第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので、将来生じる実際の結果と差異を生じる可能性があります。

(1)経営方針

当社グループは、研究開発型企業として、『医療及び産業機器の分野において、安全と信頼を基盤とする「Only One」技術や「Number One」製品を世界に発信し続けることにより、全てのお客様の「夢」を実現すると共に、広く社会に貢献していくこと』を企業理念としております。また特に、当社グループの医療機器分野事業は、主に、傷口が小さく痛みの少ない「低侵襲治療」の製品を開発・製造・販売しており、患者様の肉体的・精神的・経済的負担を軽減し、そして医療費抑制にも貢献できる、大変意義のある事業であると考えており、今後も、社会に貢献できる企業であり続けることで、社会からも市場からも評価される企業として、更なる成長を遂げたいと考えております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

① 長期経営ビジョン

当社は、「世界中のプロフェッショナルと共に、「ASAHI TECHNOLOGY」でイノベーションを創出し、次世代の医療や産業のニーズを捉え、グローバルな課題をグローバルに解決する。」という経営ビジョンを定め、長期的な目標として連結売上高1,000億円を超えて更に成長していくことを目指しております。

 

② 中期経営計画

当社グループは、2026年6月期までの5ヵ年の中期経営計画『ASAHI Going Beyond 1000』に基づき、連結売上高

1,000億円を超えて、更に成長するための事業ポートフォリオの構築として、「グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大」を推進することで、これまでの基本戦略の集大成を図り、既存事業の収益基盤を強化、また将来に向けた成長への投資を継続することにより「グローバルニッチ市場における新規事業の創出」を実現し、グローバルニッチ市場における当社のプレゼンスの強化と企業価値の一層の向上を目指し、その成長戦略を支えるためのビジネス基盤として、「グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築」を進めるとともに「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を図ってまいりました。今後におきましても、中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、企業価値の拡大を目指してまいります。

当社グループの重要な経営管理指標としては、売上高、営業利益、営業利益率としております。営業利益率については20%を目安とし、経営の主要パフォーマンスであるEBITDA(営業利益+のれん償却額+減価償却額)の率については30%を目安とすることを、中期経営計画の指標としております。

また、財務指標としては、ROEにも着目してまいりましたが、当期より、新たにROIC(投下資本利益率:Return on Invested Capital)についても、着目すべき指標として定めることにいたしました。これまでは、損益計算書(P/L)重視とし、P/L改善が結果的にバランス・シート(B/S)改善に繋がることから、投資収益性に関する財務指標については基準を定めておりませんでしたが、投資家の皆様との対話を通じて、当社グループのB/S戦略に対する重要性が高まったことを改めて認識したことや、今後はB/Sも意識して、資本コストとの見合いで利益を追求する方向にあることが会社の姿勢であることを明確化することの重要性を鑑み、着目すべき指標の一つとして定めることにいたしました。なお、当社グループのROICにつきましては、「運転資本(注)+ 固定資産」を投下資本として算出しており10%を基本水準としております。

(注)運転資本=売上債権+棚卸資産+未収入金-仕入債務-未払金-前受金

 

(a)グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大

当社グループは現在、世界110の国と地域へ製品を供給しております。当社グループの製品が使用される血管内疾患の症例数は、引き続き新興国を中心にグローバル規模で拡大すると予測されております。こうした中、それぞれの地域において販売・マーケティングの機能をより一層充実させることにより、グローバル規模での収益基盤の強化を図る所存であります。

 

(日本)

日本市場では、病院などに対して自社ブランド製品の直接販売を行っております。この販売体制を活かして更なる市場シェアの獲得に努めるとともに、朝日インテックJセールス株式会社の商社機能を活用して、国内外の他社製品とのシナジー効果による販売拡大を図り、収益構造の強化にも努めてまいります。また、2021年7月より消化器分野の自社ブランド品の一部について直接販売を開始いたしました。日本市場においては、世界に先駆けて新製品の投入を行うなど、第二第三の主力製品の確立を目指すとともに、ロボティクス製品の市場投入を推進することで、収益・事業領域の拡大に努めてまいります。

(米国)

米国市場では、自社ブランド製品について直接販売を行っております。更なる販売促進のために、最終顧客である医師に密着して市場動向をより早く把握できるマーケティングや販売機能の体制を構築するとともに、コロナ禍の制約がある中、オンライン営業などの活用により営業活動の効率化も進め、拡販に努めます。また、末梢血管領域を重点市場と位置付け、新製品の積極的な投入によりシェア拡大に努めてまいります。

また、自社ブランド品のみならず、ODM・OEMビジネスの拡大を積極的に進め、収益拡大に努めてまいります。

(欧州)

欧州市場では、直接販売や、現場に密着した複数の代理店を通じて、主力製品のPCIガイドワイヤーや貫通カテーテルなどを販売し、高いシェアを獲得しております。今後におきましても、既存製品のシェア拡大を図るとともに、日本で高い評価を得ている新製品などを積極的に市場投入するなどし、総合的な製品供給を進めてまいります。また、欧州市場の一部の地域におきましては、段階的に、直接販売化を進めており、2019年7月よりフランス、2021年1月よりドイツ、2021年7月よりイタリアにおいて直接販売化に移行しております。今後も、これらの活動を通じて、更なる収益拡大を図ってまいる所存です。

(中国)

中国市場では、現地代理店を通じた販売を行っております。グローバル市場の中でも中国は特に成長が著しく、更なる発展が見込まれております。新製品の投入や、複数代理店制による販売体制強化などにより、市場シェアを更に拡大しつつあります。入札制度などの取り巻く環境変化が進むものの、今後におきましても、市場の状況を鑑みながら、代理店数の増加推進や、連結子会社である朝日英達科貿(北京)有限公司を通じたマーケティングや販売活動の充実、現地代理店に密着したバックアップ体制の強化などにより、更なる収益拡大に努めてまいります。

(その他地域)

中国以外のアジア地域や南米地域を中心に、潜在成長力のある新興国市場における営業体制を強化し、更なる収益拡大を目指してまいります。一部の地域においては、新型コロナウイルス感染症の影響が引き続き残るものの、今後も、ウェブ営業なども活用し、現地に密着した活動を通じて、更なる販売強化を図ってまいります。

(Number One製品戦略)

循環器分野の主力製品PCIガイドワイヤーにつきましては、当社が強みを持つ治療難度の高いCTO(慢性完全閉塞)用の製品開発に注力するとともに、一般的な通常病変用の製品の拡充にも努めることにより、総合的なナンバーワンのポジションを盤石化してまいります。

また、PCIガイドワイヤーに次ぐ第二第三の主力製品の確立に向け、カテーテル分野の製品群を一層強化・拡大してまいります。

さらに、循環器分野から末梢・腹部・脳血管系などの非循環器分野への製品展開を継続して進めてまいります。非循環器分野については、循環器分野で培った技術を応用した横展開を行うと同時に、積極的な海外展開を図り、グローバル規模での市場シェアの獲得に努めてまいります。

 

(Only One製品戦略)

現在、治療が困難とされているCTOに対するPCI治療は、PCI治療の先進国である日本においても完全というわけではなく、海外市場を中心にバイパス手術で対応するケースが残っております。このような中、当社グループは、他社にはない高い製品優位性を持ち、CTO治療も可能なPCIガイドワイヤーや貫通カテーテルなどの低侵襲治療に必要な製品群を開発・販売し、CTO領域におけるPCI治療選択率の拡大に寄与してまいりました。

今後も、研究開発型企業として、競争力の高い独創的な製品や、機能の進化した新製品を開発・製品化し続けることにより、低侵襲治療の普及や発展に寄与してまいります。

 

(b)グローバルニッチ市場における新規事業の創出

研究開発型企業である当社グループは、4つのコアテクノロジー(伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、樹脂コーティング技術、トルク技術)を主体とした、高度で独自性の高い素材加工技術を備えております。

また、これらの技術に加え、原材料から製品までの一貫生産体制を構築することにより、当社独自の素材及び機能を有した製品の開発・製造が可能となっております。これは、医療機器分野以外に、産業機器分野を有する当社グループならではの強みであり、医療機器分野での競合先とのコスト面・技術面における差別化を図る大きな要因となっております。

今後もグローバル競争に勝ち、連結売上高1,000億円を超えて永続的に成長発展する企業であり続けるために、その礎となる施策に今から着手していくことが必要であると認識し、当社の高い技術力の強化により消化器分野・ロボティクス分野・脳血管系分野などの新領域への進出を目指します。また、新テクノロジーとの融合が必要な場合には、より積極的に技術提携、M&A、少数株主投資などを駆使し、外部からの新技術導入を含め、有力パートナーとの戦略的提携についても推進しております。

グローバルニッチ市場における新規事業の創出により、事業ポートフォリオの強化に努め、グローバルで持続的に成長する企業を目指してまいります。

 

(C)グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築

研究開発体制のグローバル化として、米国の直接販売の拠点である連結子会社ASAHI INTECC USA, INC.において、最終顧客である医師からのニーズや評価をダイレクトに反映でき、試作レベルまでの対応を可能とした研究開発体制を構築しております。また、連結子会社ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.の研究開発拠点を更に拡充させ、製品仕様の検討を含めた既存製品の改良などをより積極的に進めてまいります。

国内においては、当社グループの研究開発拠点の中心である瀬戸工場の敷地内に2018年に新社屋を建設し、臨床現場に近い研究開発環境整備を実現いたしました。さらに、基盤技術開発強化を目的とした大阪R&Dセンターの拡充や、次世代医療機器技術の研究開発を目的とした東京R&Dセンターの開設を実施いたしました。また研究開発機能強化を目的に、グローバル本社・R&Dセンター(愛知県瀬戸市)に新棟を建設し拡充することを予定しており、国内の研究開発体制についても、より充実させてまいります。

当社グループでは、現在、日本においては研究開発・試作に特化し、量産品については原則として海外の連結子会社に生産移管しており、素材から完成品までの一貫生産が海外工場(ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.(タイ工場)、ASAHI INTECC HANOI CO., LTD.(ハノイ工場)、及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(セブ工場))で実現できる体制が整っております。その中で、リスク管理や事業継続計画(BCP)の観点から、グループ全体での生産拠点の最適化を図っており、現地事情などにより、一部の工場が操業不能に陥った場合においても、別の工場にて代替生産の大部分を担えるよう、3工場で同じ製品が製造できる体制の構築を進めております。また、現在は量産機能を有していない当社においても、本社の新棟などを活用し、今後代替生産が可能な量産設備の保有に努めてまいります。

今後も、グローバル展開に最適な研究開発拠点や生産体制の構築・拡充により、当社の成長戦略を下支えしていく所存であります。

 

 

(d)持続的成長に向けた経営基盤の確立

サステナビリティへの取組みを推進する体制を構築し、各サステナビリティの重要課題につき基本方針をとりまとめ、戦略的に推進するための仕組みづくり、取組みに関する情報整理を実施しております。

今後、この7つの重要課題を中心に、全社的な取組みを進めてまいります。サステナビリティに関わる当社の考え方や、取組みにつきましては、ウェブサイトにて随時開示してまいります。

重要課題1 イノベーションを通じた現場の課題解決

重要課題2 環境負荷低減への取組み

重要課題3 サプライチェーンマネジメント

重要課題4 安全・安心な製品の供給

重要課題5 グローバル人財基盤の強化

重要課題6 リスクマネジメントの強化

重要課題7 コーポレート・ガバナンスの強化

 

〔注釈説明〕

注:CTO/(慢性完全閉塞)

長期間完全に閉塞した状態の病変のことをいいます。従来は、このような病変は外科手術(バイパス手術)の領域でしたが、当社がCTOにも使用可能なPCIガイドワイヤーの開発に成功したことから、現在では、国内においてはPCI治療(循環器分野における低侵襲治療)が主流となっております。

 

 

2 【事業等のリスク】

本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年6月30日)現在において、当社グループが判断したものであります。

① 医療機器分野について

(法的規制について)

当社グループの事業は、厚生労働省、米国食品医薬品局、EU当局、並びに中国当局等による諸規制を受けており、当社グループに関連する主な法的規制は次のとおりであります。

(a) 医薬品医療機器等法及び厚生労働省令

当社グループは、各種の医療機器及びその関連製品の設計・製造・販売を行うに際し、日本国内では医薬品医療機器等法、医薬品医療機器等法施行令、医薬品医療機器等法施行規則及びQMS省令等により規制を受けております。医薬品医療機器等法では、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることが目的とされております。製造販売業者・製造業者は、安全で有用な医療機器を提供するために、品質、有効性及び安全性を確保した継続的な生産体制を維持するためのシステムとしてQMS(Quality Management System:品質マネジメントシステム)を確立し、設計・製造から市販後に至るまで管理する必要があります。

厚生労働省は、国際的な整合性や、科学技術の進歩、企業行動の多様化等、社会情勢の変化を踏まえ、医薬品・医療機器規制及び制度について常に見直しを図っており、承認・許可制度の見直し、市販後安全対策の充実等当該法規制の変更等により、規制が強化された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、医薬品医療機器等法に関連し、当社グループの承認、許可及び登録が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(b) MDR(Medical Devices Regulation / 医療機器規則)及びMDD(Medical Devices Directive / 医療機器指令)

欧州市場で医療機器を流通させるためには、MDR若しくはMDDに基づく要求事項を満たす必要があり、製造業者は定められた適合性の評価基準を満たさなければなりません。また、これらの法規制に適合していることを証明するCEマーキングが製品に表示されていなければ欧州市場において製品の流通が出来ず、法規制の必須要求事項を満たすための品質システム(EN ISO 13485)の認証維持が条件となります。よって、これらの規制内容や要求事項が変更若しくは強化された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、当社グループは、MDDへの適合を満たしておりますが、新規制であるMDRへの適合に向けた対応を現在進めております。今後、MDRについて、当社グループの品質システムの適合性が認められない場合、認証、登録が認められない場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(c) FD&C法(The Federal Food,Drug, and Cosmetic Act / 連邦食品・医薬品・化粧品法)

米国市場で医療機器を流通させるためには、FD&C法に基づき、品質、有効性及び安全性確保が必要になります。この法律は、食品、食品添加物、医薬品、医療機器、化粧品等の規制を目的としており、米国内での流通に際して、必須要求事項であるQSR(Quality System Regulation)に基づく体制の維持・確立が必要であります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、FD&C法に関連し、当社グループの登録、認可が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(d) 医療機器監督管理条例

中国市場で医療機器を流通させるためには、医療機器監督管理条例に基づき、品質、有効性及び安全性の確保が必要になります。医療機器監督管理条例の下に、医療機器の分類、登録、生産監督、経営許可、品質管理システムの審査、ラベリング等に関する規則が定められており、中国国内において医療機器の販売及び使用を行うにあたっては、NMPA(National Medical Products Administration /国家薬品監督管理局)の審査を経て、「医療機器登録証」を取得する必要があります。当該法規制等が変更若しくは強化され施行された場合には、当社グループが事業展開を行ううえで、影響を受ける可能性があります。

また、今後、医療機器監督管理条例に関連し、当社グループの登録、承認が認められない場合、取り消された場合、あるいは遅延した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(医療制度改革について)

当社グループはグローバル規模にて販売を行っておりますが、日本を含め世界各国では医療制度改革が進められております。今後、予想を超える大規模な医療制度改革が行われた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また国内では、高齢化の急速な進展等に伴う国民医療費抑制策及び内外価格差問題の解決として、医療制度改革が進められております。2003年4月に特定機能病院において診療報酬包括制が導入されたほか、2002年4月より隔年で保険償還価格の引下げが実施されております。医療制度改革の動向により販売価格が下落する等の影響があった場合は、当社グループの業績も影響を受ける可能性があります。

(品質管理体制について)

当社グループは、人命に係わる高度な技術を要する医療機器を取り扱うことから、社内において徹底した品質管理体制を確立しておりますが、特異な要因による不良品の発生や、臨床現場での不適切な取扱いの可能性は完全に否定出来ません。医療事故が発生した場合には、製造物責任により、係争事件等に発展する可能性があります。また医療機器規制 により、関連する製品の回収責任が生じる事も予測されます。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(特定製品への依存について)

当社グループの主力製品であるPCIガイドワイヤーの、当連結会計年度における連結売上高は357億30百万円となっており、連結売上高全体の46.0%を占めています。従ってPCIガイドワイヤーの売上動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(技術革新への対応について)

医療機器市場では、技術の変革は著しく速く、企業が成長を続けるためには、新技術・新製品の研究開発は必須であります。当社グループにおいても、研究開発型企業として研究開発活動に注力しておりますが、現行の検査及び治療方法を革新する新技術が開発され、当社グループの対応が遅れた場合、あるいは他社から極めて優良又は革新的な製品が販売された場合には、当社グループの提供する製品が陳腐化し、その結果、当社グループシェアが低下する可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(特定取引先からの仕入について)

当社グループは、原材料の一部について、特定の仕入先に依存している場合があります。当社グループではこうした特定仕入先との関係を密接に保ちながら、安定的な調達に努めております。需要の急増による原材料不足や天災地変、品質問題、特定仕入先の政策変更や倒産・経営破綻・合併等により調達に重大な支障をきたした場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 産業機器分野について

(客先仕様である事について)

当社グループの産業機器分野の製品は、レジャー、建築、自動車、OA機器等広範囲にわたって使用されております。今後も新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、大半が客先仕様に基づく部材レベルの製品であるため、客先の仕様変更等により当社グループの製品に替わる他社の製品が採用された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(競合状況について)

当社グループの産業機器分野の新たな競合先として、近年、韓国・中国等のメーカーなどが存在しております。

当社グループは、新素材及び新製品の開発体制の充実を図り、新規分野の需要開拓に注力する所存ですが、これらの競合先メーカーが、当社グループと同品質で、なおかつ低価格の製品を供給できる体制に成長した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 各事業共通事項について

(海外事業展開について)

当社グループは現在、世界110を超える国と地域へ製品を供給しており、当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は77.4%となっておりますが、今後、当社グループがさらに飛躍するために、海外販売をより積極的に展開する方針であり、今後は需要拡大に備え、海外生産拠点の強化・拡充を引続き進めていく所存であります。当社グループが引続き成長を続けるためには、新たな市場における販売ルートの確立や設備投資を引続き慎重に進めていく所存ですが、海外環境の動向等により、海外事業が計画どおりに展開されない可能性があります。仮にこのような事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(海外生産への依存について)

当社グループは、日本国内施設は主に研究開発拠点と位置付ける一方、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.及びTOYOFLEX CEBU CORPORATIONは重要な生産拠点として位置付け、現在、量産品については、原則として当該連結子会社に生産移管しております。

一番の主力の生産拠点であるASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.より、第二の生産拠点であるASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.に継続的に生産移管を行い、また第三の生産拠点であるTOYOFLEX CEBU CORPORATIONにおいても医療機器分野の生産を可能にする体制構築を進めるなどし、リスク分散を図っておりますが、これら3つの連結子会社が洪水、地震等の天災や政治、経済、法律、文化、ビジネス慣習、労働力不足や労働賃金水準の上昇、その他様々な現地事情等により操業低迷や不能に陥った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(原材料価格の高騰について)

当社グループが製造する製品の多くは、原材料の一部に、ステンレス及びプラチナを使用しております。売上高に対しての原材料比率は比較的低いものの、これら原材料の価格の高騰が予想を上回る状況で進行した場合、特にプラチナ価格の高騰については、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(知的財産権について)

当社グループは製品の開発・製造・販売に関し、知的財産権の確保に努めておりますが、他社から当該権利を侵害される可能性は完全に否定できず、当該権利期間経過後は、他社による同一製品の新規参入の可能性も予測されます。

また、製品に関連し得る他社の知的財産権の侵害防止に努めておりますが、万一、侵害の事実が発生した場合は、係争事件に発展することも含めて、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(自然災害や大規模災害等について)

当社グループはグローバル規模にて販売を行っております。当社グループが事業を展開している地域において、自然災害、病気、感染症、戦争、テロ等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(新型コロナウイルス感染症による影響について)

当社グループは、グローバル規模にて製品の販売を行っております。新型コロナウイルス感染症の発生より、全世界的にカテーテル治療の症例数は減少しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の減少などにより、全世界的に、症例数は徐々に回復基調にあります。

また、当社グループの製造工場はタイ・ベトナム・フィリピンにあります。これらの地域において新型コロナウイルス感染症の影響はありますが、現在のところ製造工場の稼働に関して大きな問題は無く、製品供給について問題は生じておりません。

ただし今後において、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によって、症例数の大幅な減少、生産工場の大幅な稼働の縮小、当社グループの従業員の感染が拡大するなどした場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ 全社的な事項について

(為替リスクについて)

当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上の割合は77.4%であり、その大半は米ドル建てですが、ユーロや元などの外貨についても、取引量の増加に比例し、増加しつつあります。一方、当社グループの主要な生産拠点はタイ、ベトナム、フィリピンにあり、連結子会社のASAHI INTECC THAILAND CO.,LTD.(タイバーツ建決算)、ASAHI INTECC HANOI CO.,LTD.(米ドル建決算)及びTOYOFLEX CEBU CORPORATION(円建決算)との取引は、原則的に全て円建てで取引をしております。したがって、為替が円高米ドル安タイバーツ安に進んだ場合、海外売上高の円換算額が目減りするとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて主に売上原価等の円換算額が減少します。また逆に、為替が円安米ドル高タイバーツ高に進んだ場合、海外売上高の円換算金額が増加するとともに、タイ及びベトナムの連結子会社の業績変動を通じて売上原価の円換算額が増加いたします。

米ドルとタイバーツが連動すれば、為替変動によるメリット・デメリットは概ね相殺されますが、円に対し米ドル安タイバーツ高に進んだ場合には収益が圧迫されるなど、当社グループの業績にマイナスの影響を与える可能性があります。

また、前述の通り米ドルの流入量が多く、タイ及びベトナムの連結子会社においては円の流入量が多いため、急激な為替相場の変動時には、これらの決算通貨への交換時に発生する為替差損益が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(保有株式に関するリスクについて)

当社は、原則として、取引先や業務提携先とのさらなる事業発展やシナジー効果等を目的として、市場性のある株式を保有しております。したがって、将来、株式相場の悪化や投資先の業績不振等により、大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式に減損が発生し、当社の業績と財務状況に影響を与える可能性があります。

(企業買収に関するリスクについて)

当社グループは、企業価値を向上させるために必要な技術やその他の要素の外部からの獲得が、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の確立に資するといった効果が見込める場合には、必要に応じて、企業買収を実施しております。企業買収の実施にあたっては、市場動向や、当該企業の財務内容、契約内容、技術優位性や市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ並びに企業買収に伴うリスクなどについてデューデリジェンスを行い、事前にリスク回避するように努めております。しかしながら、事前の調査・検討にも関わらず、買収後の事業環境に急激な変化が生じた場合、不測の事態が発生した場合、買収した事業が計画通りに展開することができず投下した資金が回収できない場合、追加的費用が発生した場合や、のれんの減損が必要となった場合などにおいて、当社グループの事業展開、経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。

(情報セキュリティについて)

当社グループは、事業全般においてITシステムを活用しております。コンピューターウィルス対策などの外部攻撃に対する対応や、セキュリティ遵守に関する従業員教育などにより、リスクの低減に努めておりますが、ITシステムへの不正アクセスやサイバー攻撃、又は自然災害などの不測の事態により、ITシステムの長期間の停止、個人情報や機密情報の流出などが発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年6月30日)現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当社グループは、2021年8月に策定いたしました2022年6月期から2026年6月期までの5ヵ年の中期経営計画『ASAHI Going Beyond 1000』に基づき、連結売上高1,000億円を超えて、更に成長するための事業ポートフォリオの構築として、「グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大」を推進することで、これまでの基本戦略の集大成を図り、既存事業の収益基盤を強化、また将来に向けた成長への投資を継続することにより「グローバルニッチ市場における新規事業の創出」を実現し、グローバルニッチ市場における当社のプレゼンスの強化と企業価値の一層の向上を目指し、その成長戦略を支えるためのビジネス基盤として、「グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築」を進めるとともに「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を図ってまいりました。

その実現に向けた施策として、当連結会計年度では、①株式会社A-Traction(日本:ロボティクス化の推進を目的/2021年8月1日付け社名変更:朝日サージカルロボティクス株式会社)、KARDIA S.R.L.(イタリア:直接販売化の推進を目的とした現地販売代理店)、Pathways Medical Corporation(米国:表面薄膜配線技術の獲得を目的)、Rev.1 Engineering, Inc.(米国:ODM・OEMの強化を目的とした設計開発支援会社)の4社について、 2021年7月付で買収を実施、②株式会社カネカの新型脳動脈瘤塞栓コイルについて、米国市場における販売提携契約を締結、③プライム市場への移行を実現、④次世代手術支援ロボットの操作トレーニング機会の提供を目的とした東京トレーニングセンターを開設、⑤医療機器分野におけるODM・OEM事業の積極的な推進を目的に、当該事業を100%連結子会社であるフィルメック株式会社に移管することを決議、⑥歩行力トレーニングサービス事業を行うことを目的とする合弁会社「株式会社walkey」を設立、⑦当社グループが開発した胆膵領域の内視鏡治療用ダイレータ「Tornus ES」についてオリンパス株式会社と国内独占販売契約を締結することなどを実施いたしました。

今後におきましても、中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、企業価値の向上を目指してまいります。

また、2021年12月16日に、台風22号がフィリピンを直撃し、当社連結子会社TOYOFLEX CEBU CORPORATION(セブ工場)がデバイス事業を中心に被災いたしましたが、1月中旬より順次操業を再開しております。当連結会計年度においては、この台風被害に伴う損害の一部を特別損失として計上しておりますが、当社グループ全体の当期の業績への重大な影響はございませんでした。

上記のような環境の中、当社グループの当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響により縮小した市場規模が前年同期比で回復傾向にあることや、為替が円安に推移したこと、市場ニーズの増加、複数社の買収の効果、ドイツにおける直接販売化の推進などにより、欧州・中国を中心に海外売上高が大幅に増加し、777億48百万円(前年同期比26.4%増)となりました。

売上総利益は、売上高の増加に伴い、510億82百万円(同23.2%増)となりました。

営業利益は、海外市場の売上高の増加や直接販売化推進に伴う営業関係費用の増加、買収実現に伴う対象会社の費用やのれん償却費などの増加、開発強化のための研究開発費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したものの、152億39百万円(同19.1%増)となりました。

経常利益は、為替差益が増加し、163億26百万円(同23.7%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、段階取得に係る差益6億15百万円による特別利益の発生、及びセブ工場の台風被害に伴う特別損失6億9百万円を計上し、108億57百万円(同8.7%増)となりました。

 

 

セグメントごとの経営業績は、次のとおりであります。

(メディカル事業)

メディカル事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により縮小した市場規模が前年同期比で回復傾向にあることや、為替が円安に推移したこと、複数社の買収の効果、ドイツにおける直接販売化の推進などにより、欧州・中国を中心に海外売上高が大幅に増加し、売上高は増加いたしました。

国内市場においては、循環器系領域のPCIガイドワイヤーや治療用カテーテル、末梢血管系製品・脳血管系製品が順調に推移したものの、医療償還価格の下落が発生したこと、消化器系製品について直接販売切り替えに伴う返品が生じたことや、OEM取引の減少などにより、売上高は横ばいに推移いたしました。

海外市場においては、全地域において、新型コロナウイルス感染症の影響により縮小した市場規模が前年同期比で回復傾向にあることに加え、為替が円安に推移したこと、KARDIA S.R.L.及びRev.1 Engineering, Inc.の買収の効果による売上高の増加、ドイツにおける直接販売化の推進などにより、循環器系領域のPCIガイドワイヤーや貫通カテーテルを中心に、大変順調に推移いたしました。非循環器系領域についても、脳血管系、末梢血管系、OEM製品を中心に好調に推移いたしました。なお、ロシア・ウクライナ情勢悪化の影響は軽微であります。

以上の結果、売上高は683億45百万円(前年同期比28.8%増)となりました。

また、セグメント利益は、140億52百万円(同2.6%増)となりました。

 

(デバイス事業)

デバイス事業は、新型コロナウイルスの影響が回復したことによる市場ニーズの増加などにより、売上高は増加いたしました。なお、セブ工場被災の影響は軽微であります。

医療部材については、国内市場は売上高が減少いたしましたが、海外市場においては米国企業向け循環器系検査用カテーテル部材及び循環器系超音波カテーテル部材の取引が増加したことなどから、売上高は増加いたしました。

産業部材につきましては、海外市場においてはレジャー関連取引が好調に推移いたしましたが、国内外市場において建築関連や自動車関連の取引が減少したことから、売上高は減少いたしました。

以上の結果、売上高は、94億3百万円(前年同期比11.4%増)となりました。

また、セグメント利益は、外部売上高及びセグメント間売上高の増加により、53億27百万円(同59.0%増)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

メディカル事業

57,609

7.1

デバイス事業

34,070

174.6

合計

91,680

38.5

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

当社グループの製品は、見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

メディカル事業

68,345

28.8

デバイス事業

9,403

11.4

合計

77,748

26.4

 

(注)   セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産につきましては、総資産額が1,551億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ397億円増加しております。主な要因は、現金及び預金が109億62百万円、受取手形及び売掛金が38億77百万円、建物及び構築物が39億48百万円、のれんが56億50百万円、投資有価証券が23億67百万円それぞれ増加したことによるものであります。

負債につきましては、負債合計額が339億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ115億7百万円増加しております。主な要因は、支払手形及び買掛金が14億85百万円、短期借入金が12億22百万円、未払法人税等が11億16百万円、長期借入金が29億13百万円それぞれ増加したことによるものであります。

純資産につきましては、純資産合計額が1,211億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ281億92百万円増加しております。主な要因は、M&Aや設備投資などの資金調達を目的に、新株予約権の発行によるエクイティ・ファイナンスを実施し資本金が62億13百万円、資本剰余金が62億10百万円増加したことや利益剰余金が78億63百万円増加したことによるものであります。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、323億21百万円(前年同期比51.3%増)となっております。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、173億2百万円(前年同期比83億81百万円増)となりました。これは主に、売上債権が16億24百万円増加、棚卸資産が32億60百万円増加したこと及び法人税等の支払額が34億36百万円であったものの、税金等調整前当期純利益が157億30百万円、減価償却費が64億39百万円であったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、187億3百万円(前年同期比23億75百万円増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が79億81百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が69億34百万円であったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により調達した資金は、113億68百万円(前年同期比12億57百万円増)となりました。これは主に、短期借入金が15億50百万円減少、配当金の支払額が29億94百万円であったものの、新株予約権の行使による株式の発行による収入が123億83百万円、長期借入による収入が52億62百万円であったことによるものであります。

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、スケジューリングの結果に基づき回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ課税所得が減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、継続的に損益の把握を実施している単位ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額の算定にあたっては、外部の情報源に基づく情報等を含む決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。

 

(のれん及びその他の無形固定資産の評価)

資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年6月30日)現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 今後の見通し

当社は、長期的に連結売上高1,000億円を超えることを目標に、新中期経営計画「ASAHI Going Beyond 1000」にて、以下の4つの基本方針を定めております。

①グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大

②グローバルニッチ市場における新規事業の創出

③グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築

④持続的成長に向けた経営基盤の確立

本計画では、事業ポートフォリオの構築として、「グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大」を引き続き推進することで、これまでの基本戦略の集大成を図り、既存事業の収益基盤を強化いたします。また、将来に向けた成長への投資を継続することにより「グローバルニッチ市場における新規事業の創出」を実現し、グローバル市場における当社のプレゼンスの強化と企業価値の一層の向上を目指します。その成長戦略を支えるためのビジネス基盤として、「グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築」を進めるとともに「持続的成長に向けた経営基盤の確立」を図ってまいりたいと考えております。

2023年6月期における業績予想は、前期より回復基調にあった、新型コロナウイルス感染症に伴う血管内カテーテル治療の症例数について、中国およびアジアなどの一部の地域を除き、ほぼ従前の水準まで回復してくることを想定しております。なお、症例数の動向については、仮定に基づいており、新型コロナウイルス感染症の状況や、待機症例の治療件数などの動向によって、大きく変化する可能性があります。

 

(単位:百万円)

 

2022年6月

2023年6月期

増減額

増減率

売上高

77,748

89,339

11,590

14.9%

のれん償却額等を

除く営業利益

16,893

19,163

2,269

13.4%

営業利益

15,239

17,433

2,194

14.4%

経常利益

16,326

17,423

1,097

6.7%

親会社株主に帰属
する当期純利益

10,857

12,405

1,548

14.3%

 

 

<売上高>

(メディカル事業)

メディカル事業では、日本において医療償還価格の下落などのマイナス影響があるものの、新型コロナウイルス感染症による症例数の減少が、中国およびアジアなどの一部の地域を除き、ほぼ従前の水準まで回復する想定であることや、前期より継続している円安効果などにより、海外市場を中心に売上高は増加する見込みです。

国内市場では、非循環器系領域において、消化器系製品が伸長する見込みであるものの、医療償還価格の価格改定が通期で適用されることなどから、売上高は減少する見込みです。

海外市場では、新型コロナウイルス感染症による症例数の減少が、中国およびアジアなどの一部の地域を除き、ほぼ通常まで回復する想定であることや、前期より継続している円安効果などにより、全地域において、循環器系領域及び非循環器系領域共に増加する見込みです。循環器系領域においては、PCIガイドワイヤーや貫通カテーテルが、全地域において増加することを見込んでおります。米国市場のPCIガイドワイヤーについては、直接販売化を活かし、引き続き市場シェアの拡大を目指してまいります。また、欧州市場においては、直接販売化地域であるドイツ・フランス・イタリアでの拡販や、東欧地域での代理店販売の増加などにより、売上の増加を目指します。中国市場においては、新型コロナウイルス感染症による症例数の減少影響があるものの、集中入札制度への戦略的な対応に伴う販売代理店網の再構築などにより、引き続き着実に売上拡大を目指してまいります。

 

非循環器系領域においては、脳・末梢・腹部血管系製品群の全てにおいて、増加することを見込んでおります。なお、米国市場において、末梢血管系ガイドワイヤーの新製品「CROSSLEAD」の販売を第1四半期から開始する予定であり、今後シェアアップを目指してまいります。

また、ODM・OEM分野については、国内においては内視鏡関係の取引が減少することにより、売上高は減少いたしますが、海外においては、米国を中心としてODM・OEM事業を強化することなどにより、売上高は増加する予定であり、全体としては好調に推移する予定です。

なお、血管内カテーテル治療の症例数は、新型コロナウイルス感染症の動向や、病院側の制約、医療従事者の環境変化などによって影響を受けるため、症例数動向に応じて売上高の動向に影響が生じる可能性があります。

 

(デバイス事業)

デバイス事業は、医療部材・産業部材ともに売上高は増加する見込みです。

医療部材については、取引先の動向に比例し、米国向けの循環器系検査用カテーテル部材や、腹部血管系カテーテル部材が増加し、売上高が増加する見込みです。

産業部材については、海外市場におけるレジャー関連取引が引き続き順調に推移することにより、売上高が増加する見込みです。

 

<売上総利益>

売上総利益は、増収に比例して、増加する予定です。売上総利益率については、プラチナなどの材料費高騰の影響や、為替動向、製造工場での賃金上昇などにより、低下する見込みです。

 

<販売費及び一般管理費>

販売費及び一般管理費は、将来の成長性を持続し、更に伸張させるための先行的な費用を引き続き積極的に投下することを予定しております。研究開発費や、販売・マーケティングなどの強化のための営業費用、売上連動費用、組織強化のための人件費の増加などを見込んでおります。

 

<営業外損益・特別損益>

営業外損益及び特別損益におきましては、影響額の大きな取引などは、現在のところ見込んでおりません。

なお、本業績予想における外国為替レートは、1米ドル=127.00円、1ユーロ=135.00円、1中国元=19.00円、1タイバーツ=3.90円を前提としております。

 

(b) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループを取り巻く事業環境に関連して経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2  事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

また、資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金は、自己資金によりまかなっております。

(参考)キャッシュ・フロー指標のトレンド

回次

第42期

第43期

第44期

第45期

第46期

決算年月

2018年6月

2019年6月

2020年6月

2021年6月

2022年6月

自己資本比率(%)

74.3

77.6

76.8

80.5

77.0

時価ベースの自己資本比率(%)

745.5

818.8

852.0

612.0

358.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.6

0.6

0.8

1.0

0.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

232.5

195.3

134.0

67.0

106.7

 

(注) 1  自己資本比率:自己資本/総資産

2  時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

4  インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

5  各指標は、連結ベースの財務数値より計算しております。

6  営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)販売契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

朝日インテック㈱

テルモ㈱

日本

ミニガイドワイヤーの取引基本契約

自 2013年11月1日

至 2014年11月1日

以降1年ごとに自動更新

 

(注)2022年5月13日付け契約上の地位承継に関する覚書により、2022年7月1日よりテルモ㈱との契約の契約当事者が朝日インテック㈱からフィルメック㈱に移転しております。

 

 

5 【研究開発活動】

研究開発型企業である当社グループは、創業時より研究開発活動を経営の重要項目の1つとして位置付けております。

当社グループは、4つのコアテクノロジー(伸線技術、ワイヤーフォーミング技術、コーティング技術、トルク技術)を主体とした、高度で独自性の高い素材加工技術を備えることに加えて、原材料から製品までの一貫生産体制を構築することによって、当社独自の素材及び機能を有した製品の開発・製造が可能となっております。

これは、同業他社ではあまり見られない医療機器分野と産業機器分野の技術循環、日本の研究開発拠点と海外の生産拠点との技術連携など、当社グループならではの強みであります。また、これら当社独自の機能を活かし、近年では、医療現場での豊富な経験を持つ各分野におけるトップドクターとの共同研究開発体制を強化しており、医療現場に密着した製品開発を展開しております。これらの融合が、医療機器分野での競合先との差別化を図り、競争優位性のある製品を供給し続けている大きな要因にもなっております。

また、米国の直接販売の拠点である連結子会社ASAHI INTECC USA, INC.において、最終顧客であるドクターからのニーズや評価をダイレクトに反映し、試作レベルまでの対応を可能とした研究開発体制を構築しています。連結子会社ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.の研究開発拠点をさらに拡充させ、製品仕様の検討を含めた既存製品の改良などをより積極的に進めてまいりました。

国内においては、当社グループの研究開発拠点の中心である瀬戸工場の敷地内に2018年に新社屋を建設し、臨床現場に近い研究開発環境整備を実現いたしました。また研究開発機能強化を目的に、東京R&Dセンターの開設や、グローバル本社・R&Dセンター(愛知県瀬戸市)及び東北R&Dセンター(青森県八戸市)に新棟を建設し拡充することを決定するなど、国内の研究開発体制についても、より充実させてまいります。

今後も、当社グループのOnly One技術の発展と、それに伴うお客様のNumber Oneの実現を目指し、研究開発活動を進めてまいります。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費用の総額は、8,869百万円であります。

 

セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(メディカル事業)

ガイドワイヤー、カテーテル製品分野共に、循環器系製品のさらなる進化に向けた取組みを継続すると共に、非循環器系の製品群の強化と拡充に取組んでまいりました。

当社が最も強みを持つガイドワイヤー製品の分野においては、慢性完全閉塞用のガイドワイヤーである「GAIA Next 4th」は、GAIA Nextシリーズの最新のラインナップとして開発されたガイドワイヤーであり、これまでのGAIA Nextで培った技術を更に深化させることにより、GAIA Nextシリーズの特徴を保ちつつ、固い狭窄部位の穿通性を向上させております。本製品により従来のラインナップでは難渋していた慢性完全閉塞の治療時間の短縮にも貢献できる可能性があります。

非血管系の新規領域では、ERCP用ガイドワイヤーのFealder25を開発しました。さらに、消化器用のダイレータとして開発した「Tornus ES」は、従来の通電ダイレータと異なり手元の回転操作により容易に目的部位を貫通させることができるデバイスであり、コアテクノロジーとこれまで血管内治療用の貫通カテーテルで培ってきた製品技術を融合することにより、臨床現場の要求を具現化した製品として開発いたしました。

2022年2月に開所した東京R&Dセンターでは、ソフトウェア技術の研究、センサ技術の研究を推進しております。

また、株式会社FUJIとの協業で開発したエコーガイドロボットは、第一世代のロボットを施設限定で導入、次世代機開発に向けての臨床評価を重ねております。

当連結会計年度における研究開発費は、7,364百万円であります。

 

 

(デバイス事業)

医療部材につきましては、当社独自の高機能部材である中空のケーブルチューブ「ACT ONE(アクトワン)」や、トルク伝達性、高速度回転駆動に優れるトルクコイル・ドライブケーブル、破断強度の高いハイテンションワイヤーロープ及びそれらのアッセンブリー技術などが高く評価されており、国内外大手の医療機器メーカーや産業機器メーカーに部材並びに追加工製品を量産納品しています。また、当連結会計年度は、メディカル事業のPTCAガイドワイヤー「Gaia Next」シリーズや、内視鏡ダイレータ「Tornus ES」などの部材の開発を行い、自社ブランド製品を中心とするメディカル事業の新製品開発に加えODM製品の開発にも当事業の技術開発力が寄与しています。

医療機器メーカー向け部材につきましては、ロボティクス、内視鏡処置具及び本体、IVUS、OCT等、産業機器メーカー向け部材につきましては、靴紐、釣糸等、様々な用途に応じた設計・試作を柔軟に対応することにより、新規案件が幅広く増加しています。加えまして、各案件の量産化に向けましての製品検証活動に注力しています。

当事業では引続き、当社のコアテクノロジーを進化させると共に、Only Oneとなる新製品開発や、さらなるレーザー加工技術開発、精密加工技術の深耕などの新たな取組みを行うなどし、様々な分野で採用していただける高機能・高付加価値の技術・製品の開発を行ってまいります。

当連結会計年度における研究開発費は、1,504百万円であります。