第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、世界的なインフレ率の上昇と政策金利の引き上げ、米中を中心とする経済対立、地政学リスクの高まりなどを受けて減速傾向となりました。

世界の景気は、インフレ率の上昇を受けた各国の政策金利の引き上げの影響が出始めています。住宅ローン金利が上がり不動産需要が減退し不動産価格は下落、欧州は全般的に景気悪化が継続、中国では不動産市況悪化により企業の経営危機や金融不安、新興国では債務増大に絡みリスクプレミアムが高くなっています。ロシアのウクライナ侵攻や世界各地の紛争などによりエネルギー・穀物価格は上昇し、米中の経済対立によりものの流れが分断され、資源や部品調達コストが上昇するなど世界景気悪化要因が増加しています。世界的な需要低迷による景気減速の傾向が強くなっています。一方で米国ではインフレ率上昇、急速な金利引き上げの環境でも雇用情勢は強く、景気面で強弱の指標が両立しています。

日本国内ではコロナ下で抑制されていた人の流れも戻ってきて、海外からのインバウンド需要の回復も加わりサービス業中心に消費が戻ってきています。製造業では、高騰したエネルギー価格も一服して企業物価も一時よりは落ち着いてきた感があり、大手企業中心に緩やかに持ち直してきています。業種別で見ると半導体などの部品供給が回復した自動車中心に生産は上昇しましたが、半導体市況悪化による在庫調整に入っている半導体関連企業は受注減少となっています。中国や欧州の景気低迷により工作機械、建機、電子部品なども全般的に受注は減少しました。人手不足などで省力化、自動化などの設備やEVなどの生産設備は需要があり、一定の動きはありました。

これらの結果、当第1四半期累計期間の売上高は404,224千円(前年同期比9.5%減)、営業利益は61,120千円(前年同期比30.1%減)、経常利益は61,761千円(前年同期比26.3%減)、四半期純利益は41,859千円(前年同期比27.5%減)となりました。

 

 

セグメント別の状況は次のとおりであります。

<コレットチャック部門>

当社の製造するコレットチャックは、主にCNC小型自動旋盤による精密部品加工に使用される工具であり、他には専用機、一般産業用機械にも使用されるものもあります。量産加工される精密部品に関わるものであり、工具の種類が多く精度が要求されるため、当社の対応力を高め高品質を維持することで受注確保が可能と考えております。
 当第1四半期におけるコレットチャック部門では、国内の量産部品加工が減少傾向となったことと、中国を中心とするアジアでの量産部品生産も減少したと思われることで、当社の受注も8,9月にかけて減少しました。

この結果、当セグメントの第1四半期累計期間の売上高は284,221千円(前年同期比7.1%減)、セグメント利益は115,588千円(前年同期比13.0%減)となりました。

 

 

<切削工具部門>

切削工具は製造業の部品加工において、材料を削るときに幅広く使用される工具であり、様々な業種で数多く使用されます。加工する部品の品質を左右する重要な工具であり、多様化する顧客の要求に柔軟に対応することで、当社の受注を拡大していくことができると判断しております。

当第1四半期における切削工具部門では、自動車部品加工を除く幅広い業種で企業の機械稼働率が低下していることを受けて、当社の受注も減少しました。8月は大手企業の夏季休業に合わせて中小の外注先も休みをとるところもあり当社の受注は落ち、9月は大手企業の期末もあり幾分戻しました。

別注切削工具の製作・再研磨は、難易度の高い加工や複雑形状で使用されることが多く、新規部品加工や加工効率化のため専用の別注切削工具を必要とするニーズがあり、全体的な顧客企業の機械稼働率は低下しましたが、当社の受注は微減にとどまりました。売上高は37,987千円(前年同期比2.8%減)となりました。

市販切削工具の再研磨は、幅広い業種の切削加工で使用される切削工具の再研磨をしていますが、大半の顧客企業の仕事量が減少したことに連動して当社の受注も減少しました。売上高は79,685千円(前年同期比18.4%減)となりました。

この結果、当セグメントの第1四半期累計期間の売上高は117,673千円(前年同期比14.0%減)、セグメント利益は15,826千円(前年同期比38.2%減)となりました。

 

<自動旋盤用カム部門>

自動旋盤用カムは、主にカム式自動旋盤で使用される工具であり、大量生産部品加工に使用されるものであります。機械自体がほとんど新規で製造されていないため、現存する既存機械に使用されるための受注に限定されています。受注は継続して減少し、コスト吸収が難しくなってきておりますが、当部門は創業後の当社の基盤を築いた事業であります。自動旋盤用カムの供給メーカーが減り当社のカム供給が途絶えると、顧客企業のカム式自動旋盤が稼働しなくなります。売上規模が小さいため社内努力でコストを抑え、不足部分は他部門で補いながら、できる限りメーカーの供給責任を果たしていきます。

当第1四半期における自動旋盤用カム部門では、カム式自動旋盤で加工する量産部品が減少して、当社の受注も減少しました。

この結果、当セグメントの第1四半期累計期間の売上高は2,329千円(前年同期比45.2%減)、セグメント損失は2,586千円(前年同期は1,182千円の利益)となりました。

 

 

 

 

(2)財政状態の分析

財政状態においては、株主資本配当率を高めていること、自己株式消却を行ったことにより純資産の額が変動しました。その内容は以下のとおりです。

 

(資産)

当第1四半期会計期間末における流動資産の残高は、7,128,690千円(前事業年度末は7,538,455千円)となり409,765千円の減少となりました。これは、仕掛品が14,747千円、受取手形及び売掛金が5,208千円増加しましたが、現金及び預金が428,072千円、原材料が1,992千円減少したこと等によるものであります。

また当第1四半期会計期間末における固定資産の残高は、1,693,021千円(前事業年度末は1,668,136千円)となり24,885千円の増加となりました。これは、長期前払費用が23,766千円、機械装置及び運搬具が9,953千円、建物及び構築物が7,593千円減少しましたが、投資有価証券が42,095千円、有形固定資産のその他が22,641千円増加したこと等によるものであります。

この結果、当第1四半期会計期間末における総資産は、8,821,712千円(前事業年度末は9,206,592千円)となりました。

 

(負債)

当第1四半期会計期間末における流動負債の残高は、252,492千円(前事業年度末は201,502千円)となり50,990千円の増加となりました。これは、未払法人税等が18,185千円、役員賞与引当金が5,500千円減少しましたが、未払金が75,078千円増加したこと等によるものであります。

また、当第1四半期会計期間末における固定負債の残高は、567,377千円(前事業年度末は573,977千円)となり6,600千円の減少となりました。これは、その他が141,594千円増加しましたが、退職給付引当金が10,754千円減少したことによるものであります。

この結果、当第1四半期会計期間末における負債合計は、819,870千円(前事業年度末は775,480千円)となりました。

なお、2023年9月23日開催の第33期定時株主総会におきまして、役員退職慰労金制度の廃止に伴う打切り支給が承認可決されたため、固定負債の役員退職慰労引当金の未払分を長期未払金へ振替、固定負債の「その他」に含めて表示しております。

 

(純資産)

当第1四半期会計期間末における純資産の残高は、8,001,842千円(前事業年度末は8,431,111千円)となり429,269千円の減少となりました。純資産の増加要因として、自己株式の減少が487,298千円、その他有価証券評価差額金が29,425千円がありましたが、利益剰余金が802,142千円、資本剰余金が143,850千円減少したことによるものであります。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
  当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動
  該当事項はありません。 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第1四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結はありません。