(1) 業績
当事業年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日)における我が国経済は、中国をはじめとするアジア新興国や資源国等の景気下振れから不透明感が強いことに加え、英国のEU離脱問題、米国新政権の経済政策の動向など海外経済の不確実性の高まりを背景に、先行き不透明な状況で推移しました。
再生医療分野では、平成26年に旧薬事法の改正によって施行された医薬品医療機器等法のもとで、新たに複数の企業主導治験及び医師主導治験が開始されました。さらに日本国内の企業やアカデミアに加えて、海外企業による治験も計画されています。これまで再生医療における研究開発は、国内のアカデミアやベンチャー企業が主導してきましたが、最近では大手製薬メーカーなどの大企業や、海外からの参入が盛んになってきました。再生医療関連企業団体である一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の会員数も増加の一途をたどり、日本再生医療学会やその他の関連団体と協力しながら、再生医療の産業化に向けた活動が活発に行われています。一方、新たに制定された再生医療等安全性確保法のもとで、再生医療の臨床研究や自由診療が積極的に行われています。世界初のiPS細胞の臨床応用である網膜の加齢黄斑変性治療は、患者由来の細胞を用いた臨床研究から、患者以外のドナー由来細胞を用いた臨床研究に変更して再開されました。このように、わが国における再生医療は、制度的枠組みの整備や社会の後押しを背景に、産業化に向けてますます加速しています。
このような状況の下、当社は、平成28年6月に代表取締役社長執行役員に富士フイルム出身の比留間愛一郎を選任しました。新たな経営体制の下、富士フイルムとの強いパイプを生かすとともに、経営の執行力を強化しています。
当事業年度における売上高は、再生医療製品事業の売上高が好調に推移したことにより2,135,149千円(前年同期比49.2%増)となりました。加えて販売費及び一般管理費の削減により、営業利益は312,388千円(前年同期は722,599千円の営業損失)となり、創業以来初めての営業黒字を達成致しました。経常利益は309,951千円(前年同期は677,699千円の経常損失)となり、当期純利益は276,242千円(前年同期は681,539千円の当期純損失)となりました。
なお、セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、2,043,331千円(前年同期比52.8%増)、研究開発支援事業の売上高は、91,818千円(前年同期比1.4%減)となりました。
各セグメントにおける概況は以下のとおりです(□内は当事業年度における主な成果です)。
[再生医療製品事業]
当社は再生医療製品事業において自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。また委託研究機関からの助成金等を活用しその他の製品開発を進めるとともに、受託開発・受託製造を積極的に進めました。
・自家培養表皮ジェイス
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重症熱傷を適応対象とする自家培養表皮ジェイスは、平成28年9月、先天性巨大色素性母斑を適応として追加する一部変更承認を取得し、平成28年12月より保険収載されました。国内の再生医療等製品において初めての適応拡大です。これを受け、12月には母斑第1症例目となる組織採取を行い、製造販売を開始しました。普及に向けて、アカデミアと連携して研究会の立ち上げにも着手しました。 |
自家培養表皮ジェイスは、平成21年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷患者の治療を目的としています。平成28年4月より、ジェイスの保険適用に関し、保険機能区分が①採取・培養キットと②調製・移植キットの2つに細分化され、償還価格がそれぞれ①4,380千円、②151千円/枚に改定されました。ジェイスは、重傷熱傷患者の治療を目的としているため、受注から製品が使用されるまでの間に、患者死亡等の理由で使用中止になることがあり、保険償還できないリスクを抱えていました。平成28年4月の保険機能区分の細分化により、製造を中止した場合でも、①採取・培養キットの保険償還が可能となりました。当社は、先天性巨大色素性母斑への適応拡大を通じて、ジェイスの更なる売上増加を図っていきます。
・自家培養軟骨ジャック
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移植実績や医師の認知度などに合わせてきめ細かな普及活動を展開した結果、移植実績をもつ医療機関数、受注数ともに増加しました。平成29年3月末現在、ジャックを使用できる医療機関(使用認定施設)は260施設となり、全都道府県で使用可能です。一般の患者様向けにも、自家培養軟骨移植術を受けたスポーツ選手を起用した特設サイトを開設し、治療やリハビリの体験談などを動画で紹介するなど、ジャックを使用する治療法「自家培養軟骨移植術」の認知度向上を目指した活動にも力を入れました。更に当社は、ジャックの適応拡大として、手技簡素化/低侵襲化を目指す開発を進めました。 また、ジャックは費用対効果評価の試行的導入における既収載品の対象品目として選定されたため、当社は、対症療法との費用比較と使用成績調査における有効性評価データを用いてジャックの費用対効果を分析し、平成29年3月に厚生労働大臣に「費用対効果評価分析結果報告書」を提出・受理されました。 |
自家培養軟骨ジャックは、平成25年4月より保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、適応対象は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。ジャックの保険機能区分についてもジェイス同様に細分化され、平成28年4月より、償還価格が①採取・培養キット879千円、②調製・移植キット1,250千円に改定されました。当社は、軟骨領域におけるジャックの浸透を図り、売上増加につなげていきます。
・自家培養角膜上皮
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片眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を適応対象として治験を実施する中で、当社は製造データを収集しつつ、安定した品質の治験製品を医療機関に提供しました。この度、培養角膜移植の実績がある医療機関が新たに治験施設として加わり、予定していた症例数に対する移植が完了しました。更に当社は、フォローアップ治験を開始しています。 |
自家培養角膜上皮は、ニデックからの委託により開発を進めています。片眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を適応対象として、希少疾病用再生医療等製品の指定のもと、平成26年10月から治験を実施しています。治験遂行においては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金も活用しています。
・受託開発・受託製造
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上記ニデックから受託している角膜上皮開発に加え、富士フイルムが開発した生体適合性に優れるリコンビナントペプチドを活用した再生医療等製品の開発を進めました。平成28年4月より新たな事業として開始した、医薬品医療機器等法のもとでの再生医療等製品の開発製造受託(CDMO)サービス、開発業務受託(CRO)サービスを展開し、大阪大学や東京医科歯科大学、東京慈恵会医科大学などから再生医療研究における業務を受託しました。また、再生医療等安全性確保法のもとでは、再生医療等提供機関及び特定細胞加工物製造事業者に向けたコンサルティング業務や医療機関からの細胞培養を受託しました。 |
当社は、自社製品の開発で積み重ねた経験と、製造・販売に必要な組織体制を保有しています。これらの蓄積したノウハウと確立したシステムにより、医薬品医療機器等法、再生医療等安全性確保法それぞれのもとでの受託ビジネスを展開しています。当社は、国内外の開発案件を開発の初期段階から市販後までシームレスで長期にサポートし、再生医療受託事業を当社の中核事業に育てていきます。
・その他
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当社は、平成29年3月、中国における自家培養軟骨ジャックの特許に関する一切の権利を富士フイルムへ譲渡・移転することを決定し、これに伴い譲渡一時金300,000千円を売上として計上しました。 また当社は、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業」(「平成28年度 再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発」)など、採択された国の研究機関からの委託事業や助成事業についての研究を進めました。その結果、当平成29年3月期において、280,689千円を助成金対象費用として販売費及び一般管理費から控除しました。 |
[研究開発支援事業]
当社は研究開発支援事業において、医療用培養表皮や培養軟骨の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織(ラボサイトシリーズ)の製造販売を進めました。
・ラボサイトシリーズ
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ラボサイト エピ・モデル24を中心に、化粧品開発企業や製薬企業を主な顧客として販売を進めました。ラボサイト角膜モデルでは、経済協力開発機構(OECD)が推進する眼刺激性試験の標準化を目指した共同研究を終了しました。眼刺激性試験の OECDガイドライン収載に向けて、順調に準備を進めています。 |
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。ラボサイトエピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法は、標準法の一つとしてOECDの試験法ガイドラインTG439へ収載されています。また、同様にラボサイト角膜モデルでも、OECDが推進する眼刺激性試験の標準化を目指しています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年末に比べて35,869千円増加し、2,189,734千円となりました。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は54,950千円となり、前事業年度の346,906千円の使用と比べ401,857千円増加しました。この主な要因は、黒字化により税引前当期純利益を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は22,242千円となり、前事業年度と比べ2,937,401千円使用金額が減少しました。この主な要因は、前事業年度における定期預金の預入による支出が2,700,000千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は3,161千円となり、前事業年度の5,864千円の使用と比べ、9,026千円の増加となりました。この主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入の増加によるものであります。
(1) 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)
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前年同期比(%)
|
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再生医療製品事業(千円) |
1,100,677 |
137.7 |
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研究開発支援事業(千円) |
91,818 |
98.6 |
|
合計(千円) |
1,192,495 |
133.6 |
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
再生医療製品事業 |
1,206,441 |
137.6 |
125,603 |
117.4 |
|
研究開発支援事業 |
91,629 |
98.2 |
5,023 |
98.3 |
|
合計 |
1,298,070 |
133.8 |
130,626 |
116.5 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)
|
前年同期比(%)
|
|
再生医療製品事業(千円) |
2,043,331 |
152.8 |
|
研究開発支援事業(千円) |
91,818 |
98.6 |
|
合計(千円) |
2,135,149 |
149.2 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、富士フイルムに対する販売実績には、知的財産権等収益が含まれております。
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相手先 |
前事業年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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金額 (千円) |
割合 (%) |
金額 (千円) |
割合 (%) |
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富士フイルム株式会社 |
450,421 |
31.5 |
865,636 |
40.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュ・エンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する」ことを会社設立の趣旨とし、企業理念である「再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者様のQOL(生活の質)向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする」に基づいて、再生医療等製品及び関連製品の開発、製造、販売並びに開発製造受託(CDMO)、開発業務受託(CRO)を行います。
(2) 経営戦略
基本方針:成長軌道を維持し、経費管理の徹底で、収益力強化。
①既存事業の持続的成長
1.自家培養表皮ジェイスは、重症熱傷の標準的な治療として、売上の安定化を図ります。また、医療機関と連携して、母斑の治療法としての認知を高め、受注に繋げます。
2.自家培養軟骨ジャックは、富士フイルムのSYNAPSE VINCENT(3次元画像解析システム)との連携や、移植手技の簡易化・低侵襲化により成長を加速させます。
3.ラボサイトは、発売以来初めての値上げにより収益改善を図るとともに、OECDテスト ガイドライン収載で、再び成長軌道に乗せます。
②新規事業(受託事業)の育成
1.CDMO・CROビジネスを受託事業として、当社の中核事業に育成します。
2.富士フイルムと連携して、グループ外の新規受託先を開拓します。
3.眼科領域では、受託開発品の製造販売承認を取得し、受託製造を開始します。
4.再生医療安全性確保法下での特定細胞加工物の製造受託も展開します。
③経営基盤の強化
1.経営管理本部の設置により、経費管理の徹底(投入と抑制のバランス)を追求します。
2.生産統括本部の設置により、高品質、高効率・低コストの生産を追求します。
3.機能分担、商品開発、海外展開等、富士フイルムグループとのシナジーを追求します。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
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(単位:百万円) |
売上高 |
対前期成長率 |
営業利益 |
営業利益率 |
経常利益 |
当期純利益 |
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平成30年3月期(計画) |
2,492 |
16.7% |
289 |
11.5% |
288 |
266 |
|
平成31年3月期(目標) |
3,198 |
28.3% |
412 |
12.8% |
415 |
377 |
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平成32年3月期(目標) |
3,600 |
12.5% |
504 |
14.0% |
506 |
456 |
(4) 経営環境
平成24年に京都大学iPS細胞研究所 所長 山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことを契機に、我が国は再生医療を成長戦略の一つとして位置付けました。再生医療への期待が急速に高まる中で、再生医療の普及を迅速に進めるための法整備が進められ、平成26年11月に薬事法は医薬品医療機器等法として改正され、新たに再生医療等製品が定義されると同時に、再生医療等製品に条件・期限付承認制度が導入されました。また、再生医療を安全かつ迅速に実施するための再生医療等安全性確保法が施行されました。そのような状況の下、同種細胞を用いた再生医療製品の開発や、国内外技術導入による製薬企業の参入、iPS細胞による再生医療が臨床応用ステージに入るなどの動きが加速しています。一方で、国民医療費は、高齢化の進展、疾病構造の変化、医療の高度化によって年々増大しており、医療保険制度の持続可能性の確保が喫緊の課題となっています。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、会社が対処すべき課題を以下のとおり認識し、その解決に向けた取り組みを展開しています。
①自家培養表皮ジェイスの展開
自家培養表皮ジェイスは、我が国で第1号となる再生医療等製品として平成19年10月に厚生労働省より製造販売承認を受け、平成21年1月に保険収載されました。本品には承認条件及び保険適用に関する留意事項が付与されていますが、医薬品医療機器総合機構に提出した再審査申請の判断によって留意事項が変更される可能性があります。患者死亡等の理由により製造を中止した場合は保険償還されないリスクがありましたが、平成28年4月より保険機能区分が①採取・培養キット、②調製・移植キットの2つに細分化され、保険償還価格も改定されました。保険の算定限度につきましては、引き続き、一連につき40枚とされていますが、これまでに100枚以上使用された例もあることから、学会を通じて算定限度の緩和を求めていきます。
さらに、重傷熱傷の治療に限定されている適応対象の拡大を目的とした開発を進めた結果、平成28年9月に厚生労働省より先天性巨大色素性母斑への適応に関する一部変更承認を受け、同年12月に保険収載されました。これは再生医療等製品の中では、わが国で最初の適応拡大であり、今後、医療現場においてジェイスが母斑の標準治療となるよう、普及を目指し情報提供活動に取り組みます。
②自家培養軟骨ジャックの展開
自家培養軟骨ジャックは、平成24年7月に厚生労働省より製造販売承認を受けました。整形外科領域における我が国初の再生医療等製品であり、平成25年4月に保険収載されましたが、本品には承認及び保険収載の条件として「施設基準」や「実施医基準」等の留意事項が付与されているため、当社は医療機関及び実施医への研修を行う必要があります。当社は保険収載時からこの活動を続け、平成29年3月末には260施設の医療機関が認定施設となりました。現在、国内すべての都道府県でジャックの使用が可能となっています。
なお、平成28年4月に保険機能区分が①採取・培養キット、②調製・移植キットの2つに細分化され、保険償還価格も改定されました。当社は、本品の適正な使用方法について情報提供を行うとともに、承認条件の一つである「再審査期間(7年)中の全症例を対象とした使用成績調査」を適正に実施しております。
また、本品の適応には欠損面積が4cm2以上という条件が付与されています。現在、軟骨欠損はMRIなどの画像で診断されますが、軟骨欠損面積を正確に把握することは技術的に難しいのが現状です。そこで当社は富士フイルム株式会社と協力して軟骨欠損診断の支援技術についても提案していきます。これにより、軟骨欠損の診断を正確かつ容易に行うことができるようになり、ジャックの普及拡大につながるものと考えています。さらに、ジャックの移植手技の簡便化、低侵襲化に取り組むとともに、二次性変形性関節症への適応拡大にも取り組むことでジャックが有するポテンシャルを最大限に引き出していきます。
③自家培養角膜上皮の展開
自家培養角膜上皮は、ニデックからの受託開発です。平成26年10月に治験計画届書を医薬品医療機器総合機構に提出し、治験を実施しています。平成29年3月をもって移植は完了しており、今後フォローアップ治験を進めます。治験遂行においては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金を活用しています。
当社は、委託元であるニデックと今後の開発方針を協議しながら、治験を遅延なく遂行し、早期の承認取得と保険収載を目指します。
④研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの展開
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。動物実験代替への理解促進や認知度向上のため、当社は、動物実験代替法、皮膚基礎科学、幹細胞研究など、最新の研究報告を行うセミナーを開催する等の啓蒙活動を通じて、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの拡販に努めます。
平成25年7月、ラボサイト エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法が、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439へ収載されました。当社は、ラボサイト 角膜モデルを用いた眼刺激性試験法に関しても、OECDの試験法ガイドラインへの収載を目指します。
⑤再生医療受託事業の推進
当社は、自社製品の開発で積み重ねた経験と、製造・販売に必要な組織体制を保有しています。これらの蓄積したノウハウと確立したシステムにより医薬品医療機器等法の下、再生医療等製品の開発製造受託(CDMO)事業及び開発業務受託(CRO)事業を展開しています。現在実施しているものに加え、当社は、更なる事業拡大を目指し、富士フイルムと連携しながら新規取引先の開拓に取り組みます。
また、再生医療等安全性確保法で定義される再生医療等提供機関及び特定細胞加工物製造事業者に向けたコンサルティングサービスも進めており、新規受託案件の獲得に取り組みます。
再生医療受託事業を当社の中核事業に育てるため、親会社である富士フイルムと連携しながら、数多くの開発案件の獲得と社内受入体制の整備を通じて、受託事業を社内及び業界内に根付かせることを目指します。
⑥研究開発体制の強化
色素細胞を含む次世代の自家培養表皮を用いた尋常性白斑や、他家細胞で製造した同種培養表皮を用いたⅡ度熱傷などへの適応を目指し、新製品の研究開発を加速させるため、研究体制の強化に取り組みます。
⑦生産体制の強化
受注生産により製造部門に繁閑が生じることで、設備及び人員の非効率な運用が発生するため、製造や検査作業の効率化、自動化を促進します。また、今後の同種製品の開発や再生医療受託事業における製造受託(CMO)にも応用し、コスト削減に努めます。
⑧販売体制の強化
自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの適正使用に関する情報提供及び販売活動、並びに研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの普及活動において、多くの営業人員を必要としています。販売拡大に向けた営業活動の効率化を図るため、代理店の活用、担当及び人員配置の見直し、営業体制の効率化及び強化に努めていきます。
⑨人事制度の見直し・人材育成の強化
平成28年4月より、新人事制度の導入をスタートしました。公平でチャレンジできる制度や多様な人材の育成を強化する仕組みの構築に取り組んでいます。更に働きがいのある職場環境の整備に努め、人材の強化と会社業績の向上を目指します。
(6) 株式会社の支配に関する基本方針について
①基本方針の内容
当社の財務及び事業の方針を決定する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的に確保、向上していくことを可能とする者であることが必要と考えています。
当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。
また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えます。
ただし、株式の大規模買付提案の中には、ステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社の価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような大規模買付行為を行う者は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考え、かかる提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から経営を負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えます。
②不適切な支配の防止のための取組み
1.企業価値向上への取り組み
当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュ・エンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する。」ことを会社設立の趣旨とし、「再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者様のQOL(生活の質)向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする」という企業理念に基づいて事業を展開しています。当社は、平成19年10月に日本初の製造販売承認を取得した自家培養表皮ジェイス、平成24年7月に製造販売承認を取得した自家培養軟骨ジャックに代表される医薬品医療機器等法の適用を受ける再生医療製品事業と、医薬品医療機器等法の適用を受けない研究開発支援事業を展開しています。
当社は企業価値向上への取り組みとして、年度毎に経営計画を策定し、代表取締役が直接全役職員に説明することにより目標の共有化を図り、全社一丸となって企業理念の実現に向け事業を展開しています。また、再生医療製品事業を推進するにあたり実質的な親会社となる富士フイルムと密接な連携を図ることにより、グループとしてより効率的に取り組んでいます。
当社の具体的な取り組みとして、再生医療等製品のメーカーとして製造販売承認を取得した自家培養表皮ジェイス、及び自家培養軟骨ジャックの製造販売活動を積極的に展開しています。また、自家培養角膜上皮の受託開発に関しても治験を実施しています。その他にも富士フイルム等からの受託開発を行うとともに、海外展開を含めた次期製品並びに将来事業の開発を推進しています。研究開発支援事業につきましては、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの販売拡大に注力するとともに、同製品のラインナップを増やすべく研究開発を進めています。これらの再生医療等製品の開発や製造販売を行っていることだけでなく、製造販売承認を取得する過程で培ってきたノウハウ、並びに研究開発支援事業製品の販売拡大が当社の企業価値の大きな要素となっています。
当社は、情報開示体制を整備し、再生医療の啓蒙を兼ねたPR活動を適切に行うことにより、多くの投資家の要望に応えることができる積極的なIR体制の構築、運用に努めています。また、適切に牽制がかかり情報の信頼性を担保する内部統制体制の維持、改善を目的として内部統制基本方針を定め運用しています。また、再生医療事業を行っている会社として魅力のある職場環境の実現に努め、当社の永続的成長に不可欠な社員の育成・充実を図り、海外展開をも視野に入れた人材の育成・強化に取り組んでいます。
このような当社の創業以来の取り組みの積み重ねが、現在の企業価値の源泉になっています。当社は、当社の企業文化の根源である設立趣旨、企業理念を高い次元で実現することにより、社会的意義を高め、経営資源を有効に活用するとともに、全てのステークホルダーとの良好な関係を維持・発展させ、結果として当社の企業価値及び株主共同の利益の向上に資することができるものと考えます。
2.コーポレート・ガバナンスについて
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するために、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制及び公正で透明性のある経営システムを構築し、これを維持することに取り組んでいます。
当社の取締役会は8名で構成され、その内1名は社外取締役です。取締役会は当社の経営戦略を策定・遂行するとともに、取締役の職務遂行を監督しています。また、監査役3名(うち社外監査役2名)で構成される監査役会は、内部監査室及び会計監査人並びに顧問弁護士と緊密な連携を保ち、情報交換を行い、監査の有効性・効率性を高めています。常勤監査役は取締役会、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会等重要な会議に出席するとともに、業務及び財産の状況の確認を通じて取締役の職務遂行を監査しています。
当社は創業時より、研究・開発事業に関する倫理的妥当性について審査を行うこと、及びヒト組織・細胞等の収集・提供の実施状況など事業全般にわたる倫理的評価を行うことを目的に、企業委員2名、外部委員6名で構成されるJ-TEC倫理委員会を設け適切に運営しています。また、「研究開発におけるヒト組織および細胞の取扱いに関する倫理基本方針」、「自家培養製品に関する倫理基本方針」及び「同種培養製品に関する倫理基本方針」を定めています。
さらに当社では、業務上抱える各種リスクを正確に把握・分析し、適切に対処すべく、継続的にリスク管理体制の強化に取り組んでいます。主管部署は経営管理部が担当していますが、総合的なリスク管理については、リスク管理委員会で討議し、必要に応じて取締役会で検討をしています。また、災害、重大事故、訴訟等の経営に重大な影響を与える事実が発生した場合には、直ちに担当部署から部長、情報取扱責任者、代表取締役に連絡する体制をとり、状況を迅速・正確に把握し対処することとしています。
③不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
上記②に記載した企業価値向上への取り組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
当社は再生医療製品事業及び研究開発支援事業を展開していますが、以下において、当社の事業展開その他に関してリスクの要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。当社として必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。
以下の記載は、平成29年3月期末現在において当社が判断したものであり、当社事業に関連するすべてのリスクを網羅するものではありませんのでご留意ください。
I.当社事業に関するリスク
(1)再生医療製品事業
①市場規模について
(a)自家培養表皮ジェイス
自家培養表皮ジェイスは「自家植皮のための恵皮面積が確保できない重篤な広範囲熱傷で、かつ受傷面積として深達性Ⅱ度及びⅢ度熱傷創の合計面積が体表面積の30%以上の熱傷」を適応対象としており、その市場規模は著しく限定的です。また、先天性巨大色素性母斑に関しましても、希少疾病であり、その市場規模は著しく限定的です。
そのため、一定割合以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況により年間売上高が大きく変動する可能性があり、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(b)自家培養軟骨ジャック
自家培養軟骨ジャックは、「膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く。)の臨床症状の緩和」を適応対象としています。「ただし、他に治療法がなく、かつ軟骨欠損面積が4cm2以上の軟骨欠損部位に適用する場合に限る」とされており、その市場規模は限定的です。
そのため、一定割合以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況により年間売上高が大きく変動する可能性や、他社の参入により限られた市場におけるシェアが確保できなくなる可能性があります。このような場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(c)受託開発・受託製造
当社は、開発製造受託(CDMO)及び臨床開発業務受託(CRO)に取り組んでおり、眼科医療機器メーカーである株式会社ニデックからは自家培養角膜上皮の開発を、富士フイルム株式会社からは複数の開発案件を受託していますが、開発状況や委託元の方針変更等により受託業務の解約や規模の縮小等の可能性も否定できません。
また、再生医療等の提供機関及び細胞培養加工製造事業者等に対するコンサルティング並びに細胞培養受託においても、潜在市場が当社の想定と異なり、極端に小さい可能性があります。一方、潜在市場が当社の想定より大きい場合には、当社の保有する設備や人員だけでは、十分に対応できない可能性があります。このような場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②法的規制について
平成24年に京都大学iPS細胞研究所 所長 山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことを契機に、我が国は再生医療を成長戦略の一つとして位置付けられ、再生医療への期待が急速に高まる中で、再生医療の普及を迅速に進めるための法整備が進められました。一方、医療費抑制や医療の質の向上を目的とした医療改革が継続的に行われています。今後、予測できない法改正や医療行政の方針変更等による急激な環境変化が生じた場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
a)承認条件について
自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャックいずれの製品に関しましても、承認条件として製造販売後臨床試験や使用成績調査の実施が課されており、再審査の対象となっています。その結果によっては承認が取り消されることもあり、承認が取り消された場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b)保険適用について
自家培養表皮ジェイスは、自家培養軟骨ジャックそれぞれ保険算定に関する留意事項が付与されています。今後、当該保険算定の条件が変更となる可能性があります。
また、平成28年4月より保険機能区分が①採取・培養キットと②調製・移植キットの2つに細分化され、患者死亡等の理由により売上計上できないリスクは軽減されましたが、このような機能区分の細分化は前例がなく、その影響は未知数です。今後、機能区分の細分化等による受注への影響が想定を超えた場合は、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
c)適応拡大(一部変更承認)について
自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックは、製造販売承認において明確に適応対象が定められています。当社は、適応対象以外の疾患や使用方法への適応拡大(一部変更承認)を図っていきたいと考えていますが、治療における患者のリスクとベネフィットの観点から適応拡大が認められない可能性があります。このような場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
d)薬事審査プロセスについて
当社は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の助言を得ながら再生医療等製品の開発(開発受託を含む。)を進めていますが、治験において期待どおりの有効性と安全性が証明できなかったり、薬事承認プロセス等において適応対象を限定する必要が生じる等、当社の想定どおりに開発が進まない可能性があります。このような場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ヒト又は動物由来の原材料の使用について
ヒト細胞組織を利用した再生医療等製品において、ヒト細胞組織の特性にはバラツキがあり、製品規格を満たさずに出荷できない可能性があります。
また、原材料や製造工程で使用する培地には動物由来原料を使用しており、未知のウィルスによる被害等が発生する可能性を完全には否定できません。このような被害等が発生した場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④競合について
再生医療を取り巻く外部環境は好転しつつあるため、外資を含む参入者が増加して競争が激化することが予測できます。競合製品や新規技術の登場により当社製品の優位性を保持できなかった場合、当社が想定する売上を確保できない可能性があります。一方で、参入者の増加は開発受託及び製造受託並びにコンサルティング事業の受注の増加に繋がる可能性があります。逆に、新規参入が思うように進まず、再生医療市場が成熟しない可能性も否定できません。このような場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤再生医療全般にわたる信頼性について
再生医療に関係する医療事故等が発生した場合には、当社の製品が直接関係していなかったとしても、ネガティブなイメージとして再生医療業界及び再生医療等製品の全体に関わる問題として市場からの信頼が失われ、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)研究開発支援事業
当社は、研究開発支援事業として、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズを化粧品、製薬、食品、化学品、日用品、農薬等の製造企業や安全性試験受託機関等に販売していますが、当市場には競合企業が複数存在します。そのため、競争の激化に伴う販売量の伸び悩みや、過当競争による販売価格の下落懸念、販売拡大のための営業体制の見直しに伴う経費の増大等の事情により収益性が低下する可能性があります。
また、in vitro 眼刺激性試験法のOECDテストガイドライン化を進めていますが、予定通りの期間でテストガイドラインに収載されなかったり、収載されたとしても当社の想定通りに売上げが伸びない可能性があります。このような場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ.会社体制に関するリスク
(1)研究開発体制
当社は、尋常性白斑を適応対象とする色素細胞を含む次世代の自家培養表皮やⅡ度熱傷を適応対象とする他家細胞で製造した同種培養表皮などの新製品を目指した研究開発を加速させるため、研究体制の強化に取り組みますが、開発受託の増加等により予定どおりの人員を確保できなかったり、想定通りの有効性や安全性が得られない可能性があります。
また、再生医療等製品の研究開発は、大学等の研究機関並びに医療機関や医療関係者との連携・協働が必要不可欠ですが、このような連携活動は、国の政策や社会情勢により影響を受ける場合があります。共同研究の中止や知的財産権のライセンス交渉が順調に進まない等、当社の想定通りに実施することができない可能性があります。さらに、他社の知的財産権を侵害することがないように十分な注意を払って研究開発活動を行っていますが、意図せずに他社の知的財産権を侵害する可能性を完全には否定できません。このような場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)生産体制
当社は、高品質で安全性の高い製品を生産するために必要なハードウェアと、人・物の動線管理や標準作業手順書等の運用管理のソフトウェアをバランスよく備えることにより、品質が高く安定した製品を効率よく製造する生産体制を構築する必要があります。また、生産工程について十分に教育・訓練を受けた作業者が製造にあたる体制としています。しかしながら、急激な受注増に対して人員が不足する可能性があります。
また、愛知県にある本社工場のみで生産がされているため、南海トラフ大地震等の自然災害や何らかの事故等により製造インフラが機能しなくなった場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)販売体制
ヒト細胞を組み込んだ当社製品は、医療機関等のユーザーと緊密に連携し、適正な使用方法の開発・促進や安全対策への取組み等に対応できる販売体制の構築が必要です。そのためには、医療機関等のユーザーへの適切な情報提供、製品仕様に関する説明等の技術的な知識を備えた営業担当者を必要とし、教育・育成していますが、急激な市場の拡大に対応できない可能性があります。
また、受注生産体制の仕組み作り、ロジスティックスの整備等により販売体制をさらに効率的に整備する必要がありますが、体制整備が思うように進まず、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)小規模組織であること
当社は平成29年3月末現在、役員及び従業員計185名の小規模な組織です。当社は相互牽制、内部統制及びコンプライアンス・リスク管理など組織的対応の強化を図るよう努めていますが、現状では人的資源に限りがあるため、特定人物への依存度の高い業務があったり、個々の従業員の働きに依存している面もあります。このため、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合又は従業員が社外流出した場合には、業務に支障をきたす可能性があります。一方、大規模な人員確保等による急激な規模の拡大は、固定費の増加につながり、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材確保・育成
当社の発展のためには、優秀な人材の確保を重要課題としてとらえており、計画的な採用活動を実施しています。さらに、社内においては人材育成の充実、人事・評価制度の改善など総合的対策により、活気ある独自の企業づくりを進めています。しかしながら、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない可能性や育てた人材が社外へ流出する可能性があります。このような場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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契約書名 |
新技術開発成果実施契約書 |
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相手方名 |
独立行政法人科学技術振興機構(現、国立研究開発法人科学技術振興機構) |
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契約締結日 |
平成21年2月13日 |
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契約期間 |
原権利(特許権)の消滅する日まで |
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主な契約内容 |
当社は、独立行政法人科学技術振興機構より「自動制御培養法を用いたヒト培養軟骨」の新技術に関する特許(特許出願を含む)等(以下「本開発成果」という)の実施許諾を受けてこれを実施し、当社はその対価として売上の一定割合を開発納付金として15年間、もしくは開発納付金の累計額が、独立行政法人科学技術振興機構が当社に支出した委託開発費の2倍(最大で約9億2千万円)に達する時点まで支払う。 |
(注)本契約は、独立行政法人科学技術振興機構と平成12年3月31日に締結した「新技術開発委託契約」にかかる本開発成果が、同機構のPO(プログラム・オフィサー)評価会議の審査を受け、平成20年2月に成功と認定されたことによるものです。
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契約書名 |
CONSULTING CONTRACT |
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相手方名 |
Michele De Luca |
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契約締結日 |
平成15年7月27日 |
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契約期間 |
平成15年8月1日から平成17年7月31日まで(平成17年8月1日付、平成19年7月18日付、平成22年8月2日付、平成23年8月1日付 CONSULTING CONTRACTにより平成24年7月31日まで延長) 期間満了前にどちらかが解約の申し出を行わなければ1年毎の延長。 |
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主な契約内容 |
Michele De Luca,M.D.が当社に対して、皮膚及び角膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がMichele De Luca,M.D.に対してその対価を支払う。 |
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契約書名 |
CONSULTING CONTRACT |
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相手方名 |
Graziella Pellegrini |
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契約締結日 |
平成15年7月27日 |
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契約期間 |
平成15年8月1日から平成17年7月31日まで(平成17年8月1日付、平成19年7月18日付、平成22年8月2日付、平成23年8月1日付CONSULTING CONTRACTにより平成24年7月31日まで延長) 期間満了前にどちらかが解約の申し出を行わなければ1年毎の延長。 |
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主な契約内容 |
Graziella Pellegrini,Ph.D.が当社に対して、皮膚及び角膜、結膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がGraziella Pellegrini,Ph.D.に対してその対価を支払う。 |
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契約書名 |
共同研究開発基本契約書 |
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相手方名 |
株式会社セルシード |
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契約締結日 |
平成21年10月30日 |
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契約期間 |
契約締結日から3年間(平成21年10月30日から平成24年10月29日まで)とする。ただし、期間満了の3か月前までに両者のいずれからも解約の意思表示のないときは、本基本契約は更に満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。 |
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主な契約内容 |
株式会社セルシードと当社は、両社が保有する技術及びノウハウを活用し、次世代再生医療製品及びサービスならびにビジネスモデルを共同開発する。本基本契約に基づいて株式会社セルシードと当社が共同で取り組む研究開発テーマは、両社合意の上で別途個別共同研究開発契約をもって定める。 |
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契約書名 |
業務提携に関する契約書 |
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相手方名 |
富士フイルム株式会社 |
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契約締結日 |
平成22年10月6日 |
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主な契約内容 |
・両社の技術を活用した再生医療製品の開発及び事業化。 ・再生医療用材料の開発可能性及びその用途の探索。 ・探索活動で具体化した用途の再生医療用材料及び製品の開発ならびにその事業化。 ・当社が開発する再生医療製品の海外事業展開、国内事業拡大に向けた富士フイルム株式会社による支援。 |
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契約書名 |
開発委託基本契約書 |
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相手方名 |
株式会社ニデック |
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契約締結日 |
平成23年1月31日 |
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契約期間 |
本契約締結日より5年間(平成23年1月31日から平成28年1月30日まで)とする。ただし、本製品の製造販売承認が得られるまでは自動的に1年毎延長される。 |
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主な契約内容 |
当社は、株式会社ニデックより、培養角膜上皮細胞シート(以下「本製品」という)に関する技術開発、薬事申請及びその他の関連業務を受託し、委託料の支払いを受ける。本製品の開発に基づく成果は、原則として株式会社ニデックに帰属するが、本製品の開発の過程で得られた技術等は、当社が本製品以外の製品に自由に使用できる。また、本製品に関する特許権や特許を受ける権利等は、当社と株式会社ニデックとの共有とする。 |
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契約書名 |
業務委託基本契約 |
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相手方名 |
富士フイルム株式会社 |
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契約締結日 |
平成26年4月1日 |
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契約期間 |
平成26年4月1日から平成31年3月31日までとする。ただし、別途協議のうえ、期間を短縮又は延長できる。 |
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主な契約内容 |
当社は、富士フイルムが開発した生体適合性に優れるコラーゲン(リコンビナントペプチド:RCP)等の材料及び技術を用いた再生医療製品について、製品開発へ向けた研究開発受託業務を行う。 |
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契約書名 |
委託研究開発契約書 |
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相手方名 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) |
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契約締結日 |
平成28年4月1日 |
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契約期間 |
平成29年3月31日まで |
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主な契約内容 |
AMED及び当社は、「医療情報の高度利用による医療システムの研究開発/再生医療製品の有効性予測支援システムの研究開発」プロジェクトについて委託契約を締結する。委託業務の題目は以下のとおり。 「角膜上皮細胞を用いた培養角膜上皮シートの特性解析及び企業主導臨床試験の実施」 自家培養角膜上皮の有効性予測支援システムの構築、企業主導臨床試験の実施など、自家培養角膜上皮の製品化を進める。 |
(注)本契約は、契約期間の満了により平成29年3月31日をもって終了しました。
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契約書名 |
委託研究開発契約書 |
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相手方名 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) |
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契約締結日 |
平成28年5月17日 |
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契約期間 |
平成29年3月31日まで |
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主な契約内容 |
AMED及び当社は、平成28年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療の産業化に向けた評価手法等の開発)」について委託契約を締結する。委託業務の題目は以下のとおり。 「皮膚再建に用いる同種培養皮膚の基礎研究ならびに製品開発」 同種セルバンクの構築、品質と安全性に関する評価手法の開発および医師主導治験までの同種培養皮膚の製品化の手法を提案する。 |
(注)本契約は、契約期間の満了により平成29年3月31日をもって終了しました。
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契約書名 |
委託研究開発契約書 |
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相手方名 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) |
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契約締結日 |
平成28年5月17日 |
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契約期間 |
平成29年3月31日まで |
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主な契約内容 |
AMED及び当社は、平成28年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療の産業化に向けた評価手法等の開発)」について委託契約を締結する。委託業務の題目は以下のとおり。 「移植に用いる間葉系幹細胞の評価ならびに製品開発」 間葉系幹細胞の臨床応用に向けて、虚血性疾患への応用に適した間葉系幹細胞の培養方法、品質管理方法の確定、商業利用可能な間葉系幹細胞バンクの構築を目指し、それに関する評価方法等知見をまとめる。 |
(注)本契約は、契約期間の満了により平成29年3月31日をもって終了しました。
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契約書名 |
特許譲渡契約 |
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相手方名 |
富士フイルム株式会社 |
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契約締結日 |
平成29年3月22日(発効日) |
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主な契約内容 |
当社は、当社の保有する中国における自家培養軟骨ジャックの特許に関する一切の権利を富士フイルム株式会社に譲渡・移転する。譲渡・移転の対価は、300百万円とする。 なお、中国で対象製品が開発・承認され、日本国内と同等以上の公定価格が定められた場合には、定められた公定価格に基づく予想売上・利益を勘案して現在価値を再算出するものとし、必要により第三者評価も加味した上で、別途合理的に相当な追加の対価を協議、決定する。 |
なお、当報告書提出日現在において、以下の重要な契約を締結しております。
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契約書名 |
委託研究開発契約書 |
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相手方名 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) |
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契約締結日 |
平成29年4月1日 |
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契約期間 |
平成30年3月31日まで |
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主な契約内容 |
AMED及び当社は、「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療の産業化に向けた評価手法等の開発)」について委託契約を締結する。委託業務の題目は以下のとおり。 「皮膚再建に用いる同種培養皮膚の基礎研究ならびに製品開発」 同種セルバンクの構築、品質と安全性に関する評価手法の開発および医師主導治験までの同種培養皮膚の製品化の手法を提案する。 |
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契約書名 |
委託研究開発契約書 |
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相手方名 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) |
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契約締結日 |
平成29年4月1日 |
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契約期間 |
平成30年3月31日まで |
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主な契約内容 |
AMED及び当社は、「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療の産業化に向けた評価手法等の開発)」について委託契約を締結する。委託業務の題目は以下のとおり。 「移植に用いる間葉系幹細胞の評価ならびに製品開発」 間葉系幹細胞の臨床応用に向けて、虚血性疾患への応用に適した間葉系幹細胞の培養方法、品質管理方法の確定、商業利用可能な間葉系幹細胞バンクの構築を目指し、それに関する評価方法等知見をまとめる。 |
当社は、ティッシュ・エンジニアリングを学術的基盤として、生きた細胞を用いた人工組織・臓器の開発に取り組み、再生医療の発展に貢献すべく活動しております。
当事業年度における事業別の研究開発活動は以下のとおりで研究開発費の総額は20,742千円であり、すべて再生医療製品事業セグメントに関連するものであります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(280,689千円)控除後の金額であります。
(1)再生医療製品事業
①自家培養表皮ジェイス
自家培養表皮ジェイスは、平成19年10月に、日本で最初の再生医療等製品として製造承認を取得し、平成21年1月より保険収載されました。当事業年度は、製造販売後臨床試験ならびに使用成績調査の成績について医薬品医療機器総合機構(PMDA)で再審査中です。
当社は、ジェイスの適応拡大として、表皮水疱症及び先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした治験を進めてきました。その結果、平成28年9月に厚生労働省より先天性巨大色素性母斑への適応に関する一部変更承認を受け、同年12月に保険収載されました。これは再生医療等製品の中では、わが国で最初の適応拡大であり、医療現場においてジェイスが母斑の標準治療となるよう、情報提供活動を開始しました。
②自家培養軟骨ジャック
自家培養軟骨ジャックは、整形外科領域における我が国初の再生医療等製品として、平成24年7月に厚生労働省より製造販売承認を取得し、平成25年4月より保険収載されています。ジャック使用にあたっては、実施医療機関に対し「施設基準」や「実施医基準」等の留意事項が付与されているため、当事業年度は、前事業年度に引き続き、医療機関及び実施医への研修を積極的に進め、平成29年4月1日時点でジャックを使用できる医療機関(認定施設)は全国で260施設、実施医は1,250名と順調に増加しました。さらに当社は、自家培養軟骨ジャックの移植手術の簡便化・低侵襲化や、二次性変形性膝関節症への適応拡大を目指す研究を進めています。
③自家培養角膜上皮
当社は、株式会社ニデックからの委託を受けて自家培養角膜上皮に関する研究開発を行っています。イタリアのDe Luca、Pellegrini両氏との契約のもと、片眼性の角膜幹細胞疲弊症の治療を目的として開発を進めてきました。平成26年10月に治験計画届書を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、当事業年度においては、引き続き治験を実施しました。なお、治験遂行においては日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金も活用しました。
④その他
当社は、尋常性白斑を適応対象とする色素細胞を含む次世代の自家培養表皮やⅡ度熱傷を適応対象とする他家細胞で製造した同種培養表皮などの新製品を目指した研究開発を行っています。当事業年度は、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業」(「平成28年度 再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発」)において「皮膚再建に用いる同種培養皮膚の基礎研究並びに製品開発」及び「移植に用いる間葉系幹細胞の評価並びに製品開発」といったテーマが採択されており、国の研究機関からの委託事業や助成事業についての研究を行いました。
また、大阪大学(眼科)からの委託を受けて、両眼性の角膜幹細胞疲弊症の治療を目的とした自家培養角膜上皮に関する研究開発を行うとともに、富士フイルム株式会社から委託を受け、同社が開発した生体適合性に優れるリコンビナントペプチドを活用した再生医療等製品等、次世代の新製品開発を目指して複数の研究開発を行いました。
(2)研究開発支援事業
研究用ヒト培養組織ラボサイト エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法は、平成25年4月より国際標準試験法ガイドラインであるOECD TG439に収載されています。OECD TG439への収載により、国際的な知名度が高まり、ラボサイトの拡販に寄与するため、当社は、ガイドライン収載を目指した研究活動を行っています。
当事業年度において、当社は、角膜モデルを用いた眼刺激性試験法のOECDテストガイドライン化を目指したバリデーション研究を完了し、OECDへの申請準備を進めました。また、エピ・モデル24を用いた皮膚腐食性試験法のOECD TG431への収載を目指したバリデーション研究に着手しました。
(1) 財政状態の分析
当事業年度末において、総資産は8,546,367千円(前期と比べ249,867千円増加)、負債は541,226千円(前期と比べ37,196千円減少)、純資産は8,005,140千円(前期と比べ287,064千円増加)となっており、有利子負債は14,561千円(前期と比べ7,660千円減少)となっております。
当事業年度における資産、負債及び純資産の状態に関する分析は以下のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は5,070,381千円となり、前事業年度末から568,865千円増加いたしました。この主な要因は、売掛金の増加によるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は3,470,001千円となり、前事業年度末から309,773千円減少いたしました。この主な要因は、長期預金(1年超)を定期預金(1年以内)に振替えたこと等によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は498,428千円となり、前事業年度末から8,266千円増加いたしました。この主な要因は、前受金等の増加によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は42,798千円となり、前事業年度末から45,463千円減少いたしました。この主な要因は、役員退職慰労引当金の減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は8,005,140千円となり、前事業年度末から287,064千円増加いたしました。この主な要因は、当期純利益276,242千円の計上(黒字化)によるものであります。
(2) 経営成績の分析
当社は、再生医療製品事業と研究開発支援事業を行っております。再生医療製品事業については、自家培養表皮ジェイスにおいて、平成28年9月先天性巨大色素性母斑を適応として追加する一部変更承認を取得し、平成28年12月より保険収載され製造販売を開始しました。自家培養軟骨ジャックは、移植実績や医師の認知度などに合わせてきめ細かな普及活動を展開した結果、移植実績をもつ医療機関数、受注数ともに増加しました。さらにジャックを使用する治療法「自家培養軟骨移植術」の認知度向上を目指した活動にも力を入れました。自家培養角膜上皮は、ニデックからの委託により開発を進めています。片眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を適応対象として、希少疾病用再生医療等製品の指定のもと、平成26年10月から治験を実施しています。治験遂行においては国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金も活用しています。研究開発支援事業については、ラボサイト エピ・モデル24を中心に化粧品開発企業や製薬企業を主な顧客として販売を進めました。
こうした結果、当事業年度における売上高は、再生医療製品事業の売上高が好調に推移したことにより2,135,149千円(前期比49.2%増)となりました。加えて販売費及び一般管理費の削減により、営業利益は312,388千円(前期は722,599千円の営業損失)となり、創業以来初めての営業黒字を達成致しました。経常利益は309,951千円(前期は677,699千円の経常損失)となり、当期純利益は276,242千円(前期は681,539千円の当期純損失)となりました。
なお、セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、2,043,331千円(前期比52.8%増)、研究開発支援事業の売上高は、91,818千円(前期比1.4%減)となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、第2「事業の状況」1「業績等の概要」(2)キャッシュ・フローの状況をご参照ください。