中期経営計画「Make Waves 2.0」の概要
当社グループは、2022年4月からの3年間を対象とした中期経営計画「Make Waves 2.0」を策定しました。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営環境認識
COVID-19により、デジタル化、多様化、サステナビリティへの意識の高まりなど、前中期経営計画で前提としていた環境変化が一気に加速しました。人の移動や対面の活動が制約される一方で、オンラインを介したモノや情報のやりとりが拡大し、新しい生活様式に対応する製品、サービスが生まれてきています。サステナビリティ意識の一層の高まりは、人々の関心が経済的繫栄を超えた本質的な心の豊かさに向かっていることの証左であると考えられます。これらの環境変化によってもたらされる「新たな社会」は音・音楽を原点に“技術×感性”で新たな感動と豊かな文化を追求してきた当社グループにとって、さらなる大きな機会となると認識しています。

(2) 経営ビジョンと中期経営計画の基本方針
[経営ビジョン(中長期的に目指す姿)]
[基本方針]
当社グループは事業活動を通じて、「世界中の人々のこころ豊かなくらし」を実現することを目指しています。そのために、「感動を・ともに・創る:私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」を企業理念に掲げ、我々の行動の原点としています。
中長期的に目指す姿「なくてはならない、個性輝く企業になる」を経営ビジョンとして、中期経営計画の各ステージで企業価値を高めてきました。
新たなステージである中期経営計画「Make Waves 2.0」では、ポストコロナで大きく様相が変化した新たな社会で持続的な成長力を高めることを基本方針とし、さらに企業価値を向上させていきます。

(3) マテリアリティ策定と3つの方針
「事業基盤」、「環境・社会」、「人材」の3領域10項目をマテリアリティとして策定しました。中期経営計画ではこれらのマテリアリティに基づき3つの方針を設定しました。

(4) 3つの方針の詳細
3つの方針の具体的な取り組みとして、各方針に3つの重点テーマを設定しました。これらの重点テーマに沿った施策を着実に遂行することで、当社は新たな社会で持続的な成長力を高めます。

1.事業基盤をより強くする
デジタルマーケティングとリアル拠点の活動を統合したブランド体験の提供に加え、メーカー直販の仕組みの拡大により、顧客との繋がりを強化し、一層のブランド価値向上を進めます。また、製品・サービスにおいてはヤマハの強みであるアコースティック技術とデジタル技術に加え、AIとネットワークをヤマハならではの感性により結びつけ、新たな体験を創造します。外的環境の変化に柔軟に対応できる事業組織としていくために調達・生産のレジリエンスを強化しつつ、DXにより新たな価値を創出します。
① 顧客ともっと繋がる :直接顧客と繋がる販売の進化、デジタル×リアルを統合した価値訴求、
顧客情報基盤を拡充
② 新たな価値を創出する :アコースティック技術とデジタル技術の融合、サービス・情報提供基盤
の構築、新たな感動体験を創造
③ 柔軟さと強靭さを備え持つ:レジリエンス強化、開発基盤の強化、DXによる新たな価値の創出
2.サステナビリティを価値の源泉に
2050年カーボンニュートラルを目指した事業活動におけるCO2排出量削減や持続的な木材の利用を通じ、地球環境の保全に努めます。製品・サービスを通じて新たな社会の様々な課題を解決し、快適で安全な暮らしに貢献することで社会価値を創造します。また多種・多彩な楽器の供給を通じた世界の音楽シーンへの貢献、新興国における器楽教育普及など、音楽文化全体の普及・発展に力を尽くします。
① 地球と社会の未来を支えるバリューチェーンを築く :カーボンニュートラル、持続可能な木材、
省資源・廃棄物削減
② 快適なくらしへの貢献でブランド・競争力を向上する:遠隔・非接触サービス、耳の保護、
音楽によるQoL向上
③ 音楽文化の普及・発展により市場を拡大する :新興国の器楽普及、ローカルコンテンツ、
技術者育成
3.ともに働く仲間の活力最大化
ともに働く仲間の活力は、事業活動を行う上で最も重要な要素であり、社会価値、企業価値を創造するための原動力です。従業員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、一人ひとりの個性を活かす経営を行います。組織内、組織間の多面的な対話機会の創出により、心理的安全性が確保された働きやすい職場づくりを進め、多様な人材の知恵や発想から多くの挑戦や共創が生まれる組織風土を醸成します。
① 働きがいを高める :グローバルリーダーの育成、自律的なキャリア
開発支援、柔軟な働き方支援
② 人権尊重とDE&Iを推進する :人権デューディリジェンス、多様な人材構成、
女性活躍推進
③ 風通しがよく、皆が挑戦する組織風土を醸成する:対話機会の創出、組織風土・文化のさらなる変革
(5) 経営目標
① 非財務目標
1.事業基盤をより強くする
2.サステナビリティを価値の源泉に
3.ともに働く仲間の活力最大化
② 財務目標
(想定為替レート:USD 115円/ EUR 130円)
③ 投資と株主還元
創出したキャッシュを成長投資と株主還元にバランス良く配分します。
[投資]
・通常投資 : 400億円
・戦略投資 : 650億円(生産施設・設備、サステナビリティ、新規事業、M&A等)
[株主還元]
継続的かつ安定的な配当を基本としますが、将来の成長投資のための適正な内部留保とのバランスを考慮しながら、資本効率の向上を目的とした機動的な株主還元も適宜、実施します。3年累計で総還元性向50%を目標とします。
(6) ガバナンス
指名委員会等設置会社の特長を活かし、定期的な評価を行いながら、より実効性の高いコーポレートガバナンスを目指して継続的な向上を図ります。またグループガバナンスのしくみの整備を進め、リスク対応力の向上と健全で強固な経営基盤を実現します。
(7) 事業ポートフォリオと方向性
中長期的に企業価値を向上させるため、成長・中核・育成・再構築の4象限に各事業を位置づけ、経営資源を適切に配分するポートフォリオマネジメントを進めます。

① 楽器事業
新たな社会に合致した販売とマーケティングの強化により、高付加価値商品の拡売を進めます。電子楽器は成長事業として、需要創造により市場成長を牽引し事業規模を拡大します。ギターは育成事業として、中高級価格帯を中心にブランド力向上へ向けた施策を展開し、収益性を向上させながら規模を拡大します。ピアノ・管弦打楽器は中核事業として、プレミアムブランドの地位を確立し、一層の収益強化を進めます。
② 音響機器事業
再構築事業として位置づけ、コロナ禍により大きく変化した音響機器の新たな市場へ事業ドメインを拡大します。法人向け市場では、企業・公共施設・学校などに、専門知識がなくても快適な音環境が得られる音響システムを提供します。個人向け市場では、オンラインゲームや制作・配信のシーンに、高品質な音を簡便な設定で実現できるソリューションを提供します。これらの需要に対応するため、保有する多彩な技術資産やリソースを柔軟に組み換え、各市場に最適な製品やソリューションを効率的に提供できる開発プラットフォーム・体制を整備します。
③ その他の事業(部品・装置、その他)
育成事業として位置づけ、前中期経営計画より取り組んできた電子デバイス事業の車載オーディオを核に、CASE時代に対応した車内音空間へのソリューション提供を新たな事業の柱として確立します。FA事業においては、超音波技術やセンシング技術による超音波検査機器やEV電池用リークテスターなどの検査機で、新たな市場の開拓を目指します。
気候変動への対応とTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
(1) TCFDへの対応
当社グループは「気候変動への対応」をマテリアリティとして特定し、経営重点テーマとして位置づけています。TCFDの提言に基づき、気候変動が事業にもたらすリスクや機会を分析し、経営戦略に反映させるとともに、その財務的な影響についての情報開示に努めていきます。
(2) ガバナンス
気候変動を含むサステナビリティに関する重要事項は、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会(2022年3月期は10回開催)にて議論した上で、取締役会にて議論・検討することにより、取締役会の監督が適切に行われる体制を整備しています。
(3) 戦略
当社は、当社グループ全体に及ぶ影響を確認するため、全事業を対象に国際エネルギー機関(IEA)による移行面で影響が顕在化する「1.5~2℃シナリオ(注1)」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ(注2)」を用いてシナリオ分析を行い、短期・中期・長期(注3)のリスクと機会を抽出しました。
(注1)1.5℃シナリオ:NZE(IEA World Energy Outlook 2021)、2℃未満シナリオ:SDS(IEA World Energy Outlook 2021)
(注2)4℃シナリオ:RPA8.5(IPCC第5次評価報告書)
(注3)短期:現在-数年後/中期:2030年/長期:2050年に影響が強く表れる
(4) 主な気候変動リスク及び機会と対応
(5) リスク管理
代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントにかかわるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しています。
リスクマネジメント委員会では、気候変動を含む事業に関連する様々なリスクについて、想定される損害規模と発生頻度に応じて評価・識別しています。また、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク管理レベルの引き上げを図っています。
特に自然災害に起因する物理的リスクへの対応に関しては、同委員会の下部組織としてBCP・災害対策部会を設置し、BCP策定をはじめとする事業継続マネジメントを実行しています。
取締役会は執行役からの報告等によりリスクマネジメントの仕組みの有効性や推進状況を確認・監督しています。
(6) 指標と目標
サプライチェーンを含めたグループ全体のCO2削減を横断的に管理するため温室効果ガスの総排出量(Scope1、Scope2、Scope3)(注)をGHG(温室効果ガス)プロトコルのスタンダードに基づき算出して指標とし、第三者検証を実施しています。
2031年3月期までに2018年3月期比でScope1+2を55%削減(SBTイニシアティブ1.5℃水準)、Scope3を30%削減する中期目標を策定し、Scope1+2 については2050年までにカーボンニュートラルを達成するという長期目標を設定しています。
また、森林資源および生物多様性の保全のため、2022年3月期までに認証木材使用率50%を目標に取り組みを進め、2022年3月時点で52%と目標を達成しました。今後は使用する木材の持続可能性をより広範に管理するための自社基準を策定し、2025年3月期に、同基準に適合した「持続可能性に配慮した木材」の使用率を75%にすることを目標に活動を継続します。
(注)Scope1:敷地内での燃料使用など、事業者自らによる温室効果ガスの直接的な排出
Scope2:他から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接的な排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の、サプライチェーンなどの間接的な活動に伴う排出
当社グループにおける気候変動への対応とTCFDに基づく情報開示の詳細につきましては、当社のサステナビリティサイト(https://www.yamaha.com/ja/csr/)をご参照ください。
当社グループは、リスクへの対応力を向上させ、健全で透明性の高い経営を実践するため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでいます。当社は、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しています。また、同委員会の下部組織として、全社横断的な重要テーマについて活動方針の策定やモニタリングを行う「BCP・災害対策部会」「財務管理部会」「コンプライアンス部会」「輸出審査部会」「情報セキュリティ部会」を設置しています。
リスクマネジメント委員会では、識別した事業に関連するさまざまなリスクを大きく「外部環境リスク」「経営戦略リスク」「事業活動に係る業務プロセスリスク」「経営基盤に係る業務プロセスリスク」の4つに分類し、リスクの重要性を想定損害規模と想定発生頻度に応じて評価しており、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク低減活動の推進によりコントロールレベルの引き上げを図っています。
経営者が連結会社の経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下の通りです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。


主要なリスクに関する詳細は以下の通りです。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、その性質上、実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年に大きく落ち込んだ世界経済は、ワクチン接種の進展、各国の財政・金融政策の効果により回復基調となりました。一方で、半導体不足やサプライチェーンの混乱、資源価格の高騰などが成長の足かせとなり、加えて年度末からのロシアによるウクライナ侵攻の影響により、依然として先行きが不透明な状況が続いています。国内においてもオミクロン株による感染再拡大に直面し、未だ収束の見通しが立たない中、様々な制約の下で企業活動を継続するために、感染拡大防止と社会経済活動の両立が大きな課題となりました。
このような環境の中で当社グループは、中期経営計画「Make Waves 1.0」において、「顧客・社会との繋がりを強化し、価値創造力を高める」ことを基本戦略として掲げ、4つの重点戦略を進めてきました。新型コロナウイルスの感染拡大による社会活動の制約やサプライチェーンの混乱による事業活動への甚大な影響から財務目標は未達となりましたが、「顧客ともっと繋がる」「新たな価値を創造する」「生産性を向上する」「事業を通じて社会に貢献する」といった各重点戦略は着実に進捗し、前中期経営計画で初めて掲げた非財務目標につきましては、コーポレートブランド価値、新興国の器楽教育普及、認証木材使用率のいずれも達成しました。
「顧客ともっと繋がる」につきましては、お客様の購買行動も大きく変化する中、ライフタイムバリュー(LTV)戦略として、顧客接点の強化と商品・ブランドの価値伝達の仕組み作りを進めました。接点の一つである顧客体験の場では、ブランドの世界観を伝え、またヤマハの製品を実際に手に取って良さを感じ取っていただくための体験型ブランドショップとして、銀座店に続き名古屋店をリニューアルオープンしました。同時にeコマースやSNSの拡大にも対応し、リアルとオンラインの両方のアプローチでお客様への直接の価値訴求を加速させました。また、車載オーディオの中国自動車メーカーの採用獲得など、ドメインの拡大も進みました。
「新たな価値を創造する」につきましては、デジタルサックス「YDS-150」とギターアンプ「THR30ⅡA Wireless」のデザインが高い評価を受け、ともに「アジアデザイン賞2021」を受賞しました。また、ビジネスや教育の場で良質な遠隔コミュニケーションを実現するスピーカーフォン「YVCシリーズ」、ライブやコンサート、スポーツ観戦など様々なイベントをリモートで盛り上げる「Remote Cheerer」、安心・安全な形でライブを実施できるよう支援する次世代ライブビューイングの「Distance Viewing」など、社会課題を解決する様々な商品やサービスを提案しました。
「生産性を向上する」につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による稼働停止や混乱に加え、遠隔支援を余儀なくされたことにより計画に対し遅れは生じたものの、生産管理の標準化、スマートファクトリー化が進展、インドでは新たな工場を立ち上げ、生産能力・モデル数を拡大しました。また、コロナ禍をきっかけに、新たな働き方の促進と様々な手続きの電子化による業務効率化を加速させることができました。
「事業を通じて社会に貢献する」につきましては、「新興国の器楽教育普及累計100万人」の目標に対し、累計129万人を達成しました。音楽普及の取り組みの成果として、サウジアラビアに同国初の公認音楽教育施設として「ヤマハ音楽教室リヤド校」を2021年11月に開校しました。また、「認証木材使用率50%」についても目標を上回る52%を達成しました。
中期経営計画「Make Waves 1.0」における2022年3月期の経営目標「事業利益率 13.8%」「ROE 11.5%」「EPS 270円」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、当連結会計年度においてそれぞれ10.5%、9.2%、214円79銭となりました。
(イ)セグメントごとの売上収益の状況
当連結会計年度の売上収益は、半導体調達難および物流の混乱などによる商品供給不足が継続したものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響からの回復が進んだことで、前期に対し355億66百万円(9.5%)増加の4,081億97百万円となりました。
楽器事業は、音源LSIなどの半導体調達難および物流の混乱などによる商品供給不足が継続したものの、市況の回復に伴い、前期に対し371億72百万円(15.6%)増加の2,761億53百万円となりました。
商品別では、ピアノは、新型コロナウイルスの感染再拡大による影響があるものの、市況の回復や商品の供給が進んだことにより増収となりました。電子楽器は、半導体調達難により商品供給が不足したものの、活動制限の緩和で音楽イベントが再開され、旺盛な需要が続き増収となりました。管楽器は、各地で吹奏楽活動が再開され市況が回復し増収となりました。ギターは、ステイホーム需要が落ち着きを見せるものの、市況は概ね堅調であり増収となりました。
地域別では、日本は、学校での吹奏楽活動が制限され、需要の回復が遅れている管楽器や、ステイホーム需要が落ち着きを見せるギターは減収となったものの、商品の供給が進んだピアノや、堅調な需要が続く電子楽器により、全体では増収となりました。北米及び欧州は、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せ、市況が回復したことにより、全ての商品カテゴリーで増収となりました。中国は、半導体調達難による商品供給不足の影響で電子楽器は減収となったものの、他地域に先駆けて従来の成長軌道に回帰し、全体では増収となりました。その他の地域では、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響はあるものの、地域全体として市況の回復が続き増収となりました。
音響機器事業は、需要の回復傾向にありながらも、半導体調達難の影響を大きく受けたことにより、前期に対し68億89百万円(6.6%)減少の969億24百万円となりました。
商品別では、オーディオ機器は、需要が堅調に続くものの、半導体調達難による商品供給不足の影響もあり、全体では減収となりました。業務用音響機器は、ライブ市場や設備市場が回復し、増収となりました。ICT機器は、半導体調達難による商品供給不足の影響や、会議システムの高成長に落ち着きが見えたことにより、減収となりました。
その他の事業の売上収益は、市況の回復に伴い、前期に対し52億82百万円(17.7%)増加の351億19百万円となりました。
部品・装置事業では、電子デバイスは、中国自動車メーカー向けの車載向けヤマハブランドオーディオをはじめとする車載製品が順調に販売を伸ばし、増収となりました。自動車用内装部品は、需要が堅調に推移したことにより増収となりました。FA機器は、半導体調達難による投資案件の延期や減少の影響を受け、減収となりました。
(ロ)売上原価と販売費及び一般管理費
売上原価は、前期に対し237億55百万円(10.3%)増加の2,534億76百万円となりました。売上原価率は、前期から0.5ポイント上昇し62.1%となりました。
売上総利益は前期に対し、118億10百万円(8.3%)増加の1,547億20百万円となりました。売上総利益率は、前期から0.5ポイント下落し37.9%となりました。
また、販売費及び一般管理費は、前期に比べ95億9百万円(9.3%)増加し、1,117億8百万円となりました。売上収益販売管理費比率は、前期と同様27.4%となりました。
(ハ)事業利益
事業利益は、前期に対し23億1百万円(5.7%)増加の430億12百万円となりました。
報告セグメントごとの事業利益では、楽器事業は、為替のプラス影響66億円を含め、前期に対し48億99百万円(15.1%)増加の373億17百万円となりました。音響機器事業は、為替のプラス影響9億円を含め、前期に対し55億31百万円(78.3%)減少の15億36百万円となりました。その他の事業は、前期に対し29億32百万円増加の41億58百万円となりました。
要因別には、販売管理費の増加(75億円)や、海上運賃の上昇(65億円)等の減益要因があったものの、増収増産(110億円)や為替影響(76億円)等の増益要因により、前期に比べ増益となりました。
(注)事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものです。
(ニ)その他の収益及びその他の費用
その他の収益は、前期に対し56億49百万円(295.9%)増加の75億58百万円となりました。その他の費用は、前期に対し63億30百万円(83.5%)減少の12億50百万円となりました。その他の収益は、売買目的で保有する資産の売却による固定資産売却益47億円を計上したことにより増加しました。
(ホ)金融収益及び金融費用
金融収益は、前期に対し24億26百万円(72.1%)増加の57億92百万円となりました。金融費用は、前期に対し7億98百万円(61.2%)増加の21億2百万円となりました。
(ヘ)税引前当期利益
税引前当期利益は、前期に対し159億8百万円(42.9%)増加し530億10百万円となりました。売上収益税引前当期利益率は、前期から3.0ポイント上昇し13.0%となりました。
(ト)法人所得税費用
法人所得税費用は、前期に対し52億69百万円(50.7%)増加の156億63百万円となりました。主として、税引前当期利益の増加により増加となりました。
(チ)親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に対し106億40百万円(40.0%)増加の372億55百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期の151円39銭から214円79銭となりました。
(リ)為替変動とリスクヘッジ
海外子会社の売上収益は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前期に対し約6円円安の112円となり、前期に対し約58億円の増収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前期に対し約7円円安の131円となり、前期に対し約41億円の増収影響となりました。また、人民元など、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に対し約106億円の増収影響となり、売上収益全体では、前期に対し約205億円の増収影響となりました。
また、事業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外子会社の事業利益の換算等により、約8億円の増益影響となりました。ユーロの決済レートは、前期に対し約10円円安の131円となり、約36億円の増益影響となりました。また、他の通貨を含めた全体では前期に対し約76億円の増益影響となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は外部顧客に対する売上収益であります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の5,576億16百万円から233億10百万円(4.2%)増加し、5,809億27百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末から615億73百万円(20.4%)増加し、3,626億76百万円となり、非流動資産は、382億62百万円(14.9%)減少し、2,182億50百万円となりました。流動資産では、現金及び現金同等物が増加し、棚卸資産は、半導体部品不足等に起因する一部製品の生産遅れにより原材料が増加したことに加え、為替変動の影響により増加しました。非流動資産では、投資有価証券の売却により、金融資産が減少しました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の1,606億67百万円から43億32百万円(2.7%)増加し、1,649億99百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末から252億61百万円(25.0%)増加し、1,261億14百万円となり、非流動負債は、前連結会計年度末から209億29百万円(35.0%)減少し、388億84百万円となりました。投資有価証券の売却により、流動負債では未払法人所得税が増加し、非流動負債では繰延税金負債が減少しました。また、退職給付信託への拠出により、退職給付に係る負債が減少しました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の3,969億49百万円から189億78百万円(4.8%)増加し、4,159億27百万円となりました。自己株式の取得及び配当金の支払いにより減少したものの、当期利益の計上により利益剰余金が増加したことに加え、為替変動の影響によりその他の資本の構成要素が増加したことで、全体では増加となりました。また、自己株式の消却を行い、資本剰余金及び利益剰余金が減少しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比べ431億50百万円増加(前期は366億73百万円増加)し、期末残高は1,724億95百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主として税引前当期利益により、360億16百万円(前期に得られた資金は582億25百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は、主として投資有価証券の売却及び償還による収入により、437億7百万円(前期に使用した資金は57億85百万円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、主として自己株式の取得による支出と配当金の支払いにより、444億26百万円(前期に使用した資金は206億2百万円)となりました。
(イ)資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。
当連結会計年度の設備投資額は、前期の112億60百万円から35億75百万円(31.8%)増加し、148億35百万円となりました。設備の更新改修を中心として減価償却費(121億23百万円)を超える設備投資を行いました。
研究開発費は、前期の241億89百万円から1億57百万円(0.7%)減少し、240億32百万円となりました。売上収益研究開発費比率は前期の6.5%から0.6ポイント減少し、5.9%となりました。
(ロ)資金調達
運転資金及び設備投資資金について、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてグループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しています。また、一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。
特記すべき事項はありません。
当社グループは、「感動を・ともに・創る」を企業理念に掲げています。これを支えるために、「技術×感性(ヤマハらしさ)」で新たな価値を創造するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術、感性評価技術、解析・シミュレーション技術、製造技術等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。
当連結会計年度は、「本質×革新」を追求するために、「飽くなき表現力の向上」、「感性を科学する」、「イノベーションの創出」、「AIによる技術革新」をテーマに研究開発を進めました。
「飽くなき表現力の向上」では、当社グランドピアノのフラッグシップである「CFX」の新モデルを開発いたしました。
「感性を科学する」では、ギターを始めとする楽器事業領域、スピーカー等の音響機器事業領域から、ゴルフの打音まで、幅広い分野で技術の蓄積が進みました。
「イノベーションの創出」では、当社が保有する様々な技術の融合により、世界初の言葉をメロディーにのせて会話するロボット「Charlie」を開発いたしました。
「AIによる技術革新」では、当社が参加した「だれでもピアノ」や「Dear Glenn」等の取り組みが高い評価をいただきました。
当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器事業本部、及びYamaha Guitar Group, Inc.の開発部門、音響機器事業については当社音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbH、Yamaha Unified Communications, Inc.の開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。
当連結会計年度におけるセグメントごとの主な成果は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1) 楽器事業
当セグメントでは、アコースティック技術やデジタル・エレクトロニクス技術など幅広い技術を融合し、個性際立つ商品を開発しております。
ピアノ関連では、2010年に発売したコンサートグランドピアノ「CFX」の次世代モデルを開発しました。新しい「CFX」では、「私と、響き合う。」を製品のコンセプトに掲げ、「演奏者がピアノと一体になり、意のままに謳い奏でる」ことのできるピアノを目指しました。一体感のある演奏を実現する新たな設計思想「ユニボディコンセプト」のもと、「CFX」に適した独自の木材改質技術「A.R.E.」技術を用いて木材の内部応力を開放させると同時に、含水率を下げることで振動減衰を抑制した曲練支柱(まげねりしちゅう)により、打弦した時に生じる伝達エネルギーのロスを最小限に抑えました。また、剛性を最適化しかつ軽量化を実現した新たなリブ形状と飾り輪の配列を採用したフレームにより開放的な響きを、新たな湾曲構造(クラウン)を採用することで響き・伸び・太さのある中低音を、さらに響棒の幅、高さ、えぐり位置を変更した響板により、幅広いダイナミックレンジを実現しました。そのほか、各パーツの素材や構造、加工方法を最適化しました。
管弦打楽器関連では、電子ドラム「DTX Drums」の新製品として、「DTX10シリーズ」「DTX8シリーズ」を開発しました。今回開発した「DTX10シリーズ」および「DTX8シリーズ」は、ドラマーが求める理想のアコースティックサウンドと演奏感、デザイン、そして利便性とその操作性を徹底的に追求した電子ドラムのハイエンドモデルです。音質や表現力を最大限に追求し、トップドラマーが著名なスタジオで録音した本物のドラムサウンドに加え、そのスタジオでのみ生まれる音の広がりや空気感といったアンビエンスも録音、搭載しました。自宅での練習だけでなく、レコーディングやライブパフォーマンスにも最適な高い演奏性と機能性を持ち合わせ、無料アプリ「Rec'n'Share」を活用することで昨今ニーズが拡大しているSNSへの演奏動画投稿を簡単に行うこともできます。
また、サイレントベースの新商品として、「SLB300PRO」を開発しました。当社が開発した「サイレントベース」は、2000年の発売以来、演奏性、可搬性やステージでの使い勝手の良さが評価され、プロの演奏者・ハイエンドアマチュアによるステージ演奏、レコーディングや音楽制作などに幅広く使用されています。「SLB300PRO」は、限りなくアコースティックベースに近い音質、演奏感を実現した「SLB300」をさらに進化させ、上質なジャズシーンに相応しいプレミアムな外観、仕様そして性能を実現したハイエンドモデルです。当社独自の、アコースティック楽器の共鳴胴による響きをリアルタイムで再現する「SRT(Studio Response Technology)パワードシステム」に加え、弦の振動を伝達するブリッジには以前に限定モデルとして販売した「SLB200LTD」で好評だった木材改質技術「A.R.E.」技術を採用し、アコースティック楽器と錯覚するような高品質なサウンドを実現しました。
ギター関連では、エレキギター「REVSTAR(レヴスター)シリーズ」の新製品を開発しました。新しい「REVSTARシリーズ」は、ヨーロッパの街中を疾走するカフェレーサーのコンセプトはそのままに、現代ギタリストのニーズに応える音、デザイン、演奏感を追求し、6年ぶりにフルモデルチェンジした製品です。全てのモデルに「アコースティック・デザイン」をもとにしたチェンバー加工を採用したことにより、鳴りの向上、軽量化、重量バランスの最適化を実現しています。また、Yamaha Guitar Group, Inc.が Line 6 ブランドのギターアンプ新製品「Catalyst(カタリスト)シリーズ」を開発しました。Line 6 ブランドのギターアンプは、その卓越したモデリング技術による高品位なギターアンプモデルとエフェクトから、世界中の多くのギタリストに愛用されてきました。新たに開発した「Catalystシリーズ」は、世界中のミュージシャンから高い評価を得ている同社独自のサウンド開発技術「HXサウンド・デザイン技術」を駆使し、ピュアなクリーンからモダンなハイゲインまで、6種類のオリジナル・アンプ・サウンドを搭載しています。
電子楽器関連では、電子キーボード「PSRシリーズ」の新製品として、「PSR-E473」を開発しました。「PSR-E473」では、音源LSIとソフトウェアを新規に開発し、プロモデルさながらのサウンドクオリティを実現しました。高品位な820音色と290種類のスタイル(自動伴奏)、さらに53種類のエフェクトを搭載しています。ギターのスクラッチノイズなど楽器固有の奏法による演奏音をリアルに再現する「スーパーアーティキュレーションライトボイス」も搭載し、より本格的な表現を楽しむことができます。
また、これまでの楽器の枠を超えた新商品として、世界初となる、言葉をメロディーにのせて会話するコミュニケーションロボット「Charlie」を開発しました。「Charlie」は、言葉をメロディーにのせてユーザーとコミュニケーションをとる、「うたロボ」です。当社が持つボーカロイド技術や自動作曲技術等を活用し、ユーザーが話しかけると、「おはよう」や「ありがとう」等の言葉はもちろん、日常での相談事や雑談等もミュージカルのようにメロディーにのせて返答します。歌で返答することによって、ユーザーの気持ちをリラックスさせ、心を温めるようなコミュニケーションができるのが特長で、日常生活に「聴く」「演奏する」以外の「音楽との新しい関わり方」をもたらします。
なお、デジタルサックス「YDS-150」が「Red Dotデザイン賞」の最高賞である「Best of the Best」、「iFデザインアワード プロダクトデザイン部門」、「アジアデザイン賞2021」の最高賞である「Grand Award」を、ギターアンプ「THR-Ⅱ」が「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2021」、「iFデザインアワード プロダクトデザイン部門」、「アジアデザイン賞2021」の「Gold Award」を、カジュアル管楽器「Venova YVS-120/YVS-140」が、「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2022」を、当社がデザインを手掛けたギタースツール「solo(ソロ)」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました。また、「AIを用いた技術革新」により、当社が、AIと人間の共創を追求するため取り組んだプロジェクト「Dear Glenn」が、「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」において、「エンターテインメントライオンズ・フォー・ミュージック」部門の「シルバー」を、当社と国立大学法人東京藝術大学COI拠点が共同開発した自動伴奏追従機能付きのピアノ「だれでもピアノ」が、科学技術イノベーション(Science, Technology and Innovation:STI)を用いて社会課題を解決する地域における優れた取り組みを表彰する「STI for SDGs」アワードで文部科学大臣賞を受賞しました。
楽器事業の研究開発費は
(2) 音響機器事業
当セグメントでは、遠隔コミュニケーションの多様化など社会の変化にも対応しながら、幅広いニーズに応える商品を開発しております。
AV機器関連では、AVレシーバー「AVENTAGE(アベンタージュ)」の上位モデル「RX-A8A」「RX-A6A」「RX-A4A」を開発しました。「RX-A8A」「RX-A6A」「RX-A4A」は、約3年の開発期間をかけ筐体・回路構成を一新、最新鋭パーツを投入することによりオーディオの本質=音を妥協なく追求し、新世代のAVエンターテイメントを圧倒的なクオリティで楽しむことができるモデルです。制振性能を高めたAVENTAGEの象徴である「5番目の脚」をはじめ、自然な音場再現を実現したヤマハ独自のサラウンド機能「SURROUND:AI(サラウンド エーアイ)」を搭載し、3Dサラウンドフォーマット 「AURO-3D」にも新たに対応しました。また、イヤホンの新モデルとして、完全ワイヤレスBLUETOOTHイヤホン「TW-E5B」を開発しました。当社のメカ・音響技術を存分に盛り込んだ筐体設計、耳への装着性を高めながら音の劣化を抑えるハウジングデザインなどにより、アーティストの想いや演奏をより身近に感じることのできる音体験「TRUE SOUND」を実現しています。さらに小さな音量でも情報量を損なわずにバランスを最適化する耳にやさしい独自機能「リスニングケア」も搭載しました。
業務用音響機器関連では、SR用パワードスピーカーシステム「DHRシリーズ」およびパッシブスピーカーシステム「CHRシリーズ」を開発しました。「DHRシリーズ」は、業務用スピーカーとして手頃な価格帯でありながら、キャビネットには「DZRシリーズ」「CZRシリーズ」と同じ木製合板を使用し、塗装には優れた耐傷性を誇るポリウレア塗装を採用しています。また、メインスピーカー用途に最適な15インチモデル「DHR15」やフロアモニター用途に最適な12インチモデル「DHR12M」、固定設備やユーティリティ用途に最適な10インチモデル「DHR10」など、多様な用途や設置状況に応じて最適化した3モデルをラインアップしています。「CHRシリーズ」は、「DHRシリーズ」とエンクロージャーや主要コンポーネントを共通仕様にしたパッシブSRラウドスピーカーです。「DHRシリーズ」と同様に、15/12/10インチユニットを搭載した3モデルをラインアップしています。また、電子楽器のモニターに最適なコンパクトサイズのパワードモニタースピーカー 「MS101-4」を開発しました。今回開発した「MS101-4」は、フロントパネルにマイク入力(コンボジャック)を搭載し、コンパクトなバスレフ型キャビネットに4インチのフルレンジスピーカーを採用した、電子楽器のモニターとして最適なパワードモニタースピーカーの新モデルです。バスレフポートを背面に配置したことや、軽量な素材を採用したことで、前モデル「MS101-3」からコンパクト化(筐体高さ21.4cm→19.6cm)および軽量化(質量2.5kg→2.1kg)しています。さらに、刷新したパワーアンプにより定格出力30W(前モデルは10W)、最大出力音圧レベル115dB SPLを実現しています。また、Dante・USB対応のI/Oラック「RUio16-D」を開発しました。「RUio16-D」は、コンパクトなハーフラックサイズの筐体に、Dante対応の16イン16アウトやWindows/macOSに対応するUSB、2系統のアナログ入出力、ヘッドホン端子を備えたインターフェースです。PCとUSB接続し、同梱されたVSTプラグイン用ホストソフトウェア「VST Rack Pro」を通じて、当社「QLシリーズ」などのDante対応のデジタルミキサーへ簡単にVSTプラグインの機能を追加することができます。アナログ入力も搭載しているので、アナログミキサーやマイクなども接続が可能です。ソフトウェア上で安定したプラグイン環境を自由に構築・レイアウトができる「VST Rack Pro」と、コンパクトかつマルチなインターフェース「RUio16-D」を組み合わせて、ライブ会場で使用されるハイクラスのデジタルミキサーにもVSTプラグインを追加することで、アーティストがレコーディング時に使用するVSTプラグインを、ライブでも再現することができます。
音楽制作機器・ソフトウェア関連では、Steinberg Media Technologies GmbHが「Cubase(キューベース)12」を開発しました。「Cubase 12」は、作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミキシングなどをサポートする総合音楽制作ソフトウェアの最新バージョンです。今回のバージョンアップでは、新たなライセンスシステム「Steinberg Licensing」の導入により、ドングルにとらわれないライセンス管理が出来るようになったほか、サードパーティMIDIコントローラーとの連携強化やオーディオワープ機能の向上など、より快適なワークフローの実現を可能とするアップデートが多数施されています。
ネットワーク機器関連では、インテリジェントL2スイッチ「SWX2320シリーズ」とスタンダードL3スイッチ「SWX3220シリーズ」を開発しました。今回開発したインテリジェントL2スイッチ「SWX2320-16MT」「SWX2322P-16MT」は、「SWX2310シリーズ」の機能を継承し、1Gbpsを超える高速なLANポートとPoE++ (IEEE 802.3bt) 給電に対応したモデルです。今後導入が進むWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応した無線LANアクセスポイントへの給電、高速なLANポートを搭載したアクセススイッチの収容など、中規模ネットワークのフロアスイッチとして活用することができます。また、スタンダードL3スイッチ「SWX3220-16MT」「SWX3220-16TMs」は、「SWX3200シリーズ」の機能を継承し、1Gbpsを超える高速なLANポートを搭載したモデルです。従来のLANポートを多数搭載したモデルに加え、SFP/SFP+スロットを多数搭載したモデルを揃えたことで、収容距離と収容数に合わせたモデルを選ぶことができ、中規模ネットワークのコアスイッチ、ディストリビューションスイッチとして活用することができます。両シリーズとも、当社初となる10ギガビット/マルチギガビット対応で、高速・大容量が望まれる中規模の基幹ネットワーク増強に最適です。
音声コミュニケーション機器関連では、遠隔会議用ワンスストップソリューション「ADECIA」の新ラインアップとして、テーブルトップアレイマイクロフォン「RM-TT」を開発しました。「RM-TT」は、遠隔会議用プロセッサー「RM-CR」やDante/PoE対応ラインアレイスピーカー「VXL1-16P」、PoE給電対応のネットワークスイッチ「SWR2311P-10G」と組み合わせることで、快適かつ簡単な遠隔会議を可能にする「ADECIA Tabletop Solution」を提供します。従来のシーリングアレイマイクロフォン「RM-CG」に加え、コンパクトでありながら話者の声を逃さず収音する有線方式のテーブルトップアレイマイクロフォン「RM-TT」が、会議室のレイアウト変更や会議参加人数を考慮した効率的な会議運用など、多様化する遠隔会議スタイルにより柔軟に対応します。「RM-TT」は、マイク本体とPoEスイッチとLANケーブルで接続するだけで机上へ簡単に設置することができ、天井への「RM-CG」の設置が難しい会議室でも導入が可能です。加えて、「ADECIA」ソリューションの特長の一つである、遠隔会議用プロセッサー「RM-CR」を組み合わせた簡単自動設定・自動音響調整機能を使用することで、会議様式に合ったマイクロフォンを選びつつ、設置・調整に必要とされてきた音響に関する知識や経験が少ない場合でも、調整時間の最小化を実現します。
なお、ワイヤレスヘッドホン「YH-L700A」が、ドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2022」を、リモート応援システム「Remote Cheerer」が「CEATEC AWARD 2021」において「デジタルトランスフォーメーション(DX)部門 グランプリ」を、次世代ライブビューイング「Distance Viewing」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
音響機器事業の研究開発費は
(3) その他の事業
電子デバイス事業関連では、開発した「車載向けヤマハブランドスピーカーシステム」が吉利汽車(Greely)の「ZEEKR 001」に採用され、自動車市場へのデビューを果たしました。楽器の音が輝きを放つ、いつも聴いている曲なのに新しい発見がある、フルカスタムで開発したヤマハのサウンドシステムが、「ZEEKR 001」の切り開くドライビング体験を華やかに彩ります。
ゴルフ事業関連では、「RMX(リミックス)」の新モデルとして、これまでの常識を覆す性能やテクノロジーを搭載した「RMX VD(リミックス ブイディー)」シリーズを開発しました。ドライバーは、すべてのゴルファーがスクエアなインパクトを実現できる、慣性モーメントの変わらない世界初の弾道調整「RMX VDウェイトシステム」を搭載しました。アイアンは、革新的な形状により業界最大級の横慣性モーメント4,000g・cm²を実現し、飛距離ロス・方向ブレが激減する「RMX VD 40」や、ツアープロが求めるスピン性能と飛距離・安定性を両立した「RMX VD」などをラインアップしています。さらに、フェアウェイウッドは飛距離向上のための高機能素材を採用し、ボール初速が飛躍的に向上しています。
その他の事業の研究開発費は
当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は2,298件であります。