文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期累計期間における我が国経済は、米中貿易摩擦の激化などのリスクへの懸念が高まる中、株式市場では急落と急上昇を繰り返す不安定な相場が続くなど、先行き不透明な状況で推移しました。一方で、雇用・所得環境は改善傾向にあり、国内景気は緩やかな回復基調が続きました。
再生医療・細胞治療分野では、脊髄損傷治療に用いる自己骨髄間葉系幹細胞(ニプロ 販売名:ステミラック注)が国内で5番目の再生医療等製品として12月に承認されました。当該分野に参入する企業が増加することにより、企業間の競争が発生する反面、より現実に即した市場環境の形成が期待できます。
さらに、個別化されたがん免疫療法として注目を集めている「CAR-T細胞」療法など、大手製薬メーカーを中心として新たながん治療分野の開発が加速するとともに、ノーベル医学生理学賞を受賞された本庶佑特別教授らが開発した免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」など、新たながん治療薬への関心も高まりを見せています。一方、こうした動きの裏では、医療費高騰の懸念が顕在化し始めています。
このような状況の下、財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
a. 財政状態
当第3四半期会計期間末の総資産は、新規パイプラインの研究開発費支払及び委託研究機関からの助成金対象費用が確定精算したことによるその他流動資産の減少等により前期末比519,714千円減の8,503,355千円となりました。負債は、前受金及び未払法人税等の減少等により前期末比34,220千円減の737,418千円となりました。純資産は、利益剰余金の減少により前期末比485,494千円減の7,765,936千円となり、自己資本比率は91.3%となりました。
b. 経営成績
当第3四半期累計期間における売上高は、再生医療製品事業の売上高が前年同期に比べ減少し、1,537,539千円(前年同期比4.4%減)となりました。さらに新規パイプラインの研究開発費の増加により、営業損失は480,915千円(前年同期は121,548千円の営業利益)となりました。経常損失は472,678千円(前年同期は121,332千円の経常利益)となり、四半期純損失は485,478千円(前年同期は106,324千円の四半期純利益)となりました。
なお、第1四半期会計期間より報告セグメントの利益又は損失の算定方法を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、前年同期比較については、前年同四半期累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
再生医療製品事業の売上高は、978,306千円(前年同期比13.1%減)となり、自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの適応拡大に伴う開発費用が増加したことによりセグメント利益は166,395千円(前年同期比57.6%減)となりました。
再生医療受託事業の売上高は、473,520千円(前年同期比15.3%増)となり、セグメント利益は99,826千円(前年同期比79.0%増)となりました。
研究開発支援事業の売上高は、85,712千円(前年同期比18.1%増)となり、研究開発費の増加等により、セグメント利益は2,590千円(前年同期比61.4%減)となりました。
各セグメントにおける概況、及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです(□内は当四半期累計期間における主な成果です)。
[再生医療製品事業]
当社は再生医療製品事業において自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。
・自家培養表皮ジェイス
自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷及び先天性巨大色素性母斑を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、2016年4月から保険機能区分が①採取・培養キットと②調製・移植キットの2つに細分化され、償還価格がそれぞれ①4,380千円、②151千円/枚に改定されています。2018年4月以降は、保険算定に関する留意事項が変更となり、熱傷治療において、患者様あたり一連につき40枚の保険算定限度が、医学的に必要がある場合に限り50枚の算定限度まで引き上げられました。
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当第3四半期累計期間におけるジェイスの売上は、696,883千円(前年同期比21.5%減)となりました。今期に入り重症熱傷の発生数が少ない状況が続いた影響が大きく、前年同期に比べ売上が減少しました。先天性巨大色素性母斑向けは、拠点施設への営業強化の効果もあり、安定的に受注は獲得しましたが、販売開始直後で待機患者需要が集中した前年同期に比べ売上は減少しました。当社は引き続き、熱傷での適正な枚数の使用を促す活動や、母斑治療を実施している拠点施設への営業強化、医師向けのエビデンス(臨床情報)提供・共有化などの施策に取り組み、売上拡大に努めます。 また、2018年3月に一部変更承認申請を行っていたジェイスの表皮水疱症への適応拡大について、12月28日付で厚生労働省より承認を取得しました。今後、表皮水疱症治療においてもジェイスの普及を目指します。 |
・自家培養軟骨ジャック
自家培養軟骨ジャックは、2013年4月から保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、適応対象は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。ジャックの保険機能区分についてもジェイス同様に細分化され、2016年4月から、償還価格が①採取・培養キット879千円、②調製・移植キット1,250千円に改定されています。
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当第3四半期累計期間におけるジャックの売上は281,422千円(前年同期比18.2%増)となり、前年同期に比べ売上が増加しました。膝治療の専門家からなる第三者委員会による評価を行い、学会報告を通じて中期的臨床データをフィードバックしたことに加え、富士フイルムグループのテレビCMによる認知度向上などが奏功し、新規施設からの受注も増えました。2018年10月には、7月に記録した過去最高の単月移植症例数を更新しました。12月末時点で、ジャックを使用できる医療機関(使用届出施設)は303施設(9月末から5施設増)あり、講習会を修了した医師は1,552名(9月末から31名増)となりました。 一方、骨膜の代わりに人工のコラーゲン膜を使う一部変更承認申請を4月に提出し、ジャックの低侵襲化・移植手技の簡便化への対応を進めていますが、12月末時点では審査継続中で承認に至りませんでした。 また、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験計画届書を7月に提出し、現在治験を実施中です。 |
[再生医療受託事業]
当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を積極的に進めました。
・再生医療等製品の受託開発
当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。
・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託
当社は、2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築など、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。
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当第3四半期累計期間における再生医療受託事業の売上は、473,520千円(前年同期比15.3%増)となりました。再生医療に関する企業の取組みの高まりなどを受け、受託事業の契約顧客数が増加しており、受託した研究テーマの進捗の達成に伴うマイルストン獲得や、再生医療等製品の開発コンサルティング及び開発製造受託の新規受注の拡大が寄与しました。また、名古屋市立大学病院での白斑や難治性皮膚潰瘍の治療における培養表皮の製造受託でも、前年同期に対し売上が増加しました。この他、自家培養角膜上皮ならびに自家培養口腔粘膜上皮の製造販売承認申請に向けた準備も着実に進めました。ただし目標とする売上に対しては、詳細仕様決定や契約締結に想定以上の時間を要している等の理由により遂行が遅れています。当社は、一つ一つの受託案件を確実に前進させることに注力し事業の拡大を目指します。 |
[研究開発支援事業]
当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織(ラボサイトシリーズ)の製造販売を進めました。
・ラボサイトシリーズ
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。ラボサイトエピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法は、標準法の一つとしてOECDの試験法ガイドラインTG439へ収載されています。
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当第3四半期累計期間におけるラボサイトの売上は、85,712千円(前年同期比18.1%増)となりました。国内外の企業への営業活動を進めた結果、値上げの効果もあり、前年同期に比べ売上が増加しました。2018年7月には国内で皮膚基礎研究に携わる研究者の方々を対象とした皮膚基礎研究クラスターフォーラムに共催、出展し、9月にはマレーシアなどアジア向けに取扱講習会を開催するなど海外向けの宣伝活動にも取り組みました。また、角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法が6月にOECDのテストガイドライン492 (TG492) に収載され、11月にはエピ・モデル24を含む皮膚腐食性試験法のガイドライン(TG431)のドラフトがOECDホームページで公開されました。当社は今後も、日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに、より信頼性の高い動物実験代替法としてラボサイトシリーズを提案し、事業拡大を図ります。 |
[新規パイプラインの開発]
当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでいます。
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当第3四半期累計期間において、新たなパイプラインの開発も着実に前進させました。 - CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とした自家CAR-T細胞治療薬の開発に向けて、2018年6月に名古屋大学及び信州大学とライセンス契約を締結しました。当社は、名古屋大学と密に連携し、本治療薬の開発を進めています。 - 尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑の治療を目的として、メラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮「ACE02」の治験計画届書を2018年7月に提出し、現在治験を実施中です。「ACE02」を通じて、皮膚科領域の疾患治療に進出し、従来から取り組んでいる形成外科・整形外科領域からの事業拡大を目指しています。 - 我が国で初となる他人の皮膚を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品の製品化を目指しており、2018年10月より日本医療研究開発機構(AMED)の委託事業(国家プロジェクト)として同種培養表皮の開発、及び産業利用を目的とした同種細胞の安定供給体制の構築に関する2案件について開発を進めています。 |
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、525,272千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(67,949千円)控除後の金額であります。
当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、当社は、2018年6月21日開催の臨時取締役会において、名古屋大学・信州大学とCD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とする自家CAR-T細胞治療薬の開発、製造、販売における特許実施許諾契約を締結することを決議し、2018年6月22日付で契約を締結しました。これまで培ってきた自家細胞の培養に関する技術・ノウハウと、確立した品質保証システム、高度な製造設備などを活かし、CD19陽性ALLを対象に自家CAR-T細胞を用いた治療薬の開発を進めていきます。
当第3四半期会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
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契約書名 |
委託研究開発契約書 |
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相手方名 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) |
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契約締結日 |
2018年10月1日 |
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契約期間 |
2018年10月1日から2019年3月31日まで |
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主な契約内容 |
AMED及び当社は、「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(国内医療機関からのヒト(同種)体性幹細胞原料の安定供給モデル事業)」について委託契約を締結する。委託業務の題目は、以下のとおり。 「同種細胞を用いた再生医療のための産業利用を目的としたヒト細胞及び組織の安定供給の実証」 ドナーのインフォームドコンセント取得とスクリーニング、医療機関内の申請、採取に係る輸送手配をシステム化するとともに、その運営工数を明確化することにより透明性が高く維持管理が可能な安定供給モデルを構築する。 |
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契約書名 |
委託研究開発契約書 |
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相手方名 |
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) |
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契約締結日 |
2018年10月17日 |
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契約期間 |
2018年10月17日から2019年3月31日まで |
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主な契約内容 |
AMED及び当社は、「医療機器開発推進研究事業(医療費適正化に資する革新的医療機器の臨床研究)」について委託契約を締結する。委託業務の題目は、以下のとおり。 「皮膚再建に用いる乾燥同種培養表皮の開発」 創傷を早期に治癒させる新たな治療法となる乾燥同種培養表皮の開発を行う。 |