第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは「自然界の情報を捉え活かすためのアナログとデジタルの変換技術を原点に、計測・制御技術を駆使したツールの提供によってお客様による新しい価値の創出を支援し、産業の発展と健康な生活に貢献します。」を経営理念として掲げております。

当社グループの事業は、様々なアナログ情報を計測し、エレクトロニクス技術によりデジタル変換(数値化)して表示することが基本であり、A(アナログ)/D(デジタル)・D(デジタル)/A(アナログ)変換技術が当社創業のコア技術で社名の由来でもありますが、A/D・D/A変換技術や高速デジタル信号処理技術を磨き上げることで、お客様の知の拡大を可能にするツールを提供してゆくことを企業使命としております。

お客様が使用することで価値が生まれるツールを提供し、新しい価値の創出に取り組む産業や健康な生活を願う人々を継続的に支援することで、社会に貢献していきたいと考えております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

変化に柔軟に対応し、未来に向けてエー・アンド・デイを持続的に発展させ、さらなる企業価値を創造してゆく為に次の施策を講じてまいります。

成長戦略

企業の将来を見据え、安定的な成長を続ける為には、常に新しい市場を開拓してゆかねばなりません。当社は以下の4つの成長分野に注力し、積極的に事業の拡大を図ってまいります。

 ・自動車・タイヤ業界向け計測器、シミュレータ及び試験用システム
 ・工業計測機器
 ・ウェイトチェッカ/金属異物検出装置
 ・ラボラトリ(研究・分析)

コーポレートガバナンス・コードへの対応

 「コーポレートガバナンス・ コード」の趣旨を踏まえ、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を 図る為の指針とします。

中期経営計画(連結)の基本方針

・将来における売上高営業利益率10%の達成を視野に、直近3年度(2022年3月期~2024年3月期)の連結経営計画を立案しました。

・グループ総合力を強化し、産業構造の変化に対応することで社会課題解決へ貢献すると共に、経営体質を強化することで成長を実現することを目指します。

 また、各本部と事業単位ごとの連携強化、グローバル連携の強化、連携強化のための仕組みの充実を目標とします。

 なお、各担当部門はそれぞれ次の施策を推進してまいります。

営業施策 売上増加、利益増加に向けた新たな営業基盤づくり

開発施策 社会課題に向けたものづくり

生産施策 生産性改善とコストダウン活動の徹底推進

管理施策 管理体制の高度化

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、新技術による新製品の投入、原価低減、経費削減等を通じて高い収益を得ることが重要な経営課題であります。いかなる状況においても利益を確保できる体質を目指し、「売上高営業利益率10%以上」を中長期的に目指すべき目標として掲げております。

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループは、計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)から電子計測機器、計量機器、血圧計等、「はかる」を軸に事業を展開し、様々な製品を取り扱っております。昨今の新型コロナウイルス感染症の流行は、社会的価値観と産業構造の変化をもたらし、AI、IoT、RPAといったデジタル技術の革新が加速化しているように思われます。また同時に気候変動問題に対する取り組みとしてカーボンニュートラル社会への移行が必要となっております。

これに伴い産業界では5G(第5世代移動通信システム)や自動車のEV化・エレクトロニクス化などへの取り組みが加速し、当社においても産業界の変化に対応する高度な計測技術の開発が課題となっております。そこで当社では、ICT(情報通信技術)対応健康機器の充実を通じた遠隔地医療への貢献や、DSPシステムによる自動車のEV化促進の支援、半導体の微細化に伴う半導体検査装置の高精密化等の取り組みを進めております。

当社グループは、これまでの開発投資により多くの差別化された技術を蓄積しております。これらの技術を効果的に活用しながら、上記の取り組みを推進することで、持続的な事業の成長を図ってまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは以下の通りであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 海外事業活動について

当社グループの海外での事業活動については、中国、韓国、ベトナムに生産拠点を有し、また、販売については米国、ロシアを中心に世界各国へ展開しており、当連結会計年度における海外売上高比率は56.9%となっております。当社グループが事業活動を行うこれらの国々において、予期しない法律や規制の変更、自然災害、戦争、テロ、感染症の拡大、その他経済的、政治的要因等による混乱が生じた場合は、生産活動の縮小や停止、また販売活動の停滞等を余儀なくされ、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レートの変動について

為替レートの変動は、当社グループ間または顧客との外貨建取引価額が変動することにより、売上高や損益等の業績に影響を与えます。また、外貨建て輸出入のバランスを図るなど為替ヘッジに努めておりますが、急激に為替レートが変動した場合は、外貨建債権・債務の換算において、損益等に影響を与える可能性があります。なお、為替レートの変動は、連結財務諸表作成における海外連結子会社等の外貨建財務諸表の円換算額が変動することにより、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 借入金等への依存について

当社グループは、設備資金及び運転資金を主として借入金によって調達しております。当連結会計年度末における長期借入金及び短期借入金の合計額は18,067百万円で、社債を含めた有利子負債依存度は34.3%となっております。当社グループは、今後有利子負債の削減に努めてまいりますが、金利を始めとする金融市場の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 研究開発について

当社グループが手掛ける「はかる」技術は「産業のマザーツール」と言われており、常に最新の高度技術が要求され、それに対応するために研究開発を続ける必要があります。現在の研究開発は主として当社の設計開発本部において推進しておりますが、当連結会計年度における研究開発費の総額は5,065百万円、連結売上高に対する比率は10.5%であり、研究開発主導型企業として研究開発に積極的に資源を投入しております。当社グループにおける研究開発は計測・計量機器分野及び医療・健康機器分野に展開し、全て事業化を目的としておりますが、事業化に至らない可能性、事業化までに時間を要する可能性もあります。

 

(5) 法的規制について

当社グループの事業は国内においては計量法及び医薬品医療機器等法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、海外においてはEU指令(EU Directives:欧州連合閣僚理事会指令)、FDA/QSR(Food and Drug Administration/Quality System Regulation:米国厚生省食品医薬品局品質システム規則)及びHealth Canada(カナダ保健省)等による規制を受けております。

計量法は適正な計量の実施を確保するために種々の規制を設けております。特に検定制度は取引又は証明に使用する特定計量器を製造、修理又は輸入する場合、その構造(性能及び材料の性質を含む)等が法で定める基準に適合しているかを1台ずつ検査し合否を確認するものであります。
 また、型式の同一な計量器を製造するときには、構造についての検査項目を事前に試験し、合格したものは、検定時に構造検査を省略できる型式承認制度や最終の検定を製造事業者の自主検査に任せる指定製造事業者制度があります。指定製造事業者は、製造した特定計量器が法で定める基準に適合することを自ら判定できますが、厳重な管理体制が求められます。当社グループでは質量計第一類、血圧計第一類の認証を取得しております。

医薬品医療機器等法では、医療機器の製造販売を行おうとするものは製造販売業の許可を都道府県知事より受けなければなりません。医薬品医療機器等法は市場での安全性をより高めるため、厚生労働省令により製造販売業に安全管理体制(GVP省令)の設置を求めております。また、製造販売業及び製造業には製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令)により品質システムの構築が要求されています。当社グループでは当社の開発・技術センターに製造販売業を置き、医療機器の販売拠点である本社・営業所には販売業、開発・技術センターおよびグループ企業における医療機器製造部門並びに修理部門では製造業及び修理業を取得しております。更に海外生産拠点においては、厚生労働大臣認定の外国製造業者を取得しております。なお、品目ごとの販売許可は(独)医薬品医療機器総合機構や第三者認証機関による審査を受け取得しております。

EU指令(EU Directives:欧州連合閣僚理事会指令)は、欧州連合加盟国によって定められた地域法の一つであります。当社グループの製品はEU指令のうち低電圧指令、EMC(電磁両立性)指令、RoHS指令及びMDD(医用機器)指令により規制を受けておりますが、該当する製品については、これらの安全規制に適合させCEマークを添付しております。なおMDD指令は2021年5月26日よりMDR(医療機器規則)が適用されますので対応を進めています。

FDA/QSR及びCMDCAS(Canadian Medical Device Conformity Assessment System:カナダ医療機器適合評価システム)は米国内及びカナダ国内で医療機器を販売するために医療機器製造事業者が遵守しなくてはならない米国及びカナダの法律であり、米国及びカナダ国内外の製造事業者及び輸入業者に適用されます。当社グループではA&D ENGINEERING, INC.が米国及びカナダでの販売窓口になりFDA/QSR及びMDSAPの認可を受けております。

今後も日本および諸外国/地域の様々な規制に従って事業活動を行っていく中で、これらの法規制が従来よりも厳格になることにより、当社グループの事業活動が制限を受けたり、法規制等に適合するための費用が増加する可能性があります。また、高度で複雑な技術を利用した製品が増加することに伴い、重大な品質問題が発生する頻度が高まり、予想し得ない品質上の欠陥や、それに起因するリコールが発生し得ないとは限りません。重大な品質問題が発生した場合、信頼性の低下により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 業績の季節変動について

当社の国内における販売は、一般消費者向けの医療・健康機器を除き設備として購入されるものが大部分であり、その最終ユーザは官公庁、法人、病院等いずれも物品購入に際し予算制度が導入されている場合が多く、予算執行の関係上、特に年度末(3月)に販売が集中する傾向があります。

また、医療・健康機器のうち売上の大きな割合を占める家庭用血圧計につきましては、血圧値が高くなる傾向を見せる冬季、特に海外におきましては12月のクリスマス商戦に販売が集中する傾向があります。

このため、上半期及び下半期ほぼ均等に発生する販売費及び一般管理費の影響により営業利益及び経常利益が上半期(4月~9月)よりも下半期(10月~3月)に偏重する傾向にあります。

 

(7) 自然災害等について

大地震や津波、台風、大雨による洪水や河川氾濫などの自然災害、火災等の事故、感染症の流行、その他の要因による社会的混乱等により、当社グループや調達先、販売先等の事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が継続・拡大した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 業績

当連結会計年度の当社グループを取り巻く経済環境は、日本においては新型コロナウイルス感染症拡大による二度の緊急事態宣言により経済活動が制限されたことに伴い景気低迷となりました。海外では、中国において早期に経済活動を再開し、米国においても大規模な経済対策やワクチンの普及等により経済活動の再開が進展している一方で、欧州においては英国型等の変異株による感染再拡大に伴い経済活動の制限が長期化しています。総じて世界経済の状況は、ワクチンの接種が行われているものの、変異株の流行に加え、米中貿易摩擦が継続していることもあり先行きは不透明な状況にあります。

このような状況の中、当社グループは、感染症拡大防止を目的として、WebinarやWeb会議等を活用し営業活動を推進してまいりました。また、製品のコストダウン活動を推進するとともに固定費の抑制に努めるなか、お客様や社会における多様なニーズやその変化に対応するため、引き続き成長分野に対する積極的な投資を行うことで他社との差別化を図ってまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は48,424百万円(前連結会計年度比1.6%減)、営業利益は4,404百万円(前連結会計年度比19.0%増)、経常利益は4,564百万円(前連結会計年度比33.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,339百万円(前連結会計年度比111.8%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが5,194百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△2,222百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが△257百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額が308百万円発生した結果、12,129百万円(前連結会計年度比33.2%増)となりました。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

生産高(百万円)

前期比(%)

計測・計量機器事業

日本

20,425

79.3

米州

599

66.0

欧州

アジア・オセアニア

5,776

88.9

26,801

80.8

医療・健康機器事業

日本

7,751

143.4

米州

1,089

66.6

欧州

374

61.2

アジア・オセアニア

12,064

114.8

21,279

117.1

合計

48,081

93.6

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.実績には商品仕入を含んでおります。

 

b.受注実績

当社グループは、原則として見込生産を行っておりますが、製品の一部(半導体関連製品におけるA/D・D/A変換器等)には受注生産を行っているものがあります。

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

受注高
(百万円)

前期比(%)

受注残高
(百万円)

前期比(%)

計測・計量機器
事業

日本

9,662

72.9

4,429

96.7

米州

1,875

95.4

1,227

145.3

欧州

アジア・
オセアニア

733

118.5

49

414.4

12,271

77.5

5,706

104.9

医療・健康機器
事業

日本

2,345

177.1

831

208.0

米州

欧州

アジア・
オセアニア

115

134.4

0

2.0

2,460

174.5

831

204.1

合計

14,732

85.4

6,537

111.8

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。なお、セグメント間の取引は、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

販売高(百万円)

前期比(%)

計測・計量機器事業

日本

19,326

82.8

米州

3,198

90.0

欧州

802

94.2

アジア・オセアニア

3,333

111.5

26,662

86.7

医療・健康機器事業

日本

6,445

151.6

米州

7,586

119.1

欧州

7,350

98.2

アジア・オセアニア

379

109.6

21,762

117.9

合計

48,424

98.4

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。なお、セグメント間の取引は、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度の当社グループの売上高は、前連結会計年度に比べ1.6%減収48,424百万円となりました。

計測・計量機器事業につきましては、日本においては、新型コロナウイルス感染症拡大により、需要の低迷、設備投資の先送りが見られ、計量機器、計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)を始めとして、軒並み前年同期比で売上が減少し、利益も落としています。半導体製造関連装置も計画通りの売上を獲得したものの減収となりました。米州においては、計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)において前年同期比で売上は減少したものの、受注は下期から回復基調となっております。また、計量機器においても、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたため売上は伸び悩みましたが経費削減に努めた結果、増益となりました。アジア・オセアニアにおいては、豪州において金属検出機・ウェイトチェッカを始めとした計量機器全般の売上が増加し、韓国・インドにおいても経済活動が徐々に回復し売上は堅調となりました。さらに、前第4四半期連結会計期間に子会社化した台湾の子会社(A&D SCIENTECH TAIWAN LIMITED)の売上も寄与し、前年同期比で増収増益となりました。その結果、計測・計量機器事業の売上高は、前連結会計年度に比べ13.3%減収の26,662百万円となりました。

医療・健康機器事業につきましては、日本においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、非接触型体温計を中心に健康機器事業は売上が大きく増加し、医療機器については医療用計量器が徐々に回復し堅調な売上となり、売上及び利益ともに大きく増加しました。米州においては、米国において大口案件の出荷が継続している他、遠隔医療の需要が増加したことに伴い通信機能付き血圧計及び体重計の売上が増加し、カナダにおいても家庭用血圧計が大手量販店での販売が好調で、売上及び利益は増加しました。欧州においては、英国でロックダウンの長期化もありeコマースが好調で売上は増加しております。ロシアにおいては血圧計の他、体温計も好調で現地通貨での売上は増加したものの、ルーブル安が進行し、円建ての売上は減少しております。一方、経費削減に努め利益は増加しました。その結果、医療・健康機器事業の売上高は、前連結会計年度に比べ17.9%増収21,762百万円となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価率については、生産工場の効率化及び材料費のコストダウン等の原価低減活動が寄与し、前連結会計年度に比べ0.4%減少し、55.3%となりました。

販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による活動制限に伴う営業活動費の削減や、一部の子会社における人員配置の見直し等により、前連結会計年度と比べ4.7%減少17,232百万円となりました。研究開発費は高水準にありますが、これは当社グループの継続的な発展に不可欠な将来を見据えた投資と考えております。グループ全体の方針としては、開発効率の向上に努め、研究開発費の伸び率を売上高の伸び率以下に抑えつつ売上高を毎年伸ばしていくことにより、中長期的に対売上高比率での抑制を図ってまいります。

 

(営業利益)

営業利益は、4,404百万円(前連結会計年度比19.0%増)となりました。計測・計量機器事業の営業利益は新型コロナウイルス感染症拡大の影響による日本における売上高の減少が主要因となり、前連結会計年度比33.5%減益の1,693百万円となりました。医療・健康機器事業の営業利益は、当社および北米の子会社A&D ENGINEERING, INC.の増収、カナダの子会社A&D Instruments Canada Inc.における利益率の良い製品の販売増加、ロシアにおける経費削減等が主要因となり、前連結会計年度比116.4%増益の4,608百万円となりました。なお、上記のセグメント別の営業損益の他、全社費用等として1,897百万円が発生しております。

売上高営業利益率は9.1%となり、前連結会計年度より1.6%上昇しました。引き続き当社が中長期的な目標としている売上高営業利益率10%を目指し、新技術や顧客のニーズを踏まえた高付加価値製品の投入、原価低減、経費削減等、利益率の上昇につながる施策に努めてまいります。

 

(経常利益)

営業外収益は新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国政府からの補助金の受給や円安により為替差益が生じたことを主要因とし、前連結会計年度比223百万円増加447百万円となりました。営業外費用は、為替差損の減少の他、支払利息の減少等により、前連結会計年度比205百万円減少287百万円となりました。これらの結果、経常利益は4,564百万円(前連結会計年度比33.0%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度において、多額の特別利益や特別損失の発生はなく、税金等調整前当期純利益は4,536百万円になりました。また法人税、住民税及び事業税を1,338百万円、法人税等調整額を△386百万円、非支配株主に帰属する当期純利益を245百万円計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は3,339百万円(前連結会計年度比111.8%増)となりました。

 

(包括利益)

当期純利益は3,584百万円となった他、為替換算調整勘定を中心にその他の包括利益が682百万円となったことにより、包括利益は4,267百万円(前連結会計年度比403.5%増)となりました。

 

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、40,028百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,758百万円増加いたしました。これは主に当期純利益の大幅な増加や当社の連結子会社である㈱ホロンにおける増資等により、現金及び預金が増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は14,091百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,058百万円増加いたしました。個々の要因は以下のとおりであります。

a  有形固定資産

有形固定資産については㈱ホロンの新工場建設による土地と建設仮勘定の増加を中心に、前連結会計年度末に比べ811百万円増加いたしました。

b  無形固定資産

無形固定資産についてはソフトウエアの償却額が新規投資額を上回ったこと、過去の投資に伴うのれんや商標権の償却が進んだため、前連結会計年度末に比べ230百万円減少いたしました。

c  投資その他の資産

投資その他の資産については棚卸資産の未実現利益に係る繰延税金資産の増加を主要因として、前連結会計年度末に比べ477百万円増加いたしました。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は24,588百万円となり、前連結会計年度末に比べ718百万円増加いたしました。これは主に、課税所得の増加により未払法人税等が308百万円増加した他、短期借入金や賞与引当金が増加したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は6,143百万円となり、前連結会計年度末に比べ713百万円減少いたしました。これは、主に長期の借入が必要な大型の設備投資が少なく、長期借入金が減少したものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は23,387百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,811百万円増加いたしました。これは主に㈱ホロンの増資等により非支配株主持分が1,252百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益等により株主資本が2,891百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は5,194百万円(前連結会計年度比20.5%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が4,536百万円、減価償却費が1,615百万円あった一方で、法人税等の支払額が1,089百万円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2,222百万円(前連結会計年度比101.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が1,645百万円、無形固定資産の取得による支出が507百万円あったことによるものであります。

フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除したもの)は2,971百万円のプラスとなっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は257百万円(前連結会計年度比80.3%減)となりました。これは主に長期借入れによる収入が2,811百万円、非支配株主からの払込みによる収入が1,021百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が3,448百万円あったことによるものであります。

 

必要運転資金及び設備投資を含む投資資金は、基本的には内部資金又は金融機関からの借入金により対応しております。外部資金は、その使途の実態に合わせ、長期及び短期での調達となっております。当連結会計年度末では、社債500百万円、長期借入金6,692百万円(1年内返済予定分含む)、短期借入金11,374百万円の構成となっており、合わせて18,567百万円を計上しております。当連結会計年度末の社債及び借入金残高の売上高に対する比率は38.3%(前連結会計年度末は38.5%)となっております。また、緊急時の資金調達手段の確保を目的として、一部の取引銀行と当座貸越契約および貸出コミットメント契約を締結しており、資金流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって、当社経営陣は決算日における資産・負債の数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。また、経営陣は過去の実績や状況に応じ、合理的妥当性を有する要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数値についての判断の基礎としております。実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これら見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは“はかる”を事業領域として様々な計測機器を開発しておりますが、顧客要求に応える機器開発及び未来を支える計測技術の追求を研究開発活動の基本としております。

現在の研究開発は主として当社の設計開発本部において推進しておりますが、研究開発スタッフは、当社グループ総従業員数の約15.7% 399名、当連結会計年度における研究開発費の総額は5,065百万円であり、セグメント別の研究開発の状況は次のとおりであります。

 

(1) 計測・計量機器事業

当事業における研究開発スタッフは324名、当連結会計年度における研究開発費は4,176百万円であり、分野別の主要課題及び成果は次のとおりであります。

①  計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)

DSPシステムは、計測・制御・シミュレーション・解析を様々な分野に応用が可能なフレキシブルなシステムでありますが、当連結会計年度も前期に引き続き製品ラインナップの強化及びアプリケーションシステムの充実に努めました。

自動車産業は「CASE(Connected;コネクティッド、Autonomous;自動化、Shared;シェアリング、Electric;電動化)」時代を迎え、車載向けECU(Electronic Control Unit)ソフトウェアの規模は指数関数的に増大しており、その検証効率をいかに高めるかが、車載向けECUを開発するメーカー各社にとって喫緊の課題となっております。

そこで、早期に検証を行い、効率を高める有効な手段としてSILS(Software In the Loop Simulation)が注目されておりますが、車載機器開発やテストツール製品の販売・サポートを行ってきた株式会社ユビキタス AI と共同でSILS製品の開発を行い市場投入しました。SILSは、ECUや、車両などのハードウェアの完成を待つことなく、コンピュータ上の仮想シミュレーションによって開発中のソフトウェアの検証を可能にします。自動で数多くのテストが実行できるため、ECUソフトウェアの信頼性を効率よく向上することが可能です。

DSP応用試験機では、タイヤ試験機においてかねてより要望が増えていた低温環境下の氷結路走行時のタイヤ接地挙動を試験する環境ゴムブロック接地試験装置を受注し納入しました。また、同様にスリップ路での走行状況を台上で試験するために大型ドラムに散水機能を持ち、任意の水深でのタイヤ走行試験を行うことができる全天候試験機を開発し、受注しました。さらに、新時代のタイヤ開発手法として期待されるタイヤHILS試験機の開発を進めております。

②  計測機器

計測機器では、自動引張試験機などの高付加価値製品において複数台の納品実績を得たほか、卓上タイプの小型引張試験機MCTシリーズが、コロナ禍の中でもeコマースをはじめ、堅調に販売台数が推移していることから、MCTシリーズに低荷重領域対応機能を付与したMCT-2150Wを新規に市場投入しました。

③  半導体露光装置関連ユニット

電子ビーム偏向制御用のデジタル/アナログ変換器(D/A変換器)につきましては、顧客要求によるコンパクト化、低消費電力化、空冷方式から水冷方式へ転換するための開発が、設計段階から試作段階に進んでおります。また、連結子会社である㈱ホロン向けのアナログユニットも設計段階から試作段階に進捗いたしました。

一方、ビームユニットにおきましては、ビーム装置用の高電圧電源ユニットの大出力、高安定化を図り、電源の適用装置の範囲を拡げました。電子銃ユニットでは信頼性を上げるために構造の見直しに着手しました。また、㈱ホロンとは継続して技術交流を進め、システムの高性能化を目指した検討を進めております。

④  計量機器

計量機器につきましては、当社の汎用電子天秤の中心機種であるGXシリーズの新製品として、防塵・防水電子天びん「GX-AWP/GF-AWPシリーズ」14モデル、ひょう量8kg~32kgの防塵・防水中量級天びん「GX-M/GF-Mシリーズ」14モデルを開発し、市場投入いたしました。また、本質安全防爆台はかり「HVW-CEPシリーズ」にひょう量300kg,600kgの8モデルを追加しました。これらの製品により、液体・粉体の計量や爆発性ガスを使う環境など、様々な環境で使用できる製品のラインナップを強化いたしました。

商品検査機シリーズでは、昨年度販売開始したウェイトチェッカ用インジケータ「AD4412-CW」について、海外需要に対応するため、表示部をステンレス仕様に変更した「AD4413-CW」を開発し、市場投入いたしました。また、比較的重量の重いダンボールやパレットの欠品・重量チェックを目的としたウェイトチェッカ「AD4942B/AD4943B」を開発し市場投入を行いました。

さらに、金属異物を高感度で検出することができる金属検出機「AD-4976シリーズ」には、大型の商品を検査可能とする大型間口タイプの3機種「AD4976-H3525/H4517/H4525」をラインナップに追加しました。また、異物検査後の商品を選別するためのコンベアドロップ選別機「AD4982-2540」を開発し、市場投入を行いました。今後は選別機のラインナップも充実させ、商品検査機シリーズを総合的に販売できるように、商品シリーズを増やして行きたいと考えております。

工業計測機器部門では、大容量・高速・長時間計測に対応するデータアクイジション装置として、既存品のオムニエース RA2300Aを大幅に刷新した RA3100を市場投入し、既存市場の維持と新規市場への展開を始めました。また、工業計測用としてロングセラーのストレンアンプのリニューアルモデルの開発を進めており、2021年度中の市場投入を予定しております。

 

(2) 医療・健康機器事業

当事業における研究開発スタッフは75名、当連結会計年度における研究開発費は888百万円であり、分野別の主要課題及び成果は次のとおりであります。

① 医療機器

医療用血圧計につきましては、医療機器(ホスト機器)へ組込まれた状態で使用する非観血血圧モジュールTM-2917を開発し、販売を開始しました。従来モデルに昇圧測定機能を追加し、使用用途が拡がっております。

また、Bluetoothモジュール、及びNFCモジュールを搭載した、パルスオキシメータ TM1121をリニューアルし、販売を開始いたしました。

さらに、生体情報モニタ「TM-2590」と組み合わせることで、ナースステーションで最大6人の入院患者の心電図波形、心拍数、血圧値、体温などのバイタル情報を無線管理することができる、コンパクトサイズのセントラルモニタ「リモートモニタ TM-2126」の開発を行い、販売を開始いたしました。

医療用計量器につきましては、透析市場向けのデジタルスケールベッド製品に新型液晶を採用しバックアップ機能を追加したDB-N135ADを開発・市場投入しました。

②  健康機器

健康機器につきましては、Bluetooth Low Energy内蔵血圧計 UA-651BLE Plus、音声機能付き血圧計UA-1030T PlusなどPlusシリーズとして5モデルの血圧計を日本市場向けとして開発しました。

また、体温計のPlusシリーズとしてBluetooth Low Energy内蔵体温計UT-201BLE Plusについても日本市場への投入を行いました。Bluetooth Low Energy内蔵の製品群は、スマートフォンアプリで測定データの取得を行い、日々の健康管理を行うのに最適な製品です。

体組成計につきましては、スマートフォンアプリと連携し、体重や体組成の変化を光でお知らせするBluetooth Low Energy内蔵体組成計UC-421BLEを開発しました。体組成計アルゴリズムは、TANITAアルゴリズムを搭載しており、日本発の技術標準を確立し、グローバルスタンダードを目指した製品になります。

その他、血圧計を中心にグローバルに多機種の自社ブランド、OEM、ODMの製品展開を行い、販売の拡大につなげることができました。