第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの事業はウォーターヘルスケア事業と医療関連事業で構成されており、ウォーターヘルスケア事業が連結売上高の約89%を占めておりますが、当社グループがメディカルカンパニーとなり、また、持続的成長を実現する為には、医療関連事業を新たな事業軸として構築することが必要と考えております。医療関連事業の拡充により、グループの収益基盤が強化されるだけでなく、日本トリムグループをメディカルカンパニーとしてブランディングすることで、整水器販売を中心とするウォーターヘルスケア事業への大きな波及効果を得られます。現在、医療関連事業においては電解水透析事業が収益貢献できるステージへと入るとともに、細胞バンク事業では、業績の伸長とともに事業領域拡大にも取り組んでおり、引き続き精力的に展開してまいります。

ヘルスケア、医療に関連する当社グループ事業の成長には、科学的エビデンスによる裏付けが不可欠です。これまで25年以上に亘り産官学共同研究を実施し、その成果を国際学術誌に論文として多数発表してまいりました。今後も、理化学研究所や東京大学、東北大学、早稲田大学を始めとする研究機関と連携し、既存ビジネスの拡大とともに新たな事業シーズの発掘を目的に、基礎研究から臨床研究まで幅広い研究開発を実施してまいります。

管理面では、常に経営効率の向上に取り組み、適正な利益を生む経営を実施するとともに、現在の安定した財政基盤の更なる充実に努めます。また、社会の公器として、コーポレート・ガバナンスの充実、積極的なCSR活動等にも取り組み、SDGsを意識した経営を推進し、社会貢献することで企業価値の向上を図り、社会や株主の皆様から評価される企業であり続けたいと考えております。

当社グループは、創業訓「①社会正義に則る、②快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献する、③科学的エビデンスのもと世界初の価値を創造する、④日本発の技術で世界のオンリーワン企業を創造する、⑤トリムは運命共同体である」に則り、家庭用医療機器メーカーから、グローバルなメディカルカンパニーへの飛躍を目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、効率的で筋肉質な経営を目指しており、連結売上高経常利益率を意識した経営を行っております。これまで、25%以上を中期的目標としてまいりましたが、現在のグループ事業の構成比や会計基準変更による影響等も鑑み、まずは20%の達成を目標といたします。当指標の次期見通しにつきましては、会計基準変更による影響のほか、WEBマーケティングへの先行投資、基幹システムの入れ替え、新製品販売などによるコスト増を見込み、15.9%を計画しております。

 

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

昨年来のコロナ禍は、ワクチン接種が進んでいるものの未だに終息せず、今後の世界経済の先行きは不透明な状況です。そのような環境のため、短期的には対面販売や医療機関向けの展開で一定の制限を受けるものの、ヘルスケア、医療分野を主事業とする当社グループにとっては、逆に事業を拡充するチャンスであると捉えております。

 

①ウォーターヘルスケア事業

当社の電解水素水整水器は、アルカリ性で抗酸化性のある水素を含有した電解水素水を生成し、「胃腸症状の改善」に効果が認められた、厚生労働省所管の管理医療機器です。コロナ禍により、この「胃腸症状の改善効果」が注目されております。新型コロナウイルスに対抗するには免疫力が重要といわれておりますが、腸は免疫力の約70%を担っております。腸は、臓器の中でも第二の脳とも呼ばれ、今回のコロナ禍による免疫力への関心の高まりから「腸活」がさらに脚光を浴びており、今後、整水器の需要はさらに高まっていくと考えております。

電解水素水は胃腸症状の改善だけでなく、含有する水素の抗酸化性による健康保持、増進、予防への効果が期待されております。当社はこれまで健康寿命の延伸、医療費の削減には「予防」が最も重要との考えのもと、その一助として「ウォーターヘルスケアという新習慣」を提唱してまいりました。これは「健康長寿社会の実現」を掲げ、健康保持・増進策に注力している国策にまさに合致するものです。そこで、その一環として厚生労働省、経済産業省が推奨する「健康経営®」を切り口に、企業への一括導入、そしてそこから従業員の方々へと大きく広げる展開にも注力しております。

 

当社の電解水素水整水器のユーザー数は、直接販売、間接販売合わせて現在約85万件ですが、これを300万件規模に拡大することを目指します。これにより、消耗品である浄水カートリッジの販売がストックビジネスとして安定した成長が見込まれます。2021年3月期においては4,774百万円の売上高ですが、仮に300万件のユーザー数を実現し、その70%が浄水カートリッジを購入した場合、売上高は年間約20,000百万円となります。この安定した収益基盤の構築を目指してまいります。その早期実現のため、新たな販売チャネルとして注力しておりますECサイト等のWEBマーケティングをさらに推進するとともに、価格帯も含めてより普及しやすい商品の開発、認知向上を目的とした広報施策など、中長期的視野に立ち、俯瞰的に対策を講じてまいります。

海外事業では、インドネシアで、日本の技術で生成した、より安全で美味しいアルカリ性の水をコンセプトとした「Pristine(プリスティン)」をブランドに、ボトルドウォーター事業を展開しております。現在はコロナ禍による外出規制のため、店頭販売代理店向けのペットボトルの展開が鈍化しておりますが、一方で、宅配のガロンは巣ごもり需要により伸長しております。同国では、世界4位の人口と経済成長による中間所得層の増加により、ボトルドウォーター市場が拡大路線にあります。その中で市場シェアを獲得し、業績を飛躍的に拡大すべく、先行投資によるプロモーション強化や製造体制のさらなる強化などに取り組んでまいります。

水は量とともに質が問われる時代に入りました。今後、水をより有効に活用できる機能水「電解水素水」の果たせる役割はより大きくなっていくと考えております。飲用以外にも、医療、農業、工業などへの応用が期待でき、新たな事業創出を目的とした産学共同研究も精力的に実施してまいります。

 

②医療関連事業

電解水透析事業におきましては、2018年1月のNature出版グループが発行する英国科学誌「Scientific Reports」で、電解水透析により死亡及びその原因となる疾病が41%減少したという内容の論文発表を契機に、電解水透析の知名度と期待が着実に高まっております。また、2018年7月に厚生労働省から提出された腎疾患対策検討会報告書において、CKD(慢性腎臓病)重症化予防を徹底するとともに、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)のQOL(生活の質)の維持向上を図ることが大方針に掲げられ、電解水透析がまさにその指針に沿うものとしての認知も広がっております。さらに、電解水透析システム導入病院から患者のQOL向上とともに病院経営にも収益面で寄与することが報告されており、国内の血液透析市場は飽和状態にあると言われる中、次世代の新規治療法として注目されております。電解水透析システムの導入施設は、国内4,487施設(一般社団法人 日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)より)のうち、2021年3月末時点で25施設ですが、まずは100施設への導入を目指します。

また、今後更なる臨床エビデンスの蓄積とともに、電解水透析の病院経営への寄与についての実証にも取り組む一方、システムの医療機器化も視野に製品の改良、開発を進め、国内にとどまらずグローバルスタンダードへの発展を目指します。

再生医療関連の細胞バンク事業は、ステムセル研究所が実施しております。同社は2021年3月末時点で国内の保管総数58,796件中58,069件(厚生労働省保険局「臍帯血の引渡し実績等に関する報告」)と、98.8%のシェアを占める国内最大の民間さい帯血バンクです。コロナ禍により、医療機関での営業展開で制約を受けておりますが、昨年、本格的に取り組みを開始しましたWEBマーケティングが功を奏して業績は回復しており、引き続き注力してまいります。研究面におきましては、高知大学医学部附属病院での小児脳性麻痺などの脳障害に関する臨床研究(第Ⅰ相が終了)や大阪市立大学医学部附属病院を中心としたグループによる低酸素性虚血性脳症に関する臨床研究(第Ⅱ相が実施中)など、さい帯血を利用した臨床研究が開始されており、医療応用のニーズは高まっていると考えております。今後、利用者拡大を目的に、脳性麻痺などの中枢神経系疾患に関する再生医療・細胞治療に取り組む医療機関を支援してまいります。本年4月には、東京大学医科学研究所附属病院との共同研究の成果をもとに、「さい帯(へその緒)」保管サービスを新たに開始いたしましたが、他の出産に由来する組織由来の細胞(周産期組織由来細胞)につきましても、採取、保管に向けて医療機関・研究機関と連携してまいります。また、資本業務提携をしている株式会社グレイスグループと選択的卵子の凍結保存など、保管細胞の拡大や細胞医薬品開発など業容の拡大も図ってまいります。

 

一方、海外につきましてもアジアを中心とした医療機関等との連携による展開も目指してまいります。

中国での病院運営事業につきましては、北京漢琨医院において、糖尿病治療、血液透析治療の慢性期疾患領域での高度な日本式の医療サービス提供を主事業としております。中国における糖尿病患者は2025年には3.2億人に達すると言われており(国際糖尿病連合試算)、それに伴い血液透析患者も急増しておりますが、十分に治療環境が整っているとはいえない状況です。その中で、高度な日本式の医療サービスの展開は大きな成長性が見込まれます。コロナ禍の影響もあり、患者数の増加は想定よりも遅れておりますが、本年2月より公的保険の診療を開始し、患者数は増えてきております。今後、医療ニーズの高まりから、当事業の将来性はますます大きくなっていくと考えております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

短期的業績伸長のための対処はもとより、当社グループが目指すグローバルなメディカルカンパニーへの飛躍並びに持続的成長の実現のためには中長期的な視野に立った先行投資やイノベーティブな挑戦が不可欠であり、コロナ禍により顕在化した課題への対処も含め、鋭意取り組んでおります。また、当社グループは、健全な財務体質であると自負しておりますが、コロナ禍のような緊急時に自社グループで機動的な対応ができるよう、さらなる内部留保の充実も視野に、より筋肉質な経営を目指してまいります

 

①ウォーターヘルスケア事業

整水器関連事業につきましては、以下のとおりです。

当社は、現在の約85万件の整水器アクティブユーザー数を300万件とすることを目指しております。その早期実現には、年間販売台数を大きく伸長させる必要があります。そのため、以下のとおりそれぞれ課題を持って取り組んでおります。

(ⅰ)販売チャネル

昨年来のコロナ禍による緊急事態宣言下では、イベント、催事の開催が制限されるなどの影響を受けましたが、徹底した感染予防対策により、参加者が安心して参加できる環境整備に注力した結果、一定水準の展開は維持できました。しかし、このような事態にも対応できる強い営業体制を構築するためにも、新たな販売チャネルの構築が必要です。その一つとして、WEBマーケティングに注力しており、現時点においては先行投資の段階ですが、順調に進展しております。この取り組みは、既存の販売チャネルにも大きな後押しとなるものです。

(ⅱ)研究

産官学共同研究によるエビデンスは、電解水素水の普及促進に不可欠と考えております。現在、理化学研究所(基礎研究、動物研究、臨床研究)、東北大学(糖尿病患者への飲用による臨床研究)、東京大学(基礎研究)等との共同研究を精力的に展開しております。2022年3月期は、6報の論文投稿を予定しており、これらの成果を追い風とすべく、PR展開への連携も図ってまいります。

(ⅲ)製品開発

ユーザー数300万件の実現には、より幅広い消費者のニーズにあった高性能で汎用性の高い製品の開発が必須です。機能向上は勿論、使い易さ、デザイン、サイズ、コスト等、これまでの概念に囚われることなく、製品の開発、改良に取り組んでおります。新たな試みとして、昨年12月より、WEB専用商品「トリムイオン CURE」を従来の製品と比較して低価格帯で展開し、実績が出てきております。

一方、日本初のJIS規格適合の次亜塩素酸水生成器「TRIM JIA」のような時代に即応した衛生関連の製品開発や、産学共同研究の成果をもとに、農業分野や工業分野などでの新たな事業開拓を目指した製品開発にも取り組んでおります。

(ⅳ)ブランディング

当社グループの成長を加速し、持続的成長を実現するためには、トリムブランドを構築することも必要です。そのため、認知度向上を目的としたマスメディアやWEB上での広報活動は勿論のこと、SDGsの重要性が増す中、浄水カートリッジのリサイクルをはじめ、当社グループだからこそできるSDGsにも取り組んでおります。それとともに、顧客満足度や会社の信頼性も当然重要な要素であり、顧客のフォロー体制、社内管理体制、内部統制等の充実にも努めております。

 

 

インドネシアのボトルドウォーター事業につきましては、以下のとおりです。

(ⅰ)販売チャネル

まずインドネシア内でのシェアを高め、売上高を伸ばすことを方針としております。ペットボトル販売では、コンビニでの販売量増に向けプロモーションに注力しております。ガロンの宅配では、ジャカルタ市内を中心に専属のディストリビューターを増やし、より地域に密着した体制構築に取り組んでおります

(ⅱ)製造

今後の業績伸長を見据え、製造体制の強化が必要となります。当期においては、これまでの約2倍の生産能力にするとともに、外注業務を一部内製化することによるコスト削減を目的とした設備投資を実施いたしました。また、更なる生産能力増強のため、インドネシア国内における水源探索も実施しております。

 

②医療関連事業

電解水透析事業につきましては、以下のとおりです。

(ⅰ)販売チャネル

コロナ禍により、病院を訪問しての営業に制限がかかる中、2021年3月期は、WEBマーケティングに注力しました。初めての施策でしたが、日本透析医学会でのWEBセミナー開催、そのオンデマンド配信により35施設との新規商談がスタートし、また、「m3.com」での動画配信は174名の医師へのアプローチに繋がるなど、手応えを得ております。

(ⅱ)研究

電解水透析は、患者の方々のQOL改善とともに病院経営の収益面で寄与することが報告されております。施設が電解水透析システムを導入する際、初期投資が大きくなることを理由に成約に至らない場合もあり、収益面でのメリットが実証されれば、普及促進の大きな後押しとなります。その実証についての研究を検討してまいります。臨床によるエビデンスにつきましても、引き続き蓄積してまいります。

(ⅲ)製品開発

電解水透析システムをより多くの施設に導入いただくには、水の質の高品質化、安定性はもちろん、システムの小型化やメンテナンス性の向上、コストも重要な要素です。今後、より普及を促進することを目指し、医療機器化も視野にさらなる改良、開発に取り組んでまいります。

 

細胞バンク事業につきましては、以下のとおりです。

(ⅰ)販売チャネル

コロナ禍を機に、WEBマーケティングに注力し成果が上がっております。効果検証をタイムリーに実施しながら、既存の対面営業もあわせ、最適な営業体制の構築に取り組んでおります。

(ⅱ)施設の能力増強

近年の需要の急激な高まりへの対応や新たな細胞保管サービス展開を見据え本年3月に横浜に新CPC(細胞処理施設)を建設し、処理能力が約2倍となりました。今後も中長期的視野に立ちながら、設備や体制の強化に取り組んでまいります。

 

③新規事業

当社グループが持続的に成長していくためには、現在の主軸事業である整水器関連事業の他に、新たな事業軸を構築することが必要であると考えております。その一つとして医療関連事業に最も注力しておりますが、その他、農業分野や工業分野でも電解水素水による新規事業の創出に取り組んでおり、いずれも非常に大きな将来性があると考えております。

今後も当社グループは、グローバルなメディカルカンパニーを目指し、ベンチャー精神を持って新規事業に挑戦してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 取扱製品、サービスの売上構成に関して

当社グループの主力の取扱製品は、電解水素水整水器及びその浄水カートリッジであり、グループ事業の伸長により売上高構成比は下がりつつありますが、未だ当社グループの業績は当該整水器関連事業への依存度が高い状況です。浄水カートリッジは安定した収益基盤であり外的な影響は受けにくいものの、整水器につきましては何らかの理由で営業活動に支障が出た場合、当社グループ事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、医療関連事業を新たな事業軸へと成長させるべく取り組んでおります。

最近3連結会計年度の製品別売上高及び構成比率は以下のとおりであります。

 

製品別

2019年3月

2020年3月

2021年3月

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

電解水素水整水器

8,105

53.4

7,754

48.1

6,758

45.3

カートリッジ

4,246

28.0

4,511

28.0

4,774

32.0

その他

2,826

18.6

3,850

23.9

3,378

22.7

合計

15,179

100.0

16,116

100.0

14,911

100.0

 

 

(2) 販売チャネルに関して

当社グループの主事業である電解水素水整水器販売において、直販部門(職域販売、取付・紹介販売、店頭催事販売)が整水器売上高の約78%を占めており、その販売方法は主として対面による説明販売です。コロナ禍のように人との対面機会が制限される事態が発生すると、営業機会が減り、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があるため、現在、WEBマーケティングを強化しております。

 

(3) 原材料及び部品の調達に関して

当社グループは、海外も含めて多数の取引先から原材料及び部品を仕入れております。当社グループがコントロールできない市況変動やその取引先の原材料及び部品の確保状況によって部材の調達ができず、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。同一部品の仕入先を複数確保するとともに、コストも勘案しながら国内で調達できる体制を目指してまいります。

 

(4) 品質管理に関して

ウォーターヘルスケア事業の主製品である電解水素水整水器は、製品に何らかの欠陥が発見された場合など、製造物にかかる賠償責任を負っております。また、顧客の安全のために大規模なリコールを実施する可能性があり、これらにより当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。電解水素水整水器はQMS省令※1に則り、ISO13485及びISO9001※2を取得した自社工場で製造しており、安全を最優先課題とし、品質の維持・向上に努めております。また、製造物に関して賠償が発生した場合に備え、対象となる全ての製品につき保険に加入しております。インドネシアのボトリング工場におきましても整水器と同様に製品の欠陥や賠償が発生するリスクがありますが、日本水準の品質管理の運用を目指し、設備管理、社員教育を実施しております。

医療関連事業の細胞バンク事業におきましては、細胞の分離・処理作業に必要な試薬や長期保管用タンクの冷却用液体窒素の供給が滞ったり、設備が正常に稼動しないなどにより細胞の品質維持に支障をきたす場合があります。これらにより、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。ステムセル研究所では、グローバル品質規格であるAABB※3やISO9001といった第三者の認証機関より査察を受け、品質や設備運用の維持向上に努めております。

 

※1 QMS省令: 医療機器、対外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(Quallity Management System)。

※2 ISO13485、ISO9001:ISOとは、工業分野の国際標準規格。中でもISO13485は、医療機器の品質標準規格。

※3 アメリカ血液銀行協会(American Association of Blood Banks)。

 

(5) 風評被害に関して

当社グループが展開する各事業において、当社以外の事業者が関連法令に違反して当該違反の事実がマスメディア等に取り上げられた場合やSNS等でネガティブな情報が掲載された場合に、当社グループも風評被害を受け、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。業界団体のコンプライアンス強化の取り組みにも積極的に関与し、健全な市場環境の維持に努めます。

 

(6) 法的規制等に関して

当社グループは事業遂行にあたり、法的規制を受けております。国内の整水器関連事業におきましては、医薬品医療機器等法(薬機法)の規制を受けており、医療機器の製造を行うためには厚生労働省より指定を受けた第三者認証機関より医療機器製造販売認証を必要とし、また、販売に当たっては販売業の届出をする必要があります。細胞バンク事業におきましては、再生医療等安全性確保法により、さい帯血を処理するには特定細胞加工物製造許可を必要とします。また、その他事業も含め、国内におきましては独占禁止法や個人情報の保護に関する法律等の法規制を受けております。事業を展開する各国におきましては、当該国の法的規制の適用を受けております。当社グループでは、それぞれ法規制に対応した体制を整備しておりますが、関連する法令の改正、強化や新たな法規制が制定された場合、これらの法規制等に違反した場合、社会的要請に反した行動をした場合など、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁等により、当社グループ事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。業界団体のネットワークも活用し、関連法令に関する情報取得に努めております。

 

(7) 個人情報の漏えいに関して

個人情報の管理につきましては細心の注意を払っておりますが、何らかの理由で個人情報の漏洩や不正使用等が発生した場合、社会的信用の低下や賠償金の支払い等により、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。引き続き、社内教育等に徹底して取り組んでまいります

 

(8) 災害・事故等に関して

大地震等の大規模自然災害や火災等の突発的な事故が発生した場合は、生産設備等に多大な損害を被る可能性があり、操業の中断により出荷に遅れが生じ、また破損した建物や設備の復旧に多額の費用がかかるおそれがあります。また、コロナ禍のように、新型の感染症等が拡大した場合、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、災害・事故等の発生に備えたリスク管理を実施しております

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

(財政状態)

当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。

資産合計は24,931百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,515百万円増加(前期比11.2%増)いたしました。

負債合計は7,109百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,816百万円増加(同34.3%増)いたしました。

純資産合計は17,822百万円となり、前連結会計年度末に比べ699百万円増加(同4.1%増)いたしました。

 

(経営成績)

当連結会計年度の当社グループの売上高は14,911百万円(前期比7.5%減)、営業利益は2,187百万円(同5.0%減)、経常利益は2,357百万円(同133.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,523百万円(同597.2%増)となりました。

セグメント別の業績は以下のとおりであります。

ウォーターヘルスケア事業の売上高は13,276百万円(前期比6.7%減)、営業利益は2,118百万円(同7.4%増)となりました。

医療関連事業の売上高は1,635百万円(前期比13.2%減)、営業利益は68百万円(同79.2%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より1,886百万円増加して9,677百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は2,679百万円(前年同期は1,823百万円の収入)となりました。

これは主に税金等調整前当期純利益2,368百万円及び減価償却費201百万円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は887百万円(前年同期は2,644百万円の支出)となりました。

これは主に有形固定資産の取得による支出752百万円及び無形固定資産の取得による支出160百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、得られた資金は109百万円(前年同期は518百万円の支出)となりました。

これは主に長期借入れによる収入3,000百万円がありましたが、長期借入金の返済による支出2,003百万円、配当金の支払額551百万円及び自己株式の取得による支出327百万円があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

ウォーターヘルスケア事業

3,858,753

92.2

  電解水素水整水器

2,141,872

89.7

  カートリッジ

1,039,487

105.5

  その他

677,392

83.2

医療関連事業

57,256

79.3

合計

3,916,009

92.0

 

(注) 1 金額は製造原価によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

ウォーターヘルスケア事業

13,276,001

93.3

  電解水素水整水器

6,758,019

87.2

  カートリッジ

4,774,540

105.8

  その他

1,743,441

88.6

医療関連事業

1,635,157

86.8

合計

14,911,159

92.5

 

(注) 1 上記販売高のうち、日本トリム単体の販売高は電解水素水整水器6,622,813千円(前期比87.0%)、カートリッジ4,765,691千円(同105.8%)であります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析

当連結会計年度の総資産は24,931百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,515百万円増加(前期比11.2%増)いたしました。

(資産)

流動資産は16,441百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,967百万円増加(同13.6%増)いたしました。主な要因は、新型コロナウイルス感染症拡大に備え銀行より資金調達を行ったことなどにより、現金及び預金が1,886百万円増加したことによるものであります。

固定資産は8,490百万円となり、前連結会計年度末に比べ548百万円増加(同6.9%増)いたしました。主な要因は、子会社において工場の増設や設備の増強を行ったことにより、建物及び構築物が436百万円増加したことによるものであります。

 

 

(負債)

流動負債は6,333百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,726百万円増加(同37.5%増)いたしました。主な要因は、前述のとおり銀行より資金調達を実行したため、1年内返済予定の長期借入金が995百万円増加したほか、未払法人税等が388百万円、前受金が338百万円増加したことによるものであります。

固定負債は776百万円となり、前連結会計年度末に比べ89百万円増加(同13.1%増)いたしました。主な要因は、資産除去債務が41百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

純資産は17,822百万円となり、前連結会計年度末に比べ699百万円増加(同4.1%増)いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,523百万円を計上した一方で、配当金551百万円の支払及び自己株式327百万円の取得を行ったことによるものであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

売上高は前連結会計年度に比べ、1,205百万円減少し、14,911百万円(前期比7.5%減)となりました。

<ウォーターヘルスケア事業>

整水器関連事業においては、第1四半期はコロナ禍による初めての緊急事態宣言により、職域セミナー、イベント、催事の開催数が激減しましたが、地場の中小企業を中心とした展開や既存顧客への下取り販売の下支えもあり、期初の想定までは業績が落ちることはありませんでした。徹底した感染予防対策により、参加者が安心して参加できる環境整備に注力した結果、緊急事態宣言解除後は、セミナー数は徐々に回復し、第3四半期には前年と同水準まで回復しました。第4四半期に入り、2回目の緊急事態宣言による影響はあったものの、一定水準の展開は維持できました。コロナ禍のような対面販売機会減少のリスク対策と今後の成長促進のための新たな販売チャネル構築を目的としてWEBマーケティングに注力しております。まだ、先行投資段階ですが、資料請求数及び販売台数は順調に伸長しております。これらの結果、整水器の売上高は、前期比12.8%減となりました。ストックビジネスであるカートリッジ販売では、巣ごもり需要や胃腸症状の改善効果への意識向上から家庭での電解水素水の使用量が増加し、売上高は前期比5.8%増となりました。

インドネシアにおけるボトルドウォーター事業につきましては、売上高が現地通貨ベースで前期比7.4%減となりました。コロナ禍による外出規制でペットボトル製品の店頭販売代理店向けの売上が約25%減少しましたが、巣ごもり需要から各家庭へのガロン宅配の売上は約32%増加しました。

以上の結果、ウォーターヘルスケア事業の売上高は13,276百万円(前期比6.7%減)となりました。

 

<医療関連事業>

電解水透析事業では、コロナ禍により医療施設への訪問が制約されたこともあり、当期は2施設への導入にとどまり、売上高が前期比12.3%減となりました。しかし、新たにWEBマーケティングを強化し、第65回日本透析医学会での共済セミナーのオンデマンド配信が35施設との新規商談に繋がり、医療系専門サイト「m3.com」での動画配信は174名の医師へのアプローチに繋がるなど、導入見込み先は増えております。

再生医療関連事業では、売上高が前期比13.3%減となりました。細胞バンク事業のステムセル研究所におきましては、医療施設での営業展開が制限されるなどコロナ禍の影響を被りましたが、新たに取り組んだWEBマーケティングが奏功し、本年3月には新規保管者数が同月比較で過去最高の水準まで回復しております。

以上の結果、医療関連事業の売上高は1,635百万円(前期比13.2%減)となりました。

 

(売上原価及び売上総利益)

売上原価は前連結会計年度に比べ、343百万円減少し、4,413百万円(前期比7.2%減)となり、売上総利益は862百万円減少し、10,497百万円(同7.6%減)となりました。ともに主な要因は、コロナ禍により整水器関連事業、ボトルドウォーター事業で売上高が減少したことによります。

 

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ、746百万円減少し、8,309百万円(前期比8.2%減)となりました。整水器関連事業において、整水器の販売台数が減少したことに伴う販売費が減少したことや、コロナ禍による出張旅費減少などが主な要因です。一方で、当期から新たに注力しておりますWEBマーケティングにつきましては、約2億円を投じております。

これらの結果、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は55.7%となり、前期比0.4ポイント減となりました。

当社グループでは、将来の飛躍に向けた先行投資として研究開発やPR活動に積極的に取り組むとともに、継続的にコスト削減にも鋭意取り組んでおります。次期におきましてもより筋肉質な経営体制を目指してまいります。

 

(経常利益)

経常利益は前連結会計年度に比べ、1,349百万円増加し、2,357百万円(前期比133.9%増)となりました。前期は、中国病院運営事業に係る持分法による投資損失1,465百万円を計上しております。

当社グループでは経常利益率20%を中期的目標としております。当期の経常利益率15.8%に対し、次期につきましては販売効率向上による利益率上昇を見込んでおりますが、会計基準変更による影響のほか、WEBマーケティングへの先行投資、基幹システムの入れ替え、新製品販売などによるコスト増を織り込み、経常利益率15.9%を計画しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。

ウォーターヘルスケア事業においては、原則、営業活動により獲得した自己資金により運営しております。当期におきましては、コロナ禍により先行きが不透明であったことから、昨年6月に30億円を銀行より資金調達いたしましたが、業績も堅調に推移しており、当期末時点では既に20億円は返済しており、残り10億円も本年6月には返済する予定です。医療関連事業においても自己資金により運営しており、必要に応じて借入れによる資金調達を行ってまいりましたが、細胞バンク事業を展開するステムセル研究所におきましては、本年5月21日に東京証券取引所マザーズへの上場が承認され、6月25日に上場を予定しており、今後、市場による資金調達も選択肢として加わります。今後の資金調達につきましては、両事業共に中長期的視野に立ち、機動的な展開を念頭に検討してまいります。

当社は、収益性の高い整水器関連事業を軸に経営基盤確立のための内部留保の充実を図りつつ、安定的かつ継続的な株主還元を実施する方針のもと運営しております。これらを実現するための整水器普及拡大にはエビデンスの取得が重要であると捉えており、産官学共同により、電解水素水の新たな機能の解明や他分野への用途拡大を見据えた研究開発活動を積極的に行っております。また、浄水カートリッジ販売につきましては毎期着実に伸長しており、安定的収益基盤として当社グループの財務健全性に大きく寄与しております。

整水器関連事業のほか、電解水透析事業、再生医療関連事業をはじめとする医療分野の取組みも重要視しております。これら全ての事業でグローバルなメディカルカンパニーへと発展を遂げ、持続的成長を実現してまいります。

株主還元につきましては、上記方針のもと、上場以来毎期配当を実施し、自己株式の取得も積極的に行っております。当期は、期初におきましてコロナ禍の影響により経済情勢の安定化には相当期間必要であるとの考えから1株35円としておりましたが、第2四半期までの業績の進捗を鑑み、2020年10月29日に25円の増配を発表し、結果、60円の配当を実施いたしました。次期につきましては、当期と同額の1株60円とさせていただいております。今後の市場環境の動向、業績の状況を見極めながら、適正な配当金額について検討を継続し、変更する場合は速やかに公表いたします。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

詳細については、「第5経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社グループ(当社)が締結している経営上の重要な契約は、次のとおりであります。

契約相手先

期間

契約内容

株式会社長崎屋

2018年1月10日から
2038年1月9日まで

物品販売並びにこれに付随する業務を営むことを目的として、土地付建物を一括賃貸する。

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、事業を拡充していくためには科学的エビデンスが不可欠であるとの考えのもと、水を電気分解して得られるアルカリ性で水素を豊富に含んだ「電解水素水」の研究及びそれを生成する「整水器」等の機器開発を行っております。また、再生医療関連事業におきましては、さい帯血由来幹細胞を利用した新しい医療の実現を目指した共同研究等を実施しております。

 

(1) ウォーターヘルスケア事業

① 飲用分野

電解水素水は、医療効果の認証を得ている「胃腸症状の改善」だけでなく、溶存する水素の抗酸化作用による様々な効果が期待されており、産官学共同研究により、新たな機能の解明、実証、多用途化に取り組んでおります。

昨年4月に、電解水素水摂取により暑熱下持久運動中のエネルギー消費量を有意に低減するという立命館大学との共同論文が、生理学の主要国際誌「Temperature」に掲載されました。当論文を契機に、全国の大学・高校の運動部やプロチームへの展開が拡大しております。東京大学未来ビジョン研究センターとの共同研究では、昨年6月にNature系列の科学誌「Scientific Reports」に「電解水素水の潜在的効果の根源」に関する論文が掲載されました。当論文は、同誌の2020年化学論文トップ100に認定され、大変注目されております。理化学研究所との共同研究では、「電解水素水の効果の機序解明」を目的に、2017年から基礎研究試験、動物試験、臨床試験を総合的に推進しております。昨年12月に、「電解水素水の飲用は、ストレス耐性を強くする」とする共同論文を科学誌「BBRC」に発表しております。今年度は、5年計画の最終年度に入ることから、推進している他の研究においても論文化が進められております。早稲田大学人間科学学術院との共同研究では、本年5月に「電解水素水によるアルコール耐性」に関する共同論文が科学誌「Antioxidants」に発表されました。早稲田大学ホームページにて「“飲みすぎ”時の肝臓を救う電解水素水」として掲載され、多くの問い合わせをいただいております。東北大学大学院医学系研究科との糖尿病患者への電解水素水飲用臨床試験では、データを追加し、国際学術誌に論文を投稿中です。高知県須崎市との3年間に亘る電解水素水飲用による健診データや医療費に関する疫学調査事業は現在、進行中です。今後も引き続き、電解水素水の用途拡大、普及促進を目的に、精力的に取り組んでまいります。

 

② 農業分野

農業分野では、農作物の栽培に電解水素水を応用することにより、生産効率向上、抗酸化性や糖度の高い機能性作物生産への寄与、「還元野菜®」のブランド化など高品質・高付加価値農業の実現に向けて取り組んでおります。これまで、農家の方々にも協力いただき、電解水素水の効果を確認してまいりましたが、現在、その機序解明を目的に理化学研究所と共同研究実施に向けて準備を進めております。今後、遺伝子レベルでの解析を行う計画で、効果の機序が明らかになれば国内のみならず世界にも目を向け、農業分野事業拡大に向けて精力的に研究開発に取り組んでまいります。

 

(2) 医療関連事業

① 電解水透析分野

電解水透析の産学共同研究は、東北大学病院内に設置している慢性腎臓病透析治療共同研究部門を中心に、聖路加国際病院や仙台市立病院等の協力機関と連携して推進しております。本年6月に開催された第66回日本透析医学会においては、電解水透析に関して8演題が発表されました。中でも共催セミナーにおいては、電解水透析の患者数は2,100名を超え、家庭透析や血液透析・腹膜透析併用療法等の他の治療法よりも多いことで、治療法として社会的意義がさらに高まっていることが報告されております。また、従来機から機能性を向上させた新型電解水透析個人用透析用水作製装置の展開を開始しております。

今後、当システムの医療機器化や海外展開も視野に、更なる開発を推進してまいります。

 

 

② 再生医療分野

ステムセル研究所では、再生医療・細胞治療のためのさい帯血の分離・保管及び周産期組織由来細胞の研究開発に取り組んでおります。自己さい帯血治療の実用化に向けた臨床試験では、大阪市立大学医学部を中心としたグループで、低酸素虚血性脳症に対する第Ⅱ相試験が開始されております。高知大学医学部においては、小児脳性麻痺などの脳障害に対する自己さい帯血治療の第Ⅰ相試験治験を終了し、次の展開として国内初の「きょうだい間のさい帯血投与研究計画」が厚生労働省の承認を得て、実施に向けた準備が進められております。同社におきましては、将来の事業拡充を目的に、さい帯血にとどまらず、さい帯等の周産期組織由来細胞を用いた新たな治療法、治療薬の開発を目指し、東京大学医科学研究所附属病院、大阪大学大学院医学系研究科、慶應大学医学部、日本大学医学部などと共同研究を進めております。

 

(3) 製品開発

上記の様々な研究成果を反映して、水の質をより高めるための機能向上は勿論、業務用機器、電解水透析用機器、農業用機器始め、新たな事業開拓を目指した製品開発にも取り組んでおります。また、再生医療分野でも独自の技術によるユニークな製品開発に取り組んでまいります

 

このように、当社グループでは、電解水素水の機能の解明、普及促進への後押しとなるエビデンスの取得、並びに農業分野、電解水透析分野、再生医療分野等での新たな事業軸の構築に向け、研究開発及びより高機能な製品開発に注力し、更なる企業価値向上に取り組んでおります

以上の結果、ウォーターヘルスケア事業における研究開発費は182百万円、医療関連事業における研究開発費は19百万円となりました。