第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における世界経済は、米国・欧州において堅調な景気回復が持続しました。

 一方、国内でも企業収益の改善が続き、緩やかな回復基調が継続しました。

 このような事業環境の中、主に当社グループの主要事業である歯科製品関連事業が堅調に推移し、売上高については、増収となりました。営業利益については、人件費及び新本社R&Dセンター関連費用等の固定費が増加したものの増益となりました。経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益については、為替差益465,624千円(前年同期は888,456千円の為替差損)を計上したこと等により増益となりました。

 この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、34,341,741千円(前年同期比7.9%増)、営業利益は、9,467,363千円(前年同期比11.9%増)、経常利益は、10,366,849千円(前年同期比35.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、7,341,972千円(前年同期比38.6%増)となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

(歯科製品関連事業)

 歯科製品関連事業の売上高については、国内、北米及びアジアでは、それぞれ10%以上の増収となり、また、主要販売市場である欧州においても堅調に推移し、前年同期に比べて増収となりました。利益面についても、前年同期に比べて増益となりました。

 この結果、売上高は、29,706,426千円(前年同期比7.8%増)、セグメント利益は、12,203,331千円(前年同期比10.8%増)となりました。

 

(工業製品関連事業)

 工業製品関連事業の売上高については、北米では減収となったものの、国内及びアジアでは増収となり、前年同期に比べて増収となりました。利益面についても、前年同期に比べて増益となりました。

 この結果、売上高は、3,384,538千円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益は、1,286,433千円(前年同期比21.4%増)となりました。

 

(その他事業)

 修理等サービスであるその他事業においては、売上高は、1,250,777千円(前年同期比14.8%増)、セグメント利益は、165,244千円(前年同期比21.8%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高(以下、「資金」という。)は、20,765,782千円で、前連結会計年度末に比べ24,004千円増加いたしました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、6,524,061千円の収入(前年同期は5,383,251千円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益10,310,184千円の計上により資金が増加した一方で、法人税等の支払額2,014,829千円により資金を支出したこと等によるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、5,344,059千円の支出(前年同期は803,622千円の収入)となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出5,121,020千円、金銭の信託の取得による支出1,903,050千円であります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,790,034千円の支出(前年同期は1,588,145千円の支出)となりました。これは、配当金の支払額1,790,034千円であります。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

前年同期比(%)

歯科製品関連事業(本)

3,189,658

100.5

工業製品関連事業(本)

73,302

125.9

合計

3,262,960

101.0

(注) 生産実績は、生産本数で表示しております。

 

(2)受注状況

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

歯科製品関連事業

29,870,900

111.8

6,279,335

102.7

工業製品関連事業

3,463,563

107.2

645,404

114.0

その他事業

1,250,777

114.8

合計

34,585,241

111.4

6,924,739

103.6

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

前年同期比(%)

歯科製品関連事業(千円)

29,706,426

107.8

工業製品関連事業(千円)

3,384,538

106.3

その他事業(千円)

1,250,777

114.8

合計

34,341,741

107.9

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、昭和5年の創業以来88年間にわたり「顧客のニーズにより新製品を開発し、堅牢、優美にして廉価な製品づくりで社会の信頼に応える」を経営の基本に据え、歯科医療分野において、また一般産業分野において、常に新しいニーズを的確に把握し新製品の開発を行い、国内はもとより世界135ヵ国以上でご愛顧いただいております。

 また品質基本方針として、「品質第一を基本とし全員参加の品質管理により顧客の満足と信頼に応える」を掲げ平成9年にISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)の認証を取得すると共に平成11年にはISO14001(環境マネジメントシステムに関する国際規格)の認証も取得し、全社員による徹底した品質保証体制と顧客満足を第一とする設計開発・製造・サービス体制を図っております。更に製品の生産、使用、廃棄に至るまでの各段階において地球にやさしい環境への配慮をし、また、欧州の廃棄電気・電子機器(WEEE)指令、電気電子機器含有特定危険物質制限(ROHS)指令に適応させると共に、欧米における販売・サービスの強化を図り、今後も世界のナカニシとしてブランド力のアップへと邁進してまいります。

(2)目標とする経営指標

 当社グループでは、売上高営業利益率30%の確保を経営指標の目標のひとつに置いております。この利益率を維持していくため、市場ニーズを的確に捉えた新製品の開発・上市により売上高の拡大を図る一方、全社的な生産性の向上によりコスト削減に努め成長を持続させてまいります。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、歯科製品関連事業、工業製品関連事業を二本柱として開発・生産・販売の三位一体の体制強化を継続的に行っております。またメディカル関連事業につきましても、歯科事業における競争力のある開発・生産

能力および販売拠点も活用するなど、投資採算性を考慮して進めて参ります。

 ”NSK”ブランドの価値向上に向け、アフターサービス体制及びR&D体制の強化を図るとともに、販売拠点の増強、営業人員の増強、R&D要員の増強及び生産能力の増強など更なる事業規模の拡大を図ってまいります。

(4)経営環境及び会社の対処すべき課題

 今後の見通しにつきましては、国内経済は雇用・所得環境の改善が続き、緩やかな景気回復に向かう一方、米国での保護主義的な政策による影響や英国のEU離脱による影響、中国をはじめとした新興国の景気減速、為替の変動等、より一層不透明な経営環境が続くと予想されます。

 このような経営環境の中、当社グループが有する経営資源を最大限に活用し、更なる企業価値の向上を目指すため、以下の課題について取り組んでおります。

(歯科製品関連事業)

 先進諸国の歯科医療分野における市場ニーズである予防歯科、審美歯科関連製品の拡充はもちろんのこと、人に、地球環境に優しい機器として世界№1の製品を開発してまいります。また、発展途上の国々には、各国の歯科医療環境に適合した製品の開発に主眼を置き、差別化を図りながらタイムリーに開発・販売を行ってまいります。

(工業製品関連事業)

 超精密小型切削・研削機器の需要がますます高まっていく中、従来の品揃え重視の政策から、成長分野での顧客ニーズに合わせた製品開発を行ってまいります。

(メディカル関連事業)

 歯科の海外拠点も活用しつつ、現場からのフィードバックをもとに迅速な製品改良に努め、消耗品ビジネスを推進するなど、採算性にも配慮した事業活動を行ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があるリスクの一部を以下に挙げていますが、全てのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現時点では未知であったり、特筆すべき又は重要と認識していない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

 なお、以下に挙げた事項は、当連結会計年度末現在入手し得る情報に基づいて当社が判断したものであります。

 

(1)輸出比率が高いことによるリスク

 当社グループの売上高に占める輸出比率は、前連結会計年度77.7%、当連結会計年度77.5%と、高い比率となっております。為替レートの変動による影響を抑えるため円建て取引を基本としておりますが、海外子会社向け取引が増加傾向にあり、また一部の販売先とは現地通貨建て取引としているため、当社グループの経営成績につきましては為替レートの変動による影響を受けることがあります。

 また、円建て取引をおこなっていることから、海外の販売先では為替レートの変動によって仕入値が変動してしまうため、当社グループが意図しない値上げにつながってしまうことがあります。そのため、為替レートの変動は、販売先の営業活動にも影響を与えるものであり、それにより当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)法的規制

 当社グループの主力製品である医療用回転機器は、日本国内では医薬品医療機器等法、米国ではFDA(米国食品医薬品局)規制といったように、各国にて医療面および環境面などにおける法的規制を受けております。従いまして、今後これらの規制が変更された場合に、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)品質問題

 当社グループは、製品の特性に応じて最適な品質を確保できるよう、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001に基づいた品質保証体制を確立し、更に医療用回転機器につきましては、ISO13485(医療機器に関する品質マネジメントシステム)やGMP(製造管理及び品質管理規則)などの規格にも対応し、厳格な品質管理のもと生産活動を行っております。しかしながら、将来的に予期せぬ不具合が発生する可能性は皆無ではなく、この場合において、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)販売網の再編に伴うリスク

 販売力強化とブランド力向上を目的に販売ルートの再編を進めていますが、一時的に販売量が落ちるリスクがあります。また現地にて在庫オペレーションを行う地域については在庫量増大のリスクがあるなど、財政状態、経営状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)特定産業への依存と競争の激化に伴うリスク

 当社グループの製品は主に回転機器で構成されており、ハンドピースは歯科における歯牙の切削、工業用スピンドル製品はデジタル家電の金型の微細加工などで主に使用されております。当社グループの売上の大部分は回転機器及びその周辺機器の売上に依存しております。当社グループは製品の多様化を図り、メディカル分野などの新市場に参入しておりますが、当面は売上の大部分を歯科向けの回転機器製品から得るであろうと予測しております。この歯科向けの回転機器においては、中長期的には以下のリスクを通じて財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があると考えられています。

・非回転系の製品の増加による需要減

・発展途上国のコピー製品の台頭による需要減、それに対抗するためのサービス体制拡充への支出増加

・競合による技術革新、治療方法の革新に対応する新製品開発のための設備投資・研究開発の多大な支出

・医療機器として各国法令に基づく製造の許認可を得る過程で、有効性や安全性に関して予測されなかった問題の判明、あるいは承認の遅れや承認が得られないなどの理由による、新製品開発期間の長期化

・上記の要因による製造原価の上昇、仕入部品の増加、製品在庫の増加、間接経費の増加

 

(6)当社グループ外の部品供給元にかかるリスク

 当社グループは、ハンドピースおよびスピンドルの金属材料のほか、モーター制御用の電気ユニットなどを外部の供給元に依存しております。その供給元が他の産業の景気悪化により経営に困難をきたした場合や材料の高騰などの要因により、いくつかが入手不能になったり、入手可能量が減少したり、また替わりの供給元を見つけられない場合、当社グループの生産能力は制限されてしまいます。もし材料や部品がかなりの期間、調達不可能ということになれば、当社グループの業績に悪影響をもたらす可能性があります。

 

(7)訴訟にかかるリスク

 当社グループにかかわる訴訟リスクとして大きく分けて知的財産にかかわるリスクと医療事故・製造者責任にかかわるリスクがあり、それらを通じて財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 知的財産に関しましては、自社の知的財産を権利化することにより第三者から防護するとともに、情報セキュリティを推進し、秘匿すべきノウハウ等の社外への流出防止を図る一方、第三者の知的財産権については、継続的に調査を行うことにより侵害の予防に努めておりますが、以下に掲げるようなリスクがあります。

・特定の国、地域においては、知的財産権に対する意識の欠如などの固有の理由により、第三者の侵害行為を効果的に取締まることができず、これによる売上低下、価格競争など、当社グループの業績及び財務状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループの製品について、予期しない第三者から知的財産権の侵害を理由に訴訟を提起され、当社グループの主張が認められなかった場合、当社グループは多額の損害賠償金、製造差止めなどの不利益を受ける可能性があります。

・当社グループの保有する知的財産権が、第三者から異議申立てなどの法的手段により無効にされ、第三者が同一事業分野へ参入してきた場合、当社グループの売上低下、価格競争など、業績及び財務状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループは、第三者が、当社グループの保有する知的財産権を侵害した場合、訴訟等に多額の費用を費やす可能性があるとともに、当社グループの主張が認められなかった場合、以後の事業展開に大きな影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループの製品の中には、第三者から許諾された特許の使用を前提にした製品がありますが、今後も、当社グループが許容できる条件で、第三者から使用許諾を受けられる保証はなく、不利な条件で和解したり、事業展開に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 医療事故訴訟、製造者責任にかかわる訴訟リスクに関しましては、当社グループは医療機器の設計、開発、製造段階で製品の安全性の確保に全力で努めておりますが、使用時の偶発的な不具合などにより他者に損害を与え賠償責任を請求されるリスクがあります。将来的に法令もしくは規制による訴訟等のリスクにさらされることも考えられ、その際も当社グループの経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、歯科医院、技工所、研究機関及びユーザーからの多様なニーズに対応するため、新製品、製造技術、管理技術及び製造設備等の研究開発を行っております。

 当社グループの研究開発は当社が中心となり、市場にあった製品開発を積極的に行っております。当連結会計年度における研究開発費は、2,141,572千円となっております。

 

(歯科製品関連事業)

 歯科用エアータービンやコントラアングルなど従来からある高速回転切削機器だけでなく、現在、予防歯科治療において中心的な役割を果たしている超音波スケーラーや歯面清掃器など、非回転系新技術を活用する製品分野においても積極的な研究開発により、ラインナップの充実を図っております。また、口腔外科用としても、超音波技術を活用した骨切削機器を開発し、インプラント治療の効率アップに大きく貢献しております。さらに、当社グループのキーテクノロジーである精密マイクロモーターでは、長年の技術の蓄積のある電子駆動回路により、歯科の様々な分野において、製品開発を行っております。

 

(工業製品関連事業)

 工業用製品は、小型、精密化する電子・医療機器等の小型精密部品加工に対して、最適な加工条件を提供できる、高精度、高回転及び顧客要望特注スピンドルの製品開発を行っております。

 

(その他事業)

 研究開発活動は行っておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針及び見積りについては、第5[経理の状況]-1[連結財務諸表等]-(1)[連結財務諸表]-[注記事項]-「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

 

(2)当連結会計年度末の財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産の残高は、69,505,361千円で、前連結会計年度末に比べ7,598,012千円増加いたしました。主な増加は、建物及び構築物4,767,871千円、金銭の信託2,078,603千円であります。主な減少は、投資有価証券658,849千円、建設仮勘定592,437千円であります。

 負債の残高は、6,541,422千円で、前連結会計年度末に比べ496,219千円増加いたしました。主な増加は、未払法人税等709,048千円であります。主な減少は、その他流動負債339,227千円であります。

 純資産の残高は、62,963,938千円で、前連結会計年度末に比べ7,101,793千円増加いたしました。主な増加は、利益剰余金5,625,433千円、為替換算調整勘定982,714千円であります。

 

 キャッシュ・フローについては、第2「事業の状況」の1「業績等の概要」に記載しております。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、34,341,741千円となり、前連結会計年度(以下「前期」という。)に比べ2,511,991千円増加いたしました。これは、主に当社グループの主要事業である歯科製品関連事業が堅調に推移したことによるものであります。販売費及び一般管理費は、人件費及び新本社R&Dセンター関連費用等の固定費が増加したものの、営業利益は前期に比べ1,007,380千円増加し9,467,363千円となりました。

 営業外損益は、外貨建債権債務の評価替等に伴い為替差益465,624千円(前期は為替差損888,456千円)を計上したこと等により、経常利益は前期に比べ2,723,682千円増加し、10,366,849千円となりました。

 特別損益は、前期は固定資産除却損12,371千円等を計上いたしましたが、当連結会計年度は関係会社株式評価損53,200千円等を計上いたしました。その結果、税金等調整前当期純利益は前期に比べ2,693,851千円増加し、10,310,184千円となりました。

 法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額は、2,968,212千円を(前期は2,318,849千円)計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ2,044,487千円増加し、7,341,972千円となりました。