文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念として「独自の基盤技術を継続的に創出し、誰にでも使いやすく高精度な検査システムを提供することで、病気の早期発見と予防に貢献し、すべての人々が健康で自分らしく生きられる社会の実現を目指すこと」を掲げています。
この理念のもと、次の二点を重点方針として取り組んでおります。
1.顧客の信頼に応える高品質製品の安定供給
調達から生産までの計画を精緻に立案・実行し、市場環境の変化に的確に対応しながら、継続的な品質向上と確実な品質保証を徹底する。
2.高付加価値製品の迅速な市場投入
顧客ニーズを的確に把握し、開発目標や技術的課題に対して経営資源を最適配分し、納期遵守と設計品質を担保し、確実な事業成果へと結びつける。
2023年9月29日に発表した「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」において、2027年6月期の数値目標を「連結売上高10,000百万円、連結営業利益1,000百万円」としており、これを「目標とする経営指標」として掲げておりましたが、経営環境の変化の分析結果、第39期連結業績及び事業の抜本的改善策の実施計画等を踏まえ、2024年9月30日に発表した「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」の通り、中長期的には、2025年6月期から2027年6月期までの3年間につき、1年度ごとに250百万円から600百万円程度の売上増加を目標とし、2027年6月期末時点では連結営業利益約400百万円を達成することを目標としております。
当社の経常損益は、残念ながら、第36期の770百万円をピークに下落し、当連結会計年度においては△139百万円となり、第40期においても無配当とさせていただくこととなりました。
当社グループは、事業の運営体制の全体を徹底的に分析して見直し、2027年6月期を目途に次に掲げる4つの課題を解決し、財務基盤の安定化と持続的な企業価値向上に努めてまいります。
① 売上増加:独自の自動化プラットフォームおよび関連試薬・消耗品の売上を、2024年6月期を基準に
CAGRで当該期間8%以上の成長
② 粗利率改善:大館試薬センター稼働率向上とコスト低減を継続し、売上総利益率35%
③ 生産性向上:社員一人当たりの付加価値を高め、営業利益率5%以上
④ 企業価値向上:黒字化による利益剰余金積立と復配の実行
特に、第41期においては、業績の改善を継続し、ガバナンスの強化及び内部統制の再構築や財務基盤の再構築と成長に向けた、以下の施策を推進します。
① ガバナンスの強化及び内部統制の再構築
・中期事業計画を下回る業績に関する経営責任明確化
・黒字化、復配を条件とした取締役株式報酬制度導入提案
・専門知識を有する社外取締役の招聘による監視体制の強化
・内部統制の外部専門家へのコンサルティング委託
・グループ全体のコンプライアンス教育の実施
・管理部門の組織再編及び人材強化
② 財務基盤の再構築と成長に向けた施策
・その他資本剰余金による繰越欠損金の填補
・金融機関とのリレーション強化
これらの施策を着実に実行していくことで、早期に黒字化を定着させ、株主の皆様に還元できるようになると確信しています。
当社グループのサステナビリティに関する考え方と取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する全体方針
当社グループは、「誰にでも使いやすく高精度な検査システムの提供を通じた病気の早期発見と予防に貢献する」という企業理念のもと、事業活動を通じてヘルスケアをはじめとした多様な社会課題に取り組みます。中長期的な企業価値の向上を図る観点から、「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立を目指し、サステナビリティ経営を推進してまいります。
当社グループは、「サステナビリティに関する全体方針」を受け、取締役会でサステナビリティへの取組みの状況確認、検討、審議を行い、推進してまいります。
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
《人材確保・育成の基本方針》
当社グループは、人種・国籍・宗教・性別・年齢などに関わらず、多様な当社が求める人材を確保、育成、登用していくことが、SDGsの実現、中長期的な当社の企業価値向上につながるものと考えています。そのために、当社が求める人材像と人材マネジメントポリシーを下記の内容で定め、人材育成に取組んでまいります。
〔求める人材像〕
・多様性を活かし、価値を引き上げられる人
・組織を鼓舞し、動かす人
・プロフェッショナルとして極める努力をする人
・自律的に行動する人
〔人材マネジメントポリシー〕
人材マネジメントに関する意思決定の拠り所となる基本思想や原理原則として定めます。
<採用> 私たちは、会社の理念や方針に共感する人、プロ意識を持ち未知の領域に挑戦する人、自律的な成長・組織への貢献意欲がある人を採用します。
<育成> 私たちは、お互いを承認・称賛し合える組織になるために人材育成を行います。そのために、個々の専門性の向上に向けて、リーダシップを発揮し、社内外を巻き込み、業務を推進できる人材をサポートします。
<配置・異動> 私たちは、社員が自律的に考え行動できる環境を整えます。そして、自発的に成長・変革したい人にチャンスを与えられるよう支援します。
<等級・資格> 私たちは、等級・職位に求められる役割を設定し、その役割・責任に応じた処遇を実現します。また、マネジメント力や専門性の高さ等多様な人材に対し、柔軟性ある処遇を実現します。
<評価> 私たちは、成果だけでなく、会社の成長のため、スキルを高める努力をし続ける人を評価します。そして、評価の納得感を高めるために、役割や能力に応じた評価を行います。
<報酬> 会社の成長への貢献、自身の専門性の向上に対して処遇を行い、役割に応じた、安心して仕事ができる報酬水準とします。
《社内環境整備方針》
当社グループは、基本的人権を保護し、性別、年齢、国籍、人種、民族、信条、宗教、社会的身分、疾病、身体障害等による差別やハラスメント行為を排除し、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮して活躍できる健全な職場を目指し、推進してまいります。
《指針及び目標》
当社グループでは、現時点では年齢、国籍、性別等の区分で管理職の構成割合や人数の目標は定めておりませんが、上記方針を基に戦略を構築したのちに、目標を設定する予定です。
女性の管理職は10人(部長2人、課長8人)おります。今後も期待する役割に応じた能力と実績に基づき、積極的に登用を進めるとともに、適切に能力が評価されるような施策や環境の整備に取り組んでまいります。
(4)リスク管理
サステナビリティ関連のリスクと機会を選別、評価、管理するため、取締役会は、網羅的にサステナビリティに関するリスク等に関する現状認識を行い、取締役会において審議するプロセスといたします。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場および事業について
①ODM事業について
当社グループの売上高構成のうち、ELITechGroup等のODM販売先への依存度が76%程度(2025年6月期)と高くなっております。そのため、当社グループの業績は、ODM販売先の売上状況の影響を受けることが予測されます。
このたび、当社とELITechGroupは、ODM製品のより安定した生産と供給を実現するために、2024年7月~2029年6月の5年間を契約期間とするODM製品の中長期的な供給契約に合意し、契約期間中に総額70億円以上の発注がなされる予定です。このことを受け、大館試薬センターをはじめ、協力会社も含む各生産拠点の継続的な安定稼働と運営の効率化を見込んでいます。
②自社ブランド製品事業について
当社グループの自社ブランド製品事業は、国内外において装置、抽出試薬・消耗品、メンテナンス関連製品の販売を行っており、2025年6月期における売上依存度は24%弱となっております。これらの販売は、提携する現地代理店の販売実績に影響を受ける可能性があり、当該代理店の経営状況や販売戦略の変化によっては、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。当社は、営業力を有する代理店との提携強化や、販売見込みの精度向上に努めることで、売上の安定化を図ってまいります。
③人材確保について
当社グループは、ヘルスケア企業であり、競争力の維持のためにも専門的な知識・技能を持った優秀な人材の確保は必須であると考えております。しかしながら、人材確保が出来ない場合、必要不可欠な人材が社外に流出する状況になった場合、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
そこで当社グループでは、人材マネジメントポリシーの実践をしてまいります。
(2) 財務・資金調達について
①資金調達について
当社グループは、製品の上市、販売に向けた開発費用、設備投資、運転資金などの資金需要の増加に対応するため、資金調達を行う必要がありますが、資金が計画通りに調達できない場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは健全な財務体質を構築、維持に努め、安心できる格付けを取得するとともに、最新の販売、生産計画に基づいた資金計画の見直しを随時行ってまいります。
②減損について
当社グループは、様々な有形固定資産、技術資産等の無形固定資産を有していますが、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率の低下等により減損損失が発生し、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、最新の販売、受注情報に基づいた生産計画の見直しを随時行なってまいります。
(3) 規制・災害・事故について
①経営上の重要な契約等について
当社グループの事業展開上、重要な契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合や、当社グループに不利な改定が行われた場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
②知的財産権について
当社グループは、競合他社を排除するため、当社グループの技術を特許で保護しております。登録している特許が無効化、消滅した場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
③製造物責任のリスクについて
当社グループが取り扱うすべての製品、パーツ部材等について製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社はこれに備えて製造物責任賠償保険に加入しておりますが、臨床試験、検査の過程で製造物の欠陥が発見され、補償額が保険の補償範囲を超える大規模な製造物責任を負う場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④法的規制について
当社グループの製品は、販売される国ごとの法規制を受けており、当社グループは当該法規制を順守していく方針であります。しかしながら、これらの規制が強化されたり、新たな規制が導入された場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが開発、販売中のIVD検査装置、IVD試薬は関連法規の規制を受けており、営業活動継続のためには当局の承認又は許可が必要になります。当社グループが開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる許認可が得られなかった場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤情報セキュリティ
当社グループが保有する機密情報及び個人情報については、厳正な管理に務めておりますが、これらの情報の流出により問題が発生した場合には、当社グループの社会的信頼の低下等、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)継続企業の前提に関する重要事象等について
当連結会計年度は中期経営計画に定めた事業再生フェーズ中であります。利益確保の基盤は整いつつあるものの、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しております。
このような事象又は状況を解消すべく、当社グループは、事業の抜本的改善策について拠点の移転統廃合等でグループ収益力向上を図り、事業の収益改善策については、従来より強固な協力関係にあり、当社グループの売上の約50%強を構成するELITechGroupとの5年間のODM製品供給契約の締結により、装置、試薬、消耗品、メンテナンス関連製品の収益改善の具体化につながり、大館試薬センター第二工場の稼働率の大幅な向上が図られ、製品供給能力の向上と製造原価率の低減から利益率が改善され、利益確保の基盤が整いつつあります。資金面では、財務制限条項の付された借入金は弁済済となっており、また、メインバンクを中心に既存取引行と緊密な関係を維持しており、今後も継続的な支援が得られるものと考えております。当社メインバンクとは2025年5月に返済期限をむかえた短期借入金について借換えを行いました。これにより、当面の間の運転資金及び投資資金において、資金繰りに重大な懸念はないと判断しております。従いまして、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況は存在するものの、重要な不確実性は認められないものと判断しております。
※当社の製品は製品設計の段階から受託するケースがほとんどであるため、当期より従来の表現であったOEMから「ODM(Original Design Manufacturing)」へと表記を統一いたします。
経営成績等の概要
当連結会計年度における世界経済は、資源価格や為替の変動などにより不透明な状況が続いたものの、ヘルスケア分野では安定した需要が見られました。一方で、原材料や物流、人件費の上昇圧力は依然として継続し、厳しいコスト環境が続いております。このような経営環境の中、当社グループは2024年9月30日公表の中期経営計画に基づき、収益構造強化とコスト抑制に取り組みました。
また、事業再編の一環として、連結子会社エヌピーエス株式会社(以下、NPS)は、嘉興凱實生物科技股份有限公司(Quaero Life Science Co.,Ltd、以下、Quaero社)との合弁契約を締結しました。同契約により、2025年9月30日に増資払い込みを受けることでNPSは連結子会社から除外され、持分法適用関連会社となり、今後、合弁化によるコスト負担の軽減とQuaero社向け装置の受託製造を通じた黒字化及び投資利益の回収を見込んでおります。
さらに、新規事業面では糖鎖解析に注目し、がんや自己免疫疾患の新たな検査マーカー及び解析システムの開発に取り組んでおります。2025年7月1日には、糖鎖プロファイリングシステム「LuBEA-Ⅷ」の販売を開始し、同システムは当社の強みである自動化技術と特許技術を活用したもので、IgA腎症など腎疾患向け糖鎖バイオマーカーの事業化を進めてまいります。
当連結会計年度は、売上高は4,692百万円(前年同期比17.9%増)、売上総利益は1,381百万円(前年同期比45.3%増)となりました。臨床診断装置が堅調に推移し、装置の売上増加に伴い、核酸抽出試薬及び関連消耗品、メンテナンス関連製品の売上が伸長しました。
費用面では、海外連結子会社及び合弁会社の解散を含む抜本的な事業再編と各費用抑制施策により、販売費及び一般管理費は1,502百万円(前年同期比21.2%減)となりました。
結果、営業損失は121百万円(前年同期956百万円)、経常損失は139百万円(前年同期1,010百万円)となりました。なお、連結子会社のソフトウェア不正使用に伴う対応費用として、54百万円の特別損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失は253百万円(前年同期1,121百万円)となりました。
売上構成は、次のとおりであります。
従来より事業展開している核酸自動抽出装置を中心としたラボ向けの各種自動化装置及び遺伝子を利用した臨床診断分野向けの装置の販売に関する区分です。主にELITechGroup向けの装置販売が増加したことで、売上高は2,244百万円(前年同期比20.0%増)となりました。
当区分は、当社装置の使用に伴い消費される核酸抽出及びPCR検査等に用いる試薬等、並びに反応容器などの専用プラスチック消耗品の販売に関する区分であります。
ELITechGroup向けの受注増加を中心に、核酸抽出試薬及び関連する消耗品の販売は堅調に推移しており、当連結会計年度の売上高は1,545百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
当区分は、装置メンテナンスやスペアパーツ(交換部品)販売などの区分であります。主要なODM先は、ODM先が自社でメンテナンス対応しておりますが、スペアパーツは当社から購入する契約となっております。
ELITechGroup向けの臨床診断装置販売の増加に伴い、メンテナンス関連製品の販売も増加したことにより、当連結会計年度は、売上高716百万円(前年同期比52.7%増)となりました。
当区分は、子会社の製造工場であるエヌピーエス㈱が実施している、当社以外の外部からの受託製造事業の区分及び当社受託検査の区分であります。
堅調であったモーター制御基板等の装置用モジュールの需要減少により当連結会計年度の売上高は185百万円(前年同期比11.7%減)となりました。
当連結会計年度末の現金及び預金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ858百万円減少して1,036百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
税金等調整前当期純損失248百万円を計上し、事業構造改善費用の支払額122百万円や損害賠償金の支払額54百万円などの資金の減少はあったものの、減価償却費238百万円や棚卸資産の減少額192百万円、その他155百万円などの資金の増加により、営業活動によるキャッシュ・フローは95百万円の増加(前年同期は106百万円の減少)となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
有形固定資産の取得による支出52百万円や定期預金の預入による支出20百万円などの資金の減少はあったものの、定期預金の払戻による収入40百万円や関係会社の清算による収入15百万円などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは8百万円の減少(前年同期は国庫補助金による収入のため2,056百万円の増加)となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
長期借入金の返済による支出502百万円や短期借入金の純増額が減少の300百万円となったこと、自己株式の取得による支出100百万円などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは910百万円の減少(前年同期は2,508百万円の減少)となりました。
生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績を売上構成ごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の受注実績を売上構成ごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループ製品は、受注生産を基本としております。
当連結会計年度の販売実績を売上構成別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.売上構成間の取引については、相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度は、売上高は4,692百万円(前年同期比17.9%増)となりました。臨床診断装置が堅調に推移し、装置の売上増加に伴い、核酸抽出試薬及び関連消耗品、メンテナンス関連製品の売上が伸長しました。
売上原価は3,311百万円(前年同期比9.3%増)、売上総利益は1,381百万円(前年同期比45.3%増)となりました。
費用面においては、研究開発費は128百万円(前年同期比40.3%減)でした。海外連結子会社及び合弁会社の解散を含む抜本的な事業再編と各費用抑制施策により、販売費及び一般管理費は、1,502百万円(前年同期比21.2%減)となりました。
営業外損益では、受取利息等の営業外収益は12百万円(前年同期比13.0%減)を計上した一方、支払利息等の営業外費用は30百万円(前年同期比55.6%減)を計上いたしました。
上記の結果、営業損失は△121百万円(前年同期の営業損失は△956百万円)、経常損失は△139百万円(前年同期の経常損失は△1,010百万円)となりました。
連結子会社のソフトウェア不正使用に伴う対応費用として、54百万円の特別損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、△253百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失△1,121百万円)となりました。なお、1株当たり当期純損失金額は△9.21円(前年同期は1株当たり当期純損失金額△40.59円)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末の資産合計は4,937百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,458百万円の減少となりました。主な要因としては、現金及び預金、未収消費税等の減少により流動資産が1,242百万円の減少、工具、器具及び備品、機械装置及び運搬具等の償却等により固定資産が215百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は1,176百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,076百万円の減少となりました。主な要因としては、短期借入金等の減少により流動負債が812百万円減少、長期借入金等の減少により固定負債が264百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は3,760百万円となり、前連結会計年度末に比べて382百万円の減少となりました。主な要因としては、自己株式の取得、利益剰余金の減少であります。
(経営成績等に重要な影響を与える要因について)
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「経営成績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますので、ご参照ください。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
2.キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
5.2021年6月期、2023年6月期及び2024年6月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費用及び部品購入のほか、研究開発費を含めた販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、工具器具及び備品購入等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としておりますが、必要に応じて株式及び新株予約権発行による資金調達を行う場合があります。
なお、当連結会計年度末における借入金による有利子負債の残高は564百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,036百万円となっています。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、ヘルスケア(臨床検査、法医学等)分野向け装置等について複数の会社とODM契約を締結しております。いずれの会社とのODM契約も、供給先試薬メーカー向けに要求に基づいて製造した製品に関してODM先に独占的に供給するという契約内容となっております。
2025年6月30日現在の主なODM契約は、以下のとおりであります。
当社の既存製品に使用される特許技術を所有するユニバーサル・バイオ・リサーチ(株)との間に、対象特許を無償にて、無期限の実施許諾契約(サブライセンスを可とする)を締結しております。
当社グループは、企業理念に基づく研究開発指針として、「変化の激しい時代に通用する汎用性が高いシステムの創造を軸にヘルスケア分野への貢献を目指します」を掲げており、その実現のため、当連結会計年度の研究開発活動におきましては、研究開発費128百万円(前年同期比40.3%減)を費用計上し、以下にご説明するテーマを中心に研究開発活動を進めてまいりました。
(直近の開発テーマ)
直近の「当社新規技術による製品化重点テーマ」は、以下であります。
(1)GlycoBIST & LuBEA
多項目の反応を同時に検出できることを最大の特徴とする測定ツールであるBIST(ビスト)の開発を進めており、これまでに、「糖鎖」の簡易定量技術としてGlycoBISTが利用できることを確認しております。診断用マーカーを捉え、疾病の早期発見に寄与するため、当社グループが長年にわたり開発してきたBISTおよびその専用装置であるLuBEAによる診断システムの上市を目指しております。
直近においては、非侵襲的検査の実現が待たれている腎臓疾患のひとつである「IgA腎症」診断用のGlycoBISTを作製し、医療機関等と連携することにより臨床データの取得・検証試験を進めております。
(2)新規PCR項目の適用
新規感染症項目の薬事申請をはじめ、遺伝子検査装置geneLEADシリーズに搭載することを目的とした新規PCR項目拡大を進めております。
(3)核酸抽出アプリケーション
これまでに開発してきた核酸抽出試薬MagDEAシリーズを基に、核酸抽出における技術の向上を図り、様々な核酸増幅法や次世代シーケンサー等の新たな遺伝子検出法に対応した核酸抽出アプリケーションの拡大を進めております。
(中長期開発テーマ)
上記に掲げております直近の開発テーマの推進とともに、様々な顧客要望に応えられるように、当社自動化装置並びに抽出試薬・消耗品を中核としたプラットフォームを展開し続ける製品開発を行ってまいります。