第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態及び経営成績の分析】

文中の将来に関する事項は、当第1四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

  (1)財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期累計期間(2018年4月1日から2018年6月30日)における我が国経済は、米中貿易摩擦が激化する中、中国をはじめアジア新興国等の景気先行き、金融資本市場の変動の影響など、リスクへの懸念から先行き不透明感が高まっているものの、雇用・所得環境は改善傾向にあるなど、各種政策の効果もあって緩やかな回復基調で推移しました。

再生医療・細胞治療分野では、個別化されたがん免疫療法として注目を集めている「CAR-T細胞」療法など、新たながん治療分野での開発競争が大手製薬メーカーを中心として加速してきました。また、ゲノム編集技術を使った細胞治療など、新しい技術の開発が活発化してきました。さらに、他家iPS細胞を使った臨床研究計画を厚生労働省再生医療等評価部会が承認するなど、我が国が総力をあげて支援しているiPS細胞の臨床応用に向けた準備が整ってきました。

このような状況の下、財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a. 財政状態

当第1四半期会計期間末の総資産は、売掛金の減少及び委託研究機関からの助成金対象費用が確定精算したことによるその他流動資産の減少等により前期末比276,660千円減の8,746,410千円となりました。負債は、新規パイプラインの研究開発費増加による未払金の増加等により前期末比163,525千円増の935,164千円となりました。純資産は、利益剰余金の減少により前期末比440,185千円減の7,811,245千円となり、自己資本比率は89.3%となりました。

 

b. 経営成績

当第1四半期累計期間における売上高は、再生医療製品事業及び再生医療受託事業の売上高が前年同期に比べ減少し、424,154千円(前年同期比16.5%減)となりました。さらに新規パイプラインの研究開発費の増加により、営業損失は441,616千円(前年同期は6,032千円の営業利益)となりました。経常損失は438,973千円(前年同期は5,561千円の経常利益)となり、四半期純損失は440,169千円(前年同期は3,492千円の四半期純利益)となりました。

なお、当第1四半期会計期間より報告セグメントの利益又は損失の算定方法を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、前年同期比較については、前年同四半期累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。

再生医療製品事業の売上高は、308,614千円(前年同期比15.9%減)となり、自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの適応拡大に伴う開発費用が増加したことによりセグメント利益は27,415千円(前年同期比77.5%減)となりました。

再生医療受託事業の売上高は、88,363千円(前年同期比23.2%減)となり、探索段階の案件が多く費用が先行しており、今後は売上が見込めるものの、セグメント損失は7,330千円(前年は2,111千円のセグメント損失)となりました。

研究開発支援事業の売上高は、27,176千円(前年同期比4.9%増)となり、新製品の開発費用の増加等により、セグメント利益は2,526千円(前年同期比41.1%減)となりました。

 

各セグメントにおける概況は以下のとおりです(□内は当四半期における主な成果です)。

 

[再生医療製品事業]

当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。

・自家培養表皮ジェイス

自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷及び先天性巨大色素性母斑を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、2016年4月より保険機能区分が①採取・培養キットと②調製・移植キットの2つに細分化され、償還価格がそれぞれ①4,380千円、②151千円/枚に改定されています。重症熱傷患者様の治療を目的としているため、受注から製品が使用されるまでの間に患者様死亡等の理由で使用中止になることがあり、保険償還できないリスクを抱えていましたが、当該改定により、製造を中止した場合でも、①採取・培養キットの保険償還が可能となりました。2018年4月以降は、保険算定に関する留意事項が変更となり、患者様あたり一連につき40枚の保険算定限度が、医学的に必要がある場合に限り50枚の算定限度まで引き上げられました。

 

当第1四半期累計期間におけるジェイスの売上は、222,428千円(前年同期比19.4%減)となりました。対前年同期では、先天性巨大色素性母斑向けは順調に普及が進み売上が増加した一方、重症熱傷の発生数が大幅に少なかったことにより熱傷向けが大きく減少し、ジェイス全体の売上は減少しました。当社は、ジェイスのさらなる適応拡大に向けて、希少疾病用再生医療等製品に指定されて開発を進めていた表皮水疱症の治療について2018年3月に一部変更承認申請を提出しており、今期中の承認取得を目指しています。

当社は今後も、ジェイスの売上増加のため、さらなる普及と適応拡大を目指していきます。

・自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、2013年4月より保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、適応対象は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。ジャックの保険機能区分についてもジェイス同様に細分化され、2016年4月より、償還価格が①採取・培養キット879千円、②調製・移植キット1,250千円に改定されています。

当第1四半期累計期間におけるジャックの売上は、86,186千円(前年同期比5.0%減)となりました。2018年6月末時点で、ジャックを使用できる医療機関(使用届出施設)は295施設に増加したものの、①低侵襲化・移植手技の簡便化への対応遅れ②潜在患者への認知度不足等の影響により、前年同期に比べ売上が微減しました。①への対策として、2018年4月、骨膜の代わりに人工のコラーゲン膜を使う一部変更承認申請を提出しました。②に関しては、4月から5月にかけて、富士フイルムグループの技術広告CM「世界は、ひとつずつ変えることができる。」にて自家培養軟骨の技術が紹介され、その結果患者様及び医療機関からの問い合わせが大幅に増加しています。加えて、6月に開催されたJOSKAS(日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会)にて5年間のジャック市販後調査データを報告するなど医師への情報提供活動にも取り組みました。これらの成果として、6月はジャック組織採取の受注が増加するなど好転の兆しがありました。また将来の売上成長に向けて、2018年7月、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験計画届書を提出しました。

当社は今後も、ジャックの普及と市場拡大を目指していきます。

 

[再生医療受託事業]

当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を積極的に進めました。

・再生医療等製品の受託開発

当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。

・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託

当社は、2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築など、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。

 

当第1四半期累計期間における再生医療受託事業の売上は、88,363千円(前年同期比23.2%減)となりました。企業やアカデミア等に対する顧客開拓活動により、再生医療等製品の開発・製造受託案件自体は増加したものの、一部顧客との契約更新や業務内容の合意に時間を要したり、マイルストン等対価の獲得がずれ込んだこと等により、前年同期に比べ売上が減少しました。当社は引き続き、新規受託先の開拓と契約締結済み案件の成果刈取りを確実に進め、再生医療受託事業の拡大を目指します。

この他、株式会社ニデックからの委託により開発を進めている自家培養角膜上皮ならびに大阪大学から開発を受託している自家培養口腔粘膜上皮については、製造販売承認申請に向けた準備を進めました。また新法下における製造受託案件では、名古屋市立大学病院における白斑や難治性皮膚潰瘍の治療における培養表皮の製造受託に加え、医療機関等からの特定細胞加工物製造委託契約、新たな提供計画作成支援も獲得しました。

 

[研究開発支援事業]

当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織(ラボサイトシリーズ)の製造販売を進めました。

・ラボサイトシリーズ

研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。ラボサイト エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法は、標準法の一つとしてOECDの試験法ガイドラインTG439へ収載されています。

当第1四半期累計期間におけるラボサイトの売上は、27,176千円(前年同期比4.9%増)となりました。エピ・モデル24を中心に、化粧品開発企業や製薬企業を主な顧客として販売を進めた結果、前年同期に比べ売上が増加しました。さらに2018年6月には、ラボサイト 角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法が、経済開発協力機構テストガイドライン492 (OECD TG492) に収載されました。OECD TG492は、ヒト角膜上皮の生化学的・生理学的特性に極めて類似するよう設計された、ヒト角膜上皮モデルを用いて化学物質の眼刺激性を評価する試験法です。今後、日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、広く化学物質を扱う企業向けに、より信頼性の高い動物実験代替法としてラボサイト 角膜モデル24による安全性試験を提案し、さらなる事業拡大を目指していきます。

 

[新規パイプラインの開発]

当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組みました。

2018年6月、CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とした自家細胞由来の「遺伝子改変T細胞(CAR-T細胞)」について、名古屋大学及び信州大学が有するCAR-T細胞の低コスト製造技術に関する特許の日本国内における独占的実施許諾契約を、両大学と締結しました。この製造技術は、CAR遺伝子を導入する際に従来のウイルスベクターではなく、天然由来の酵素を用いたベクターを使用するため、ウイルス封じ込め施設や設備、ベクター由来のウイルスチェック等の品質検査が不要で、製造コスト低減が期待できます。当社は、名古屋大学と連携し、本治療薬の早期実用化を目指します。

また、2018年7月、尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑の治療を目的として、メラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮「ACE02」の治験計画届書を提出しました。従来の移植では、採取できる皮膚組織の面積に制限があるなどの課題がありますが、本製品は、一度の手術で広範囲を均一に色素再生する新たな治療法を提供するものと期待されます。「ACE02」を通じて、皮膚科領域の疾患治療に進出し、従来から取り組んでいる形成外科・整形外科領域からの事業拡大を目指していきます。

 

  (2)経営方針・経営戦略等

当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。

 

  (3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません

 

  (4)研究開発活動

当第1四半期累計期間における研究開発活動の金額は、380,155千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(7,875千円)控除後の金額であります。

当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

  (5)経営成績に重要な影響を与える要因

当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、当社は、2018年6月21日開催の臨時取締役会において、名古屋大学・信州大学とCD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とする自家CAR-T細胞治療薬の開発、製造、販売における特許実施許諾契約を締結することを決議し、2018年6月22日付で契約を締結しました。これまで培ってきた自家細胞の培養に関する技術・ノウハウと、確立した品質保証システム、高度な製造設備などを活かし、CD19陽性ALLを対象に自家CAR-T細胞を用いた治療薬の開発を進めていきます。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

契約書名

委託研究開発契約書

相手方名

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)

契約締結日

2018年4月1日

契約期間

2019年3月31日まで

主な契約内容

AMED及び当社は、「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療の産業化に向けた評価手法等の開発)」について委託契約を締結する。委託業務の題目は以下のとおり。

「自家培養軟骨製品の製造法合理化のための基盤技術開発」

再生医療製品の製造法合理化を目的に、自家培養軟骨ジャックにおける組織処理工程の自動化、工程検査の自動判定システムの確立等を行う。

 

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Michele De Luca

契約締結日

2018年4月16日

契約期間

2018年4月1日から2019年3月31日まで

主な契約内容

Michele De Luca,M.D.が当社に対して、皮膚及び角膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がMichele De Luca,M.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、2017年8月3日に締結した契約を更新して、締結したものです。

 

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Graziella Pellegrini

契約締結日

2018年4月16日

契約期間

2018年4月1日から2019年3月31日まで

主な契約内容

Graziella Pellegrini,Ph.D.が当社に対して、皮膚及び角膜、結膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がGraziella Pellegrini,Ph.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、2017年8月1日に締結した契約を更新して、締結したものです。

 

契約書名

実施許諾契約書

相手方名

国立大学法人名古屋大学、国立大学法人信州大学

契約締結日

2018年6月22日

主な契約内容

対象特許(PCT/JP2016/079989「キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変T細胞の調製方法」)について、CD19陽性の急性リンパ性白血病対象とした自家細胞を用いたCD19分子を標的とする非ウイルスベクターを用いたキメラ抗原受容体T細胞製剤の日本における開発・製造・販売する独占的実施権の許諾を受ける。