文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期累計期間における我が国経済は、米中両国が矢継ぎ早に発動した追加関税措置による米中貿易摩擦の激化、アジアや欧州の景気拡大ペースの鈍化など、リスクへの懸念から先行き不透明感が高まる一方で、雇用・所得環境は改善傾向にあり、緩やかな回復基調で推移しました。
再生医療・細胞治療分野では、個別化されたがん免疫療法として注目を集めている「CAR-T細胞」療法など、大手製薬メーカーを中心として新たながん治療分野の開発が加速してきました。また2018年10月には、がん細胞に係わる免疫チェックポイント分子を発見した京都大学の本庶佑特別教授のノーベル医学生理学賞受賞が発表され、「オプジーボ」など新たながん治療薬への関心も高まりを見せています。一方、こうした動きの裏では、医療費高騰の懸念が顕在化し始めています。
このような状況の下、財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
a. 財政状態
当第2四半期会計期間末の総資産は、新規パイプラインの研究開発費支払及び委託研究機関からの助成金対象費用が確定精算したことによるその他流動資産の減少等により前期末比497,043千円減の8,526,026千円となりました。負債は、前受金及び助成金にかかる仮受金の減少等により前期末比81,750千円減の689,888千円となりました。純資産は、利益剰余金の減少により前期末比415,292千円減の7,836,138千円となり、自己資本比率は91.9%となりました。
b. 経営成績
当第2四半期累計期間における売上高は、再生医療製品事業の売上高が前年同期に比べ減少し、1,023,228千円(前年同期比6.1%減)となりました。さらに新規パイプラインの研究開発費の増加により、営業損失は423,101千円(前年同期は84,900千円の営業利益)となりました。経常損失は418,086千円(前年同期は84,102千円の経常利益)となり、四半期純損失は415,276千円(前年同期は67,028千円の四半期純利益)となりました。
なお、第1四半期会計期間より報告セグメントの利益又は損失の算定方法を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、前年同期比較については、前年同四半期累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
再生医療製品事業の売上高は、669,960千円(前年同期比15.8%減)となり、自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの適応拡大に伴う開発費用が増加したことによりセグメント利益は118,989千円(前年同期比60.3%減)となりました。
再生医療受託事業の売上高は、297,651千円(前年同期比21.3%増)となり、セグメント利益は63,555千円(前年は927千円のセグメント損失)となりました。
研究開発支援事業の売上高は、55,615千円(前年同期比12.5%増)となり、新製品の開発費用の増加等により、セグメント利益は2,610千円(前年同期比49.4%減)となりました。
各セグメントにおける概況、及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです(□内は当四半期累計期間における主な成果です)。
[再生医療製品事業]
当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。
・自家培養表皮ジェイス
自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷及び先天性巨大色素性母斑を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、2016年4月から保険機能区分が①採取・培養キットと②調製・移植キットの2つに細分化され、償還価格がそれぞれ①4,380千円、②151千円/枚に改定されています。重症熱傷患者様の治療を目的としているため、受注から製品が使用されるまでの間に患者様死亡等の理由で使用中止になることがあり、保険償還できないリスクを抱えていましたが、当該改定により、製造を中止した場合でも、①採取・培養キットの保険償還が可能となりました。2018年4月以降は、保険算定に関する留意事項が変更となり、患者様あたり一連につき40枚の保険算定限度が、医学的に必要がある場合に限り50枚の算定限度まで引き上げられました。
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当第2四半期累計期間におけるジェイスの売上は、477,006千円(前年同期比24.8%減)となりました。今期に入り重症熱傷の発生数が少ない状況が続いた影響が大きく、8月、9月と受注は回復したものの、前年同期に比べ売上が減少しました。先天性巨大色素性母斑向けは、安定的に受注は獲得しましたが、販売開始直後で待機患者需要が集中した前年同期に比べ売上は減少しました。当社は引き続き、熱傷における規制緩和を受けて適正な枚数の使用を促す活動や、母斑治療を数多く実施している拠点施設への営業強化、医師向けのエビデンス(臨床情報)提供を目的とした記録集・症例集等の作成・配布といった施策に取り組み、巻き返しを図っていきます。また、希少疾病用再生医療等製品に指定されて開発を進めていた表皮水疱症の治療について2018年3月に一部変更承認申請を提出しており、今期中の承認取得を目指しています。 |
・自家培養軟骨ジャック
自家培養軟骨ジャックは、2013年4月から保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、適応対象は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。ジャックの保険機能区分についてもジェイス同様に細分化され、2016年4月から、償還価格が①採取・培養キット879千円、②調製・移植キット1,250千円に改定されています。
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当第2四半期累計期間におけるジャックの売上は192,954千円(前年同期比19.6%増)となり、前年同期に比べ売上が増加しました。5年間にわたる使用成績調査の結果を、膝治療の専門家からなる第三者委員会による評価・学会報告を通じて中期的臨床データとしてフィードバックしたことに加え、富士フイルムグループのテレビCMによる認知度向上などが奏功し、新規施設からの受注も増え、7月には過去最高の単月移植症例数を記録しました。9月末時点で、ジャックを使用できる医療機関(使用届出施設)は298施設(3月末時点から7施設増)あり、講習会を修了した医師は1,521名(3月末時点から72名増)となりました。当社は、4月に骨膜の代わりに人工のコラーゲン膜を使う一部変更承認申請を提出しており、今後、ジャックの低侵襲化・移植手技の簡便化を進めます。また、7月には外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験計画届書を提出し、ジャックのさらなる普及と市場拡大を目指していきます。 |
[再生医療受託事業]
当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を積極的に進めました。
・再生医療等製品の受託開発
当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。
・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託
当社は、2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築など、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。
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当第2四半期累計期間における再生医療受託事業の売上は、297,651千円(前年同期比21.3%増)となりました。これは、受託した研究テーマの進捗の達成に伴うマイルストン獲得や、企業やアカデミアからの再生医療等製品の開発コンサルティング及び開発製造受託の新規受注の拡大が寄与しました。また、名古屋市立大学病院での白斑や難治性皮膚潰瘍の治療における培養表皮の製造受託でも、前年同期に対し売上が増加しました。この他、自家培養角膜上皮ならびに自家培養口腔粘膜上皮の製造販売承認申請に向けた準備も着実に進めました。当社は引き続き、一つ一つの受託案件を確実に前進させることにより、再生医療受託事業の拡大を目指します。 |
[研究開発支援事業]
当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織(ラボサイトシリーズ)の製造販売を進めました。
・ラボサイトシリーズ
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。ラボサイトエピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法は、標準法の一つとしてOECDの試験法ガイドラインTG439へ収載されています。
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当第2四半期累計期間におけるラボサイトの売上は、55,615千円(前年同期比12.5%増)となりました。エピ・モデル24を中心に、国内外の化粧品開発企業や製薬企業を主な顧客として地道な営業活動を進めた結果、値上げの効果もあり、前年同期に比べ売上が増加しました。2018年7月には国内で皮膚基礎研究に携わる研究者の方々を対象とした皮膚基礎研究クラスターフォーラムに共催、出展しました。また9月にはマレーシアなどアジア向けにラボサイト取扱講習会を開催するなど海外向けの宣伝活動にも取り組みました。ラボサイト角膜モデル24では、同モデルを用いた眼刺激性試験法が、6月に経済協力開発機構テストガイドライン492 (OECD TG492) に収載されました。当社は今後も、日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、広く化学物質を扱う企業向けに、より信頼性の高い動物実験代替法としてラボサイトシリーズを提案し、事業拡大を図ります。 |
[新規パイプラインの開発]
当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでいます。
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当第2四半期累計期間における特記事項は以下のとおりです。 - 2018年6月、CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とした自家CAR-T細胞治療薬の開発に向けて、名古屋大学及び信州大学とライセンス契約を締結しました。当社は引き続き、名古屋大学と連携し、本治療薬の早期実用化を目指していきます。 - 2018年7月、尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑の治療を目的として、メラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮「ACE02」の治験計画届書を提出しました。「ACE02」を通じて、皮膚科領域の疾患治療に進出し、従来から取り組んでいる形成外科・整形外科領域からの事業拡大を目指していきます。 - 2018年9月、日本医療研究開発機構(AMED)の委託事業(国家プロジェクト)として、同種(他家)細胞を用いた製品の開発、及び産業利用を目的とした同種細胞の安定供給体制の構築に関する2案件が採択されました。当社は、我が国で初となる他人の皮膚を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品の製品化を目指し、国の助成金を活用しながら同種培養表皮の開発を加速させるとともに、同種細胞を用いた新たな再生医療の産業化を推進します。 |
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物は、前年同四半期会計期間末に比べて317,094千円減少し、1,925,417千円となりました。当第2四半期累計期間のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は379,539千円(前年同四半期は437,383千円の獲得)となりました。前年同四半期累計期間との差異が生じた主な要因は、新規パイプラインに係る研究開発費の増加により、税引前四半期純損失となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は95,997千円(前年同四半期は399,588千円の使用)となりました。前年同四半期累計期間との差異が生じた主な要因は、定期預金の払戻及び預入による結果、支出が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,853千円(前年同四半期は14,982千円の獲得)となりました。前年同四半期累計期間との差異が生じた主な要因は、前年同四半期累計期間の新株予約権の行使といった資金の獲得要因はなく、リース債務の返済等による資金の使用要因のみであったことによるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期累計期間における研究開発活動の金額は、459,906千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(25,158千円)控除後の金額であります。
当第2四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、当社は、2018年6月21日開催の臨時取締役会において、名古屋大学・信州大学とCD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とする自家CAR-T細胞治療薬の開発、製造、販売における特許実施許諾契約を締結することを決議し、2018年6月22日付で契約を締結しました。これまで培ってきた自家細胞の培養に関する技術・ノウハウと、確立した品質保証システム、高度な製造設備などを活かし、CD19陽性ALLを対象に自家CAR-T細胞を用いた治療薬の開発を進めていきます。