第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態及び経営成績の分析】

文中の将来に関する事項は、当第1四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

  (1)財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期累計期間(2021年4月1日から2021年6月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルスによる影響が長期化するなか、徐々に経済活動が再開され持ち直しの動きがみられたものの、感染再拡大防止の観点から、東京都をはじめ複数の都府県において、緊急事態宣言の再発動やまん延防止等重点措置の継続など、先行きが不透明な状況が続きました。

医療環境においては、全国で65歳以上の高齢者や医療従事者に次いで、一般の方々向けに新型コロナウイルスワクチンの集団接種が行われていますが、その一方で、首都圏を中心に感染者数はいまだ減少するに至っていません。長期にわたる医療現場の逼迫により、新型コロナウイルス関連患者の治療のみならず、その他の疾患治療への影響が懸念されています。

再生医療・細胞治療分野では、2021年6月に角膜上皮幹細胞疲弊症治療を目的とした再生医療等製品(当社 販売名:オキュラル)と、悪性神経膠腫治療を目的とした再生医療等製品(第一三共 販売名:デリタクト注)が新たに承認されました。これにより、我が国の再生医療等製品は13品目をかぞえ、そのうち細胞を使用した製品は10品目となりました。2014年の関連制度改正をもとに、国内製品の上市が加速しています。

このような状況の下、財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当第1四半期会計期間末における総資産は、受取手形及び売掛金の減少等により前事業年度末と比べ221,845千円減の7,897,340千円となりました。負債は、賞与引当金の目的使用等により前事業年度末と比べ92,346千円減の862,437千円となりました。純資産は、利益剰余金の減少により前事業年度末と比べ129,499千円減の7,034,902千円となり、自己資本比率は89.1%となりました。

 

b. 経営成績

当第1四半期累計期間における売上高は、再生医療製品事業の自家培養表皮ジェイス、自家培養角膜上皮ネピックに加え、再生医療受託事業および研究開発支援事業の売上拡大により堅調に推移し、478,341千円(前年同期比26.6%増)となりました。営業損失は129,762千円(前期同期は174,692千円の営業損失)となり、前年同期と比べ改善しました。経常損失は128,332千円(前年同期は173,724千円の経常損失)となり、四半期純損失は129,478千円(前年同期は174,873千円の四半期純損失)となりました。

再生医療製品事業の売上高は、325,676千円(前年同期比19.8%増)となり、セグメント損失は5,437千円(前年同期は12,070千円のセグメント損失)となりました。

再生医療受託事業の売上高は、101,886千円(前年同期比38.2%増)となり、セグメント利益は74,648千円(前年同期は18,063千円のセグメント利益)となりました。

研究開発支援事業の売上高は、50,777千円(前年同期比57.6%増)となり、セグメント利益は2,577千円(前年同期は658千円のセグメント利益)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当第1四半期会計期間の期首から適用しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。

 

各セグメントにおける概況及び新規パイプラインの開発における特記事項は以下のとおりです(□内は当四半期における主な成果です)。

 

[再生医療製品事業]

当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックならびに自家培養角膜上皮ネピックの製造販売を行っています。2021年6月には、自家培養口腔粘膜上皮オキュラルの製造販売承認を取得しました。

・自家培養表皮ジェイス

自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷、先天性巨大色素性母斑及び先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、患者さまの一連の製造につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度です。

・自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応対象としています。

・自家培養角膜上皮ネピック

自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域で国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を除く)を適応対象としています。

・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル

自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、2021年6月に製造販売承認された眼科領域で第2号となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症を適応対象としています。

当第1四半期累計期間における再生医療製品事業の売上は、325,676千円(前年同期比19.8%増)となりました。主な内訳は以下のとおりです。

当第1四半期累計期間におけるジェイスの売上は、222,051千円(前年同期比16.6%増)となりました。新型コロナウイルスの影響により営業活動が制限される中、重症熱傷を対象にした医師向けのオンライン勉強会を開催、先天性巨大色素性母斑では早期治療介入の啓発活動を推進、表皮水疱症では医師向け研究会等の施策を実施したことで、前年同期に対して売上が増加しました。当社は引き続き、医療機関への訪問規制を厳守しながら、有効な営業施策を実施し、ジェイスのさらなる普及に努めます。

当第1四半期累計期間におけるジャックの売上は、81,225千円(前年同期比0.4%減)となりました。医療機関への訪問による営業活動を自粛せざるを得ない厳しい状況が続く中、オンラインツールを活用したジャックの認知度向上やコラーゲン膜の有用性の情報提供を継続して実施したことにより、前年同期並みの売上を維持しました。当社は、各医療機関の訪問規制状況に合わせた営業活動を実施して膝関節の軟骨欠損症例の取り込みを図り売上向上を目指します。

当第1四半期累計期間においては、2020年6月に保険収載されたネピックについて複数の受注を獲得し、移植が実施されました。2021年6月には、当社第4の再生医療等製品となるオキュラルの製造販売承認を取得し、保険収載に向けた準備を進めました。当社はネピックに加えてオキュラルを実用化し、販売を担う株式会社ニデックと協働することで、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療の選択肢を拡げ、眼科領域のさらなる発展を目指します。

 

[再生医療受託事業]

当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を行っています。

・再生医療等製品の受託開発

当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。

・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託

当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。

当第1四半期累計期間における再生医療受託事業の売上は、101,886千円(前年同期比38.2%増)となりました。新型コロナウイルスの影響を受けて開発の遅延が生じていた企業やアカデミアにおいて治験等が一部再開されたため、複数の案件にて受託業務が進展しました。加えて、既存の顧客から契約一時金を獲得し、前年同期に対して売上が増加しました。当社は引き続き、既存案件において顧客とのコミュニケーションを密に図りながら役務を遂行するとともに、新規案件の獲得を図り、売上増加を目指します。

 

[研究開発支援事業]

当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を行っています。

・ラボサイトシリーズ

研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに提案、販売しています。

・F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)

当社は、富士フイルムのヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」を製造販売しています。

当第1四半期累計期間における研究開発支援事業の売上は、50,777千円(前年同期比57.6%増)となりました。研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズでは、新型コロナウイルスの影響が続く中、オンラインツールを最大限に活用し、各顧客のニーズに合わせた迅速かつ丁寧なアフターフォローを実施しました。その結果、前年同期に対し売上が大きく増加しました。また経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインには、角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法ならびにエピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法と皮膚腐食性試験法が標準法の一つとして収載されており、海外からの引き合いも増えてきました。当社は引き続き、ラボサイトシリーズが信頼性の高い動物実験代替材料として活用できることを国内外に訴求し、一層の売上増加を目指します。

加えて、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」についても、堅調に売上を伸ばしました。

 

[新規パイプラインの開発]

当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでいます。

当第1四半期累計期間における特記事項は以下のとおりです。

- 尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑の治療を目的とするメラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮(開発名:ACE02)については、治験を実施しています。今後、速やかに製造販売承認申請を行い、皮膚科領域の事業拡大を目指します。

- 我が国で初となる他人の皮膚組織を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品については、2018年10月より日本医療研究開発機構(AMED)の委託事業として「同種培養表皮の開発」及び「産業利用を目的とした同種細胞の安定供給体制の構築」に関する2案件を進めました。並行して、共同研究先である京都大学において同種培養表皮を用いた皮膚欠損創に対する臨床研究が実施され、企業治験に向けた評価データが集積されました。

- ジャックの適応拡大に向けて、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とした治験を実施しています。本適応拡大を通じて、対象患者の多い市場への展開を目指します。

- CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)の治療を目的とする自家CAR-T細胞製剤については、2019年9月に「piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家CD19CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発」(ウイルスベクターを用いない新技術による国産のCAR-T細胞製剤の開発)に対してAMEDから補助金を獲得して開発を進めています。並行して、技術導入元である名古屋大学において同技術を用いた急性リンパ性白血病に対する臨床研究が実施されており、これまでに第1コホート(16~60歳対象群)の3人の患者さまへの投与が終了し、その安全性と一定の有効性が確認されました。

 

  (2)会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

  (3)経営方針・経営戦略等

当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

  (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

  (5)研究開発活動

当第1四半期累計期間における研究開発活動の金額は、159,891千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(16,203千円)控除後の金額であります。

当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

3【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Michele De Luca

契約締結日

2021年5月27日

契約期間

2021年4月1日から2022年3月31日まで

主な契約内容

Michele De Luca, M.D.が当社に対して、皮膚及び角膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がMichele De Luca, M.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、2020年6月2日に締結した契約を更新して、締結したものです。

 

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Graziella Pellegrini

契約締結日

2021年5月27日

契約期間

2021年4月1日から2022年3月31日まで

主な契約内容

Graziella Pellegrini, Ph.D.が当社に対して、皮膚及び角膜、結膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がGraziella Pellegrini, Ph.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、2020年6月2日に締結した契約を更新して、締結したものです。