第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので、将来生じる実際の結果と差異を生じる可能性があります。

(1)経営方針

当社グループは、研究開発型企業として、『医療及び産業機器の分野において、安全と信頼を基盤とする「Only One」技術や「Number One」製品を世界に発信し続けることにより、全てのお客様の「夢」を実現すると共に、広く社会に貢献していくこと』を企業理念としております。また特に、当社グループの医療機器分野事業は、主に、傷口が小さく痛みの少ない「低侵襲治療」の製品を開発・製造・販売しており、患者様の肉体的・精神的・経済的負担を軽減し、そして医療費抑制にも貢献できる、大変意義のある事業であると考えており、今後も、社会に貢献できる企業であり続けることで、社会からも市場からも評価される企業として、さらなる成長を遂げたいと考えております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

① 長期経営ビジョン

当社は、「低侵襲治療製品の普及を日本から世界へ積極的に発信し、全世界の患者様のQOL(Quality of Life)を高めると同時に、全世界での『ASAHIブランド』の確立を図る」という経営ビジョンを定め、長期的な目標として連結売上高1,000億円を掲げております。

② 中期経営計画

当社は、長期的な目標の連結売上高1,000億円に繋げるため、「新中期経営計画『ASAHI Road to 1000』~Only One技術で強固なグローバルニッチNo.1を目指す~」を策定し、以下の4つの基本方針を定めました。

本計画では、連結売上高1,000億円達成に向けた事業ポートフォリオの構築として、「グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大」を引続き推進することで、これまでの基本戦略の集大成を図り、既存事業の収益基盤を強化いたします。また、将来に向けた成長への投資を継続することにより「グローバルニッチ市場における新規事業の創出」を実現し、グローバルニッチ市場における当社のプレゼンスの強化と企業価値の一層の向上を目指します。その成長戦略を支えるためのビジネス基盤として、「グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築」を進めるとともに「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を図ってまいりたいと考えております。

本計画では、連結売上高1,000億円に至るマイルストーンとして、2023年6月期に連結売上高800億円を達成することを目標とし、当該時点での営業利益率は25%を目途としております。

なお、当社製品の限界利益率を踏まえると、売上の伸長に伴い、利益や資本効率性も向上する構造にあると考え、経営の主要パフォーマンス指標(KPI)として売上高を据えております。また、当社は製品の競争優位性の向上や競争優位の持続期間の長期化といった定性的な観点を重視した経営を行っており、経営方針や事業戦略について、ホームページ等で極力詳細な開示に努めております。

今般の、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、血管内カテーテル治療件数がグローバル規模にて減少傾向にあり、2021年6月期の売上高においても、マイナス影響を受けることが想定されます。なお、この症例数の減少の背景には、血管内カテーテル治療のうち、緊急性が高い症例のみ治療を行い、待機が可能な症例については治療が延期されることから、一時的に症例数が減少している事情があります。よって、新型コロナウイルスの影響が収まれば、この延期された待機症例の大半が治療されることが予想され、当社の中長期的な成長性に大きな影響は無いものと推測しております。つきましては、このような状況下においても、当社グループは、中期経営計画における下記の基本方針については変更せず、継続して事業運営を進めてまいります。

(a)グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大

当社グループは現在、世界110の国と地域へ製品を供給しております。当社グループの製品が使用される血管内疾患の症例数は、今後も新興国を中心にグローバル規模で拡大すると予測されております。こうした中、それぞれの地域において販売・マーケティングの機能をより一層充実させることにより、グローバル規模での収益基盤の強化を図る所存であります。

 

(日本)

日本市場では、2012年7月より、連結子会社である朝日インテックJセールス株式会社が、病院などに自社ブランド製品の直接販売を行っております。この販売体制を活かして更なる市場シェアの獲得に努めるとともに、同社の商社機能を活用して、国内外の他社製品とのシナジー効果による販売拡大を図り、収益構造の強化にも努めてまいります。また、日本市場においては、世界に先駆けて新製品の投入を行っております。第二第三の主力製品の確立を目指しながら、収益拡大に努めてまいります。

(米国)

米国市場では、主力製品PTCAガイドワイヤーの販売につきまして、従来は代理店を通じて販売を行っておりましたが、2018年7月より当社子会社ASAHI INTECC USA, INC.を通じて病院などに直接販売を行っております。既存の直接販売体制を活かしながら、さらなる販売促進のために、最終顧客である医師に密着して市場動向をより早く把握できる体制を構築し、拡販に努めます。また、PTCAガイドワイヤーのみならず、他の製品群についても、引続きマーケティングや販売機能の強化を進め、収益拡大に努めてまいります。

(欧州・中近東)

欧州・中近東市場では、現場に密着した複数の代理店を通じて、主力製品のPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルなどを販売し、高いシェアを獲得しております。今後におきましても、既存製品のシェア拡大を図るとともに、日本で高い評価を得ている新製品などを積極的に市場投入するなどし、総合的な製品供給を進めてまいります。また、欧州・中近東市場の一部の地域におきましては、段階的に、直接販売化を進める予定であり、その一環として、2019年7月よりフランスにおいて段階的に直接販売を実施しており、また、2021年1月よりドイツにおいても直接販売化に移行する予定です。今後も、これらの活動を通じて、さらなる収益拡大を図ってまいる所存です。

(中国)

中国市場では、現地代理店を通じた販売を行っております。グローバル市場の中でも中国は特に成長が著しく、さらなる発展が見込まれております。2016年6月期より、循環器系領域の製品を中心に複数代理店制への移行を進めており、市場シェアをさらに拡大しつつあります。今後におきましても、マーケットの状況を鑑みながら、代理店数の増加推進や、連結子会社である朝日英達科貿(北京)有限公司を通じたマーケティングや販売活動の充実、現地代理店に密着したバックアップ体制の強化などにより、さらなる収益拡大に努めてまいります。

(その他地域)

中国以外のアジア地域や南米地域を中心に、潜在成長力のある新興国市場における営業体制を強化し、さらなる収益拡大を目指してまいります。今後も、現地に密着した支店・子会社の開設などを予定しており、これらの活動を通じて、さらなる販売強化を図ってまいります。

(Number One製品戦略)

循環器系領域の主力製品PTCAガイドワイヤーにつきましては、当社が強みを持つ治療難度の高いCTO(慢性完全閉塞)用の製品開発に注力するとともに、一般的な通常病変用の製品の拡充にも努めることにより、総合的なナンバーワンのポジションを盤石化してまいります。

また、PTCAガイドワイヤーに次ぐ第二第三の主力製品の確立に向け、当社グループが有するステンレス加工技術と樹脂加工技術を融合することにより、PTCAバルーンカテーテルやPTCAガイディングカテーテル、貫通カテーテルなどの循環器系領域におけるカテーテル分野の製品群を一層強化・拡大してまいります。

さらに、循環器系領域から末梢・腹部・脳血管系などの非循環器系領域への製品展開を継続して進めてまいります。非循環器系領域については、循環器系で培った技術を応用した横展開を行うと同時に、積極的な海外展開を図り、グローバル規模での市場シェアの獲得に努めてまいります。

(Only One製品戦略)

現在、治療が困難とされているCTOに対するPTCA治療は、PTCA治療の先進国である日本においても完全というわけではなく、海外市場を中心にバイパス手術で対応するケースが残っております。このような中、当社グループは、他社にはない高い製品優位性を持ち、CTO治療も可能なPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルなどの低侵襲治療に必要な製品群を開発・販売し、CTO領域におけるPTCA治療選択率の拡大に寄与してまいりました。今後も、研究開発型企業として、競争力の高い独創的な製品や、機能の進化した新製品を開発・製品化し続けることにより、低侵襲治療の普及や発展に寄与してまいります。

 

(b)グローバルニッチ市場における新規事業の創出

研究開発型企業である当社グループは、4つのコアテクノロジー(伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、樹脂コーティング技術、トルク技術)を主体とした、高度で独自性の高い素材加工技術を備えております。また、これらの技術に加え、原材料から製品までの一貫生産体制を構築することにより、当社独自の素材及び機能を有した製品の開発・製造が可能となっております。これは、医療機器分野以外に、産業機器分野を有する当社グループならではの強みであり、医療機器分野での競合先とのコスト面・技術面における差別化を図る大きな要因となっております。

今後もグローバル競争に勝ち、連結売上高1,000億円を超えて永続的に成長発展する企業であり続けるために、その礎となる施策に今から着手していくことが必要であると認識し、当社の高い技術力の強化により消化器分野・ロボティクス分野・脳血管系分野などの新領域への進出を目指します。また、新テクノロジーとの融合が必要な場合には、より積極的に技術提携、M&A、少数株主投資などを駆使し、外部からの新技術導入を含め、有力パートナーとの戦略的提携についても推進していく予定です。

グローバルニッチ市場における新規事業の創出により、事業ポートフォリオの強化に努め、グローバルで持続的に成長する企業を目指してまいります。

 

(C)グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築

研究開発体制のグローバル化として、米国の直接販売の拠点である連結子会社ASAHI INTECC USA,INC.において、最終顧客である医師からのニーズや評価をダイレクトに反映できる、試作レベルまでの対応を可能とした研究開発体制を構築しております。また、連結子会社ASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.の研究開発拠点をさらに拡充させ、製品仕様の検討を含めた既存製品の改良などをより積極的に進めてまいります。

国内においては、当社グループの研究開発拠点の中心である瀬戸工場の敷地内に新社屋を建設し、臨床現場に近い研究開発環境整備を実現いたしました。さらに、当社グループの精密加工技術の開発の中心拠点として東北R&Dセンターの稼働を開始するなどし、国内の研究開発体制についても、より充実させております。

当社グループでは、現在、日本においては研究開発・試作に特化し、量産品については原則として海外の連結子会社に生産移管しており、素材から完成品までの一貫生産が海外工場(ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.(タイ工場)、ASAHI INTECC HANOI CO., LTD.(ハノイ工場) 、及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(セブ工場))で実現できる体制が整っております。その中で、リスク管理や事業継続計画(BCP)の観点から、グループ全体での生産拠点の最適化を図っており、現地事情などにより、一部の工場が操業不能に陥った場合においても、別の工場にて代替生産の大部分を担えるよう、3工場で同じ製品が製造できる体制の構築を進めております。また、現在は量産機能を有していない当社においても、今後代替生産が可能な量産設備の保有に努めてまいります。

今後も、グローバル展開に最適な研究開発拠点や生産体制の構築・拡充により、当社の成長戦略を下支えしていく所存であります。

 

(d)持続的成長に向けた経営基盤の確立

サステナビリティへの取組みを推進する体制を構築しており、各サステナビリティの重要課題につき基本方針をとりまとめ、戦略的に推進するための仕組みづくり、取組みに関する情報整理を実施しております。

サステナビリティに関わる当社の考え方や、取組みにつきましては、ウェブサイトにて随時開示してまいります。

 

〔注釈説明〕

注:CTO/(慢性完全閉塞)

長期間完全に閉塞した状態の病変のことをいいます。従来は、このような病変は外科手術(バイパス手術)の領域でしたが、当社がCTOにも使用可能なPTCAガイドワイヤーの開発に成功したことから、現在では、国内においてはPTCA治療(循環器系領域における低侵襲治療)が主流となっております。

 

 

2 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。

① 医療機器分野について

(法的規制について)

当社グループの事業は、医薬品医療機器等法及びそれに関連する厚生労働省令並びに米国食品医薬品局とEU当局 、そして中国当局等による諸規制を受けており、当社グループの関連する主な法的規制は次のとおりであります。

(a) 医薬品医療機器等法及び厚生労働省令

当社グループは、各種の医療機器及びその関連製品の設計・製造・販売を行うに際し、日本国内では医薬品医療機器等法、医薬品医療機器等法施行令、医薬品医療機器等法施行規則及びQMS省令等により規制を受けております。医薬品医療機器等法では、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることが目的とされております。製造販売業者・製造業者は、安全で有用な医療機器を提供するために、品質、有効性及び安全性を確保した継続的な生産体制を維持するためのシステムとしてQMS(Quality Management System:品質マネジメントシステム)を確立し、設計・製造から市販後に至るまで管理する必要があります。

厚生労働省は、国際的な整合性や、科学技術の進歩、企業行動の多様化等、社会情勢の変化を踏まえ、医薬品・医療機器規制及び制度について常に見直しを図っており、承認・許可制度の見直し、市販後安全対策の充実等当該法規制の変更等により、規制が強化された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、医薬品医療機器等法に関連し、当社グループの承認、許可及び登録が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(b) MDD(Medical Device Directive / 医療機器指令)及びMDR(Medical Device Regulation / 医療機器規則)

欧州市場で医療機器を流通させるためには、MDD(Medical Device Directive / 医療機器指令)に基づく要求事項を満たす必要があり、製造業者は定められた適合性評価基準を満たさなければなりません。MDDに適合していることを証明するCEマーキングが製品に表示されていなければ欧州市場への流通が出来ず、またMDDの必須要求事項を満たすための品質システム(EN ISO 13485)の認証維持が条件となります。

この法規制は、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、CEマーキングが表示された製品が欧州市場で自由に流通出来ることを目的としております。

また、現在、MDDより規制内容を強化し要求内容が増加したMDR(Medical Device Regulation)が公布されており、MDDからMDRへの移行期間になっております。当社グループはMDRへの適合に向けた活動を進めておりますが、更に追加または更新される規制の内容及び当局の対応や要求によっては、事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、MDRに関連し、当社グループの医療機器や品質システムが認証されない場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(c) FD&C法(The Federal Food,Drug, and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)

米国市場で医療機器を流通させるためには、FD&C法(The Federal Food,Drug and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)に基づき、品質、有効性及び安全性確保が必要になります。この法律は、食品、食品添加物、医薬品、医療機器、化粧品等の規制を目的としており、米国内での流通に際して、必須要求事項であるQSR(Quality System Regulation)に基づく体制の維持・確立が必要であります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、FD&C法に関連し、当社グループの登録、認可が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(d) 医療機器監督管理条例

中国市場で医療機器を流通させるためには、医療機器監督管理条例に基づき、品質、有効性及び安全性の確保が必要になります。医療機器監督管理条例の下に、医療機器の分類、登録、生産監督、経営許可、品質管理システムの審査、ラベリング等に関する規則が定められており、中国国内において医療機器の販売及び使用を行うにあたっては、NMPA(National Medical Products Administration /国家薬品監督管理局)の審査を経て、「医療機器登録証」を取得する必要があります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、医療機器監督管理条例に関連し、当社グループの登録、承認が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(医療制度改革について)

当社グループはグローバル規模にて販売を行っておりますが、日本を含め世界各国では医療制度改革が進められております。今後、予想を超える大規模な医療制度改革が行われた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また国内では、高齢化の急速な進展等に伴う国民医療費抑制策及び内外価格差問題の解決として、医療制度改革が進められております。2003年4月に特定機能病院において診療報酬包括制が導入されたほか、2002年4月より隔年で保険償還価格の引下げが実施されております。医療制度改革の動向により販売価格が下落する等の影響があった場合は、当社グループの業績も影響を受ける可能性があります。

(品質管理体制について)

当社グループは、人命に係わる高度な技術を要する医療機器を取り扱うことから、社内において徹底した品質管理体制を確立しておりますが、特異な要因による不良品の発生や、臨床現場での不適切な取扱いの可能性は完全に否定出来ません。医療事故が発生した場合には、製造物責任により、係争事件等に発展する可能性があります。また医療機器規制 により、関連する製品の回収責任が生じる事も予測されます。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(特定製品への依存について)

当社グループの主力製品であるPTCAガイドワイヤーの、当連結会計年度における連結売上高は245億62百万円となっており、連結売上高に占める比率は43.4%と依存度が高く、従ってPTCAガイドワイヤーの売上動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(技術革新への対応について)

医療機器市場では、技術の変革は著しく速く、企業が成長を続けるためには、新技術・新製品の研究開発は必須であります。当社グループにおいても、研究開発型企業として研究開発活動に注力しておりますが、現行の検査及び治療方法を革新する新技術が開発され、当社グループの対応が遅れた場合、あるいは他社から極めて優良又は革新的な製品が販売された場合には、当社グループの提供する製品が陳腐化し、その結果、当社グループシェアが低下する可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 産業機器分野について

(客先仕様である事について)

当社グループの産業機器分野の製品は、OA機器、自動車、建築、漁業、レジャー等広範囲にわたって使用されております。今後も新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、大半が客先仕様に基づく部材レベルの製品であるため、客先の仕様変更等により当社グループの製品に替わる他社の製品が採用された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(競合状況について)

当社グループの産業機器分野の新たな競合先として、近年、韓国・中国等のメーカーなどが存在しております。

当社グループは、新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、これらの競合先メーカーが、当社グループと同品質で、なおかつ低価格の製品を供給できる体制に成長した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 各事業共通事項について

(海外事業展開について)

当社グループは現在、世界110を超える国と地域へ製品を供給しており、当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は67.9%となっておりますが、今後、当社グループがさらに飛躍するために、海外販売をより積極的に展開する方針であり、今後は需要拡大に備え、海外生産拠点の強化・拡充を引続き進めていく所存であります。当社グループが引続き成長を続けるためには、新たな市場における販売ルートの確立や設備投資を引続き慎重に進めていく所存ですが、海外環境の動向等により、海外事業が計画どおりに展開されない可能性があります。仮にこのような事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(海外生産への依存について)

当社グループは、日本国内施設は主に研究開発拠点と位置付ける一方、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.及びTOYOFLEX CEBU CORPORATIONは重要な生産拠点として位置付け、現在、量産品については、原則として当該連結子会社に生産移管しております。

一番の主力の生産拠点であるASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.より、第二の生産拠点であるASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.に継続的に生産移管を行い、また第三の生産拠点であるTOYOFLEX CEBU CORPORATIONにおいても医療機器分野の生産を可能にする体制構築を進めるなどし、リスク分散を図っておりますが、これら3つの連結子会社が洪水、地震等の天災や政治、経済、法律、文化、ビジネス慣習、労働力不足や労働賃金水準の上昇、その他様々な現地事情等により操業低迷や不能に陥った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(原材料価格の高騰について)

当社グループが製造する製品の多くは、原材料の一部に、ステンレス及びプラチナを使用しております。売上高に対しての原材料比率は比較的低いものの、これら原材料の価格の高騰が予想を上回る状況で進行した場合、特にプラチナ価格の高騰については、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(知的財産権について)

当社グループは製品の開発・製造・販売に関し、知的財産権の確保に努めておりますが、他社から当該権利を侵害される可能性が無いとは言えず、当該権利期間経過後は、他社による同一製品の新規参入の可能性も予測されます。

また、製品に関連し得る他社の知的財産権の侵害防止に努めておりますが、万一、侵害の事実が発生した場合は、係争事件に発展することも含めて、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(自然災害や大規模災害等について)

当社グループはグローバル規模にて販売を行っております。当社グループが事業を展開している地域において、自然災害、病気、感染症、戦争、テロ等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(新型コロナウイルス感染症による影響について)

当社グループはグローバル規模にて販売を行っておりますが、世界各国での新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、血管内カテーテル治療について、緊急性が高い症例のみを行うなど、一時的に症例数が減少するなどしており、当社グループの売上高が減少する傾向にあります。

また、2020年3月よりフィリピンセブ州における外出禁止令発令に伴い、連結子会社 TOYOFLEX CEBU CORPORATION(セブ工場)が、一時的に限定的な稼働を行っております。なお、セブ工場の稼働率減少による代替生産につきましては、当社グループの主力工場である ASAHIINTECC THAILAND CO.,LTD.(タイ工場)や ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.(ハノイ工場)にて実施しており、現在は製品供給について、大きな問題は生じておりません。

今後の経過によって、さらなる売上高の減少や生産工場の稼働縮小などが生じた場合や、当社グループの従業員において感染が拡大した場合、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響が長期化した場合など、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 全社的な事項について

(為替リスクについて)

当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は67.9%であり、その大半は米ドル建てですが、ユーロや元などの外貨についても、取引量の増加に比例し、増加しつつあります。一方、当社グループの主要な生産拠点はタイ、ベトナム、フィリピンにあり、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.(タイバーツ建決算)、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.(米ドル建決算)及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(円建決算)との取引は、原則的に全て円建てで取引をしております。したがって、為替が円高米ドル安タイバーツ安に進んだ場合、海外売上高の円換算額が目減りするとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて主に売上原価等の円換算額が減少します。また逆に、為替が円安米ドル高タイバーツ高に進んだ場合、海外売上高の円換算金額が増加するとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて売上原価の円換算額が増加いたします。

米ドルとタイバーツが連動すれば、為替変動によるメリット・デメリットは概ね相殺されますが、円に対し米ドル安タイバーツ高に進んだ場合には収益が圧迫されるなど、当社グループの業績にマイナスの影響を与える可能性があります。

また、前述の通り米ドルの流入量が多く、タイ及びベトナムの連結子会社においては円の流入量が多いため、急激な為替相場の変動時には、これらの決算通貨への交換時に発生する為替差損益が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(保有株式に関するリスクについて)

当社は、原則として、取引先や業務提携先とのさらなる事業発展やシナジー効果等を目的として、市場性のある株式を保有しております。したがって、将来、株式相場の悪化や投資先の業績不振等により、大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式に減損が発生し、当社の業績と財務状況に影響を与える可能性があります。

(企業買収に関するリスクについて)

当社グループは、主に研究開発及び製造の分野において、技術提携、業務提携、資本提携など、他社との提携又は買収を実施する可能性があります。これらの提携又は買収などにあたり、当社グループは、当該企業の財務内容や契約内容などについてデューデリジェンスを行い、事前にリスク回避するように努めておりますが、事業環境の急激な変化など、不測の事態が生じる場合、当社グループの事業展開、経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。

(情報セキュリティについて)

当社グルーブは、事業全般においてITシステムを活用しております。コンピューターウィルス対策などの外部攻撃に対する対応や、セキュリティ遵守に関する従業員教育などにより、リスクの低減に努めておりますが、ITシステムへの不正アクセスやサイバー攻撃、又は自然災害などの不測の事態により、ITシステムの長期間の停止、個人情報や機密情報の流出などが発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年6月30日)現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当社グループは、5か年の中期経営計画「『ASAHI Road to 1000』~Only One技術で強固なグローバルニッチ No.1を目指す~」に基づき、連結売上高1,000億円達成に向けた事業ポートフォリオの構築として、「グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大」を推進することで、これまでの基本戦略の集大成を図り、既存事業の収益基盤を強化しております。また、将来に向けた成長への投資を継続することにより「グローバルニッチ市場における新規事業の創出」を実現し、グローバルニッチ市場における当社のプレゼンスの強化と企業価値の一層の向上を目指します。また、その成長戦略を支えるためのビジネス基盤として、「グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築」を進めるとともに「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を図ってまいります。本計画では、連結売上高1,000億円に至るマイルストーンとして、2023年6月期に連結売上高800億円を達成することを目標とし、当該時点での営業利益率は25%を目途としております。

その実現に向けた施策として、当連結会計年度では、新製品としてニッケルチタンハイブリッドのPTCAガイドワイヤー「MINAMO(ミナモ)」や脳血管系バルーン付ガイディングカテーテル「Branchor(ブランカー)」の販売を開始いたしました。また、販売・マーケティング活動強化のために、フランスにおける直接販売の段階的開始や、ドイツ・韓国の直接販売化の決定、EU現地法人・ロシア現地法人の設立、ドイツ法人の設立決定、中国市場での朝日英達科貿(北京)有限公司/広州事務所の開設などを実施いたしました。また、コーポレート・ガバナンス体制の強化の一環として、既存の報酬諮問委員会の機能に指名に関する機能を加えた、指名・報酬諮問委員会の設置を行っております。

今後におきましても、中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、企業価値の拡大を目指してまいります。

なお現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、グローバル規模で血管内カテーテル治療の症例数が減少傾向にあり、市場規模が一時的に縮小しております。当社主力製品のPTCAガイドワイヤーが使用されるPCI治療は、2020年1~2月におきましては、中国市場など限定的な地域のみ減少しておりましたが、3月以降におきましては、それに加えて日本・米国・欧州中近東・アジア市場など、グローバル規模で症例数が減少いたしました。一部の地域においては、症例数が回復している傾向が見受けられますが、未だ不透明な状況が続いております。

そのような状況の中、当社グループの当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が生じる以前はメディカル事業の海外向け売上高が好調であることを中心に順調に推移していたものの、下半期からの新型コロナウイルス感染症の影響による市場規模の縮小や、円高の為替動向、医療償還価格の下落などの外部環境を受け、565億46百万円(前年同期比1.2%減) となりました。

売上総利益は、新型コロナウイルス感染症による売上高の減少を主な要因として、380億38百万円(同4.2%減)となりました。

営業利益は、直接販売化推進など販売・マーケティングの強化に伴う営業関係費用や、開発強化のための研究開発費、組織体制強化のための人件費の増加などにより、124億45百万円(同18.0%減)となりました。

経常利益は、為替差損が減少したものの、123億10百万円(同17.0%減)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として新社屋に関する補助金収入の増加やRetroVascular, Inc.(現、ASAHI Medical Technologies,Inc.)株式の取得に伴う段階取得に係る差益の減少、特別損失として直接販売化に伴う営業補償金の増加などがあり、91億78百万円(同18.3%減)となりました。

なお、当連結会計年度における外国為替レート実績は、下記となります。

1米ドル=108.19円(前年同期111.15円、比2.7%減)

1ユーロ=119.62円(前年同期126.81円、比5.7%減)

1中国元=15.38円(前年同期16.28円、比5.5%減)

1タイバーツ=3.49円(前年同期3.45円、比1.2%増)

 

セグメントごとの経営業績は、次のとおりであります。

(メディカル事業)

 メディカル事業は、海外市場を中心に順調に推移しておりましたが、下半期以降の新型コロナウイルス感染症による症例数減少や、為替動向、償還価格の下落などの影響により、売上高はやや減少いたしました。国内市場においては、2020年4月以降より、新型コロナウイルス感染症による症例数の減少や、消費税増税に伴う医療償還価格の下落が生じ、売上高は減少いたしました。海外市場においては、為替影響に加えて、下半期において中国を皮切りに全地域において新型コロナウイルス感染症の影響を受けて症例数が減少したものの、通期では、循環器系領域のPTCAガイドワイヤーが米国を中心に全地域にて数量が増加したことや、脳血管系のガイドワイヤーが中国で増加したことなどから、売上高は増加いたしました。

以上の結果、売上高は478億55百万円(前年同期比0.7%減)となりました。

また、セグメント利益は、売上高の減少や、セグメント間取引仕入の増加、営業関係費用及び研究開発費などの販売費及び一般管理費の増加により126億8百万円(同19.9%減)となりました。

 

(デバイス事業)

 デバイス事業は、医療部材の売上高が増加したものの、産業部材の売上高が低迷し、減少いたしました。 医療部材については、国内・海外市場ともに、新規分野への試作取引が増加するなどし、売上高は増加いたしました。産業部材については、国内市場のOA機器関係取引が増加したものの、新型コロナウイルス感染症の影響などからも、海外市場の自動車、建築、レジャー関係の取引が大きく減少し、売上高が減少いたしました。

以上の結果、売上高は86億90百万円(前年同期比3.4%減)となりました。

また、セグメント利益は、セグメント間取引売上の増加により、32億78百万円(同13.6%増)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとりであります。

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

メディカル事業

49,052,607

2.6

デバイス事業

10,986,277

5.7

合計

60,038,884

3.2

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  金額は販売価格によっております。

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当社グループの製品は、見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

メディカル事業

47,855,346

△0.7

デバイス事業

8,690,877

△3.4

合計

56,546,224

△1.2

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産につきましては、総資産額が937億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ93億70百万円増加しております。主な要因は、商品及び製品が7億37百万円、仕掛品が21億5百万円、原材料及び貯蔵品が5億89百万円、建物及び構築物(純額)が12億1百万円、機械装置及び運搬具(純額)が21億9百万円それぞれ増加したことによるものであります。

負債につきましては、負債合計額が217億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億45百万円増加しております。主な要因は、未払金が5億95百万円減少した一方、電子記録債務が2億46百万円、長期借入金が20億63百万円、未払法人税等が4億63百万円それぞれ増加したことによるものであります。

純資産につきましては、純資産合計額が719億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ65億24百万円増加しております。主な要因は、利益剰余金が63億31百万円増加したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、185億54百万円(前年同期比1.2%減)となっております。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、111億66百万円(前年同期比5億53百万円減)となりました。これは主に、たな卸資産が36億89百万円増加したこと及び法人税等の支払額が30億95百万円であったものの、税金等調整前当期純利益が126億58百万円、減価償却費が41億98百万円となり、また、売上債権が13億65百万円減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、103億89百万円(前年同期比4億59百万円減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が89億20百万円、無形固定資産の取得による支出が8億1百万円、投資有価証券の取得による支出が6億45百万円であったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、8億50百万円(前年同期は2億67百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金による収入が36億43百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が20億40百万円、配当金の支払額が28億11百万円あったことによるものであります。

 

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、スケジューリングの結果に基づき回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ課税所得が減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、継続的に損益の把握を実施している単位ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額の算定にあたっては、外部の情報源に基づく情報等を含む決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年6月30日)現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 今後の見通し

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、血管内カテーテル治療件数がグローバル規模にて減少傾向にあり、2021年6月期の売上高においても、マイナス影響を受けることが想定されております。なお、この症例数の減少の背景には、血管内カテーテル治療のうち、緊急性が高い症例のみ治療を行い、待機が可能な症例については治療が延期されることから、一時的に症例数が減少している事情があります。よって、新型コロナウイルス感染症の影響が収まれば、この延期された待機症例の大半が治療されることが予想され、当社の中長期的な成長性に大きな影響は無いものと推測しております。つきましては、このような状況下においても、当社グループは、現在の中期経営計画と基本方針(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」参照)については変更せず、現行通りの計画と方針に沿って事業を行ってまいる所存であります。

2021年6月期における業績予想は、2020年6月期に引続き、新型コロナウイルス感染症によりマイナス影響を受けることが想定され、以下のとおりを見込んでおります。新型コロナウイルス感染症に伴う血管内カテーテル治療の症例数の減少については、上半期を中心に影響が継続するものの、なだらかに回復に向かい、下半期への影響は限定的になることを想定しております。症例数の動向については、仮定に基づいており、新型コロナウイルス感染症の第2波や、待機症例の治療件数などの動向によって、大きく変化する可能性があります。

(単位:百万円)

 

2020年6月期

2021年6月期

増減額

増減率

売上高

56,546

60,542

3,996

7.1%

営業利益

12,445

12,619

173

1.4%

経常利益

12,310

12,496

185

1.5%

親会社株主に帰属
する当期純利益

9,178

9,193

14

0.2%

 

<売上高>

(メディカル事業)

 メディカル事業では、新型コロナウイルス感染症による症例数の影響、医療償還価格の下落、為替動向などによる減収の影響があるものの、特に海外市場を中心に売上高は増加する見込みであります。

 国内市場では、新型コロナウイルス感染症による症例数減少の影響に加え、医療償還価格の価格改定(2021年4月)が実施される予定であり、厳しい環境となります。循環器系領域においてPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルなどを中心に、数量が引続き増加する見込みですが、医療償還価格下落の影響を受けて売上高は減少する見込みであります。また、非循環器系領域においては、医療償還価格下落の影響を受けるものの、脳血管系などの製品群が伸長する見込みなどから、売上高は増加する見込みであります。

 海外市場では、新型コロナウイルス感染症による症例数の影響と為替動向による減収影響があるものの、全地域において、循環器系領域及び非循環器系領域共に、増加する見込みであります。循環器系領域においては、PTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルが、米国・中国・欧州中近東などにて引続き市場シェア拡大により、増加することを見込んでおります。米国市場のPTCAガイドワイヤーについては、2018年7月より直接販売化へと販売戦略の変更を行っており、この体制の変更を活かして、引続きさらなる市場シェアの拡大を目指してまいります。また、中国市場においては、販売代理店制を活用し、引続きさらなる市場シェアの拡大を目指してまいります。欧州中近東市場においては、2021年1月よりドイツにおいて直接販売を開始する予定であり、フランス直接販売化とともにさらなる拡大を目指してまいります。非循環器系領域においては、脳・末梢・腹部血管系製品群の全てにおいて、増加することを見込んでおります。

 なお、血管内カテーテル治療の症例数は足元で回復傾向にありますが、新型コロナウイルス感染症の症例数は収束しておらず、営業活動について大幅な制限が生じております。当社グループにおきましても、営業活動のIT化などを進めてまいる所存ですが、病院側の制約や環境変化によっては、今後、売上高の動向に影響が生じる可能性があります。

(デバイス事業)

 デバイス事業では、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、医療部材・産業部材ともに、売上高は減少する見込みであります。
 医療部材については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた取引先の動向に比例し、国内の内視鏡関連部材や、米国向けの腹部血管系カテーテル部材が減少し、売上高が減少する見込みであります。
 産業部材については、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う景気悪化の影響を受け、国内外の自動車市場や、米国のレジャー市場向けの取引が減少するなどし、売上高が減少する見込みであります。

 

<売上総利益>

 売上総利益は、増収に比例して、増加する予定であります。売上総利益率については、新型コロナウイルス感染症に伴う売上高の減少や為替動向、医療償還価格の下落、設備投資増加による減価償却費の増加などにより、低下する見込みであります。

 

<販売費及び一般管理費>

 販売費及び一般管理費は、将来の成長性を持続し、さらに伸張させるための先行的な費用について、引続き積極的に費用投下してまいる所存であります。主には、研究開発費が増加することや、日本・欧州・韓国市場における販売・マーケティングや直接販売化の準備など営業強化のために費用が増加すること、将来の成長性を持続させるためのシステム関係や特許関係費の諸費用が増加することなどが見込まれております。

 

<営業外損益・特別損益>

 営業外損益及び特別損益におきましては、影響額の大きな取引などは、現在のところ見込んでおりません。

 

 なお、本業績予想における外国為替レートは、1米ドル=106.00円、1ユーロ=123.00円、1中国元=15.00円、1タイバーツ=3.45円を前提としております。

 

(b) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループを取り巻く事業環境に関連して経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2  事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

また、資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金は、自己資金によりまかなっております。

 

(参考)キャッシュ・フロー指標のトレンド

回次

第40期

第41期

第42期

第43期

第44期

決算年月

2016年6月

2017年6月

2018年6月

2019年6月

2020年6月

自己資本比率(%)

64.1

70.6

74.3

77.6

76.8

時価ベースの自己資本比率(%)

625.6

521.0

745.5

818.8

852.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.1

0.8

0.6

0.6

0.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

284.2

236.4

232.5

195.3

134.0

 

(注) 1  自己資本比率:自己資本/総資産

2  時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

4  インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

5  各指標は、連結ベースの財務数値より計算しております。

6  営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)販売契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

朝日インテック㈱

テルモ㈱

日本

ミニガイドワイヤーの取引基本契約

自 2013年11月1日

至 2014年11月1日

以降1年ごとに自動更新

 

 

5 【研究開発活動】

研究開発型企業である当社グループは、創業時より研究開発活動を経営の重要項目の1つとして位置付けております。

当社グループは、4つのコアテクノロジー(伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、コーティング技術、トルク技術)を主体とした、高度で独自性の高い素材加工技術を備えることに加えて、原材料から製品までの一貫生産体制を構築することによって、当社独自の素材及び機能を有した製品の開発・製造が可能となっております。

これは、同業他社ではあまり見られない医療機器分野と産業機器分野の技術循環、日本の研究開発拠点と海外の生産拠点との技術連携など、当社グループならではの強みであります。また、これら当社独自の機能を活かし、近年では、医療現場での豊富な経験を持つ各分野におけるトップドクターとの共同研究開発体制を強化しており、医療現場に密着した製品開発を展開しております。これらの融合が、医療機器分野での競合先との差別化を図り、競争優位性のある製品を供給し続けている大きな要因にもなっております。

また、米国の直接販売の拠点である連結子会社ASAHI INTECC USA, INC.において、最終顧客であるドクターからのニーズや評価をダイレクトに反映し、試作レベルまでの対応を可能とした研究開発体制を構築しています。連結子会社ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.の研究開発拠点をさらに拡充させ、製品仕様の検討を含めた既存製品の改良などをより積極的に進めてまいりました。

国内においては、当社グループの研究開発拠点の中心である瀬戸工場の敷地内に新社屋を建設し、臨床現場と同じ研究開発環境整備を実現いたしました。さらに、当社グループの精密加工技術の開発の中心拠点として東北R&Dセンターの稼働を開始し、国内の研究開発体制についても、より充実させてまいります。

今後も、当社グループのOnly One技術の発展と、それに伴うお客様のNumber Oneの実現を目指し、研究開発活動を進めてまいります。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費用の総額は、6,579百万円であります。

 

セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(メディカル事業)

ガイドワイヤー、カテーテル製品分野共に、循環器系製品のさらなる進化に向けた取組みを継続すると共に、非循環器系の製品群の強化と拡充に取組んでまいりました。

当社が最も強みを持つガイドワイヤー製品の分野においては、新たにニッケルチタンとステンレスを接合したPTCAガイドワイヤーとして「MINAMO」を開発いたしました。また、米国のドクターのニーズに応えたPTCAガイドワイヤーとして、先端部が小さく曲がった状態で狭窄病変を通過させることのできる「Gladius MG/MONGO」を開発しました。

カテーテル製品の分野におきましては、循環器系における逆行性アプローチ用の貫通カテーテルとして、急激な屈曲を伴う細径血管部での通過性を更に向上させた「Corsair Pro XS」を開発しました。また、脳梗塞治療に用いるバルーン付きのガイディングカテーテルとして、「Branchor」を開発しました。

OEM関連製品につきましては、消化器系製品の分野において、これまでの循環器分野で培った技術を活用し、胆膵内視鏡処置具であるガイドワイヤーにおいては最小径である0.018inch(0.46mm)ガイドワイヤーの「Fielder18」を開発しました。

常に医療課題に向き合い、医師のニーズに応える製品を提供し続けることで、患者様の肉体的・精神的・経済的負担の軽減にもつながっています。

また、開発体制についてもグローバル化を推進することにより、各地域の多様なニーズに迅速かつ正確に対応できる体制を構築しています。

 

米国向け製品については米国ドクターのニーズを効率的かつ正確に収集し開発につなげるべく、ASAHI INTECC USA, INC. 内に設置した開発部門のエンジニアが米国ドクターとの連携体制を強化しています。さらに、ASAHI Medical Technologies, Inc. では、プラズマ技術を活かした治療機器の開発をグローバル本社・R&Dセンターと連携して進めると共に、新たな展開に向けた活動を米国ドクターと連携して推進しています。

一方、生産拠点を有するASAHI INTECC THAILAND CO., LTD. に設置した開発部門では、既存製品の改良やラインナップ追加を中心とした開発を多数推進しており、医療現場のニーズにスピード感をもって対応しています。

当連結会計年度における研究開発費は、5,464百万円であります。

 

(デバイス事業)

医療部材につきましては、当社独自の高機能部材である中腔のケーブルチューブ「ACT ONE(アクトワン)」や、トルク伝達性、高速度回転駆動や細く強度が高いトルクコイル・ドライブケーブル、抗張力の高いハイテンションワイヤーロープ及びそれらのアッセンブリー技術などが高く評価されており、国内外の大手医療機器メーカーに部材並びに端末加工製品を量産納品しています。また、当連結事業年度は、メディカル事業のPTCAガイドワイヤー「MINAMO」や、ニューロガイドワイヤー「CHIKAI」シリーズなどの部材の開発を行い、自社ブランド製品を中心とするメディカル事業の新製品開発に、当事業の技術開発力が寄与しています。

産業部材につきましては、海外大手メーカーのシューズ用レースシステム(機械式に靴紐を締めたり緩めたりする機構)用のワイヤーロープの製造及び新規ワイヤーロープの設計・試作に対応しているほか、国内大手メーカーの釣糸用ワイヤーロープの生産及び新規ワイヤーロープの設計・試作に対応するなど、新規案件への対応が増加しています。

当事業では引続き、当社のコアテクノロジーを進化させると共に、さらなるレーザー加工技術開発、精密加工技術の深耕などの新たな取組みを行うなどし、様々な分野で採用していただける高機能・高付加価値の技術・製品の開発を行ってまいります。

当連結会計年度における研究開発費は、1,114百万円であります。