当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念として「人・技術・組織の相互作用から革新を生み出し『見えない価値』に光をあてる」ことを使命とし、特定の技術にとらわれることなく、相互作用の力によって、社会の持続的な発展に資する汎用性の高いソリューションを創出し、社会に本質的な変化を実装する企業を目指してまいります。
また、目指す姿として「『自社の優位性』と『多様なテクノロジー』を掛け合わせ、グローバルに『変化を実装』する企業へ」を掲げ、光学やメカ制御等の技術を起点に「スマート光学ソリューション企業」を目指してまいります。
さらに、価値として「Interaction Value(共創価値)」を掲げ、当社が中心(ハブ)となり、技術・人・会社を繋げ、「相互作用」によって価値を共創してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、投資家視点を重視した企業価値向上の観点から、「ベース売上高」「売上総利益率」「一人当たり営業利益」「営業利益成長率(CAGR)」「ROE(連結)」を重要指標としております。なお、ベース売上高とは、設備投資の有無に左右されずに、安定して収益を創出することが可能な「事業の強靭性」を示す指標を指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは中期事業計画を策定しており、今後のより安定的な成長と利益確保を続けるために、当社グループの存在意義である「見えないものを見せて、できないことをできるようにすること」に基づき、顧客の一歩先を行く開発力と、システムで製品を提供可能な技術力及びサポート力を活かしたトータルサービスによって、様々な事業展開を行っております。
主な課題は以下のとおりであります。
1. 戦略的目標とオペレーショナルな目標の混在
2. 企画・マーケティング能力の不足
3. 継続的成長を支える顧客基盤の未整備
4. 外部環境変化への対応力不足
以上の課題を踏まえ、目標の再設定と大きな施策・戦略転換が必要と判断し、新中期経営計画(2026-2030)を策定いたしました。戦略転換の方向性として以下の4つの柱を設定しております。
1. 戦略的目標とオペレーショナル目標の明確な分離とリソース配分の最適化
2. 企画・マーケティング能力の抜本的強化
3. 顧客基盤の構築に向けたパートナーシップ戦略の推進
4. 外部環境に左右されない強靭な事業ポートフォリオの育成
また、質の高い成長を実現し、企業価値を高めるための重要項目として「事業の強靭性」「製品競争力」「人材」「利益成長」「経営品質」に焦点を当てた目標指標を設定いたしました。当該目標指標達成のため、戦略的パートナーシップの構築、キャッシュアロケーションの設定、社内投資家機能の強化、ガバナンスの強化、事業間シナジーの追求などの施策を実行してまいります。また、当社グループの経営理念である「人・技術・組織の相互作用から革新を生み出し『見えない価値』に光をあてる」に基づき、顧客の一歩先を行く開発力と、システムで製品を提供可能な技術力及びサポート力を活かしたトータルサービスによって、様々な事業展開を行ってまいります。
IoT関連事業においては、新規顧客の開拓や、より高度な技術が求められているモバイル向け及び車載含むロボティクス向けイメージセンサの検査用光源装置及び瞳モジュールの技術開発への取り組みを強化いたします。これにより市場における優位性を向上させるとともに、AIを活用した自動運転システムの実現にも貢献してまいります。
インダストリー4.0推進事業においては、主に子会社の明立精機株式会社及び株式会社東京テクニカルがそれぞれの事業領域において技術開発を積極的に行うことで、シェア拡大を目指してまいります。さらに、新規の取り組みとして、振動ソリューション分野とAI画像処理分野への挑戦を行っており、中長期的な成長ドライバーとなるよう積極的に事業を推進しております。
また、セグメント全体において、装置本体の提供のみに留まらず、各装置において測定、収集、分析したデータを活用したデータソリューションサービスの提供も目指しており、実現に向けた取り組みを推進しております。
なお、各事業セグメントにおける事業環境や事業の内容につきましては「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき課題
当連結会計年度における世界経済について、米国の関税政策の動向、東欧・中東地域における地政学的リスク、インフレの長期化及び為替変動の影響等により、世界経済全体は先行き不透明な状況が継続すると想定しております。また、詳細な事業環境については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
このような状況のもと、当社グループでは、中長期的に成長し続けていくために、不透明な社会情勢の緩和を見据えた研究開発及び技術革新による新規事業の創出に努め、以下の課題に優先的に取り組んでまいります。
①技術開発体制の強化
当社グループが属している市場は、技術的最先端市場であります。当社グループが今後も競争優位を発揮し、高収益性を維持するためには、時代の先を行く、技術開発体制構築が不可欠であります。また技術開発には粘り強い実験が不可欠であり、課題に対する答えを自分で探すことができる人材採用を重要視しております。
②クライアントニーズへの迅速な対応
当社グループでは、製品技術力だけでなく、創業以来のモットーである「クライアントファースト」を合言葉としたきめ細かな対応サポートも競争力維持には不可欠であると認識しております。グループ従業員に対しては、常日頃「クライアントファースト」を徹底するよう指導し、お客様の心のヒダをつかむ事業展開を行ってまいります。
③原価低減と生産効率の向上
製造メーカーにとって高品質を維持しながらの原価低減並びに生産の効率化は永遠のテーマであります。当社グループでは、この課題に取り組むため、より一層の生産性の向上及び製造体制の構築に努めてまいります。
④地政学リスクへの対応
今後の世界経済につきましては、米国に端を発した通商問題を背景とする景気後退リスクや各国による政策動向を引き続き注視する必要があります。
⑤新規事業の創出
現在、当社グループにおける売上高の約6割はイメージセンサ用の検査関連装置となっており、イメージセンサ市場への依存度が高い状況となっております。
今後、当社グループが継続して安定的に成長し続けるためには、既存事業の強化と共に、新たな収益の柱となる新規事業の創出が複数必要であると考えております。積極的な市場調査を行いながら、当社グループが新たな価値を創造できる事業を模索してまいります。
⑥マーケティング力の強化
既存事業の成長及び新製品や新規事業を創出していくためには自社の強みを市場機会に結びつける企画力や、顧客ニーズを的確に把握するマーケティング力が不可欠であります。それらを一層強化するため、VG(Value Generation)戦略室が活動を継続しており、新規事業の創出を加速してまいります。なお、VG戦略室とは、技術・顧客資産を活用し、新価値の創造、新商品・サービスの企画・マーケティングを行う部署を指します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関する考え方とガバナンス及びリスク管理
当社グループは、社会の継続的な平和、繁栄、発展に貢献するために「クライアントファースト」をモットーとして事業活動に取り組んでおります。「クライアントファースト」とは、「人と社会の役に立つかどうか」を意思決定の基準として定め、クライアント及び社会とともに新たな価値を創造できるよう、情熱と誠実を持って仕事に取り組み、勇気を持って挑戦し、常に創意工夫し続けることを意味しております。
なお、当社グループはサステナビリティに関する取り組みとして、特に「気候変動への対応」と「多様性の確保及び人的資本への投資」を重要な課題として捉え、以下の取り組みを実施してまいります。
(2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応
①ガバナンス
気候変動への対応は、社会の継続的な平和、繁栄、発展に貢献するという当社グループの経営理念において重要な取り組みであると認識しております。
当社は、環境マネジメントシステムの国際的規格である「ISO14001(環境)」を取得しており、当規格に基づいた環境方針の制定や代表取締役社長を最高責任者とするプロジェクトチームの設置をしております。当チームが主体となって年1回マネジメントレビューを行うことで、担当役員及び代表取締役社長が環境問題に対するモニタリングを行っております。
また、環境負荷軽減への取り組みとして、当社社長室において年1回、当社グループの使用電力量から排出される二酸化炭素(CO2)量を算出し、当社担当役員へ報告を行っております。担当役員は適宜取締役会へ報告を行い、取締役会において議論、指示、監督を行っております。
②リスク管理
当社グループが留意すべき気候変動に係るリスクについては、社長室及び担当役員にて識別し、事業環境の変化に応じて適宜見直しを行うこととしております。また、必要に応じて「ISO14001(環境)」のプロジェクトチームとも情報共有をしながら、組織的にリスク管理を行えるよう努めております。
③戦略
当社グループでは、気候変動によるリスクと機会について、下記のように想定しております。中長期的な気候変動からもたらされると想定されるリスクに備えると共に、低炭素社会に適応した新しいビジネスの創出も視野に入れながら事業を推進してまいります。
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主なリスク |
社会・ビジネス環境の変化 |
当社のリスク |
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物理的リスク |
異常気象の深刻化、増加 |
顧客の生産工場の稼働停止に伴う設備投資の鈍化 |
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移行リスク |
ⅰ政策・法規制リスク: 政府による環境規制の強化
ⅱ市場リスク: 原材料コストの増加
ⅲ評判リスク: ステークホルダーからのネガティブ評価 |
ⅰ炭素税の導入による増税、情報開示の負担増
ⅱ原料メーカーにおいて環境対応関連コストが増 加し、価格転嫁される
ⅲ企業価値の低下、対応コストの増大 |
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主な機会 |
社会・ビジネス環境の変化 |
当社の機会 |
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市場 |
低炭素をキーワードとした新たな需要が生まれる |
低炭素社会にマッチした新しい事業の開始 |
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強靭性 |
社会が低炭素に取り組む企業を評価する |
ステークホルダーからの信頼度上昇による企業価値の向上 |
④指標及び目標
1)指標
当社グループでは、気候変動リスク等を測定、管理する指標をCO2排出量と設定しております。
また、製品の製造を行う際のエネルギーは主に電力を使用しており、燃料等の燃焼による直接のCO2排出はわずかであるため、直接排出量(Scope1)については測定しておりません。電気使用等による排出量(Scope2)については、年間電力使用量からCO2排出量を算出しております。
2)目標
当社が匿名組合を通して出資(出資比率50%)する太陽光発電施設において削減されたCO2量が、当社グループ企業から排出されたCO2量を上回るよう、管理を行ってまいります。
2024年6月~2025年5月までの年間CO2削減量は約305,619kg(当太陽光発電施設全体において削減されたCO2量は約611,237kg)であり、同期間における当社グループ企業の年間CO2排出量約263,321kgを上回っているため、目標を達成しております。
(3)多様性の確保に向けた人材育成方針、人的資本への投資及び社内環境整備の状況
当社グループでは、多様性の確保に向けた人材育成方針、人的資本への投資及び社内環境整備に関する方針に係る戦略や指標について、当社においては具体的な取り組みは行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。
このため、次の戦略と指標に関する目標及び実績については、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社(当社)のものを記載しております。
①戦略
1)人材育成方針
優れた経営戦略・戦術の構築と実行を担える多様な人材の確保及び育成・活用は、企業の命運を左右する経営の重要課題と認識しております。
当社では、人材育成方針として「確信・共創・貢献」を掲げており、知識・技術・経験による「確信」の下、人・夢・愛を携え「共創」し、会社・顧客・社会に「貢献」できる人材の育成を目指しております。
具体的な取り組みとしては、社内教育プログラムとして「英雄アカデミア」を設置し、各役職や等級に合わせたセミナーや研修への参加を促すことで社員のスキルアップを推進しております。
2)多様性確保に向けた人的資本への投資及び社内環境の整備
当社は、コーポレート・ガバナンス・ガイドラインにおいて、社内に多様な視点や価値観が存在することが会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり、新たなイノベーションの創出にも繋がると認識しており、国籍や性別を問わず、従業員の活躍促進を含む多様性の確保に向けた活動を推進することを定めております。その一環として、家族の介護、看護、学校行事等で取得することが出来る「ファミリーサポート休暇」等の独自制度を導入し、事情に応じて柔軟に対応できる職場環境を構築する等、男女平等に活躍できる社内環境の整備を実施しております。
また、当社は主要顧客である半導体メーカーのイメージセンサに関する設備投資需要の変動に対応すべく、経営戦略として少数精鋭の体制をとっております。一方で、当社の市場競争力の核は技術開発力であると認識しており、優秀な技術者の確保は積極的に行っていくとともに、技術開発部門をサポートする営業部門や管理部門といった人材も必要不可欠であると考えております。そのため人的資本については、技術開発部門への投資を優先しつつ、バランスに配慮しながら適切に行ってまいります。
②指標及び目標
当社は当期末時点において従業員56名の小規模組織であり、中核人材の多様性確保については、現時点で自主的かつ測定可能な目標を定めておりません。目標策定については組織規模や事業規模等を考慮しつつ、継続的に検討してまいります。なお、当社の当期末時点における従業員の女性比率は約19.6%、外国人比率は約1.8%となっております。
また、当社の市場競争力の核である技術者の多様性について目標を定めております。工学を専攻している大学及び大学院(修士課程、博士課程)学生に占める女子学生の割合は全国で約15~20%(2024年度)であり、当社においても同水準となるよう採用活動に注力してまいります。
[当社の技術職社員における女性比率の現状と目標値]
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項目 |
現状(2025年5月期) |
目標 |
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以下に、経営者が当社グループの事業展開その他に関するリスク要因と認識している主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に対する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
また、下記の事項には将来に係るリスク要因が含まれておりますが、これらの事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1) 業界動向について
① 需要動向
当社グループのIoT関連事業に属する電子部品検査装置事業の主要製品である光源装置に関する需要は、半導体メーカーのCCD及びCMOSイメージセンサに関する設備投資動向に影響を受けます。この設備投資動向はCCD及びCMOSイメージセンサが装着される製品の販売動向及び新製品開発・投入動向、また半導体メーカーの経営方針あるいは経営環境に変化が生じた場合等に変動すると考えられ、その変動が大きい場合、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社では、少数精鋭の体制をとっており、人件費等の固定費による負担が少なくなるような体制としております。また、人材派遣等を活用することにより、売上が大きく変動した場合でも柔軟に対処することが可能であります。
さらに、当社の製造方法は半ファブレス形式であるため大規模な工場設備を有しておらず、一般的な賃貸オフィスビル内にて製造を行っております。そのため、稼働率が低下した場合でも、賃貸スペースを一部解約する等、固定費を柔軟に変動させることで、需要動向に柔軟に対応できる体制を構築しております。
② 競合の状況
当社グループのIoT関連事業セグメントの主要製品である光源装置及び瞳モジュールに関しては、当社を含め数社が供給しております。今後、競合他社が大幅な低価格戦略を展開した場合、あるいは国内外で他社の新規参入があった場合には、当社グループの市場競争力及びマーケットシェアに影響が生じるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社では、競合他社との差別化を図るため、検査対象であるイメージセンサの高度化に伴った製品開発を行うことで技術を蓄積しながら、顧客ニーズに応じたカスタマイズ製品の製造販売を行っております。今後も顧客ニーズをいち早く把握し新しい技術を製品化することで、顧客ニーズに応えていくよう努めてまいります。
また、新規事業への取組等、主要製品以外の分野にも注力し、事業の多角化によってリスクの分散が可能な体制の構築を図っております。
③ 技術革新及び新規事業への対応について
当社グループは、電子部品検査装置事業に関し、半導体メーカーやモジュールメーカーにおいて従来のデバイスに加え、3Dセンシング技術用新規デバイスのニーズが強まると考えております。また、CCD及びCMOSイメージセンサに関しては更なる高画素化、高機能化の開発が進められており、光源装置や瞳モジュールにおいても、より高度な製品が求められるものと予測しております。
加えて新規事業においては、まだ世の中で解決できていない問題を解決することをコンセプトとしており、市場が形成されていないため、顧客ニーズや関連市場の動向を踏まえた施策が必要であると認識しております。
しかし、予測や認識に対して、新技術を導入した製品の開発が遅延あるいは失敗した場合等には、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社グループでは、常に顧客との対話においてニーズのキャッチアップを行うとともに、必要に応じた技術者の育成にも取り組んでおります。
また、新規事業においては、予測や認識に対する仮説を考察したうえで顧客へのヒアリングを実施することで、仮説が正しいか判断する検証を行っております。仮説が正しいと判断された場合のみ人員の拡充や設備投資を行うことで、新規事業へ挑戦するリスクを最小限に抑える努力を行っております。
(2) 当社グループの事業体制について
① 小規模組織であること
当社グループは2025年5月31日現在で、従業員130名の小規模組織であります。当社グループの市場競争力の核は技術開発力にあり、専門性の高い技術者を中心とした社員構成となっております。そのため専門性の高い技術者を確保し、事業拡大を支えるために、営業、製造、内部管理等の人材も充実させる必要があります。したがって、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び社内人材の教育が計画通りに進まない場合には、当社グループの業務に支障をきたすおそれがあります。また、業務遂行体制の効率化にも努めていますが、小規模組織であり人的資源に依存する部分が少なくないために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が社外流出した場合には、当社グループの業務に支障をきたすおそれがあります。
一方、急激な規模拡大は、固定費の増加につながり、当社グループの業績に影響を与えるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社グループでは、個人の業務内容について、部署内での可能な範囲で情報共有に努めております。規模の拡大においても、適時適切に対応できるよう、勤務状況や個別面談による情報収集を行う等の対策を行っております。また、社員が社外流出した場合の情報漏洩対策として、入社時に秘密保持契約を交わす等、情報の管理にも努めております。
② 製造及び品質保証体制
当社グループは、製造に関しては、金属加工及び配線等を除き、基本的に内製を行う方針でありますが、基幹部分を外部委託した場合には、当社グループの技術あるいはノウハウが委託先に流出し、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。また当社グループは、事業拡大に備えて熊本事業所の建設及び長崎開発センター(現・インキュベーションセンター マーケティング室)の設置等、社内外における十分な製造能力の確保を進めてまいりましたが、委託先に急激な経営悪化又は経営方針の変更等が生じた場合、あるいは急速な市況回復により受注が拡大した場合は、製造の遅延等により当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
また、当社グループは、製品の開発、製造、販売並びに保守を通じて、当社グループ製品の品質及び性能に瑕疵が生じないように努めております。製品の瑕疵責任を問われた場合に備えて、製品保証引当金を引き当てておりますが、引当金が不十分であった場合には、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。また、製品の瑕疵責任に関連して、当社グループが他社から訴訟を受けた場合には、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社グループでは、人材派遣等を活用することにより、ある程度の製造能力の増減に対して柔軟な対応が可能な体制を構築しております。また、製造の遅延を防ぐため、常に顧客とのコミュニケーションを図り、精度の高い受注管理を行うことで、状況に応じた部品の先行手配等も実施することで対策を図っております。
加えて、製品の瑕疵責任が極力発生しないよう、顧客とのコミュニケーションを密に行い、徹底した品質管理を行っております。
③ 研究開発体制
当社グループの市場競争力の核は技術開発力にあるため、当社グループは人材の多くをそれぞれの事業の研究開発分野に投入しています。
当社グループは、研究開発体制の充実によって成果を向上させる考えですが、研究開発分野への重点的な資源投入は、研究開発成果が得られるまでの期間において、当社グループの利益を圧迫するおそれがあります。また、研究開発分野への重点的な資源投入は、営業、製造、内部管理等の相対的な資源不足を招き、当社グループの業務に支障をきたすおそれがあります。
これらのリスクに対して当社グループでは、常に業務内容をモニタリングすることにより、資源投入のタイミングを適切に計れるよう努めております。基本的には少数精鋭の体制により、正社員の人件費等の固定費による負担を軽減しつつ、人材派遣等を活用することで、研究開発成果までの期間における利益圧迫の影響をある程度抑えることができると認識しております。
(3) 有利子負債について
当社グループの有利子負債は、2025年5月31日現在で、短期借入金440百万円、1年内を含む長期借入金308百万円、合計748百万円となっております。業務運営に有利子負債を活用しているため、新たに借入れを行うことが困難となった場合、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社グループでは、有利子負債残高を適切に管理する事に加え、金融機関とコミットメントライン契約(借入未実行残高5,000百万円)を締結する等、資金調達の多様化を進めることで流動性の確保に努めております。
(4) 原材料の調達について
当社の製品及びユニットに使用するレンズや電子部品等の特定の原材料について、調達先等からの取引の継続性が不安定となり、製造の遅延が生じ、納期を逸した場合は、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社グループでは、先行手配を行うことや、複数の業者から仕入れを行うことで、上記リスクを軽減できる体制を構築しております。
(5) 為替変動の影響
当社グループの業績及び財務状況は、為替相場の変動に影響を受けております。急激な為替変動は当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の円換算額に影響を与える可能性があります。また、為替動向は外貨建てで取引されている製品・サービスの価格及び売上高にも影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して当社グループでは、部品の大部分を国内で調達しており、海外への製品販売についても現時点では大部分を円建での取引としているため、為替変動による影響を受けにくい体制となっております。
(6) 法的規制について
現時点では、当社グループの事業展開に重要な支障をきたすような法的規制はありません。しかし、国際貿易取引に関して、将来的に、当社グループの製品あるいは当社グループの製品を構成する主要部品の輸出入が何らかの法的規制を受けるような状況が生じた場合、あるいは輸出入にあたって許可が必要になるような状況が生じた場合には、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
また、日本国内においても今後何らかの法的規制を受けた場合には、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社グループでは、様々な法的規制について、各主管部門と管理部門が連携し、関連諸法規の情報共有及び遵守に努めております。
(7) 特許について
当社グループは知的財産としての特許を重視しており、必要な特許の取得を積極的に進める考えであり、技術情報公開により当社のコア技術が類推あるいは模倣されないような技術を中心に、特許取得を進めております。しかし、特許取得により、当社グループの技術情報が公開され、それをもとに他社が関連技術、関連製品の開発あるいは特許取得等を進める可能性があり、その場合には当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
当社グループは、製品開発に際して特許侵害のないように注意を払っておりますが、特許侵害の可能性が皆無とはいえません。また、国内外の特許出願状況、認定状況によっては、当社グループ製品及び事業に関連する特許が成立する可能性があるため、当社グループが他社の特許を侵害している、あるいは将来的に侵害する可能性を否定できません。他社から特許侵害の訴訟を受けた場合には、当社グループの業績に影響が生じるおそれがあります。
これらのリスクに対して当社グループでは、技術特許を申請する前に可能な限りのリスクやメリット・デメリットを審議したうえで、特許取得を進めることが必要であると認識しております。また、特許侵害については、必要に応じて顧問弁護士等と連携して柔軟な対応ができる体制を構築しております。
(8) M&A等による事業拡大
当社グループは、成長戦略の一環としてM&Aを実施することがあります。M&Aにおける買収価額が常に適正、妥当であるという保証はなく、買収後の収益が、買収時に見込んだ将来の収益予想を大幅に下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対して当社グループでは、対象企業の財務内容や契約関係等についてデューデリジェンスを実施すること等により、各種リスクの低減に努めております。また、専門家のアドバイス等によりデューデリジェンスの精度を上げるとともに、事業計画の策定や将来価値の測定について十分な検討を行う等、投資判断については慎重な姿勢で取り組んでまいります。
(9) 地政学リスクへの対応
今後の世界経済につきましては、米国に端を発した通商問題を背景とする景気後退リスクや各国による動向を引き続き注視する必要があります。なお、米国の関税政策の動向が注目されますが、当社の米国向け売上高は軽微のため、当社事業への直接的な影響は限定的であると考えております。ただし、関税政策が影響する企業の設備投資の差し控え等が間接的に業績へ影響する可能性があるため、市場の変化に対して柔軟かつ迅速に対応を行ってまいります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、事業セグメントを「IoT関連事業」「環境エネルギー事業」「インダストリー4.0推進事業」に分けて活動を行っており、各事業セグメントの事業環境は下記のとおりであります。
IoT関連事業では、イメージセンサの生産工程における品質検査で使用する検査用光源装置及び瞳モジュールを、主にハイエンドなイメージセンサを生産しているメーカー向けに製造・販売しております。
現在、イメージセンサ市場におけるイメージセンサメーカーは十数社程であり、その内日本と韓国のメーカーが6割以上のシェアを占めております。各イメージセンサメーカーの動向から、今後もイメージセンサ市場は引き続き拡大していくものと予測しております。
また、現状ではイメージセンサ市場(金額ベース)においてスマートフォン向けセンサのシェアが約6割~7割を占めていることから、イメージセンサの市況はスマートフォンの製造、販売状況に左右される傾向があります。現在、スマートフォンの市況については、一部地域における経済低迷や買い替えサイクルの鈍化等に伴い発生していた需要停滞の状況は復調傾向にあり、スマートフォンの出荷数量は段階的に増加していくと想定しております。
近年では、スマートフォンに搭載されるイメージセンサ(カメラ)の高付加価値化が進んでおり、大判化等のハイエンドなイメージセンサが使用される割合も増加傾向にあることから、イメージセンサメーカーによる設備投資は今後も必要になると予測しております。それに伴い、技術トレンドに合わせた新たな検査用光源装置及び瞳モジュールの需要も発生しております。
現在、イメージセンサの短期的な需要は写真や動画を撮影するために可視光を捉える従来型のイメージング向けデバイスがメインとなっております。
中期的な需要としては、イメージングからセンシングにトレンドが変わると予測しており、3Dセンシング技術による3次元情報の取得やAI(人工知能)のディープラーニングを活用した自動運転といったロボティクス向けセンサ市場の広がりにより、イメージセンサからの画像情報の収集と蓄積に関する重要性が増し、より高精度な画像情報を取得可能なイメージセンサ等の需要が高まっていくと予測しております。
具体的なデバイスとしては、物体との距離等の3次元情報を取得することを目的としたToF(Time of Flight)センサやLiDAR(Light Detection And Ranging)センサ用イメージセンサを想定しております。これらのデバイスは、スマートフォンへの採用も本格化しており、今後様々なアプリケーションが開発されることで需要が更に増加すると予測しております。
長期的には、イメージセンサの技術向上やセンシング分野の発展及び5G関連のインフラ構築等に伴い更なる用途の拡大を想定しており、産業分野(マシンビジョン、監視カメラ、ドローン等)への応用や、イメージセンサが搭載されたIoTデバイスの普及等によって、従来とは異なる新たな需要が発生すると推測しております。
環境エネルギー事業では、大量印刷を行うための輪転機(業務用印刷機)と一緒に使用する乾燥脱臭装置や、工場向けの排ガス処理装置を製造・販売しております。
印刷機業界は、ITの普及により新規の設備投資は縮小しているものの、輪転機の経年劣化による買換えが毎年一定数発生するほか、定期的なメンテナンス需要が存在しております。また、競合他社がほぼ存在しないため、当社グループではこれらの需要を安定的に取込んでおります。
なお、2025年6月11日開催の取締役会において、当セグメントに区分されていた株式会社エア・ガシズ・テクノスの全株式の譲渡を決定し、2025年7月2日に株式譲渡が完了いたしました。そのため、2026年5月期連結会計年度において同社を当社の連結子会社から除外し、当報告セグメントを廃止いたします。
インダストリー4.0推進事業では、主にディスプレイの生産工程で支障となる振動を取り除くための除振装置を、ディスプレイメーカー向けに製造・販売しているほか、歯車が設計図どおりの形状となっているかを検査する歯車試験機を、歯車メーカー向けに製造・販売しております。その他、当社グループの新規事業として、振動ソリューション関連事業、AI画像処理装置事業についても積極的に活動を行っております。
精密除振装置の市況について、現在フラットパネル・有機ELディスプレイ業界では、主に海外顧客における継続的な投資計画に伴い、昨年に引き続き設備投資需要は堅調に推移すると想定しております。
精密除振装置分野における新規事業への取り組みについては、振動を見える化できる振動モニタリングアプリを開発し、製品化しております。また、除振だけではなく顧客の振動環境を精密に再現する加振装置についても製品化しており、除振・加振による振動のトータルソリューションによって顧客へ新たな価値を提供してまいります。
また、歯車試験機の市況については基本的に工作機械市場の状況に準じており、景気変動に左右される傾向があります。米国の関税政策等による不透明感はあるものの、人手不足等を背景とした省人化・自動化需要が根強く、ロボット産業や自動車産業を中心として事業環境は堅調に推移する見込みであります。
歯車試験機分野における新規事業への取り組みについては、歯車の表面の粗さを精密に検査できる粗さ試験機を開発し、製品化しております。自動車メーカーからの引き合いもあり、引き続き販路拡大に向けた取り組みを継続してまいります。
新規事業として取り組んでいるAI画像処理装置事業については、様々な製品の製造工程において生じた細かな傷等を画像に撮り、その画像を元に自動で不良品を判別する装置を開発・製品化し、拡販活動を推進しております。目視検査の完全自動化に向けて、AI機能の強化や測定物を検査装置までピックアップするロボットの導入も実施し、システムとして提供することで顧客から高い評価をいただいております。また、開発及び製造期間の短縮、設計の効率化、品質の一貫性確保等を目的として開発を進めていた汎用性の高いプラットフォーム品も完成しており、販路拡大に向けた取り組みを継続してまいります。
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ10百万円増加し、13,656百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ718百万円減少し、1,891百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ728百万円増加し、11,765百万円となりました。
詳細につきましては、「(2) ① 2)財政状態」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は6,668百万円(前期の売上高7,754百万円に比し、14.0%の減少)、売上総利益は3,004百万円(前期の売上総利益3,306百万円に比し、9.2%の減少)となりました。また、営業利益は1,418百万円(前期の営業利益1,577百万円に比し、10.1%の減少)、経常利益は1,386百万円(前期の経常利益1,637百万円に比し、15.4%の減少)、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は979百万円(前期の親会社株主に帰属する当期純利益1,132百万円に比し、13.5%の減少)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
(IoT関連事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は3,829百万円(前期の売上高4,897百万円に比し、21.8%の減少)、セグメント利益は1,946百万円(前期のセグメント利益2,401百万円に比し、18.9%の減少)となりました。これは、国内顧客向け検査用光源装置の販売が上期は好調に推移したものの、下期は低調に推移したためであります。
(環境エネルギー事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は777百万円(前期の売上高1,052百万円に比し、26.0%の減少)となりました。これは、前期と比較して排ガス処理装置分野における装置本体の販売が低調に推移したためであります。一方、セグメント利益は42百万円(前期のセグメント利益は39百万円に比し、8.2%の増加)となりました。これは、収益性の高い乾燥脱臭装置分野のメンテナンス案件の販売が好調に推移したためであります。
(インダストリー4.0推進事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は2,060百万円(前期の売上高1,804百万円に比し、14.2%の増加)、セグメント利益は265百万円(前期のセグメント利益16百万円に比し、1,459.5%の増加)となりました。これは、精密除振装置分野において上期に引き続き下期も製品の販売が好調に推移したためであります。一方で、歯車試験機分野においては第3四半期が好調に推移したものの、第4四半期に予定していた売上計上の時期がずれたため、通期では低調に推移いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ2,757百万円増加し、9,070百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは3,561百万円の収入(前期は8百万円の収入)となりました。これは、仕入債務の減少205百万円や法人税等の支払額570百万円があったものの、税金等調整前当期純利益1,385百万円の計上並びに売上債権の減少2,208百万円や棚卸資産の減少621百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは293百万円の支出(前期は154百万円の支出)とな
りました。これは、有形固定資産の取得による支出248百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは415百万円の支出(前期は469百万円の支出)とな
りました。これは、配当金の支払額386百万円があったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度において、受注高及び受注残高は、IoT関連事業を中心として前期比で大幅に減少しました。
これは、前連結会計年度において国内顧客が大規模な設備投資を実施したこと等に伴い、当連結会計年度におい
ては設備投資需要が一服したためであると認識しております。
今後、IoT関連事業においては、主要顧客の設備投資のタイミングが流動的となっており、当社の受注見通し
はその影響を大きく受けると想定しております。具体的には、国内顧客が公表した設備投資計画において、イメ
ージセンサの高密度化による先端プロセスの導入が当初想定より早まるとの見解が示されており、翌連結会計年
度の後半に設備投資規模を引き上げる可能性があります。また、海外顧客との対話においてもスマートフォンや
車載カメラ等の需要増加に伴い、設備投資需要が増加する兆候を捉えておりますが、いずれも顧客が投資判断に
慎重になっていることから確かな見通しは得られておりません。
一方、中長期的な受注動向については、イメージセンサの大判化や用途拡大等に伴う生産キャパシティの増強
及び稼働率向上に向けた受注拡大が継続していくと推測しております。
なお、受注高の減少等に伴い、IoT関連事業を中心として生産実績も大幅に減少しました。
1)生産実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
増減 |
|
|
|
金額(千円) |
金額(千円) |
金額(千円) |
増減率(%) |
|
IoT関連事業 |
5,524,752 |
2,755,714 |
△2,769,038 |
△50.1 |
|
環境エネルギー事業 |
973,855 |
753,784 |
△220,070 |
△22.6 |
|
インダストリー4.0推進事業 |
1,751,176 |
2,145,719 |
394,542 |
22.5 |
|
合計 |
8,249,784 |
5,655,218 |
△2,594,566 |
△31.5 |
(注)1.上記の金額は、販売金額によっております。
2.生産実績には、外注仕入実績を含んでおります。
2)受注実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
増減 |
|||
|
|
受注高 |
受注残高 |
受注高 |
受注残高 |
受注高 |
受注残高 |
|
IoT関連事業 |
5,541,220 |
2,288,999 |
2,478,640 |
980,615 |
△3,062,580 |
△1,308,383 |
|
環境エネルギー事業 |
746,621 |
527,393 |
548,848 |
276,041 |
△197,772 |
△251,351 |
|
インダストリー4.0推進事業 |
1,555,641 |
262,054 |
1,666,718 |
241,801 |
111,076 |
△20,252 |
|
合計 |
7,843,484 |
3,078,447 |
4,694,208 |
1,498,459 |
△3,149,276 |
△1,579,988 |
(注)上記の金額には、見込み生産を行っている事業は含まれておりません。
3)販売実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
増減 |
|
|
|
金額(千円) |
金額(千円) |
金額(千円) |
増減率(%) |
|
IoT関連事業 |
4,897,752 |
3,829,961 |
△1,067,790 |
△21.8 |
|
環境エネルギー事業 |
1,052,023 |
777,989 |
△274,034 |
△26.0 |
|
インダストリー4.0推進事業 |
1,804,956 |
2,060,700 |
255,744 |
14.2 |
|
合計 |
7,754,732 |
6,668,651 |
△1,086,081 |
△14.0 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
なお、販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については「-」表記にしております。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年6月1日 至 2025年5月31日) |
||
|
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社 |
3,865,720 |
49.8 |
2,213,683 |
33.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績は、前連結会計年度比で減収減益となりました。
売上高及び営業利益が減少した理由は、インダストリー4.0推進事業が好調に推移したものの、IoT関連事業が低調に推移したためであります。
また、当社グループではROE(自己資本利益率)の向上を重要な指標の一つとしておりますが、当連結会計年度では8.6%(前期ROE10.7%)となり、前期より2.1ポイント減少いたしました。ROEが減少した主な要因として、前述のIoT関連事業の減収減益により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益が減少したためであると分析しております。結果として、ES(エクイティスプレッド:ROE-株主資本コスト)は2.6%(前期ES5.8%)となりました。
来期は、IoT関連事業において製品の販売が低調に推移する見通しであるため、減収減益を見込んでおります。当社グループは、投資家視点を重視した企業価値向上の観点から、来期より「ベース売上高」「売上総利益率」「一人当たり営業利益」「営業利益成長率(CAGR)」「ROE(連結)」を新たな重要指標に設定いたしました。2030年目標値の達成に向けて、活動してまいります。
2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ10百万円増加し、13,656百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ152百万円減少し、12,155百万円となりました。これは、現金及び預金が
2,755百万円増加したものの、売掛金が255百万円、電子記録債権が2,009百万円、仕掛品が662百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ163百万円増加し、1,500百万円となりました。これは、有形固定資産が147百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ718百万円減少し、1,891百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が204百万円、未払法人税等が199百万円、未払消費税等(流動負債「その他」)が177百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ728百万円増加し、11,765百万円となりました。これは、前事業年度の期末配当金276百万円及び当期中間配当金110百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益979百万円を計上したこと及び自己株式が180百万円減少したこと等によるものであります。
なお、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度末に係る各数値については、遡及適用後の数値との比較・分析を行っております。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、銀行借入により資金調達しております。このうち、運転資金については短期借入金で、設備又は企業買収等の長期資金については長期借入金等で調達しております。
2025年5月31日現在の有利子負債残高は、短期借入金440百万円、1年内を含む長期借入金308百万円となっております。
その他、積極的な事業展開に必要な資金需要に対して、安定的かつ機動的な資金調達体制を構築するため、複数の金融機関との間で合計5,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入未実行残高5,000百万円)。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループの市場競争力の核は、技術開発であるため、積極的な研究開発投資を行い、多くの人材を研究開発分野に投入し先端技術の蓄積と製品開発に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費総額は
(IoT関連事業)
・次世代光源装置
・ローエンドモデル光源装置
・共同開発型瞳モジュール
(インダストリー4.0推進事業)
・振動モニタリングアプリ
・加振装置
・AⅠ画像処理装置
・歯車粗さ測定機
・SiCレーザダイシング装置
当社グループの研究開発施設は日本にあり、研究開発に関する情報はクライアントと直接交換しながらアイデアを創出し、研究開発活動を行っております。また、開発した新装置は、そのままクライアントに有償で納品される場合もあります。
IoT関連事業では、引き続きイメージセンサメーカーのニーズに沿った光源装置及び瞳モジュールの開発や、製品の付加価値を向上させるための開発を行っております。また、新規顧客開拓のため、ローエンドモデルやセンシング向け等、幅広いラインナップの装置開発も重要になると考えております。
インダストリー4.0推進事業では、中長期的な成長を見据えた既存製品の改良及び新製品の開発を推進しております。