当社グループは、現在進行している中期経営計画『Global Expansion 2018』において、「グローバル規模での収益基盤の強化」「患部・治療領域の拡大と製品ポートフォリオの拡充」「素材研究・生産技術の強化によるイノベーション創出」「グループマネジメントの最適化」を経営戦略に掲げ、企業価値向上に取り組んでおります。
その実現に向けた施策として、当連結会計年度では、国内市場にて、循環器系領域の高耐圧用PTCAバルーンカテーテル「NC Kamui(エヌシーカムイ)」や、新たな事業領域である胆管・膵管・消化管分野の内視鏡ガイドワイヤー「M-ThroughTM(エムスルー)」などを販売開始いたしました。また海外市場では、日本市場で高い評価を得ている製品群の展開を進めており、欧州では循環器系領域の貫通カテーテル「Caravel(カラベル)」「Corsair Pro(コルセアプロ)」、PTCAガイディングカテーテル「Hyperion(ハイペリオン)」、米国では、循環器系領域の貫通カテーテル「Corsair Pro(コルセアプロ)」などを販売開始いたしました。また、中国市場では、平成28年7月より循環器系領域の製品群について、複数代理店に販売する方式に販売戦略を変更いたしました。このほか、平成30年7月竣工を目処に当社瀬戸工場(愛知県瀬戸市)の敷地内に、研究開発環境の充実を主たる目的として本社移転も視野に入れた新社屋を建設することや、当社グループの金型・射出成形などの精密加工技術の開発の中心拠点として、平成30年7月頃を目処に新たに「東北R&Dセンター」を設立することを決定いたしました。
今後におきましても、中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、企業価値の拡大を目指してまいります。
当社グループの当連結会計年度における売上高は、為替動向及び医療償還価格の下落などの外部要因影響があるものの、メディカル事業の海外売上高を中心に引き続き需要が堅調に推移し、427億9百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
売上総利益は、好調な受注と生産性の向上などに伴い売上総利益率が上昇し、284億26百万円(同9.7%増)となりました。
営業利益は、研究開発費や海外市場における販売・マーケティングの強化に伴う営業関係費用の増加により、販売費及び一般管理費が増加したものの、107億95百万円(同7.9%増)となりました。
経常利益は、為替差損が減少し、為替差益が増加したため、109億41百万円(同14.9%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に投資有価証券評価損を計上したものの、77億25百万円(同11.8%増)となりました。
なお、当連結会計年度における外国為替レート実績は、下記となります。
1米ドル=109.02円(前年同期116.69円、比6.6%減)
1タイバーツ=3.13円(前年同期3.27円、比4.3%減)
1ユーロ=118.82円(前年同期129.55円、比8.3%減)
1中国元=16.02円(前年同期18.03円、比11.1%減)
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
① セグメントの業績
(メディカル事業)
メディカル事業は、為替動向及び医療償還価格の下落の外部要因影響があるものの、国内・海外市場ともに需要は堅調であり、順調に推移いたしました。
国内市場においては、平成28年4月の医療償還価格の引下げによる影響を受けたものの、循環器系領域の貫通カテーテルが新製品「SASUKE (サスケ)」を中心に大きく伸張し、増加いたしました。
海外市場においては、為替影響を受けたものの、循環器系領域のPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテル及び末梢血管系領域のペリフェラルガイドワイヤーの取引が好調な為、売上高は増加いたしました。なお、中国市場の循環器系領域の製品は、平成28年7月より複数代理店に販売する方式に販売戦略を変更したことから、受注数量が大幅に増加し、順調に推移しております。
以上の結果、売上高は340億1百万円(前年同期比9.4%増)となりました。
また、セグメント利益は、研究開発費及び営業関係費用の増加により販売費及び一般管理費が増加したものの、売上高の増加と売上総利益率の上昇などにより、102億56百万円(同1.1%増)となりました。
(デバイス事業)
デバイス事業は、医療部材及び産業部材の売上高が共に増加いたしました。
医療部材については、為替影響により減少があるものの、国内向けの検査用カテーテル部材や、アジア向け内視鏡処置具部材の受注が増加するなどし、売上高は増加いたしました。
産業部材につきましては、為替影響や米国向けレジャー取引などの減少があるものの、国内の建築市場関係取引や海外の自動車関係取引が増加したことなどにより、売上高は増加いたしました。
以上の結果、売上高は87億8百万円(前年同期比3.4%増)となりました。
また、セグメント利益は、セグメント間取引の増加や売上総利益率の上昇などにより、29億23百万円(同38.7%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、199億92百万円(前年同期比54.6%増)となっております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、102億57百万円(前年同期比16億34百万円増)となりました。これは主に、売上債権が8億96百万円増加、役員退職慰労引当金が6億37百万円減少したこと及び法人税等の支払額が23億2百万円であったものの、税金等調整前当期純利益が107億89百万円、減価償却費が25億52百万円となり、退職給付に係る負債が2億56百万円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、52億68百万円(前年同期比14億27百万円増)となりました。これは主に、保険積立金の解約による収入が6億12百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が45億96百万円、無形固定資産の取得による支出が2億79百万円、投資有価証券の取得による支出が9億29百万円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により調達した資金は、15億98百万円(前年同期は45億52百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が22億79百万円、配当金の支払額が18億97百万円あったものの、自己株式の処分による収入が41億82百万円、長期借入れによる収入10億円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が6億19百万円であったことによるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの製品は、見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので、将来生じる実際の結果と差異を生じる可能性があります。
① 長期経営ビジョン
当社は、「低侵襲治療製品の普及を日本から世界へ積極的に発信し、全世界の患者様のQOL(Quality of Life)を高めると同時に、全世界での『ASAHIブランド』の確立を図る」という経営ビジョンを定め、長期的な目標として連結売上高1,000億円を掲げています。
② 中期経営計画
当社は平成26年8月に、中期経営計画『Global Expansion 2018』を策定しました。本計画では以下4つの基本方針を定め、販売・開発・生産のそれぞれの分野における「グローバル化」をさらに加速させることにより、グローバル市場における当社のプレゼンスを強化し、企業価値を一段と向上させることを企図しております。本計画では平成30年6月期の連結売上高目標を400億円としておりますが、平成29年6月期に1年前倒しで、その目標値を達成しております。
長期的な目標の1,000億円に繋げる新たな中期経営計画につきましては、現在、取引先との条件協議等を進めており、然るべきタイミングで公表することを予定しております。
なお、当社製品の限界利益率を踏まえると、売上の伸長に伴い、利益や資本効率性も向上する構造にあると考えておりますので、当社は経営の主要パフォーマンス指標(KPI)として売上高を据えております。また、当社は製品の競争優位性の向上や競争優位の持続期間の長期化といった定性的な観点を重視した経営を行っており、経営方針や事業戦略について、ホームページ等で極力詳細な開示に努めております。
(a)グローバル規模での収益基盤の強化
当社グループは現在、世界108を超える国と地域へ製品を供給しております。当社グループの製品が使用される血管内疾患の症例数は、今後もグローバル規模にて拡大すると予測されています。こうした中、それぞれの地域において販売・マーケティングの機能をより一層充実させることにより、グローバル規模での収益基盤の強化を図る所存であります。
(日本)
日本市場では、平成24年7月より、連結子会社の朝日インテックJセールス株式会社が、病院などに自社ブランド製品の直接販売を行っております。この体制を活かしてさらなる市場シェアに努めると共に、同社の商社機能を活用して、国内外の他社製品のシナジー効果による販売拡大を図り、収益構造の強化にも努めてまいります。
また、世界に先駆けて新製品の投入を行っております。平成29年6月期におきましても、貫通カテーテル「SASUKE(サスケ)」の販売強化や、PTCAバルーンカテーテル「NC Kamui(エヌシーカムイ)」などの新製品の市場投入を積極的に進めるなどいたしました。第二の主力製品の確立を目指しながら、収益拡大に努めてまいります。
(米国)
米国市場では、主力製品PTCAガイドワイヤーについて、米国大手代理店アボットラボラトリーズ社を通じて、販売を行っております。同社との販売代理店契約は、平成30年6月までの長期契約です。米国市場では、地域密着型の代理店が存在しないことから、同社の米国全土にわたる強力な販売網を活用することにより、長期安定的な販売を行ってまいります。また、さらなる販売促進のため、最終顧客であるドクターに密着して市場動向をより早く把握できる体制を構築します。
PTCAガイドワイヤー以外の製品群は、平成27年7月より、連結子会社ASAHI INTECC USA, INC.が病院などに直接販売する体制に完全移行しております。引き続きマーケティングや販売機能の強化を進め、収益拡大に努めてまいります。
(欧州・中近東)
欧州・中近東市場では、現場に密着した複数の代理店を通じて、主力製品のPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルなどを販売しております。この体制を活かして、PTCAガイドワイヤーは日本に次ぐ高いシェアを獲得しております。今後は既存製品のシェア拡大を図ると共に、日本で高い評価を得ている新製品などを積極的に市場投入するなどし、総合的な製品供給による収益拡大を目指してまいります。
(中国)
中国市場では、現地代理店を通じた販売を行っております。グローバル市場の中でも中国は特に成長が著しく、さらなる発展が見込まれております。平成28年6月期より、循環器系領域の製品を中心に複数代理店制への移行を進めており、市場シェアをさらに拡大しつつあります。連結子会社の朝日英達科貿(北京)有限公司を通じて、マーケティングや販売活動を充実させ、現地代理店に密着したバックアップ体制を強化することなどにより、さらなる収益拡大に努めてまいります。
(その他地域)
インド、ブラジル、ロシアなど、潜在成長力の高い新興国市場における営業体制を強化し、さらなる収益拡大を目指してまいります。その一環として、平成29年1月に南米地域の販売を強化するために、ブラジルにおいて販売子会社ASAHI INTECC LATIN LTDA.を設立いたしました。今後も、ロシアなどの現地に密着した支店・子会社の開設などを計画しております。これらの活動を通じて、さらなる販売強化を図ってまいります。
(b)患部・治療領域の拡大と製品ポートフォリオの拡充
(Number One製品戦略)
循環器系領域の主力製品PTCAガイドワイヤーについて、症例数の多い一般的な通常病変用の製品の拡充によりPTCA治療の裾野拡大に努めると共に、当社が強みを持つ治療難易度の高いCTO(慢性完全閉塞)(注)用の製品開発にも引き続き注力することで、ナンバーワンのポジションを盤石化してまいります。
一方、PTCAガイドワイヤーに次ぐ第二の主力製品の確立に向け、当社グループが有するステンレス加工技術と樹脂加工技術を融合することにより、PTCAバルーンカテーテルやPTCAガイディングカテーテル、貫通カテーテルなどの循環器系領域におけるカテーテル分野の製品群をさらに強化・拡大してまいります。
また、循環器系領域から末梢・腹部・脳血管系などの非循環器系領域への製品展開を加速させてまいります。非循環器系領域については、循環器系で培った技術を応用した横展開を行うと同時に、積極的な海外展開を行い、グローバル規模での市場シェアの獲得に努めてまいります。
(Only One製品戦略)
現在、治療が困難とされているCTOに対するPTCA治療の成功率は、PTCA治療先進国である日本においても磐石というわけではなく、また海外市場を中心にバイパス手術で対応するケースが残っているという現状があります。これまでも当社グループは、他社にはない高い製品優位性を持ち、CTO治療も可能なPTCAガイドワイヤーや貫通カテーテルなどの製品群を開発・販売することにより、CTO領域におけるPTCA治療選択率の拡大に寄与してまいりました。
今後も、研究開発型企業として、競争力の高い独創的な製品や、機能の進化した新製品を開発・製品化し続けることにより、低侵襲治療の普及や発展に寄与していく所存であります。
(c)素材研究・生産技術の強化によるイノベーション創出
研究開発型企業である当社グループは、4つのコアテクノロジー(伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、コーティング技術、トルク技術)を主体とした、高度で独自性の高い素材加工技術を備えております。また、これらの技術に加え、原材料から製品までの一貫生産体制を構築することにより、当社独自の素材及び機能を有した製品の開発・製造が可能となっております。これは、医療機器分野以外に、産業機器分野を有する当社グループならではの強みであり、医療機器分野での競合先とのコスト面・技術面における差別化を図る大きな要因となっております。
これら当社グループの優位性をさらに強化するため、当社が創業当時から培ってきた「ステンレス加工技術」に関する研究開発活動を大阪R&Dセンターを中心に強化すると共に、ジーマ研究センターの「樹脂加工技術」と融合させることにより、さらなる競争力の強化を図ってまいります。
この他、米国の販売拠点である連結子会社ASAHI INTECC USA, INC.において、新たな研究開発拠点を設置し、試作レベルまでの対応を可能とし、より末端に近いドクターからのニーズ、評価をダイレクトに反映できる体制を構築しております。試作品対応を含めた研究開発体制のグローバル化により、現場力の強化を進めてまいります。
一方、国内においては、当社グループの研究開発拠点の中心である瀬戸工場の敷地内へ新社屋を建設し、臨床現場に近い研究開発環境整備を実現いたします。さらに、当社グループの精密加工技術の開発の中心拠点として、新たに「東北R&Dセンター」を設立することを決定しており、国内の研究開発体制についても、より充実させてまいります。
また、グローバル競争に勝つために、技術提携やM&Aなどを駆使した外部からの新技術導入を含め、有力パートナーとの戦略的提携についても、推進していく所存であります。
(d)グループマネジメントの最適化
当社グループでは、現在、日本において研究開発・試作に特化する一方、量産品については原則として海外の連結子会社ASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.(タイ工場)、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.(ハノイ工場)及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(セブ工場)に生産移管しており、素材から完成品までの一貫生産が海外工場で実現できる体制が整っております。
また、海外販売倉庫の拡充により、現地の末端需要にタイムリーに対応できる供給体制の構築を進めております。これらの体制を活用し、各生産拠点から全世界の取引先への直送体制をさらに強化するなど、原材料の調達から製造・流通・販売までの一連の流れを効率的に管理し、サプライチェーン全体の動きを最適化する体制を構築すると共に、全世界の需要先へのタイムリーな供給体制を構築し、販売機会ロスの解消に努めることにより、一層の高収益体制を確立し、利益の確保を目指してまいります。
また、平成23年に発生したタイ洪水を契機として、事業継続計画(BCP)の観点からも生産拠点の分散化を図っております。当社グループの主力の量産機能はASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.(タイ工場)及びASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.(ハノイ工場)に帰属しておりますが、先般のタイ洪水のような自然災害や、その他現地事情などにより、一方の工場が操業不能に陥った場合においても、もう一方の工場にて代替生産の大部分を担えるよう、両工場で同じ製品が製造できる体制の構築を進めております。また、現在は量産機能を有していない当社においても代替生産が可能な量産設備を保有することにも努めると共に、平成25年9月に買収したTOYOFLEX CEBU CORPORATION(セブ工場)について、産業機器分野のみならず、医療機器分野の生産も可能とする体制を構築し、平成29年6月よりセブメディカル工場が稼動しております。リスク管理を想定したグループ全体での生産拠点の最適化を図っております。
(e)会社の支配に対する基本方針
イ.会社の支配に関する基本方針
上場会社である当社の株式は株主及び投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えます。しかしながら、近年わが国の資本市場においては、一方的に大規模買付提案又はこれに類似する行為を強行する動きが顕在化しております。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業理念、企業価値のさまざまな源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させる者でなければならないと考えております。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
ロ.基本方針の実現に資する取組み
当社は、企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に向上させるために、以下の取組みを実施しています。
ⅰ.経営理念
当社グループは、研究開発型企業として、医療及び産業機器分野において、安全と信頼を基盤とする「Only One」技術や「Number One」製品を世界に発信し続けることにより、全てのお客様の「夢」を実現すると共に、広く社会に貢献していくことを企業理念としております。また特に、当社グループの医療機器分野事業は、主に、傷口が小さく痛みの少ない「低侵襲治療」の製品を開発・製造・販売しており、患者様の肉体的・精神的・経済的負担を軽減し、そして医療費抑制にも貢献できる、大変意義のある事業であると考えており、今後も、社会に貢献できる企業であり続けることで、社会からも市場からも評価される企業として、更なる成長を遂げたいと考えております。
ⅱ.当社の強みと企業価値の源泉
当社は、昭和51年の創業以来、産業機器分野において極細ステンレスワイヤーロープの開発・製造・販売に注力し、国内トップシェアを確立してまいりました。平成3年には医療機器分野に進出し、平成4年には国内初の心筋梗塞の治療に使用される「循環器系治療用PTCAガイドワイヤー及びガイディングカテーテル」の製品化に成功、更にはこれまで外科手術の領域とされておりましたCTO領域についても治療が可能な循環器系治療用PTCAガイドワイヤーの開発に成功するなど、現在では、当社製品の循環器系治療用PTCAガイドワイヤーは、国内市場においてトップシェアを確立するに至っております。このように当社が成長を続けてきた主な要因は、当社がこれまで長年に亘って蓄積し培ってまいりました「技術力」にあると考えております。
これら「技術力」の核となる主な技術内容は、伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、トルク技術、樹脂コーティング技術の4つのコアテクノロジーで構成されており、これらの技術をベースに原材料から製品まで一貫生産できることが当社の強みです。また、素材から完成品まで自社内で対応できるという強みは、当社が産業機器分野を有しているからであり、これにより、医師などユーザーのニーズに対応した製品の開発・提供をスピーディに実施することが可能になります。
研究開発・製品開発を担う人材、あるいはそこに的確なニーズを還元する営業・マーケティング体制・仕組みは当社の企業価値を高めていく上で特に重要です。これらは当社経営陣の求心力・迅速な意思決定力、企業風土・カルチャー、ステークホルダー間の有機的なバランスがあってこそ、その効果が極大化されるものと考えます。
ⅲ.今後の経営方針と経営実績の振り返り
a.長期経営ビジョン
当社は、「低侵襲治療製品の普及を日本から世界へ積極的に発信し、全世界の患者様のQOL(Quality of Life)を高めると同時に、全世界での『ASAHIブランド』の確立を図る」という経営ビジョンを定め、長期的な目標として連結売上高1,000億円を掲げています。
b.中期経営計画
当社は平成26年8月に、中期経営計画「Global Expansion 2018」を策定しました。本計画では以下4つの基本方針を定め、販売・開発・生産のそれぞれの分野における「グローバル化」を更に加速させることにより、グローバル市場における当社のプレゼンスを強化し、企業価値を一段と向上させることを企図しております。本計画では平成30年6月期の連結売上高目標を400億円としておりますが、平成29年6月期に1年前倒しで、その目標値を達成しております。長期的な目標の1,000億円に繋げる新たな中期経営計画につきましては、現在、取引先との条件協議等を進めており、然るべきタイミングで公表することを予定しております。
なお、当社製品の限界利益率を踏まえると、売上の伸長に伴い、利益や資本効率性も向上する構造にあると考えておりますので、当社は経営の主要パフォーマンス指標(KPI)として売上高を据えております。また、当社は製品の競争優位性の向上や競争優位の持続期間をいかに長期化させるかといった定性的な観点を重視した経営を行っており、経営方針や事業戦略について、ホームページ等で極力詳細な開示に努めておりますので、この点も併せてご理解賜りたく存じます。
〔基本方針〕
1.グローバル規模での収益基盤の強化
2.患部・治療領域の拡大と製品ポートフォリオの拡充
3.素材研究・生産技術の強化によるイノベーション創出
4.グループマネジメントの最適化
ⅳ.コーポレートガバナンスの強化に向けた取り組み
当社は、コーポレートガバナンスの強化を経営の重要課題の1つとして位置づけ、経営の透明性の向上と監督機能の強化、企業価値向上に向けた適切なインセンティブ付けに取り組んできました。平成17年より長期業績連動報酬として自社株取得目的報酬制度を導入し、平成21年よりストックオプション制度をスタートさせました。また、平成25年から複数の社外取締役を選任しております。
当社は、平成28年9月28日開催の第40回定時株主総会において定款の一部を変更し、監査等委員会設置会社に移行しており、取締役全12人中4人(構成比33.3%)が独立した社外取締役となり、取締役会の独立性は一段と向上しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、平成28年9月28日開催の第40回定時株主総会において、従来の当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の一部を改訂した上で、改めて導入することを、株主の皆様にご承認頂きました(以下、改定後の当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)を「本プラン」といいます。)。なお、本プランの有効期限は、平成31年9月開催予定の第43回定時株主総会終結の時までとなります。
(a)本プラン導入の目的
当社取締役会は、当社株式に対して大規模な買付行為等が行われた場合に、株主の皆様が適切な判断をするために、必要な情報や時間を確保し、買付者等との交渉等が一定の合理的なルールに従って行われることが、企業価値ひいては株主共同の利益に合致すると考え、以下の内容の大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関する一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設定し、会社の支配に関する基本方針に照らして、不適切な者によって大規模な買付行為が為された場合の対応方針を含めた買収防衛策として、本プランを継続することとなりました。
(b)本プランの対象となる当社株式の買付
当社株式の買付とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為とします。
(c)独立委員会の設置
本プランを適正に運用し、当社取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の合理性及び公正性を担保するために、当社は、当社取締役会から独立した組織として独立委員会を設置いたします。独立委員会の委員は、3名以上とし、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役び社外有識者の中から、当社取締役会が選任します。
(d)大規模買付ルールの概要
イ.意向表明書の提出
大規模買付行為又は大規模買付行為の提案に先立ち、まず、当社代表取締役宛に、大規模買付ルールに従う旨の誓約及び以下の内容等を日本語で記載した意向表明書をご提出頂きます。
ロ.大規模買付者からの情報の提供
当社は、上記イ.の意向表明書を受領した日の翌日から起算して10営業日以内に、大規模買付者に対し、株主の皆様の判断及び当社取締役会としての意見形成のために、取締役会に対して提供頂くべき必要かつ十分な情報のリストを交付します。大規模買付者には、当該リストの記載に従い、本必要情報を当社取締役会に書面で提出して頂きます。
ハ.当社の意見の通知・開示等
当社取締役会は、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、大規模買付者が当社取締役会に対し本必要情報の提供を完了した日の翌日から起算して、対価を現金(円貨)のみとする公開買付による当社全株式を対象とする大規模買付行為の場合は最長60日間又はその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間として設定します。
(e)大規模買付行為が実行された場合の対応
イ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合
当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該大規模買付行為についての反対意見の表明や代替案を提示することにより、株主の皆様を説得するにとどめ、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。大規模買付者の買付提案に応ずるか否かは、株主の皆様において、当該買付提案及び当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等をご考慮の上、ご判断頂くことになります。
ロ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合
具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として、大規模買付行為に対抗する場合があります。
対抗措置を発動することについて判断するにあたっては、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重して、対抗措置の必要性、相当性等を十分検討した上で発動の是非について判断するものとします。
ハ.対抗措置発動の停止等について
当社取締役会が具体的対抗措置を講ずることを決定した後に当該大規模買付者が大規模買付行為の撤回又は変更を行った場合等、対抗措置の発動が適切でないと当社取締役会が判断した場合には、独立委員会の勧告を十分に尊重した上で、当該対抗措置の発動の停止等を行うことがあります。
(f) 買収防衛策の有効期間について
本プランの有効期間は、平成28年9月開催の第40回定時株主総会終結の時から平成31年9月開催予定の第43回定時株主総会終結の時までとします。
④ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
本プランは、上記「③(a)本プラン導入の目的」にて記載したとおり、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応ずるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
※本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載の平成28年8月10日付「会社の支配に関する基本方針及び当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)の更新について」をご参照下さい。
〔注釈説明〕
注:CTO/長期間完全に閉塞した状態の病変のことをいいます。従来は、このような病変は外科手術(バイパス手術)の領域でしたが、当社がCTOにも使用可能なPTCAガイドワイヤーの開発に成功したことから、現在では、国内においてはPTCA治療(循環器系における低侵襲治療)が主流となっています。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(法的規制について)
当社グループの事業は、医薬品医療機器等法及びそれに関連する厚生労働省令並びに米国食品医薬品局とEU当局 、そして中国当局等による諸規制を受けており、当社グループの関連する主な法的規制は次のとおりであります。
(a) 医薬品医療機器等法及び厚生労働省令
当社グループは、各種の医療機器及びその関連製品の設計・製造・販売を行うに際し、日本国内では医薬品医療機器等法、医薬品医療機器等法施行令、医薬品医療機器等法施行規則及びQMS省令等により規制を受けております。医薬品医療機器等法では、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることが目的とされております。製造販売業者・製造業者は、安全で有用な医療機器を提供するために、品質、有効性及び安全性を確保した継続的な生産体制を維持するためのシステムとしてQMS(Quality Management System:品質マネジメントシステム)を確立し、設計・製造から市販後に至るまで管理する必要があります。
厚生労働省は、国際的な整合性や、科学技術の進歩、企業行動の多様化等、社会情勢の変化を踏まえ、医薬品・医療機器規制及び制度について常に見直しを図っており、承認・許可制度の見直し、市販後安全対策の充実等当該法規制の変更等により、規制が強化された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
なお、過年度において、医薬品医療機器等法に関連し当社の承認、許可及び登録が認められない、あるいは取り消された事象はありませんが、今後、承認、許可及び登録が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(b) MDD(Medical Device Directive / 医療機器指令)
欧州市場で医療機器を流通させるためには、MDD(Medical Device Directive / 医療機器指令)に基づく要求事項を満たす必要があり、製造業者は定められた適合性評価基準を満たさなければなりません。MDDに適合していることを証明するCEマーキングが製品に表示されていなければ欧州市場への流通が出来ず、 またMDDの必須要求事項を満たすための品質システム(EN ISO 13485)の認証維持が条件となります。
この法規制は、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、CEマーキングが表示された製品が欧州市場で自由に流通出来ることを目的としております。
当該法規制が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
なお、過年度において、MDDに関連し、認証されない、あるいは取り消された事象はありませんが、今後、認証されない場合、認証が取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(c)FD&C法(The Federa1 Food,Drug, and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)
米国市場で医療機器を流通させるためには、FD&C法(The Federal Food,Drug and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)に基づき、品質、有効性及び安全性確保が必要になります。この法律は、食品、食品添加物、医薬品、医療機器、化粧品等の規制を目的としており、米国内での流通に際して、必須要求事項であるQSR(Quality System Regulation)に基づく体制の維持・確立が必要であります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
なお、過年度において、FD&C法に関連し、登録、認可が認められない、あるいは取り消された事象はありませんが、今後、登録、認可が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(d) 医療機器監督管理条例
中国市場で医療機器を流通させるためには、医療機器監督管理条例に基づき、品質、有効性及び安全性の確保が必要になります。医療機器監督管理条例の下に、医療機器の分類、登録、生産監督、経営許可、品質管理システムの審査、ラベリング等に関する規則が定められており、中国国内において医療機器の販売及び使用を行うにあたっては、CFDA(China Food and Drug Administration /国家食品薬品監督管理総局)の 審査を経て、「医療機器登録証」を取得する必要があります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。
なお、過年度において、医療機器監督管理条例に関連し、登録、承認が認められない、あるいは取り消された事象はありませんが、今後、登録、承認が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(医療制度改革について)
当社グループはグローバル規模にて販売を行っておりますが、日本を含め世界各国では医療制度改革が進められております。今後、予想を超える大規模な医療制度改革が行われた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また国内では、高齢化の急速な進展等に伴う国民医療費抑制策及び内外価格差問題の解決として、医療制度改革が進められております。平成15年4月に特定機能病院において診療報酬包括制が導入されたほか、平成14年4月より隔年で保険償還価格の引下げが実施されております。医療制度改革の動向により販売価格が下落する等の影響があった場合は、当社グループの業績も悪影響を受ける可能性があります。
(品質管理体制について)
当社グループは、人命に係わる高度な技術を要する医療機器を取り扱うことから、社内において徹底した品質管理体制を確立しておりますが、特異な要因による不良品の発生や、臨床現場での不適切な取扱いの可能性は完全に否定出来ません。医療事故が発生した場合には、製造物責任により、係争事件等に発展する可能性があります。また医薬品・医療機器規制 により、関連する製品の回収責任が生じる事も予測されます。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(特定製品への依存について)
当社グループの主力製品であるPTCAガイドワイヤーの、当連結会計年度における連結売上高は161億11百万円となっており、連結売上高に占める比率は37.7%と依存度が高く、従ってPTCAガイドワイヤーの売上動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(技術革新への対応について)
医療機器市場では、技術の変革は著しく速く、企業が成長を続けるためには、新技術・新製品の研究開発は必須であります。当社グループにおいても、研究開発型企業として研究開発活動に注力しておりますが、現行の検査及び治療方法を革新する新技術が開発され、当社グループの対応が遅れた場合、あるいは他社から極めて優良又は革新的な製品が販売された場合には、当社グループの提供する製品が陳腐化し、その結果、当社グループシェアが低下する可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(客先仕様である事について)
当社グループの産業機器分野の製品は、OA機器、自動車、建築、漁業、レジャー等広範囲にわたって使用されております。今後も新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、大半が客先仕様に基づく部材レベルの製品であるため、客先の仕様変更等により当社グループの製品に替わる他社の製品が採用された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(競合状況について)
当社グループの産業機器分野の新たな競合先として、近年、韓国・中国等のメーカーが存在しております。
当社グループは、新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、これらの競合先メーカーが、当社グループと同品質で、なおかつ低価格の製品を供給できる体制に成長した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(海外事業展開について)
当社グループは現在、世界108を超える国と地域へ製品を供給しており、当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は57.6%となっておりますが、今後、当社グループがさらに飛躍するために、海外販売をより積極的に展開する方針であり、今後は需要拡大に備え、海外生産拠点の強化・拡充を引続き進めていく所存であります。当社グループが引続き成長を続けるためには、新たな市場における販売ルートの確立や設備投資を引続き慎重に進めていく所存ですが、海外環境の動向等により、海外事業が計画どおりに展開されない可能性があります。仮にこのような事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(海外生産への依存について)
当社グループは、日本国内施設は主に研究開発拠点と位置付ける一方、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.及びTOYOFLEX CEBU CORPORATIONは重要な生産拠点として位置付け、現在、量産品については、原則として当該連結子会社に生産移管しております。
一番の主力の生産拠点であるASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.より、第二の生産拠点であるASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.に継続的に生産移管を行い、また第三の生産拠点であるTOYOFLEX CEBU CORPORATIONにおいても医療機器分野の生産を可能にする体制構築を進めるなどし、リスク分散を図っておりますが、これら3つの連結子会社が洪水、地震等の天災や政治、経済、法律、文化、ビジネス慣習、労働力不足や労働賃金水準の上昇、その他様々な現地事情等により操業低迷や不能に陥った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(原材料価格の高騰について)
当社グループが製造する製品の多くは、原材料の一部に、ステンレス及びプラチナを使用しております。売上高に対しての原材料比率は比較的低いものの、これら原材料の価格の高騰が予想を上回る状況で進行した場合、特にプラチナ価格の高騰については、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(知的財産権について)
当社グループは製品の開発・製造・販売に関し、知的財産権の確保に努めておりますが、他社から当該権利を侵害される可能性が無いとは言えず、当該権利期間経過後は、他社による同一製品の新規参入の可能性も予測されます。
また、製品に関連し得る他社の知的財産権の侵害防止に努めておりますが、万一、侵害の事実が発生した場合は、係争事件に発展することも含めて、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(自然災害や大規模災害等について)
当社グループはグローバル規模にて販売を行っております。当社グループが事業を展開している地域において、自然災害、病気、感染症、戦争、テロ等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(為替リスクについて)
当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は57.6%であり、その大半は米ドル建てですが、ユーロや元などの外貨についても、取引量の増加に比例し、増加しつつあります。一方、当社グループの主要な生産拠点はタイ、ベトナム、フィリピンにあり、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.(タイバーツ建決算)、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.(米ドル建決算)及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(円建決算)との取引は、原則的に全て円建てで取引をしております。したがって、為替が円高米ドル安タイバーツ安に進んだ場合、海外売上高の円換算額が目減りするとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて主に売上原価等の円換算額が減少します。また逆に、為替が円安米ドル高タイバーツ高に進んだ場合、海外売上高の円換算金額が増加するとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて売上原価の円換算額が増加いたします。
米ドルとタイバーツが連動すれば、為替変動によるメリット・デメリットは概ね相殺されますが、円に対し米ドル安タイバーツ高に進んだ場合には収益が圧迫されるなど、当社グループの業績にマイナスの影響を与える可能性があります。
また、前述の通り米ドルの流入量が多く、タイ及びベトナムの連結子会社においては円の流入量が多いため、急激な為替相場の変動時には、これらの決算通貨への交換時に発生する為替差損益が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(保有株式に関するリスクについて)
当社は、原則として、取引先や業務提携先とのさらなる事業発展やシナジー効果等を目的として、市場性のある株式を保有しております。したがって、将来、株式相場の悪化や投資先の業績不振等により、大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式に減損が発生し、当社の業績と財務状況に影響を与える可能性があります。
(企業買収に関するリスクについて)
当社グループは、主に研究開発及び製造の分野において、技術提携、業務提携、資本提携など、他社との提携又は買収を実施する可能性があります。これらの提携又は買収などにあたり、当社グループは、当該企業の財務内容や契約内容などについてデューデリジェンスを行い、事前にリスク回避するように努めておりますが、事業環境の急激な変化など、不測の事態が生じる場合、当社グループの事業展開、経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。
研究開発型企業である当社グループは、創業時より研究開発活動を経営の重要項目の1つとして位置付けております。
当社グループは、4つのコアテクノロジー(伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、コーティング技術、トルク技術)を主体とした、高度で独自性の高い素材加工技術を備えることに加えて、原材料から製品までの一貫生産体制を構築することによって、当社独自の素材及び機能を有した製品の開発・製造が可能となっております。
これは、同業他社ではあまり見られない医療機器分野と産業機器分野の技術循環、日本の研究開発拠点と海外の生産拠点との技術連携など、当社グループならではの強みであります。また、これら当社独自の機能を生かし、近年では、医療現場での豊富な経験を持つ各分野におけるトップドクターとの共同研究開発体制を強化しており、医療現場に密着した製品開発を展開しております。これらの融合が、医療機器分野での競合先との差別化を図り、競争優位性のある製品を供給し続けている大きな要因にもなっております。
今後も、当社グループのOnly One技術の発展と、それに伴うお客様のNumber Oneの実現を目指し、研究開発活動を進めてまいります。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費用の総額は、44億96百万円であります。
セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(メディカル事業)
ガイドワイヤー、カテーテル製品分野共に、循環器系製品のさらなる進化に向けた取組みを継続するとともに、非循環器系の製品群の強化と拡充に取組んでまいりました。
当社が最も強みを持つガイドワイヤー製品の分野においては、循環器系領域において、従来の治療用のみでなく検査用の製品力についても強化を進め、従来製品にはないトルク性などを付与した検査用ガイドワイヤー「Silverway(シルバーウェイ)」を新たに開発いたしました。また、非循環器系領域においては、肝癌治療に用いる腹部用ガイドワイヤーとして、屈曲の大きな抹消血管まで到達できる性能を付与した「Meister S14(マイスター エスイチヨン)」を開発いたしました。
カテーテル製品の分野におきましては、バルーンカテーテルの開発に注力し、循環器系の高圧タイプのPTCAバルーンカテーテルとして、屈曲した狭窄部での通過性と高圧拡張性を両立させた「NC-KAMUI(エヌシーカムイ)」を開発いたしました。また、非循環器系領域においては、上記「Miester S14」とともに肝癌治療に用いる腹部用マイクロカテーテルとして、ガイドワイヤーとのバランスを考慮しつつ屈曲した抹消まで到達できる性能を持たせた「Veloute Ultra(ベルテ アルトラ)」を開発いたしました。
OEM関連製品につきましては、国内外の医療機器メーカーと製品開発を進めており、当社の事業領域として新たな分野である胆管・膵管・消化管分野の内視鏡ガイドワイヤー「M-ThroughTM(エムスルー)」を開発いたしました。
当事業では引続き、医療現場での豊富な経験を持つ各分野のトップドクターとの共同研究開発体制を強化し、当社独自の技術を活用することにより、医療現場に密着した製品開発の展開を進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費は、36億83百万円であります。
(デバイス事業)
医療部材につきましては、当社独自の高機能部材である中腔のケーブルチューブ「ACT ONE(アクトワン)」や、トルク伝達性、高速度回転駆動や細く強度が高いトルクコイル・ドライブケーブル、抗張力の高いハイテンションワイヤーロープなどが高く評価されており、今後もより多くの高性能医療機器への採用に向けて製品開発を行ってまいります。また、これらの当社独自の部材と他の部品とをレーザー加工機などを用いて行う医療部材アセンブリーについても多くの引合いや試作を受けることができ量産納品を開始いたしました。当連結会計年度は、これらの医療部材(アセンブリー製品を含む)について、海外大手医療器具メーカーへの量産納品が開始された他、国内大手医療器具メーカーの細径内視鏡にも採用されるなど、前連結会計年度から引き続き、使用用途は拡大傾向にあります。米国の医療機器メーカー及び医療機器ベンチャー企業や国内外の大手医療機器企業からの開発依頼案件が増加しており、今後におきましても、これらの対応に向けて、研究開発活動を強化してまいります。
また、当連結会計年度は、メディカル事業のPTCAガイドワイヤー「GAIA Next(ガイア ネクスト)」用のテーパーロープコイルや、高圧タイプのPTCAバルーンカテーテル「NC-KAMUI(エヌシーカムイ)用のフォーミングコイルなどの開発・生産を行い、メディカル事業における自社ブランド品の新製品開発に、当事業の技術開発力が寄与しております。
産業部材につきましては、当社オリジナル製品である「シンクロメッシュロープ」が、国内大手空調機メーカーに採用された他、海外大手メーカーのシューズ用レースシステム(機械式に靴紐を締めたり緩めたりする機構)用のワイヤーロープの生産及び新規ワイヤーロープの設計、試作に対応しており、今後のさらなる増加が期待されています。
当事業では引続き、当社のコアテクノロジーを進化させるとともに、さらなるレーザー加工技術開発(溶接接合技術、精密切断技術)の深耕、特に金属パイプの精密切断技術の開発、樹脂チューブと形状付け金属線を組み合わせたコイルチューブ、アセンブリー製品販売への展開などの新たな取り組みを行うなどし、様々な分野で採用して頂ける高機能・高付加価値の技術・製品の開発を行ってまいります。
当連結会計年度における研究開発費は、8億13百万円であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので、将来生じる実際の結果と差異を生じる可能性があります。
(財政状態)
当連結会計年度末の資産につきましては、総資産額が632億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ129億60百万円増加しております。主な要因は、現金及び預金が70億56百万円、受取手形及び売掛金が9億50百万円、建物及び構築物(純額)が9億70百万円、投資有価証券が10億3百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債につきましては、負債合計額が185億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億64百万円増加しております。主な要因は、長期借入金が28億83百万円減少した一方、短期借入金が16億75百万円、未払法人税等が4億60百万円及び繰延税金負債が5億10百万円それぞれ増加したことによるものであります。
純資産につきましては、純資産合計額が446億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ123億95百万円増加しております。主な要因は、自己株式30億円を処分(売却)したことなどに伴い資本剰余金が14億97百万円、利益剰余金が58億28百万円及び為替換算調整勘定が15億69百万円それぞれ増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は70.6%(前連結会計年度末は64.1%)となりました。
(経営成績)
当社グループは、現在進行している中期経営計画『Global Expansion 2018』において、「グローバル規模での収益基盤の強化」「患部・治療領域の拡大と製品ポートフォリオの拡充」「素材研究・生産技術の強化によるイノベーション創出」「グループマネジメントの最適化」を経営戦略に掲げ、企業価値向上に取り組んでおります。
その実現に向けた施策として、当連結会計年度では、国内市場にて、循環器系領域の高耐圧用PTCAバルーンカテーテル「NC-kamui(エヌシーカムイ)」や、新たな事業領域である胆管・膵管・消化管分野の内視鏡ガイドワイヤー「M-ThroughTM(エムスルー)」などを販売開始いたしました。また海外市場では、日本市場で高い評価を得ている製品群の展開を進めており、欧州では循環器系領域の貫通カテーテル「Caravel(カラベル)」「Corsair Pro(コルセアプロ)」、PTCAガイディングカテーテル「Hyperion(ハイペリオン)」、米国では、循環器系領域の貫通カテーテル「Corsair Pro(コルセアプロ)」などを販売開始いたしました。また、中国市場では、平成28年7月より循環器系領域の製品群について、複数代理店に販売する方式に販売戦略を変更いたしました。このほか、平成30年7月竣工を目処に当社瀬戸工場(愛知県瀬戸市)の敷地内に、研究開発環境の充実を主たる目的として本社移転も視野に入れた新社屋を建設することや、当社グループの金型・射出成形などの精密加工技術の開発の中心拠点として、平成30年7月頃を目処に新たに「東北R&Dセンター」を設立することを決定いたしました。
今後におきましても、中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、企業価値の拡大を目指してまいります。
当社グループの当連結会計年度における売上高は、為替動向及び医療償還価格の下落などの外部要因影響があるものの、メディカル事業の海外売上高を中心に引き続き需要が堅調に推移し、427億9百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
売上総利益は、好調な受注と生産性の向上などに伴い売上総利益率が上昇し、284億26百万円(同9.7%増)となりました。
営業利益は、研究開発費や海外市場における販売・マーケティングの強化に伴う営業関係費用の増加により、販売費及び一般管理費が増加したものの、107億95百万円(同7.9%増)となりました。
経常利益は、為替差損が減少し、為替差益が増加したため、109億41百万円(同14.9%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に投資有価証券評価損を計上したものの、77億25百万円(同11.8%増)となりました。
なお、当連結会計年度における外国為替レート実績は、下記となります。
1米ドル=109.02円(前年同期116.69円、比6.6%減)
1タイバーツ=3.13円(前年同期3.27円、比4.3%減)
1ユーロ=118.82円(前年同期129.55円、比8.3%減)
1中国元=16.02円(前年同期18.03円、比11.1%減)
当社グループを取り巻く事業環境に関連して経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、199億92百万円(前年同期比54.6%増)となっております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動により得られた資金は、102億57百万円(前年同期比16億34百万円増)となりました。これは主に、売上債権が8億96百万円増加、役員退職慰労引当金が6億37百万円減少したこと及び法人税等の支払額が23億2百万円であったものの、税金等調整前当期純利益が107億89百万円、減価償却費が25億52百万円となり、退職給付に係る負債が2億56百万円増加したことによるものであります。
投資活動により使用した資金は、52億68百万円(前年同期比14億27百万円増)となりました。これは主に、保険積立金の解約による収入が6億12百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が45億96百万円、無形固定資産の取得による支出が2億79百万円、投資有価証券の取得による支出が9億29百万円であったことによるものであります。
財務活動により調達した資金は、15億98百万円(前年同期は45億52百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が22億79百万円、配当金の支払額が18億97百万円あったものの、自己株式の処分による収入が41億82百万円、長期借入れによる収入10億円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が6億19百万円であったことによるものであります。
(キャッシュ・フロー指標のトレンド)
(注) 1 自己資本比率:自己資本/総資産
2 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
4 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
5 各指標は、連結ベースの財務数値より計算しております。
6 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。