第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態及び経営成績の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 (1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期累計期間における我が国経済は、人手不足を背景に雇用・所得環境の改善が続くなか、消費増税の反動減による個人消費の落ち込みや、台風など自然災害による一時的なマイナス影響があったものの、国内景気は緩やかな回復基調が持続しました。一方で、米中貿易摩擦の激化や、英国の欧州連合(EU)からの離脱問題などの影響により、世界景気は先行き不透明感が強い状況で推移しました。

再生医療・細胞治療分野では、2019年5月、がん免疫療法として注目を集めているCAR-T細胞治療薬(ノバルティスファーマ販売名:キムリア)が保険収載されました(価格は1回3,349万円)。また、慢性動脈閉そく症による皮膚潰瘍治療を目的とした再生医療等製品(アンジェス 販売名:コラテジェン)が、我が国初の遺伝子治療薬として同年8月に保険収載されました(価格は1回60万円)。革新的な医療技術により患者治療に貢献し、希少疾病患者への福音となることへの期待が高まっています。

一方、我が国における新たな再生医療関連規制・制度について、諸外国からも注目されるようになってきました。とりわけ、再生医療等製品の早期承認制度である『条件および期限付き承認』には様々な意見が寄せられています。さらに、これら高度医療が保険財源を圧迫するとの懸念も高まっています。再生医療がより現実になるにつれ、解決すべき課題も徐々に顕在化してきたといえます。

このような状況の下、財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a. 財政状態

 当第3四半期会計期間末の総資産は、売掛金の減少及び助成金対象費用が確定精算したことによるその他流動資産の減少等により前期末比522,669千円減の8,229,302千円となりました。負債は、未払金の減少及び助成金に係る仮受金の確定精算等により前期末比159,824千円減の674,024千円となりました。純資産は、利益剰余金の減少により前期末比362,845千円減の7,555,277千円となり、自己資本比率は91.8%となりました。

 

b. 経営成績

当第3四半期累計期間における売上高は、研究開発支援事業の売上は増加したものの、再生医療製品事業及び再生医療受託事業の売上高が前年同期に比べ減少し、1,505,006千円(前年同期比2.1%減)となりました。営業損失は363,865千円(前年同期は480,915千円の営業損失)となり、自家CAR-T細胞治療導入のための一時金等の支払いがあった前年同期と比べ改善しました。経常損失は359,850千円(前年同期は472,678千円の経常損失)となり、四半期純損失は362,845千円(前年同期は485,478千円の四半期純損失)となりました。

なお、第1四半期会計期間より報告セグメントの利益又は損失の算定方法を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、前年同期比較については、前年同四半期累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。

再生医療製品事業の売上高は、941,266千円(前年同期比3.8%減)となり、自家培養軟骨ジャックの適応拡大に伴う開発費用が増加したことによりセグメント利益は46,360千円(前年同期比76.1%減)となりました。

再生医療受託事業の売上高は、466,985千円(前年同期比1.4%減)となり、セグメント利益は110,566千円(前年同期比3.7%減)となりました。

研究開発支援事業の売上高は、96,753千円(前年同期比12.9%増)となり、セグメント利益は4,344千円(前年同期比325.1%増)となりました。

 

各セグメントにおける概況、及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです(□内は当四半期累計期間における主な成果です)。

 

[再生医療製品事業]

当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。

 

・自家培養表皮ジェイス

自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷、先天性巨大色素性母斑及び先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、2018年4月以降、保険算定に関する留意事項が変更となり、熱傷治療において、患者様あたり一連につき40枚の保険算定限度が、医学的に必要がある場合に限り50枚の算定限度まで引き上げられました。

当第3四半期累計期間におけるジェイスの売上は、634,284千円(前年同期比9.0%減)となりました。7月に保険収載された表皮水疱症向けは順調に立ち上がり、受注を獲得しました。しかし、重症熱傷の発生数が少なかったことに加え、先天性巨大色素性母斑向けでは待機患者への治療が一巡したことによる売上減の影響が大きく、ジェイス売上全体としては前年同期に比べ減少しました。

当社は、引き続き重症熱傷向けでは重点施設に対する個別営業活動の強化、母斑向けではエビデンス強化等により受注の維持を図りつつ、表皮水疱症向けの受注拡大に注力します。具体的には、ターゲット施設へのアプローチによって適応候補となる患者把握を進めるとともに、研究会やセミナー、患者交流会等での積極的な情報提供を通じてジェイスの認知度を向上させ、さらなる普及に努めます。

 

・自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、2013年4月から保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、適応対象は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。

当第3四半期累計期間におけるジャックの売上は、306,982千円(前年同期比9.1%増)となり、前年同期と比べ増加しました。2019年1月に承認を取得した、患者自身の骨膜に代わってコラーゲン膜を使用することにより移植手技の簡便化が実現したことなどが奏功し、新規施設からの受注が増加しました。

当社は、さらなる新規施設の開拓、及び既存の使用施設からの安定した受注の獲得に注力します。さらに、富士フイルムの3次元画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」を活用した膝診断との相乗効果も追求し、受注拡大に繋げていきます。また、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする治験を実施中であり、引き続き、ジャックの市場拡大に努めます。

 

[再生医療受託事業]

当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を積極的に進めました。

・再生医療等製品の受託開発

当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。

・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託

当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。

当第3四半期累計期間における再生医療受託事業の売上は、業務の開始や遂行に想定以上の時間を要しており、466,985千円(前年同期比1.4%減)となりました。当社は引き続き、独自に受託した案件を確実に進めることに加え、富士フイルムが出資する再生医療ベンチャーからも再生医療製品のプロセス開発や薬事コンサルティングを受託することで事業の拡大を目指していきます。

なお、2019年3月に製造販売承認申請を行った自家培養角膜上皮(開発名:EYE-01M)については、引き続き、承認申請に対する当局からの照会事項に鋭意対応しています。また自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET01)についても、製造販売承認申請に向けた準備を進めています。

 

 

[研究開発支援事業]

当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を進めました。

 

・ラボサイトシリーズ

研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品、化学

品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに提案、販売しています。

研究開発支援事業の売上は、96,753千円(前年同期比12.9%増)となりました。国内外の化粧品・化学品メーカー等への営業活動の結果、前年に比べ売上が増加しました。経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインには、ラボサイト角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法、エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法と皮膚腐食性試験法が標準法の一つとして収載されています。その成果を生かし、当社は引き続き、ラボサイトシリーズがより信頼性の高い動物実験代替材料として活用できることを訴求し、さらなる売上拡大を目指します。

また当社は、2019年9月、富士フイルムの新製品:ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」の製造と販売を開始しました。製薬企業や食品メーカーからの反響が大きく、多くの問い合わせをいただいており、順調な立ち上がりとなっています。当社は引き続き、富士フイルムと連携した販売活動を展開して本製品の認知度を向上させ、さらなる売上増加に努めます。

 

[新規パイプラインの開発]

当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでいます。

当第3四半期累計期間における特記事項は以下のとおりです。

- CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)を対象とした自家CAR-T細胞治療の開発においては、2019年9月に「piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家CD19CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発」(ウイルスベクターを用いない新技術による国産のCAR-T細胞製剤の開発)に対して日本医療研究開発機構(AMED)から補助金を獲得し、引き続き開発を進めています。

- 尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑の治療を目的とするメラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮(開発名:ACE02)については、引き続き治験を実施しています。ACE02を通じて、皮膚科領域へ展開し、従来から取り組んでいる形成外科・整形外科領域からの事業拡大を目指しています。

- また当社は我が国で初となる他人の皮膚組織を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品の実現を目指しており、2018年10月よりAMEDの委託事業(国家プロジェクト)として「同種培養表皮の開発」及び「産業利用を目的とした同種細胞の安定供給体制の構築」に関する2案件を進めています。

 

 

  (2) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

  (3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

  (4) 研究開発活動

 当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、281,123千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(65,996千円)控除後の金額であります。

 当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。