文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年9月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
21世紀のキーテクノロジーとして期待されるバイオテクノロジーは、分子生物学及び先端医療の進歩促進をはじめ、高齢化社会問題、環境・食料問題、エネルギー問題など、様々な問題の解決に重要な役割を果たすものです。当社グループは、「バイオ産業のトータル・システム・インテグレータとして、人類の健康と幸福に貢献していく」ことを企業理念にかかげ、世界のバイオ産業の発展に寄与することを通じて、自らも中長期的な発展・成長を実現し、株主、取引先、従業員等のステークホルダーに貢献していきたいと考えております。
2020年8月28日に公表した中期事業計画に従い、2023年6月期を最終年度として、連結売上高10,000百万円、連結営業利益1,000百万円を達成することを目指します。
当社は、DNA自動抽出装置を主力製品として、研究所や検査センターなどのラボ施設の自動化を事業の中心に取り組んでまいりました。この事業は、OEMを主体としたワールドワイド展開により、一定の成功を収めたものと考えております。今後も、顧客要求に基づく性能改善やコストダウンなどの製品力強化に注力してまいります。また、新機種PreLEAD(多検体同時核酸抽出装置)の開発を終え、ラージボリューム(大容量)やハイスループット需要分野への導入も開始され、DNA抽出技術の活用範囲が広がっています。今後は、様々な研究分野における前処理工程の自動化ニーズが起きているため、こういった要望に応えることにより、DNA自動抽出装置の応用範囲の拡大にも努めてまいります。
これまで当社は、免疫検査の臨床診断装置をOEM先を通じて製造販売してまいりましたが、バイオ関連業界もようやく、遺伝子検査の臨床診断分野への実用化が始まりました。当社のオリジナル製品である全自動の遺伝子検査装置「geneLEAD」は、遺伝子の抽出から増幅・測定を一貫自動化した製品であり、ウィルスやバクテリアなどの感染症診断分野あるいは抗ガン剤などを対象とした個人の体質に応じた薬効を見極めるための投薬前診断などの遺伝子検査の領域に事業展開していく方針であります。現在COVID-19をはじめ重篤感染症の脅威から掛け替えのない人命や経済を守るためPCR検査体制の構築を目指し、geneLEADシリーズは核酸抽出とリアルタイムPCRの一貫全自動システムとして、ヨーロッパを中心にPCR検査を実施する世界の医療現場で導入されています。
そしてこのたび日本国内においても、全自動PCR検査装置とPCR試薬(COVID-19検査用)が保険適用の対象製品となったことにより、本年8月3日より販売を開始しました。今後は保険適用のPCR試薬検査項目を拡大して、重篤感染症によるパンデミックを防止するためPSS自動化システムの普及に鋭意努力し社会貢献を果たしていきます。
当社はバイオ関連業界における遺伝子診断市場のトレンドを捉え、事業領域を研究開発分野から臨床診断分野へ移行するとともに、製品構成は装置中心から試薬・消耗品(専用プラスチックカートリッジ)ビジネスへの事業転換を掲げています。今後はCOVID-19の確定迅速検査の世界的な需要に対応するために当社の自動化技術を集積した核酸(DNA)抽出自動化装置(magLEADシリーズ)及び全自動PCR検査装置(geneLEADシリーズ)専用の抽出試薬及び消耗品の販売拡大が予想されることから、大館試薬センターにおける新たな自動化設備投資等による量産コストダウン対応が要求されており、事業の成長のための重要な課題となっていますが、本年7月17日付において、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」に採択されたことにより、この補助金を有効活用することにより順次必要な製品供給能力を確保するべく、日本国内で生産拠点等の整備を行う方針であります。
バイオ関連業界において、新たな技術を製品化し、世界を相手に販売活動を行っていくには、大手企業と提携しOEM供給を行うことが、最も合理的で成功確率の高い方法であると認識しています。したがって、上記①②③の事業について、然るべき大手企業に提案し、OEM供給事業としての道筋をつけていく方針であります。
その一方で、OEM供給事業は、提携相手の方針転換や内部事情などの影響を受けやすい点に危うさもあり、近年は、自社販売事業にも注力しております。最終ユーザーに販売するためには、システムに搭載する試薬や測定項目が必要であるため、試薬の品揃え強化にも注力しております。また、OEM先との販売地域の区割りが必要となる場合もあります。いずれにせよ、製品仕様や販売地域などの細かな設定を行うことで、当面の間は、OEM供給事業と自社販売事業の共存が必要と考えております。
⑤ 経理体制の強化
今後の業務拡大基調に対して、経理業務負荷の拡大が想定されることから、新たな人的資源の確保と新基幹システムの導入による業務効率化により経理体制の強化を行う方針であります。
(優先的に対処すべき事業推進テーマ)
これらの対処すべき課題を踏まえつつ、売上拡大と利益確保を推し進めるために策定した中期事業計画の方針
としては、1)既存OEM取引の深耕及び新規OEM契約の獲得、2)自社製品のラインアップの充実と販売強化、3)試薬
・消耗品ビジネスをはじめとする製品コストダウンによる利益率の向上にて、その中での優先的・戦略的に推進
する事業テーマとしては①製品製造拡大のための大館第2工場の設立②医療診断システム(geneLEADシリーズ)と
しての製品品質向上③PCR(診断)試薬事業の推進を掲げています。
これらの施策を実施していくことで、バイオ検査業界における総合的なインフラ提供企業へと発展し事業の成
長による社会貢献を目指してまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年9月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの売上高の本装置への依存度は58.2%(2020年6月期)と高くなっております。そのため、当社グループの業績は、ユーザーの本装置への需要の変化、本装置の他社製品との競合状況の影響を受けることが予測されます。
また、本装置はOEM販売(相手先ブランドによる販売)を中心に展開しており、その販売力に依存しているため、当社グループにおける経営計画の策定根拠の中に不確実性が相当程度含まれることは否めません。また、同様の理由により、過年度の経営成績だけでは、今後の当社グループ業績の判断材料としては不十分な面があると考えられます。
当社グループは、3ヶ年の中期事業計画を策定し、臨床診断分野での利用を目的とした新製品群の事業展開により、事業規模の拡大とDNA自動抽出装置等への依存度低下を図っております。新製品群の中の全自動遺伝子検査装置「geneLEAD」につきましては、OEM先であるエリテック社との間で2015年9月の市場投入が開始されました。また、当該装置で使用するDNA抽出試薬についても、大館試薬センターにおける生産体制を拡充しております。しかし、新製品群の事業展開が当社グループの期待どおりに進捗しない場合は、引続きDNA自動抽出装置等への依存度が高水準で推移することになり、上記に記載した不確実性等が継続することになります。
さらに、今後当社グループが予想しない支出、投資などが発生し、当社グループの事業戦略が変更される又は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ売上高のうち、エリテックグループ、ロシュグループ、キアゲングループ向けの売上高が50.1%(2020年6月期)を占めております。
当社グループにとって、上記3グループはいずれも安定的な取引先であると認識しておりますが、このような関係が今後とも継続するという保証はなく、また、当社グループの事業戦略及び経営成績は、上記3グループの経営成績や財政状態、事業戦略により重大な影響を受ける可能性があります。
上記(1) で記載したように、当社グループは新製品群による事業展開により事業規模の拡大を図り、これに伴い販売先の多様化を図っております。しかし、新製品群の事業展開が当社グループの期待どおりに進捗しない場合は、引続き当該3グループへの依存度が相当程度を占めることになります。
当社グループは、DNA自動抽出装置等について、現在、複数の会社とOEM契約を締結しております。いずれの会社とのOEM契約も、供給先試薬メーカー向けにカスタマイズした製品に関してはOEM供給先が独占的に購入するという契約内容となっておりますが、原則、当社グループがスタンダード製品等の自社製品を製作・販売・供給することについては何ら制限しておりません。したがって、当社グループが他社に対して自社製品を製作・販売することや他の試薬メーカー等とOEM契約を結ぶことは現時点では制限されておりません。
上記のとおり、DNA自動抽出装置等に関する当社グループの販売活動はOEM先に依存しております。各契約の内容については、将来的に見直し又は解消が行われる可能性があります。仮にこれらの各契約が将来において見直しあるいは解消された場合、現段階では特定のOEM供給先に対する売上依存度が高いことから、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、より多くのOEM先を確保し、事業拡大及びリスク低減を図るべく、今後とも努める方針でありますが、当社グループのOEM先確保が計画どおり進展するという保証はありません。
当社グループは、装置の組立て等を外注先に生産委託していることもあり、これまで大規模な生産設備を保有していませんでした。しかし、新製品群による事業展開の一環として試薬の供給体制を拡充する必要性から、2014年6月に大館試薬センターを設立、同年11月より本格的稼働を開始して、さらに生産能力を増強するための投資を計画しております。
当社グループとしましては、販売先の需要動向をヒアリング等しながら、需要に見合う設備投資として慎重に行っていく方針であります。しかし、試薬販売が当社グループの期待どおりに拡大しなかった場合は、稼働率低下による固定費の負担が増加し、さらには固定資産の減損損失を計上するリスクがあります。
当社グループの海外売上高は4,084百万円となっており、売上高の80.6%(2020年6月期)を占めております。海外売上高の大半は欧米のOEM先向けのものであり、その取引価格はユーロ建、ドル建、円建価格のものが混在しております。価格に対する為替の影響については、概ねその為替差損益について両社で折半し、取引価格に加減算する契約となっておりますが、いずれにせよ為替変動の影響を受けるものとなっております。
当社グループは、為替変動の影響を極力排除する目的から、ロシュグループ向け及びキアゲングループ向けプラスチック消耗品の一部につき、欧州子会社にて外注先を利用した現地生産・販売をしておりますが、海外売上高の構成比は高く、為替動向によっては当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、自社でハードウェア設計を行いますが、上記(4) で記載した大館試薬センターの拡充計画はあるものの、現時点においては大規模な製造設備を持たず人員的にも少人数のため、一部の製品を子会社で製造していることを除き、原則、製造にあたっては外注先を活用しております。外注先に関しては、一部の消耗品に関しては海外現地生産を実施しておりますが、更なる多様化を進めていく方針であります。
なお、これらの外注先の経営状態、生産能力、品質管理能力その他の理由により、適切な時期に装置を製造することができない場合又は当社グループとこれらの外注先との関係に変化が生じた場合、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外の遺伝子関連業界(バイオ市場)において、DNA自動抽出装置等を製造販売しております。当社グループは、当社グループが属するこれらのバイオ市場は今後とも拡大していくものと予想しておりますが、これらの市場は未だ黎明期にあり、既に確立されたものではありません。その動向については不明確かつ不確実な部分も極めて多く、客観的な情報が著しく乏しいのが現状であります。従いまして、今後必ずしも当社グループの予測どおりに市場が進展するという保証があるものではありません。
医療用機器の取扱いに関しては、研究用機器とは異なる多くの規制が存在しますが、国内と海外においてこの取扱いは異なっております。
国内において、当社は医療機器製造販売業許可(第三種)/製造業登録/修理業許可/販売業許可を受けております。当社グループの提供するDNA自動抽出装置等の中には、医療機器として届出したものもございます。また将来はPCR試薬の事業展開を行う方針のため、体外診断用医薬品製造販売業許可/製造業登録を受けており、試薬の製造を行うダイアジェノード社(ベルギー)は体外診断用医薬品外国製造業者として登録を受けております。
海外において、当社グループのDNA自動抽出装置等は、欧州において体外診断用医療機器としてのCE-IVDマーキングを取得しております。また、中国においては、核酸抽出装置を医療機器として届出しました。
当社グループは、今後、遺伝子抽出から診断までの一貫自動化システムに各種試薬も搭載し、臨床検査分野に進出する方針であるため、必要な許認可の取得を進めて参りましたが、当社グループがこれを維持できるという保証はありません。仮に維持できない場合には、国内/海外の臨床診断マーケットという大市場を逸し、当社グループの事業計画及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループの事業に対して将来新たな法的規制が課された場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの属する遺伝子関連業界は、未だ黎明期にあって技術革新がめまぐるしい業界であります。こういった市場変化にきめ細かく対応するためには、小回りの利く柔軟な組織体を持ち、特許戦略を適確に推進しながら、ターゲットを絞った研究開発テーマに迅速に取り組むことが極めて重要であります。変化が激しく流動的な市場であるからこそ、当社グループのようなベンチャー企業でも並居る大手企業に伍して市場の覇権を握るチャンスが十分にあると考えています。
その実現のために当社グループでは、市場の需要を先読みした完成度の高い製品を先行販売し、それがもたらすデファクト・スタンダード化の実現に重点を置いた研究開発活動を推進すべきと考えております。
現在、当社グループでは、上記を踏まえた研究開発プロジェクトを推進しておりますが、これらをはじめとした研究開発活動には多額の資金と効果的な設備、そして多くの優秀な人材を要するものであります。そのため、当社グループは今後とも、かかる経営資源の一層の充実・確保に務める方針です。しかしながら、かかる経営資源の確保や研究開発活動が当社グループの計画どおりに順調に行われるという保証はなく、また、技術環境等の変化如何によっては、各プロジェクトの目指す開発目標が変更を余儀なくされ、当社グループの企業体力に比べて適正な規模や内容ではなくなる可能性があります。そのような場合、研究開発プロジェクトの遅延につながることとなり、投下資本の回収に遅れを生じたり、過重な有利子負債を抱える可能性があるほか、当社グループが業界の技術革新に乗り遅れる結果として、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
遺伝子関連業界において、現時点におけるマーケットの中心は米国、欧州にあります。したがって、当社グループ製品もその需要を海外に求める必要があり、現実に日本からの輸出が先行した事業展開となっております。当社グループとしては、国内外を問わず今後更なる事業展開を図るため、自社販売製品のメンテナンス体制及びOEM量産機種及びプラスチック消耗品の現地生産を重要な課題と認識し、欧米市場向け製品供給体制の強化に取り組んでおります。ただし、現地国の国情や法令制度あるいは取引慣行等の諸事情により、国内外への事業展開が当社グループの計画どおり進展しない可能性があり、この場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。また、このように当社グループの属する市場が国内外を問わないことから、日本国内のみならず世界中の同業他社との競合が発生し激化する可能性があります。かかる国内外での競合が当社グループの事業計画又は経営成績に影響を与えることは十分予測されるところであります。
当社グループは、主として遺伝子、免疫、タンパク質等の自動測定システムや試薬の要素技術に関し、国内外で多くの特許出願、意匠出願、商標登録出願を行っております。それらの要素技術の特許を取得し、当社製品のオリジナリティーを確保し、新しい事業と分野を切り開いて行くことは、当社グループ事業基盤にとって極めて重要性が高いものと考えております。
しかしながら、遺伝子関連業界においては、日々新しい技術の開発が進められています。したがって、当社グループが当社グループの技術を特許権等により保全したとしても、例えば当社の主力製品であるDNA抽出に関する新たな概念の技術が発明され、当社グループの特許技術が淘汰されるリスクは常に存在しております。仮に、当社グループの技術を超えるような優れた他の技術が開発された場合、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、産業や事業における特許制度の趣旨やその影響について常に考慮し、他社の特許を侵害しないよう十分な調査を行い、必要な場合は正式にライセンス契約締結を行う等知的財産上の問題を発生させないための努力を行ってまいります。
当連結会計年度末現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。
当社グループでは、知的財産権に関する問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を行っておりますが、当社グループのような技術開発型企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。
また、仮に当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、個別ケースに応じて法的対応策を考えていく方針でありますが、当該第三者の主張に正当性があるなしにかかわらず、その解決に多大な時間と費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、競争が激しいバイオ関連市場でオリジナル技術を核に事業拡大していくため積極的な研究開発活動を行っているほか、売上拡大を目指し自社販売網の確立にも注力しております。その結果、これら先行投資により、継続的に営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが生じた結果として、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
しかしながら当社グループは、2019年6月期決算において営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を計上しています。また、2018年8月27日に契約締結をして、第三者割当された新株予約権の権利行使に伴う新株発行による資金調達により、当連結会計年度末の手元資金(現金及び預金)残高は2,113百万円と財務基盤は安定しています。このため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
当社グループでは、当該状況を解消ならびに事業拡大に向けた中期事業計画の方針として、①既存OEM取引の深耕及び新規OEM契約の獲得、②自社製品のラインアップの充実と販売強化、③試薬ビジネスをはじめとする製品コストダウンによる利益率の向上を掲げ、売上拡大と利益確保を目指してまいります。
経営成績等の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税増税の影響や新型コロナウイルス感染の影響などにより厳しい状況が継続し、また世界各国においても新型コロナウイルス拡散への対応に追われ経済的には厳しい局面が続きました。
このような状況の中、当社グループはバイオ関連業界において、血液や組織細胞などの検体から遺伝子を抽出するための自動化装置(DNA自動抽出装置)を中心として、遺伝子研究の現場に対し様々な自動化装置を事業展開してまいりました。また、遺伝子の抽出技術に増幅・測定技術を組み合わせた全自動遺伝子診断装置を開発し、これまでの研究開発分野に加えて病院や検査センターなどの臨床診断分野も対象として販売を開始しております。更に、装置の使用に伴い消費される試薬(DNA抽出用の試薬)や反応容器などのプラスチック消耗品の製造販売にも注力いたしました。
これら製品は、世界的な販売網を有するバイオ関連業界の大手企業との契約によるOEM販売(相手先ブランドによる販売)を中心に、国内及び欧米子会社を通じた自社販売も含め、ワールドワイドに事業展開しております。
当連結会計年度は、売上高は5,067百万円(前期比15.7%増)、売上総利益は1,557百万円(前期比0.4%増)となりました。特に世界的な新型コロナウイルス「COVID-19」確定迅速検査の需要に対応するために、エリテック社向けOEM製品である全自動PCR検査装置や、DNA自動抽出装置の販売とそれらに付属する消耗品(抽出試薬、プラスチック消耗品)の販売は好調に推移したことにより前年同期比で売上増となったものの、試薬量産コストダウンの積極的な設備投資により減価償却費が増加したこと、見込んでいた受注開発案件が獲得できなかったこと等による減益要因があり、売上総利益はほぼ前年同期比並みとなりました。
一方、費用面においては、研究開発費は全自動PCR検査システムの応用開発費用等もあり、研究開発費は522百万円(前期比38.4%増)と増加したこと等により、販売費及び一般管理費は、1,639百万円(前期比18.2%増)となりました。これらの結果、営業損失は△82百万円(前期は営業利益163百万円)となりました。
その他、支払利息8百万円などの計上により、経常損失は△91百万円(前期は経常利益139百万円)となり、更に、特別損失として製品補償費33百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、△114百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益130百万円)となりました。
売上構成は、次のとおりであります。
当連結会計年度は、売上高は2,947百万円(前期比9.3%増)となりました。詳細は、以下のとおりであります。
従来より事業展開しているDNA自動抽出装置を中心としたラボ向けの各種自動化装置の販売に関する区分であります。当連結会計年度は、売上高は1,651百万円(前期比2.6%増)となりました。増収の要因は、ワールドワイドの取引先にOEM供給をしているDNA自動抽出装置の販売が順調に推移していることによるものです。
当社の事業領域として、遺伝子を利用した臨床診断分野が拡大しています。従来の研究開発分野に加えて、この分野の拡大に注力していきたいと考えています。
当連結会計年度は、売上高は1,295百万円(前期比19.3%増)となりました。売上高については、エリテック社向け全自動PCR検査装置の販売は好調であり、増収となりました。
当区分は、当社装置の使用に伴い消費される、DNA抽出用の試薬や反応容器などの専用プラスチック消耗品の区分であります。試薬に関しては、自社ブランド装置用のほか、一部OEM先に当社のDNA抽出試薬を供給しております。その他のOEM先は、OEM先が自社で試薬を製造販売しておりますが、プラスチック消耗品は当社から購入する契約となっております。
当連結会計年度は、売上高は1,559百万円(前期比47.3%増)となりました。特に世界的な新型コロナウイルス「COVID-19」確定迅速検査の急増する需要に対応するための増産により、前年同期比で増収となりました。
当区分は、装置メンテナンスやスペアパーツ(交換部品)販売などの区分であります。主要なOEM先は、OEM先が自社でメンテナンス対応しておりますが、スペアパーツは当社から購入する契約となっております。
当連結会計年度は、売上高は303百万円(前期比3.5%減)となりました。当該区分は、装置の累積販売台数に応じて売上高は伸長していく傾向にあります。
当区分は、子会社の製造工場であるエヌピーエス㈱が実施している、当社以外の外部からの受託製造事業の区分であります。
当連結会計年度は、売上高は256百万円(前期比17.8%減)となりました。当区分は、エヌピーエス株式会社の収益確保のための事業となっています。
当連結会計年度末の現金及び預金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ267百万円増加し、2,093百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
売上債権の増加額373百万円による資金の減少や買掛金の増加額225百万円による資金の増加等により、営業活動によるキャッシュ・フローとして21百万円の減少(前年同期は403百万円の減少)となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
有形固定資産の取得による支出208百万円、無形固定資産の取得による支出21百万円などの資金の減少があり、投資活動によるキャッシュ・フローとしては214百万円の減少(前年同期は94百万円の減少)となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
長期借入金の返済による支出267百万円などの資金の減少がありましたが、長期借入れによる収入300百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が459百万円などにより財務活動によるキャッシュ・フローとしては510百万円の増加(前年同期は308百万円の増加)となりました。
生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績を売上構成ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受注実績を売上構成ごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループ製品は、受注生産を基本としております。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績を売上構成別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.売上構成間の取引については、相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年9月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
当連結会計年度は、売上高は5,067百万円(前年同期比15.7%増)となりました。特に世界的な新型コロナウイルス「COVID-19」確定迅速検査の需要に対応するために、エリテック社向けOEM製品である全自動PCR検査装置や、DNA自動抽出装置の販売とそれらに付属する消耗品(抽出試薬、プラスチック消耗品)の販売は好調に推移したことにより前年同期比で売上増となりました。
試薬量産コストダウンの積極的な設備投資により減価償却費が増加したこと、見込んでいた受注開発案件が獲 得できなかったこと等による減益要因があり売上総利益率は、前年同期比では4.6ポイントの減少となりました。 それらの結果として、売上原価は3,509百万円(前年同期比24.0%増)、売上総利益は1,557百万円(前年同期比0.4%増)となりました。
費用面においては、全自動PCR検査システムの応用開発費用等もあり、研究開発費は522百万円(前期比38.4%増)と増加したこと等により、販売費及び一般管理費は、1,639百万円(前期比18.2%増)となりました。
営業外損益では、受取利息等の営業外収益は3百万円(前年同期比212.3%増)を計上した一方、支払利息等の営業外費用は12百万円(前年同期比53.2%減)を計上いたしました。
上記の結果、営業損失は△82百万円(前年同期の営業利益は163百万円)、経常損失は△91百万円(前年同期の経常利益は139百万円)となりました。
特別損益において、特別損失として製品補償費33百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、△114百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益130百万円)となりました。
なお、1株当たり当期純損失金額は△4.41円(前期は1株当たり当期純利益金額5.35円)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費用及び部品購入のほか、研究開発費を含めた販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、工具器具及び備品購入等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期資金調達は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としておりますが、必要に応じて株式及び新株予約権発行による資金調達を行う場合があります。
なお、当連結会計年度末における借入金による有利子負債の残高は1,013百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,093百万円となっています。
当連結会計年度末の資産合計は6,436百万円となり、前連結会計年度末に比べて932百万円の増加となりました。現金及び預金が267百万円、受取手形及び売掛金が373百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は2,116百万円となり、前連結会計年度末に比べて588百万円の増加となりました。主な要因としては、支払手形及び買掛金が255百万円増加、長期借入金が93百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,320百万円となり、前連結会計年度末に比べて343百万円の増加となりました。主な要因としては、資本金が232百万円増加、資本剰余金が232百万円増加いたしました。
キャッシュ・フローの分析については、「経営成績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますので、ご参照ください。
当社グループは、競争が激しいバイオ関連市場でオリジナル技術を核に事業拡大していくため積極的な研究開発活動を行っているほか、売上拡大を目指し自社販売網の確立にも注力しております。その結果、これら先行投資により、継続的に営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが生じた結果として、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
しかしながら当社グループは、2019年6月期決算においては、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を計上しています。また、2018年8月27日に契約締結をして、第三者割当された新株予約権の権利行使に伴う新株発行による資金調達により、当連結会計年度末の手元資金(現金及び預金)残高は2,113百万円と財務基盤は安定しています。このため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
当社グループでは、当該状況を解消ならびに事業拡大に向けた中期事業計画の方針として、①既存OEM取引の深耕及び新規OEM契約の獲得、②自社製品のラインアップの充実と販売強化、③試薬ビジネスをはじめとする製品コストダウンによる利益率の向上を掲げ、売上拡大と利益確保を目指してまいります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
2.キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.利払いは、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
5. 2017年6月期、2018年6月期、2019年6月期及び2020年6月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
当社は、DNA自動抽出装置等について複数の会社とOEM契約を締結しております。いずれの会社とのOEM契約も、供給先試薬メーカー向けに要求に基づいて製造した製品に関してOEM先に独占的に供給するという契約内容となっております。
2020年6月30日現在の主なOEM契約は、以下のとおりであります。
(注) 1.QIAGEN GmbHとの契約は、キアゲングループ向けの全装置に関する包括開発契約であります。
2.Roche Diagnostics, Ltd.との契約は、ロシュグループ向けの全装置に関する包括開発契約であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当社は、2018年8月27日開催の取締役会において、EVO FUNDを割当予定先とする第16回乃至第18回新株予約権(以下それぞれを「第16回新株予約権」、「第17回新株予約権」及び「第18回新株予約権」といい、個別に又は総称して「本新株予約権」といいます。)の発行及び金融商品取引法による届出の効力発生を条件とした新株予約権の第三者割当契約(コミット・イシュー・プログラム(※)。以下「本買取契約」といいます。)を割当予定先との間で締結することを決議しました。詳細は、「第4 提出会社の状況 1.株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況 ③ その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。
当連結会計年度の研究開発活動におきましては、研究開発費
主要な開発テーマと現在の状況は、以下のとおりであります。
「geneLEAD」とは、サンプルからの遺伝子抽出、PCR前処理、リアルタイムPCRによる遺伝子検出・解析までの一貫自動化を実現した当社独自のシステムのことであります。当連結会計年度は、フランスのエリテックグループ向けにカスタマイズした「geneLEAD Ⅻ plus」の製品出荷を開始し多くの引き合いを受けています。今後の収益拡大のための施策として、これまで培ってきた当社技術とコストダウン思想を盛り込んだ安価でコンパクトな全自動遺伝子検査装置「geneLEAD Ⅷ(自社ブランドの新機種)」を製品化しており、更に顧客の多種多様なニーズに応えるべく「geneLEAD」シリーズとしての応用開発を行っています。geneLEAD技術コンセプトは汎用性が高く、ユーザーフレンドリーであることが実証されつつあり、今後適応分野や地域を拡大させ、感染症だけではなくオンコロジー(ガン)やシーケンサー前処理等での利用を目指し開発を行います。直近の製品応用開発としては、バイオバンク向けの製品開発や新型コロナウイルス感染症「COVID-19」をはじめ、重篤感染症の脅威から掛け替えのない人命や経済を守るためPCR検査体制の構築を目指し大量検体処理能力を持つgeneLEADXXIV(24)等のシリーズ製品の開発と上市を目指しています。
また、これらに搭載する複数の検体及び診断項目へ対応した遺伝子抽出試薬及び検査試薬の開発を進めております。なお、遺伝子抽出試薬は「geneLEAD」シリーズで利用されるだけではなく、DNA自動抽出装置「magLEAD」製品群にも搭載することによりユーザーの様々な自動化ニーズに対応できることを目指した開発を行っています。
ティップ先端のキャピラリー部に、直径1mm程度の反応ビーズを並べて、多項目同時測定を実現した測定デバイスのことを「BIST」と呼んでいます。
「LuBEA」とは、マグトレーション技術を利用した免疫反応コントロールに、BISTによる多項目同時測定を組み合わせた一貫自動化システムのことであります。プロトタイプとしては既に完成していましたが、当連結会計年度は、製品化を目指し、免疫反応の測定技術を保有する企業(潜在顧客)との連携を進めました。まだ、製品化への結論には至っておりませんが、具体的な測定項目を定め、様々な試験を実施しております。