第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュエンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する。」ことを会社設立の趣旨とし、次の経営理念・ビジョン・行動指針に基づいて、再生医療製品事業、再生医療受託事業及びラボサイト事業を展開しております。

経営理念:再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者様のQOL向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする。

ビジョン:再生医療をあたりまえの医療に

行動指針:一、一貫性と柔軟性のバランス感覚を持つ。

一、勇気を持って変化に挑戦する。

一、異なる文化や考え方を尊重する。

一、徹底的に現場を重視する。

一、J-TECを代表する社員として深く考え行動する。

サステナビリティ方針:

私たちは、「再生医療をあたりまえの医療に」というビジョンのもと、再生医療のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上に努めます。

 

(2)経営戦略

既存事業の売上利益を最大化するための黒字体質の基盤を確立することで売上を大幅に拡大させるとともに、新たな製品・領域への展開を実現し、中期目標:売上高50億円、営業利益率10%超を達成する。

①再生医療製品事業

<皮膚領域>

・ジェイスは重症熱傷治療の標準治療として浸透。広範囲な重症熱傷に加え、受傷面積の小さい症例でも使用実績を増やし、当社の事業基盤を支える。母斑・表皮水疱症向けは拠点施設及び患者団体との関係強化で確実に発生症例を獲得し、重症熱傷と合わせて安定した売上げを確保する。

・ジャスミンは、複数拠点での集患モデルの確立と治療啓発の推進を図り、早期の普及を狙う。2027年3月期で50例/年、2028年3月期で100例/年の受注を目指す。

・皮膚領域では、乾燥他家(同種)培養表皮の開発を進め、2028年3月期の上市を目指す。当社初となる他家(同種)細胞を用いた製品であり、ジェイスで開拓した販路や医療機関とのネットワークを生かし、承認後早期に普及させる。他家(同種)製品・乾燥品である特長を生かし、国内だけでなく海外市場への展開も加速させる。

<膝領域>

・ジャックは、変形性膝関節症(OA)への適応拡大を受け、既存施設の販売拡大に注力することで2027年3月期に年間350例を達成し、新規施設への展開につなげることで2028年3月期には年間600例へと大幅に引き上げる。

・膝領域では、ヘビーユーザーの医療機関と連携し、自由診療による同疾患の治療(メディカルツーリズム等)に着手し、承認後の迅速展開を図る。

<眼領域>

・ネピック、オキュラルは株式会社ニデックとの連携により、拠点施設を中心に販売体制を構築している。眼科の主要学会にて製品の認知度向上や治療成績の情報発信を行うなど、一層の普及に向けた施策を実施し、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療を提供する。

<がん領域>

・新たな領域として、名古屋大学と開発中の自家CAR-T細胞製剤を上市する。低コストで供給できる強みを生かし、他社との差別化を図る。

<生産技術>

・細胞培養に関する実績・ノウハウと、帝人の有するエンジニアリングでシナジーを発揮し自家製品の製造自動化や同種製品の大量生産に向けた生産革新を実現し大幅なコスト低減を図る。

 

②再生医療受託事業

・安定した収益基盤を構築するため、顧客である企業やアカデミアとの連携を強化し、既存の顧客と戦略的な協業を深化させる。引続き、新規顧客に向けた営業活動に注力するとともに、商用生産(CMO)に向けた体制づくりに取り組む。

・帝人と連携した新たなCDMO事業により、顧客(国内・海外)を拡大するとともに、海外での承認品目の国内製造受託(CMO)を積極的に獲得する。

③ラボサイト事業

・ラボサイトシリーズは、皮膚感作性試験のOECDガイドライン収載を受けて欧州市場の開拓を推進し、欧州市場での製品浸透を図る。合わせて、米国やアジア圏への海外展開も積極的に推進する。

・ヒトiPS細胞とオルガノイドの技術を用いた研究用腸管上皮モデルの開発権の取得を契機に、現在の化粧品を主とする市場から創薬市場への新たな展開を進め、2027年3月期に上市する。

(3)経営環境

 2012年に京都大学iPS細胞研究所 所長 山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことを契機に、わが国は再生医療を成長戦略の一つとして位置付けました。再生医療への期待が急速に高まる中で、再生医療の普及を迅速に進めるための法整備が進められ、2014年11月に薬事法は医薬品医療機器等法として改正され、新たに再生医療等製品が定義されると同時に、再生医療等製品に条件・期限付承認制度が導入されました。また、再生医療を安全かつ迅速に実施するための再生医療等安全性確保法が施行されました。

 このような状況の下、同種細胞を用いた再生医療製品の開発や、国内外技術導入による製薬企業の参入、iPS細胞による再生医療が臨床応用ステージに入る等の動きが加速しており、承認を取得した再生医療等製品も増えてきております。その一方で、国民医療費は、高齢化の進展、疾病構造の変化、医療の高度化、高額な製品の登場などによって年々増大しており、医療保険制度の持続可能性の確保が喫緊の課題となっております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、「再生医療をあたりまえの医療に」という長期ビジョンのもと、再生医療等製品の研究開発から製造・販売までを一貫して担うプラットフォーマーとして、日本の再生医療の産業化に貢献してきました。さらに多くの患者や顧客に価値を届けるため、事業基盤の安定化と中長期的な企業価値向上に向けて当社が優先的に取り組むべき課題は以下のとおりです。

①再生医療製品事業:主力製品および新規パイプラインの売上拡大による収益基盤の確立

 自家培養軟骨ジャックは、変形性膝関節症を対象疾患とする適応拡大が2025年5月に承認され、2026年1月に保険収載されました。本適応は患者数が多い国民病領域であり、当社の収益成長を牽引する最重要製品と位置づけています。本製品を着実に市場に届けることで売上を拡大し、安定した収益基盤を確立することを最優先事項として取り組んでいきます。

 加えて、メラノサイト含有自家培養表皮「ジャスミン」の患者認知の向上を進めるとともに、乾燥保存・即応性を特長とする他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)の製造販売承認取得に向けて注力します。

 これまで築き上げてきた再生医療等製品を提供するフルバリューチェーンを更に強化し、再生医療製品事業全体での売上拡大と早期の安定黒字化を目指すとともに、更なる新規パイプラインの獲得・開発についても、技術の目利き力を活かして加速していきます。

②再生医療受託事業:高付加価値フェーズへの移行と能力増強

 当社は、これまでに再生医療等製品5製品を上市してきた実績とノウハウ、GCTP省令に準拠した製造・品質管理体制を強みとして、幅広い顧客に対して、再生医療の多様性をふまえた製品の作りこみや生産・販売体制の提案などのトータルソリューションを提供してきました。

 今後は、治験製品の製造支援にとどまらず、商用生産段階(CMO)を見据えた高付加価値サービスへとフェーズを進めることで、長期的かつ安定的な収益源として育成していきます。特定顧客への依存を回避しつつ、国内外の新規顧客の獲得を進めるため、生産能力の増強、グローバル顧客に対するアプローチ強化、人材育成、帝人との協創等の更なる能力増強に取り組みます。

③ラボサイト事業:グローバル展開の加速と新領域の開拓

 2024年6月にラボサイトを使用した皮膚感作性試験法「EpiSensA(エピセンサ)」がOECDテストガイドラインに収載されました。また、新たな製品ラインナップとして「研究用腸管上皮モデル」の開発に着手しています。

 動物実験代替法への関心が世界的に高まる中、動物実験に代わる試験法導入の潮流が高まっており、この潮流を成長機会と捉え、海外市場における販路拡大、製品ラインナップの拡充、欧州を中心とした安定供給体制の構築に取り組んでまいります。加えて、化粧品分野に加え、創薬、医療機器、食品等の新たな分野への展開を進めることで収益基盤の多角化を図ります。

 

④人的資本経営と基盤強化

 当社は、再生医療の産業化という新しい領域への挑戦を日々続けており、高度な専門性を有する人材を維持・育成していくこと、長期にわたる技術・ノウハウの蓄積が極めて重要です。

 当社は、専門人材の安定的な確保と育成を重要な経営課題と位置付け、処遇改善、研修制度の充実、働きやすい職場環境の整備を通じて、人的資本への投資を継続してまいります。あわせて、多様な働き方の推進や次世代リーダーの育成を進めることで、環境変化に柔軟に対応できる組織基盤を構築し、中長期的な企業価値の向上につなげていきます。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、対前期成長率、営業利益、営業利益率、経常利益、純利益となります。

 当社は、2026年5月1日付の決算短信において、今期の業績予想は、再生医療製品事業、再生医療受託事業、ラボサイト事業の売上拡大により、売上高3,070百万円(前期比40.6%増)、営業利益100百万円、経常利益110百万円、当期純利益100百万円を見込みます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

(1)ガバナンス

 当社は、サステナビリティ方針に基づく様々な活動について、関係するそれぞれの部署が責任をもって推進しています。これらの活動が社会要請に基づく適正な活動であることを俯瞰的に確認する機関として、社長執行役員を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置しております。

 また、これらの活動に伴うリスクを組織横断的に監視する機関として、社長執行役員を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しております。リスク管理委員会では、顕在化したリスク(インシデント)を各部署から報告させ、インシデントの発生状況等から全社的なリスクマップの更新を定期的に行うことで重大リスクの把握に努めています。

 各委員会の活動については、当社取締役会に報告されます。

 

(2)戦略

 当社は「再生医療をあたりまえの医療に」というビジョンのもと、再生医療のリーディングカンパニーとして持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上に努めることをサステナビリティ方針としております。本方針のもと、地域との連携をはじめ、次世代への教育、支援、社員にとってより働きやすい職場づくり、再生医療の普及に向けた啓発活動などに取り組みます。

 また、当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針(人材育成方針)及び社内環境整備に関する方針(社内環境整備方針)は、以下のとおりです。

・人材育成方針

 当社は「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンに掲げており、新しい世界に向けて挑戦する意欲のある人材を必要としています。ビジョンの実現には、年齢や性別、身につけた専門知識や技術等の多様な人材を集め、それぞれの力を最大限に発揮する必要があります。当社は、様々な背景や個性を持つ社員一人ひとりと向き合い、それぞれの特性に応じた人材育成に取り組んでいます。

1.個々の専門性(知識・技能)の向上

 社員のよりどころ(軸)となる知識や技能を一人ひとりの背景や個性に応じてサポートし、仕事への自信につなげます。

2.仕事を通じた自己成長の促進

 身につけた知識や技能を仕事を通じて活用し、応用することでより高度な人格を形成させ、自律した社員を育成します。

3.キャリア形成に対するサポート

 社員一人ひとりが持つ様々な事情や希望を踏まえ、すべての社員が活躍できるキャリア形成をサポートします。

4.自己啓発に対する支援

 社員が意欲的に学び、チャレンジする姿勢を促し、社員の成長につながる自己啓発や自己活動を支援します。

・社内環境整備方針

 当社が再生医療の産業化を実現し、永続的に成長するためには、社員が安心して生き生きと働ける職場環境の実現が必要です。当社は、社会環境や社員のライフステージの変化に対応できるように、多様な働き方が選べる制度を整備していきます。年齢や性別、専門性や雇用形態などの違いを踏まえ、すべての社員一人ひとりが自分のキャリアに向き合い、将来を見据えて挑戦していく社内風土の醸成を目指します。

 

1.ワークライフマネジメントの推進

 仕事とプライベートを単純に切り分けるのではなく、仕事とプライベートを融和させ、働きがいや自己成長につなげます。

2.働くことのよろこび

 社員一人ひとりの役割や能力にあう目標を設定し、これを達成することで働くことへのよろこびや満足につなげます。

3.持続可能な社会への貢献

 顧客やエンドユーザーの声を社員に伝えることで自分の仕事が社会に貢献していることを認識させ、人生の充実につなげます。

4.コミュニケーションの充実

 社員間の対話が活発に行われる社内風土を醸成し、よい人間関係を構築することにより自己肯定感の向上につなげます。

 

(3)リスク管理

 当社は、リスク管理に関する規定を策定するとともに、サステナビリティを含む様々なリスクに対応するため、それぞれの部署の部長がリスク管理責任者を務め、事業リスクを把握、分析し、必要な対応策を講じます。当社は、事業展開その他に関してリスクとなり得る事項を特定し、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努めています。

 また、サステナビリティに密接に関連する環境保全、安全及び健康の確保に努め、持続可能な社会に貢献すると同時に、リスクが発生する可能性の高い環境(Environment)、安全・防災(Safety)、健康(Health)に関する方針をコンプライアンスポリシー内に定め、ESHマネジメントを運営する体制を整備しています。ESHマネジメント活動については年1回マネジメントレビューを実施し、適切で妥当かつ有効なシステムであることを確認しています。

 

(4)指標及び目標

 当社では、上記の人材育成方針及び社内環境整備方針の達成状況を様々な指標で確認しており、重要な指標及び実績(2026年3月期)は以下のとおりです。

1.満足度

 当社は、社員のエンゲージメント調査を年1回実施しています。2026年3月期のエンゲージメントスコアは64ポイント(対前年度+4ポイント)で同期目標の62ポイントを+2ポイント上回りました。2027年3月期においてエンゲージメントスコアが65ポイント以上となることを目標とし、働きがいのある職場環境の整備に努めます。

2.離職

 当社を離職する社員は一定数いますが、離職の原因はご家庭の事情やキャリアアップなどの様々な要因もあり、社内環境に満足できないことのみが理由ではありません。しかしながら、当社事業の安定的な稼働を踏まえ、様々な働き方や多様性を認めていくことで職場環境の整備に努め、離職の低下に取り組みます。

・正社員離職率:2.0%(c.f. 2025年3月期:6.4%)

  目標:事業年度単位で5%以下を目指します。

3.有給休暇

 当社は、有給休暇取得率を適正なワークライフマネジメントの指標のひとつとしてとらえ、有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、希望日に取得できる労働環境となるように職場環境の整備に努めています。

・有給休暇取得率:82.0%(c.f. 2025年3月期:76.1%)

  目標:2023年3月期に掲げた目標(事業年度単位で75%以上)を達成しました。当期水準の維持に努めます。

4.ジェンダー

 当社は、役割資格に基づく賃金制度を導入しているため、制度的なジェンダーによる賃金格差はありませんが、年齢層によって男女比率が異なる(平均年齢:男性 41.8歳、女性 38.4歳)ことや、女性社員の約15%(2026年3月期:18名)が育児短時間勤務制度を活用していることなどを要因として賃金差異が生じています。

 当社は、既に女性比率が5割を超えており、女性活躍を実践しているため、女性活躍に目を向けた女性比率の向上だけを目標とはせず、優秀な人材をジェンダーに関係なく継続的に採用することで全体バランス(男女比や年齢層別など)の適正化を図ります。

・男女比率(全社員):男性 41.9%、女性 58.1%(c.f. 2025年3月期:男性 43.5%、女性 56.5%)

・男女比率(管理職):男性 63.6%、女性 36.4%(c.f. 2025年3月期:男性 66.0%、女性 34.0%)

 目標:2028年3月期において女性比率40.0%以上を目指します。

・労働者の男女の賃金差異(正社員):77.9%(c.f. 2025年3月期:74.5%)

・労働者の男女の賃金差異(全社員):76.6%(c.f. 2025年3月期:73.5%)

5.育児休暇

 配偶者が出産した場合の当社の男性社員の育児休業取得は、以下のとおりです。引続き、男性社員が育児休業を取得しやすい社内風土及び環境を維持していきます。

・育児休業取得率:100.0%(2名)(c.f. 2025年3月期:66.7%(3名))

・育児休暇取得日数(平均):53日(c.f. 2025年3月期:9日)

・育児休暇取得日数(最長):77日(c.f. 2025年3月期:16日)

 

3【事業等のリスク】

当社は再生医療製品事業、再生医療受託事業及びラボサイト事業を展開しておりますが、以下において、当社の事業展開その他に関してリスクとなり得る主な事項を記載しております。当社として必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

なお、当社はこれらのリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めますが、それらをすべて回避できる保証はありません。

以下の記載は、当事業年度末において当社が判断したものであり、当社事業に関連するすべてのリスクを網羅するものではありませんのでご留意ください。

 

重大

リスク

影響する

事業セグメント

主なリスク内容

顕在化

可能性

顕在時

影響

リスク対応策

市場規模

再生医療製品事業

・当社製品の市場規模は限定的で、一定以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況や他社の参入により、売上高が大きく変動する可能性あり。

・医療機関との緊密な連携や周知活動により、対象患者を適切に把握し、影響の最小化に取り組んでいる。

再生医療受託事業

・開発状況や委託元の方針変更等により受託業務の解約や規模縮小等の可能性あり。

・委託元と密に連携し、委託元の意向や計画を把握することで適時、適切な対応や提案により影響の最小化に取り組んでいる。

法規制

再生医療製品事業

再生医療受託事業

・予測できない法改正や医療行政の方針変更等による急激な環境変化が生じると、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性あり。

・薬事承認に関する経験やノウハウを磨き、規制当局に緊密な相談を行い、影響の最小化に取り組んでいる。

製品の

安定製造

再生医療製品事業

再生医療受託事業

ラボサイト事業

・代替の利かない原材料、資材等を一定数使用しているため、これらが調達できない場合、自社製品及び受託製品の製造中止の可能性あり。

・サプライヤーと安定供給契約等を締結する。

・重要度の高い原材料、資材から優先的に代替品の調査、検討、選定を行う。

・製造方法や検査方法等の新規開発により代替技術を確立する。

人材流出

・競合企業が増えており、専門人材の離職の可能性あり。

・テレワーク導入企業の増加により在宅希望者の離職の可能性あり。

・専門性の高い従業員の離職は、補填、育成に時間がかかるため、一時的な影響が出る可能性あり。

・様々な働き方に対応するため、社内外の状況に応じて制度の再整備、見直し等を行う。

・ブランド向上や働きがいのある業務設計・報酬体系等により従業員満足度向上を図る。

情報流出

・従業員が意図せずに第三者に機密情報を情報提供する可能性あり。

・コンピューターウイルスの侵入等のサイバー攻撃による情報漏洩等の可能性あり。

・就業規則や誓約書、教育等による従業員への秘密情報管理の意識づけを徹底する。

・ネットワークセキュリティの強化や社員教育の徹底を行う。

 

 

重大

リスク

影響する

事業セグメント

主なリスク内容

顕在化

可能性

顕在時

影響

リスク対応策

大規模

災害

パンデミック

再生医療製品事業

再生医療受託事業

ラボサイト事業

・本社と生産拠点が一ヶ所にまとまっており、災害で両方の機能が停止する可能性あり。

・医療体制が逼迫すると不急の手術などは敬遠され、手術の延期や治験の停滞による売上減少、開発スケジュール遅延の可能性あり。

・委託元や顧客(研究機関等)の研究開発状況の変化により当社業績にマイナス影響を及ぼす可能性あり。

・サプライチェーン寸断により原材料等が調達できない可能性あり。

・大規模災害等を想定したインフラ整備や運用整備を図っている。

・医療機関との緊密な関係から実情や情勢を把握し、新たな営業活動等を推進することで、事業への影響を小さくすることに取組んでいる。

・原材料、資材等の代替品の調査、検討、選定を行う。取引先との有事に備えた関係を構築する。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2025年4月1日から2026年3月31日)におけるわが国経済は、インバウンド需要の継続的な増加や賃上げによる消費支援などを背景に、緩やかな回復基調を維持しました。一方で、イラン情勢の緊迫化を含む地政学的リスクの長期化などから、景気の先行きには依然として不透明感が残る状況が続いています。

このような状況の下、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

 当事業年度末において、総資産は5,682,993千円(前期と比べ829,996千円減少)、負債は592,709千円(前期と比べ95,245千円減少)、純資産は5,090,284千円(前期と比べ734,751千円減少)となりました。

 当事業年度における資産、負債及び純資産の状況に関する分析は以下のとおりであります。

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は4,182,077千円となり、前事業年度末から642,872千円減少いたしました。この主な要因は、現金及び預金ならびに売上債権の減少によるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は1,500,916千円となり、前事業年度末から187,124千円減少いたしました。この主な要因は、投資有価証券の減少によるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は560,509千円となり、前事業年度末から76,720千円減少いたしました。この主な要因は、流動負債の「その他」に含まれる未払消費税等の減少によるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は32,200千円となり、前事業年度末から18,525千円減少いたしました。この主な要因は、役員退職慰労引当金及び退職給付引当金の減少によるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は5,090,284千円となり、前事業年度末から734,751千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失の計上によるものであります。

 

b. 経営成績

当事業年度における売上高は2,182,745千円(前期比11.1%減)となりました。営業損失は549,445千円(前期は238,315千円の営業損失)、経常損失は537,443千円(前期は234,487千円の経常損失)、当期純損失は734,751千円(前期は255,304千円の当期純損失)となりました。これは主に、特別損失として投資有価証券評価損149,999千円および設備の除却等に伴う固定資産除却損43,332千円を計上したことに加え、国庫補助金の受け入れに伴い固定資産圧縮損31,816千円を計上したことによるものであります。

セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,354,493千円(前期比9.3%減)、再生医療受託事業の売上高は、546,371千円(前期比23.5%減)、ラボサイト事業の売上高は、281,879千円(前期比13.5%増)となりました。

 

各セグメントにおける概況及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです。

 

[再生医療製品事業]

 当事業年度における再生医療製品事業の売上は、1,354,493千円(前期比9.3%減)となりました。

<皮膚領域:自家培養表皮ジェイス>

熱傷では、通期を通して対象となる患者数が減少したものの、当該疾患の標準的な治療の一つとしては広く認知されており、第4四半期においての受注は回復傾向となりました。重症熱傷における高評価を受け、更なる救命への貢献を進めてまいります。

先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症では、対象患者が一巡し受注が減少しましたが、治療成績を評価し、普及に向けた施策を推進します。

<皮膚領域:メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン>

一部医療機関での導入準備に時間を要したものの、白斑治療に注力する施設との連携による患者アクセス向上の取り組みが進展しました。その結果、拠点施設が42施設まで拡大し、期末にかけて新規施設から受注を獲得するなど、増収に向けた基盤構築が進みました。

<軟骨領域:自家培養軟骨ジャック>

変形性膝関節症への適応拡大に関し、2026年1月に保険収載されたことを機に、中長期的な成長を支える主力製品へと位置づけが変化しました。有効性・安全性を訴求する説明会や、新しい手術手技の提案等により既存施設での継続使用が大きく進展しました。契約施設数は全国125施設まで拡大し、3月には過去最高となる月間30例の受注を達成するなど、期末にかけて受注件数が大幅に増加しました。

<角膜領域:自家培養角膜上皮ネピック・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル>

既存施設での新規患者の伸び悩みにより受注が減少しました。一方で、販売を担う株式会社ニデックとの連携により、新規施設の開拓や潜在患者への治療啓発を推進しており、角膜移植実績のある全国有数の新規施設で採用されるなど成果が現れています。引き続き、新規施設での治療の定着や潜在患者への治療啓発を進めます。

 

[再生医療受託事業]

当事業年度における再生医療受託事業の売上は、546,371千円(前期比23.5%減)となりました。

帝人(帝人株式会社)関連ではマイルストン達成の翌期への期ずれが生じたこと、また一般顧客からの受託においても、前年度に計上された特定顧客からのスポット収入が剥落した影響等により、減収となりました。

一方で、商用生産までを一気通貫で支援する独自の価値提供により、複数案件が高付加価値フェーズへと移行しました。具体的には、アクチュアライズ株式会社、株式会社VC Cell Therapy、株式会社メトセラ、AlliedCel株式会社との案件が着実に進展しており、特定顧客に依存しない強固な事業ポートフォリオへの転換が進んでいます。引き続き、顧客のシーズの製品化を伴走支援する「イノベーションパートナー」としての仕組みづくりに注力します。

 

[ラボサイト事業]

当事業年度におけるラボサイト事業の売上は、281,879千円(前期比13.5%増)となりました。

欧州では、EpiSensA(エピセンサ)への関心が高く、定期顧客数が8社に達するなど増収を牽引しました。本格展開に向けてドイツでの子会社設立準備を進めております。インドでは、表皮モデルに加え角膜モデルへの関心も高まりつつあり、現地ニーズに応じた営業活動を積極的に展開しています。国内では、EpiSensAの技術講習会による手技指導に加え、帝人構造解析センターとの連携による体制強化を行い受注が拡大しました。新規製品である研究用腸管上皮モデルについては、大阪大学からの技術移管を進め、製品ラインアップの充実を図るとともに、創薬や食品などの新規業界への展開を見据えた開発を推進しています。

 

[新規パイプラインの開発等]

<皮膚領域>

他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)は、熱傷を含む皮膚欠損を適応とし、2026年3月に製造販売承認申請を行いました。独自の乾燥技術により「常温での長期保管」と「即時使用(迅速な提供)」を両立させた特長を有しており、救急現場への迅速な提供を目指すとともに、海外市場への展開も視野に入れてまいります。

<軟骨領域>

自家培養軟骨ジャックは、適応症に変形性膝関節症を追加する一部変更承認を2025年5月に取得し、2026年1月に保険収載されました。他にも、膝領域の治療を目的とした新製品の開発を、帝人と共同で取り組んでいます。

<がん領域>

当社製造による自家CAR-T細胞製剤*は、名古屋大学で急性リンパ性白血病(ALL)に対する医師主導治験が開始され、第I/II相医師主導治験実施中です。低コストで製造できる自家CAR-T細胞由来治療技術を活かし、がん以外の他疾患への事業拡大を検討中です。

柏の葉「再生医療プラットフォーム」で、帝人、国立研究開発法人国立がん研究センター東病院、三井不動産株式会社と協働し事業展開を加速しています。

* 名古屋大学・信州大学と特許ライセンス契約を締結した、CD19陽性の急性リンパ性白血病の治療を目的とした、低コストで製造できる自家CAR-T細胞由来治療薬開発

 

(参考)各事業の概要

[再生医療製品事業]

当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピック、自家培養口腔粘膜上皮オキュラル及びメラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンの製造販売を行っています。

・自家培養表皮ジェイス(皮膚領域)

自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に重症熱傷を適応として保険収載された国内初の再生医療等製品であり、先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)にも適応を拡大しています。ジェイスの保険適用に関しては、患者一連の製造につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度となっています。

・自家培養軟骨ジャック(軟骨領域)

自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された国内第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応としています。2019年1月には、ジャックの移植時に用いていた患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更承認を取得して、手術侵襲の低減と簡便化を実現しました。2022年6月には、承認後の使用成績調査について再審査が終了し、承認時の有効性及び安全性が改めて確認されました。2025年5月に、適応症に変形性膝関節症を追加する一部変更承認申請を取得し、2026年1月に保険収載されました。

・自家培養角膜上皮ネピック(角膜領域)

自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域では国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を除く)を適応としています。

・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル(角膜領域)

自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、角膜上皮幹細胞疲弊症を適応としており、2021年12月に保険収載されました。口腔粘膜上皮細胞を用いて両眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を治療することが可能な、世界初の再生医療等製品です。

・メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン(皮膚領域)

メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンは、メラノサイト(色素細胞)が保持されるように培養された表皮細胞シートです。非外科的治療が無効又は適応とならない白斑を適応として、2024年10月に保険収載されました。

[再生医療受託事業]

当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発ならびにコンサルティング及び特定細胞加工物製造受託を行っています。

・再生医療等製品の受託開発

再生医療等製品の承認を目指すアカデミアや企業に対し、研究開発段階の設計から商用生産までを一気通貫で支援する開発製造受託(CDMO)・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品開発・製造で培ったノウハウやGCTP適合設備を活かし、細胞種や製品形態を問わずシームレスに支援します。特に近年はiPS細胞由来製品など、自社開拓による高付加価値案件が拡大し、事業ポートフォリオの多角化が進んでいます。

・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託

再生医療の提供機関に対し、提供計画の作成や細胞加工施設運営の支援を行うほか、厚生労働省許可施設にて特定細胞加工物の製造を受託しています。

 

[ラボサイト事業]

当社はラボサイト事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を行っています。

・ラボサイトシリーズ

研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品及び化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに販売しています。製品ラインアップとして、ヒト3次元培養表皮エピ・モデル/EPI-KITとヒト3次元培養角膜上皮角膜モデルを保有しています。エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法、皮膚腐食性試験法ならびに花王株式会社が開発した皮膚感作性試験法(EpiSensA:エピセンサ)、そして角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法は、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインに収載されており、日本国内においてはトップシェアを占めるモデルとなっています。さらに、エピ・モデル24を用いた医療機器の皮膚刺激性試験法は国際規格ISO10993-23に収載されています。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて234,983千円減少し、1,450,465千円となりました。

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は488,020千円(前期は148,365千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純損失(730,775千円)及び減価償却費(157,382千円)によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は253,035千円(前期は232,526千円の使用)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出(1,800,000千円)及び定期預金の払戻による収入(2,200,000千円)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の増減はありません。(前期は3千円の使用)

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

 

前期比(%)

 

再生医療製品事業(千円)

1,350,558

90.2

再生医療受託事業(千円)

546,371

76.5

ラボサイト事業(千円)

281,879

113.5

合計(千円)

2,178,810

88.6

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.当事業年度における生産実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

b. 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

再生医療製品事業

1,501,542

97.1

232,481

152.4

再生医療受託事業

601,271

105.2

126,567

161.2

ラボサイト事業

282,715

113.4

15,305

105.8

合計

2,385,529

100.8

374,355

152.5

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.当事業年度における受注実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

c. 販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

 

前期比(%)

 

再生医療製品事業(千円)

1,354,493

90.7

再生医療受託事業(千円)

546,371

76.5

ラボサイト事業(千円)

281,879

113.5

 合計(千円)

2,182,745

88.9

(注)1.当事業年度における販売実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態の分析

当事業年度の財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を検討した上での調達を基本としております。

なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,450,465千円となっております。

 

④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度のセグメントごとの経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 セグメントごとの財政状態につきましては、次のとおりであります。

 再生医療製品事業のセグメント資産は1,236,276千円となり、前事業年度末から51,780千円減少となりました。再生医療受託事業のセグメント資産は201,559千円となり、前事業年度末から87,348千円減少となりました。ラボサイト事業のセグメント資産は105,409千円となり、前事業年度末から9,662千円増加となりました。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

⑦重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

当社は、当社の経営成績、財政状態及び事業展開に重要な影響を及ぼす契約として、以下の契約を締結しております。

契約書名

共同研究開発基本契約書

相手方名

株式会社セルシード

契約締結日

2009年10月30日

契約期間

契約締結日から3年間(2009年10月30日から2012年10月29日まで)とする。ただし、期間満了の3か月前までに両者のいずれからも解約の意思表示のないときは、本基本契約はさらに満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。

主な契約内容

株式会社セルシードと当社は、両社が保有する技術及びノウハウを活用し、次世代再生医療製品及びサービスならびにビジネスモデルを共同開発する。本基本契約に基づいて株式会社セルシードと当社が共同で取り組む研究開発テーマは、両社合意の上で別途個別共同研究開発契約をもって定める。

本契約は当社の再生医療関連技術の高度化及び新規事業創出を目的とするものであり、中長期的な成長に資するものである。

 

契約書名

実施許諾契約書

相手方名

国立大学法人名古屋大学(現 国立大学法人東海国立大学機構)、国立大学法人信州大学

契約締結日

2018年6月22日

主な契約内容

当社は、対象特許(PCT/JP2016/079989「キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変T細胞の調製方法」)について、CD19陽性細胞の急性リンパ性白血病を対象とした自家細胞を用いたCD19分子を標的とする非ウィルスベクターを用いたキメラ抗原受容体T細胞製剤の日本における開発・製造・販売する独占的実施権の許諾を受ける。

本契約は当社の主要な研究開発パイプラインに関する基盤技術の利用に関するものであり、中長期的な収益基盤に重要な影響を及ぼす。

 

契約書名

資本業務提携契約書

相手方名

帝人株式会社

契約締結日

2021年1月29日

契約期間

公開買付けの決裁開始日に効力を生じる。

主な契約内容

・当社を帝人株式会社の連結子会社にすること(資本提携)。

・両当事者の事業上のシナジーを実現させ、企業価値を向上させる目的で相互に知見やノウハウ、リソース、インフラ等を提供すること(業務提携)。

・資本提携下における当社の運営等に関する取決め。

本契約は帝人グループとの事業連携に基づくものであり、当社の事業基盤の強化及び収益機会の拡大に重要な役割を有する。

 

契約書名

独占的販売契約書

相手方名

株式会社ニデック

契約締結日

2022年3月15日

契約期間

2021年12月1日から5年間とする。

ただし、期間満了の2ヶ月前までに両者のいずれよりも反対の意思表示がない場合は、更に満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。

主な契約内容

当社は、当社が製造販売する再生医療等製品「オキュラル(一般的名称:ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞Bシート)」について、株式会社ニデックに対して日本国内における独占的販売店の地位を与える。

当該製品の国内販売は本契約に基づいて行われており、当社売上に重要な影響を及ぼす。

 

 

 

契約書名

使用許諾契約書

相手方名

帝人リジェネット株式会社

(注)本契約は、2023年8月1日に帝人株式会社より承継されました。

契約締結日

2023年4月19日

契約期間

2023年4月19日から2034年3月31日までとする。

ただし、期間満了の1年前までの一方当事者から他方当事者に対して終結の通知がない場合には、同条件を以て自動的に2年間延長され、その後も同様とする。

主な契約内容

当社の再生医療受託事業(CDMO事業)に係るノウハウを、帝人リジェネット株式会社に対し非独占的に使用する権利を許諾するものである。本契約は、帝人リジェネット株式会社のCDMO事業の立上げを支援するとともに、当社の再生医療CDMO事業の拡大および事業基盤の強化に資することを目的としている。対価として、同社の事業立上げ段階に応じたマイルストン対価及び同社のCDMO事業の売上に連動したランニングロイヤルティを受領する。これらの収益は相手方の事業進捗及び売上に依存する性質を有する。当社と帝人リジェネット株式会社は協働体制のもと、再生医療受託事業の推進に取り組む。

 

契約書名

使用許諾契約に基づく業務委託基本契約書

相手方名

帝人リジェネット株式会社

契約締結日

2024年3月19日

契約期間

2024年4月1日から2025年3月31日までとする。

ただし、当該有効期間が満了する日の2ヶ月前までに甲乙いずれからも本契約の修正又は不更新の申し出がない場合は、本契約は同一条件をもってさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とするが、最長でも2031年3月31日までとする。

主な契約内容

帝人リジェネット株式会社の再生医療受託事業(CDMO事業)に関連する技術指導業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人リジェネット株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。

本契約は帝人グループとの事業連携に基づくものであり、当社の事業基盤の強化及び収益機会の拡大に重要な役割を有する。

 

契約書名

業務委託基本契約書

相手方名

帝人株式会社

契約締結日

2024年3月19日

契約期間

2024年4月1日から2025年3月31日までとする。

ただし、当該有効期間が満了する日の2ヶ月前までに甲乙いずれからも本契約の修正又は不更新の申し出がない場合は、本契約は同一条件をもってさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とするが、最長でも2031年3月31日までとする。

主な契約内容

帝人株式会社の再生医療事業に関する指導業務及びその他の業務について、当社の技術・ノウハウを活用して当社がこれを受託する。本基本契約に基づく帝人株式会社からの委託取引の内容は、両社合意の上で別途個別契約をもって定める。

本契約は帝人グループとの事業連携に基づくものであり、当社の事業基盤の強化及び収益機会の拡大に重要な役割を有する。

 

契約書名

第6回新株予約権付社債総数及び総額引受契約書

相手方名

株式会社VC Cell Therapy

契約締結日

2024年12月27日

契約期間

契約締結日に効力を生じる。

主な契約内容

株式会社VC Cell Therapyが発行する新株予約権付社債について、当社が本新株予約権の総数及び本新株予約権付社債の総額を引き受ける(資本提携)。

 

 

 

契約書名

特許及び契約上の地位の承継に関する契約書

相手方名

タカラバイオ株式会社

契約締結日

2025年3月5日

契約期間

2025年3月31日を承継日とする。

主な契約内容

タカラバイオ株式会社が国立大学法人大阪大学、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所との間で締結したヒト腸管上皮モデルを製品化する特許に関する権利を譲り受ける。

本契約により取得する特許は当社の再生医療製品開発に活用されるものであり、研究開発戦略上重要な位置づけを有する。

 

契約書名

新株予約権付社債引受契約書

相手方名

PuREC株式会社

契約締結日

2025年7月15日

契約期間

契約締結日に効力を生じる。

主な契約内容

PuREC株式会社が発行する第1回新株予約権付社債について、当社が本新株予約権の総数及び本新株予約権付社債の総額を引き受ける。ただし、本契約書に定める前提条件を充足することを条件とする。

なお、本新株予約権については全て権利行使されており、当社は当該発行会社の株式を取得している。当該株式の取得は、当社の再生医療分野における事業連携の強化を目的とするものである。

 

 当社は、当社の株主である帝人株式会社との間で、当社の役員候補者を指名する権利を有する旨の合意に関する「資本業務提携契約書」を締結しております。

 契約に関する内容等は次のとおりであります。

 

(1)契約の概要

契約締結日

相手先の名称

相手先の住所

合意の内容

2021年1月29日

帝人株式会社

東京都千代田区霞が関三丁目2番1号

霞が関コモンゲート西館

・役員候補者指名権

・事前承諾事項

(i)子会社又は関連会社の異動

(ii)上場廃止基準に該当する若しくはそのおそれのある行為又は上場廃止の申請

(iii)第三者との間での本業務提携に類似する業務提携(合弁会社の設立及びライセンスの付与を含む)

(iv)組織変更、合併、株式交換、会社分割、事業の全部若しくは一部の譲渡又は譲受その他これらに準ずる行為

 

(2)合意の目的

 当社は、親会社である帝人株式会社(以下「帝人」という。)との間で、2021年1月29日付で資本業務提携契約(以下「本提携契約」という。)を締結しております。 本提携契約において、帝人は当社に対する役員の指名権(取締役候補者の過半数等を指名する権利)を有すること、及び当社が一定の重要な業務執行(組織再編、巨額の投資、重要な財産の処分等)を行うにあたり、事前に帝人の承諾を要すること等が合意されております。

 これらの合意は、当社が帝人グループの強固な事業基盤や研究開発リソースを最大限に活用し、再生医療等製品の実用化・事業化を加速させるとともに、両社の緊密な連携によるシナジー効果を創出し、当社の中長期的な企業価値及び株主共同の利益を向上させることを目的としております。

 

(3)取締役会における検討状況その他の当社における合意に係る意思決定に至る過程

 本提携契約の締結にあたり、当社は、本提携が少数株主の利益に与える影響や当社の経営の独立性について慎重に検討するため、当社の独立社外取締役、独立社外監査役及び外部有識者から構成される特別委員会を設置いたしました。

 特別委員会に対しては、外部の法務アドバイザー及び財務アドバイザーによる助言を得ながら、本提携契約における役員指名権や事前承諾事項が、当社の事業運営の柔軟性を過度に阻害するものではないか、また少数株主の利益に不利益を与えるものではないかという観点から、多角的な議論と検証がなされました。

 具体的には、「事前承諾事項の範囲が当社の機動的な意思決定を不当に制限しないか」という論点について協議が行われ、承諾を要する事項を当社の根幹に関わる重要な経営判断に限定することで、日常的な業務執行の独立性は維持されるとの確認がなされました。 これらの検討の結果、特別委員会より「本提携契約の締結は少数株主にとって不利益なものではない」旨の答申を受領し、当該答申の内容を最大限尊重した上で、当社の取締役会において本提携契約の締結を決議しております。

 

(4)合意が当社の企業統治に及ぼす影響

 本提携契約に基づく帝人による一定のガバナンス関与は存在しますが、上記のとおり事前承諾事項は限定的であり、当社は上場企業としての経営の独立性を維持しております。

 また、当社は独立社外取締役を選任しており、親会社と少数株主との間の利益相反リスクを適切に監督・統制する体制を構築しているため、本合意が当社の企業統治に及ぼす悪影響はないものと判断しております。

 

6【研究開発活動】

当社は、ティッシュエンジニアリングを学術的基盤として、生きた細胞を用いた人工組織・臓器の開発に取り組み、再生医療の発展に貢献すべく活動しております。

当事業年度における事業別の研究開発活動は以下のとおりで研究開発費の総額は497,323千円であります。なお、研究開発費の金額は助成金の対象となる費用(67,914千円)控除後の金額であります。

 

(1)再生医療製品事業

①自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、適応症に変形性膝関節症を追加する一部変更承認を2025年5月13日に取得し、2026年1月1日付で保険収載されました。他にも、膝領域の治療を目的とした新製品の開発を、帝人と共同で取り組んでいます。

②他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)

他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)は、熱傷を含む皮膚欠損を適応とし、2026年3月に製造販売承認申請を行いました。独自の乾燥技術により「常温での長期保管」と「即時使用(迅速な提供)」を両立させた特長を有しており、救急現場への迅速な提供を目指すとともに、海外市場への展開も視野に入れてまいります。

③自家CAR-T細胞製剤(JPCAR-019)

当社製造による自家CAR-T細胞製剤*は、名古屋大学で急性リンパ性白血病(ALL)に対する医師主導治験が開始され、第I/II相医師主導治験実施中です(2027年3月期で完了の見通し)。また、低コストで製造できる自家CAR-T細胞由来治療技術を活かし、がん以外の他疾患への事業拡大を検討中です。

柏の葉「再生医療プラットフォーム」で、帝人、国立研究開発法人国立がん研究センター東病院、三井不動産株式会社と協働し事業展開を加速しています。

* 名古屋大学・信州大学と特許ライセンス契約を締結した、CD19陽性の急性リンパ性白血病の治療を目的とした、低コストで製造できる自家CAR-T細胞由来治療薬開発

 

(2)再生医療受託事業

当社の研究開発活動の中には、様々なアカデミア・医療機関・企業に対する開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスの提供に係るものも含んでおります。

 

(3)ラボサイト事業

2024年6月には花王株式会社が開発した皮膚感作性試験法(EpiSensA:エピセンサ)が、OECDテストガイドラインに収載される等、活動の成果が表れております。また2025年3月には、ヒトiPS細胞とオルガノイドの技術を用いた研究用腸管上皮モデルの開発権を取得しました。2027年3月期の上市を目指して開発を進め、現在の化粧品を主とする市場から創薬市場への新たな展開を進めるとともに、米国や欧州、アジアへの展開も順次進め、早期で数億円規模の売上高達成を目指します。