しないように細心の注意を払っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受けた場合、係争に発展する等、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

   ⑥製造物責任に関わるリスク

 当社グループが提供する製品は、徹底した品質管理の下、生産しております。しかしながら、製品の品質や安全性において重大な瑕疵が発生した場合、その瑕疵に起因した損害賠償の発生や製品品質への信頼の低下等を招き、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。なお、不測の事態への備えとして、製造物賠償責任保険への加入を行っております。

   ⑦情報漏洩等に関わるリスク

 技術情報等の重要な情報に加え、カタログ販売を主要な営業形態としている関係上、多くの取引先及びお客様の取引情報を扱っております。しかしながら、万が一これらの情報が流出した場合、当社グループの企業価値を毀損するだけでなく、経済的損失につながり当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

   ⑧人材の確保に関わるリスク

 当社グループが提供する製品は、非常に高度な光学技術と、機械加工、電気設計、ソフト開発、システムアップ等の中核技術を融合してワンストップでご提供することで、競合他社との差別化を図っており、専門性の高い熟練した技術やナレッジ、ノウハウを有した人材の確保が重要となります。そのため、新卒採用活動を強化し長期的な人材育成を進めると同時に、中途採用等も積極的に実施しています。又、中堅・若手社員や女性社員向けの教育研修制度の拡充や働き甲斐のある人事評価制度の構築、当社グループ間の活発な人材交流等も行い、安定的な人材の確保に取り組んでおります。しかしながら、少子高齢化等による人手不足や魅力的な雇用環境を構築できずに必要な人材を確保できなかった場合、当社の製品の品質や業務のレベルの悪化等の発生により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

   ⑨自然災害等に関わるリスク

 地震・火災・洪水・感染症等の自然災害への対策には十分注意を払っておりますが、開発・生産拠点及び取引先等の事業活動が停止した場合、又、それらの災害に起因して電力・通信・交通等の社会的インフラに問題が生じたことで事業活動が中断した場合、生産や出荷に遅延が生じる恐れがあり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。自然災害により当社開発・生産拠点及び取引先等が被災し事業活動の停止の長期化が発生した場合、当社生産活動の制限による製品納品遅延やそれらに起因した受注機会の減少等が想定されます。又、感染症による感染拡大及び長期化が発生した場合、当社販売人員の移動制限による受注機会の減少や、当社従業員の集団的な感染症罹患に起因した製品納品遅延等が想定される等、当社グループの業績と財務状態に影響を与える可能性があります。当社グループにおいては、お客様、取引先様及び従業員の安全を第一に考えており、危機管理委員会によるリスク管理体制のもと、事業継続計画に基づいた対策を講じて、事業活動への影響の低減を図っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、欧米諸国の個人消費等を中心に底堅く推移したものの、ロシア・ウクライナ情勢及び中東情勢の長期化等の地政学的リスクの高まり、各国金融政策の変更にともなう為替変動等に加えて、米国政権の相互関税を巡る世界各地での通商政策の変化等による景気減速が懸念される等、先行き不透明さを強める状況となりました。

 当社グループにおいては、要素部品事業は、昨年1月の当社工場拠点の被災による一時的な稼働停止等の影響からの反動増に加え、中国地域向けの需要回復等により需要が増加いたしました。その一方で、バイオ業界向けにおける一部の大口顧客向けの在庫調整の他、国内を中心とした一部の電子部品・半導体関連のエレクトロニクス業界向けの需要が減少するなどしたものの、事業セグメント全体としては総じて堅調に推移いたしました。システム製品事業においては、電子部品・半導体業界向け及びフラットパネルディスプレイ業界向けの需要において、期前半では、大口顧客向けでの在庫調整等の影響を受け、軟調な推移となりましたが、期後半からは、緩やかな持ち直し基調で推移いたしました。又、医療業界向けの一部の大型案件の納品などもありましたが、事業セグメント全体としては総じて軟調に推移いたしました。

 このような中、材料費や外注加工費等の外部費用が増加した他、持続的な事業拡大に向けた人的投資や新工場棟の稼働開始等により、人件費や減価償却費等が増加した結果、営業利益は前年同期比でやや軟調に推移いたしました。

 その結果、売上高115億8千万円(前年同期比3.3%増)、営業利益11億3千1百万円(前年同期比4.0%減)、経常利益12億6千9百万円(前年同期比5.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億8千6百万円(前年同期比43.5%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

イ.要素部品事業

当事業においては、光学基本機器製品は、昨年度の当社工場拠点の被災による一時的な稼働停止等の影響からの反動増の他、中国地域向けの需要回復を背景に堅調に推移いたしました。自動応用製品は、バイオ業界向けにおける一部の大口顧客向けの在庫調整等により、顕微鏡用ステージが軟調に推移するとともに、研究開発分野や通信業界向けの調芯装置の需要が弱含みで推移いたしました。光学素子・薄膜製品は、中国地域向けの需要は回復基調で推移したものの、国内を中心とした電子部品・半導体関連のエレクトロニクス業界における一部の顧客向けの製造装置・検査装置への組込み用途の需要の減少等も見られましたが堅調に推移いたしました。これらにより、当事業セグメント全体としては総じて堅調に推移いたしました。

その結果、セグメント間の内部売上高を含む売上高は97億5千7百万円(前年同期比5.9%増)となり、営業利益は16億4千2百万円(前年同期比8.3%増)となりました。

 

ロ.システム製品事業

当事業においては、電子部品・半導体業界向け及びフラットパネルディスプレイ業界向けにおいて、期前半では、製造装置・検査装置への組込み用途の光学ユニット製品及び光学システム製品が大口顧客向けでの在庫調整等の影響を受けましたが、期後半からは緩やかな持ち直し基調で推移いたしました。又、医療業界向けでは、大口顧客向けの光学システム製品が堅調に推移いたしましたが、国内を中心とした電子部品・半導体関連のエレクトロニクス業界における一部の顧客向けの製造装置・検査装置への組込み用途の需要が減少したこと等により、当事業セグメントは総じて軟調に推移いたしました。

その結果、セグメント間の内部売上高を含む売上高は19億2千万円(前年同期比8.0%減)となり、営業利益は7千2百万円(前年同期比67.4%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて4.7%減少し、119億4千3百万円となりました。これは、売掛金が1億5百万円増加しましたが、現金及び預金が3億2千7百万円、有価証券が2億9千1百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.2%減少し、83億9千6百万円となりました。これは、建物及び構築物が4億5千7百万円(うち、米国子会社の新事務所及び工場の完成による増加5億9千4百万円(前連結会計年度末における建設仮勘定からの振替額4億8千5百万円及び、資産除去債務の計上に伴う増加額2千4百万円を含む))、機械装置及び運搬具が1億6千5百万円(うち、リース資産からの振替による増加額1億3千5百万円を含む)それぞれ増加しましたが、固定資産の完成により建設仮勘定が4億9千4百万円、リース契約の満了等によりリース資産が1億5千1百万円それぞれ減少したことなどによるものです。

 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて2.9%減少し、203億4千万円となりました。

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて36.6%減少し、17億5千6百万円となりました。これは、未払法人税等が3億1百万円増加しましたが、当社において協力会社等への支払方法を見直したことにより電子記録債務が7億3千5百万円、支払手形が1億7千6百万円それぞれ減少した他、令和6年能登半島地震被害からの復旧の進捗により前期末に計上した災害損失引当金が2億9百万円減少したこと等によるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて21.2%減少し、8億1千4百万円となりました。これは、長期借入金が1億5千3百万円、退職給付に係る負債が7千万円それぞれ減少したこと等によるものです。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて32.4%減少し、25億7千1百万円となりました。

(純資産)

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3.7%増加し、177億6千9百万円となりました。

 自己資本比率は、86.9%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は32億8千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億1千9百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は3億7千9百万円(前年同期比73.1%減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益13億8千6百万円、資金流出を伴わない減価償却費の計上4億1千8百万円でそれぞれ増加し、仕入債務の減少8億4千5百万円、災害損失引当金の減少2億9百万円、売上債権の増加1億4千8百万円、災害による損失(令和6年能登半島地震による能登工場被害の復旧修繕費)の支払2億3百万円などで減少したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4億1千8百万円(前年同期比71.3%減)となりました。これは、前連結会計年度に支出した能登工場新棟建設に対する自治体からの補助金の受取9千4百万円がありましたが、有形・無形固定資産の取得による支出4億5千3百万円で減少したこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は6億1百万円(前年同期比2.8%減)となりました。これは、配当金の支払額2億9千7百万円、長期借入金の返済による支出2億3千万円などでそれぞれ減少したこと等によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

要素部品事業

9,876,364

109.0

システム製品事業

1,849,250

95.7

合計

11,725,613

106.6

 (注)金額は販売価格によって表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

ロ.受注実績

 当社グループは需要予測に基づく見込生産をしておりますが、システム製品事業において受注生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

システム製品事業

1,727,959

87.9

590,468

75.7

 

ハ.販売実績

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

要素部品事業

9,734,872

106.1

システム製品事業

1,845,656

90.7

合計

11,580,528

103.3

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3億6千7百万円増加し、115億8千万円となりました。要素部品事業においては、光学基本機器製品は、昨年度の当社工場拠点の被災による一時的な稼働停止等の影響からの反動増の他、中国地域向けの需要回復を背景に堅調に推移いたしました。自動応用製品は、バイオ業界向けにおける一部の大口顧客向けの在庫調整等により、顕微鏡用ステージが軟調に推移するとともに、研究開発分野や通信業界向けの調芯装置の需要が弱含みで推移いたしました。光学素子・薄膜製品は、中国地域向けの需要は回復基調で推移いたしましたが、国内を中心としたエレクトロニクス業界における一部の顧客向けの製造装置・検査装置への組込み用途の需要が減少したこと等により、総じて横ばいで推移いたしました。その結果、前連結会計年度に比べ5億4千2百万円増加いたしました。又、システム製品事業におきましては、電子部品・半導体業界向け及びフラットパネルディスプレイ業界向けにおいて、期前半では、製造装置・検査装置への組込み用途の光学ユニット製品及び光学システム製品が大口顧客向けでの在庫調整等の影響を受け軟調な推移となりましたが、期後半からは、緩やかな持ち直し基調で推移いたしました。又、医療業界向けでは、大口顧客向けの光学システム製品が堅調に推移いたしましたが、国内を中心としたエレクトロニクス業界における一部の顧客向けの製造装置・検査装置への組込み用途の需要が減少したこと等により、総じて軟調に推移いたしました。その結果、前連結会計年度に比べ1億6千7百万円減少いたしました。

売上原価は、前連結会計年度に比べ3億2千6百万円増加し、72億5千4百万円となりました。在庫の適正化及び生産技術や生産性の向上等による生産コストの削減を推進して、売上原価の抑制に取り組みましたが、国内市場の一部の大口顧客向け及び米国地域等の一部地域等での中量産のリピート品等の需要の減少や事業継続の観点による複数調達先の活用に伴い材料費や外注加工費等が増加し、持続的な事業拡大に向けた人的投資や新工場棟の稼働開始等により労務費及び減価償却費等が増加した結果、売上原価率は前連結会計年度に比べ0.9ポイント増加した62.7%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ8千8百万円増加し、31億9千4百万円となりました。これは、全社的な経費削減活動により売上高販売費及び一般管理費の抑制に取り組みましたが、持続的な事業拡大に向けた人的投資等により人件費が増加した他、支払手数料や賃借料の増加等により、売上高販売費及び一般管理費比率は前連結会計年度に比べ0.1ポイント減少した27.6%となりました。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ4千7百万円減少し、11億3千1百万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ0.7ポイント減少し9.8%となりました。

営業外損益は前連結会計年度に比3千2百万円減少し、1億3千8百万円となりました。

この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ7千9百万円減少し、12億6千9百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ1.0ポイント減少し11.0%となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2億9千8百万円増加し、9億8千6百万円となりました。これは、前連結会計年度に「令和6年能登半島地震」により発生した、当社能登工場における固定資産の復旧費用、棚卸資産の廃棄損及びその他災害に関連する特別損失が剥落したことと、当社能登工場の増築等による県や市区町村からの補助金収入等の特別利益が計上されたことによるものです。この結果、売上高当期純利益率は前連結会計年度に比べ2.4ポイント増加し、8.5%となりました。

 

ロ.財政状態の分析

財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資金需要は、主に部材仕入、外注加工費、人件費及びその他の販売費及び一般管理費に係る資金、及び、生産設備の増強や更新等の設備投資、ソフトウエア投資等に係る資金であります。これらの資金については、主に自己資金によっておりますが、金融機関からの借入により調達しているものもあります。

 金融機関からの資金調達については、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案した調達を実施しております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高32億8千4百万円に対し、有利子負債の残高は2億4百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループのレーザ関連製品を用いた光学技術の研究開発は、大学、大学付属研究所、国公立研究所(各省庁研究所)、国立研究開発法人を含む独立行政法人、民間企業の研究所や開発部門で盛んに行われております。当社グループは、光学技術研究開発分野からの先端ニーズを反映した、研究開発には不可欠な光学基本機器製品、自動応用製品、光学素子・薄膜製品等のカタログ規格品及びその特注製品を要素部品として提供しております。

又、それらの研究開発分野で蓄積した総合技術力を駆使し、光学周辺機器の総合メーカとしてフラットパネルディスプレイ(FPD)・半導体等の産業分野に向けた計測、観察、加工用途向け製品や、通信分野関連の自動アライメントシステム、医療・ライフサイエンス・メディカルフォトニクス分野向け製品など幅広い種類の光学システム製品を提供しております。

 当社グループの研究開発は、主に技術本部が担当しておりますが、より付加価値の高い製品を創出するために、営業部門や生産部門、更には協力会社との連携強化を進めております。

 当連結会計年度における当社グループの事業セグメント別の研究開発費は、要素部品事業208百万円、システム製品事業127百万円となっており、主な研究開発の活動状況は、次のとおりであります。

 

 (1) 要素部品事業

 光学基本機器製品では、近年の先端科学分野における強磁場などの特殊環境や、航空宇宙分野などで使用される高機能な非磁性・高真空コンポーネントの製品開発に取り組みました。昨年度に確立した独自の脱磁処理技術と残留磁場計測システムを活用し、当社の光を調整するミラーマウントや直動ガイドなどをシリーズ化し、様々な分野に対応した付加価値のある製品を展開いたしました。

 自動応用製品では、通信業界向け次世代通信モジュールのファイバーアライメント技術や光デバイスで必要とされる調芯装置関連を更に安定、且つ位置再現性を向上させた低床6軸ユニットや昇降型ナノメートルフィードバックステージなどを標準化しました。より多くのお客様のニーズに迅速に対応することで幅広いアライメントシステムの販売に繋がります。又、大口径のミラーを傾斜調整する大型自動ミラーマウントを製品化し、各種サイズをラインナップすることで組込み用途含め、欧米のお客様への販売が拡大すると見込んでおります。

 光学素子・薄膜製品では、耐性を考慮した低散乱研磨技術や薄膜技術を活用し、可視から赤外までの広帯域反射防止膜製品や、赤外高反射ミラー、Yb用ハイパワーフェムト低分散ミラーなどの製品開発を行いました。又、公的研究費プロジェクトなどで使用される光学コンポーネント・モジュールのガラス材料や基板面精度・粗さ条件なども継続して検証し、耐性の向上に取組んでいます。超最先端の研究プロジェクトを通じて、技術力の高度化と品質改善により、国内外の大学・官公庁・企業の最新研究部門への拡販に繋がっております。

 

 (2) システム製品事業

 最新の研究開発分野で培った技術を基に、システム系ユニットとパーツの製品化開発を継続し、また複合レンズなどは検査・測定技術の構築と評価機の開発に取り組みました。研究用途向けの生体顕微鏡においては、コアユニットシステム製品のオプションパーツのリニューアルと顕微鏡ユニットのモデルチェンジを図り、バイオイメージング研究分野への拡販を継続して進めております。

 検査測定技術の構築と評価機に関しましては、当社の広視野複合レンズの性能測定や、波長帯域別の透過性能を評価するシステムの開発を行い、また製造工程で使用する検査機器などをさらに改良して社内設備としての運用を進めております。生産技術の開発と向上を行うことで、より一層の光学素子、複合レンズ製品の品質安定に貢献しております。

 新たな製品カテゴリである医療機器関連装置の開発では、パルスオキシメーターをはじめ健康予防用バイタルメーターなどの計測安定化と操作性の改善を継続しております。また類似の技術を流用したラインナップ機を開発して研究用途としての評価検証を進めており、健康管理の維持や介護看護支援の一助となる光計測ユニットの開発を推進しております。