第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

3【財政状態及び経営成績の分析】

 (1) 業績の状況

当第3四半期累計期間における我が国経済は、引き続き中国を始めとするアジア新興国等の景気先行き、米国経済政策の不確実性、金融資本市場の変動の影響など、留意すべきリスクがある中で、雇用の改善が消費を支えて物価は上昇傾向にあり、米国の減税等により世界景気は一段と拡大するとの期待から株高が続き、日経平均株価は26年ぶりの高値を回復するなど、緩やかな回復基調が続きました。

再生医療分野では、旧薬事法の改正によって平成26年に施行された医薬品医療機器等法のもと、新たに複数の企業主導治験及び医師主導治験が開始され、再生医療等製品の上市にむけた活動が活発になっています。また、同時期に制定された再生医療等安全性確保法によって、再生医療に用いる細胞加工の受託業が定義され、その臨床研究や自由診療が加速したものの、国が必要とする届出をしないまま、無届けで再生医療を提供していた医師や販売会社の関係者などが逮捕されるなど、その課題も明らかになってきました。

このような状況の下、当社は再生医療製品事業、再生医療受託事業、研究開発支援事業を展開しました。各セグメントにおける概況は以下のとおりです(□内は当四半期における主な成果です)。

なお、第1四半期会計期間より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況1 四半期財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

[再生医療製品事業]

当社は再生医療製品事業において自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。

 

・自家培養表皮ジェイス

自家培養表皮ジェイスは、平成21年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷及び先天性巨大色素性母斑を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、平成28年4月より保険機能区分が①採取・培養キットと②調製・移植キットの2つに細分化され、償還価格がそれぞれ①4,380千円、②151千円/枚に改定されています。重症熱傷患者の治療を目的としているため、受注から製品が使用されるまでの間に患者死亡等の理由で使用中止になることがあり、保険償還できないリスクを抱えていましたが、平成28年4月以降、保険機能区分の細分化により、製造を中止した場合でも、①採取・培養キットの保険償還が可能となっています。

当第3四半期累計期間におけるジェイスの売上は、重症熱傷と、新たに適応対象に加わった先天性巨大色素性母斑の治療に伴う受注が、ともに好調に推移したことにより前年同期に比べ大幅に増加しました。先天性巨大色素性母斑への適応拡大においては、引き続き、急速に普及が進んでおり、平成29年11月には医師による研究会を企画・開催しました。ジェイスを用いたより良い治療法確立のため、今後も定期的に開催していきます。

 

・自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、平成25年4月より保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、適応対象は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。ジャックの保険機能区分についてもジェイス同様に細分化され、平成28年4月より、償還価格が①採取・培養キット879千円、②調製・移植キット1,250千円に改定されています。

当第3四半期累計期間におけるジャックの売上は、前年同期に比べ微減となりました。平成29年12月末現在、ジャックを使用できる医療機関(使用届出施設)は280施設となり、順調に増加しているものの、患者さまへのジャックの浸透が不十分であったため、新規施設からの受注を十分に積みあげることができませんでした。当社は、自家培養軟骨移植術を受ける患者さまが、自身の膝の状態をよりよく理解し、治療のスケジュールや術後のリハビリテーション・スケジュールなどについて、担当医師と密にコミュニケーションを図るための「患者ノート」を作成し、配布を開始しました。今後は、医師、医療機関に加えて、患者さま向けにもジャックへの理解を深めてもらう取り組みを強化していきます。

 

[再生医療受託事業]

当社は再生医療受託事業において、委託研究機関からの助成金等を活用し製品開発を進めるとともに、受託開発・受託製造を積極的に進めました。

・再生医療等製品の受託開発

当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を活かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。

・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託

当社は、平成26年11月に施行された再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築など、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。

当第3四半期累計期間における再生医療受託事業の売上は、開発・製造受託案件の新規受注増加により前年同期に比べ大幅に増加しました。当社は引き続き、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金も活用し、富士フイルムからの再生医療等製品の開発業務など、複数の受託開発を進めました。ニデックからの委託により開発を進めている自家培養角膜上皮並びに大阪大学から開発を受託している自家培養口腔粘膜上皮は、角膜上皮幹細胞疲弊症を適応対象とした治験を実施しており、治験データをまとめるなど、製造販売承認申請に向けた準備を進めています。更に当社は、新たに富士フイルムが出資する株式会社サイフューズを始め、複数の企業やアカデミアから再生医療等製品の開発・製造を受託し、推進しました。

また、再生医療等安全性確保法のもと、平成29年7月に開始された名古屋市立大学病院における白斑や難治性皮膚潰瘍の治療(臨床研究)において、当社は引き続き培養表皮の製造を受託しました。医療機関等からの特定細胞加工物製造委託契約に加え、新たに提供計画作成支援や製造施設構築・運用コンサルティング契約も獲得しました。

 

[研究開発支援事業]

当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織(ラボサイトシリーズ)の製造販売を進めました。

 

・ラボサイトシリーズ

研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。ラボサイト エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法は、標準法の一つとしてOECDの試験法ガイドラインTG439へ収載されています。また、同様にラボサイト角膜モデルでも、OECDが推進する眼刺激性試験の標準化を目指しています。

当第3四半期累計期間におけるラボサイトの売上は、エピ・モデル24を中心に、化粧品開発企業や製薬企業を主な顧客として販売を進め、平成29年4月に主力製品の一律10千円の値上げを実施した効果もあり、昨年同期に比べ増加しました。平成29年11月に開催された日本動物実験代替法学会においては、同じ富士フイルムグループのセルラー・ダイナミクス・インターナショナル・ジャパン株式会社と共同で企業出展してランチョンセミナーを開催し、ヒト培養組織の拡販に努めました。角膜モデルでは、引き続き眼刺激性試験 OECDテストガイドライン収載に向けて準備を進めました。

 

こうした結果、当第3四半期累計期間における売上高は、再生医療製品事業及び再生医療受託事業並びに研究開発支援事業の売上高が大幅に増加したことにより1,609,011千円(前年同期比39.4%増)となりました。売上好調に伴う売上総利益の増加により、営業利益は121,548千円(前年同期は198,933千円の営業損失)となり、第2四半期累計期間に引き続き、第3四半期累計期間も営業黒字となりました。経常利益は121,332千円(前年同期は200,755千円の経常損失)となり、四半期純利益は106,324千円(前年同期は203,605千円の四半期純損失)となりました。

セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,125,737千円(前年同期比54.1%増)、再生医療受託事業の売上高は、410,717千円(前年同期比14.6%増)、研究開発支援事業の売上高は、72,556千円(前年同期比10.9%増)となりました。

なお、第1四半期会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

  (2) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

  (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

  (4) 研究開発活動

 当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、124,467千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(68,736千円)控除後の金額であります。

 当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。