当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間会計期間におけるわが国経済は、世界的なインフレ率上昇も一服して落ち着きを取り戻し、横ばいに推移しました。
世界情勢を見るとロシアのウクライナ侵攻、中東の紛争、中国の海洋進出による台湾を含む周辺地域への脅威、北朝鮮の動向など不安定要素はありますが、米国でのトランプ政権誕生で一時的に落ち着く要因が出てきました。世界景気の面では、米国で株式市場が再び上昇傾向となりつつあり個人消費は堅調ですが、製造業は欧州、アジアの景気低迷を受けやや減少傾向となっています。中国は不動産不況の長期化で景気は悪化していて、ここ半年ぐらい大底からやや上向いてきましたが、本格的な回復には至っていません。東南アジアでは、ベトナムが中国からの生産移管で一時的に景気を持ち直していますが、その他の国と地域では景気低迷が続いています。欧州もドイツ中心に景気は悪化状態が継続しています。他方でインドなど人口が多く消費が盛んな国もあり、製造業も伸びています。
日本国内では、海外からの旅行客の増加によりサービス業が伸び、人手不足への対応や業務効率化などでシステム投資は増加しました。国内製造業では、輸出比率の高い製造業は円安傾向の継続で売上高は大きな変化なく推移しましたが、受注は減少傾向で減益となる企業が増えました。自動車は部品欠品の解消から生産回復を計画していますが、販売台数が頭打ちとなりやや減少しました。半導体生産は一年半ほど続いた低迷期から脱して上昇傾向となりました。医療部品は今後も継続して需要があり、様々な用途の医療器開発など安定的な需要が期待されます。システムを除く民間設備投資は、世界景気の低迷を受けて様子見となり減少となりました。工作機械、建設機械、一般産業用機械、設備などは減少しました。大手製造業は海外生産比率が高く全世界での需要の確保や円安傾向により業績を維持する企業が目立ちましたが、国内の中小製造業は世界の製造業の減速や先行き不透明感を受けて受注が減少する企業が多く、急速に業況は悪化してきました。
当中間会計期間の売上高は795,563千円(前年同期比1.7%減)、営業利益は12,724千円(前年同期比88.2%減)、経常利益は31,956千円(前年同期比72.0%減)、中間純利益は16,622千円(前年同期比78.7%減)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
<コレットチャック部門>
当社の製造するコレットチャックは、主にCNC小型自動旋盤による精密部品加工に使用される工具であり、他には専用機、一般産業用機械にも使用されるものもあります。量産加工される精密部品に関わるものであり、工具の種類が多く精度が要求されるため、当社の対応力を高め高品質を維持することで受注確保が可能と考えております。
コレットチャック部門では、国内の量産部品加工が緩やかに減少して、12月に入ってから年末にかけて当社の受注は急速に減少しました。従来量産加工で流れていた部品が減り、単発や新規部品は一部出てきましたが継続せずに、全体としては年末にかけての減少が顕著となりました。海外からの受注も中国、韓国を中心に減少し、他のアジア諸国も減少傾向となりました。
この結果、当セグメントの中間会計期間の売上高は552,561千円(前年同期比1.7%減)、セグメント利益は193,291千円(前年同期比14.9%減)となりました。
<切削工具部門>
切削工具は製造業の部品加工において、材料を削るときに幅広く使用される工具であり、様々な業種で数多く使用されます。加工する部品の品質を左右する重要な工具であり、多様化する顧客の要求に柔軟に対応することで、当社の受注を拡大していくことができると判断しております。
切削工具部門では、自動車部品加工は一定数量加工があり当社の受注は横ばいで、半導体製造装置関連では底打ちしてやや増加しましたがまだ本格的な増加ではなく、工作機械、建設機械、設備部品などは低調に推移しました。
別注切削工具の製作・再研磨は、顧客企業の機械稼働率はやや低下しましたが、顧客企業から受注する案件が増加して当社の受注は微増となりました。売上高は74,562千円(前年同期比3.7%増)となりました。
市販切削工具の再研磨は、量産加工のリピート品がやや減少したことを受けて当社の受注も減少しました。売上高は161,837千円(前年同期比4.3%減)となりました。
この結果、当セグメントの中間会計期間の売上高は236,399千円(前年同期比1.9%減)、セグメント損失は7,272千円(前年同期は38,874千円の利益)となりました。
<自動旋盤用カム部門>
自動旋盤用カムは、主にカム式自動旋盤で使用される工具であり、大量生産部品加工に使用されるものであります。機械自体がほとんど新規で製造されていないため、現存する既存機械に使用されるための受注に限定されています。創業からの事業で当社の基盤を築いたものであり、メーカーとしての供給責任を認識しているため、可能な限り継続していく積りです。
カム式自動旋盤で加工する量産部品が減少して当社の受注も減少しましたが、2024年よりカム価格を上げたことで売上高は増加しました。
この結果、当セグメントの中間会計期間の売上高は6,602千円(前年同期比13.2%増)、セグメント損失は1,957千円(前年同期は9,072千円の損失)となりました。
(2)財政状態の分析
財政状態においては、当社の事業活動に大きな変化はなく、経常的な範囲内での動きとなりました。その内容は以下のとおりです。
(資産)
当中間会計期間末における流動資産の残高は、5,393,605千円(前事業年度末は6,569,229千円)となり1,175,623千円の減少となりました。これは、その他が49,694千円、仕掛品が3,713千円増加しましたが、現金及び預金が1,178,373千円、前払費用が35,843千円、受取手形及び売掛金が14,463千円減少したこと等によるものであります。
また、当中間会計期間末における固定資産の残高は、3,042,470千円(前事業年度末は2,377,430千円)となり665,039千円の増加となりました。これは、建設仮勘定が113,551千円、繰延税金資産が21,453千円、建物及び構築物が11,804千円減少しましたが、投資有価証券が697,886千円、機械装置及び運搬具が113,475千円増加したこと等によるものであります。
この結果、当中間会計期間末における総資産は、8,436,076千円(前事業年度末は8,946,659千円)となりました。
(負債)
当中間会計期間末における流動負債の残高は、232,214千円(前事業年度末は210,657千円)となり21,557千円の増加となりました。これは、未払法人税等が26,230千円、未払金が21,990千円、役員賞与引当金が3,510千円減少しましたが、預り金が63,803千円、その他が10,342千円増加したこと等によるものであります。
また、当中間会計期間末における固定負債の残高は、471,332千円(前事業年度末は547,549千円)となり76,217千円の減少となりました。これは、長期未払金が47,300千円、退職給付引当金が28,465千円減少したこと等によるものであります。
この結果、当中間会計期間末における負債合計は、703,547千円(前事業年度末は758,206千円)となりました。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産の残高は、7,732,529千円(前事業年度末は8,188,452千円)となり455,923千円の減少となりました。これは、その他有価証券評価差額金が14,946千円、資本剰余金が8,669千円、自己株式の減少による増加が5,490千円ありましたが、利益剰余金が485,030千円減少したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物は、前事業年度と比べ142,227千円減少し、536,697千円となりました。なお、当中間会計期間末におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間末における営業活動によるキャッシュ・フローは、92,378千円の増加(前中間会計期間末は183,296千円の増加)となりました。これは、長期未払金の増減額が47,300千円、退職給付引当金の増減額が28,465千円、その他が28,132千円、法人税等の支払額が25,331千円、未払金の増減額が15,858千円ありましたが、減価償却費が82,909千円、株式報酬費用が58,542千円、税引前中間純利益が32,052千円、売上債権の増減額が14,463千円、利息及び配当金の受取額が13,264千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間末における投資活動によるキャッシュ・フローは、266,571千円の増加(前中間会計期間末は47,539千円の増加)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出が676,503千円、有形固定資産の取得による支出が84,597千円ありましたが、定期預金の増減額が1,036,146千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間末における財務活動によるキャッシュ・フローは、501,177千円減少(前中間会計期間末は499,771千円の減少)となりました。これは、配当金の支払額が500,725千円、リース債務の返済による支出が452千円あったことによるものであります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間会計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結はありません。