第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので、将来生じる実際の結果と差異を生じる可能性があります。

① 長期経営ビジョン

当社は、「低侵襲治療製品の普及を日本から世界へ積極的に発信し、全世界の患者様のQOL(Quality of Life)を高めると同時に、全世界での『ASAHIブランド』の確立を図る」という経営ビジョンを定め、長期的な目標として連結売上高1,000億円を掲げております。

 

② 中期経営計画

当社は、長期的な目標の連結売上高1,000億円に繋げるため、「新中期経営計画『ASAHI Road to 1000』~Only One技術で強固なグローバルニッチNo.1を目指す~」を策定し、以下の4つの基本方針を定めました。

本計画では、連結売上高1,000億円達成に向けた事業ポートフォリオの構築として、「グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大」を引き続き推進することで、これまでの基本戦略の集大成を図り、既存事業の収益基盤を強化いたします。また、将来に向けた成長への投資を継続することにより「グローバルニッチ市場における新規事業の創出」を実現し、グローバルニッチ市場における当社のプレゼンスの強化と企業価値の一層の向上を目指します。その成長戦略を支えるためのビジネス基盤として、「グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築」を進めるとともに「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を図ってまいりたいと考えております。

本計画では、連結売上高1,000億円に至るマイルストーンとして、2023年6月期に連結売上高800億円を達成することを目標とし、当該時点での営業利益率は25%を目途としております。

なお、当社製品の限界利益率を踏まえると、売上の伸長に伴い、利益や資本効率性も向上する構造にあると考え、経営の主要パフォーマンス指標(KPI)として売上高を据えております。また、当社は製品の競争優位性の向上や競争優位の持続期間の長期化といった定性的な観点を重視した経営を行っており、経営方針や事業戦略について、ホームページ等で極力詳細な開示に努めております。

(a)グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大

当社グループは現在、世界108の国と地域へ製品を供給しております。当社グループの製品が使用される血管内疾患の症例数は、今後もグローバル規模で拡大すると予測されております。こうした中、それぞれの地域において販売・マーケティングの機能をより一層充実させることにより、グローバル規模での収益基盤の強化を図る所存であります。

(日本)

日本市場では、2012年7月より、連結子会社である朝日インテックJセールス株式会社が、病院などに自社ブランド製品の直接販売を行っております。この販売体制を活かして更なる市場シェアの獲得に努めるとともに、同社の商社機能を活用して、国内外の他社製品とのシナジー効果による販売拡大を図り、収益構造の強化にも努めてまいります。また、日本市場においては、世界に先駆けて新製品の投入を行っております。第二第三の主力製品の確立を目指しながら、収益拡大に努めてまいります。

(米国)

米国市場では、主力製品PTCAガイドワイヤーの販売につきまして、従来は代理店を通じて販売を行っておりましたが、2018年7月より当社子会社ASAHI INTECC USA, INC.を通じて病院などに直接販売を行っております。既存の直接販売体制を活かしながら、さらなる販売促進のために、最終顧客である医師に密着して市場動向をより早く把握できる体制を構築し、拡販に努めます。また、PTCAガイドワイヤーのみならず、他の製品群についても、引き続きマーケティングや販売機能の強化を進め、収益拡大に努めてまいります。

(欧州・中近東)

欧州・中近東市場では、現場に密着した複数の代理店を通じて、主力製品のPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルなどを販売し、高いシェアを獲得しております。今後におきましても、既存製品のシェア拡大を図るとともに、日本で高い評価を得ている新製品などを積極的に市場投入するなどし、総合的な製品供給を進めてまいります。また、欧州・中近東市場の一部の地域におきましては、段階的に、直接販売化を進める予定であり、その一環として、2019年7月よりフランスにおいて直接販売を開始いたしました。今後も、これらの活動を通じて、さらなる収益拡大を図ってまいる所存です。

(中国)

中国市場では、現地代理店を通じた販売を行っております。グローバル市場の中でも中国は特に成長が著しく、更なる発展が見込まれております。 2016年6月期より、循環器系領域の製品を中心に複数代理店制への移行を進めており、市場シェアをさらに拡大しつつあります。今後におきましても、マーケットの状況を鑑みながら、代理店数の増加推進や、連結子会社である朝日英達科貿(北京)有限公司を通じたマーケティングや販売活動の充実、現地代理店に密着したバックアップ体制の強化などにより、さらなる収益拡大に努めてまいります。

(その他地域)

中国以外のアジア地域や南米地域を中心に、潜在成長力のある新興国市場における営業体制を強化し、さらなる収益拡大を目指してまいります。今後も、現地に密着した支店・子会社の開設などを予定しており、これらの活動を通じて、さらなる販売強化を図ってまいります。

(Number One製品戦略)

循環器系領域の主力製品PTCAガイドワイヤーにつきましては、当社が強みを持つ治療難度の高いCTO (慢性完全閉塞)用の製品開発に注力すると共に、一般的な通常病変用の製品の拡充にも努めることにより、総合的なナンバーワンのポジションを盤石化してまいります。

また、PTCAガイドワイヤーに次ぐ第二第三の主力製品の確立に向け、当社グループが有するステンレス加工技術と樹脂加工技術を融合することにより、 PTCAバルーンカテーテルやPTCAガイディングカテーテル、貫通カテーテルなどの循環器系領域におけるカテーテル分野の製品群を一層強化・拡大してまいります。

さらに、循環器系領域から末梢・腹部・脳血管系などの非循環器系領域への製品展開を継続して進めてまいります。非循環器系領域については、循環器系で培 った技術を応用した横展開を行うと同時に、積極的な海外展開を図り、グローバル規模での市場シェアの獲得に努めてまいります。

(Only One製品戦略)

現在、治療が困難とされているCTOに対するPTCA治療は、PTCA治療の先進国である日本においても完全というわけではなく、海外市場を中心にバイパス手術で対応するケースが残っております。このような中、当社グループは、他社にはない高い製品優位性を持ち、CTO治療も可能なPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルなどの低侵襲治療に必要な製品群を開発・販売し、CTO領域におけるPTCA治療選択率の拡大に寄与してまいりました。

今後も、研究開発型企業として、競争力の高い独創的な製品や、機能の進化した新製品を開発・製品化し続けることにより、低侵襲治療の普及や発展に寄与してまいります。

 

(b)グローバルニッチ市場における新規事業の創出

研究開発型企業である当社グループは、4つのコアテクノロジー(伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、樹脂コーティング技術、トルク技術)を主体とした、高度で独自性の高い素材加工技術を備えております。また、これらの技術に加え、原材料から製品までの一貫生産体制を構築することにより、当社独自の素材及び機能を有した製品の開発・製造が可能となっております。これは、医療機器分野以外に、産業機器分野を有する当社グループならではの強みであり、医療機器分野での競合先とのコスト面・技術面における差別化を図る大きな要因となっております。

今後もグローバル競争に勝ち、連結売上高1,000億円を超えて永続的に成長発展する企業であり続けるために、その礎となる施策に今から着手していくことが必要であると認識し、当社の高い技術力の強化により消化器分野・ロボティクス分野・脳血管系分野などの新領域への進出を目指します。また、新テクノロジーとの融合が必要な場合には、より積極的に技術提携、M&A、少数株主投資などを駆使し、外部からの新技術導入を含め、有力パートナーとの戦略的提携についても推進していく予定です。

グローバルニッチ市場における新規事業の創出により、事業ポートフォリオの強化に努め、グローバルで持続的に成長する企業を目指してまいります。

 

 

(c)グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築

研究開発体制のグローバル化として、米国の直接販売の拠点である連結子会社ASAHI INTECC USA, INC.において、最終顧客である医師からのニーズや評価をダイレクトに反映できる、試作レベルまでの対応を可能とした研究開発体制を構築しております。また、連結子会社ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.の研究開発拠点をさらに拡充させ、製品仕様の検討を含めた既存製品の改良などをより積極的に進めてまいります。

国内においては、当社グループの研究開発拠点の中心である瀬戸工場の敷地内に新社屋を建設し、臨床現場に近い研究開発環境整備を実現いたしました。さらに、当社グループの精密加工技術の開発の中心拠点として東北R&Dセンターの稼働を開始し、国内の研究開発体制についても、より充実させてまいります。

 当社グループでは、現在、日本においては研究開発・試作に特化し、量産品については原則として海外の連結子会社に生産移管しており、素材から完成品までの一貫生産が海外工場(ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.(タイ工場)、ASAHI INTECC HANOI CO., LTD.(ハノイ工場) 、及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(セブ工場))で実現できる体制が整っております。その中で、リスク管理や事業継続計画(BCP)の観点から、グループ全体での生産拠点の最適化を図っており、現地事情などにより、一部の工場が操業不能に陥った場合においても、別の工場にて代替生産の大部分を担えるよう、3工場で同じ製品が製造できる体制の構築を進めております。また、現在は量産機能を有していない当社においても、今後代替生産が可能な量産設備の保有に努めてまいります。

今後も、グローバル展開に最適な研究開発拠点や生産体制の構築・拡充により、当社の成長戦略を下支えしていく所存であります。

(d)持続的成長に向けた経営基盤の確立

様々な戦略を推し進め、持続的成長を実現するためには、それを支える強固な経営基盤が必要です。そのため、新中期経営計画では、グローバルに事業活動を展開する上での環境・社会への配慮といった取組みに加え、人財マネジメント、コーポレートガバナンスの強化により、経営基盤及び技術基盤を強化し、グローバル水準の収益力を確立できる体制を構築してまいります。

 

〔注釈説明〕

注:CTO/(慢性完全閉塞)
長期間完全に閉塞した状態の病変のことをいいます。従来は、このような病変は外科手術(バイパス手術)の領域でしたが、当社がCTOにも使用可能なPTCAガイドワイヤーの開発に成功したことから、現在では、国内においてはPTCA治療(循環器系領域における低侵襲治療)が主流となっております。

 

 

2 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

①   医療機器分野について

(法的規制について)

当社グループの事業は、医薬品医療機器等法及びそれに関連する厚生労働省令並びに米国食品医薬品局とEU当局 、そして中国当局等による諸規制を受けており、当社グループの関連する主な法的規制は次のとおりであります。

(a) 医薬品医療機器等法及び厚生労働省令

当社グループは、各種の医療機器及びその関連製品の設計・製造・販売を行うに際し、日本国内では医薬品医療機器等法、医薬品医療機器等法施行令、医薬品医療機器等法施行規則及びQMS省令等により規制を受けております。医薬品医療機器等法では、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることが目的とされております。製造販売業者・製造業者は、安全で有用な医療機器を提供するために、品質、有効性及び安全性を確保した継続的な生産体制を維持するためのシステムとしてQMS(Quality Management System:品質マネジメントシステム)を確立し、設計・製造から市販後に至るまで管理する必要があります。   

厚生労働省は、国際的な整合性や、科学技術の進歩、企業行動の多様化等、社会情勢の変化を踏まえ、医薬品・医療機器規制及び制度について常に見直しを図っており、承認・許可制度の見直し、市販後安全対策の充実等当該法規制の変更等により、規制が強化された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、医薬品医療機器等法に関連し、当社グループの承認、許可及び登録が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(b) MDD(Medical Device Directive / 医療機器指令)及びMDR(Medical Device Regulation / 医療機器規則)

 欧州市場で医療機器を流通させるためには、MDD(Medical Device Directive / 医療機器指令)に基づく要求事項を満たす必要があり、製造業者は定められた適合性評価基準を満たさなければなりません。MDDに適合していることを証明するCEマーキングが製品に表示されていなければ欧州市場への流通が出来ず、またMDDの必須要求事項を満たすための品質システム(EN ISO 13485)の認証維持が条件となります。
 この法規制は、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、CEマーキングが表示された製品が欧州市場で自由に流通出来ることを目的としております。
 また、現在、MDDより規制内容を強化し要求内容が増加したMDR(medical Device Regulation)が公布されており、MDDからMDRへの移行期間になっております。当社グループはMDRへの適合に向けた活動を進めておりますが、更に追加または更新される規制の内容及び当局の対応や要求によっては、事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
 また、今後、MDDに関連し、当社グループが認証されない場合、認証が取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(c)FD&C法(The Federa1 Food,Drug, and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)

米国市場で医療機器を流通させるためには、FD&C法(The Federal Food,Drug and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)に基づき、品質、有効性及び安全性確保が必要になります。この法律は、食品、食品添加物、医薬品、医療機器、化粧品等の規制を目的としており、米国内での流通に際して、必須要求事項であるQSR(Quality System Regulation)に基づく体制の維持・確立が必要であります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

 

また、今後、FD&C法に関連し、当社グループの登録、認可が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(d) 医療機器監督管理条例

中国市場で医療機器を流通させるためには、医療機器監督管理条例に基づき、品質、有効性及び安全性の確保が必要になります。医療機器監督管理条例の下に、医療機器の分類、登録、生産監督、経営許可、品質管理システムの審査、ラベリング等に関する規則が定められており、中国国内において医療機器の販売及び使用を行うにあたっては、NMPA(National Medical Products Administration /国家薬品監督管理局)の審査を経て、「医療機器登録証」を取得する必要があります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、医療機器監督管理条例に関連し、当社グループの登録、承認が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(医療制度改革について)

当社グループはグローバル規模にて販売を行っておりますが、日本を含め世界各国では医療制度改革が進められております。今後、予想を超える大規模な医療制度改革が行われた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 また国内では、高齢化の急速な進展等に伴う国民医療費抑制策及び内外価格差問題の解決として、医療制度改革が進められております。2003年4月に特定機能病院において診療報酬包括制が導入されたほか、2002年4月より隔年で保険償還価格の引下げが実施されております。医療制度改革の動向により販売価格が下落する等の影響があった場合は、当社グループの業績も悪影響を受ける可能性があります。 

(品質管理体制について)

当社グループは、人命に係わる高度な技術を要する医療機器を取り扱うことから、社内において徹底した品質管理体制を確立しておりますが、特異な要因による不良品の発生や、臨床現場での不適切な取扱いの可能性は完全に否定出来ません。医療事故が発生した場合には、製造物責任により、係争事件等に発展する可能性があります。また医薬品・医療機器規制 により、関連する製品の回収責任が生じる事も予測されます。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(特定製品への依存について)

当社グループの主力製品であるPTCAガイドワイヤーの、当連結会計年度における連結売上高は237億58百万円となっており、連結売上高に占める比率は41.5%と依存度が高く、従ってPTCAガイドワイヤーの売上動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(技術革新への対応について)

医療機器市場では、技術の変革は著しく速く、企業が成長を続けるためには、新技術・新製品の研究開発は必須であります。当社グループにおいても、研究開発型企業として研究開発活動に注力しておりますが、現行の検査及び治療方法を革新する新技術が開発され、当社グループの対応が遅れた場合、あるいは他社から極めて優良又は革新的な製品が販売された場合には、当社グループの提供する製品が陳腐化し、その結果、当社グループシェアが低下する可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②  産業機器分野について

(客先仕様である事について)

当社グループの産業機器分野の製品は、OA機器、自動車、建築、漁業、レジャー等広範囲にわたって使用されております。今後も新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、大半が客先仕様に基づく部材レベルの製品であるため、客先の仕様変更等により当社グループの製品に替わる他社の製品が採用された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(競合状況について)

当社グループの産業機器分野の新たな競合先として、近年、韓国・中国等のメーカーが存在しております。
 当社グループは、新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、これらの競合先メーカーが、当社グループと同品質で、なおかつ低価格の製品を供給できる体制に成長した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③  各事業共通事項について

(海外事業展開について)

当社グループは現在、世界108を超える国と地域へ製品を供給しており、当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は67.3%となっておりますが、今後、当社グループがさらに飛躍するために、海外販売をより積極的に展開する方針であり、今後は需要拡大に備え、海外生産拠点の強化・拡充を引続き進めていく所存であります。当社グループが引続き成長を続けるためには、新たな市場における販売ルートの確立や設備投資を引続き慎重に進めていく所存ですが、海外環境の動向等により、海外事業が計画どおりに展開されない可能性があります。仮にこのような事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(海外生産への依存について)

当社グループは、日本国内施設は主に研究開発拠点と位置付ける一方、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.及びTOYOFLEX CEBU CORPORATIONは重要な生産拠点として位置付け、現在、量産品については、原則として当該連結子会社に生産移管しております。
 一番の主力の生産拠点であるASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.より、第二の生産拠点であるASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.に継続的に生産移管を行い、また第三の生産拠点であるTOYOFLEX CEBU CORPORATIONにおいても医療機器分野の生産を可能にする体制構築を進めるなどし、リスク分散を図っておりますが、これら3つの連結子会社が洪水、地震等の天災や政治、経済、法律、文化、ビジネス慣習、労働力不足や労働賃金水準の上昇、その他様々な現地事情等により操業低迷や不能に陥った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(原材料価格の高騰について)

当社グループが製造する製品の多くは、原材料の一部に、ステンレス及びプラチナを使用しております。売上高に対しての原材料比率は比較的低いものの、これら原材料の価格の高騰が予想を上回る状況で進行した場合、特にプラチナ価格の高騰については、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

(知的財産権について)

当社グループは製品の開発・製造・販売に関し、知的財産権の確保に努めておりますが、他社から当該権利を侵害される可能性が無いとは言えず、当該権利期間経過後は、他社による同一製品の新規参入の可能性も予測されます。
 また、製品に関連し得る他社の知的財産権の侵害防止に努めておりますが、万一、侵害の事実が発生した場合は、係争事件に発展することも含めて、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(自然災害や大規模災害等について)

当社グループはグローバル規模にて販売を行っております。当社グループが事業を展開している地域において、自然災害、病気、感染症、戦争、テロ等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

④  全社的な事項について

(為替リスクについて)

当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は67.3%であり、その大半は米ドル建てですが、ユーロや元などの外貨についても、取引量の増加に比例し、増加しつつあります。一方、当社グループの主要な生産拠点はタイ、ベトナム、フィリピンにあり、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.(タイバーツ建決算)、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.(米ドル建決算)及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(円建決算)との取引は、原則的に全て円建てで取引をしております。したがって、為替が円高米ドル安タイバーツ安に進んだ場合、海外売上高の円換算額が目減りするとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて主に売上原価等の円換算額が減少します。また逆に、為替が円安米ドル高タイバーツ高に進んだ場合、海外売上高の円換算金額が増加するとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて売上原価の円換算額が増加いたします。

米ドルとタイバーツが連動すれば、為替変動によるメリット・デメリットは概ね相殺されますが、円に対し米ドル安タイバーツ高に進んだ場合には収益が圧迫されるなど、当社グループの業績にマイナスの影響を与える可能性があります。

また、前述の通り米ドルの流入量が多く、タイ及びベトナムの連結子会社においては円の流入量が多いため、急激な為替相場の変動時には、これらの決算通貨への交換時に発生する為替差損益が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(保有株式に関するリスクについて)

当社は、原則として、取引先や業務提携先とのさらなる事業発展やシナジー効果等を目的として、市場性のある株式を保有しております。したがって、将来、株式相場の悪化や投資先の業績不振等により、大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式に減損が発生し、当社の業績と財務状況に影響を与える可能性があります。

(企業買収に関するリスクについて)

当社グループは、主に研究開発及び製造の分野において、技術提携、業務提携、資本提携など、他社との提携又は買収を実施する可能性があります。これらの提携又は買収などにあたり、当社グループは、当該企業の財務内容や契約内容などについてデューデリジェンスを行い、事前にリスク回避するように努めておりますが、事業環境の急激な変化など、不測の事態が生じる場合、当社グループの事業展開、経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

 当社グループは、2018年8月に当連結会計年度よりスタートする中期経営計画「『ASAHI Road to 1000』~Only One技術で強固なグローバルニッチNo.1を目指す~」を発表し、約一年が経過致しました。本計画に基づき、連結売上高1,000億円達成に向けた事業ポートフォリオの構築として、「グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大」を引き続き推進することで、これまでの基本戦略の集大成を図り、既存事業の収益基盤を強化、また将来に向けた成長への投資を継続することにより「グローバルニッチ市場における新規事業の創出」を実現し、グローバルニッチ市場における当社のプレゼンスの強化と企業価値の一層の向上を目指し、その成長戦略を支えるためのビジネス基盤として、「グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築」を進めるとともに「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を図ってまいりたいと考えております。本計画では、連結売上高1,000億円に至るマイルストーンとして、2023年6月期に連結売上高800億円を達成することを目標としており、当該時点での営業利益率は25%を目途としております。

その実現に向けて、当連結会計年度では、主力製品PTCAガイドワイヤーの米国市場への直接販売の開始、プラズマエネルギー技術を有する米国のRetroVascular,Inc.(注)の株式の取得(当社の孫会社化)、就労継続支援(A型)認定のフィカス株式会社の全株式の取得(取得後、非連結子会社化)、研究開発機能の充実を目的としたグローバル本社・R&Dセンターの竣工と本社移転、米国市場における脳血管系製品の独占販売代理店契約の締結、消化器系分野の胆膵内視鏡処置具に関する基本合意書の締結、フランス支店設立と直販化の決定などを実施し、当社グループの強みをさらに盤石化するための施策を積極的に進めました。また、2018年9月21日に、東京証券取引所・名古屋証券取引所の市場第一部への指定替えを行っております。

 今後におきましても、中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、企業価値の拡大を目指してまいります。

 当社グループの当連結会計年度における売上高は、特にメディカル事業の海外向け売上高が増加し、572億16百万円(前年同期比14.2%増)となりました。

 売上総利益は、好調な受注に伴い、397億円(同13.9%増)となりました。

 営業利益は、米国や中国市場を中心とした販売・マーケティングの強化に伴う営業関係費用の増加、研究開発費の増加、RetroVascular, Inc.(注)の株式取得に伴うのれん費用の発生、新社屋への本社移転に伴う諸経費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増加により吸収し、151億68百万円(同10.1%増)となりました。

 経常利益は、補助金収入の増加があるものの、為替差損が増加するなどし、148億33百万円(同8.0%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、RetroVascular, Inc.(注)の株式取得に伴い、段階取得に係る差益を計上した一方、投資有価証券評価損を計上したことにより、112億37百万円(同11.9%増)となりました。

 なお、当連結会計年度における外国為替レート実績は、下記となります。

 1米ドル=111.15円(前年同期110.39円、比0.7%増)

 1ユーロ=126.81円(前年同期131.61円、比3.6%減)

 1中国元=16.28円(前年同期16.97円、比4.1%減)

 1タイバーツ=3.45円(前年同期3.40円、比1.5%増)

 

(注)RetroVascular, Inc.は、2018年12月6日にASAHI Medical Technologies,Inc.へ商号変更をしております。

 

 

セグメントごとの経営業績は次のとおりであります。

(メディカル事業)

 メディカル事業は、国内市場において医療償還価格の下落によるマイナス影響を受けたものの、海外市場の需要が強く、順調に推移いたしました。

 国内市場においては、循環器系領域のPTCAガイドワイヤー・PTCAバルーンカテーテル・検査用ガイドワイヤーや非循環器系領域の脳血管系製品群などの数量が増加し、シェアが向上するなどいたしましたが、医療償還価格の下落や安定狭窄症に対する施術要件の厳格化を背景とした症例数の減少などの影響を受け、循環器系及び非循環器系領域共に売上高は減少いたしました。

 海外市場においては、循環器系領域のPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルが、中国・欧州中近東・アジア地域などで需要が増加傾向にあり、順調に推移しております。需要が堅調な理由のひとつとして、中国市場を中心に上半期を中心とした特需など一時的な増加も含まれていると考えております。また、米国市場においては、2018年7月よりPTCAガイドワイヤーについて、病院などに対して当社グループが直接販売する体制に移行しております。第2四半期連結累計期間である2018年7月~12月は、旧販売代理店が当社グループと並行して販売することが可能となる重複販売期間であり、当該期間における当社グループの売上高は一時的に減少しておりますが、当社グループが独占して直接販売を開始した2019年1月以降の足元の売上高は、好調に推移しております。

 また、非循環器系領域における脳血管系の製品群について、2018年11月に大手医療機器メーカーと米国市場における独占販売契約を締結したことなどから、下半期を中心に在庫供給も含めて取引が増加する傾向にあり、売上高が増加しております。

 以上の結果、売上高は482億16百万円(前年同期比16.6%増)となりました。

 また、セグメント利益は、研究開発費及び営業関係費用の増加により販売費及び一般管理費が増加したものの、好調な受注による売上高の増加により、157億48百万円(同15.7%増)となりました。

 

(デバイス事業)

 デバイス事業は、医療部材が増加し、産業部材が減少した結果、微増となりました。

 医療部材については、国内市場において、内視鏡や消化器用医療機器などに使用される部材の取引が増加したことや、海外市場において、米国向けの循環器系検査用カテーテル部材や腹部血管系カテーテル部材の取引が増加するなどし、売上高は増加いたしました。

 産業部材につきましては、国内市場のOA機器部材取引や海外市場のレジャー部材取引が増加したものの、国内海外市場ともに自動車部材取引が減少したことなどから、売上高が減少いたしました。

 以上の結果、売上高は90億円(前年同期比2.8%増)となりました。

 また、セグメント利益は、研究開発費用を中心とした販売費及び一般管理費が増加したため、28億85百万円(同9.5%減)となりました。

 

 

(財政状態)

当連結会計年度末の資産につきましては、総資産額が843億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ122億54百万円増加しております。主な要因は、RetroVascular, Inc.(注)の株式を取得したことに伴い、のれん28億49百万円を計上したことと、商品及び製品が4億24百万円、仕掛品が7億40百万円、原材料及び貯蔵品が12億45百万円、建物及び構築物(純額)が55億48百万円、機械装置及び運搬具(純額)が10億11百万円それぞれ増加したことによるものであります。

負債につきましては、負債合計額が189億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億3百万円増加しております。主な要因は、長期借入金が4億47百万円減少した一方、支払手形及び買掛金が4億79百万円、短期借入金が2億63百万円、退職給付に係る負債が3億25百万円それぞれ増加したことによるものであります。

純資産につきましては、純資産合計額が654億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ118億50百万円増加しております。主な要因は、第三者割当増資等に伴い資本金が15億2百万円、資本剰余金が15億2百万円増加したこと、利益剰余金が87億26百万円増加したことによるものであります。

なお、当連結会計年度の期首から、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を適用しており、比較対象の前連結会計年度に係る財務数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の財務数値となっております。

(注)RetroVascular, Inc.は、2018年12月6日にASAHI Medical Technologies,Inc.へ商号変更をしております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、187億77百万円(前年同期比7.3%増)となっております。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、117億20百万円(前年同期比2百万円増)となりました。これは主に、売上債権が10億86百万円増加、たな卸資産が22億40百万円増加したこと及び法人税等の支払額が39億8百万円であったものの、税金等調整前当期純利益が149億57百万円、減価償却費が34億60百万円となったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、108億49百万円(前年同期比3億11百万円増)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が17億25百万円あったものの、一方で有形固定資産の取得による支出が85億73百万円、無形固定資産の取得による支出が6億95百万円、投資有価証券の取得による支出が5億37百万円であったことに加え、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が26億85百万円であったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により調達した資金は、2億67百万円(前年同期は37億49百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金による収入が16億円、株式の発行による収入が27億92百万円であったものの、長期借入金の返済による支出が20億55百万円、配当金の支払額が25億10百万円であったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

メディカル事業

47,793,879

13.5

デバイス事業

10,391,788

3.7

合計

58,185,668

11.6

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  金額は販売価格によっております。

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(b) 受注状況

当社グループの製品は、見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

メディカル事業

48,216,127

16.6

デバイス事業

9,000,845

2.8

合計

57,216,973

14.2

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年6月30日)現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 当連結会計年度の経営成績等について

 当社グループは、2018年8月に当連結会計年度よりスタートする中期経営計画「『ASAHI Road to 1000』~Only One技術で強固なグローバルニッチNo.1を目指す~」を発表し、約一年が経過致しました。本計画に基づき、連結売上高1,000億円達成に向けた事業ポートフォリオの構築として、「グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大」を引き続き推進することで、これまでの基本戦略の集大成を図り、既存事業の収益基盤を強化、また将来に向けた成長への投資を継続することにより「グローバルニッチ市場における新規事業の創出」を実現し、グローバルニッチ市場における当社のプレゼンスの強化と企業価値の一層の向上を目指し、その成長戦略を支えるためのビジネス基盤として、「グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築」を進めるとともに「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を図ってまいりたいと考えております。本計画では、連結売上高1,000億円に至るマイルストーンとして、2023年6月期に連結売上高800億円を達成することを目標としており、当該時点での営業利益率は25%を目途としております。

その実現に向けて、当連結会計年度では、主力製品PTCAガイドワイヤーの米国市場への直接販売の開始、プラズマエネルギー技術を有する米国のRetroVascular,Inc.(注)の株式の取得(当社の孫会社化)、就労継続支援(A型)認定のフィカス株式会社の全株式の取得(取得後、非連結子会社化)、研究開発機能の充実を目的としたグローバル本社・R&Dセンターの竣工と本社移転、米国市場における脳血管系製品の独占販売代理店契約の締結、消化器系分野の胆膵内視鏡処置具に関する基本合意書の締結、フランス支店設立と直販化の決定などを実施し、当社グループの強みをさらに盤石化するための施策を積極的に進めました。また、2018年9月21日に、東京証券取引所・名古屋証券取引所の市場第一部への指定替えを行っております。

 今後におきましても、中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、企業価値の拡大を目指してまいります。

(売上高)

 当社グループの当連結会計年度における売上高は、特にメディカル事業の海外向け売上高が増加し、572億16百万円(前年同期比14.2%増)となりました。

(売上総利益)

 売上総利益は、好調な受注に伴い、397億円(同13.9%増)となりました。

(営業利益)

 営業利益は、米国や中国市場を中心とした販売・マーケティングの強化に伴う営業関係費用の増加、研究開発費の増加、RetroVascular, Inc.(注)の株式取得に伴うのれん費用の発生、新社屋への本社移転に伴う諸経費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増加により吸収し、151億68百万円(同10.1%増)となりました。

(経常利益)

 経常利益は、補助金収入の増加があるものの、為替差損が増加するなどし、148億33百万円(同8.0%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当社純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、RetroVascular, Inc.(注)の株式取得に伴い、段階取得に係る差益を計上した一方、投資有価証券評価損を計上したことにより、112億37百万円(同11.9%増)となりました。

 

(注)RetroVascular, Inc.は、2018年12月6日にASAHI Medical Technologies,Inc.へ商号変更をしております。

 

(b) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループを取り巻く事業環境に関連して経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2  事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

また、資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金は、自己資金によりまかなっております。

 

(参考)キャッシュ・フロー指標のトレンド

回次

第39期

第40期

第41期

第42期

第43期

決算年月

2015年6月

2016年6月

2017年6月

2018年6月

2019年6月

自己資本比率(%)

63.8

64.1

70.6

74.3

77.6

時価ベースの自己資本比率(%)

527.0

625.6

521.0

745.5

818.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.5

1.1

0.8

0.6

0.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

170.0

284.2

236.4

232.5

195.3

 

(注) 1  自己資本比率:自己資本/総資産

2  時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

4  インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

5  各指標は、連結ベースの財務数値より計算しております。

6  営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)販売契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

朝日インテック㈱

テルモ㈱

日本

ミニガイドワイヤーの取引基本契約

自 2013年11月1日

至 2014年11月1日

以降1年ごとに自動更新

 

 

 

5 【研究開発活動】

研究開発型企業である当社グループは、創業時より研究開発活動を経営の重要項目の1つとして位置付けております。

当社グループは、4つのコアテクノロジー(伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、コーティング技術、トルク技術)を主体とした、高度で独自性の高い素材加工技術を備えることに加えて、原材料から製品までの一貫生産体制を構築することによって、当社独自の素材及び機能を有した製品の開発・製造が可能となっております。

これは、同業他社ではあまり見られない医療機器分野と産業機器分野の技術循環、日本の研究開発拠点と海外の生産拠点との技術連携など、当社グループならではの強みであります。また、これら当社独自の機能を生かし、近年では、医療現場での豊富な経験を持つ各分野におけるトップドクターとの共同研究開発体制を強化しており、医療現場に密着した製品開発を展開しております。これらの融合が、医療機器分野での競合先との差別化を図り、競争優位性のある製品を供給し続けている大きな要因にもなっております。

今後も、当社グループのOnly One技術の発展と、それに伴うお客様のNumber Oneの実現を目指し、研究開発活動を進めてまいります。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費用の総額は、6,036百万円であります。

 

セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(メディカル事業)

ガイドワイヤー、カテーテル製品分野共に、循環器系製品のさらなる進化に向けた取組みを継続するとともに、非循環器系の製品群の強化と拡充に取組んでまいりました。

当社が最も強みを持つガイドワイヤー製品の分野においては、新たにニッケルチタンとステンレスを接合したPTCAガイドワイヤーとして「MINAMO」を開発いたしました。また、米国の医師のニーズに応えたPTCAガイドワイヤーとして、先端部が小さく曲がった状態で狭窄病変を通過させることのできる「Gladius MG/MONGO」を開発いたしました。

 カテーテル製品の分野におきましては、循環器系における逆行性アプローチ用の貫通カテーテルとして、急激な屈曲を伴う細径血管部での通過性をさらに向上させた「Corsair Pro XS」を開発いたしました。また、脳梗塞治療に用いるバルーン付きのガイディングカテーテルとして、「Branchor」を開発いたしました。

OEM関連製品につきましては、 消化器系製品の分野において、これまでの循環器分野で培った技術を活用し、胆膵内視鏡処置具であるガイドワイヤーにおいては最小径である0.018inch(0.46mm)ガイドワイヤーの「Fielder 18」を開発いたしました。

当連結会計年度における研究開発費は、4,842百万円であります。

(デバイス事業)

医療部材につきましては、当社独自の高機能部材である中腔のケーブルチューブ「ACT ONE(アクトワン)」や、トルク伝達性、高速度回転駆動や細く強度が高いトルクコイル・ドライブケーブル、抗張力の高いハイテンションワイヤーロープなどが高く評価されており、今後もより多くの高性能医療機器への採用に向けて製品開発を行ってまいります。また、これらの当社独自の部材と他の部品とをレーザー加工機などを用いて行う医療部材アセンブリーについても多くの引合いや試作を受けることができ量産納品を開始いたしました。当連結会計年度は、これらの医療部材(アセンブリー製品を含む)について、海外大手医療器具メーカーへの量産納品が開始された他、国内大手医療器具メーカーの細径内視鏡にも採用されるなど、前連結会計年度から引き続き、使用用途は拡大傾向にあります。米国の医療機器メーカー及び医療機器ベンチャー企業や国内外の大手医療機器企業からの開発依頼案件が増加しており、今後におきましても、これらの対応に向けて、研究開発活動を強化してまいります。

また、当連結会計年度は、メディカル事業のPTCAガイドワイヤー「GAIA Next(ガイア ネクスト)」用のテーパーロープコイルや、新規冠動脈用貫通カテーテル用のテーパーロープコイルなどの開発を行い、メディカル事業における自社ブランド品及びOEM関連製品の新製品開発に、当事業の技術開発力が寄与しております。

産業部材につきましては、海外大手メーカーのシューズ用レースシステム(機械式に靴紐を締めたり緩めたりする機構)用のワイヤーロープの生産及び新規ワイヤーロープの設計、試作に対応しているほか、国内大手メーカーの釣糸用ワイヤーロープの生産及び新規ワイヤーロープの設計、試作に対応しており、今後のさらなる増加が期待されています。

 

当事業では引続き、当社のコアテクノロジーを進化させるとともに、さらなるレーザー加工技術開発(溶接接合技術、精密切断技術)の深耕、特に金属パイプの精密切断技術の開発、樹脂チューブと形状付け金属線を組み合わせたコイルチューブ、新たに設立した東北R&Dセンター保有技術である精密加工技術を用いた金型製作及び部品製作の内製化、アセンブリー製品販売への展開などの新たな取り組みを行うなどし、様々な分野で採用して頂ける高機能・高付加価値の技術・製品の開発を行ってまいります。

当連結会計年度における研究開発費は、1,194百万円であります。