(1) 業績の状況
第1四半期会計期間より、委託研究機関からの助成金の対象となる費用について会計方針の変更を行ってお
り、遡及適用後の数値で前年同四半期比較を行っております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1
四半期財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当第3四半期累計期間における我が国経済は、中国をはじめとするアジア新興国や資源国等の景気下振れから不透明感が強いことに加え、英国のEU離脱問題や米国経済の動向など、海外経済の不確実性の高まりを背景に、株価や円相場が乱高下するなど、先行き不透明な状況で推移しました。
再生医療分野では、平成26年に旧薬事法の改正によって施行された医薬品医療機器等法のもとで、新たに複数の企業主導治験及び医師主導治験が開始されました。さらに日本国内の企業やアカデミアに加えて、海外企業による治験も計画されています。これまで再生医療における研究開発は、国内のアカデミアやベンチャー企業が主導してきましたが、最近では大手製薬メーカーなどの大企業や、海外からの参入が盛んになってきました。再生医療関連企業団体である一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の会員数も増加の一途をたどり、日本再生医療学会やその他の関連団体と協力しながら、再生医療の産業化に向けた活動が活発に行われています。一方、新たに制定された再生医療等安全性確保法のもとで、再生医療の臨床研究や自由診療が積極的に行われています。世界初のiPS細胞の臨床応用である網膜の加齢黄斑変性治療は、患者由来の細胞を用いた臨床研究から、患者以外のドナー由来細胞を用いた臨床研究に変更して再開することが発表されました。このように、わが国における再生医療は、制度的枠組みの整備や社会の後押しを背景に、産業化に向けてますます加速しています。
このような状況の下、当社は、平成28年6月に代表取締役社長執行役員に富士フイルム出身の比留間愛一郎を選任しました。新たな経営体制の下、富士フイルムとの強いパイプを生かすとともに、経営会議の頻度を増やす等、執行力を強化しています。
当社は再生医療製品事業において自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。また委託研究機関からの助成金等を活用しその他の製品開発を進めるとともに、受託開発・受託製造を積極的に進めました。
自家培養表皮ジェイスは、平成21年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷患者の治療を目的としています。平成28年4月より、ジェイスの保険適用に関し、保険機能区分が①採取・培養キットと②調製・移植キットの2つに細分化され、償還価格がそれぞれ①4,380千円、②151千円/枚に改定されました。ジェイスは、重傷熱傷患者の治療を目的としているため、受注から製品が使用されるまでの間に、患者死亡等の理由で使用中止になることがあり、費用請求できないリスクを抱えていました。平成28年4月の保険機能区分の細分化により、製造を中止した場合でも、①採取・培養キットの請求が可能となりました。当社は、ジェイスの適応拡大として、希少疾病用再生医療等製品の指定を受けた先天性巨大色素性母斑の治療を目的として開発を進め、平成28年9月、再生医療等製品として初めて一部変更承認を取得し、同年12月より保険収載されました。先天性巨大色素性母斑への適応拡大を通じて、ジェイスの更なる売上増加を図っていきます。
自家培養軟骨ジャックは、平成25年4月より保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、適応対象は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。ジャックの保険機能区分についてもジェイス同様に細分化され、平成28年4月より、償還価格が①採取・培養キット879千円、②調製・移植キット1,250千円に改定されました。平成28年12月末現在、ジャックを使用できる医療機関(使用認定施設)は252施設となっており、全都道府県で使用可能です。また当社は、医療従事者への啓蒙活動だけでなく、一般の患者様向けにも、本移植術を受けたプロサッカー選手を起用した特設サイトを開設し、スポーツ・ヒザ・セルフチェック等のコンテンツを掲載するなど、ジャックを使用する治療法「自家培養軟骨移植術」の認知度向上を目指した活動にも力を入れています。当社は、軟骨領域におけるジャックの浸透を図り、売上増加につなげていきます。また、ジャックは費用対効果評価の試行的導入における既収載品の対象品目として選定されております。当社は、対症療法との費用比較と、使用成績調査における有効性評価データを用いて、ジャックの費用対効果を証明していきます。
自家培養角膜上皮は、片眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を適応対象として、希少疾病用再生医療等製品の指定のもと、平成26年10月から治験を実施しています。本製品は、ニデックからの委託により開発を進めていますが、治験遂行においては国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金も活用しています。
当社は、平成28年4月にAMEDから採択された「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業」の研究課題「皮膚再建に用いる同種培養皮膚の基礎研究ならびに製品開発」及び「移植に用いる間葉系幹細胞の評価ならびに製品開発」について、計画にもとづいて研究を進めました。また、平成28年度「新あいち創造研究開発補助金」事業において、「細胞単離工程自動化の研究開発」事業が採択されています。平成28年度「ロボット導入実証事業」においては、「再生医療等製品の細胞培養工程へのロボット導入」事業が採択されています。当社は、これらの助成金等を活用し、再生医療等製品の生産に自動化システムを組み込むことで、品質の安定化と生産の効率化を更に進めていきます。
当社は、平成26年11月に再生医療等安全性確保法が施行されたことに伴い、再生医療等の提供機関及び細胞培養加工製造事業者等に対するコンサルティングならびに細胞培養受託サービスを提供しています。平成27年10月、特定細胞加工物製造許可を取得し、医療機関等から細胞培養を受託しています。更に当社は、平成28年4月より新たな事業として、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関を対象に、再生医療等製品に特化したCDMO(開発製造受託)サービス・CRO(臨床開発業務受託)サービスを開始しました。当社は、上述のニデックからの自家培養角膜上皮の開発に加え、富士フイルム、大阪大学(眼科)等の企業及びアカデミアから既に再生医療等製品の開発を受託しています。富士フイルムからは、富士フイルムが開発した生体適合性に優れるリコンビナントペプチドを活用した再生医療等製品の開発等を受託し、製品化を進めています。ジェイス、ジャックの開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を活かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援し、受託事業の拡大と売上増加を目指します。
研究開発支援事業である研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。皮膚刺激性試験に関する国際的な標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439に収載されているラボサイト エピ・モデル24を中心に、化粧品開発企業や製薬企業を主な顧客として販売を進めました。ラボサイト角膜モデルでは、OECDが推進する眼刺激性試験の標準化を目指した共同研究を進めています。
こうした結果、当第3四半期累計期間における売上高は、1,154,311千円(前年同四半期比20.7%増)となりました。営業損失は198,933千円(前年同四半期は605,425千円の営業損失)を計上したものの、販売費及び一般管理費の削減により損益は改善しています。経常損失は200,755千円(前年同四半期は594,518千円の経常損失)となり、四半期純損失は203,605千円(前年同四半期は597,368千円の四半期純損失)となりました。
なお、セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,088,885千円(前年同四半期比22.0%増)、研究開発支援事業の売上高は、65,425千円(前年同四半期比2.2%増)となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、20,596千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(169,396千円)控除後の金額であります。
当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。