第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態及び経営成績の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 (1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中、5月の緊急事態宣言解除以降、段階的に経済活動が再開され、輸出など一部で持ち直しの動きがみられていました。しかしながら、夏場以降、感染再拡大に歯止めがかからず、2021年1月には複数の都府県に2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、先行きが極めて不透明な状況が続いています。

医療環境においては、感染再拡大の影響から医療現場の逼迫が続いており、コロナウイルス関連患者の治療のみならず、その他の疾患治療への影響も出ています。国内では、5月に国内初の新型コロナウイルス治療薬として「レムデシビル」(ギリアド・サイエンシズ)が特例承認され、7月にはステロイド薬の「デキサメタゾン」が国内で2例目の正式なコロナ治療薬として追加されました。欧米では12月に入り新型コロナウイルスワクチンの接種が開始され、国内でも新型コロナウイルスに対する治療方法の早期確立に向けた動きが進んでいます。

再生医療・細胞治療分野では、2020年3月に承認された角膜上皮幹細胞疲弊症治療を目的とした再生医療等製品(当社 販売名:ネピック)と、脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療用製品(ノバルティスファーマ 販売名:ゾルゲンスマ)が、いずれも6月までに保険収載されました。また、新型コロナウイルス感染症に対する幹細胞治療の臨床試験も複数開始され、重症患者への治療の選択肢として期待されています。

このような状況の下、財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a. 財政状態

 当第3四半期会計期間末の総資産は、現金及び預金、売掛金の減少等により前期末比470,327千円減の7,981,236千円となりました。負債は、賞与引当金の減少等により前期末比60,192千円減の760,347千円となりました。純資産は、利益剰余金の減少により前期末比410,135千円減の7,220,888千円となり、自己資本比率は90.5%となりました。

 

b. 経営成績

当第3四半期累計期間における売上高は、再生医療製品事業の売上が前年並みを維持し、研究開発支援事業の売上が大きく増加したものの、再生医療受託事業の売上が大きく減少したことから、1,383,302千円(前年同期比8.1%減)となりました。営業損失は410,050千円(前年同期は363,865千円の営業損失)、経常損失は407,055千円(前年同期は359,850千円の経常損失)、四半期純損失は410,135千円(前年同期は362,845千円の四半期純損失)となりました。

再生医療製品事業の売上高は、937,553千円(前年同期比0.4%減)となり、セグメント利益は51,299千円(前年同期比10.7%増)となりました。

再生医療受託事業の売上高は、308,898千円(前年同期比33.9%減)となり、セグメント利益は77,307千円(前年同期比30.1%減)となりました。

研究開発支援事業の売上高は、136,850千円(前年同期比41.4%増)となり、セグメント利益は18,031千円(前年同期比315.0%増)となりました。

 

各セグメントにおける概況、及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです(□内は当四半期累計期間における主な成果です)。

 

[再生医療製品事業]

当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックならびに自家培養角膜上皮ネピックの製造販売を行っています。

・自家培養表皮ジェイス

自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷、先天性巨大色素性母斑及び先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、患者様あたり一連につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度とされています。

 

・自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応対象としています。

・自家培養角膜上皮ネピック

自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域で国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を除く)を適応対象としています。

当第3四半期累計期間における再生医療製品事業の売上は、937,553千円(前年同期比0.4%減)となりました。主な内訳は以下のとおりです。

当第3四半期累計期間におけるジェイスの売上は、671,558千円(前年同期比5.9%増)となりました。新型コロナウイルスの影響により営業活動が制限される中、重症熱傷向けでは治療手技のDVD動画の配布、先天性巨大色素性母斑向けでは拠点施設への重点的なフォロー、表皮水疱症向けでは医師に対するセミナー記録集を用いた情報提供等、的を絞った営業施策が奏功しており、売上を前年同期から伸ばすことが出来ました。当社は引き続き新型コロナウイルスの影響を鑑みつつ、現在の環境で実施できる有効な営業施策を推進し、ジェイスのさらなる普及に努めます。

当第3四半期累計期間におけるジャックの売上は、260,395千円(前年同期比15.2%減)となりました。依然として医療機関への訪問や新規施設への営業活動を自粛せざるを得ない状況が続く中、オンラインツールを活用した医師向け講演会の開催等の新たな営業手法により、ジャックの認知度向上やコラーゲン膜の有用性の情報提供に努めました。しかしながら、当期はコロナ禍による不急の手術の敬遠・延期や、スポーツ制限による罹患者数の減少が生じたことで対前年では売上減となりました。当社は、受注減となるも、生産効率化によるコスト削減や、ヘビーユーザーと連携した手技の標準化等、今後の収益強化への布石を打ちました。また外来患者の減少に伴い計画より遅れているものの、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする治験を実施中であり、引き続きジャックの市場拡大に努めます。

第3四半期においては、2020年6月に保険収載されたネピックの初受注を獲得し、第1症例への移植を完了しました。当社がこれまで蓄積した再生医療等製品の製造販売に関する経験やノウハウと株式会社ニデックの眼科領域の強固なネットワークの連携により、短期間でスムーズに初移植を実現することが出来ました。当社は引き続き、株式会社ニデックと連携し、眼科領域で国内初となる再生医療等製品の普及を目指します。

 

[再生医療受託事業]

当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を行っています。

・再生医療等製品の受託開発

当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。

・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託

当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。

当第3四半期累計期間における再生医療受託事業の売上は、308,898千円(前年同期比33.9%減)となりました。上期に新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた委託元(企業やアカデミア)で治験や海外からの技術移管が遅れたため、当社の売上が大幅に減少しました。第3四半期以降は、企業やアカデミアが治験等の開発を再開する動きが顕著であり、複数の案件で次の開発段階に向けた契約が締結され、第4四半期における収益獲得の目途が立ちました。当社は引き続き、顧客との契約協議を継続するとともに、締結済の契約に基づく受託業務を推進し、売上獲得を目指します。

 

[研究開発支援事業]

当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を行っています。

・ラボサイトシリーズ

研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに提案、販売しています。

・F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)

当社は、富士フイルムのヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」を製造販売しています。

当第3四半期累計期間における研究開発支援事業の売上は、136,850千円(前年同期比41.4%増)となりました。新型コロナウイルス感染拡大により、顧客である研究所の実験中断や中止、また学会等の中止によるPR機会の喪失等が発生しました。このような中、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの販売ではオンラインツールを最大限に活用し、既存顧客への迅速かつきめ細やかなアフターフォローを実施しました。また海外顧客を含む新規ユーザーへのアプローチを強化し、前年同期に比べ売上が大きく増加しました。また経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインには、角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法ならびにエピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法と皮膚腐食性試験法が標準法の一つとして収載されており、海外からの問合せも増えています。当社は引き続き、ラボサイトシリーズがより信頼性の高い動物実験代替材料として活用できることを訴求し、さらなる売上拡大を目指します。

加えて当社は、2019年9月より、富士フイルムのヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」を製造販売しており、堅調に売上を伸ばしました。

 

[新規パイプラインの開発]

当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでいます。

当第3四半期累計期間における特記事項は以下のとおりです。

- 2020年9月、眼科領域の再生医療等製品としては第2号となる自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET01)の製造販売承認申請を行いました。

- CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)の治療を目的とする自家CAR-T細胞については、2019年9月に「piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家CD19CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発」(ウイルスベクターを用いない新技術による国産のCAR-T細胞製剤の開発)に対して日本医療研究開発機構(AMED)から補助金を獲得して開発を進めています。並行して、技術導入元である名古屋大学において同技術を用いた急性リンパ性白血病に対する臨床研究が実施されており、企業治験を実施するための評価データが集積されています。

- 尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑の治療を目的とするメラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮(開発名:ACE02)については、治験を実施しています。引き続き、ACE02を通じて、皮膚科領域へ展開し、従来から取り組んでいる形成外科・整形外科領域からの事業拡大を目指します。

- 我が国で初となる他人の皮膚組織を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品については、2018年10月よりAMEDの委託事業(国家プロジェクト)として「同種培養表皮の開発」及び「産業利用を目的とした同種細胞の安定供給体制の構築」に関する2案件を進めました。並行して、共同研究先である京都大学において同技術を用いた皮膚欠損創に対する臨床研究が実施されており、企業治験を実施するための評価データが集積されています。

 

  (2) 会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

  (3) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

  (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

  (5) 研究開発活動

 当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、342,305千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(96,615千円)控除後の金額であります。

 当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 なお、当社は2021年1月29日付で、帝人株式会社と資本業務提携契約を締結いたしました。

 詳細は「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。