当中間会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当中間会計期間(2025年4月1日から2025年9月30日)におけるわが国経済は、インバウンド需要の継続的な増加や賃上げによる消費支援などを背景に、緩やかな回復基調を維持しました。一方で、米国の通商政策や関税引き上げの影響、物価高による個人消費の停滞など、景気の先行きには依然として不透明感が残る状況が続いています。
再生医療・細胞治療分野では、2025年9月末日現在、当社5製品を含む21品目が製造販売承認を取得し、社会的期待は引き続き高まっています。
このような状況の下、財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
なお、2025年7月1日付けで開示したとおり、当中間会計期間より、従来「研究開発支援事業」としていた報告セグメントの名称を「ラボサイト事業」に変更しております。
a. 財政状態
当中間会計期間末における総資産は、現金及び預金ならびに売上債権の減少等により前事業年度末と比べ410,768千円減の6,102,222千円となりました。負債は、電子記録債務及び役員退職慰労引当金の減少等により前事業年度末と比べ39,417千円減の648,537千円となりました。純資産は、利益剰余金の減少により前事業年度末と比べ371,350千円減の5,453,684千円となり、自己資本比率は89.4%となりました。
b. 経営成績
当中間会計期間における売上高は、ラボサイト事業の売上が伸長した一方、再生医療製品事業及び再生医療受託事業の売上が減少した結果、998,679千円(前年同期比14.0%減)となりました。営業損失は376,092千円(前年同期は207,326千円の営業損失)、経常損失は369,121千円(前年同期は206,402千円の経常損失)、中間純損失は371,350千円(前年同期は225,312千円の中間純損失)となりました。
再生医療製品事業の売上高は、633,552千円(前年同期比14.8%減)となり、セグメント利益は588千円(前年同期比99.5%減)となりました。
再生医療受託事業の売上高は、227,291千円(前年同期比26.6%減)となり、セグメント利益は116,526千円(前年同期比13.9%減)となりました。
ラボサイト事業の売上高は、137,835千円(前年同期比26.3%増)となり、セグメント利益は42,507千円(前年同期比42.0%増)となりました。
各セグメントの概況及び新規パイプライン開発に関する特記事項については、当中間会計期間における主な成果とともに□内に記載しております。
[再生医療製品事業]
当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピック、自家培養口腔粘膜上皮オキュラル及びメラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンの製造販売を行っています。
・自家培養表皮ジェイス(皮膚領域)
自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に重症熱傷を適応として保険収載された国内初の再生医療等製品であり、先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)にも適応を拡大しています。ジェイスの保険適用に関しては、患者一連の製造につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度となっています。
・自家培養軟骨ジャック(軟骨領域)
自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された国内第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応としています。2019年1月には、ジャックの移植時に用いていた患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更承認を取得して、手術侵襲の低減と簡便化を実現しました。2022年6月には、承認後の使用成績調査について再審査が終了し、承認時の有効性及び安全性が改めて確認されました。2024年6月には、変形性膝関節症への適応拡大に向けた一部変更承認申請書を厚生労働省へ提出、2025年4月18日の部会で了承され、2025年5月13日に一部変更承認を取得しました。
・自家培養角膜上皮ネピック(角膜領域)
自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域では国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を除く)を適応としています。
・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル(角膜領域)
自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、角膜上皮幹細胞疲弊症を適応としており、2021年12月に保険収載されました。口腔粘膜上皮細胞を用いて両眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を治療することが可能な、世界初の再生医療等製品です。
・メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン(皮膚領域)
メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンは、メラノサイト(色素細胞)が保持されるように培養された表皮細胞シートです。非外科的治療が無効又は適応とならない白斑を適応として、2024年10月に保険収載されました。
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当中間会計期間における再生医療製品事業の売上は、主に自家培養表皮ジェイスの受注減少により、633,552千円(前年同期比14.8%減)となりました。下期に向けて回復を確実にするため、営業活動を強化しています。 <皮膚領域:自家培養表皮ジェイス> 熱傷では、第1四半期において中止率の上昇が響き受注が減少しましたが、直近では回復傾向にあります。今後もより多くの患者の救命に寄与出来るよう、積極的な営業を推進します。 先天性巨大色素性母斑では、新たな併用療法の対象患者が一巡し受注が減少しましたが、治療成績を評価し、普及に向けた施策を推進します。 <皮膚領域:メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン> 一部医療機関での導入準備に時間を要しましたが、拠点施設の拡大と患者啓発活動により、下期にかけて受注は増加傾向にあります。 今後、拠点施設の全国展開を加速するとともに、Webを活用した情報発信・啓発活動を強化します。 <皮膚領域:自由診療展開> きずときずあとのクリニックⓇとの連携により、自由診療でのリストカット痕治療の培養表皮提供が継続しています。 <軟骨領域:自家培養軟骨ジャック> 変形性膝関節症への適応拡大に向け、2026年3月期第3四半期中の保険収載を目指して、厚生労働省との協議を着実に進めています。保険収載後に速やかに製品提供が開始できるよう、有効性・安全性を訴求する医療機関への説明会等も順調に進捗しています。 <角膜領域:自家培養角膜上皮ネピック・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル> 既存施設での新規患者の伸び悩みにより受注が減少しました。一方で、販売を担う株式会社ニデックとの連携により、新規施設の開拓や潜在患者への治療啓発を推進しており、角膜移植数全国トップクラスの新規施設で採用されるなど成果が現れています。引き続き、新規施設の継続使用や潜在患者への治療啓発を進め、受注回復を目指します。 |
[再生医療受託事業]
当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発ならびにコンサルティング及び特定細胞加工物製造受託を行っています。
・再生医療等製品の受託開発
当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富な実績及びノウハウを生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。
・コンサルティング及び特定細胞加工物製造受託
当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティング及び特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞培養加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。
再生医療等製品の受託開発、コンサルティング及び特定細胞加工物製造受託には、次の当社の強みを最大限活用し、顧客への提供価値を高めております。
<当社の強み>
①5つの承認品目(7つの適応)を開発・上市
自家培養表皮、自家培養軟骨、自家培養角膜上皮、自家培養口腔粘膜上皮、メラノサイト含有自家培養表皮の5つの再生医療等製品を開発・上市し、安定的に患者へ提供してきた実績を有しています。
②全てのバリューチェーンを保有
研究開発、臨床開発、薬事、製造、信頼性保証、営業など再生医療等製品の開発・製造・販売に必要なすべての機能・人材・経験を有しています。
③臨床現場の声を製品開発に還元(リバーストランスレーショナルリサーチ)
製品を使用する医師とともに再生医療等製品を普及させてきた経験から、臨床現場の声を製品設計や開発プロセスに還元し、最適化する仕組みを構築しています。
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当中間会計期間における再生医療受託事業の売上は、主に前期計上した特定顧客からの一時収入が無くなった影響で、227,291千円(前年同期比26.6%減)となりました。 <一般顧客からの受託> 複数の重要案件が着実に進展しています。アクチュアライズ株式会社では国内第Ⅱ相臨床試験における被験者への投与を完了しました。株式会社VC Cell TherapyとはiPS細胞を用いた再生医療等製品の実用化に向けた資本業務提携を行い、受託を開始しました。株式会社メトセラとは、機能的単心室症を対象とする再生医療等製品の治験製品製造に関する契約を締結しました。さらに、2025年10月にはAlliedCel株式会社が開発中の「誘導型抑制性T細胞」について、上市後の製品製造を当社が受託することを前提とした業務委受託契約を締結しました。引き続き、新たな技術領域への展開を拡張させ、製品価値向上と新しいCDMO事業の仕組みづくりに注力し、わが国の再生医療の発展に貢献します。 <帝人関連> 2025年7月、帝人リジェネット株式会社と共同で経済産業省「再生医療CDMO補助金」に採択されました。数十億円規模の投資により、施設・設備拡張と人材育成を推進し、国内外からの再生医療等製品の受託数増加を目指します。 |
[ラボサイト事業]
当社はラボサイト事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を行っています。
・ラボサイトシリーズ
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品及び化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに販売しています。製品ラインアップとして、ヒト3次元培養表皮エピ・モデル/EPI-KITとヒト3次元培養角膜上皮角膜モデルを保有しています。エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法、皮膚腐食性試験法ならびに花王株式会社が開発した皮膚感作性試験法(EpiSensA:エピセンサ)、そして角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法は、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインに収載されており、日本国内においてはトップシェアを占めるモデルとなっています。さらに、エピ・モデル24を用いた医療機器の皮膚刺激性試験法が国際規格ISO10993-23に収載されました。
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当中間会計期間におけるラボサイト事業の売上は、海外販売の増加により、137,835千円(前年同期比26.3%増)となりました。 欧州では、EpiSensA(エピセンサ)への関心が高く、顧客数が着実に拡大、本格展開に向けて人員を増強中です。インドでは、表皮モデルに加え、角膜モデルへの関心も高まりつつあり、現地ニーズに応じた営業活動を積極的に展開しています。国内では、EpiSensAの技術講習会による手技指導に加え、帝人構造解析センターとの連携による体制強化を行い、受注が拡大しました。新規製品である研究用腸管上皮モデルについては、大阪大学からの技術移管を開始し、製品ラインアップの充実を図っています。 |
[新規パイプラインの開発]
当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでいます。当中間会計期間における特記事項は以下のとおりです。
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<皮膚領域> 他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)*1は、熱傷を含む皮膚欠損を適応とし、2027年3月期の上市を目指し、承認申請に向けて順調に進捗しています。他家製品・乾燥品である特長を生かし、国内だけでなく海外市場への展開も加速させていきます。 <軟骨領域> 自家培養軟骨ジャックは、変形性膝関節症への適応拡大に向け、2026年3月期第3四半期中の保険収載を目指して、厚生労働省との協議を着実に進めています。 <がん領域> 当社製造による自家CAR-T細胞製剤*2は、名古屋大学で急性リンパ性白血病に対する医師主導治験が開始され、治験準備が進捗しています。 柏の葉「再生医療プラットフォーム」で、帝人、国立研究開発法人国立がん研究センター、三井不動産株式会社と協働し事業展開を加速しています。 *1 わが国で初となる他人の皮膚組織を原材料としたオフザシェルフ(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品。 *2 名古屋大学・信州大学と特許ライセンス契約を締結した、CD19陽性の急性リンパ性白血病の治療を目的とした、低コストで製造できる自家CAR-T細胞由来治療薬開発 |
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ156,754千円減少し、1,528,694千円となりました。当中間会計期間のキャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、150,713千円(前年同期は186,732千円の使用)となりました。これは主に、税引前中間純損失(369,121千円)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、6,041千円(前年同期は42,853千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出(4,700千円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローはありませんでした(前年同期は3千円の使用)。
(3) 会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当中間会計期間における研究開発活動の金額は、268,069千円であります。
当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、新たに締結した重要な契約は以下のとおりであります。
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契約書名 |
新株予約権付社債引受契約書 |
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相手方名 |
PuREC株式会社 |
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契約締結日 |
2025年7月15日 |
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契約期間 |
契約締結日に効力を生じる。 |
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主な契約内容 |
PuREC株式会社が発行する第1回新株予約権付社債について、当社が本新株予約権の総数及び本新株予約権付社債の総額を引き受ける。ただし、本契約書に定める前提条件を充足することを条件とする。 |