(1) 会社の経営の基本方針
当社は「夢、美、形」を経営理念として掲げております。
この3つの追求により、社会へ貢献し、社会と共に企業の成長を図り、企業価値を高めていくことを、当社で働く者一人一人の使命と考えております。
当社は経営理念を実践するための4つの指針を定め、この実現を通じて、世界の人々に深い喜びと感動を与え続けてまいります。
① 常に発展する企業であること
② 安定的な企業であること
③ 幸福感を持てる企業であること
④ 安全かつクリーンなもの造りを行う企業であること
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、中長期的な企業価値向上を目的とし、親会社株主に帰属する当期純利益の継続的拡大を実現するために売上高及び営業利益、並びに売上高営業利益率を重視しております。なお、令和6年度を初年度とする中期経営計画につきましては、開示しておりません。このため、令和6年5月15日付けで開示しております令和7年3月期の連結業績予想である、売上高6,646,000千円、営業利益170,000千円(売上高営業利益率2.6%)を当面の目標数値に設定しております。セグメント別の売上高は、時計関連4,727,000千円、メガネフレーム1,050,000千円、釣具・応用品869,000千円です。
(令和5年度の経営計画目標の達成状況)
令和5年度の経営計画目標の達成状況は次のとおりです。なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」に記載しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において、当社グループが判断したものです。
当社グループは業績拡大のため、またグローバルに信頼される企業集団としてその地位を着実に築いていくため、「ASEANプロジェクトⅠ期」(平成30年3月期を最終年度とする5ヶ年計画)の基本的なコンセプトを引き継ぎながら、「ASEANプロジェクトⅡ期」(令和5年3月期を最終年度とする4ヶ年計画)に取り組み、適宜分析または評価を行いながら、企業価値の向上を目指してまいりました。
(前回の中期経営計画の達成状況)
平成31年4月より取り組んできました、令和5年3月期を最終年度とする中期経営計画「ASEANプロジェクトⅡ期」の達成状況は次のとおりです。
なお、令和5年度を初年度とする中期経営計画につきましては、開示しておりませんが、中国などへの過度な依存からの脱却という「NEXT CHINA」の動きが加速しているなか、令和6年度は「世界のモノづくりの変革の年」と捉え、ASEANの生産拠点を最大限に活かし、また当面の計画目標を着実に達成することにより、更なる発展に繋げてまいります。
令和6年度以降につきましては、サステナビリティ経営を推進するとともに、強靭な経営基盤を確立し、将来の成長戦略の足掛かりを構築するため、以下の項目を優先的に取り組んでまいります。
(既存事業の維持拡大と事業領域の拡大)
主力製品である時計関連につきましては、既存の取引先との強固な関係の維持拡大に加え、新規取引先との関係構築を実施してまいります。それらに加え、時計バンドや時計外装部品の新規受注に向け、開発と営業部門だけでなく、製造部門も一体となり提案営業を強化することなどにより、収益の拡大を図ります。メガネフレームは、㈱村井の主要ブランドであるagnès b.(アニエスベー)やJILL STUART(ジルスチュアート)に並ぶブランドの育成などにより、売上高10億円の回復及び利益の拡大を図ります。釣具・応用品は、釣具用部品の更なる収益の拡大を図ります。
また、既存の事業領域にとどまらず、当社グループの有する精密加工技術を生かすことにより、将来性のある販路拡大を目指してまいります。
(ASEAN生産拠点の効率化)
脱中国化の流れが進むなか、ASEANエリアにおける、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.(以下、「ベトナム工場」という。)及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.(以下、「カンボジア工場」という。)は、段階的な設備投資、更なる効率化や合理化などによる生産性の向上及び製造原価の低減が重要と考えます。そのためには、ベトナム工場から相対的にコストが安価なカンボジア工場への生産ラインの移管や、生産ラインの半自動化または自動化などによる合理化を段階的に推進いたします。また、ベトナム工場からカンボジア工場への技術や管理手法の移転などにより、カンボジア工場の生産体制の整備向上を実施いたします。同時に、ベトナム工場のDX化の推進による固定費の削減や業務の効率化、材料の調達先の見直しや人員の適正化などを実施することにより、当社グループのサプライチェーンの強化を図ってまいります。
(盤石な財務基盤の確立)
取引金融機関や取引先などからの信頼を維持するため、製造部門の更なる採算性の向上などによる継続的な黒字の確保、資金繰りの安定化、極端な為替変動による影響からの回避などに注力し、盤石な財務体質を確立いたします。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社グループは、気候変動及び環境問題への対応を重要な経営課題と位置付けております。パリ協定や日本政府の目標に沿い、令和32年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指しております。持続可能な社会の実現に向けて、企業が果たすべき役割を認識し、ビジネスを通じて課題解決を図ることが当社グループの持続的成長に繋がると考えております。
経営理念「夢、美、形」とその実践のための4つの指針を通じて、社会貢献と企業価値向上を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものです。
当社グループでは、取締役会やリスク管理委員会、コンプライアンス委員会などの諮問機関を月1回開催し、サステナビリティを含む経営の基本方針や重要事項を検討・審議・決議しております。リスク管理委員会は年度計画の立案と進捗管理を行い、取締役会に報告いたします。取締役会はこれを評価、モニタリングし、重要事項を審議・決議することで監視・監督機能を強化し、実効性を確保しております。
当社グループは、事業全般の脱炭素化を進めるために、シナリオ分析を行い、今後の事態を想定し、戦略の妥当性や課題を把握いたします。
特定されるリスクに対する対応策
当社グループは、リスク管理委員会を中心にリスク管理体制を構築し、取締役会が定期的にモニタリングを行い適切に管理いたします。また、リスク管理委員会は、気候変動や法制度・規制変更などの外部要因を共有し、サステナビリティ基本方針、戦略及び施策を年に1回見直しをいたします。
なお、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、
当社グループは、事業活動全体でCO2排出削減に取り組み、在外子会社での電力使用量削減や再生可能エネルギーの利用を推進してまいります。なお、具体的な数値目標は現在定めておりませんが、持続的成長に向けた取り組みを継続してまいります。
当社グループのこれまでの取り組みと今後の計画
(6) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループは、昭和53年の創業以来、時計バンド及び関連商品の製造を中心に事業を拡大してまいりました。当社グループにとりましては、技術開発力が市場競争力の核であり、専門技術者の確保と製造拠点の環境改善が重要課題と考えられます。そのため、現地社員への教育機会提供や環境改善に積極的に投資するとともに、多様な人材の採用・育成と職場環境の整備を進め、高いモチベーションを持つ社員の多様なキャリアパスや働き方の実現を目指してまいります。なお、現時点では具体的な数値目標は現在定めておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、上席執行役員を委員長とするリスク管理委員会において、リスクの発生防止、発生した場合の適切な対応に努めております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 有利子負債について
当社グループは、設備及び運転資金について、主に金融機関からの借入金に依存しております。財務体質の改善を図るため、キャッシュマネジメントシステムの導入などにより、資金効率の向上と手元流動性の確保に努めておりますが、総資産額に占める有利子負債の割合は当連結会計年度末において53.9%(前連結会計年度末は59.9%)となっており、今後の金融環境の変化や金利動向により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、「(11)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社グループは、取引先金融機関より借入金元本の一定期間の返済猶予を受けております。
(2) 外国為替変動のリスク
当社グループは、ベトナム、カンボジア、中国(委託生産)に生産拠点が、中国(香港)に営業拠点が存在しております。営業債務の一部につきましては、恒常的に同じ外貨建ての売掛金の範囲内にあります。一部の外貨建て取引については、為替予約などによりリスクの軽減に努めております。在外子会社向けの外貨建債権につきましては、NISSEY CAMBODIA CO.,LTD.に対するデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)の準備を進めておりますが、また、外貨建ての金融負債につきましては、主に外貨により返済しておりますが、外国為替レートの変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 大口取引先の戦略変更のリスク
当社グループの売上高のうち時計関連は、当連結会計年度末において73.2%(前連結会計年度末は70.8%)となっており、大きな割合を占めております。定期的にバランスのチェックを行い、新規取引先の拡大や他社のシェア拡大など営業力の強化に努めており、また大口取引先との定期的な会議の開催など絶えず情報交換も行っておりますが、大口取引先の戦略変更、製品仕様の変更もしくは、大口注文の解約やスケジュール変更は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 取引先の変化
当社グループは、与信管理規定に従い取引先の管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制を整えておりますが、取引先の業績不振や倒産などにより、不良債権の発生や商品の調達に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、取引先とは定期的に価格交渉は行っておりますが、人手不足等による人件費の高騰や原材料価格の高騰などにより外注加工費が増加した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人件費の高騰・人員不足のリスク
当社グループは、ベトナム及びカンボジアに生産拠点が存在しております。生産性の向上、賃金のベースアップ、賞与の支給などにより、安定雇用に努めておりますが、人件費の高騰や人員不足などにより稼働率が低下した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 人的資本
当社グループの市場競争力の核は、技術開発力にあるため、国内だけでなく海外においても専門性の高い技術者の確保が不可欠であります。また、当社グループは、働き方改革やダイバーシティの実現に向けて、優秀な人材の採用、社内人材の育成と確保、外国人の雇用、待遇の改善や勤務体制の多様化などに努めておりますが、計画通りに進まない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 減損会計に関するリスク
当社グループの保有資産につきましては、減損リスクを意識することにより、資産収益性を高める取り組みを行っておりますが、実質的価値の低下等による減損処理が必要となった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、将来減算一時差異等に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を慎重に検討して計上しておりますが、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合には、繰延税金資産の取崩が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 災害等予測困難な事象によるリスク
当社グループは、日本(委託生産)、中国(委託生産)、ベトナム及びカンボジアに生産拠点が、日本及び中国(香港)に営業拠点が存在しております。定期的なリスク管理委員会や各拠点とのテレビ会議の開催など、様々な情報の収集に努めておりますが、当該国における政情の悪化、自然災害、戦争やテロ、経済状況の変動、法律や税制の変更、労働力不足やストライキの発生、感染症の拡大などの予期せぬ事象により、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
令和6年能登半島地震の影響につきましては、㈱村井(福井県坂井市)の本社建物の一部に破損が確認されましたが、損益に対する影響は軽微です。また、従業員及びその家族に人的被害はありませんでした。
(10) 環境・気候変動によるリスク
当社グループは、ベトナムなどの生産拠点において、工場排水の保全や金属等の産業廃棄物のリサイクルによる廃棄物の削減などに取り組んでおりますが、環境汚染による損害や廃棄物の増加による処理費用の増加などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、サステナビリティ経営を推進しておりますが、気候変動や脱炭素社会への移行にともなう新たな費用の発生などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 継続企業の前提に関する重要事象等
連結損益等の推移 (単位:千円)
当社グループは、平成29年3月期から令和3年3月期まで、継続的な売上高の減少傾向にありましたが、令和2年3月期より実施した事業構造改革の効果などにより、業績は徐々に回復しており、前連結会計年度におきましては、売上高は6,900,896千円となり前年同期比1,160,947千円(20.2%)の増加、営業利益は181,175千円、経常利益は257,387千円、親会社株主に帰属する当期純利益は175,553千円と全ての損益において黒字計上となりました。また、営業キャッシュ・フローも217,709千円の収入を計上いたしました。
当連結会計年度におきましては、売上高は6,728,391千円となり前年同期比172,505千円(2.5%)の減少でしたが、製造部門のコスト削減効果などにより、営業利益は252,392千円、経常利益は448,540千円、親会社株主に帰属する当期純利益は390,827千円と2期連続して全ての損益において黒字計上することができました。営業キャッシュ・フローにつきましても、475,568千円の収入を計上しております。詳細につきましては、「2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」に記載のとおりです。今後は、世界の景気は持ち直しが続く一方で、中国における不動産市場の停滞にともなう下振れリスクや急激な為替変動などによる不透明感は残りますが、経営目標を着実に達成することにより、収益の維持拡大を目指してまいります。
しかしながら、当社グループは、設備及び運転資金につきまして、主に金融機関からの借入金に依存しており、総資産額に占める有利子負債の割合は、当連結会計年度末において53.9%(前連結会計年度末は59.9%)と依然として高い水準が続いております。
これらの状況から、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象が存在しております。
こうしたなか、当社グループは以下の施策を引き続き又は新たに実施することで、更なる収益体質の改善を実現してまいります。
令和2年度においては、ASEAN地域における製造部門であるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.(以下、「製造部門」という。)におきまして、主要な設備投資の凍結及びそれにともなう減価償却費の削減、人員の適正化及び残業の抑制などによる労務費単価の圧縮、消耗品や電気料などの経費削減、当社及び当社の香港支店、㈱村井の販売管理部門におきましては、役員報酬の減額、人員の適正化や再配置などによる労務費の削減、予算統制の厳格化による諸経費の削減などを、平成31年度より継続して推進してまいりました。令和3年度においては、一部を除き労務費経費の削減の施策はほぼ一巡しましたが、製造部門を中心に、グループ各社が相互協力のもと、連携を密にしながら製造活動を行い、在庫管理の徹底、生産性の向上及び製造原価の改善を図り、受注増加への対応を進めるとともに、サプライチェーンの基盤強化を行いました。令和4年度においても、製造部門を中心に、サプライチェーンの基盤強化を引き続き推進するとともに、採算性の向上を目指してまいりました。当年度においては、引き続き製造部門の採算性の向上を目指しながら、工場の生産ラインの半自動化または自動化の段階的な推進による生産性の向上及び製造原価の低減を進めるとともに、既存の事業領域にとどまらず、当社が有する精密加工技術を生かし、将来性のある販路拡大を目指してまいりました。そして、黒字を維持拡大することなどにより、盤石な財務基盤の確立を図ってまいりました。また、これらの施策とは異なりますが、当年度において、「2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」に記載のとおり、全てのセグメントにおける受注減少に対応した諸施策を実施いたしました。来年度も、「2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおり、「既存事業の維持拡大と事業領域の拡大」、「ASEAN生産拠点の効率化」及び「盤石な財務基盤の確立」の3項目を優先的に取り組んでまいります。
財務面におきましては、当年度も当社グループの取引金融機関に対し、長期借入金元本の返済条項の緩和を要請し、要請しているすべての取引金融機関から同意を頂いており、今後も継続的な支援を受けられる見込みであります。また、当社は令和2年6月において、第三者割当増資200,003千円を実施しております。
なお、当社グループは、取引金融機関より借入金元本の一定期間の返済猶予を受けておりましたが、令和4年12月(又は令和5年1月)において、また令和5年6月及び12月(又は令和6年1月)において、借入金元本の一部返済を実行いたしました。同時に、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.の財務基盤の強化を目的として、同社に対して700,000千円のデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を実施いたしました。
これらの具体的な対応策を実施又は継続することにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度における世界経済は、一部の地域において、景気は足踏み状態がみられ、また世界的な金融引締めや中国における不動産不況などによる下振れリスクが懸念されたものの、総じて見ると、景気は緩やかに持ち直してきました。国内におきましても、物価上昇、世界的な金融引締めや中国経済の先行き懸念などによる景気の下振れリスクはありましたが、個人消費や企業収益などにおいては持ち直しており、景気は緩やかに回復してきました。
このような状況下、当連結会計年度を初年度とする中期経営計画は開示しておりませんが、当社グループは業績拡大のため、またグローバルに信頼される企業集団としてその地位を着実に築いていくため、前中期経営計画である「ASEANプロジェクトⅡ期」(令和5年3月期を最終年度とする4ヵ年計画)のコンセプトを引継ぎながら、「既存事業の維持拡大と事業領域の拡大」、「ASEAN生産拠点の効率化」及び「盤石な財務基盤の確立」をテーマに掲げ、目標の達成に向けて取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は6,728,391千円(前連結会計年度は6,900,896千円)となり、前年同期比では172,505千円(2.5%)減少しました。円安による押上効果はありましたが、メガネフレーム及び釣具・応用品において、それ以上に受注が減少しました。
損益につきましては、売上総利益は、円安による製造コストの増加などの影響があったものの、時計関連及び釣具用部品の受注減少に対応するため、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.におきまして、2交替制から日勤への勤務体制の移行、週休1日から2日への一時的な変更、残業時間実質ゼロの実現、一部従業員の自宅待機など、過去に例のない製造コスト削減対策の実施により、また、平成31年度から取り組んでおりました事業構造改革にともなう製造部門の採算性の向上効果などもあり、1,428,940千円(前連結会計年度は1,441,724千円)となりました。なお、売上総利益率は21.2%(前連結会計年度は20.9%)でした。営業利益は、時計関連の受注の回復やメガネフレームの販売費及び一般管理費のコスト削減効果などもあり、252,392千円(前連結会計年度は181,175千円)となりました。経常利益は、円安の進行にともなう在外子会社向け外貨建債権の為替換算による為替差益の計上などにより、448,540千円(前連結会計年度は257,387千円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、当社及び㈱村井の黒字決算による法人税の計上などにより、390,827千円(前連結会計年度は175,553千円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
当社グループのセグメントごとの連結業績 (単位:千円)
① 時計関連
時計関連の売上高は4,924,903千円となり、前年同期比で39,947千円(0.8%)増加しました。このうち、時計バンドの売上高は、国内の取引先は、取引先の一時的な在庫調整などにともなう受注減少はありましたが、受注は6月以降徐々に回復し、約4%の減少となりました。海外の取引先は、価格競争や取引先の業績の状況などにより新規受注の獲得に厳しい状況が続いており、約53%の減少となりました。一方、時計外装部品の売上高は、国内の取引先からの受注増加や外注加工費上昇の価格転嫁などにより、約18%の増加となりました。
これにより、セグメント利益は140,356千円(前連結会計年度は253,344千円)となり、外注加工費は増加しましたが、受注の回復や前述の受注減少に対応した製造コスト削減の効果などもあり、上半期の赤字(セグメント損失21,710千円)から黒字に転換しました。なお、今後につきましては、外注加工費の上昇、為替相場の急激な変動や中国経済の減速などが懸念されるものの、ASEAN生産拠点の効率化や合理化などによる生産性の向上及び製造原価の低減も併せて継続実施することなどにより、セグメント損益の拡大を目指してまいります。
② メガネフレーム
メガネフレームの売上高は958,353千円となり、前年同期比で90,738千円(8.6%)減少しました。このうち㈱村井は、主要ブランドであるagnès b.(アニエスベー)及びJILL STUART(ジルスチュアート)は、大手チェーン店などからの受注減少もあり、108,365千円(17.9%)の減少となりました。主要ブランドではありませんが、とくに販促を強化してきました世界的ファッションデザイナー山本耀司のブランドであるYohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)は、前年同期比で78,489千円(73.3%)の増加となり、ブランド力の向上に繋がりました。なお、売上高がコロナ禍前の水準に戻るには、暫く時間を要する見込みです。
これにより、支払ロイヤルティなどの販売費及び一般管理費のコスト削減効果もあり、セグメント利益は58,768千円(前連結会計年度は11,368千円)となりました。なお、今後につきましては、損益を重視した営業の強化継続や主要ブランド以外の既存ブランドの底上げの継続、またコロナ禍で需要が減退していたサングラスの販促強化などにより、セグメント収益の維持拡大を目指してまいります。
③ 釣具・応用品
釣具・応用品の売上高は845,134千円となり、前年同期比で121,714千円(12.6%)減少しました。高級品向けを中心に好調を維持していた釣具用部品は、コロナ禍の高需要からの落ち着きや物価高騰などの影響もあり、売上高は90,191千円(10.0%)の減少となりました。また、応用品の売上高は、コロナ禍からの受注の減少が継続しており、31,947千円(53.9%)の減少となりました。
しかしながら、製造部門の採算性の向上や前述の受注減少に対応した製造コスト削減の効果もあり、セグメント利益は61,975千円(前連結会計年度はセグメント損失78,639千円)となり黒字に転換しました。なお、今後につきましては、物価高騰による釣具用部品の受注減少や為替相場の急激な変動などの懸念はありますが、時計関連と同様にASEAN生産拠点の効率化や合理化などによる生産性の向上及び製造原価の低減の継続実施などにより、セグメント損益の更なる拡大を目指してまいります。
(2) 資本の財源及び資金の流動性に係わる情報
当社グループは、主に長期及び短期借入により資金を調達しております。また、財務体質の改善を進めるため、キャッシュマネージメントシステムの導入などにより、グループ全体としての資金効率の向上と手元流動性の確保に努めております。
当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 b.キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度における、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりです。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は5,794,861千円となり、前連結会計年度末と比べ493,355千円増加しました。このうち、流動資産は3,258,334千円となり、450,922千円増加しました。これは主に、現金及び預金及び受取手形及び売掛金の増加などによるものです。固定資産は2,536,527千円となり、42,432千円増加しました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得及び為替相場の円安にともなう在外子会社の外貨建有形及び無形固定資産の円換算による増加などによるものです。
負債合計は4,324,261千円となり、284,468千円増加しました。流動負債は3,829,174千円となり、314,480千円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加などによるものです。固定負債は495,087千円となり、30,012千円減少しました。これは主に長期借入金の返済などによるものです。
純資産は1,470,599千円となり、208,887千円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加及び為替換算調整勘定の減少などによるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度と比較して、363,443千円増加し954,756千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は475,568千円(前連結会計年度は217,709千円)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益448,540千円及び減価償却費192,733千円の計上、仕入債務の増加297,105千円などです。一方、支出の主な内訳は、為替相場の変動による為替差益の計上426,903千円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は62,788千円(前連結会計年度は28,981千円)となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出60,053千円などです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は86,511千円(前連結会計年度は83,183千円)となりました。支出の主な内訳は、短期借入金の返済などによる短期借入金の純減額56,269千円などです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1) 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3) 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としており
ます。
(注4) 利払いは、キャッシュ・フロー計算書に計上されている「利息の支払額」を使用しております。
(注5) 令和3年3月及び令和4年3月は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子
負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、連結決算日における資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
有形固定資産及び無形固定資産の減損
当社グループは、キャッシュ・フロー生成単位につきましては、事業区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位によって資産のグルーピングを行っております。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能性価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
当社グループは、減損の兆候の有無の判定にあたって、継続的な営業損失、使用範囲又は方法の変化、経営環境の著しい悪化及び市場価格の著しい下落等の有無の判定を行っております。このうち、経営環境の著しい悪化の有無の判定は、経営者が作成した資産又は資産グループ別の事業計画を基礎として行っておりますが、事業計画の作成において考慮される主要顧客からの将来の受注見込及び関連市場の需要動向といった主要な仮定は不確実性が高く、将来の主要顧客の経営状況及び関連市場の経済状況が悪化した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) セグメント間取引はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引はありません。
2. 時計関連の受注残高が著しく増加しておりますが、これは取引先の在庫調整による一時的な減少の影響が解消したことによるものです。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引はありません。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
該当事項はありません。
当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発の主要テーマは次のとおりです。
(時計関連)
① イオンプレーティングの新色の開発
② ノンアレルギー対応硬質チタン合金製バンドと中留の開発
③ 高級無垢二つ折れ中留の開発
④ ロック機能付きプッシュバックルの開発
⑤ 耐摩耗に強いIP(イオンプレーティング)加工の取組みによる付加価値展開
⑥ アジャスト機能付き中留の開発
⑦ オールセラミック製二つ折れの開発
⑧ 高付加価値二色IP加工ベゼルの開発
⑨ シリコンゴムと布のコンポバンドの開発
⑩ DLC(ダイヤモンドライクカーボン)処理による高耐摩耗性追求による付加価値展開
⑪ 母材の深層硬化処理の開発
⑫ 超高硬度IP処理被膜の開発
⑬ スパッタリングによる表面処理の確立
⑭ チタンとステンレス材のエッチング加工の確立
⑮ 着色レーザー加工による表面処理の確立
⑯ 深堀レーザー加工の確立と応用
⑰ プッシュレスロック機能付き中留の開発
(メガネフレーム)
① 形状記憶ポリマーを使用したフレームの開発
② バイオソフトチタンを使用したフレームの開発(金属アレルギー反応への対策)
(釣具・応用品)
① 衝撃に強い金具インサートウレタン駒の金型・成型加工技術の確立
② 装飾用被せ式メタル部品の浅絞りプレス加工及び鍛造加工技術の確立
なお、当連結会計年度における研究開発費については、特記すべきものはありません。