第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。ただし、新型コロナウイルスの影響に基づく記載については、当事業年度末以降、現在までに当社が判断した最新のものを記載しております。

(1)経営方針

 当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュエンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する。」ことを会社設立の趣旨とし、次の経営理念・ビジョン・行動指針に基づいて、再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業を展開しております。

経営理念:再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者様のQOL向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする。

ビジョン:再生医療をあたりまえの医療に

行動指針:一、一貫性と柔軟性のバランス感覚を持つ。

一、勇気を持って変化に挑戦する。

一、異なる文化や考え方を尊重する。

一、徹底的に現場を重視する。

一、J-TECを代表する社員として深く考え行動する。

サステナビリティ方針:

私たちは、「再生医療をあたりまえの医療に」というビジョンのもと、再生医療のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上に努めます。

 当社は、上記サステナビリティ方針のもと、地域との連携をはじめ、次世代への教育・支援、従業員にとってより働きやすい職場づくり、再生医療の普及に向けた啓発活動などに取り組んでおります。

 

 

(2)経営戦略

成長戦略1(基盤強化):再生医療製品の提供活動で培ったノウハウを強みとして、既存事業の売上利益を最大化し、黒字体質の基盤を確立する。

①再生医療製品事業

・ジェイスは重症熱傷治療の標準治療として浸透。広範囲な重症熱傷に加え、受傷面積の小さい症例でも使用実績を増やし、当社の事業基盤を支える。母斑・表皮水疱症向けは拠点施設及び患者団体との関係強化で確実に発生症例を獲得し、ゴールドスタンダード化を進める。

・ジャックはコロナ禍で苦戦したが、ワクチン接種の進捗を踏まえ医療機関への訪問を再開し、敬遠・延期された症例の掘り起しを図る。認定医療機関関連のクリニック等からの集患施策やリハビリ期間を短縮する研究会の立上げ等の新規施策を展開する。

・ネピック、オキュラルは株式会社ニデックとの連携により、拠点候補施設を中心に治療実績を積み上げる。ネピック、オキュラルの両輪で、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療法の提供を実現する。

②再生医療受託事業

・顧客である企業やアカデミアはコロナ禍で中止していた開発を再開。優良な案件に注力して安定的に収益を獲得する。親会社である帝人と連携し新たなCDMO事業を構想・実行する。

③研究開発支援事業

・ラボサイトシリーズは、コロナ禍でも大幅に売上増加。更なる成長に向けて、市場の大きい皮膚感作性試験のOECDガイドライン化を進めつつ、アジア圏への海外展開も積極的に推進する。

 

成長戦略2(市場拡大):既存製品とは異なる対象患者の多い市場をターゲットとした新規自家製品の上市・効能追加により、売上を大幅に拡大させる。

①再生医療製品事業

・皮膚領域では、尋常性白斑を対象としたメラノサイト含有自家培養表皮(開発名:ACE02)を上市する。早期より本領域の専門医と研究会を立上げ、上市後のスムーズな普及に繋げる。

・膝領域では、ジャックの二次性変形性膝関節症への適応拡大により、本来ジャックが狙っていた巨大市場に改めて挑戦する。先行してヘビーユーザーの医療機関と連携し、自由診療による同疾患の治療(メディカルツーリズム等)に着手し、承認後の迅速展開を図る。

・ネピックとオキュラルをラインナップすることで、片眼性と両眼性の両方の角膜上皮幹細胞疲弊症患者に根治療法を提供し、眼科領域における再生医療のスタンダードとなる。これまで根治療法がないため治療を諦め埋没した患者に訴求し、潜在市場を開拓する。

②再生医療受託事業

・帝人と連携した新たなCDMO事業により、顧客(国内・海外)を拡大する。

・従来のCDMO事業に加え、海外での承認品目の国内製造受託(CMO)を積極的に獲得する。

③研究開発支援事業

・帝人の海外ネットワークを活用し、海外展開を加速する。

・薬機法の制約がない製品であるため、製法改良等のコストダウンで利益率向上を図る。

 

成長戦略3(領域展開):同種製品やがん免疫治療等の新たな製品・領域への展開を実現し、中期目標:売上高50億円、営業利益率10%超を達成する。

①再生医療製品事業

・皮膚領域では、当社初となる同種細胞を用いた培養表皮を上市する。Ⅱ度熱傷の新たな治療方法として、ジェイスで開拓した販路や医療機関とのネットワークを生かし普及させる。

・膝領域では、ジャックで実施してきた営業施策と適応拡大に加え、施設基準緩和に取り組み、これらの相乗効果で売上を飛躍させ、膝領域の再生医療として確たる地位を築く。

・新たな領域として、名古屋大学と開発中の自家CAR-T細胞製剤を上市する。低コストで供給できる強みを生かし、他社との差別化を図る。

・細胞培養に関する実績・ノウハウと、帝人の有するエンジニアリングでシナジーを発揮し自家製品の製造自動化や同種製品の大量生産に向けた生産革新を実現し大幅なコスト低減を図る。

②再生医療受託事業

・CDMO事業の拡大に伴い、新規生産拠点を立ち上げて製造受託のキャパシティを増大させる。

・皮膚、整形外科等の領域戦略に加え、培養法の相同性など当社事業との親和性を活用する。

③研究開発支援事業

・ラボサイトシリーズでは、感作性試験OECDガイドライン化の実現と、帝人との連携による海外展開のシナジーにより、事業規模を飛躍的に成長させる。

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(3)経営環境

 2012年に京都大学iPS細胞研究所 所長 山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことを契機に、わが国は再生医療を成長戦略の一つとして位置付けました。再生医療への期待が急速に高まる中で、再生医療の普及を迅速に進めるための法整備が進められ、2014年11月に薬事法は医薬品医療機器等法として改正され、新たに再生医療等製品が定義されると同時に、再生医療等製品に条件・期限付承認制度が導入されました。また、再生医療を安全かつ迅速に実施するための再生医療等安全性確保法が施行されました。

 このような状況の下、同種細胞を用いた再生医療製品の開発や、国内外技術導入による製薬企業の参入、iPS細胞による再生医療が臨床応用ステージに入る等の動きが加速しており、承認を取得した再生医療等製品も増えてきております。その一方で、国民医療費は、高齢化の進展、疾病構造の変化、医療の高度化、高額な製品の登場などによって年々増大しており、医療保険制度の持続可能性の確保が喫緊の課題となっております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、再生医療の産業化を推進するために、会社が対処すべき課題を以下のとおり認識し、その解決に向けた取り組みを展開しております。

①再生医療製品事業

(a) 自家培養表皮ジェイス

 自家培養表皮ジェイスは、重症熱傷、先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症の治療のための再生医療等製品です。先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症への使用については、現在、使用成績調査が課せられています。調査には人員や費用の負担がありますが、当社は調査で得られた情報を適切に医療機関に提供することで、有効性及び安全性の確保・向上に努め、医療機関や医師、患者さんの信頼を獲得していきます。

 また、保険収載における留意事項において、重症熱傷では40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑では30枚、表皮水疱症では50枚が保険算定できる最大使用枚数として制限されています。当社は、引き続き使用実績を踏まえて更なる算定限度の緩和を追求し、ジェイス治療の質向上を目指します。

(b) 自家培養軟骨ジャック

 自家培養軟骨ジャックは、外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の治療のための再生医療等製品です。当社は、本品移植時の患者さんや医師の負担を少しでも軽減させるため、患者さん自身の骨膜に代えて人工のコラーゲン膜を使用するなど、低侵襲化や移植手技の簡便化を行ってまいりました。今後もこれら活動を通じて、製品価値の向上に取り組んでまいります。

 また、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験を実施しており、ジャックのさらなる市場拡大に努めます。

(c) 自家培養角膜上皮ネピック・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル

 自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域で国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者さんを除く)を適応対象としています。

 自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、2021年12月に保険収載された眼科領域の再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(原因を問わず)を適応対象としています。本品は、角膜上皮細胞を用いるネピックとは異なり、口腔粘膜上皮細胞を用いて角膜上皮幹細胞疲弊症を治療する世界初の再生医療等製品です。

 当社は、眼科領域で2つの再生医療等製品を有することを強みとして株式会社ニデックと連携し、営業活動を実施します。さらに、両製品を通じて、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する新たな治療の選択肢を提供することにより、眼科領域における再生医療の普及を加速させます。

②再生医療受託事業

 当社は、自社製品の開発・製造・販売を通じて蓄積したノウハウ等を活用し、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング、特定細胞加工物製造受託を行っています。受託案件は多種多様で、それぞれが異なる開発ステージに属するだけでなく、委託元のニーズも異なります。各々の課題を的確にとらえ、委託元と密に連携して着実に業務を進めています。当社は、既存案件及びさらなる良質な新規案件を獲得することで安定的に収益を獲得するとともに、帝人との協業により本事業の拡大を目指します。

③研究開発支援事業

 研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、表皮細胞のエピ・モデルと角膜上皮細胞の角膜モデルをラインナップしており、動物実験を代替する試薬として使用されています。

 本シリーズでは、これまでに使用方法の国際標準化に向けた対応を進めてきた結果、エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法及び皮膚腐食性試験法、ならびに角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法がOECDテストガイドラインに収載されています。当社は、ラボサイトシリーズが信頼性の高い動物実験代替材料として活用できることを訴求し、一層の売上増加を目指します。さらなる成長に向けて、市場の大きい皮膚感作性試験法のOECDガイドライン化を進めつつ、アジア圏への海外展開も積極的に推進します。

④新規再生医療等製品の開発

 当社は、既存の皮膚・軟骨・角膜領域に加え、新たな領域への展開を目指し、新製品の開発を進めています。新領域への挑戦は様々な課題が予測されますが、これまでの再生医療等製品の開発・適応拡大で培ってきた経験・ノウハウを生かしてこれらを解決していきます。また、帝人の医薬品・医療機器事業との連携による新技術の開発・事業拡大を目指します。

 

⑤生産技術の開発

 当社の取り扱う自家の再生医療等製品や開発受託サービスは生産の計画性や汎用性が低く、受注等のタイミングに応じて繁閑が大きくなります。顧客に高品質な製品を安定して供給するために、このような変動の多い作業を効率化・平準化するよう生産体制の改善を進めてきました。今後の製品ラインナップの追加は売上増加に大きく寄与しますが、一方で繁閑拡大や量産化対応等の課題が予測されます。当社は、これまで着手してきた独自の生産体制のさらなる革新を目指し、帝人のエンジニアリング活用による生産プロセス効率化・最適化、生産設備拡大を図ります。

⑥販売力の強化

 販売体制については、製品ラインナップの追加により新たな領域・分野での営業戦略・営業手法を確立する必要があります。当社は、これまで培ってきた営業ノウハウや顧客との信頼関係をもとに、適切な医療情報の収集・提供の仕組みを再整備し、当社の製品がより適切に使用されるよう万全を尽くすとともに、販売力の強化を図ります。

⑦働きがいのある企業風土の醸成

 当社は、再生医療の産業化という新しい領域への挑戦を日々続けており、今後も想定を超えた課題に直面する可能性があります。これに際し、自ら考え行動して解決策を見出せる人材の獲得と育成がきわめて重要であり、社員のチャレンジ精神を阻害しない制度や企業風土を醸成すべく取り組んでいます。また、今日では働き方の多様化も求められており、公平かつ一層働きがいのある職場環境をつくりあげていきます。

⑧新型コロナウイルスの影響

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響が長期化する中、医療機関への訪問自粛等の事業活動への影響が続いています。引き続き、コロナ禍で変化する情勢を鑑みつつ、オンラインツールを活用した新たな営業活動等を推進することで、事業への影響の抑制に取り組んでいきます。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、対前期成長率、営業利益、営業利益率、経常利益、純利益となります。

 当社は、2022年5月10日付の「事業計画及び成長可能性に関する事項」において、2024年3月期に黒字化、2026年3月期に売上高50億円、営業利益率10%超を達成することを目指しております。

※当社が展開する3事業(再生医療製品事業・再生医療受託事業・研究開発支援事業)の売上の相似拡大(うち再生医療製品事業は、主に今後上市予定の新製品による売上伸長)を主要因として売上目標を設定しております。

 

2【事業等のリスク】

当社は再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業を展開しておりますが、以下において、当社の事業展開その他に関してリスクとなり得る主な事項を記載しております。当社として必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

なお、当社はこれらのリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めますが、それらをすべて回避できる保証はありません。また、当社事業に関連するすべてのリスクを網羅するものではありませんのでご留意ください。

以下の記載は、当事業年度末現在において当社が判断したものですが、新型コロナウイルスの影響に基づく記載については、当事業年度末以降、現在までに当社が判断した最新のものを記載しております。

 

重大

リスク

影響する

事業セグメント

主なリスク内容

顕在化

可能性

顕在時

影響

リスク対応策

市場規模

再生医療製品事業

・当社製品の市場規模は限定的で、一定以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況や他社の参入により、売上高が大きく変動する可能性あり。

・医療機関との緊密な連携や周知活動により、対象患者を適切に把握し、影響の最小化に取り組んでいる。

再生医療受託事業

・開発状況や委託元の方針変更等により受託業務の解約や規模縮小等の可能性あり。

・委託元と密に連携し、委託元の意向や計画を把握することで適時、適切な対応や提案により影響の最小化に取り組んでいる。

法規制

再生医療製品事業

再生医療受託事業

・予測できない法改正や医療行政の方針変更等による急激な環境変化が生じると、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性あり。

・薬事承認に関する経験やノウハウを磨き、規制当局に緊密な相談を行い、影響の最小化に取り組んでいる。

製品の

安定製造

再生医療製品事業

再生医療受託事業

研究開発支援事業

・代替の利かない原材料、資材等を一定数使用しているため、これらが調達できない場合、自社製品及び受託製品の製造中止の可能性あり。

・サプライヤーと安定供給契約等を締結する。

・重要度の高い原材料、資材から優先的に代替品の調査、検討、選定を行う。

・製造方法や検査方法等の新規開発により代替技術を確立する。

人材流出

・競合企業が増えており、専門人材の離職の可能性あり。

・テレワーク導入企業の増加により在宅希望者の離職の可能性あり。

・専門性の高い従業員の離職は、補填、育成に時間がかかるため、一時的な影響が出る可能性あり。

・様々な働き方に対応するため、社内外の状況に応じて制度の再整備、見直し等を行う。

・ブランド向上や働きがいのある業務設計・報酬体系等により従業員満足度向上を図る。

情報流出

・従業員が意図せずに第三者に機密情報を情報提供する可能性あり。

・コンピューターウイルスの侵入等のサイバー攻撃による情報漏洩等の可能性あり。

・就業規則や誓約書、教育等による従業員への秘密情報管理の意識づけを徹底する。

・ネットワークセキュリティの強化や社員教育の徹底を行う。

 

 

重大

リスク

影響する

事業セグメント

主なリスク内容

顕在化

可能性

顕在時

影響

リスク対応策

大規模

災害

パンデミック

再生医療製品事業

再生医療受託事業

研究開発支援事業

・本社と生産拠点が一ヶ所にまとまっており、災害で両方の機能が停止する可能性あり。

・新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関への訪問自粛や治験の停滞による売上減少、開発スケジュール遅延の可能性あり。

・委託元や顧客(研究機関等)の研究開発状況の変化により当社業績にマイナス影響を及ぼす可能性あり。

・サプライチェーン寸断により原材料等が調達できない可能性あり。

・大規模災害等を想定したインフラ整備や運用整備を図っている。

・コロナ禍で変化する情勢を鑑みつつ、新たな営業活動等を推進することで、事業への影響を小さくすることに取組んでいる。

・原材料、資材等の代替品の調査、検討、選定を行う。取引先との有事に備えた関係を構築する。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染者数の減少に伴い一部社会活動や個人消費に持ち直しの動きがみられたものの、天候不順や、ロシアによるウクライナ侵攻勃発後はその影響も加わり、穀物相場上昇、原油価格高騰などによる原材料価格上昇により、景気の先行きは極めて不透明な状況が続きました。その一方で、国内で複数の新型コロナ治療薬が承認されるなど、社会経済活動の正常化に向けた治療薬確保への動きが加速しました。

再生医療・細胞治療分野では、2022年1月に角膜上皮幹細胞疲弊症における眼表面の癒着軽減を目的とした細胞加工製品(ひろさきLI 販売名:サクラシー)と、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とするCAR-T細胞製品(ブリストル・マイヤーズ スクイブ 販売名:アベクマ点滴静注)が製造販売承認されました。これにより、わが国の再生医療等製品(細胞加工製品及び遺伝子治療用製品)は、当社4製品を含む16品目となりました。新製品が継続的に上市されるとともに、その種類も多様化しています。

このような状況の下、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

 当事業年度末において、総資産は7,598,156千円(前期と比べ521,030千円減少)、負債は931,664千円(前期と比べ23,120千円減少)、純資産は6,666,491千円(前期と比べ497,910千円減少)となりました。

 当事業年度における資産、負債及び純資産の状態に関する分析は以下のとおりであります。

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は5,945,936千円となり、前事業年度末から598,663千円減少いたしました。この主な要因は、現金及び預金ならびに売掛金が減少したことによるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は1,652,219千円となり、前事業年度末から77,633千円増加いたしました。この主な要因は、老朽化設備の更新によるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は896,630千円となり、前事業年度末から22,379千円減少いたしました。この主な要因は、支払手形及び未払金が減少したことによるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は35,033千円となり、前事業年度末から740千円減少いたしました。この主な要因は、長期リース債務の減少によるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産の残高は6,666,491千円となり、前事業年度末から497,910千円減少いたしました。この主な要因は当期純損失の計上によるものであります。

 

b. 経営成績

当事業年度における売上高は、再生医療製品事業、研究開発支援事業の売上が大きく増加したものの、再生医療受託事業の売上が大きく減少したことから、2,103,443千円(前期比6.8%減)となりました。製品開発推進による研究開発費の増加により営業損失は498,182千円(前期は466,861千円の営業損失)、経常損失は494,049千円(前期は462,782千円の経常損失)、当期純損失は497,889千円(前期は466,622千円の当期純損失)となりました。

セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,479,432千円(前期比11.3%増)、再生医療受託事業の売上高は、391,208千円(前期比45.8%減)、研究開発支援事業の売上高は、232,802千円(前期比12.3%増)となりました。

なお、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

各セグメントにおける概況及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです(□内は当事業年度における主な成果です)。

 

[再生医療製品事業]

 当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピック及び自家培養口腔粘膜上皮オキュラルの製造販売を行っています。

・自家培養表皮ジェイス

自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された国内初の再生医療等製品であり、重症熱傷、先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)を適応としています。ジェイスの保険適用に関しては、患者さんの一連の製造につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度となっております。

・自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された国内第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応としております。

・自家培養角膜上皮ネピック

自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域で国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者さんを除く)を適応としております。

・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル

自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、角膜上皮幹細胞疲弊症を適応としており、2021年12月に保険収載されました。口腔粘膜上皮細胞を用いて角膜上皮幹細胞疲弊症を治療する、世界初の再生医療等製品です。

当事業年度における再生医療製品事業の売上は、1,479,432千円(前期比11.3%増)となりました。主な内訳は以下のとおりです。

当事業年度におけるジェイスの売上は、1,031,049千円(前期比5.4%増)となりました。重症熱傷では積極的な営業活動が奏功し、ジェイスの使用が標準的な治療となっており、受注が底堅く推移しました。先天性巨大色素性母斑では拠点施設へ全国から患者さんが訪れるようになり、表皮水疱症では治療成績を訴求する営業活動が実を結び、前年に対して売上が増加しました。今後も当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に留意するとともに、有効な営業施策を推進してジェイスのさらなる普及に努めます。

当事業年度におけるジャックの売上は、385,993千円(前期比16.3%増)となりました。新型コロナウイルス感染症による対面営業の自粛、各施設の手術数減少で楽観できない状況でしたが、第2四半期以降は大口施設からの受注が復調し、加えて新規施設からの受注も増加し、通年では前年に対して売上が増加しました。今後も当社は、膝関節疾患における軟骨欠損症例に対してエビデンスに基づく治療成績向上を訴求して売上拡大を目指します。

当事業年度においては、2020年6月に保険収載されたネピックの製造販売が立ち上がり、また新たにオキュラルが2021年12月1日付で保険収載されました。当社は眼科領域でネピックとオキュラルという2つの再生医療等製品を有する強みを最大限生かします。販売を担う株式会社ニデックと協働して、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療の選択肢を広げ、眼科領域における再生医療のさらなる発展に貢献します。

 

[再生医療受託事業]

当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を行っております。

・再生医療等製品の受託開発

当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しております。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富な実績及びノウハウを生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しております。

・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託

当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しております。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しております。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しております。

当事業年度における再生医療受託事業の売上は、391,208千円(前期比45.8%減)となりました。2021年3月に当社の親会社及び筆頭株主が富士フイルム株式会社(以下、「富士フイルム」)から帝人株式会社(以下、「帝人」)に変わりました。これを受けて、富士フイルムからの受託開発の取扱いに関して同社と協議を重ね、これを継続しないことで合意し、取引停止することとなりました。これに伴い当事業年度の売上は大きく減少しましたが、今後、帝人及び第三者からの新規受託の拡充を図ることで、再生医療受託事業の再拡大を目指します。

 

[研究開発支援事業]

当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を行っております。

・ラボサイトシリーズ

研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに提案、販売しております。

・F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)

当社は、富士フイルムのヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」の販売を12月末で終了しました。

当事業年度における研究開発支援事業の売上は、232,802千円(前期比12.3%増)となりました。研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズでは、オンラインツールを最大限に活用し、顧客ごとのニーズに合わせた迅速かつ丁寧なアフターフォローを実施しました。その結果、前年に対して売上が増加しました。また台湾の顧客を対象にオンラインセミナーを開催するなど、海外に向けた営業活動も展開しました。経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインには、エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法及び皮膚腐食性試験法、ならびに角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法が標準法の一つとして収載されており、国内外からの引き合いの増加に寄与しています。当社は引き続き、ラボサイトシリーズが信頼性の高い動物実験代替材料として活用できることを訴求し、一層の売上増加を目指します。

 

[新規パイプラインの開発]

当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでおります。

当事業年度における特記事項は以下のとおりです。

-尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑の治療を目的とするメラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮(開発名:ACE02)については、治験を実施し、臨床成績をまとめました(2022年4月27日付で製造販売承認申請)。今後、皮膚科領域の事業拡大を目指します。

-わが国で初となる他人の皮膚組織を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品である他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)については、2021年8月に日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業として「同種培養表皮の開発・事業化」に関する案件が採択され、2021年11月に治験計画届書を提出しました。さらに、「再生医療等製品の原材料となるヒト(同種)細胞の安定供給体制の構築」に関する案件が2021年6月にAMEDの委託事業として採択されており、他家(同種)細胞を用いた再生医療の産業化を進めています。

-ジャックの適応拡大に向けて、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とした治験を実施しています。本適応拡大を通じて、対象患者の多い市場への展開を目指します。

-CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)の治療を目的とする自家CAR-T細胞製剤については、2019年9月より「piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家CD19CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発」(ウイルスベクターを用いない新技術による国産のCAR-T細胞製剤の開発)に関するAMEDの補助事業として開発を進めています。並行して、技術導入元である名古屋大学において同技術を用いた急性リンパ性白血病に対する臨床研究が実施されており、企業治験に向けた評価データが集積されています。今後、企業治験の開始を目指します。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて342,551千円減少し、1,533,319千円となりました。

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は225,248千円(前期は399,586千円の使用)となりました。これは主に、売上債権の減少(325,952千円)があったものの、税引前当期純損失(494,049千円)及び未払金の減少(86,225千円)があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は116,479千円(前期は125,886千円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(102,577千円)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は823千円(前期は1,305千円の使用)となりました。これは主に、リース債務の返済によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

 

前期比(%)

 

再生医療製品事業(千円)

1,478,692

111.7

再生医療受託事業(千円)

341,208

47.3

研究開発支援事業(千円)

229,399

108.9

合計(千円)

2,049,300

90.8

(注)1 金額は販売価格によっております。

2 当事業年度における生産実績の著しい変動の要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b. 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

再生医療製品事業

1,516,141

101.6

120,882

81.6

再生医療受託事業

417,533

56.4

51,498

204.6

研究開発支援事業

232,714

109.7

12,134

99.3

合計

2,166,388

88.6

184,514

99.4

(注)1 金額は販売価格によっております。

2 当事業年度における受注実績の著しい変動の要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

c. 販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

 

前期比(%)

 

再生医療製品事業(千円)

1,479,432

111.3

再生医療受託事業(千円)

391,208

54.2

研究開発支援事業(千円)

232,802

112.3

 合計(千円)

2,103,443

93.2

(注)1 当事業年度における販売実績の著しい変動の要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

2 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

富士フイルム株式会社

425,334

18.8

(注) 当事業年度の富士フイルム株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態の分析

当事業年度の財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましても、自己資金を基本としております。

また、今後事業活動を行う上での資金需要に対して十分な現預金を確保しておりますので、新型コロナウイルス感染症の影響については軽微であると判断しております。

なお、当事業年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は937千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,533,319千円となっております。

 

④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度のセグメントごとの経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 セグメントごとの財政状態につきましては、次のとおりであります。

 再生医療製品事業のセグメント資産は1,387,092千円となり、前事業年度末から48,689千円減少となりました。再生医療受託事業のセグメント資産は337,850千円となり、前事業年度末から235,249千円減少となりました。研究開発支援事業のセグメント資産は207,965千円となり、前事業年度末から293千円減少となりました。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

⑦重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 

契約書名

新技術開発成果実施契約書

相手方名

独立行政法人科学技術振興機構(現、国立研究開発法人科学技術振興機構)

契約締結日

2009年2月13日

契約期間

原権利(特許権)の消滅する日まで

主な契約内容

当社は、独立行政法人科学技術振興機構より「自動制御培養法を用いたヒト培養軟骨」の新技術に関する特許(特許出願を含む)等(以下「本開発成果」という)の実施許諾を受けてこれを実施し、当社はその対価として売上の一定割合を開発納付金として15年間、もしくは開発納付金の累計額が、独立行政法人科学技術振興機構が当社に支出した委託開発費の2倍(最大で約9億2千万円)に達する時点まで支払う。

(注)本契約は、独立行政法人科学技術振興機構と2000年3月31日に締結した「新技術開発委託契約」にかかる本開発成果が、同機構のPO(プログラム・オフィサー)評価会議の審査を受け、2008年2月に成功と認定されたことによるものです。

 

契約書名

共同研究開発基本契約書

相手方名

株式会社セルシード

契約締結日

2009年10月30日

契約期間

契約締結日から3年間(2009年10月30日から2012年10月29日まで)とする。ただし、期間満了の3か月前までに両者のいずれからも解約の意思表示のないときは、本基本契約はさらに満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。

主な契約内容

株式会社セルシードと当社は、両社が保有する技術及びノウハウを活用し、次世代再生医療製品及びサービスならびにビジネスモデルを共同開発する。本基本契約に基づいて株式会社セルシードと当社が共同で取り組む研究開発テーマは、両社合意の上で別途個別共同研究開発契約をもって定める。

 

契約書名

業務委託基本契約

相手方名

富士フイルム株式会社

契約締結日

2014年4月1日

契約期間

2014年4月1日から2022年3月31日までとする。ただし、別途協議のうえ、期間を短縮又は延長できる。

主な契約内容

当社は、富士フイルムが開発した生体適合性に優れるコラーゲン(リコンビナントペプチド:RCP)等の材料及び技術を用いた再生医療製品について、製品開発へ向けた研究開発受託業務を行う。

(注)本契約は、契約期間の満了により2022年3月31日をもって終了しました。

 

 

契約書名

実施許諾契約書

相手方名

国立大学法人名古屋大学、国立大学法人信州大学

契約締結日

2018年6月22日

主な契約内容

当社は、対象特許(PCT/JP2016/079989「キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変T細胞の調製方法」)について、CD19陽性細胞の急性リンパ性白血病を対象とした自家細胞を用いたCD19分子を標的とする非ウィルスベクターを用いたキメラ抗原受容体T細胞製剤の日本における開発・製造・販売する独占的実施権の許諾を受ける。

 

 

 

契約書名

資本業務提携契約書

相手方名

帝人株式会社

契約締結日

2021年1月29日

契約期間

公開買付けの決裁開始日に効力を生じる

主な契約内容

・当社を帝人株式会社の連結子会社にすること(資本提携)。

・両当事者の事業上のシナジーを実現させ、企業価値を向上させる目的で相互に知見やノウハウ、リソース、インフラ等を提供すること(業務提携)。

・資本提携下における当社の運営等に関する取決め。

 

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Michele De Luca

契約締結日

2021年5月27日

契約期間

2021年4月1日から2022年3月31日まで

主な契約内容

Michele De Luca, M.D.が当社に対して、皮膚及び角膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がMichele De Luca, M.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、契約期間の満了により2022年3月31日をもって終了しました。

 

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Graziella Pellegrini

契約締結日

2021年5月27日

契約期間

2021年4月1日から2022年3月31日まで

主な契約内容

Graziella Pellegrini, Ph.D.が当社に対して、皮膚及び角膜、結膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がGraziella Pellegrini, Ph.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、契約期間の満了により2022年3月31日をもって終了しました。

 

契約書名

独占的販売契約書

相手方名

株式会社ニデック

契約締結日

2021年12月8日

契約期間

2021年12月1日から5年間とする。

ただし、期間満了の2ヶ月前までに両者のいずれよりも反対の意思表示がない場合は、更に満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。

主な契約内容

当社は、当社が製造販売する再生医療等製品「オキュラル(一般的名称:ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞Bシート)」について、株式会社ニデックに対して日本国内における独占的販売店の地位を与える。

(注)本契約は、2022年3月15日に締結した契約に伴い、同日をもって失効しました。

 

契約書名

業務委託基本契約書

相手方名

帝人株式会社

契約締結日

2022年1月26日

契約期間

2021年12月1日から2022年3月31日迄とする。

主な契約内容

帝人株式会社の再生医療に関連する新規事業の立ち上げに伴う業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。

(注)本契約は、契約期間の満了により2022年3月31日をもって終了しました。

 

 

 

 

契約書名

独占的販売契約書

相手方名

株式会社ニデック

契約締結日

2022年3月15日

契約期間

2021年12月1日から5年間とする。

ただし、期間満了の2ヶ月前までに両者のいずれよりも反対の意思表示がない場合は、更に満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。

主な契約内容

当社は、当社が製造販売する再生医療等製品「オキュラル(一般的名称:ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞Bシート)」について、株式会社ニデックに対して日本国内における独占的販売店の地位を与える。

(注)本契約は、2021年12月8日に締結した契約を更新して、締結したものです。

 

契約書名

業務委託基本契約書

相手方名

帝人株式会社

契約締結日

2022年3月31日

契約期間

2022年4月1日から2023年3月31日迄とする。

但し、当該有効期間が満了する日の2ヶ月前までに甲乙いずれからも本契約の修正又は不更新の申し出がない場合は、本契約は同一条件をもってさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とする。

主な契約内容

帝人株式会社の再生医療に関連する新規事業の立ち上げに伴う業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。

(注)本契約は、2022年1月26日に締結した契約を更新して、締結したものです。

 

なお、当報告書提出日現在において、以下の重要な契約を締結しております。

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Michele De Luca

契約締結日

2022年5月13日

契約期間

2022年4月1日から2023年3月31日まで

主な契約内容

Michele De Luca, M.D.が当社に対して、皮膚及び角膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がMichele De Luca, M.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、2021年5月27日に締結した契約を更新して、締結したものです。

 

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Graziella Pellegrini

契約締結日

2022年5月13日

契約期間

2022年4月1日から2023年3月31日まで

主な契約内容

Graziella Pellegrini, Ph.D.が当社に対して、皮膚及び角膜、結膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がGraziella Pellegrini, Ph.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、2021年5月27日に締結した契約を更新して、締結したものです。

 

 

5【研究開発活動】

 当社は、ティッシュエンジニアリングを学術的基盤として、生きた細胞を用いた人工組織・臓器の開発に取り組み、再生医療の発展に貢献すべく活動しております。

 当事業年度における事業別の研究開発活動は以下のとおりで研究開発費の総額は561,857千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(218,847千円)控除後の金額であります。

 

(1)再生医療製品事業

①自家培養表皮ジェイス

自家培養表皮ジェイスは、2007年10月に日本で最初の再生医療等製品として広範囲の重症熱傷を対象とした製造販売承認を取得しました。さらに新たな疾患に対する適応拡大を目指して研究開発活動を推進した結果、2016年9月には先天性巨大色素性母斑の切除創を対象とした一部変更承認を取得(再生医療等製品として国内初の適応拡大)、2018年12月には栄養障害型及び接合部型の表皮水疱症患者に発生する難治性のびらん・潰瘍部位を対象とした一部変更承認を取得することができました。また、重症熱傷の製造販売承認から7年の市販後調査の結果を再審査申請し、2019年7月に再審査が終了しました(再生医療等製品として国内初の再審査終了)。今後もさらなる市場への普及を目指して適応拡大に向けた研究開発を続けていきます。

②自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、2012年7月に日本で2番目の再生医療等製品として膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を対象とした製造販売承認を取得しました。上市後の研究開発活動としては、ジャックの移植手術の簡便化・低侵襲化の実現に向け、患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更の検討を進め、2019年1月に承認を取得しました。適応拡大に向けた活動としては、2018年7月から外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症への適応拡大に向けた治験を実施しております。また、製造販売承認から7年の市販後調査の結果を取りまとめ、2019年10月に再審査申請しました。今後も整形外科領域の市場への普及を目指して適応拡大に向けた研究開発を進めていきます。

③自家培養角膜上皮ネピック・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル

自家培養角膜上皮ネピックは、2020年3月に眼科領域で最初の再生医療等製品として主に片眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とした製造販売承認を取得しました。さらに原材料となる患者自身の角膜輪部を採取できない両眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を対象として、2021年6月に眼科領域で2番目の再生医療等製品として自家培養口腔粘膜上皮オキュラルの製造販売承認を取得しました。この2つの製品で治療法のなかった角膜上皮幹細胞疲弊症に対する有効な治療法提供するとともに、眼科領域の市場への普及を目指して引き続き研究開発活動を進めます。

 

(2)再生医療受託事業

当社の研究開発活動の中には、様々なアカデミア・医療機関・企業に対する開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスの提供に係るものも含んでおります。

 

(3)研究開発支援事業

研究用ヒト培養組織ラボサイトの研究開発活動としては、エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法が2013年7月にOECDテストガイドラインに収載され、国際的な知名度向上によって拡販に寄与したことから、それ以降テストガイドライン収載を目指した活動を進めております。2018年6月には角膜モデルを用いた眼刺激性試験法が、また2019年6月にはエピ・モデル24を用いた皮膚腐食性試験法がOECDテストガイドラインに収載される等、活動の成果が表れております。今後も動物実験代替試験の市場への普及を目指して引き続き研究開発活動を進めます。

 

(4)その他の開発活動

当社は、既存の皮膚領域、軟骨領域、眼科領域に加え、がん領域への展開や他家(同種)細胞を用いた新たな製品開発を進めております。

新たに開発した色素細胞を保持した自家培養表皮(開発名:ACE02)は、2018年7月から実施していた尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑を対象とした治験を完了し、2022年4月に製造販売承認申請を行いました。

2018年6月に、CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とした自家CAR-T細胞治療薬(開発名:JPCAR019)に関して名古屋大学及び信州大学とライセンス契約を締結して本治療薬の開発を開始し、2019年9月から日本医療研究開発機構(AMED)の3年間の補助事業(国家プロジェクト)に採択されて治験に向けた研究開発を進めております。

また、我が国で初となる他家細胞を用いた大量生産型レディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品の実現を目指し、2018年10月から3年間のAMEDの委託事業(国家プロジェクト)に採択されて同種培養表皮の開発を進め、京都大学において皮膚欠損創の治療を目的とした臨床研究を実施しました。さらに2021年10月から3年間のAMEDの補助事業(国家プロジェクト)に採択されて、同年11月から企業治験を開始しました。

それ以外にも、産業利用を目的とした他家細胞の安定供給体制の構築を目指して、2018年10月から3年間、及び2021年7月から3年間のAMEDの委託事業(国家プロジェクト)に採択されており、国内の再生医療産業化の推進に寄与する開発も進めています。