第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

中期経営計画「Make Waves 2.0」の概要

 

当社グループは、2022年4月からの3年間を対象とした中期経営計画「Make Waves 2.0」を策定しました。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営環境認識 

COVID-19により、デジタル化、多様化、サステナビリティへの意識の高まりなど、前中期経営計画で前提としていた環境変化が一気に加速しました。人の移動や対面の活動が制約される一方で、オンラインを介したモノや情報のやりとりが拡大し、新しい生活様式に対応する製品、サービスが生まれてきています。サステナビリティ意識の一層の高まりは、人々の関心が経済的繫栄を超えた本質的な心の豊かさに向かっていることの証左であると考えられます。これらの環境変化によってもたらされる「新たな社会」は音・音楽を原点に“技術×感性”で新たな感動と豊かな文化を追求してきた当社グループにとって、さらなる大きな機会となると認識しています。


(2) 経営ビジョンと中期経営計画の基本方針

 

[経営ビジョン(中長期的に目指す姿)]

「なくてはならない、個性輝く企業」になる

~ ブランド力を一段高め、高収益な企業へ ~

 

 

[基本方針]

新たな社会で持続的な成長力を高める

 

 

当社グループは事業活動を通じて、「世界中の人々のこころ豊かなくらし」を実現することを目指しています。そのために、「感動を・ともに・創る:私たちは、音・音楽を原点に培った技術と感性で、新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます」を企業理念に掲げ、我々の行動の原点としています。

中長期的に目指す姿「なくてはならない、個性輝く企業になる」を経営ビジョンとして、中期経営計画の各ステージで企業価値を高めてきました。

新たなステージである中期経営計画「Make Waves 2.0」では、ポストコロナで大きく様相が変化した新たな社会で持続的な成長力を高めることを基本方針とし、さらに企業価値を向上させていきます。


 

(3) マテリアリティ策定と3つの方針

「事業基盤」、「環境・社会」、「人材」の3領域10項目をマテリアリティとして策定しました。中期経営計画ではこれらのマテリアリティに基づき3つの方針を設定しました。


 

(4) 3つの方針の詳細

3つの方針の具体的な取り組みとして、各方針に3つの重点テーマを設定しました。これらの重点テーマに沿った施策を着実に遂行することで、当社は新たな社会で持続的な成長力を高めます。


1.事業基盤をより強くする

デジタルマーケティングとリアル拠点の活動を統合したブランド体験の提供に加え、メーカー直販の仕組みの拡大により、顧客との繋がりを強化し、一層のブランド価値向上を進めます。また、製品・サービスにおいてはヤマハの強みであるアコースティック技術とデジタル技術に加え、AIとネットワークをヤマハならではの感性により結びつけ、新たな体験を創造します。外的環境の変化に柔軟に対応できる事業組織としていくために調達・生産のレジリエンスを強化しつつ、DXにより新たな価値を創出します。

 

① 顧客ともっと繋がる     :直接顧客と繋がる販売の進化、デジタル×リアルを統合した価値訴求、

                             顧客情報基盤を拡充

② 新たな価値を創出する    :アコースティック技術とデジタル技術の融合、サービス・情報提供基盤

                             の構築、新たな感動体験を創造

③ 柔軟さと強靭さを備え持つ:レジリエンス強化、開発基盤の強化、DXによる新たな価値の創出

 

2.サステナビリティを価値の源泉に

2050年カーボンニュートラルを目指した事業活動におけるCO2排出量削減や持続的な木材の利用を通じ、地球環境の保全に努めます。製品・サービスを通じて新たな社会の様々な課題を解決し、快適で安全な暮らしに貢献することで社会価値を創造します。また多種・多彩な楽器の供給を通じた世界の音楽シーンへの貢献、新興国における器楽教育普及など、音楽文化全体の普及・発展に力を尽くします。

 

① 地球と社会の未来を支えるバリューチェーンを築く  :カーボンニュートラル、持続可能な木材、

                                                      省資源・廃棄物削減

② 快適なくらしへの貢献でブランド・競争力を向上する:遠隔・非接触サービス、耳の保護、

                                                     音楽によるQoL向上

③ 音楽文化の普及・発展により市場を拡大する        :新興国の器楽普及、ローカルコンテンツ、

                                                     技術者育成

 

3.ともに働く仲間の活力最大化

ともに働く仲間の活力は、事業活動を行う上で最も重要な要素であり、社会価値、企業価値を創造するための原動力です。従業員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、一人ひとりの個性を活かす経営を行います。組織内、組織間の多面的な対話機会の創出により、心理的安全性が確保された働きやすい職場づくりを進め、多様な人材の知恵や発想から多くの挑戦や共創が生まれる組織風土を醸成します。

 

① 働きがいを高める                          :グローバルリーダーの育成、自律的なキャリア

                                                 開発支援、柔軟な働き方支援

② 人権尊重とDE&Iを推進する          :人権デューディリジェンス、多様な人材構成、

                                                 女性活躍推進

③ 風通しがよく、皆が挑戦する組織風土を醸成する:対話機会の創出、組織風土・文化のさらなる変革

 

(5) 経営目標

 

① 非財務目標

1.事業基盤をより強くする

・Yamaha Music ID登録数

: 500万ID

・新コンセプト商品投入数

: 20モデル

・生産インフラへの投資金額

: 350億円

 

 

2.サステナビリティを価値の源泉に

・新興国の器楽教育普及

: 230 万人(累計)

・持続可能性に配慮した木材使用率

: 75%

・事業所での省エネによるCO2排出量削減

: 5%

 

 

3.ともに働く仲間の活力最大化

・従業員働きがい調査肯定的回答率

: 継続的向上

・管理職女性比率

: 19%

・従業員働きやすさ調査肯定的回答率

: 継続的向上

 

 

② 財務目標

・売上成長

: 20%

・事業利益率

: 14%

・RОE

: 10% 以上

・RОIC

: 10% 以上

 

(想定為替レート:USD 115円/ EUR 130円)

 

③ 投資と株主還元

 創出したキャッシュを成長投資と株主還元にバランス良く配分します。

 

[投資]

・通常投資 : 400億円

・戦略投資 : 650億円(生産施設・設備、サステナビリティ、新規事業、M&A等)

 

[株主還元]

 継続的かつ安定的な配当を基本としますが、将来の成長投資のための適正な内部留保とのバランスを考慮しながら、資本効率の向上を目的とした機動的な株主還元も適宜、実施します。3年累計で総還元性向50%を目標とします。

 

(6) ガバナンス

指名委員会等設置会社の特長を活かし、定期的な評価を行いながら、より実効性の高いコーポレートガバナンスを目指して継続的な向上を図ります。またグループガバナンスのしくみの整備を進め、リスク対応力の向上と健全で強固な経営基盤を実現します。

 

(7) 事業ポートフォリオと方向性

中長期的に企業価値を向上させるため、成長・中核・育成・再構築の4象限に各事業を位置づけ、経営資源を適切に配分するポートフォリオマネジメントを進めます。


① 楽器事業

新たな社会に合致した販売とマーケティングの強化により、高付加価値商品の拡売を進めます。電子楽器は成長事業として、需要創造により市場成長を牽引し事業規模を拡大します。ギターは育成事業として、中高級価格帯を中心にブランド力向上へ向けた施策を展開し、収益性を向上させながら規模を拡大します。ピアノ・管弦打楽器は中核事業として、プレミアムブランドの地位を確立し、一層の収益強化を進めます。

 

② 音響機器事業

再構築事業として位置づけ、コロナ禍により大きく変化した音響機器の新たな市場へ事業ドメインを拡大します。法人向け市場では、企業・公共施設・学校などに、専門知識がなくても快適な音環境が得られる音響システムを提供します。個人向け市場では、オンラインゲームや制作・配信のシーンに、高品質な音を簡便な設定で実現できるソリューションを提供します。これらの需要に対応するため、保有する多彩な技術資産やリソースを柔軟に組み換え、各市場に最適な製品やソリューションを効率的に提供できる開発プラットフォーム・体制を整備します。

 

③ その他の事業(部品・装置、その他)

育成事業として位置づけ、前中期経営計画より取り組んできた電子デバイス事業の車載オーディオを核に、CASE時代に対応した車内音空間へのソリューション提供を新たな事業の柱として確立します。FA事業においては、超音波技術やセンシング技術による超音波検査機器やEV電池用リークテスターなどの検査機で、新たな市場の開拓を目指します。

 

 

気候変動への対応とTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示

 

(1) TCFDへの対応

当社グループは「気候変動への対応」をマテリアリティとして特定し、経営重点テーマとして位置づけています。TCFDの提言に基づき、気候変動が事業にもたらすリスクや機会を分析し、経営戦略に反映させるとともに、その財務的な影響についての情報開示に努めていきます。

 

(2) ガバナンス

気候変動を含むサステナビリティに関する重要事項は、代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会(2022年3月期は10回開催)にて議論した上で、取締役会にて議論・検討することにより、取締役会の監督が適切に行われる体制を整備しています。

 

(3) 戦略

当社は、当社グループ全体に及ぶ影響を確認するため、全事業を対象に国際エネルギー機関(IEA)による移行面で影響が顕在化する「1.5~℃シナリオ(注1)」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ(注2)」を用いてシナリオ分析を行い、短期・中期・長期(注3)のリスクと機会を抽出しました。

(注1)1.5℃シナリオ:NZE(IEA World Energy Outlook 2021)、2℃未満シナリオ:SDS(IEA World Energy Outlook 2021)

(注2)4℃シナリオ:RPA8.5(IPCC第5次評価報告書)

(注3)短期:現在-数年後/中期:2030年/長期:2050年に影響が強く表れる

 

(4) 主な気候変動リスク及び機会と対応

 

カテゴリー

影響

段階

リスク・機会

根拠及び当社グループへの影響と対応

事業への影響(潜在的)

 移行リスク

 ・機会

(1.5℃上昇

  を想定)

調達

短期

リスク

脱炭素化により木材伐採事業の撤退が進み、木材が調達しにくくなるリスク

 

・ネットゼロを目指す企業の増加により、森林由来の炭素クレジットの需要増が見込まれ、森林保有者の木材事業からの撤退事例が生じています。既に一部産地における木材事業撤退の影響を受けておりますが、異なる産地の木材に代替することでリスクを回避しています。

・当社グループの木材調達先で伐採事業からの撤退が拡大した場合、製品製造に必要な木材が調達しにくくなるリスクがありますが、社内に木材技術及び調達の専門部門があり、代替材の開発や調達先の変更など速やかな対応を行っています。

・木質原材料の調達にあたっては、森林が持続するよう管理された“認証材”に切り替える施策を実行しています。

― ―

直接

操業

中期

リスク

カーボンプライシングの導入や増額等により、追加コストが発生するリスク

 

・2030年の炭素価格はIEAのNZE(2050年ネットゼロシナリオ)では、日本130米ドル/t-CO2(約15,000円/t-CO2)、中国90米ドル/t-CO2(約10,000円/t-CO2)、インドネシア15米ドル/t-CO2(約1,700円/t-CO2)と予測されており、2030年にはこれらのカーボンプライシング影響により成り行き値で16億円程度のコスト増となりますが、1.5℃シナリオに対応した排出削減目標を達成することで、6億円程度に抑制できると見込んでいます。(1米ドル115円で計算

・目標達成のためICP(インターナルカーボンプライシング)を14,000円/CO2tに設定し、低炭素設備投資の促進や生産部門のエネルギー効率向上、再生可能エネルギー導入を進めています。

 

― ―

中期

リスク

再生可能エネルギー調達量の増加により、追加コストが発生するリスク

 

・大幅な排出削減を実現するためには再生可能エネルギー調達が重要であると認識しています。

・当社グループのScope1・2における排出量の多くは電力に由来しており、排出削減を進めるにあたり、さらなる再生可能エネルギー調達が必要であると見込んでいます。(2022年3月期の購入電力料金は約30億円)

・省エネルギー、再生可能エネルギー自家発電、再生可能エネルギー調達にて、炭素排出量を削減していきます。

 

 

カテゴリー

影響

段階

リスク・機会

根拠及び当社グループへの影響と対応

事業への影響(潜在的)

移行リスク

 ・機会

(1.5℃上昇

  を想定)

製品

需要

中期

機会

気候変動対策を理由とする移動控えにより、製品需要が増加する機会

 

・気候変動対策を理由に移動(飛行機の利用など)を控える動きが見え始めており、今後このような傾向が継続・拡大していく可能性があります。

・このようなアウトドアからインドアへの生活様式の変化は、当社グループのコミュニケーション機器(スピーカーフォン、ルーターなど)製品の需要増につながると考えられ、機会となり得ると認識しています。

・脱炭素化により自動車の電動化が進むことが想定され、IEAのNZE(2050年ネットゼロシナリオ)では、EV比率(販売ベース)を2030年64%、2050年100%と見込んでいます。電気自動車の普及が加速されることにより、より軽量で、かつ高音質なオーディオ性能を実現する技術を保有する当社は顧客からの強い支持を得ることができます。さらにオーディオにとどまらず車内音響空間をトータルにプロデュースする新たな事業ドメインを獲得できる可能性があります。

・気候変動対策として廃棄物削減・資源有効活用への動きが加速する中、原材料のリデュース、再生材・再生可能素材の利用、アップグレードや高耐久化による長期使用の促進、梱包材の脱プラ化などを実現する技術開発や、製品のサービス化などビジネスモデルの変革により、業界の方向性に関して主導的な役割を果たすブランドとなり得ます。

 

+ +

 物理的リスク

 ・機会

(4℃上昇

 を想定)

調達

長期

リスク

調達木材の生育適域変化により、調達木材の入手が困難となるリスク

 

・温暖化の進行とともに、調達している木材の生育適域が変化していく可能性があります。

・当社グループの調達木材から希少性や代替の難しさなどを鑑み主な樹種を選定の上、学術論文をもとに調査を行い、数樹種については適域が減少する可能性があることを把握しています。これらの樹種で調達が困難となり原料価格が高騰するリスクがあります。

・楽器適材を生み出すサステナブルな森を地域社会と一体となり実現する活動「おとの森」活動の展開等を通じて、良質な木質原材料の長期にわたる安定的な調達を目指しています。

 

― ―

直接

操業

長期

リスク

大雨・洪水により自社拠点(工場など)が影響を受け、操業停止・逸失利益が発生するリスク

 

・温暖化の進行とともに、大雨・洪水などの被害が増加することが想定されます。自社拠点(工場など)が洪水被害を受け、操業停止となった場合には逸失利益が発生する可能性があります。

・ただし、2050年4℃シナリオを想定した場合、床上浸水1mを超える洪水被害により事業影響を受けると見込まれる拠点はヤマハグループ主要拠点、物流拠点、主要サプライヤー(合計で約100カ所)には存在しないことを確認しました。

 

製品

需要

長期

機会

気温上昇を理由とする夏季の外出控えにより、製品需要が増加する機会

 

・夏場の気温上昇(熱中症など)を理由に外出を控える傾向が見え始めており、今後このような傾向が継続・拡大していく可能性があります。

・このようなアウトドアからインドアへの生活様式の変化は、当社グループのコミュニケーション機器(2022年3月期のICT機器売上収益145億円)やギターをはじめとする楽器全般(2022年3月期の楽器事業売上収益2,762億円)の需要増につながると考えられ、機会となり得ます。

・楽器に適した木材の生育適域減少に備えて、既存材を超える特性を持つ代替材を開発することで新たな価値を提供し、音楽文化の発展と事業機会の拡大を実現することができます。

 

+ +

 

 

 

 

(5) リスク管理

代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントにかかわるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しています。

リスクマネジメント委員会では、気候変動を含む事業に関連する様々なリスクについて、想定される損害規模と発生頻度に応じて評価・識別しています。また、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク管理レベルの引き上げを図っています。

特に自然災害に起因する物理的リスクへの対応に関しては、同委員会の下部組織としてBCP・災害対策部会を設置し、BCP策定をはじめとする事業継続マネジメントを実行しています。

取締役会は執行役からの報告等によりリスクマネジメントの仕組みの有効性や推進状況を確認・監督しています。

 

(6) 指標と目標

サプライチェーンを含めたグループ全体のCO2削減を横断的に管理するため温室効果ガスの総排出量(Scope1、Scope2、Scope3)(注)をGHG(温室効果ガス)プロトコルのスタンダードに基づき算出して指標とし、第三者検証を実施しています。

2031年3月期までに2018年3月期比でScope1+2を55%削減(SBTイニシアティブ1.5℃水準)、Scope3を30%削減する中期目標を策定し、Scope1+2 については2050年までにカーボンニュートラルを達成するという長期目標を設定しています

また、森林資源および生物多様性の保全のため、2022年3月期までに認証木材使用率50%を目標に取り組みを進め、2022年3月時点で52%と目標を達成しました。今後は使用する木材の持続可能性をより広範に管理するための自社基準を策定し、2025年3月期に、同基準に適合した「持続可能性に配慮した木材」の使用率を75%にすることを目標に活動を継続します。

(注)Scope1:敷地内での燃料使用など、事業者自らによる温室効果ガスの直接的な排出

Scope2:他から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接的な排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の、サプライチェーンなどの間接的な活動に伴う排出

 

 当社グループにおける気候変動への対応とTCFDに基づく情報開示の詳細につきましては、当社のサステナビリティサイト(https://www.yamaha.com/ja/csr/)をご参照ください。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループは、リスクへの対応力を向上させ、健全で透明性の高い経営を実践するため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでいます。当社は、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申しています。また、同委員会の下部組織として、全社横断的な重要テーマについて活動方針の策定やモニタリングを行う「BCP・災害対策部会」「財務管理部会」「コンプライアンス部会」「輸出審査部会」「情報セキュリティ部会」を設置しています。

リスクマネジメント委員会では、識別した事業に関連するさまざまなリスクを大きく「外部環境リスク」「経営戦略リスク」「事業活動に係る業務プロセスリスク」「経営基盤に係る業務プロセスリスク」の4つに分類し、リスクの重要性を想定損害規模と想定発生頻度に応じて評価しており、各リスクに対するコントロールレベルを評価し、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに担当部門を定め、リスク低減活動の推進によりコントロールレベルの引き上げを図っています。

経営者が連結会社の経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下の通りです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。



 

主要なリスクに関する詳細は以下の通りです。

 

《当社のリスク認識の(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)の表記について》

関連する重点テーマを色と番号で示しております。「方針」及び「重点テーマ」の詳細は「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 


 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

外部環境リスク

事業環境の変化

(リスクの説明)

当社グループは、世界の各地域に製造・販売拠点を置き、グローバルな事業展開を行っています。連結子会社55社のうち41社が海外法人であり、そのうちの20社が製造・制作会社等で、主に中国、インドネシア、マレーシア、インドに拠点を置いています。主要な商品の生産をひとつの製造拠点に依存している場合、当該拠点のある地域の事業環境の変化が商品の供給に影響を与える可能性があります。

また、海外売上収益は売上収益の74.2%を占めています。そのため、世界各国の経済状況や市場環境の影響を受けます。世界の市場における景気後退、これに伴う需要の減少は、当社グループの収益と事業展開に影響を与える可能性があります。

日本においては、当社グループの基幹事業である楽器事業で、子供を中心とする音楽教室や英語教室を展開しているほか、学校を通じた販売も重要な販売経路となっており、今後少子化の進行により、売上収益の減少を招く可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

生産については、特に主要な商品を2か所以上から供給できる体制を構築中です。販売については、各国経済状況の跛行性に対して在庫の供給を柔軟に対応させるよう努めています。また、顧客情報基盤(CDP)の構築を進め、デジタルマーケティングの整備強化により、顧客のライフステージにフィットした価値の提供を行うことにより幅広い年齢層に対するサービスを拡充しています。

なお、日本における少子化対策としては音楽教室の大人向けコースの展開、海外での事業拡大を進めています。

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

外部環境リスク

事業環境の劇的変化|パンデミック等|

(リスクの説明)

パンデミックが発生すると地球規模で社会や経済に大きな影響を及ぼします。人々の生活や仕事のスタイルが不可逆的に変化し、パンデミック発生前とは異なる新たな社会構造が急速に形成され、これに伴って社会や顧客の志向も急速に変化することがあります。この事業環境の劇的な変化に適切に対応できない場合、お客様のニーズと一致しない製品・サービスの提供等により、販売の減少をもたらす可能性があります。

 

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

社会・顧客の志向の変化を迅速に取り込み、商品企画から販売に至る機能において機動的に対応できるよう体制を整備しています。また、取引先を含むサプライチェーン全体の状況に一層留意することで、不測の事態に備えています。

 

 

法律・規制の変更

(リスクの説明)

国内外における予期せぬ法律や規制の変更等により、当社グループの事業活動が大きな変更を余儀なくされ、その結果、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループ法務規程」において法務に関する基本方針等を定め、各国での新たな法令に適時に対応するため、法令の最新状況を網羅する情報基盤の整備・運用を進めています。

また、輸出入に関わる法令違反のリスクの軽減のため、輸出審査部会においてリスト規制該当技術の管理強化、中国・インドからの輸出管理体制の構築を進めています。

 

為替・金利の変動

(リスクの説明)

当社グループは、全世界において製造・販売等の企業活動を行っていますが、グループ各社における外貨建取引は為替レートの変動の影響を受け、それにより当初の事業計画を達成できない可能性があります。

特に損益影響が大きいユーロ・円レートにおいて、1円変動すると約4億円の損益影響をもたらします。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

為替変動については、日本国内の生産工程を海外に移管する等、グローバルに工程を再配置することで、影響の軽減化を図っています。ユーロ・円レートの変動に対しては、グローバルな卸売価格の標準化の観点から柔軟に価格を設定することにより数量・販売金額の最大化を図っています。また、外貨建取引については、短期的な収益を事前に確定させるため先物為替予約取引等を行っています。

 

国レベルの紛争・混乱

(リスクの説明)

製造拠点または販売拠点において政治・経済の混乱、テロ、戦争、日系企業への暴動等が発生した場合、当社グループの事業活動が遅延または中断する可能性があります。

さらに、当社グループの製造拠点または販売拠点が直接の損害を受けた場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、事業を展開する各国の政情不安や港湾スト等の物流障害により製品の供給に影響を受ける可能性があります。

 

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

国レベルの紛争・混乱等の緊急事態に備え、BCP・災害対策部会にてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。

また、リスクが顕在化したときに適切な対応を迅速に行い、経営への影響を最小化するための基本方針等を「グループBCP規程」で定めています。各拠点ではBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めています。複数の拠点を有する国においては、特命地域代表を設置し、現地での統括的な対応に当たります。

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

外部環境リスク

 

大規模事故

(リスクの説明)

火災や爆発等により製造拠点の生産継続に影響が出る、事故により電力等の公共インフラサービスが停止して事業継続に支障が出る、事故等によりサプライチェーンネットワークが寸断・遅延して事業継続に影響を及ぼす等、外部要因による大規模事故の影響で生産や販売ができなくなることにより損害が発生する可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

外部要因による大規模事故等の緊急事態に備え、BCP・災害対策部会にてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。

また、リスクが顕在化したときに適切な対応を迅速に行い、経営への影響を最小化するための基本方針等を「グループBCP規程」で定めています。各拠点ではBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めています。

さらに、グループ施設管理規程を定め、人命および会社財産が適切に保全され、安心安全に利用できる環境とするため、必要なリスク管理を行っています。

 

サイバ|

攻撃

(リスクの説明)

当社グループの事業活動においては、情報システムの利用とその重要性が増大しています。サイバー攻撃やコンピュータウィルスへの感染等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの情報システムの破壊やデータ改ざんだけでなく、当社グループの社会的信用やブランド価値の毀損による経済的損失等により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループIT規程」においてIT管理の基本方針等を定め、情報セキュリティ部会が現状の管理体制の把握、ウェブサイトの脆弱性の特定・改善指導等により、外部からの不正なITネットワークへの侵入によるデータ破壊や、ウィルス感染を予防するためのセキュリティ管理体制の維持・向上を図っています。

 

自然災害

(リスクの説明)

地震や気候変動に伴う大型台風、洪水等の自然災害の発生により、当社グループの製造拠点や販売拠点等が損害を受ける、または通信ネットワークが寸断され、情報システムの継続に支障が生じることにより販売・生産・物流インフラの機能が停止し、事業活動が中断することにより、業績への影響を及ぼす可能性があります。

特に当社の本社及び当社グループの工場が集中している静岡県内においては、東海地震の発生が予想されています。また、主な製造拠点のある中国、インドネシア、マレーシア、インドにおいても、予期せぬ自然災害が発生する恐れがあります。このような事象が発生した場合には、施設面での損害のほか、操業の中断や遅延、多額の復旧費用の発生等が予想されます。

さらに、原材料・部品供給業者の被災状況によっては、生産活動に影響を受ける可能性があります。また、物流網の途絶により材料・製品の供給に影響を受ける可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

大規模な自然災害等の緊急事態に備え、BCP・災害対策部会にてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。

また、リスクが顕在化したときに適切な対応を迅速に行い、経営への影響を最小化するための基本方針等を「グループBCP規程」で定めています。各拠点ではBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めています。

国内においては、震度7の地震が発生したと想定し、現状の対応策を検証、更に、BCPの実効性を高めるため、災害発生直後に事業が停止するという想定で地震初動訓練を年2回実施しています。

また、ヤマハ設備耐震基準を制定し、当社グループが所有する建物の耐震化を進めると共に、新規設備導入時に適用しています。

グローバルでは、拠点ごとに想定される大型台風や洪水など自然災害に対して、排水設備を設置するなどの事前対策を実施しています。また、自社拠点だけでなく外部物流倉庫についても、立地や構造の見直しなどの対策を実施しています。

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

外部環境リスク

 

感染症

(リスクの説明)

製造拠点や販売拠点において国家的警戒レベルで感染症が流行した場合、事業活動が遅滞または中断し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

感染症の拡大等の緊急事態に備え、BCP・災害対策部会にてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントに取り組んでいます。

また、リスクが顕在化したときに適切な対応を迅速に行い、経営への影響を最小化するための基本方針等を「グループBCP規程」で定めています。各拠点ではBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めています。

新型コロナウイルス感染症については、BCP・災害対策総本部を設置し、各拠点の状況や製造、販売、物流、資金等の情報のとりまとめを行うとともに、在宅勤務等の感染拡大防止の取り組みや、事業への影響を最小限に抑えるための対応を行っています。

 

経営戦略リスク

 

グル|プ統制

(リスクの説明)

当社グループは、国内外に多くのグループ会社を展開しているため、グループ統制の組織設計、各種制度設計が適切に行われないことにより、権限が不明確になり、事前に承認を受けずにグループ企業が重要な決定を実施することで、事業パフォーマンスの低下や内部統制上の問題を起こすリスクがあります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

グループ企業を統制する上で、グループ経営の基本方針を定めた「グループマネジメント憲章」で定め、グループ企業が当社から事前承認を受けるべき事項を「グループ内部統制規程」で定めています。運用において確実に事前承認がなされるよう、グループ企業を統括する所轄部門において事前承認事項別、またはグループ会社別の担当者を配置し、指導に当たっています。

また、第3のディフェンスラインの機能を担う内部監査部が「グループ内部監査規程」に基づき、当社グループのガバナンス、リスクマネジメント、内部統制および業務活動全般を対象として監査を実施しています。

コンプライアンス

(リスクの説明)

当社グループの事業は、全世界の拠点において、それぞれの国における法律の適用を受け様々な規制の対象となっています。例えば、対外的投資、国家安全保障上の輸出入制限、通商規制、独占禁止規制、消費者保護、環境保護他の規制の適用を受けています。

当社グループは、コンプライアンスの実践に尽力していますが、予期せずこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの企業活動が制限され、当社グループの社会的信用やブランド価値の毀損、罰金等によるコストの増加につながる可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

グループ規程を定め、当社グループ全体として法律や規制を遵守するよう、当社から定期的にモニタリングを行っています。

また、組織のみならず従業員一人一人にコンプライアンス意識を持たせるために「コンプライアンス行動規準」を定め、研修等を通じて当社グループ全体でのコンプライアンス意識の向上を図ると共に、抑止力として、また、万一の場合の対応を迅速に行うため、グローバルベースでのコンプライアンスに関する内部通報窓口を設置しています。

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

 

経営戦略リスク

 

サステナビリティ

(リスクの説明)

近年、地球温暖化や資源枯渇などの環境問題や、格差や不平等といった社会問題が深刻化し、企業活動の基盤である地球環境・社会の持続可能性が危ぶまれています。人々のサステナビリティへの意識は急速に高まっており、企業には製品・サービスや事業プロセスなどバリューチェーン全般において環境・社会課題への対応が求められています。エシカル消費など、サステナビリティに対する顧客ニーズの高まりに対応できない場合、ブランド力、競争力の低下をもたらす可能性があります。加えて、近年ESG投資のメインストリーム化が進んでおり、サステナビリティへの対応が不十分と見なされた場合、企業価値、資金調達力の低下につながる可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

当社グループは社会の持続的発展に貢献することを「ヤマハグループサステナビリティ方針」にて定め、事業による環境や社会への影響、ステークホルダーの期待や社会要請に鑑み、中長期的に注力する「マテリアリティ」と目標を設定し、取り組みを推進しています。そしてこれらの取り組み状況を、GRIなどの国際的な開示基準に沿ってステークホルダーに積極的に示すことに努めています。

サステナビリティ推進体制を強化するため、代表執行役社長の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し、全社の方向性の議論や取り組み状況のモニタリングを行っています。また「マテリアリティ」の取り組みを加速させるために、同委員会下に、気候変動、資源循環、調達、人権・DE&I、社会・文化貢献の5つの部会を設置し、各分野の方向性の議論や取り組み状況のモニタリングを行っています。

 

M&A・事業再編

 

(リスクの説明)

当社グループは、事業の拡大のため、M&A等の戦略投資を行っています。投資決定の判断は慎重に行っていますが、事業環境の変化や投資判断時の状況との乖離などから一部または全部の投資額を回収できない、または撤退の場合に追加損失が発生するリスクがあります。このような場合、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性もあります。また、買収前に発見できなかった買収会社の持つ潜在リスクが顕在化することにより、買収後に損失が発生する可能性があります。

他社との業務提携、出資、合弁会社の設立等においても、相手先との利害の対立や相手先の事業戦略の変更等により、当初期待した効果が得られない場合があります。

 

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

投資決定にあたっては、投資効果とリスクを定性的かつ定量的に把握し、規模や重要度に応じてあらかじめ「権限規程」に則って慎重に判断を行っています。

また、戦略投資を実施した後も、買収会社については他のグループ企業と同様にその経営成績を定期的に測定し、他の事業投資についても当初計画に対する進捗状況をモニターし、必要に応じて適切な対策を講じています。

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

 

経営戦略リスク

 

経営資源配分

(リスクの説明)

当社グループは、設備投資等の既存事業への通常投資や、研究開発等への経営資源の配分を適宜行っています。

事業投資決定の判断は慎重に行っていますが、事業環境の変化や投資判断時の状況との乖離などから一部または全部の投資額を回収できない、または撤退の場合に追加損失が発生するリスクがあります。このような場合、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性もあります。

技術開発投資については、音・音楽・ネットワーク・デバイス関連技術の差別化を図ることが、当社グループの発展、成長に不可欠な要素となっていますが、これらの技術開発が、将来の市場ニーズを正しく予想し、的確に行われない場合、楽器事業では、製品付加価値の低下、価格競争に陥る恐れ、新規需要喚起ができない等の問題が生じ、音響機器事業、その他の事業では事業そのものの存続が困難となる可能性があります。

また、当社グループが保有する財務的な資産は金融市場の変動によりその資産価値の増減に影響を及ぼし、投資有価証券や土地の評価、退職給付債務及び退職給付費用等に関わる資産評価価値の減少により評価損等が発生する可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

中期経営計画において通常投資、戦略投資、株主還元の適切な配分について立案し、これに基づいた経営資源の配分を行っています。

投資決定にあたっては、投資効果とリスクを定性的かつ定量的に把握し、規模や重要度に応じてあらかじめ「権限規程」に則って慎重に判断を行っています。また、事業投資を実施した後も当初計画に対する進捗状況をモニターし、必要に応じて適切な対策を講じています。

技術開発投資については、代表執行役社長の諮問機関である技術戦略委員会を設置し、グループ全体最適の観点から開発資源が配分されるよう検討しています。

当社が保有する投資有価証券の保有方針については、「第4 提出会社の状況4 コーポレート・ガバナンスの状況等(5) 株式の保有状況」に記載しています。また、企業年金資産の保有方針については、「コーポレートガバナンス方針書」の「企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮」の項目に記載されていますのでご参照ください。

 

DX

(リスクの説明)

当社グループはデジタルトランスフォーメーション(DX)を通した新たな価値の創出と業務改革を進めています。その執行の遅延や適切に推進されないことにより、パフォーマンスが向上しない可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

代表執行役社長の諮問機関としてDX戦略委員会を設置し、全社の業務を5つの業務領域(顧客接点、企画・開発、製造、供給、会計・間接)に分け、各領域に対し3つの視点(データ、システム、業務プロセス)で整理し方針・ルールを明確化することでグループ全体での業務変革を推進しています。

また、新たな価値の創出に向け、データを集積し、分析・利活用する取り組みを行っています。

 

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

 

事業活動に係る業務プロセスリスク

 

調達

(リスクの説明)

原材料価格の上昇によるコスト増が収益を圧迫する可能性があります。また、資材・部材の特性や調達先の状況により、調達が困難となる可能性があります。当社グループの主軸事業である楽器事業では良質な木材、特に希少材も使用することから、環境変動による木材の入手困難による安定供給リスクやそれに伴うコスト増のリスクがあります。また、違法に伐採された木材が調達に紛れ込むことにより社会的信頼の低下を招くリスクもあります。

調達先に起因するリスクとして、当方に知らせず素材や製造方法を変え品質問題を起こす、アウトソース先の能力不足により製造委託品が納期通りに仕上がらない、契約品質を満たせない等が発生した場合には生産の中断や遅れにより売上収益が減少する可能性があります。

また、サプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊等が発生した場合には社会的信頼の低下によるブランド価値の棄損やそれに起因する売上収益の減少を招く可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

グローバルに分散している購買機能を集約することにより調達コストの削減を図っています。

木材調達に関しては、原産地コミュニティーと連携した持続型の希少材保全活動や、教育機関との研究連携等の様々な取り組みにより持続可能な木材利用を推進しています。違法伐採材回避のための木材デューディリジェンスも実施しています。なお、世界的な半導体不足については、調達の確保に努めると共に、設計変更を行い生産・販売への影響の低減を図っています。

また、「ヤマハグループ購買方針」に定める基準に沿ってサプライヤーを選定し、人権尊重や環境保護について定めた「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」の遵守をサプライヤーに要請、取引開始時および定期的に同行動基準の遵守状況を点検し、必要に応じて改善要請を実施しています。これらの責任ある調達活動を遂行するため、調達担当者や取引先へ研修やセミナーによる啓発を行っています。

マ|ケティング・商品企画・商品開発

 

(リスクの説明)

マーケティングについては、商品企画・商品開発とのコミュニケーション不足により商品の特徴や価値が顧客に伝わらない、ブランドコンセプトと提供サービスのミスマッチによりブランド価値が希薄化・曖昧化する、製品・サービスにおいてお客様に提供する魅力品質がお客様のニーズと一致しない、等によりヤマハのブランド価値が低下した場合には販売の減少をもたらす可能性があります。

商品企画と商品開発については、音・音楽・ネットワーク・デバイス関連技術において他社との差別化を図ることが、当社グループの発展、成長に不可欠な要素となっていますが、これらの差別化が、将来の市場ニーズを正しく予想し、的確に行われない場合、または、新規の顧客の要求と合致しない場合、製品付加価値の低下、価格競争に陥る恐れ、新規需要喚起ができない等の問題が生じ、販売の減少をもたらす可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

マーケティング戦略として、広く、深く、長く、お客様と繋がるため、ブランドプロミスを通じたブランド訴求と、デジタルマーケティングを軸にしたデジタル・リアル両面での顧客接点整備、そして、顧客情報基盤(CDP)を構築してお客さま一人一人のライフステージにフィットした価値を訴求することによるライフタイムバリュー向上への貢献に取り組んでいます。ブランドの持続的成長のため、YAMAHAブランドを共有するヤマハ発動機株式会社と「ヤマハブランド憲章」と「合同ブランド規程」を定め、当社グループにおいても一貫性ある形で効果的にブランドを表現するためのガイドラインを定めています。また、事業別・機能別組織を超えたグループ全体最適のマーケティングが行われるよう代表執行役社長の諮問機関であるLTV(※)戦略委員会を設置しています。

また、技術と顧客要求を繋ぐために、事業領域を超えてさまざまな技術を融合し、新たな価値創造を加速させています。さらに、IoTを活用し、顧客サポートに加えて、顧客起点の製品・サービスの開発を加速しています。

※LTVはライフタイムバリューの略

 

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

 

事業活動に係る業務プロセスリスク

 

生産

(リスクの説明)

製造原価の低減に絶えず取り組んでいますが、生産設備や生産管理システム等への適切な設備投資が行われないことにより、生産効率の低下を招き、製造原価を増加させる可能性があります。

また、誤った需要予測に基づいた生産体制の構築により、生産能力の過剰または不足を招き、販売機会の損失や製造原価を増加させる可能性があります。

 また、当社グループの製造拠点は主に中国、インドネシア、マレーシア、インドにあり、これらの国々での人件費の上昇が製造原価を増加させる可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

適切な経営資源の配分による設備投資とともにグローバルな生産工程の再配置により、生産能力の適正化やコストダウンを図っています。また、サプライチェーンマネジメントにおいては現在のシステムの改善による業務標準化や事業間の連携により生産計画の精度を高めています。

また、海外工場の製造プロセス自動化やIT活用による省人化により合理化を図っています。

 

取引先 

販売サイド

 

(リスクの説明)

事業を展開するそれぞれの分野で厳しい競争にさらされています。楽器・音響事業のコンシューマー向け製品の販路においては、Eコマースや広域量販店の市場プレゼンスが高まっており、当社グループとの取引が年々拡大しています。地域に根差した販路は後継者問題を含め縮小傾向にあります。また、Eコマース市場の発展により価格の透明化が進み、価格競争が激しくなっており、当社グループの現在の優位性が影響を受ける可能性があります。

 当社グループが製造・販売する半導体や自動車用内装部品等は、供給先メーカーの業績の影響を受けます。また、供給先メーカーとの間で、納期・品質等で信頼関係が損なわれた場合、その後の受注に悪影響を及ぼす可能性があります。また、品質等の欠陥によって、供給先メーカーから補償を求められる可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

地域や顧客接点(実店舗やEコマース)の拡充・多様化を進めることにより、広く、深く、長く、お客様と繋がることで特定取引先への過度な依存リスクの影響度を軽減しています。

また、市場の環境、競合関係、商品の特性などを十分に検討し、商品価値を適切に反映した卸売価格の適正化施策を進めています。既存商品の価格改定に加え、新商品導入時または新たなサービスを付加しながら付加価値を高め、適切な価格付けを行っています。

半導体や自動車用内装部品等を扱う部品・装置事業については、今後も供給先メーカーとの良好な関係の維持に努めるとともに、車載モジュールや自動車用内装部品において、新市場への参入や商材の拡大等によりリスクの分散を図っています。

 

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

 

経営基盤に係る業務プロセスリスク

 

人材・労務

(リスクの説明)

当社グループは、グローバルに事業を展開していく上で、グローバルに通用する高い専門性を備えた人材の確保が重要な経営戦略の一つであると認識し、その採用・育成に努めています。しかしながら、採用難や人材の流出等により、人材の確保ができない場合、当社グループの将来の成長が阻害される可能性があります。

また、労働環境の維持、向上が経営戦略に重要な影響を及ぼすと認識し、多様性を尊重し、働きやすい職場環境の維持、向上に努めています。しかしながら、各施策が計画通りに進捗せず、労働災害や健康被害、ハラスメント等が発生した場合には、業務パフォーマンスの悪化や労災補償、ブランド価値の毀損が発生し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、円滑な労使関係の構築に努めていますが、労使の交渉が不調に終わり、長期間に及ぶストライキが発生した場合、商品やサービスの供給が停止する等、事業活動の継続に支障をきたし、その結果、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループ人材マネジメント規程」において人材マネジメントの基本方針等を定めています。人材については、コアとなるポジションをグローバルで管理し、多様な個性やバックグラウンドを持つ従業員がその感性・創造性をいかんなく発揮できるような環境整備を推進しています。目的や対象に応じた人材育成プログラムを実施する等、優秀な人材の育成と動機づけを行い、定着を図っています。

労働環境については、「グループ安全衛生規程」において安全衛生管理の基本方針等を定めています。また「コンプライアンス行動規準」を定め、研修などを通じて当社グループ全体でのコンプライアンス意識の向上を図り、「グループ労働・人権規定」を定め、当社グループで働く全ての人材の人権が尊重される環境整備を進めています。そして、ダイバーシティの推進にも努めています。

労使関係については、「労務および労使関係に関する教育ガイドライン」においてグループ各社で実施すべき労使関係に関する教育の内容等を定め、その周知及び実施状況のモニタリングを実施しています。

 

商品・サ|ビスの品質

(リスクの説明)

当社グループの製品の品質上の欠陥に起因する事故等が発生した場合、当社グループの社会的評価の低下やそれによる売上収益の減少が予想されます。

製造物責任賠償及び一部製品の製品瑕疵に起因して被る損害については保険に加入していますが、損害賠償額が保険金額を上回る可能性や、製造物責任を伴う事故や大口のリコール等の発生による保険料率の上昇も予想されます。また、設計変更等による多額のコスト増大、当社グループの社会的評価の低下とそれによる売上収益の減少が予想されることから、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループが営む小売店舗、音楽教室、リゾート施設等における安全・衛生についても十分注意を払っていますが、万一事故が発生した場合、店舗・教室・施設等の一時休業や社会的評価の低下とそれによる売上収益の減少が予想されます。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

企業経営の軸の一つとして策定された「ヤマハクオリティ(品質指針)」の下、「グループ品質管理規程」において品質管理の基本方針等を定め、代表執行役社長の諮問機関である品質委員会にて製品法規制遵守の体制構築、重要品質問題の未然防止に繋がる仕組みの構築や改善活動の実施、法規制教育を体系化した品質人材の育成に取り組んでいます。

また、従業員への安全教育、リゾート施設や音楽教室における設備の定期的な安全点検の実施等により、商品・サービスの品質の維持・向上を図っています。

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

 

経営基盤に係る業務プロセスリスク

 

財務・税務

(リスクの説明)

当社グループは、適正で透明性の高い財務報告に努めておりますが、不適切な会計処理により財務報告に誤りがあった場合、当社グループの社会的信用の毀損につながる可能性があります。

また、当社グループは、投資有価証券、土地、退職給付債務等の時価や金利の変動影響を受ける資産及び負債を保有していますが、これらの変動が財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

なお、当社グループは、全世界で事業展開していますが、各国における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。

 

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループ会計規程」においてグループ各社及び連結における会計の基本方針等を、また「グループ財務規程」において財務管理に係る内部統制システムの構築と維持について定めています。

また、財務管理部会において、定期的に財務に関わる内部統制レベルを測定してリスクの高い領域を特定しており、グループ会社の内部統制レベルの改善目標の設定と改善支援を実施しています。

資産及び負債の時価や金利の変動への対策としては、金利変動等が退職給付債務に与える影響の検討や政策保有株式の保有意義の検証を毎年実施しています。

また、「グループ税務規程」を定め、グループ会社の税務リスクを定期的に確認し、確認結果に基づいてリスクを評価し、リスク低減活動を実施しています。

 

運輸・物流

 

(リスクの説明)

当社グループは、全世界において製造・販売を行っているため、物流コストの増加が収益を圧迫する可能性があります。

また、各地域の物流の機能の停止や逼迫により、当社グループの事業に重大な影響を与える可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループ物流規程」において物流の基本方針等を定め、グループ最適となる物流ネットワークとの構築と運用、物流業務委託事業者の選定と管理を実施し、安定的な供給の確保に努めています。

 

環境

(リスクの説明)

事業活動に対する環境保護規制は強化の方向にあり、企業の社会的責任の一つとして自主的な環境活動プログラムの実施が求められています。当社グループは、製品、梱包材、省エネルギー、産業廃棄物処理等について環境基準を上回る対策の実施に努めていますが、事故等の発生により規制物質が環境基準を超えることを完全に防止できる保証はありません。また、工場跡地等で、規制物質により土壌や地下水が汚染されている場合には、将来、売却しようとする際、多額の浄化費用が発生する、あるいは売却できない可能性があります。更に、第三者に売却済みの土地から将来規制物質が拡散し、大気、地下水を汚染し、その対策費が発生する可能性があります。

加えて環境汚染等の環境規制が厳しくなり、使える素材が極端に少なくなる、または顧客が期待する性能が実現できない、もしくは環境規制物質が製品に使われる、等の技術的な問題が生じた場合、生産の制約や賠償責任、社会的評価の低下等の損害が発生する可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループ環境規程」において環境管理の基本方針等を定めています。

温室効果ガス排出量を削減するため、生産方法や設備配置の最適化、エネルギー管理の徹底、エネルギー効率の高い設備やコージェネレーションシステムの整備、燃料転換や再生可能エネルギーの導入を進めています。また、燃料使用などによる自社施設からの直接排出と自社が購入したエネルギーの使用による間接排出、それ以外の自社バリューチェーンからの間接排出、それぞれに中長期の削減目標を設定しています。

土壌や地下水の汚染が確認されている当社グループが保有する土地及び売却済の一部の土地については、地下水の浄化措置を当社グループで継続して行っています。

また、環境規制への対応としては、環境負荷の少ない技術の開発及び製品・サービスの提供に努めています。

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

 

経営基盤に係る業務プロセスリスク

情報システム

(リスクの説明)

IT基盤(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等)の不具合による設計情報や研究成果の消失、IT基盤の陳腐化による保守切れや保守費用の増加、プロジェクト管理能力の不足・低下によるシステム開発の遅延やシステム品質の低下、システム稼働後のシステム障害の発生等、情報システムの管理体制が適切に構築されていないことによりシステム開発・保守が健全に実行されず、IT基盤が正常に稼働しないだけでなく、当社グループの事業に重大な影響を与え、あるいは社会的信用を低下させる可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループIT規程」においてIT管理の基本方針等を定め、将来に渡る情報システムの導入計画の策定、不具合発生時の対応の整備と訓練により、IT基盤の陳腐化の防止や不具合発生時の速やかなシステム復旧等、情報システム管理体制の維持・向上を図っています。

 

情報漏洩

(リスクの説明)

当社グループは、様々な経営及び事業に関する重要情報や、多数の顧客情報等の個人情報を保有しています。万一これらの情報が誤って外部に漏洩した場合には、第三者に損害を与えるだけでなく、当社の事業に重大な影響を与え、あるいは社会的信用を低下させる可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループIT規程」及び「グループ個人情報保護規程」において情報管理の基本方針等を定め、外部からの攻撃による情報漏洩に対してはウェブサイトの脆弱性の特定・改善の指導等により、内部からの情報漏洩に対しては現状の管理体制の把握、従業員への計画的なセキュリティ意識向上のための教育等を行うことで、情報セキュリティ部会が組織的なセキュリティ管理体制の維持・向上を図っています。

また、「グループ文書管理規程」において文書管理の基本方針等を定め、開示範囲に基づいて指定した機密区分に応じた安全確保のための対策を実施しています。

広報

(リスクの説明)

当社グループは、統合報告書をはじめとして、ステークホルダーに対し積極的に会社情報の開示に努めていますが、開示に関わる問題(適時開示漏れ、開示内容の不備等)を起こす可能性があります。

また、マスコミ対応・クレーム対応の失敗、事実誤認による報道やSNSでの誤った情報の拡散、誤解を招く広告やウェブでの表示等により、事業へ損失を与える、またはブランド価値を毀損する可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「コーポレートガバナンス方針書」において適切な情報開示を定めています。また、「グループ広報規程」において広報活動の基本方針等を定め、公正・正確・透明性の原則、情報の適切な活用と発信、広報体制の構築、緊急時における広報対応等、グループ全体で一貫性のある広報活動を実施しています。

また、危機が発生した際の広報対応の基本指針や対応手順、留意点を示した「危機管理広報ガイドライン」を制定し、当社及びグループ企業の評判や企業価値へのダメージを最小限に食い止めるための対策を講じています。

 

 

 

リスク分類

リスク

項目

当社のリスク認識

 

経営基盤に係る業務プロセスリスク

 

知的財産

(リスクの説明)

当社グループは、独自技術についての特許等の知的財産権、業務遂行上取得したノウハウを保有しておりますが、その一部は、特定地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、または限定的にしか保護されない状況にあります。第三者が当社グループの知的財産権を利用することを、効果的に防止できない可能性があります。その結果、当該第三者の製造した類似品、模倣品が市場に出回ることにより当社グループ製品の販売に支障をきたす可能性があります。また、予期せず当社グループの製品が第三者から第三者の知的財産権を侵害しているとされる場合があり、その結果、これを利用した当社グループ製品が販売できなくなる可能性があります。

当社グループは、製品の重要な部分のいくつかについて第三者から知的財産権のライセンスを受けております。ロイヤリティの上昇は、製造コストの増大を招き価格競争力に影響が出るほか、ライセンスを受けられなくなった場合、当該製品の製造ができなくなる可能性があります。

(中期経営計画の方針・重点テーマとの関連性)


(リスク対策)

「グループ知的財産規程」において知的財産権管理の基本方針等を定め、当社グループに帰属する知的財産については、保護対象となる知的財産権のリスト化、独自技術の権利化や不正使用発見時の対応ルール等の整備や運用を進めています。第三者の知的財産権の侵害については、研修実施による従業員の意識啓蒙、業務プロセスにおける事前確認の導入・整備等を進めています。

 

 

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、その性質上、実際の結果と異なる可能性があります。

重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績

当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年に大きく落ち込んだ世界経済は、ワクチン接種の進展、各国の財政・金融政策の効果により回復基調となりました。一方で、半導体不足やサプライチェーンの混乱、資源価格の高騰などが成長の足かせとなり、加えて年度末からのロシアによるウクライナ侵攻の影響により、依然として先行きが不透明な状況が続いています。国内においてもオミクロン株による感染再拡大に直面し、未だ収束の見通しが立たない中、様々な制約の下で企業活動を継続するために、感染拡大防止と社会経済活動の両立が大きな課題となりました。

このような環境の中で当社グループは、中期経営計画「Make Waves 1.0」において、「顧客・社会との繋がりを強化し、価値創造力を高める」ことを基本戦略として掲げ、4つの重点戦略を進めてきました。新型コロナウイルスの感染拡大による社会活動の制約やサプライチェーンの混乱による事業活動への甚大な影響から財務目標は未達となりましたが、「顧客ともっと繋がる」「新たな価値を創造する」「生産性を向上する」「事業を通じて社会に貢献する」といった各重点戦略は着実に進捗し、前中期経営計画で初めて掲げた非財務目標につきましては、コーポレートブランド価値、新興国の器楽教育普及、認証木材使用率のいずれも達成しました。

「顧客ともっと繋がる」につきましては、お客様の購買行動も大きく変化する中、ライフタイムバリュー(LTV)戦略として、顧客接点の強化と商品・ブランドの価値伝達の仕組み作りを進めました。接点の一つである顧客体験の場では、ブランドの世界観を伝え、またヤマハの製品を実際に手に取って良さを感じ取っていただくための体験型ブランドショップとして、銀座店に続き名古屋店をリニューアルオープンしました。同時にeコマースやSNSの拡大にも対応し、リアルとオンラインの両方のアプローチでお客様への直接の価値訴求を加速させました。また、車載オーディオの中国自動車メーカーの採用獲得など、ドメインの拡大も進みました。

「新たな価値を創造する」につきましては、デジタルサックス「YDS-150」とギターアンプ「THR30ⅡA Wireless」のデザインが高い評価を受け、ともに「アジアデザイン賞2021」を受賞しました。また、ビジネスや教育の場で良質な遠隔コミュニケーションを実現するスピーカーフォン「YVCシリーズ」、ライブやコンサート、スポーツ観戦など様々なイベントをリモートで盛り上げる「Remote Cheerer」、安心・安全な形でライブを実施できるよう支援する次世代ライブビューイングの「Distance Viewing」など、社会課題を解決する様々な商品やサービスを提案しました。

「生産性を向上する」につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による稼働停止や混乱に加え、遠隔支援を余儀なくされたことにより計画に対し遅れは生じたものの、生産管理の標準化、スマートファクトリー化が進展、インドでは新たな工場を立ち上げ、生産能力・モデル数を拡大しました。また、コロナ禍をきっかけに、新たな働き方の促進と様々な手続きの電子化による業務効率化を加速させることができました。

「事業を通じて社会に貢献する」につきましては、「新興国の器楽教育普及累計100万人」の目標に対し、累計129万人を達成しました。音楽普及の取り組みの成果として、サウジアラビアに同国初の公認音楽教育施設として「ヤマハ音楽教室リヤド校」を2021年11月に開校しました。また、「認証木材使用率50%」についても目標を上回る52%を達成しました。

中期経営計画「Make Waves 1.0」における2022年3月期の経営目標「事業利益率 13.8%」「ROE 11.5%」「EPS 270円」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、当連結会計年度においてそれぞれ10.5%、9.2%、214円79銭となりました。

 

(イ)セグメントごとの売上収益の状況

当連結会計年度の売上収益は、半導体調達難および物流の混乱などによる商品供給不足が継続したものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響からの回復が進んだことで、前期に対し355億66百万円(9.5%)増加の4,081億97百万円となりました。

 

楽器事業は、音源LSIなどの半導体調達難および物流の混乱などによる商品供給不足が継続したものの、市況の回復に伴い、前期に対し371億72百万円(15.6%)増加の2,761億53百万円となりました。

商品別では、ピアノは、新型コロナウイルスの感染再拡大による影響があるものの、市況の回復や商品の供給が進んだことにより増収となりました。電子楽器は、半導体調達難により商品供給が不足したものの、活動制限の緩和で音楽イベントが再開され、旺盛な需要が続き増収となりました。管楽器は、各地で吹奏楽活動が再開され市況が回復し増収となりました。ギターは、ステイホーム需要が落ち着きを見せるものの、市況は概ね堅調であり増収となりました。

 地域別では、日本は、学校での吹奏楽活動が制限され、需要の回復が遅れている管楽器や、ステイホーム需要が落ち着きを見せるギターは減収となったものの、商品の供給が進んだピアノや、堅調な需要が続く電子楽器により、全体では増収となりました。北米及び欧州は、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せ、市況が回復したことにより、全ての商品カテゴリーで増収となりました。中国は、半導体調達難による商品供給不足の影響で電子楽器は減収となったものの、他地域に先駆けて従来の成長軌道に回帰し、全体では増収となりました。その他の地域では、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響はあるものの、地域全体として市況の回復が続き増収となりました。

 

 音響機器事業は、需要の回復傾向にありながらも、半導体調達難の影響を大きく受けたことにより、前期に対し68億89百万円(6.6%)減少の969億24百万円となりました。

 商品別では、オーディオ機器は、需要が堅調に続くものの、半導体調達難による商品供給不足の影響もあり、全体では減収となりました。業務用音響機器は、ライブ市場や設備市場が回復し、増収となりました。ICT機器は、半導体調達難による商品供給不足の影響や、会議システムの高成長に落ち着きが見えたことにより、減収となりました。

 

その他の事業の売上収益は、市況の回復に伴い、前期に対し52億82百万円(17.7%)増加の351億19百万円となりました。

部品・装置事業では、電子デバイスは、中国自動車メーカー向けの車載向けヤマハブランドオーディオをはじめとする車載製品が順調に販売を伸ばし、増収となりました。自動車用内装部品は、需要が堅調に推移したことにより増収となりました。FA機器は、半導体調達難による投資案件の延期や減少の影響を受け、減収となりました。

 

(ロ)売上原価と販売費及び一般管理費

売上原価は、前期に対し237億55百万円(10.3%)増加の2,534億76百万円となりました。売上原価率は、前期から0.5ポイント上昇し62.1%となりました。

売上総利益は前期に対し、118億10百万円(8.3%)増加の1,547億20百万円となりました。売上総利益率は、前期から0.5ポイント下落し37.9%となりました。

また、販売費及び一般管理費は、前期に比べ95億9百万円(9.3%)増加し、1,117億8百万円となりました。売上収益販売管理費比率は、前期と同様27.4%となりました。

 

 

(ハ)事業利益

事業利益は、前期に対し23億1百万円(5.7%)増加の430億12百万円となりました。
 報告セグメントごとの事業利益では、楽器事業は、為替のプラス影響66億円を含め、前期に対し48億99百万円(15.1%)増加の373億17百万円となりました。音響機器事業は、為替のプラス影響9億円を含め、前期に対し55億31百万円(78.3%)減少の15億36百万円となりました。その他の事業は、前期に対し29億32百万円増加の41億58百万円となりました。
 要因別には、販売管理費の増加(75億円)や、海上運賃の上昇(65億円)等の減益要因があったものの、増収増産(110億円)や為替影響(76億円)等の増益要因により、前期に比べ増益となりました。

(注)事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものです。

 

(ニ)その他の収益及びその他の費用

その他の収益は、前期に対し56億49百万円(295.9%)増加の75億58百万円となりました。その他の費用は、前期に対し63億30百万円(83.5%)減少の12億50百万円となりました。その他の収益は、売買目的で保有する資産の売却による固定資産売却益47億円を計上したことにより増加しました。

 

(ホ)金融収益及び金融費用

金融収益は、前期に対し24億26百万円(72.1%)増加の57億92百万円となりました。金融費用は、前期に対し7億98百万円(61.2%)増加の21億2百万円となりました。

 

(ヘ)税引前当期利益

税引前当期利益は、前期に対し159億8百万円(42.9%)増加し530億10百万円となりました。売上収益税引前当期利益率は、前期から3.0ポイント上昇し13.0%となりました。

 

(ト)法人所得税費用

法人所得税費用は、前期に対し52億69百万円(50.7%)増加の156億63百万円となりました。主として、税引前当期利益の増加により増加となりました。

 

(チ)親会社の所有者に帰属する当期利益

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に対し106億40百万円(40.0%)増加の372億55百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期の151円39銭から214円79銭となりました。

 

(リ)為替変動とリスクヘッジ

海外子会社の売上収益は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前期に対し約6円円安の112円となり、前期に対し約58億円の増収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前期に対し約7円円安の131円となり、前期に対し約41億円の増収影響となりました。また、人民元など、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に対し約106億円の増収影響となり、売上収益全体では、前期に対し約205億円の増収影響となりました。

また、事業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外子会社の事業利益の換算等により、約8億円の増益影響となりました。ユーロの決済レートは、前期に対し約10円円安の131円となり、約36億円の増益影響となりました。また、他の通貨を含めた全体では前期に対し約76億円の増益影響となりました。 

 

 

(ヌ)生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

230,138

129.2

音響機器

93,454

97.1

その他

32,076

116.4

合計

355,669

117.8

 

(注) 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

 

(b) 受注実績

当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

276,153

115.6

音響機器

96,924

93.4

その他

35,119

117.7

合計

408,197

109.5

 

(注) 金額は外部顧客に対する売上収益であります。

 

② 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の5,576億16百万円から233億10百万円(4.2%)増加し、5,809億27百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末から615億73百万円(20.4%)増加し、3,626億76百万円となり、非流動資産は、382億62百万円(14.9%)減少し、2,182億50百万円となりました。流動資産では、現金及び現金同等物が増加し、棚卸資産は、半導体部品不足等に起因する一部製品の生産遅れにより原材料が増加したことに加え、為替変動の影響により増加しました。非流動資産では、投資有価証券の売却により、金融資産が減少しました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の1,606億67百万円から43億32百万円(2.7%)増加し、1,649億99百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末から252億61百万円(25.0%)増加し、1,261億14百万円となり、非流動負債は、前連結会計年度末から209億29百万円(35.0%)減少し、388億84百万円となりました。投資有価証券の売却により、流動負債では未払法人所得税が増加し、非流動負債では繰延税金負債が減少しました。また、退職給付信託への拠出により、退職給付に係る負債が減少しました。

 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の3,969億49百万円から189億78百万円(4.8%)増加し、4,159億27百万円となりました。自己株式の取得及び配当金の支払いにより減少したものの、当期利益の計上により利益剰余金が増加したことに加え、為替変動の影響によりその他の資本の構成要素が増加したことで、全体では増加となりました。また、自己株式の消却を行い、資本剰余金及び利益剰余金が減少しました。

 

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比べ431億50百万円増加(前期は366億73百万円増加)し、期末残高は1,724億95百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主として税引前当期利益により、360億16百万円(前期に得られた資金は582億25百万円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は、主として投資有価証券の売却及び償還による収入により、437億7百万円(前期に使用した資金は57億85百万円)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、主として自己株式の取得による支出と配当金の支払いにより、444億26百万円(前期に使用した資金は206億2百万円)となりました。

 

(イ)資金需要

当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。

当連結会計年度の設備投資額は、前期の112億60百万円から35億75百万円(31.8%)増加し、148億35百万円となりました。設備の更新改修を中心として減価償却費(121億23百万円)を超える設備投資を行いました。

研究開発費は、前期の241億89百万円から1億57百万円(0.7%)減少し、240億32百万円となりました。売上収益研究開発費比率は前期の6.5%から0.6ポイント減少し、5.9%となりました。

 

(ロ)資金調達

運転資金及び設備投資資金について、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてグループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しています。また、一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、「感動を・ともに・創る」を企業理念に掲げています。これを支えるために、「技術×感性(ヤマハらしさ)」で新たな価値を創造するべく、コア技術の更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、アコースティック技術、デジタル技術、感性評価技術、解析・シミュレーション技術、製造技術等、音そのものに留まらず、基礎から応用まで、音の活用を支える技術分野に大きく広がっています。

当連結会計年度は、「本質×革新」を追求するために、「飽くなき表現力の向上」、「感性を科学する」、「イノベーションの創出」、「AIによる技術革新」をテーマに研究開発を進めました。

「飽くなき表現力の向上」では、当社グランドピアノのフラッグシップである「CFX」の新モデルを開発いたしました。

「感性を科学する」では、ギターを始めとする楽器事業領域、スピーカー等の音響機器事業領域から、ゴルフの打音まで、幅広い分野で技術の蓄積が進みました。

「イノベーションの創出」では、当社が保有する様々な技術の融合により、世界初の言葉をメロディーにのせて会話するロボット「Charlie」を開発いたしました。

「AIによる技術革新」では、当社が参加した「だれでもピアノ」や「Dear Glenn」等の取り組みが高い評価をいただきました。

当社グループの研究開発体制は、楽器事業については当社楽器事業本部、及びYamaha Guitar Group, Inc.の開発部門、音響機器事業については当社音響事業本部、NEXO S.A.、Steinberg Media Technologies GmbH、Yamaha Unified Communications, Inc.の開発部門、その他の事業については当社電子デバイス事業部、ゴルフHS事業推進部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社技術本部研究開発統括部が担う形で構成しております。

当連結会計年度におけるセグメントごとの主な成果は次のとおりであります。
 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は24,032百万円であります。

 

(1) 楽器事業

当セグメントでは、アコースティック技術やデジタル・エレクトロニクス技術など幅広い技術を融合し、個性際立つ商品を開発しております。

ピアノ関連では、2010年に発売したコンサートグランドピアノ「CFX」の次世代モデルを開発しました。新しい「CFX」では、「私と、響き合う。」を製品のコンセプトに掲げ、「演奏者がピアノと一体になり、意のままに謳い奏でる」ことのできるピアノを目指しました。一体感のある演奏を実現する新たな設計思想「ユニボディコンセプト」のもと、「CFX」に適した独自の木材改質技術「A.R.E.」技術を用いて木材の内部応力を開放させると同時に、含水率を下げることで振動減衰を抑制した曲練支柱(まげねりしちゅう)により、打弦した時に生じる伝達エネルギーのロスを最小限に抑えました。また、剛性を最適化しかつ軽量化を実現した新たなリブ形状と飾り輪の配列を採用したフレームにより開放的な響きを、新たな湾曲構造(クラウン)を採用することで響き・伸び・太さのある中低音を、さらに響棒の幅、高さ、えぐり位置を変更した響板により、幅広いダイナミックレンジを実現しました。そのほか、各パーツの素材や構造、加工方法を最適化しました。

管弦打楽器関連では、電子ドラム「DTX Drums」の新製品として、「DTX10シリーズ」「DTX8シリーズ」を開発しました。今回開発した「DTX10シリーズ」および「DTX8シリーズ」は、ドラマーが求める理想のアコースティックサウンドと演奏感、デザイン、そして利便性とその操作性を徹底的に追求した電子ドラムのハイエンドモデルです。音質や表現力を最大限に追求し、トップドラマーが著名なスタジオで録音した本物のドラムサウンドに加え、そのスタジオでのみ生まれる音の広がりや空気感といったアンビエンスも録音、搭載しました。自宅での練習だけでなく、レコーディングやライブパフォーマンスにも最適な高い演奏性と機能性を持ち合わせ、無料アプリ「Rec'n'Share」を活用することで昨今ニーズが拡大しているSNSへの演奏動画投稿を簡単に行うこともできます。

 

また、サイレントベースの新商品として、「SLB300PRO」を開発しました。当社が開発した「サイレントベース」は、2000年の発売以来、演奏性、可搬性やステージでの使い勝手の良さが評価され、プロの演奏者・ハイエンドアマチュアによるステージ演奏、レコーディングや音楽制作などに幅広く使用されています。「SLB300PRO」は、限りなくアコースティックベースに近い音質、演奏感を実現した「SLB300」をさらに進化させ、上質なジャズシーンに相応しいプレミアムな外観、仕様そして性能を実現したハイエンドモデルです。当社独自の、アコースティック楽器の共鳴胴による響きをリアルタイムで再現する「SRT(Studio Response Technology)パワードシステム」に加え、弦の振動を伝達するブリッジには以前に限定モデルとして販売した「SLB200LTD」で好評だった木材改質技術「A.R.E.」技術を採用し、アコースティック楽器と錯覚するような高品質なサウンドを実現しました。

ギター関連では、エレキギター「REVSTAR(レヴスター)シリーズ」の新製品を開発しました。新しい「REVSTARシリーズ」は、ヨーロッパの街中を疾走するカフェレーサーのコンセプトはそのままに、現代ギタリストのニーズに応える音、デザイン、演奏感を追求し、6年ぶりにフルモデルチェンジした製品です。全てのモデルに「アコースティック・デザイン」をもとにしたチェンバー加工を採用したことにより、鳴りの向上、軽量化、重量バランスの最適化を実現しています。また、Yamaha Guitar Group, Inc.が Line 6 ブランドのギターアンプ新製品「Catalyst(カタリスト)シリーズ」を開発しました。Line 6 ブランドのギターアンプは、その卓越したモデリング技術による高品位なギターアンプモデルとエフェクトから、世界中の多くのギタリストに愛用されてきました。新たに開発した「Catalystシリーズ」は、世界中のミュージシャンから高い評価を得ている同社独自のサウンド開発技術「HXサウンド・デザイン技術」を駆使し、ピュアなクリーンからモダンなハイゲインまで、6種類のオリジナル・アンプ・サウンドを搭載しています。

 電子楽器関連では、電子キーボード「PSRシリーズ」の新製品として、「PSR-E473」を開発しました。「PSR-E473」では、音源LSIとソフトウェアを新規に開発し、プロモデルさながらのサウンドクオリティを実現しました。高品位な820音色と290種類のスタイル(自動伴奏)、さらに53種類のエフェクトを搭載しています。ギターのスクラッチノイズなど楽器固有の奏法による演奏音をリアルに再現する「スーパーアーティキュレーションライトボイス」も搭載し、より本格的な表現を楽しむことができます。

 また、これまでの楽器の枠を超えた新商品として、世界初となる、言葉をメロディーにのせて会話するコミュニケーションロボット「Charlie」を開発しました。「Charlie」は、言葉をメロディーにのせてユーザーとコミュニケーションをとる、「うたロボ」です。当社が持つボーカロイド技術や自動作曲技術等を活用し、ユーザーが話しかけると、「おはよう」や「ありがとう」等の言葉はもちろん、日常での相談事や雑談等もミュージカルのようにメロディーにのせて返答します。歌で返答することによって、ユーザーの気持ちをリラックスさせ、心を温めるようなコミュニケーションができるのが特長で、日常生活に「聴く」「演奏する」以外の「音楽との新しい関わり方」をもたらします。

 なお、デジタルサックス「YDS-150」が「Red Dotデザイン賞」の最高賞である「Best of the Best」、「iFデザインアワード プロダクトデザイン部門」、「アジアデザイン賞2021」の最高賞である「Grand Award」を、ギターアンプ「THR-Ⅱ」が「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2021」、「iFデザインアワード プロダクトデザイン部門」、「アジアデザイン賞2021」の「Gold Award」を、カジュアル管楽器「Venova YVS-120/YVS-140」が、「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2022」を、当社がデザインを手掛けたギタースツール「solo(ソロ)」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました。また、「AIを用いた技術革新」により、当社が、AIと人間の共創を追求するため取り組んだプロジェクト「Dear Glenn」が、「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」において、「エンターテインメントライオンズ・フォー・ミュージック」部門の「シルバー」を、当社と国立大学法人東京藝術大学COI拠点が共同開発した自動伴奏追従機能付きのピアノ「だれでもピアノ」が、科学技術イノベーション(Science, Technology and Innovation:STI)を用いて社会課題を解決する地域における優れた取り組みを表彰する「STI for SDGs」アワードで文部科学大臣賞を受賞しました。

 楽器事業の研究開発費は9,837百万円であります。

 

 

(2) 音響機器事業

当セグメントでは、遠隔コミュニケーションの多様化など社会の変化にも対応しながら、幅広いニーズに応える商品を開発しております。

AV機器関連では、AVレシーバー「AVENTAGE(アベンタージュ)」の上位モデル「RX-A8A」「RX-A6A」「RX-A4A」を開発しました。「RX-A8A」「RX-A6A」「RX-A4A」は、約3年の開発期間をかけ筐体・回路構成を一新、最新鋭パーツを投入することによりオーディオの本質=音を妥協なく追求し、新世代のAVエンターテイメントを圧倒的なクオリティで楽しむことができるモデルです。制振性能を高めたAVENTAGEの象徴である「5番目の脚」をはじめ、自然な音場再現を実現したヤマハ独自のサラウンド機能「SURROUND:AI(サラウンド エーアイ)」を搭載し、3Dサラウンドフォーマット 「AURO-3D」にも新たに対応しました。また、イヤホンの新モデルとして、完全ワイヤレスBLUETOOTHイヤホン「TW-E5B」を開発しました。当社のメカ・音響技術を存分に盛り込んだ筐体設計、耳への装着性を高めながら音の劣化を抑えるハウジングデザインなどにより、アーティストの想いや演奏をより身近に感じることのできる音体験「TRUE SOUND」を実現しています。さらに小さな音量でも情報量を損なわずにバランスを最適化する耳にやさしい独自機能「リスニングケア」も搭載しました。

業務用音響機器関連では、SR用パワードスピーカーシステム「DHRシリーズ」およびパッシブスピーカーシステム「CHRシリーズ」を開発しました。「DHRシリーズ」は、業務用スピーカーとして手頃な価格帯でありながら、キャビネットには「DZRシリーズ」「CZRシリーズ」と同じ木製合板を使用し、塗装には優れた耐傷性を誇るポリウレア塗装を採用しています。また、メインスピーカー用途に最適な15インチモデル「DHR15」やフロアモニター用途に最適な12インチモデル「DHR12M」、固定設備やユーティリティ用途に最適な10インチモデル「DHR10」など、多様な用途や設置状況に応じて最適化した3モデルをラインアップしています。「CHRシリーズ」は、「DHRシリーズ」とエンクロージャーや主要コンポーネントを共通仕様にしたパッシブSRラウドスピーカーです。「DHRシリーズ」と同様に、15/12/10インチユニットを搭載した3モデルをラインアップしています。また、電子楽器のモニターに最適なコンパクトサイズのパワードモニタースピーカー 「MS101-4」を開発しました。今回開発した「MS101-4」は、フロントパネルにマイク入力(コンボジャック)を搭載し、コンパクトなバスレフ型キャビネットに4インチのフルレンジスピーカーを採用した、電子楽器のモニターとして最適なパワードモニタースピーカーの新モデルです。バスレフポートを背面に配置したことや、軽量な素材を採用したことで、前モデル「MS101-3」からコンパクト化(筐体高さ21.4cm→19.6cm)および軽量化(質量2.5kg→2.1kg)しています。さらに、刷新したパワーアンプにより定格出力30W(前モデルは10W)、最大出力音圧レベル115dB SPLを実現しています。また、Dante・USB対応のI/Oラック「RUio16-D」を開発しました。「RUio16-D」は、コンパクトなハーフラックサイズの筐体に、Dante対応の16イン16アウトやWindows/macOSに対応するUSB、2系統のアナログ入出力、ヘッドホン端子を備えたインターフェースです。PCとUSB接続し、同梱されたVSTプラグイン用ホストソフトウェア「VST Rack Pro」を通じて、当社「QLシリーズ」などのDante対応のデジタルミキサーへ簡単にVSTプラグインの機能を追加することができます。アナログ入力も搭載しているので、アナログミキサーやマイクなども接続が可能です。ソフトウェア上で安定したプラグイン環境を自由に構築・レイアウトができる「VST Rack Pro」と、コンパクトかつマルチなインターフェース「RUio16-D」を組み合わせて、ライブ会場で使用されるハイクラスのデジタルミキサーにもVSTプラグインを追加することで、アーティストがレコーディング時に使用するVSTプラグインを、ライブでも再現することができます。

音楽制作機器・ソフトウェア関連では、Steinberg Media Technologies GmbHが「Cubase(キューベース)12」を開発しました。「Cubase 12」は、作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミキシングなどをサポートする総合音楽制作ソフトウェアの最新バージョンです。今回のバージョンアップでは、新たなライセンスシステム「Steinberg Licensing」の導入により、ドングルにとらわれないライセンス管理が出来るようになったほか、サードパーティMIDIコントローラーとの連携強化やオーディオワープ機能の向上など、より快適なワークフローの実現を可能とするアップデートが多数施されています。
 

 

ネットワーク機器関連では、インテリジェントL2スイッチ「SWX2320シリーズ」とスタンダードL3スイッチ「SWX3220シリーズ」を開発しました。今回開発したインテリジェントL2スイッチ「SWX2320-16MT」「SWX2322P-16MT」は、「SWX2310シリーズ」の機能を継承し、1Gbpsを超える高速なLANポートとPoE++ (IEEE 802.3bt) 給電に対応したモデルです。今後導入が進むWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応した無線LANアクセスポイントへの給電、高速なLANポートを搭載したアクセススイッチの収容など、中規模ネットワークのフロアスイッチとして活用することができます。また、スタンダードL3スイッチ「SWX3220-16MT」「SWX3220-16TMs」は、「SWX3200シリーズ」の機能を継承し、1Gbpsを超える高速なLANポートを搭載したモデルです。従来のLANポートを多数搭載したモデルに加え、SFP/SFP+スロットを多数搭載したモデルを揃えたことで、収容距離と収容数に合わせたモデルを選ぶことができ、中規模ネットワークのコアスイッチ、ディストリビューションスイッチとして活用することができます。両シリーズとも、当社初となる10ギガビット/マルチギガビット対応で、高速・大容量が望まれる中規模の基幹ネットワーク増強に最適です。

音声コミュニケーション機器関連では、遠隔会議用ワンスストップソリューション「ADECIA」の新ラインアップとして、テーブルトップアレイマイクロフォン「RM-TT」を開発しました。「RM-TT」は、遠隔会議用プロセッサー「RM-CR」やDante/PoE対応ラインアレイスピーカー「VXL1-16P」、PoE給電対応のネットワークスイッチ「SWR2311P-10G」と組み合わせることで、快適かつ簡単な遠隔会議を可能にする「ADECIA Tabletop Solution」を提供します。従来のシーリングアレイマイクロフォン「RM-CG」に加え、コンパクトでありながら話者の声を逃さず収音する有線方式のテーブルトップアレイマイクロフォン「RM-TT」が、会議室のレイアウト変更や会議参加人数を考慮した効率的な会議運用など、多様化する遠隔会議スタイルにより柔軟に対応します。「RM-TT」は、マイク本体とPoEスイッチとLANケーブルで接続するだけで机上へ簡単に設置することができ、天井への「RM-CG」の設置が難しい会議室でも導入が可能です。加えて、「ADECIA」ソリューションの特長の一つである、遠隔会議用プロセッサー「RM-CR」を組み合わせた簡単自動設定・自動音響調整機能を使用することで、会議様式に合ったマイクロフォンを選びつつ、設置・調整に必要とされてきた音響に関する知識や経験が少ない場合でも、調整時間の最小化を実現します。

なお、ワイヤレスヘッドホン「YH-L700A」が、ドイツのデザイン賞「Red Dotデザイン賞プロダクトデザイン2022」を、リモート応援システム「Remote Cheerer」が「CEATEC AWARD 2021」において「デジタルトランスフォーメーション(DX)部門 グランプリ」を、次世代ライブビューイング「Distance Viewing」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン賞」を受賞しました。

 音響機器事業の研究開発費は10,236百万円であります。

 

(3) その他の事業

 電子デバイス事業関連では、開発した「車載向けヤマハブランドスピーカーシステム」が吉利汽車(Greely)の「ZEEKR 001」に採用され、自動車市場へのデビューを果たしました。楽器の音が輝きを放つ、いつも聴いている曲なのに新しい発見がある、フルカスタムで開発したヤマハのサウンドシステムが、「ZEEKR 001」の切り開くドライビング体験を華やかに彩ります。

 ゴルフ事業関連では、「RMX(リミックス)」の新モデルとして、これまでの常識を覆す性能やテクノロジーを搭載した「RMX VD(リミックス ブイディー)」シリーズを開発しました。ドライバーは、すべてのゴルファーがスクエアなインパクトを実現できる、慣性モーメントの変わらない世界初の弾道調整「RMX VDウェイトシステム」を搭載しました。アイアンは、革新的な形状により業界最大級の横慣性モーメント4,000g・cm²を実現し、飛距離ロス・方向ブレが激減する「RMX VD 40」や、ツアープロが求めるスピン性能と飛距離・安定性を両立した「RMX VD」などをラインアップしています。さらに、フェアウェイウッドは飛距離向上のための高機能素材を採用し、ボール初速が飛躍的に向上しています。

 その他の事業の研究開発費は3,959百万円であります。

 

 当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は2,298件であります。