第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 「人が求めること」は限りなく続くことであり、企業は更なる「研究開発」を続けることで、「高付加価値製品」を生み出していきます。

 当社グループは、創ることから届けることまで、顧客のニーズに対してトータルに提案できる企業でありたいと考え、現在、情報産業の一翼を担うディスプレイ関連事業を主たる柱として、環境ビジネスのクリーン・エコエネルギー関連事業あるいはメカトロニクス技術を活用したファクトリーオートメーション事業等、幅広い領域での「ものづくり」に専念し、更なる発展を続けていくことを経営の基本方針としております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループでは、安定した成長率の維持を最大の目標に、より一層の企業価値の向上を目指しております。

 そのため、成長を牽引するためのドライバーとして「精密貼合技術を中心とした複合化技術」、「独自技術を開発し、高度化できるメカトロニクス技術」を活用し、今後の成長が見込まれる事業領域に経営資源を投下してまいります。世の中の技術革新に追随し、新たな製品領域への対応を積極的に行い、既存製品群につきましては、適切な設備投資や生産合理化を図り、競争力を向上させてまいります。

 更に、研究開発を企業成長の推進力と位置づけ、複合的な技術を社内で集約することにより、常に新たな技術への挑戦を続け、新たな主力事業の確立に向けて取組んでおります。

 また、当社グループ会社である株式会社東陽社製作所を活用し、自動車部品業界への関与を深め、新たなビジネスの展開を図ります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、収益性の向上を重視しており、生産性の向上、新製品開発及び営業力の強化を徹底し、経常利益率7%以上を確保することを経営指標としております。

 また、当社グループは自己資本比率を財務の健全性の指標と認識しており、今後も適正な株主配当を行いながら、利益の内部留保に努め、自己資本の充実を目指してまいります。

 

(4)経営環境

 当社グループを取り巻くビジネス環境は、賃上げや訪日観光の回復といった明るい動きがある一方で、物価上昇や海外経済の不透明感から景気は足踏み状態が続き、個人消費や輸出も力強さを欠きました。金融政策の転換も始まり、企業は不透明な環境下で慎重な対応を迫られております。

 このような環境下で、当社グループは、精密貼合技術を核とした用途開発やグループ連携によるシナジー創出に取組んでおります。一方で、車載・エレクトロニクス分野の標準化や商流変動に加え、新興企業との競合や中国市場の減速等、依然として厳しい市場環境が続いております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、研究開発型の企業として絶えず最新の技術動向を確認する必要があり、市場動向についても確実に捉える必要があります。クロスボーダーでの商品開発あるいは製造等の商流の変化に、機敏に対応することが課題と捉えております。そのために、組織の体制検討あるいは人材の確保等を行ってまいります。また、事業の多様化を進める目的で、株式会社東陽社製作所をグループ化したことから、自動車部品業界への事業展開を図ります。

 財務上では大きな課題はないものの、経済環境の急変等に備えて、不測の事態に対応できるよう財務面において注意を払い運営を行っております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティの取組みを重要な経営課題の一つと位置づけ、その推進体制の強化を図っております。令和4年5月には、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、マテリアリティ(重要課題)の特定及びその解決に向けた各種施策の審議・実行を進めております。当該委員会では、気候変動対応、サプライチェーン管理、人的資本、人的多様性等に関するサステナビリティ関連のリスク及び機会について、評価・分析を行っており、その結果はリスク管理体制と統合し、経営判断や戦略策定に反映しております。なお、委員会には社外監査役がオブザーバーとして参加しており、独立した立場からの意見・助言を通じてガバナンスの実効性確保に寄与しております。

 サステナビリティ推進委員会は年6回開催されており、その活動内容及び進捗状況は、年2回、取締役会に報告されます。取締役会ではこれらの報告を受け、サステナビリティに関する全社的方針やリスク対応策を審議し、経営計画に反映しております。当連結会計年度には、サステナビリティに関する議題が取締役会で計2回審議され、重要施策の進捗確認と是正指示が行われました。また、内部監査室は代表取締役社長の直轄組織として、各部署を対象に内部監査を実施しており、監査内容にはサステナビリティに関連する業務やリスク対応等が

含まれております。内部監査室長は取締役会等の会議体に出席可能である旨社内で規定されており、必要に応じて監査結果を共有することで、ガバナンス体制の強化に努めております。今後も、サステナビリティに関連する取組みの透明性と実効性を確保し、継続的な改善に努めてまいります。

 

(2)戦略

① サステナビリティに関する戦略

 当社は持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティ基本方針を策定し、取組むべきマテリアリティを特定いたしました。

(a)サステナビリティ基本方針

a.基本的な考え方

 当社は、「創業の精神」及び「グループ経営理念・環境理念」に基づき、サステナビリティを企業経営の根幹に据えております。これらの理念とSDGsの基本的な考え方は親和性が高く、当社は持続可能な社会の実現に貢献することが、長期的な企業価値の向上にもつながると考えております。

特に、気候変動対策(SDGs目標13)、産業・技術革新(SDGs目標9)、クリーンエネルギー(SDGs目標7)等、当社の事業との関連性が高い課題に注力し、これらを経営戦略の一部として取組んでおります。サステナビリティは一過性の活動ではなく、経営と一体となった継続的な取組みであるべきと認識しており、代表取締役社長をはじめとする経営陣がその推進を主導しております。今後も、全てのステークホルダーと対話を重ねながら、社会課題の解決と企業価値の両立を図ってまいります。

b.推進体制

 サステナビリティ課題のうち、当社グループの事業と関連性が高い課題をマテリアリティとして特定し、企業運営に反映させます。なお、マテリアリティは必要に応じて、サステナビリティ推進委員会が見直し、取締役会への報告を行います。

 個別のサステナビリティ課題についての目標と取組み進捗状況については、取締役会がモニタリングを行います。

(b)特定したマテリアリティ

 当社のサステナビリティ基本方針に基づき、近年の社会環境の変化、社会的要請を踏まえ、更なる企業価値の向上を推進するため、事業活動と社会課題の関連性を明確にし「事業活動を通じた取組み」及び「持続可能な社会」の実現に資する重要課題として、下記4項目を特定いたしました。

マテリアリティ

当社の目指す方向性

主な取組み事例

地球環境への貢献

 

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・廃棄物排出量低減

・再生可能エネルギーの活用

・廃棄物のリサイクル促進

・グリーン購入の推進

・CO2排出量の削減

・3Rの向上

・太陽電池モジュールの活用

・環境配慮型材料の提案とグリーン商品の購入促進

・エシカル消費の推奨

・ISO14001の認証取得継続

責任ある供給体制の構築

 

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・ICTによる事業活動の最適化と改善

・社内におけるDX推進

(生産管理システム、在庫管理システム等の拡充)

ステークホルダーとのパートナーシップ

 

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・企業間パートナーシップの構築

・地域社会との共生と社会貢献の推進

・お取引先企業様とSDGsに関わるテーマについて活動

・近隣地域の雇用創出やボランティア活動推進

魅力ある職場の実現

 

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・社員の健康増進と安心安全な労働環境の確保

・ワークライフバランスの推進

・健康維持と健康増進の促進、検診率向上

・働き方改革の推進

 

② 人的資本に関する戦略

 当社グループでは、「人は財なり、財は人作りなり」との創業精神のもと、人的資本を中長期的な企業価値の源泉と位置づけ、人材育成と多様性の確保に戦略的に取組んでおります。現在、グループ業容の拡大に向けた転換期にある中、人材の確保・育成・定着は最重要課題と認識しており、採用の多様化(女性、外国人、中途採用者の積極登用)を通じて、組織の柔軟性とイノベーション創出力の向上を図っております。育成面では、階層別研修、次世代リーダー育成プログラムを展開しており、令和7年度には研修参加率90%以上を目標としております。また、社内環境整備として、相談窓口の設置、健康経営施策(健康診断受診率100%)等を通じ、働きがいと心理的安全性の両立を目指しております。今後も、人材を「資源」ではなく「資本」と捉え、一人ひとりの可能性を最大限に引き出す職場づくりと投資を継続し、持続可能な成長に貢献してまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティ課題への対応を企業の存続と成長に直結する重要な経営リスクと捉えており、当該リスクの管理・統制体制を整備しております。

 特に、気候変動・人的資本・サプライチェーンの倫理・ガバナンス不備等、財務・非財務双方に重大な影響を及ぼす可能性のあるサステナビリティ関連リスクについては、マテリアリティとして特定のうえ、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会が中心となり、年1回以上の頻度でリスクの重要性と発生可能性を評価しております。その結果は、取締役会に報告されるとともに、事業戦略や資本配分にも反映されております。必要に応じてマテリアリティを見直す体制も整備し、リスクの変化に迅速に対応できる仕組みを構築しております。

 また、重大リスクについてはBCP(事業継続計画)との整合も取りつつ、対応策や責任部署を明確化し、予防・軽減・回復策を策定しております。今後も、リスクを単なる回避対象ではなく、機会としても捉え、持続的成長に資する経営の強靭性強化に取り組んでまいります。

 

(4)指標及び目標

① サステナビリティに関する指標及び目標

 当社グループは、サステナビリティに関する各取組の進捗を適切に管理・評価するため、環境、社会、ガバナンスの各領域において、定量的及び定性的な指標を設定し、その目標達成に向けた活動を推進しております。環境分野では令和12年度までにスコープ1・2のCO2排出量を平成25年度比で46%削減することを目標としており、省エネ投資の推進や再生可能エネルギーの導入を進めております。また、廃棄物排出量の低減目標として、令和12年度の排出量を令和3年度比で10%削減、令和12年度廃棄物リサイクル率60%の達成を目標としております。各指標の進捗状況は、サステナビリティ推進委員会において半期ごとに評価・検証され、取締役会に報告されます。必要に応じて目標の見直しや新たな課題設定を行い、継続的な改善サイクルを構築しております。

 

② 人的資本に関する指標及び目標

 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

指標

対応施策

目標

実績(当事業年度)

中核人材採用

マネジメント総合職制度の採用

2

採用数

リファラル採用制度の活用、採用チャネルの強化

10

7

 なお、当該指標及び目標につきましては、提出会社のものを記載しております。当社グループ会社につきましてはグループ化して日が浅いこと、また立地の地域特性等があるため、今後連結グループとして開示するための体制構築と指標作成を検討しております。現在、連結子会社における具体的な数値の算定、モニタリングを継続して実施しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、ここに記載されたものが当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

(1)当社グループの事業環境について

① 商品市場の動向変化に伴うリスク

 当社グループの主力製品である液晶ディスプレイ用部材及びタッチパネルセンサー基板は、ディスプレイ市場の動向により需要が変動いたします。当社グループでは、急激な需要の増減に耐え得る生産ラインの構築に取組んでおりますが、想定を上回る変動が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。そのため、当社では市場動向に十分注意を払っております。

② 特定の製品依存リスク

 当社グループの売上高は、ディスプレイ関連商品の比重が高くなっており、当該商品の売上高が大きく減少した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。その中でも車載関連向け商品の比率が上昇しており、世界的な半導体不足の影響による車両製造台数減少の影響を受ける可能性があります。今後、売上高の多様化に向けて研究開発等に注力を行ってまいります。

③ 原材料の調達リスク

 当社グループの使用する原材料についても、クロスボーダーでの調達が増加しております。このため、世界的な景気動向あるいは原油価格等のエネルギー価格等の影響を受けるおそれがあるため、調達ルートの多様化を推し進めておりますが、想定を上回る困難が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

④ 製品の品質に関するリスク

 当社グループは、グループを挙げて製品の品質維持・管理に取組んでおりますが、万一、製造物責任に関わる製品事故が発生した場合、賠償費用の発生により、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、品質マネジメント委員会の設置、契約内容の精査、保険での対応等不測の事態に備えております。

⑤ 災害によるリスク

 当社グループの主力製品生産拠点は、姫路市、たつの市等兵庫県西播地域に集中しており、地震や停電その他の災害が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。そのため、災害情報あるいはハザードマップ等について最新の情報を入手し、災害への備えを怠らないよう準備対応を行っております。

⑥ 感染症リスク

 感染症の世界的流行やそれに伴う行動制限・物流停滞等が発生した場合、当社グループの生産・販売活動、人材の確保、サプライチェーン、研究開発、資金調達等に影響を及ぼす可能性があります。感染症による社会・経済活動への制約が長期化または再発した場合には、業績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。当社グループとしましては、十分な予防措置を講じ、従業員の安全と企業の生産性の両立に努めてまいります。

(2)特許権等の取得方針について

 当社グループの内製生産技術は、設立以来、永年の経験に基づき構築してきた技術でありますが、特許権等の取得には馴染まない技術が多く含まれております。特許を取得した場合、生産方法が推定され、生産工程を模倣される危険性があります。

 当社グループでは、現在のところ、精密貼合技術等を中心とした内製生産技術に関する特許権等の取得は不要であると考えており、これらの生産技術の外部流出防止策として、従業員との機密保持契約の締結、生産工程の外部遮断等、技術全体のブラックボックス化を行っております。
 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、賃上げの動きや訪日観光需要の回復といった明るい材料が見られた一方で、物価上昇による実質所得の目減りや海外経済の不透明感の影響を受け、景気は総じて足踏み状態が続きました。実質GDPの成長率は低調に推移し、個人消費や設備投資、輸出も力強さを欠く展開となりました。また、日本銀行による金融政策の正常化に向けた動きが始まる等、企業活動は先行き不透明な環境の中で慎重な対応を迫られる局面が続いております。

 このような環境の中、当社グループでは引き続き、独自の精密貼合技術を核とした用途開発に取組んでまいりました。また、既存の枠にとらわれず、事業領域の更なる広がりを目指しつつ、グループ各社の特長や強みを活かした連携によるシナジー創出にも努めております。一方で、車載・エレクトロニクス分野では製品の標準化やグローバル化が加速し、商流の変動も激しさを増しております。こうした変化の中で、新興企業との競合激化や受注条件の変化等、依然として厳しい市場環境が続いております。加えて、産業機器市場では中国市場の景気減速や在庫調整の影響を受け、FA・工作機械分野の需要も弱含みで推移しており、当社グループに影響が及んでおります。

 この結果、当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,473百万円減少し、15,963百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,496百万円減少し、5,946百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ23百万円増加し、10,016百万円となりました。

 また、当連結会計年度における経営成績は、売上高10,620百万円(前年同期比19.8%減)、営業利益220百万円(同67.9%減)、経常利益248百万円(同66.5%減)を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は262百万円(同54.2%減)となりました。

 セグメントの経営成績は以下のとおりであります。

 

精密貼合及び高機能複合材部門

 国内外のディスプレイ及びタッチパネル市場は、各種分野でのデジタル化進展により引き続き成長が期待されております。車載用途においても、センターインフォメーションディスプレイやメータークラスター、タッチスイッチ等の電子化が進展し、市場拡大が続いております。一方で、製品の汎用化や新規参入・海外勢の増加に伴い、競争環境は一段と厳しさを増しております。当社は、独自の精密貼合技術を更に進化させるとともに、最先端の生産設備導入や新素材の活用を通じて、高付加価値製品の開発・受注に注力してまいりました。ただし、足元では国内自動車メーカーの生産計画見直し等の影響を受け、当社の受注は低調に推移しております。

 この結果、売上高7,288百万円(前年同期比12.1%減)、セグメント損失(営業損失)24百万円(前連結会計年度は135百万円の営業利益)となりました。

 

環境住空間及びエンジニアリング部門

 国内太陽電池市場においては、従来型パネル分野で海外メーカーのシェアが拡大し、依然として国内勢にとっては厳しい競争環境が続いております。当社グループでは、収益安定化のためOEM供給を軸としたコスト最適化を進めるとともに、将来を見据えた次世代型太陽電池、とりわけペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた研究開発を継続しております。エンジニアリング部門では、連結子会社プレマテック株式会社において、半導体・液晶関連装置の受注が一時は堅調に推移しておりましたが、中国市場の需要鈍化の影響を受け、前年同期比で減少となりました。また、省人化・省エネルギー化を実現するメカトロニクス設備についても提案活動を継続しているものの、直近の受注環境は依然として軟調な状況が続いております。

 この結果、売上高3,332百万円(前年同期比32.7%減)、セグメント利益(営業利益)232百万円(同57.3%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,152百万円(前期末比1,015百万円減)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、437百万円(前連結会計年度は1,598百万円の獲得)となりました。

 これは主として、仕入債務の減少1,172百万円があったものの、売上債権の減少992百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、223百万円(前連結会計年度は372百万円の使用)となりました。

 これは主として、有形固定資産の取得による支出227百万円があったものの、定期預金の払戻による収入20百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、1,227百万円(前連結会計年度は234百万円の獲得)となりました。

 これは主として、長期借入金の返済による支出1,328百万円があったものの、長期借入れによる収入800百万円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和6年4月1日

至 令和7年3月31日)

前年同期比(%)

精密貼合及び高機能複合材部門(千円)

6,670,046

△12.3

環境住空間及びエンジニアリング部門(千円)

2,460,849

△35.5

合計(千円)

9,130,895

△20.1

(注)金額は製造原価によっております。なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

精密貼合及び高機能複合材部門

7,288,793

△12.1

環境住空間及びエンジニアリング部門

3,462,766

△17.4

873,464

17.6

合計

10,751,560

△13.9

873,464

17.6

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和6年4月1日

至 令和7年3月31日)

前年同期比(%)

精密貼合及び高機能複合材部門(千円)

7,288,793

△12.1

環境住空間及びエンジニアリング部門(千円)

3,332,078

△32.7

合計(千円)

10,620,871

△19.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

当連結会計年度

(自 令和6年4月1日

至 令和7年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

AGC株式会社

3,400,328

25.7

3,205,907

30.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

(資産)

 流動資産は7,157百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,227百万円の減少となりました。これは主に現金及び預金の減少1,035百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少992百万円があったことによるものであります。

 固定資産は8,805百万円となり、前連結会計年度末に比べ245百万円の減少となりました。これは主に建物及び構築物の減少218百万円があったものの、建設仮勘定の増加13百万円があったことによるものであります。

 この結果、総資産は15,963百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,473百万円の減少となりました。

(負債)

 負債は5,946百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,496百万円の減少となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少1,082百万円があったものの、繰延税金負債の増加114百万円があったことによるものであります。

(純資産)

 純資産は10,016百万円となり、前連結会計年度末に比べ23百万円の増加となりました。これは主に非支配株主持分の減少122百万円があったものの、利益剰余金の増加91百万円があったことによるものであります。

ロ.経営成績の分析

 経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は4,152百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,015百万円減少いたしました。これは営業活動の結果得られた資金が437百万円あったものの、投資活動の結果使用した資金及び財務活動の結果使用した資金がそれぞれ223百万円及び1,227百万あったことによるものであります。

 上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

ロ.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、人件費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、研究開発投資等であります。当社グループは、営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。

 なお、当連結会計年度末における長短借入金及び社債の残高は、それぞれ4,508百万円及び32百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,152百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営上の目標の達成・進捗状況

 当社グループは、収益性の向上を重視しており、生産性の向上、新製品開発及び営業力の強化を徹底し、経常利益率7%以上を確保することを経営指標としております。当連結会計年度における経常利益率は2.3%(前年同期比3.3ポイント減)となりました。また、当社グループは自己資本比率を財務の健全性の指標と認識しております。当連結会計年度における自己資本比率は62.7%となりました。引き続き、これらの指標について改善されるよう取組んでまいります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 今日のような、急速な市場の変化や企業間競争が激化している環境下におきましては、研究開発部門と営業部門とが緊密な連携をとり、迅速な経営判断を行っていくことが不可欠であります。当社グループでは、各部門が連携した研究開発体制を構築しており、グループ全体で22名(従業員の9.6%)のスタッフが研究開発に携わっております。

 事業創出本部内には先端技術開発室と事業化推進部を設置し、先端技術開発室では新たな材料やプロセスに対する原理検証等を、事業化推進部では顧客依頼の試作から量産立上げ、社内の加工設備の新設・改造等をそれぞれ担当しております。

 現在、将来の成長を担う新規事業を創出することを目的として、市場のニーズに的確に対応した新たな高付加価値製品を作り出すための研究開発に日々取組んでおります。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は260,662千円(前年同期比14.0%減)であります。

 セグメント別の主な研究内容及び研究開発費は以下のとおりであります。

 

(1)精密貼合及び高機能複合材部門

  「精密貼合技術」に関する研究開発

 新規の機能性材料、異種材料の接合、曲面への対応等、市場の新たなニーズに対応すべく、精密貼合技術の高度化に取組んでまいりました。高精細ディスプレイに求められる高精度な位置合わせや、自動車や航空機、船舶、医療等に求められる高い信頼性、宇宙空間利用等の厳しい環境下での機能性発揮等を満足すべく、新規の設備、条件、材料の検討を日々行っております。

 今後も、量産稼働に伴い得られた情報をもとに調整や改造を行い、次の技術へ繋げてまいります。

 当部門に係る研究開発費は172,138千円であります。

(2)環境住空間及びエンジニアリング部門

  「クリーンエネルギー」に関する研究開発

 太陽光発電システムの応用性拡大や発電効率向上を目的として、太陽光発電モジュールの材料の組合せや形状の変更、新しい素材の開発等、太陽光発電に関する様々な研究に取組んでおります。

 当連結会計年度におきましては、ペロブスカイト太陽電池の封止技術開発、車載用軽量モジュールの試作、フィルムモジュールの設計、試作を行いました。

  「機械装置の製造」に関する研究開発

 製造装置の分野において、優位性の高い製造装置の製作に取組んでおります。産学連携等を通じて新しい技術等を機械装置に応用すべく研究開発を重ねています。

 今後も、量産稼働に伴い得られた情報をもとに調整や改造を行い、次の技術へ繋げてまいります。

 当部門に係る研究開発費は88,523千円であります。