第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

Ⅰ. 中期経営計画「Make Waves 1.0」の概要

当社グループは、2019年4月からの3年間を対象とした中期経営計画「Make Waves 1.0」を策定しました。経営ビジョン“「なくてはならない、個性輝く企業」になる”の実現に向け、この3年間を顧客・社会との繋がりを強化し、価値創造力を高めていくための期間と位置づけ、取り組んでおります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1. 経営環境認識 

当連結会計年度の経営環境は、世界中での新型コロナウイルス感染拡大により、小売活動の停滞、学校等の閉鎖、各種イベントの中止など、大きな影響が広がりました。未だ収束の見通しが立たない中、感染拡大防止と様々な制約の中での企業活動継続の両立が課題となっております。重ねて、年度後半は部品サプライヤーの供給問題や海上輸送コンテナの不足による商品供給遅延が発生するなど、多くの外的影響を受ける大変厳しい1年になりましたが、このような環境の中でもそれらの影響を最小限に留め、柔軟に施策を適応させながら、様々な取り組みを着実に進めております。

中長期的な経営環境は、デジタル化の加速により産業構造が急激に変化する一方、お客様とのより緊密な繋がりが可能になり、AIやIoTで利便性が格段に高まると同時により精神的な満足や本質が求められる時代が到来すると考えています。サステナビリティへの社会的な意識もより高まっています。加えて、新型コロナウイルス感染症により、人々の生活様式・働き方は急激に変化し、With/Afterコロナを見据えたデジタル時代の新たな楽しみ方を模索する動きやテレワークの拡大を背景に、より快適な遠隔コミュニケーションを求める声も高まりを見せております。

“技術×感性”を強みとする当社グループにとって、この様な急速な変化は、進化のチャンスであると捉えております。楽器事業、音響機器事業において、音・音楽を中心に、新たな時代に求められる顧客価値の創造や社会課題の解決に努めるとともに、その他の事業においても、車載向け音響ビジネス領域等、更なるビジネスの拡大を図っていきます。


2. 経営ビジョン(中長期的に目指す姿)と価値創造ストーリー

「なくてはならない、個性輝く企業」になる

~ ブランド力を一段高め、高収益な企業へ ~

 

社会価値の創造を通じて、企業価値を高め、ビジョンの実現を目指します。
 

3.「Make Waves 1.0」の位置づけと基本戦略

これまでの成果も踏まえ、本中期経営計画を“顧客・社会との繋がりを強化し、価値創造力を高める”3年間と位置づけ、これを基本戦略とします。

 

 

4.経営目標(2022年3月期)

財務目標(IFRS)

(方針)収益力の強化と成長基盤の強化を両立

事業利益率:

13.8 %

ROE:

11.5 %

EPS:

270 円

 

(想定為替レート:USD 110円 / EUR 125円) 

*2021年3月期決算発表時(2021年5月10日)に開示した2022年3月期業績予想は、コロナ禍での環境変化等を踏まえ、事業利益率:11.8% ROE:10.0% EPS:233円(想定為替レート:USD 105円 / EUR 125円)としております。

 

非財務目標

コーポレートブランド価値*

1.3 倍

新興国の器楽教育普及:

100 万人(累計)

認証木材使用率:

50 %

 

*ヤマハ株式会社とヤマハ発動機株式会社の合同ブランド価値 $1.2 billion
 (Interbrand社 Best Japan Brands 2019) 

 

投資と還元

(方針)成長投資と株主還元にバランス良く配分

総還元性向:

50 %(3年累計)

 

 

5.4つの重点戦略

 ① 顧客ともっと繋がる

広く、深く、長く、お客様と繋がるため、ブランドプロミスを通じたブランド訴求と、デジタルマーケティングを軸にしたデジタル・リアル両面の顧客接点整備、そして、ライフタイムバリュー向上への貢献に取り組みます。また中国、ASEANをはじめとした新興国では、中間所得層を取り込み、成長を加速させます。音響機器事業、部品・装置事業では成長市場へ事業領域を拡大し成長を図っていきます。

 

 ② 新たな価値を創造する

ヤマハの強みである、“技術×感性”で新たな価値を創造します。世の中の変化や、お客様からのフィードバックに基づき、感性を定量化する技術(感性評価技術)や解析・シミュレーション技術を駆使し、また、アコースティック技術、デジタル技術等、当社が保有する技術を融合させ、ユニークな製品・サービスをお客様に提供していきます。 
 

 ③ 生産性を向上する

付加価値向上と商品価値の訴求強化を通じて価格適正化を進めるとともに、製造コストの持続的な低減を図ります。また経費をゼロベースで見直し、顧客価値向上に資する戦略経費にシフトさせ、収益力の強化を図っていきます。

 

 ④ 事業を通じて社会に貢献する

音楽文化・社会の持続的発展に貢献します。多種多彩な楽器の供給を通じた世界の音楽シーンへの貢献、新興国における器楽教育普及等、音楽文化のサステナビリティへの貢献を拡大する他、製品・サービスを通じた社会課題の解決に取り組みます。また、持続可能な木材利用や環境配慮製品の開発などを通じ、自然との共生を実現していきます。
 

 

6.事業別戦略

 ① 楽器事業

新興国を中心とした販売拡大と付加価値向上により収益力の強化を進めます。頂点戦略の推進や中高級価格帯の拡売、併せてライフタイムバリュー向上と音楽普及活動への取り組みを通じた需要創出を進めていきます。
 

 ② 音響機器事業

B2B事業では、デジタルミキサーの強みを活かしながら、トータルソリューションのさらなる強化に取り組む他、施主等、上流工程の顧客へのダイレクトアプローチを強化します。B2C事業であるAV機器では、顧客のライフスタイル変化に適合したポートフォリオへの転換を進めます。

 

 ③ その他の事業

「音響×音声×騒音制御」の技術で、車室内の多様な音の課題を解決し、市場でのポジションを確立していきます。

 

7.投資と株主還元

創出したキャッシュを通常投資、戦略投資(新製造拠点への追加投資、R&D拠点、M&A他)と株主還元にバランス良く配分します。

株主還元については、継続的かつ安定的な配当を基本としますが、将来の成長投資のための適正な内部留保とのバランスを考慮しながら、資本効率の向上を目的とした機動的な株主還元も適宜、実施してまいります。3年累計で総還元性向50%を目標とします。

 

Ⅱ. サステナビリティの取り組みを加速

今中期経営計画において、重点戦略の一つとして掲げているサステナビリティに関して、今後より一層重点的に取り組むために、代表執行役社長の諮問機関としてサステナビリティ委員会および5つの部会(気候変動部会、資源循環部会、調達部会、人権・D&I部会、社会・文化貢献部会)を2021年1月1日付で新設しました。
 本質的にサステナビリティと経営を一体化させていくことで、社会への貢献=社会価値の創造と企業価値の向上を同時に実現することができると考えています。サステナビリティの取り組みを具体的に事業活動に組み込み、加速させてまいります。
 また、代表執行役社長の諮問機関の一つである人材開発委員会の下部組織として「女性活躍推進部会」を2021年1月1日付で新設し、女性の活躍を一層後押しする取り組みを開始しました。性別のみならず、年齢・志向・ライフスタイルなどあらゆる多様性を価値創造の源泉ととらえダイバーシティ&インクルージョンを引き続き推進してまいります。

 

Ⅲ. 法令違反への対応とコンプライアンスの徹底

当社子会社のYamaha Music Europe GmbH(以下YME)は、欧州の一部の国での販売において競争法違反があったとして各国当局の調査を受けておりました。違反の対象期間は国によって異なりますが2004年以降の年から2017年の間であり、全ての国において2017年に違反行為を終結し、是正を完了しております。  
 YMEは是正とともに各国当局の調査に協力し、その決定に従い既に制裁金4.3百万ユーロ(527百万円)を支払っており、本制裁金は2021年3月期において「その他の費用」として計上しております。
 本件に関し、再発防止策を既に実施しておりますが、当社グループ全体において、引き続き競争法を含む全ての法律を遵守すべくコンプライアンスプログラムを徹底して参ります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事項のうち、経営者が連結会社の経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとリスクへの対策、中期経営計画に掲げる4つの重点戦略と事業別戦略との関連性は以下の通りです。
 なお、当社グループは、リスクへの対応力を向上させ、健全で透明性の高い経営を実践するため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでいます。当社は、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しています。また、同委員会の下部組織として、全社横断的な重要テーマについて活動方針の策定やモニタリングを行う「BCP・災害対策部会」「財務管理部会」「コンプライアンス部会」「輸出審査部会」「情報セキュリティ部会」を設置しています。
 リスクマネジメント委員会では、識別した事業に関連するさまざまなリスクを大きく「外部環境リスク」「経営戦略リスク」「事業活動に係る業務プロセスリスク」「経営基盤に係る業務プロセスリスク」の4つに分類し、リスクの重要性を想定損害規模と想定発生頻度に応じて評価しており、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク低減活動の推進によりコントロールレベルの引き上げを図っています。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 


 


 

 

リスク分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

外部環境リスク

事業環境の変化

当社グループは、世界の各地域に製造・販売拠点を置き、グローバルな事業展開を行っています。連結子会社56社のうち42社が海外法人であり、そのうちの23社が製造・制作会社等で、主に中国、インドネシア、マレーシア、インドに拠点を置いています。主要な商品の生産をひとつの製造拠点に依存している場合、当該拠点のある地域の事業環境の変化が商品の供給に影響を与える可能性があります。また、海外売上収益は売上収益の71.0%を占めています。そのため、世界各国の経済状況や市場環境の影響を受けます。世界の市場における景気後退、これに伴う需要の減少は、当社グループの収益と事業展開に影響を与える可能性があります。

日本においては、当社グループの基幹事業である楽器事業で、子供を中心とする音楽教室や英語教室を展開しているほか、学校を通じた販売も重要な販売経路となっており、今後少子化の進行により、売上収益の減少を招く可能性があります。 

 

 生産については、特に主要な商品を2か所以上から供給できる体制を構築中です。販売については、各国経済状況の跛行性に対して在庫の供給を柔軟に対応させるよう努めています。

また、顧客情報基盤(CDP)の構築を進め、デジタルマーケティングの整備強化により、顧客のライフステージにフィットした価値の提供を行うことにより幅広い年齢層に対するサービスを拡充しています。

なお、日本における少子化対策としては音楽教室の大人向けコースの展開、海外での事業拡大を進めています。

①②③④

①②③

事業環境の劇的変化

 

※パンデミック等

パンデミックが発生すると地球規模で社会や経済に大きな影響を及ぼします。人々の生活や仕事のスタイルが不可逆的に変化し、パンデミック発生前とは異なる新たな社会構造が急速に形成され、これに伴って社会や顧客の志向も急速に変化することがあります。この事業環境の劇的な変化に適切に対応できない場合、お客様のニーズと一致しない製品・サービスの提供等により、販売の減少をもたらす可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

社会・顧客の志向の変化を迅速に取り込み、商品企画から販売に至る機能において機動的に対応できるよう体制を整備しています。また、取引先を含むサプライチェーン全体の状況に一層留意することで、不測の事態に備えています。

①②③④

①②③

法律

規制の変更

国内外における予期せぬ法律や規制の変更等により、当社グループの事業活動が大きな変更を余儀なくされ、その結果、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

「グループ法務規程」において法務に関する基本方針等を定め、各国での新たな法令に適時に対応するため、法令の最新状況を網羅する情報基盤の整備・運用を進めています。

また、輸出入に関わる法令違反のリスクの軽減のため、輸出審査部会においてリスト規制該当技術の管理強化、中国・インドからの輸出管理体制の構築を進めています。

 

①②③④

①②③

為替

金利の変動

当社グループは、全世界において製造・販売等の企業活動を行っていますが、グループ各社における外貨建取引は為替レートの変動の影響を受け、それにより当初の事業計画を達成できない可能性があります。特に損益影響が大きいユーロ・円レートにおいて、1円変動すると約3.8億円の損益影響をもたらします。

 

為替変動については、日本国内の生産工程を海外に移管する等、グローバルに工程を再配置することで、影響の軽減化を図っています。ユーロ・円レートの変動に対しては、グローバルな卸売価格の標準化の観点から柔軟に価格を設定することにより数量・販売金額の最大化を図っています。また、外貨建取引については、短期的な収益を事前に確定させるため先物為替予約取引等を行っています。

 

①②③

①②③

 

 

リスク

分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

外部環境リスク

国レベルの紛争

混乱

製造拠点または販売拠点において政治・経済の混乱、テロ、戦争、日系企業への暴動等が発生した場合、当社グループの事業活動が遅延または中断する可能性があります。

さらに、当社グループの製造拠点または販売拠点が直接の損害を受けた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、事業を展開する各国の政情不安や港湾スト等の物流障害により製品の供給に影響を受ける可能性があります。

 

 国レベルの紛争・混乱等の緊急事態に備え、BCP・災害対策部会にてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。

 また、リスクが顕在化したときに適切な対応を迅速に行い、経営への影響を最小化するための基本方針等を「グループBCP規程」で定めています。各拠点ではBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めています。

 複数の拠点を有する国においては、特命地域代表を設置し、現地での統括的な対応に当たります。

 

①②③

①②③

大規模事故

火災や爆発等により製造拠点の生産継続に影響が出る、事故により電力等の公共インフラサービスが停止して事業継続に支障が出る、事故等によりサプライチェーンネットワークが寸断・遅延して事業継続に影響を及ぼす等、外部要因による大規模事故の影響で生産や販売ができなくなることにより損害が発生する可能性があります。

 

 外部要因による大規模事故等の緊急事態に備え、BCP・災害対策部会にてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。

 また、リスクが顕在化したときに適切な対応を迅速に行い、経営への影響を最小化するための基本方針等を「グループBCP規程」で定めています。各拠点ではBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めています。

 更に、グループ施設管理規程を定め、人命および会社財産が適切に保全され、安心安全に利用できる環境とするため、必要なリスク管理を行っています。

 

①②③

①②③

サイバ|攻撃

当社グループの事業活動においては、情報システムの利用とその重要性が増大しています。サイバー攻撃やコンピュータウィルスへの感染等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの情報システムの破壊やデータ改ざんだけでなく、当社グループの社会的信用やブランド価値の毀損による経済的損失等により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 「グループIT管理規程」においてIT管理の基本方針等を定め、情報セキュリティ部会が現状の管理体制の把握、ウェブサイトの脆弱性の特定・改善指導等により、外部からの不正なITネットワークへの侵入によるデータ破壊や、ウィルス感染を予防するためのセキュリティ管理体制の維持・向上を図っています。

 

①②③

①②③

自然災害

地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害の発生により、当社グループの製造拠点や販売拠点等が損害を受ける、または通信ネットワークが寸断され、情報システムの継続に支障が生じることにより販売・生産・物流インフラの機能が停止し、事業活動が中断することにより、業績への影響を及ぼす可能性があります。

特に当社の本社及び当社グループの工場が集中している静岡県内においては、東海地震の発生が予想されています。また、主な製造拠点のある中国、インドネシア、マレーシア、インドにおいても、予期せぬ自然災害が発生する恐れがあります。このような事象が発生した場合には、施設面での損害のほか、操業の中断や遅延、多額の復旧費用の発生等が予想されます。

加えて、原材料・部品供給業者の被災状況によっては、生産活動に影響を受ける可能性があります。また、物流網の途絶により材料・製品の供給に影響を受ける可能性があります。

 

 大規模な自然災害等の緊急事態に備え、BCP・災害対策部会にてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。

 また、リスクが顕在化したときに適切な対応を迅速に行い、経営への影響を最小化するための基本方針等を「グループBCP規程」で定めています。各拠点ではBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めています。

 国内においては、震度7の地震が発生したと想定し、現状の対応策を検証、更に、BCPの実効性を高めるため、災害発生直後に事業が停止するという想定で地震初動訓練を年2回実施しています。

 また、ヤマハ設備耐震基準を制定し、当社グループが所有する建物の耐震化を進めると共に、新規設備導入時に適用しています。

 グローバルでは、拠点ごとに想定される大型台風や洪水など自然災害に対して、排水設備を設置するなどの事前対策を実施しています。また、自社拠点だけでなく外部物流倉庫についても、立地や構造の見直しなどの対策を実施しています。

 

①②③④

①②③

 

 

リスク

分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

外部環境リスク

感染症

製造拠点や販売拠点において国家的警戒レベルで感染症が流行した場合、事業活動が遅滞または中断し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 感染症の拡大等の緊急事態に備え、BCP・災害対策部会にてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。

 また、リスクが顕在化したときに適切な対応を迅速に行い、経営への影響を最小化するための基本方針等を「グループBCP規程」で定めています。各拠点ではBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めています。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を緊急事態と捉え、BCP・災害対策総本部を設置し、各拠点の状況や製造、販売、物流、資金等の情報のとりまとめを行うとともに、在宅勤務の拡大等の感染拡大防止の取り組みや、事業への影響を最小限に抑えるための対応を行っています。

 

①②③

①②③

経営戦略リスク

グル|プ統制

当社グループは、国内外に多くのグループ企業を展開しているため、グループ統制の組織設計、各種制度設計が適切に行われないことにより、権限が不明確になり、事前に承認を受けずにグループ企業が重要な決定を実施することで、事業パフォーマンスの低下や内部統制上の問題を起こすリスクがあります。

 

 グループ企業を統制する上で、グループ経営の基本方針を定めた「グループマネジメント憲章」及び「グループ企業管理規程」においてグループ企業が当社から事前承認を受けるべき事項を定めています。運用において確実に事前承認がなされるよう、グループ企業を統括する所轄部門において事前承認事項別、またはグループ企業別の担当者を配置し、指導に当たっています。

 また、第3のディフェンスラインの機能を担う内部監査部が「グループ内部監査規程」に基づき、当社グループのガバナンス、リスクマネジメント、内部統制および業務活動全般を対象として監査を実施しています。

 

①②③④

①②③

コンプライアンス

当社グループの事業は、全世界の拠点において、それぞれの国における法律の適用を受け様々な規制の対象となっています。例えば、対外的投資、国家安全保障上の輸出入制限、通商規制、独占禁止規制、消費者保護、環境保護他の規制の適用を受けています。当社グループは、コンプライアンスの実践に尽力していますが、予期せずこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの企業活動が制限され、当社グループの社会的信用やブランド価値の毀損、罰金等によるコストの増加につながる可能性があります。

 

 グループ規程を定め、当社グループ全体として法律や規制を遵守するよう、当社から定期的にモニタリングを行っています。

 また、組織のみならず従業員一人一人にコンプライアンス意識を持たせるために「コンプライアンス行動規準」を定め、研修等を通じて当社グループ全体でのコンプライアンス意識の向上を図ると共に、抑止力として、また、万一の場合の対応を迅速に行うため、グローバルベースでのコンプライアンスに関する内部通報窓口を設置しています。

 

①②③④

①②③

 

 

リスク

分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

経営戦略リスク

サステナビリティ

 近年、地球温暖化や資源枯渇などの環境問題や、格差や不平等といった社会問題が深刻化し、企業活動の基盤である地球環境・社会の持続可能性が危ぶまれています。人々のサステナビリティへの意識は急速に高まっており、企業には製品・サービスや事業プロセスなどバリューチェーン全般において環境・社会課題への対応が求められています。エシカル消費など、サステナビリティに対する顧客ニーズの高まりに対応できない場合、ブランド力、競争力の低下をもたらす可能性があります。加えて、近年ESG投資のメインストリーム化が進んでおり、サステナビリティへの対応が不十分と見なされた場合、企業価値、資金調達力の低下につながる可能性があります。

当社グループは社会の持続的発展に貢献することを「ヤマハグループサステナビリティ方針」にて定め、事業による環境や社会への影響、ステークホルダーの期待や社会要請を鑑み、中長期的に注力する「サステナビリティ重点課題」と目標を設定し、取り組みを推進しています。そしてこれらの取り組み状況を、GRIなどの国際的な開示基準に沿ってステークホルダーに積極的に示すことに努めています。

2021年1月にはサステナビリティ推進体制を強化するため、代表執行役社長の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し、全社の方向性の議論や取り組み状況のモニタリングを行っています。また「サステナビリティ重点課題」の取り組みを加速させるために、同委員会下に、気候変動、資源循環、調達、人権・D&I、社会・文化貢献の5つの部会を設置し、各分野の方向性の議論や取り組み状況のモニタリングを行っています。

 

①②③④

①②③

M&A

事業再編

 当社グループは、事業の拡大のため、M&A等の戦略投資を行っています。投資決定の判断は慎重に行っていますが、事業環境の変化や投資判断時の状況との乖離などから一部または全部の投資額を回収できない、または撤退の場合に追加損失が発生するリスクがあります。このような場合、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性もあります。また、買収前に発見できなかった買収会社の持つ潜在リスクが顕在化することにより、買収後に損失が発生する可能性があります。

 他社との業務提携、出資、合弁会社の設立等においても、相手先との利害の対立や相手先の事業戦略の変更等により、当初期待した効果が得られない場合があります。

 

投資決定にあたっては、投資効果とリスクを定性的かつ定量的に把握し、規模や重要度に応じてあらかじめ「権限規程」に則って慎重に判断を行っています。

また、戦略投資を実施した後も、買収会社については他のグループ企業と同様にその経営成績を定期的に測定し、他の事業投資についても当初計画に対する進捗状況のモニタリングを実施し、必要に応じて適切な対策を講じています。

①②③

①②③

 

 

 

 

リスク

分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

経営戦略リスク

経営資源配分

当社グループは、設備投資等の既存事業への通常投資や、研究開発等への経営資源の配分を適宜行っています。

事業投資決定の判断は慎重に行っていますが、事業環境の変化や投資判断時の状況との乖離などから一部または全部の投資額を回収できない、または撤退の場合に追加損失が発生するリスクがあります。このような場合、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性もあります。

技術開発投資については、音・音楽・ネットワーク・デバイス関連技術の差別化を図ることが、当社グループの発展、成長に不可欠な要素となっていますが、これらの技術開発が、将来の市場ニーズを正しく予想し、的確に行われない場合、楽器事業では、製品付加価値の低下、価格競争に陥る恐れ、新規需要喚起ができない等の問題が生じ、音響機器事業、その他の事業では事業そのものの存続が困難となる可能性があります。

また、当社グループが保有する財務的な資産は金融市場の変動によりその資産価値の増減に影響を及ぼし、投資有価証券や土地の評価、退職給付等に関わる資産評価価値の減少により評価損等が発生する可能性があります。

 

中期経営計画において通常投資、戦略投資、株主還元の適切な配分について立案し、これに基づいた経営資源の配分を行っています。

投資決定にあたっては、投資効果とリスクを定性的かつ定量的に把握し、規模や重要度に応じてあらかじめ「権限規程」に則って慎重に判断を行っています。また、事業投資を実施した後も当初計画に対する進捗状況のモニタリングを実施し、必要に応じて適切な対策を講じています。

技術開発投資については、代表執行役社長の諮問機関である技術戦略委員会を設置し、グループ全体最適の観点から開発資源が配分されるよう検討しています。

当社が保有する投資有価証券の保有方針については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」に記載しています。また、企業年金資産の保有方針については、「コーポレートガバナンス方針書」の「企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮」の項目に記載されていますのでご参照ください。

 

①②③④

①②③

事業活動に係る業務プロセスリスク

調達

原材料価格の上昇によるコスト増が収益を圧迫する可能性があります。当社グループの主軸事業である楽器事業では良質な木材、特に希少材も使用することから、環境変動による木材の入手困難による安定供給リスクやそれに伴うコスト増のリスクがあります。また、違法に伐採された木材が調達に紛れ込むことにより社会的信頼の低下を招くリスクもあります。
 調達先に起因するリスクとして、当方に知らせず素材や製造方法を変え品質問題を起こす、アウトソース先の能力不足により製造委託品が納期通りに仕上がらない、契約品質を満たせない等が発生した場合には生産の中断や遅れにより売上収益が減少する可能性があります。
 また、サプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊等が発生した場合には社会的信頼の低下によるブランド価値の棄損やそれに起因する売上収益の減少を招く可能性があります。

 

グローバルに分散している購買機能を集約することにより調達コストの削減を図っています。
 木材調達に関しては、原産地コミュニティーと連携した持続型の希少材保全活動や、教育機関との研究連携等の様々な取り組みにより持続可能な木材利用を推進しています。違法伐採材回避のための木材デューディリジェンスも実施しています。
 また、「ヤマハグループ購買方針」に定める基準に沿ってサプライヤーを選定し、人権尊重や環境保護について定めた「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」の遵守をサプライヤーに要請、取引開始時および定期的に同行動基準の遵守状況を点検し、必要に応じて改善要請を実施しています。これらの責任ある調達活動を遂行するため、調達担当者や取引先へ研修やセミナーによる啓発を行っています。

 

③④

①②③

 

 

リスク

分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

事業活動に係る業務プロセスリスク

 

マ|ケティング

商品企画

商品開発

マーケティングについては、商品企画・商品開発とのコミュニケーション不足により商品の特徴や価値が顧客に伝わらない、ブランドコンセプトと提供サービスのミスマッチによりブランド価値が希薄化・曖昧化する、製品・サービスにおいてお客様に提供する魅力品質がお客様のニーズと一致しない、等によりヤマハのブランド価値が低下した場合には販売の減少をもたらす可能性があります。

商品企画と商品開発については、音・音楽・ネットワーク・デバイス関連技術において他社との差別化を図ることが、当社グループの発展、成長に不可欠な要素となっていますが、これらの差別化が、将来の市場ニーズを正しく予想し、的確に行われない場合、または、新規の顧客の要求と合致しない場合、製品付加価値の低下、価格競争に陥る恐れ、新規需要喚起ができない等の問題が生じ、販売の減少をもたらす可能性があります。

 

マーケティング戦略として、広く、深く、長く、お客様と繋がるため、ブランドプロミスを通じたブランド訴求と、デジタルマーケティングを軸にしたデジタル・リアル両面での顧客接点整備、そして、顧客情報基盤(CDP)を構築してお客さま一人一人のライフステージにフィットした価値を訴求することによるライフタイムバリュー向上への貢献に取り組んでいます。ブランドの持続的成長のため、YAMAHAブランドを共有するヤマハ発動機株式会社と「ヤマハブランド憲章」と「合同ブランド規程」を定め、当社グループにおいても一貫性ある形で効果的にブランドを表現するためのガイドラインを定めています。また、事業別・機能別組織を超えたグループ全体最適のマーケティングが行われるよう代表執行役社長の諮問機関であるLTV(※)戦略委員会を設置しています。

また、技術と顧客要求を繋ぐために、事業領域を超えてさまざまな技術を融合し、新たな価値創造を加速させています。さらに、IoTを活用し、顧客サポートに加えて、顧客起点の製品・サービスの開発を加速しています。

※LTVはライフタイムバリューの略

 

①②④

①②③

生産

製造原価の低減に絶えず取り組んでいますが、生産設備や生産管理システム等への適切な設備投資が行われないことにより、生産効率の低下を招き、製造原価を増加させる可能性があります。

また、誤った需要予測に基づいた生産体制の構築により、生産能力の過剰または不足を招き、販売機会の損失や製造原価を増加させる可能性があります。

また、当社グループの製造拠点は主に中国、インドネシア、マレーシア、インドにあり、これらの国々での人件費の上昇が製造原価を増加させる可能性があります。

 

適切な経営資源の配分による設備投資とともにグローバルな生産工程の再配置により、生産能力の適正化やコストダウンを図っています。また、サプライチェーンマネジメントにおいては現在のシステムの改善による業務標準化や事業間の連携により生産計画の精度を高めています。

また、海外工場の製造プロセス自動化やIT活用による省人化により合理化を図っています。

 

①②③

取引先

 

販売サイド

事業を展開するそれぞれの分野で厳しい競争にさらされています。楽器・音響事業のコンシューマー向け製品の販路においては、Eコマースや広域量販店の市場プレゼンスが高まっており、当社グループとの取引が年々拡大しています。地域に根差した販路は後継者問題を含め縮小傾向にあります。また、Eコマース市場の発展により価格の透明化が進み、価格競争が激しくなっており、当社グループの現在の優位性が影響を受ける可能性があります。

当社グループが製造・販売する半導体や自動車用内装部品等は、供給先メーカーの業績の影響を受けます。また、供給先メーカーとの間で、納期・品質等で信頼関係が損なわれた場合、その後の受注に悪影響を及ぼす可能性があります。また、品質等の欠陥によって、供給先メーカーから補償を求められる可能性があります。

 

地域や顧客接点(実店舗やEコマース)の拡充・多様化を進めることにより、広く、深く、長く、お客様と繋がることで特定取引先への過度な依存リスクの影響度を軽減しています。

また、市場の環境、競合関係、商品の特性などを十分に検討し、商品価値を適切に反映した卸売価格の適正化施策を進めています。既存商品の価格改定に加え、新商品導入時または新たなサービスを付加しながら付加価値を高め、適切な価格付けを行っています。

半導体や自動車用内装部品等を扱う部品・装置事業については、今後も供給先メーカーとの良好な関係の維持に努めるとともに、車載モジュールや自動車用内装部品において、新市場への参入や商材の拡大等によりリスクの分散を図っています。

 

①②③

 

 

リスク分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

経営基盤に係る業務プロセスリスク

 

人材

労務

当社グループは、グローバルに事業を展開していく上で、グローバルに通用する高い専門性を備えた人材の確保が重要な経営戦略の一つであると認識し、その採用・育成に努めています。しかしながら、採用難や人材の流出等により、人材の確保ができない場合、当社グループの将来の成長が阻害される可能性があります。

また、労働環境の維持、向上が経営戦略に重要な影響を及ぼすと認識し、多様性を尊重し、働きやすい職場環境の維持、向上に努めています。しかしながら、各施策が計画通りに進捗せず、労働災害や健康被害、ハラスメント等が発生した場合には、業務パフォーマンスの悪化や労災補償、ブランド価値の毀損が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、円滑な労使関係の構築に努めていますが、労使の交渉が不調に終わり、長期間に及ぶストライキが発生した場合、商品やサービスの供給が停止する等、事業活動の継続に支障をきたし、その結果、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

「グループ人材マネジメント規程」において人材マネジメントの基本方針等を定めています。人材については、コアとなるポジションをグローバルで管理し、多様な個性やバックグラウンドを持つ従業員がその感性・創造性をいかんなく発揮できるような環境整備を推進しています。目的や対象に応じた人材育成プログラムを実施する等、優秀な人材の育成と動機づけを行い、定着を図っています。
 労働環境については、「グループ安全衛生管理規程」において安全衛生管理の基本方針等を定めています。また「コンプライアンス行動規準」を定め、研修などを通じて当社グループ全体でのコンプライアンス意識の向上を図り、「労働と人権に関するガイドライン」を定め、当社グループで働く全ての人材の人権が尊重される環境整備を進めています。そして、ダイバーシティの推進にも努めています。
 労使関係については、「労務および労使関係に関する教育ガイドライン」においてグループ各社で実施すべき労使関係に関する教育の内容等を定め、その周知及び実施状況のモニタリングを実施しています。
 
 

②③④

①②③

商品

サ|ビスの品質

当社グループの製品の品質上の欠陥に起因する事故等が発生した場合、当社グループの社会的評価の低下やそれによる売上収益の減少の可能性があります。

製造物責任賠償及び一部製品の製品瑕疵に起因して被る損害については保険に加入していますが、損害賠償額が保険金額を上回る可能性や、製造物責任を伴う事故や大口のリコール等の発生による保険料率の上昇も予想されます。また、設計変更等による多額のコスト増大、当社グループの社会的評価の低下とそれによる売上収益の減少の可能性があります。

当社グループが営む小売店舗、音楽教室、リゾート施設等における安全・衛生についても十分注意を払っていますが、万一事故が発生した場合、店舗・教室・施設等の一時休業や社会的評価の低下とそれによる売上収益の減少の可能性があります。

 

企業経営の軸の一つとして策定された「ヤマハクオリティ(品質指針)」の下、「グループ品質管理規程」において品質管理の基本方針等を定め、代表執行役社長の諮問機関である品質委員会にて製品法規制遵守の体制構築、重要品質問題の未然防止に繋がる仕組みの構築や改善活動の実施、法規制教育を体系化した品質人材の育成に取り組んでいます。

また、従業員への安全教育、リゾート施設や音楽教室における設備の定期的な安全点検の実施等により、商品・サービスの品質の維持・向上を図っています。

 

①③

①②③

財務

税務

当社グループは、適正で透明性の高い財務報告に努めておりますが、不適切な会計処理により財務報告に誤りがあった場合、当社グループの社会的信用の毀損につながる可能性があります。

また、当社グループは、投資有価証券、土地、退職給付債務等の時価や金利の変動影響を受ける資産及び負債を保有していますが、これらの変動が財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、全世界で事業展開していますが、各国における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。

 

「グループ会計規程」においてグループ各社及び連結における会計の基本方針等を、また「グループ財務管理規程」において財務管理に係る内部統制システムの構築と維持について定めています。

また、財務管理部会において、定期的に財務に関わる内部統制レベルを測定してリスクの高い領域を特定しており、グループ企業の内部統制レベルの改善目標の設定と改善支援を実施しています。

資産及び負債の時価や金利の変動への対策としては、金利変動等が退職給付債務に与える影響の検討や政策保有株式の保有意義の検証を毎年実施しています。

また、「グループ税務規程」を定め、グループ企業の税務リスクを定期的に確認し、確認結果に基づいてリスクを評価し、リスク低減活動を実施しています。

 

①②③

①②③

 

 

リスク

分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

経営基盤に係る業務プロセスリスク

 

環境

事業活動に対する環境保護規制は強化の方向にあり、企業の社会的責任の一つとして自主的な環境活動プログラムの実施が求められています。当社グループは、製品、梱包材、省エネルギー、産業廃棄物処理等について環境基準を上回る対策の実施に努めていますが、事故等の発生により規制物質が環境基準を超えることを完全に防止できる保証はありません。また、工場跡地等で、規制物質により土壌や地下水が汚染されている場合には、将来、売却しようとする際、多額の浄化費用が発生する、あるいは売却できない可能性があります。更に、第三者に売却済みの土地から将来規制物質が拡散し、大気、地下水を汚染し、その対策費が発生する可能性があります。
 加えて環境汚染等の環境規制が厳しくなり、使える素材が極端に少なくなる、または顧客が期待する性能が実現できない、もしくは環境規制物質が製品に使われる、等の技術的な問題が生じた場合、生産の制約や賠償責任、社会的評価の低下等の損害が発生する可能性があります。

 

「グループ環境管理規程」において環境管理の基本方針等を定めています。
 温室効果ガス排出量を削減するため、生産方法や設備配置の最適化、エネルギー管理の徹底、エネルギー効率の高い設備やコージェネレーションシステムの整備、燃料転換や再生可能エネルギーの導入を進めています。また、燃料使用などによる自社施設からの直接排出と自社が購入したエネルギーの使用による間接排出、それ以外の自社バリューチェーンからの間接排出、それぞれに中長期の削減目標を設定しています。
 土壌や地下水の汚染が確認されている当社グループが保有する土地及び売却済の一部の土地については、地下水の浄化措置を当社グループで継続して行っています。
 また、環境規制への対応としては、環境負荷の少ない技術の開発及び製品・サービスの提供に努めています。

③④

①②③

情報システム

IT基盤(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等)の不具合による設計情報や研究成果の消失、IT基盤の陳腐化による保守切れや保守費用の増加、プロジェクト管理能力の不足・低下によるシステム開発の遅延やシステム品質の低下、システム稼働後のシステム障害の発生等、情報システムの管理体制が適切に構築されていないことによりシステム開発・保守が健全に実行されず、IT基盤が正常に稼働しないだけでなく、当社グループの事業に重大な影響を与え、あるいは社会的信用を低下させる可能性があります。

 

「グループIT管理規程」においてIT管理の基本方針等を定め、将来に渡る情報システムの導入計画の策定、不具合発生時の対応の整備と訓練により、IT基盤の陳腐化の防止や不具合発生時の速やかなシステム復旧等、情報システム管理体制の維持・向上を図っています。

 

①②③

①②③

情報漏洩

当社グループは、様々な経営及び事業に関する重要情報や、多数の顧客情報等の個人情報を保有しています。万一これらの情報が誤って外部に漏洩した場合には、第三者に損害を与えるだけでなく、当社の事業に重大な影響を与え、あるいは社会的信用を低下させる可能性があります。

 

「グループIT管理規程」及び「グループ個人情報保護規程」において情報管理の基本方針等を定め、外部からの攻撃による情報漏洩に対してはウェブサイトの脆弱性の特定・改善の指導等により、内部からの情報漏洩に対しては現状の管理体制の把握、従業員への計画的なセキュリティ意識向上のための教育等を行うことで、情報セキュリティ部会が組織的なセキュリティ管理体制の維持・向上を図っています。

また、「グループ文書管理規程」において文書管理の基本方針等を定め、開示範囲に基づいて指定した機密区分に応じた安全確保のための対策を実施しています。

 

①②③④

①②③

 

 

リスク

分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

戦略への影響

4つの重点

戦略

事業別

戦略

 

 

経営基盤に係る業務プロセスリスク

 

 

広報

当社グループは、統合報告書をはじめとして、ステークホルダーに対し積極的に会社情報の開示に努めていますが、開示に関わる問題(適時開示漏れ、開示内容の不備等)を起こす可能性があります。

また、マスコミ対応・クレーム対応の失敗、事実誤認による報道やSNSでの誤った情報の拡散、誤解を招く広告やウェブでの表示等により、事業へ損失を与える、またはブランド価値を毀損する可能性があります。

 

「コーポレートガバナンス方針書」において適切な情報開示を定めています。また、「グループ広報規程」において広報活動の基本方針等を定め、公正・正確・透明性の原則、情報の適切な活用と発信、広報体制の構築、緊急時における広報対応等、グループ全体で一貫性のある広報活動を実施しています。

また、危機が発生した際の広報対応の基本指針や対応手順、留意点を示した「危機管理広報ガイドライン」を制定し、当社及びグループ企業の評判や企業価値へのダメージを最小限に食い止めるための対策を講じています。

 

①②④

①②③

知的財産

当社グループは、独自技術についての特許等の知的財産権、業務遂行上取得したノウハウを保有しておりますが、その一部は、特定地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、または限定的にしか保護されない状況にあります。第三者が当社グループの知的財産権を利用することを、効果的に防止できない可能性があります。その結果、当該第三者の製造した類似品、模倣品が市場に出回ることにより当社グループ製品の販売に支障をきたす可能性があります。また、予期せず当社グループの製品が第三者から第三者の知的財産権を侵害しているとされる場合があり、その結果、これを利用した当社グループ製品が販売できなくなる可能性があります。

 当社グループは、製品の重要な部分のいくつかについて第三者から知的財産権のライセンスを受けております。ロイヤリティの上昇は、製造コストの増大を招き価格競争力に影響が出るほか、ライセンスを受けられなくなった場合、当該製品の製造ができなくなる可能性があります。

 

「グループ知的財産管理規程」において知的財産権管理の基本方針等を定め、当社グループに帰属する知的財産については、保護対象となる知的財産権のリスト化、独自技術の権利化や不正使用発見時の対応ルール等の整備や運用を進めています。第三者の知的財産権の侵害については、研修実施による従業員の意識啓蒙、業務プロセスにおける事前確認の導入・整備等を進めています。

②③

①②③

 

(注)4つの重点戦略及び事業別戦略の各項目は、以下の通りです。詳細は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき

  課題等」をご参照ください。

 (4つの重点戦略)

 ①顧客ともっと繋がる ②新たな価値を創造する ③生産性を向上する ④事業を通じて社会に貢献する

 (事業別戦略)

 ①楽器事業 ②音響機器事業 ③その他の事業

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、その性質上、実際の結果と異なる可能性があります。

重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績

当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、世界経済は新型コロナウイルス感染拡大により、大きな打撃を受け、2020年の世界全体の実質成長率はマイナスとなりました。国内においても新型コロナウイルス感染拡大の影響は甚大であり、収束の見通しが立たない中で、感染拡大防止と社会経済活動を両立することが大きな課題となりました。また、米国の新政権発足、米中貿易摩擦の激化、英国EU完全離脱などが、世界経済に大きな影響を与えました。

このような環境の中で当社グループは、中期経営計画「Make Waves 1.0」の2年目として、4つの重点戦略「顧客ともっと繋がる」「新たな価値を創造する」「生産性を向上する」「事業を通じて社会に貢献する」に引き続き取り組んで参りました。

「顧客ともっと繋がる」につきましては、お客様がヤマハと繋がるきっかけとなる顧客体験の仕組み作りや顧客情報基盤の整備を進めました。ブランド価値の伝達では、インターネットを媒体とするデジタルでの顧客接点の増加を受け、SNS等の更なる活用によりオンラインでの価値伝達を行い実店舗でのビジネスヘ繋げることに加え、Eコマースの拡大や新たな販売形態であるライブコマースなど、様々な取り組みも加速しました。また、ヘッドホン・イヤホン市場における認知度の進展、車載オーディオの中国自動車メーカー採用獲得など、ドメインの拡大も進みました。

「新たな価値を創造する」につきましては、デジタルサックス「YDS-150」は、アコースティック楽器の自然で美しい音の響きとともにリード楽器を演奏するハードルを下げることを実現しました。ギターアンプ「THR30ⅡA Wireless」は、フルワイヤレスによる自宅等での小規模演奏やSNSへの演奏動画投稿などのニーズにもマッチし、幅広い顧客の支持を受けました。また、リモート応援システムの「Remote Cheerer」、次世代ライブビューイング「Distance Viewing」など、コロナ禍で苦境にあるライブやコンサート、スポーツ観戦など様々なイベントを安心・安全な形で実施できるよう支援するサービスヘの取り組みを始めました。

「生産性を向上する」につきましては、新型コロナウイルス感染拡大により工場停止等の混乱があったものの、製造拠点のエリア統括体制の整備、生産管理の標準化、スマートファクトリー化等、様々な施策が進みました。また、音響機器事業では、社内外のリソースを活用した開発期間短縮に向けた活動も進展しました。

「事業を通じて社会に貢献する」につきましては、中期経営計画3年目の目標である「新興国の器楽教育普及累計100万人」に対し、累計71万人に達しました。また、「認証木材使用率50%」についても、2年目で48%を達成し、着実に進捗しました。

中期経営計画「Make Waves 1.0」における2022年3月期の経営目標「事業利益率 13.8%」「ROE 11.5%」「EPS 270円」は、コロナウイルス感染拡大の影響もあり、当連結会計年度においてそれぞれ10.9%、7.4%、151円39銭となりました。

 

 

(イ)セグメントごとの売上収益の状況

当連結会計年度の売上収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響等により、為替のマイナス影響23億円を含め、前期に対し415億97百万円(10.0%)減少の3,726億30百万円となりました。

 

楽器事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、為替のマイナス影響17億円を含め、前期に対し303億90百万円(11.3%)減少の2,389億81百万円となりました。

商品別では、ピアノは、中国での販売が成長軌道に回帰した他、各国の市況が回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響による店頭販売の落ち込みを受けて減収となりました。電子楽器は、ステイホーム需要により普及価格帯商品を中心に需要が堅調であったものの、商品供給不足もあり減収となりました。管楽器は、吹奏楽活動の停滞により市況の回復が遅れ減収となりました。ギターは、在宅時間の増加により新たに演奏を始めるユーザーが増え市場が拡大し、主に国内や中国で販売を伸ばし増収となりました。

 地域別では、日本はステイホーム需要の顕在化によりギター等の販売が増加したものの、新型コロナウイルス感染拡大による店舗・教室の休業や吹奏楽活動の停滞等の影響により、全体では減収となりました。北米及び欧州では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける中、EC販売へのシフトが進みステイホーム需要も堅調に推移したものの、商品供給不足や各国での活動制限による需要の減少などにより減収となりました。中国では、他地域に先駆けて成長軌道に回帰し、市況の回復が遅れている管楽器を除き、全ての商品カテゴリーで増収となりました。その他の地域では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により減収となりました。

 

 音響機器事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、為替のマイナス影響4億円を含め、前期に対し105億79百万円(9.2%)減少の1,038億13百万円となりました。

 商品別では、オーディオ機器は、ステイホーム需要によりサウンドバー等の販売が伸長しましたが、商品供給不足の影響もあり、上期の減収をカバーするまでには至らず、全体では減収となりました。業務用音響機器は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるライブ市場や設備市場の停滞により減収となりました。ICT機器は、テレワークの定着や遠隔会議の急速な普及による旺盛な需要により会議システム等の販売が増加し、増収となりました。

 

その他の事業の売上収益は、前期に対し6億26百万円(2.1%)減少の298億36百万円となりました。

部品・装置事業では、電子デバイスは、中国自動車メーカー向けに新たな車載向けヤマハブランドオーディオの出荷を開始し、順調に販売を伸ばしましたが、アミューズメント向けの出荷が減少し減収となりました。自動車用内装部品及びFA機器は、需要の回復により増収となりました。

 

(ロ)売上原価と販売費及び一般管理費

売上原価は、前期に対し162億46百万円(6.6%)減少の2,297億20百万円となりました。売上原価率は、前期から2.2ポイント上昇し61.6%となりました。

売上総利益は前期に対し、253億50百万円(15.1%)減少の1,429億9百万円となりました。売上総利益率は、前期から2.2ポイント下落し38.4%となりました。

また、販売費及び一般管理費は、前期に比べ197億8百万円(16.2%)減少し、1,021億98百万円となりました。売上収益販売管理費比率は、前期から2.0ポイント改善し27.4%となりました。

 

 

(ハ)事業利益

事業利益は、前期に対し56億41百万円(12.2%)減少の407億11百万円となりました。
 報告セグメントごとの事業利益では、楽器事業は、為替のマイナス影響8億円を含め、前期に対し53億32百万円(14.1%)減少の324億17百万円となりました。音響機器事業は、為替のプラス影響2億円を含め、前期に対し15億4百万円(17.5%)減少の70億67百万円となりました。その他の事業は、前期に対し11億95百万円増加の12億25百万円となりました。
 要因別には、主に新型コロナウイルス感染拡大の影響による減収減産(233億円)や海外生産拠点の労務費の上昇(16億円)等の減益要因に対して、販売管理費の削減(173億円)、コストダウン(12億円)、部品・装置その他の事業の増益(12億円)等による増益要因があったものの、前期に比べ減益となりました。

(注)事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものです。

 

(ニ)その他の収益及びその他の費用

その他の収益は、前期に対し8億97百万円(32.0%)減少の19億9百万円となりました。その他の費用は、前期に対し17億54百万円(30.1%)増加の75億80百万円となりました。その他の費用は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う操業停止損23億18百万円及び固定資産の減損損失35億53百万円を計上したことにより増加しました。

 

(ホ)金融収益及び金融費用

金融収益は、前期に対し16億2百万円(32.2%)減少の33億66百万円となりました。金融費用は、前期に対し2億20百万円(20.4%)増加の13億3百万円となりました。

 

(ヘ)税引前当期利益

税引前当期利益は、前期に対し101億22百万円(21.4%)減少し371億2百万円となりました。売上収益税引前当期利益率は、前期から1.4ポイント下落し10.0%となりました。

 

(ト)法人所得税費用

法人所得税費用は、前期に対し21億28百万円(17.0%)減少の103億93百万円となりました。主として、税引前当期利益の減少により減少となりました。

 

(チ)親会社の所有者に帰属する当期利益

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に対し80億6百万円(23.1%)減少の266億15百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期の194円71銭から151円39銭となりました。

 

(リ)為替変動とリスクヘッジ

海外子会社の売上収益は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前期に対し約3円円高の106円となり、前期に対し約22億円の減収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前期に対し約3円円安の124円となり、前期に対し約17億円の増収影響となりました。また、人民元など、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に対し約18億円の減収影響となり、売上収益全体では、前期に対し約23億円の減収影響となりました。

また、事業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外子会社の事業利益の換算等により、約3億円の減益影響となりました。ユーロの決済レートは、前期に対し約1円円高の121円となり、約0.4億円の減益影響となりました。また、他の通貨を含めた全体では前期に対し約6億円の減益影響となりました。 

 

 

(ヌ)生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

178,139

83.9

音響機器

96,224

85.8

その他

27,569

108.0

合計

301,933

86.3

 

(注) 1 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(b) 受注実績

当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

238,981

88.7

音響機器

103,813

90.8

その他

29,836

97.9

合計

372,630

90.0

 

(注) 1 金額は外部顧客に対する売上収益であります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の4,740億34百万円から835億82百万円(17.6%)増加し、5,576億16百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末から309億13百万円(11.4%)増加し、3,011億3百万円となり、非流動資産は、526億69百万円(25.8%)増加し、2,565億13百万円となりました。流動資産では、現金及び現金同等物が増加しました。非流動資産では、保有有価証券の時価上昇により金融資産が増加しました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の1,475億84百万円から130億83百万円(8.9%)増加し、1,606億67百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末から17億3百万円(1.7%)増加し、1,008億52百万円となり、非流動負債は、前連結会計年度末から113億79百万円(23.5%)増加し、598億14百万円となりました。非流動負債では、保有有価証券の時価上昇により繰延税金負債が増加しました。

 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の3,264億50百万円から704億99百万円(21.6%)増加し、3,969億49百万円となりました。当期利益により利益剰余金が増加したことに加え、保有有価証券の時価上昇や為替変動の影響によりその他の資本の構成要素が増加しました。

 

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比べ366億73百万円増加(前期は31億43百万円減少)し、期末残高は1,293億45百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主として税引前当期利益により、582億25百万円(前期に得られた資金は571億62百万円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、主として有形固定資産及び無形資産等の取得による支出により、57億85百万円(前期に使用した資金は210億67百万円)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、主として配当金の支払いにより、206億2百万円(前期に使用した資金は364億22百万円)となりました。

 

(イ)資金需要

当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。

当連結会計年度の設備投資額は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、前期の205億45百万円から92億85百万円(45.2%)減少し、112億60百万円となりました。設備の更新改修を中心として減価償却費(113億87百万円)と同程度の設備投資を行いました。

研究開発費は、前期の248億14百万円から6億25百万円(2.5%)減少し、241億89百万円となりました。売上収益研究開発費比率は前期の6.0%から0.5ポイント上昇し、6.5%となりました。

 

(ロ)資金調達

運転資金及び設備投資資金について、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてグループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しています。また、一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

 当社グループは、「感動を・ともに・創る」を企業理念に掲げています。これを支えるために、「技術×感性(ヤマハらしさ)」で新たな価値を創造するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術、感性評価技術、解析・シミュレーション技術、製造技術等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。
 当連結会計年度は、「本質×革新」を追求するために、「飽くなき表現力の向上」、「感性を科学する」、「イノベーションの創出」、「AIによる技術革新」をテーマに研究開発を進めました。
 当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器事業本部、及びYamaha Guitar Group, Inc.の開発部門、音響機器事業については当社音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbH、Yamaha Unified Communications, Inc.の開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。
 当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は24,189百万円であります。

 

1 楽器事業

 ピアノ関連では、プレミアムピアノづくりのノウハウを受け継いだグランドピアノの上位モデル「C3X espressivo」を開発しました。「C3X espressivo」は、音色や音量を演奏者のイメージどおりに変化させられることを目指して開発したモデルです。プレミアムピアノ「SXシリーズ」の開発を通して培った最新の技術やノウハウを、家庭に置きやすいサイズながら低音から高音までバランスのとれた豊かな響きに定評のあるグランドピアノ「C3X」に応用し、さらに丁寧に緻密な仕上げ作業を施すことで、演奏者が思い描く演奏表現に存分に応える高い表現力を実現しました。また、当社の自動演奏機能付きピアノ「Disklavier(ディスクラビア)」を用いて、フライブルク音楽大学(ドイツ・フライブルク)が実施した入学試験に協力しました。ドイツと日本、中国をインターネットで接続して、遠隔地からでもピアノ演奏の実技試験を受けることができるリモート入学試験をサポートしました。今回の実技試験は、ヤマハホール(日本)、グループ会社現地オフィス(中国)、フライブルク音楽大学(ドイツ)に設置した「Disklavier」をそれぞれネットワークで接続して、日本と中国の受験者による演奏を、遠く離れたドイツのピアノで忠実に再現し、それを試験官が評価する方法で実施しました。

 管弦打楽器関連では、バリトンサクソフォンの新製品として、「YBS-82」を開発しました。「YBS-82」は当社バリトンサクソフォンで初のフラグシップモデルとなる「カスタムモデル」で、日本を代表するサクソフォン奏者の協力のもと、音色・音程、重量バランスなど細部にわたり検証をおこない、理想の響きと高い操作性を実現しました。また、デジタル管楽器の新製品として、デジタルサックス「YDS-150」を開発しました。「YDS-150」は、サクソフォンの本格的な表現力をそのままに静音化を実現した、気軽に演奏を楽しんでいただける全く新しい管楽器です。息を吹き込むだけですぐに音を出すことができ、息の圧力により繊細な音量や音色の変化をつけることができるので、管楽器初心者から経験者まで奏者の表現したいことに応えてくれます。また、電子ドラムの新製品として、「DTX6シリーズ」を開発しました。サウンドとユーザーインターフェースを刷新し、定評のある「DTX-PAD」を標準装備、キックパッドやラックシステムを新たに開発し、楽しみながら上達できる練習機能も豊富に搭載しています。

 ギター関連では、エレキギターの新製品として、「PACIFICA 612VIIX」「PACIFICA 612VIIFMX」を開発しました。「PACIFICA 612VIIX」「PACIFICA 612VIIFMX」は、ボディにアルダー材、ネックにメイプル材、指板にはローズウッドを採用し、フロントとセンターにシングルコイル、リアにハムバッキングのピックアップを搭載した「PACIFICAシリーズ」の上位モデルです。3つのピックアップはもちろんのこと、トレモロユニット、コイルタップスイッチなど、各所に高品質なパーツを搭載し、ひとつひとつ丁寧に作り上げています。また、ギターアンプの新製品として、「THR30IIA Wireless」を開発しました。「THR30IIA Wireless」は、現代におけるアコースティック・ギタリストのニーズに応える音、デザイン、機能性を徹底的に追求したギターアンプです。「THR30II Wireless」のワイヤレス機能、外観を引き継ぎながら、アコースティックギターに最適なサウンドを刷新し、マイク入力端子をはじめとする弾き語りのニーズにマッチする機能を新たに搭載しました。

 

 電子楽器関連では、電子ピアノ「Clavinova(クラビノーバ)」CLPシリーズの新製品として、「CLP-700シリーズ」を開発しました。「CLP-700シリーズ」は、グランドピアノの多彩な音色変化を再現する最新技術「グランド・エクスプレッション・モデリング」と、グランドピアノの音像や音場をリアルに再現する最新の音響技術「グランド・アコースティック・イメージング」により、高い表現力と臨場感のある響きを実現しています。さらに、ヤマハのコンサートグランドピアノ「CFX」とベーゼンドルファーの「インペリアル」から新たにサンプリングした音源を搭載しているほか、ピアノの原型である古楽器フォルテピアノの音色を当社の電子ピアノとして初めて搭載し、さまざまな演奏表現を楽しんでいただけます。また、ステージキーボードの新製品として、「YC61」を開発しました。「YC61」は、アナログ機器の特性を忠実に再現する「VCM(Virtual Circuitry Modeling)」技術を元に開発した「VCMオルガン音源」、80年代を象徴するサウンドである「FM音源」、リアルな響きが高い評価を受けている「AWM2音源」を搭載し、ステージキーボーディストが求める音質に高い次元で応えます。特にオルガンサウンドは、アナログ回路を高精度にモデリングすることで、トーンホイールオルガンやロータリースピーカー特有の「音の飽和感」や「温かみ」などを再現しています。鍵盤にはグリッサンド奏法や高速連打に最適なセミウェイテッド ウォーターフォール鍵盤を搭載しました。

 その他の楽器事業関連では、「離れていても音でつながる」リモート合奏サービス「SYNCROOM(シンクルーム)」を正式にスタートしました。「SYNCROOM」は、インターネット回線を介して、複数のユーザー同士(最大5拠点)でリモート合奏が楽しめるサービスです。一般的なリモート会議システムやIP電話は、通話や会議を想定して設計されており、一定の音声の遅れが生じることから、高いリアルタイム性が要求される合奏には適していません。そこで「SYNCROOM」は、当社独自の技術によってインターネット回線を介したオーディオデータの双方向送受信の遅れを極小化し、遠隔地間でも快適なオンラインセッションが楽しめるサービスを実現しました。
 なお、ステージピアノ「CP88」とショルダーキーボード 「sonogenic SHS-500」が「German Design Award 2021」を受賞しました。「sonogenic SHS-500」は「アジアデザイン賞 2020」で「Silver Award」も受賞しました。また、歌声合成技術「VOCALOID(ボーカロイド)」は、「第9回技術経営・イノベーション大賞」(主催:一般社団法人科学技術と経済の会)の「選考委員特別賞」を、リモート合奏サービス「SYNCROOM」は、「2020年日経優秀製品・サービス賞」において「最優秀賞」を受賞しました。
 楽器事業の研究開発費は9,730百万円であります。

 

2 音響機器事業

 AV機器関連では、サウンドバーの新製品として「SR-C20A」を開発しました。「SR-C20A」は、当社史上最小となる横幅60cmのコンパクトボディでテレビやパソコンの前にも手軽に設置でき、リビングやプライベートルーム、寝室など、幅広いシーンで活躍するサウンドバーです。人の声やナレーションを聴きやすくする「クリアボイス」や低音を増強する「バスエクステンション」機能をはじめ、当社独自チューニングのサラウンド技術により、テレビの音をより聴きやすくグレードアップし、大型テレビにもマッチする豊かな低音と臨場感が楽しめます。また、好評の「リスニングケア」を搭載し、装着性、接続安定性をさらに高めた完全ワイヤレスBLUETOOTHイヤホンの新モデル「TW-E3B」を開発しました。ハウジングサイズを25%コンパクト化したデザインで耳へのフィット感、装着性を向上し、低域高域ともによりクリアな音質を実現するともに、ワイヤレス接続の安定性も向上しました。

 業務用音響機器関連では、大規模ライブや設備音響、放送などでミキシングやエフェクトなどの音声信号処理などを行う、デジタルミキシングシステムの新ラインアップ「RIVAGE PM5」「RIVAGE PM3」のコアコンポーネントとなるコントロールサーフェス「CS-R5」「CS-R3」およびDSPエンジン「DSP-RX-EX」「DSP-RX」を開発しました。「RIVAGE PM5」「RIVAGE PM3」は、フラッグシップ「RIVAGE PMシリーズ」を拡張する新たなシステムです。“ステージで鳴っている音をありのままに取り込み、そこからさまざまな色付けを行う”という音質コンセプトや機能はそのままに、直感的な操作性や軽量・コンパクト化を追求しています。「CS-R5」は、シリーズで初めて3面のディスプレイを搭載し、筐体の奥行きを643mmに抑えてタッチパネルを操作者に近づけたことで、快適なタッチ操作と広いサイトラインを実現しました。「CS-R3」は、重量38kg、幅1,145mmとシリーズで最も軽量・コンパクトな筐体を持ち、設置場所に制限のある会場やモニター用途に最適なモデルです。また、DSPエンジンには既発売の「DSP-R10」に加え、288Mono入力搭載の「DSP-RX-EX」と120Mono入力搭載の「DSP-RX」の2モデルをラインアップ追加しました。

 

 音楽制作機器・ソフトウェア関連では、Steinberg社の新製品として、「Cubase 11」を開発しました。「Cubase 11」は、作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミキシングなどをサポートする総合音楽制作ソフトウェアの最新バージョンです。ワンクリックでのスライス機能などが追加されたサンプラートラックや、キーエディターへのスケール表示機能の搭載に加え、ダイナミックEQ(「Cubase Pro」のみ)などのさまざまな機能やプラグインが追加されています。
 ネットワーク機器関連では、中小企業ネットワークに必要なセキュリティーを1台で提供するUTMアプライアンス「UTX100」「UTX200」を開発しました。「UTX100」「UTX200」では、セキュリティー黎明期よりネットワークセキュリティー専業ベンダーとしてグローバルにビジネスを展開しているCheck Point Software Technologies Ltd.との協業により、世界最高レベルのセキュリティー機能を提供しています。ヤマハルーターの配下に本製品を追加することで、企業ネットワークのセキュリティーレベルを大きく向上させることが可能です。また、Wi-Fi 6対応・トライバンド搭載、最大500台の端末を接続可能な無線LANアクセスポイントの最上位モデル「WLX413」を開発しました。「WLX413」は、大規模なオフィスや学校、ホテルなどに向けて、高速、多数端末接続、広範囲なワイヤレス環境を提供する無線LANアクセスポイントです。本体内蔵コントローラーによるオンプレミス(自社運用)型管理に加え、独自のクラウド型ネットワーク統合管理サービス「YNO」にも対応し、複数拠点の無線LANの一括管理も行えます。
 音声コミュニケーション機器関連では、遠隔会議用サウンドソリューション「ADECIA」を開発しました。「ADECIA」は、当社が長年培ってきた音を原点とする音声処理技術とネットワーク市場における経験を駆使し、新開発したシーリングアレイマイクロフォン「RM-CG」と専用プロセッサー「RM-CR」を中心としたシステムです。Dante/PoE対応ラインアレイスピーカー「VXL1-16P」とPoE給電対応のネットワークスイッチ「SWRシリーズ」を組み合わせることで、音とネットワークの技術の相乗効果を発揮する遠隔コミュニケーションのワンストップサウンドソリューションを実現し、多様な遠隔会議スタイルをサポートします。
 その他音響機器関連では、リモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD(リモートチアラー パワード バイ サウンドユーディー)」を開発しました。「Remote Cheerer powered by SoundUD」は、試合展開に合わせてスマートフォン専用サイトの「応援ボタン」をタップした人数に応じて、スタジアム内に設置したスピーカーから歓声や拍手の音を流すことができるシステムです。「ケガや病気で入院中の子ども達、子育てなどで多忙な方、障がいや高齢などさまざまな理由でスタジアムに足を運ぶことができないサポーターが、スタジアムにいるサポーターと一緒に応援できるよう、その声援を現場に届けたい」との想いから開発されました。昨今の新型コロナウイルスの感染再拡大に備える状況下にあって、ソーシャルディスタンスを保ち、新しい生活様式に対応しながら応援を楽しめる技術としても高い注目を集めています。また、アーティストの迫力のあるライブパフォーマンスを忠実に記録し、ステージ上にバーチャル再現する次世代ライブビューイング「Distance Viewing(ディスタンス・ビューイング)」を開発しました。「Distance Viewing」は、ライブ時の迫力あふれる音を完全再現しながら、大型スクリーンを用いた等身大映像と、ライブさながらの照明演出などで、ライブパフォーマンスをステージ上によみがえらせます。「Distance Viewing」を導入することによって、会場でのバーチャルライブが可能になるほか、オンライン配信でもファンに存分に楽しんでいただけます。
 なお、リモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」が「2020年度グッドデザイン賞」を、遠隔会議用スピーカーフォン「YVC-330」がインターネットテクノロジーのイベントである「Interop Online」で「Best of Show Award」を受賞しました。
 音響機器事業の研究開発費は10,820百万円であります。

 

3 その他の事業

 電子デバイス事業関連では、開発した「車載向けヤマハブランドスピーカーシステム」が上海汽車グループMGの新型「MG5」の上位グレードに搭載される純正品として採用されました。当社は、“音楽が生まれた瞬間の感動を届けたい”という想いのもと「CLOSER TO THE ARTIST」 をユーザー体験として掲げ、車載向けブランドオーディオ事業を展開しています。高音質スピーカーユニットを提供するだけでなく、音響チューニングにヤマハのエンジニアが参画することで、信号処理にもヤマハのこだわりを反映させています。
 ゴルフ事業関連では、“手にするだけでプラス2番手の飛び”をさらに進化させた“ぶっ飛び”に加え、“超まっすぐ”を実現したゴルフクラブ「inpres UD+2(インプレス・ユーディープラスツー)」シリーズの2021年モデルを開発しました。ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティでは、フェース周辺の剛性を高めてエネルギーロスを防ぎ、ボール初速を上げる新テクノロジー「SPEEDBOX(スピードボックス)」を搭載しました。さらに同重量帯クラブの中でも最高クラスの重心角と慣性モーメントにより、“つかまって”“曲がらない”方向安定性も実現しています。アイアンは、フェースとソールの薄肉化による初速アップと、フェース裏面に5本のリブを配置することで高い打ち出しを実現する「SPEED RIBFACE(スピード リブフェース)」を新搭載し、“ぶっ飛び”と“高弾道”を同時に実現しました。

 その他の事業の研究開発費は3,637百万円であります。

 

 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は2,508件であります。