第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績

当社グループは、“快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献する”という企業理念のもと、健康・医療をメインテーマに事業を展開しております。電解水素水、電解水透析、再生医療関連等の事業を通じて、ひとびとのWell-beingに貢献することが我々の使命です。当社の電解水素水整水器は、「胃腸症状の改善」に効果が認められた管理医療機器であり、また、使用する浄水カートリッジは、近年、世界的な環境問題として注目を集めるPFAS(ピーファス:有機フッ素化合物の総称)を除去する性能(*1)を備えており、安心して暮らせる環境づくりにも貢献しております。「社会は何時の時代も我々の製品を必要としている。」をスローガンに、サステナブルな社会の実現に貢献し、当社グループの持続的な企業価値向上、株主価値向上を果たしてまいります。

 

(*1)JWPAS B(浄水器協会自主規格)に規定されている試験方法により浄水能力試験を実施。PFASのうち、特に有害性が高いとされるPFOS、PFOAについて、当社浄水カートリッジ全種で除去率80%以上を確認しております(JWPAS B.210試験結果)。

 

当中間連結会計期間における当社グループの売上高は11,361百万円(前年同期比8.7%増)となり、中間連結会計期間として過去最高となりました。営業利益は1,856百万円(同10.1%増)、経常利益は1,949百万円(同10.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1,306百万円(同9.4%増)となり、営業利益、経常利益については中間連結会計期間として過去最高となりました。また、2024年5月14日に公表しました業績予想に対しましては、売上高は中間期業績予想比101.0%、営業利益は同107.9%、経常利益は108.9%、親会社株主に帰属する中間純利益は103.7%と、売上高、利益ともに先行して進捗しております。

 

当社グループは、2027年3月期連結売上高320億円を目標とし、その実現並びに中長期的な企業価値向上を目指し、以下の3点を重点的に取り組んでおります。

 1.主事業である整水器販売事業の直接販売部門の量的拡大

 2.整水器販売事業の卸・OEM部門における海外展開の拡大

 3.世界に先駆けた電解水透析の普及と、保険適用も視野に入れた研究開発等の活動

 

セグメント別の業績は以下のとおりであります。

 

[ウォーターヘルスケア事業]

整水器販売事業では、整水器売上高が4,871百万円(前年同期比1.3%増)となりました。

DS事業部(職域販売部門)では、従業員の健康維持・増進に取り組む企業の増加を背景に、説明会開催数は着実に増加しております。健康経営を軸とした提案による企業一括導入や、昨年より注力しておりますスポーツ分野、美容分野への展開が販売効率向上に寄与しており、計画に対して順調に進捗しております。人員増強にも注力した成果が出ており、更なる販売拡大に向けて鋭意取り組んでまいります。HS事業部(取付・紹介販売部門)では一人当たりの販売台数が増加し、SS事業部(店頭催事販売部門)では展示会等の来場者数増加で受注台数が増加するなど、順調に進捗しております。

 

MS事業部(卸・OEM部門)では、前期に各既存OEM先が実施した顧客向けキャンペーン施策による出荷数大幅増があったため売上高が前年同期比減となりましたが、販売支援強化の効果は着実に出てまいりました。また、国内の新規OEM先の獲得及び海外向け取引の新規代理店獲得に注力しており、下半期以降の稼働に向けて鋭意取り組んでまいります。

ストックビジネスである国内カートリッジ販売につきましては、情報配信や電話によるフォローなど、顧客サービスの強化に努めた結果、売上高2,947百万円(同4.5%増)と、着実に伸長しております。

 

インドネシアでボトルドウォーター事業を展開するPT.SUPER WAHANA TEHNOの売上高が1,531百万円(前年同期比59.0%増)と引き続き大幅に伸長し、中間連結会計期間として過去最高となりました。前期に続き、当期においてもTVCMやインフルエンサーを起用したSNS広告などのマーケティング施策をさらに強化し、Pristine(プリスティン)のブランド認知度は飛躍的に向上しております。順調に拡大する需要に対応すべく、新工場建設の具体的検討にも入っており、更なる業績の伸長を実現してまいります。

 

研究開発においては、神戸大学との共同研究講座「エッセンシャルヘルスケア科学共同研究講座」を始め、理化学研究所、東北大学、早稲田大学等と、電解水素水の効果とその機序解明とともに新たな事業シーズ探索を目的とした共同研究を引き続き進めております。

本年10月に、東京大学との共同研究の成果として、新しい電極触媒開発に関する論文が英国王立化学会(Royal Society of Chemistry)が発刊するJournal of Materials Chemistry A 誌(インパクトファクター:10.7(2023年))に掲載されました。

今後、新製品開発のほか、エネルギー分野への事業展開も視野に、高効率な水素製造技術への応用に取り組んでまいります。

 

以上の結果、ウォーターヘルスケア事業の売上高は9,943百万円(前年同期比8.5%増)、セグメント利益は1,641百万円(同10.0%増)となりました。

 

[医療関連事業]

電解水透析(*2)事業では、本年6月の「第69回日本透析医学会学術集会・総会」に続き、10月開催の第35回日本急性血液浄化学会学術集会、11月開催の第30回日本血液透析濾過医学会学術集会・総会に出展するなど、精力的に営業活動を展開しております。電解水透析への認知、関心は確実に高まっており、着実に広げてまいります。また、普及促進を目的に、新たな装置開発にも取り組んでまいります。

 

(*2)電解水透析とは、透析治療で使われる透析液の希釈水を、当社の技術による電解RO水にすることで、透析液に水素を溶存する特性を持たせた次世代新規治療法。世界で初めて溶媒である水の機能に着目した従来にない技術です。通常透析と比べ、治療後の投薬量減少や透析患者の粗死亡率が低いというデータを取得しており、注目を集めております。

 

再生医療関連事業では、ステムセル研究所(東証グロース、証券コード:7096、当社持分72.1%)において、同社の中期的な経営目標である20,000検体(国内出生数に対する保管率約3%)に向け、主要なマーケティングチャネルである、医療機関でのスピーチ及びPR等のリアルマーケティングと、オンライン広告及びSNS等のデジタルマーケティングに加え、メディア向け勉強会等による啓蒙活動に注力いたしました。その結果、保管検体数(さい帯・さい帯血の合計)、売上高、各段階利益の全ての項目で過去最高を更新しております。

「さい帯」につきましては、昨年6月に、保管いただいたご家族向けに組織の再生を促す成長因子や細胞間の情報伝達物質(エクソソーム)等を含む培養上清液を製造する「ファミリー上清」製造サービスを開始したことにより、「さい帯血」を保管される方の「さい帯」保管率が50%以上に高まっております。また、当サービスのお問い合わせやお申し込みも着実に増加しております。

「さい帯血」につきましては、昨年6月に公表した大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教室との「自閉症スペクトラム障害に対する自家臍帯血有核細胞を用いた治療法の開発」の臨床研究が始まり、本年10月29日にプレスリリースいたしました。今後、参加者(被験者)の募集が開始される予定です。自閉症スペクトラム障害(ASD)は100人に1人の割合で診断されると言われており、当臨床研究の開始は保管意義の更なる向上に繋がると考えております。

 

また、本年11月1日には新しいサービス(保管)プランを開始いたしました。新プランでは、さい帯・さい帯血の両方を採取することで、出産時に採取できる貴重な細胞を確実に保管し、将来の医療やQOLの向上に役立てていただけるようになります。これに伴い平均単価は約12.8%上昇しますが、より多くの方にこのサービスをご利用いただけるように、月額2,980円からの支払いプランを設定いたしました。このように顧客ニーズに合わせたより良いサービスを提供することで、来期以降、更なる業績(売上高・利益率)の向上を見込んでおります。

そして現在、同社は東南アジア(ASEAN)での事業展開に注力いたしております。同地域においては年間1,000万人以上の出生数があり、2027年には日本のGDPを超える見込みで(*3)、細胞バンク事業のマーケットも大きく成長することが予測されています。まずシンガポールに地域統括会社(持株会社)の設立準備(11月中に完了予定)を進めており、将来的にはこの傘下でシンガポールをはじめベトナムやインドネシア等ASEAN各国に事業会社を設立し、新しい市場の開拓を目指してまいります。

 

(*3)International Monetary Fund,「World Economic Outlook Database, October 2024」

 

「さい帯血」を用いた再生医療分野(研究開発)につきましては、前述の「自閉症スペクトラム障害に対する自家臍帯血有核細胞を用いた治療法の開発」の臨床研究の他、高知大学医学部附属病院小児科において脳性麻痺児に対する臨床研究、そして、大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教室を中心としたグループとの低酸素性虚血性脳症(HIE)児に対する臨床研究が引き続き進められております。また、米国においては、FDA認可のもとデューク大学で進められている脳性麻痺児等へのさい帯血投与プログラムへ、ステムセル研究所でさい帯血を保管されている方々が参加されるケースが増加しており、その結果も良好です。

「さい帯」を用いた研究開発につきましては、大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室と設立した「運動器スポーツバイオメカニクス学講座」において、新たな半月板治療法の開発を推進しております。また、東京大学医科学研究所セルプロセッシング・輸血部及び東京大学医学部附属病院ティッシュ・エンジニアリング部との小児形態異常等の先天性疾患に対する治療法の開発も、引き続き推進しております。

 

以上の結果、医療関連事業の売上高は1,418百万円(前年同期比9.7%増)、セグメント利益は214百万円(同10.5%増)となりました。

 

② 財政状態

当中間連結会計期間末の資産は32,633百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,088百万円増加(前期比3.5%増)いたしました。主な要因は、有価証券が502百万円減少した一方で、現金及び預金が1,699百万円増加したことによるものであります。

負債は8,224百万円となり、前連結会計年度末に比べ306百万円増加(同3.9%増)いたしました。主な要因は、前受金が193百万円、固定負債のその他に含まれる長期預り保証金が66百万円及び株式報酬引当金が44百万円増加したことによるものであります。

純資産は24,409百万円となり、前連結会計年度末に比べ781百万円増加(同3.3%増)いたしました。主な要因は、配当により688百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する中間純利益1,306百万円の計上及び非支配株主持分が159百万円増加したことによるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より1,699百万円増加して15,658百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は1,175百万円(前年同期は1,493百万円の収入)となりました。

これは主に法人税等の支払額703百万円及び売上債権の増加484百万円があった一方、税金等調整前中間純利益2,099百万円及び減価償却費224百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、得られた資金は1,123百万円(前年同期は149百万円の支出)となりました。

これは主に投資有価証券の取得による支出400百万円及び有形固定資産の取得による支出171百万円があった一方、有価証券の償還による収入1,000百万円、定期預金の払戻による収入500百万円及び投資有価証券の売却による収入203百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は702百万円(前年同期は984百万円の支出)となりました。

これは主に配当金の支払687百万円によるものであります。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は128百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。