第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における日本経済は、企業収益は改善傾向にあるものの、中国経済の減速、米国の利上げによる新興国への影響懸念、また、年明け以降は円高や株価の下落が進行するなど先行き不透明な状況で推移しました。

このような経営環境のもと、当社グループは「グローバルブランドを確立する」、「音楽文化の普及に貢献する」、「お客様や株主の皆様からの高い信頼を得る」、「収益性を高め継続的な発展を目指す」を長期ビジョンとした、当連結会計年度が最終年度となる「第4次中期経営計画」(平成26年3月期~平成28年3月期)の遂行により企業価値の向上に取り組んでまいりました。

当連結会計年度においては、国内外で最高級グランドピアノ『Shigeru Kawai』を軸とした高付加価値商品の販売拡大に注力し、学研グループとのアライアンス強化、また新たにオンキヨー株式会社と資本業務提携契約を締結し、事業の拡大、経営の効率化に努めてまいりました。
 国内では、営業体制を刷新し、教室・販売・アフターサービスを一体化した地域ユニット体制による営業活動を展開するとともに、中核都市への店舗戦略として大宮・横浜・広島の直営店舗をそれぞれ移転・リニューアルしました。
 海外においては、好調なデジタルピアノのさらなる拡販に取り組むとともに、新興国におけるピアノの普及価格帯モデルの販売拡大などの施策を進めました。また、販売基盤の強化に向けて、米国・ヒューストンに海外初の直営店をオープンし、ロシア・モスクワにはショールームをオープンいたしました。重要市場である中国においては、楽器販売・調律・音楽教育などの事業の構築・拡大を統括する子会社を本年5月中の設立に向けて手続きを進めています。また「河合音楽教育・中日友好交流基金」を通じて中日友好交流コンサートを日中両国で開催し、カワイブランドの認知拡大や信頼性の向上に努めました。

これらの結果、当社グループの売上高は、国内・海外での楽器販売の増加などにより、69,258百万円(前年同期比 2,916百万円増)となりました。営業利益につきましては、2,661百万円(前年同期比 1,105百万円増益)となり、経常利益は 2,628百万円(前年同期比 688百万円増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,797百万円(前年同期比 743百万円増益)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

①楽器事業

楽器事業は、国内では販売力の強化、活動の効率化により『Shigeru Kawai』を中心にピアノの販売が増加し、デジタルピアノについても主力のCNシリーズや木製鍵盤搭載モデルCAシリーズが好調に推移し販売が増加しました。

海外においては、ピアノは普及価格帯GLシリーズの発売により北米や中国を中心に販売が伸び、デジタルピアノについては中国を中心に販売が増加しました。

この結果、売上高は為替影響もあり 38,640百万円(前年同期比 3,678百万円増)となり、営業利益は 997百万円(前年同期比 1,038百万円増益)となりました。

 

②教育関連事業

教育関連事業は、重点戦略であるピアノコースの拡大や、教室の新設、運営効率の改善など収益性を重視した活動や、学研グループとのアライアンスに積極的に取り組みました。

その結果、生徒数の減少などにより、売上高は 16,603百万円(前年同期比 30百万円減)となりましたが、営業利益は 894百万円(前年同期比 19百万円増益)となりました。

 

③素材加工事業

素材加工事業は、金属事業における半導体の受注減少などにより、売上高は 10,286百万円(前年同期比 1,004百万円減)となりましたが、CVT(無段変速機)関連部品の受注が堅調だったことや、塗装事業における自動車内装部品の受注増加、生産効率の向上などにより、営業利益は 881百万円(前年同期比 144百万円増益)となりました。

 

④情報関連事業

情報関連事業は、売上高は 3,532百万円(前年同期比 289百万円増)となりましたが、前連結会計年度に高収益の販売があったことにより、営業損失は 18百万円(前年同期比 91百万円減益)となりました。

 

⑤その他

その他の事業は、金融関連事業、保険代理店等の事業で構成されており、売上高は 194百万円(前年同期比 17百万円減)となり、営業損失は 15百万円(前年同期比 8百万円改善)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益 2,727百万円、減価償却費 1,621百万円、法人税等の支払額 860百万円などにより、3,661百万円の資金増加(前年同期は 1,835百万円の資金増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出 3,695百万円などにより 4,055百万円の資金減少(前年同期は 1,613百万円の資金減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加による収入 1,016百万円、長期借入れによる収入 2,000百万円、株式の発行による収入 1,014百万円などにより 2,868百万円の資金増加(前年同期は 1,515百万円の資金減少)となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

23,851

109.8

教育関連

541

105.4

素材加工

10,494

92.6

情報関連

201

92.5

合計

35,088

103.9

 

(注) 1. 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 商品仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

10,052

110.4

教育関連

507

91.7

素材加工

190

82.9

情報関連

3,005

126.4

報告セグメント計

13,754

112.1

その他

68

84.2

合計

13,823

111.9

 

(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 受注状況

当連結会計年度における素材加工事業及び情報関連事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。

なお、素材加工事業、情報関連事業の一部を除く製品については主に見込み生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

素材加工

6,441

87.5

524

90.8

情報関連

3,413

93.0

910

89.5

合計

9,854

89.3

1,435

90.0

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(4) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

38,640

110.5

教育関連

16,603

99.8

素材加工

10,286

91.1

情報関連

3,532

108.9

報告セグメント計

69,063

104.4

その他

194

92.1

合計

69,258

104.4

 

(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

 今後の経済情勢につきましては、世界経済は米国の景気拡大などにより全体としては緩やかに回復し、日本経済も政府の各種政策により緩やかな回復が続くと見込まれますが、中国をはじめとする新興国や資源国の景気減速懸念や金融市場の不安定さなど、先行き不透明な状況が続くものと思われます。

 こうした中、当社グループは平成28年4月から3年間にわたる新中期経営計画「Resonate2018」を策定し、その初年度として目標達成に向けた各主要戦略を実行し企業価値を高めてまいります。

 

(1)新中期経営計画「Resonate2018」の概要 (平成28年3月22日 発表)

 

祖業であり経営の原点であるピアノづくりを軸として、4つの主要戦略と2つの基盤づくりに取り組んでまいります。特に基幹事業である楽器・教育事業における収益体質の強化を行うとともに、製品の品質向上や将来を見据えたモノづくりを推し進めることにより、企業価値向上、長期的な安定成長を目指してまいります。

 

(ビジョン)

 

・信頼と革新を追求し、感動体験を提供することで、KAWAIファンを拡大する。
・音楽文化の更なる普及に努め続けることで、次の100年も選ばれ続けるピアノトップブランドを目指す。

 

(基本方針)

・100年ブランドとしての企業価値向上を推進し、長期的な安定成長の実現を目指す。

・目標指標:営業利益率5%以上

 

(主要戦略)

① 基幹事業の更なる成長への挑戦 〜楽器・教育事業での収益体質の強化〜

・国内市場における高付加価値戦略

・海外市場におけるエリア戦略

② モノづくり改革 〜品質向上と将来を見据えたモノづくり〜

・「ピアノという革新」の更なる深化

・デジタルピアノの新たな挑戦

③ 素材加工事業の拡大 〜受注拡大・新規開拓〜

・素材加工事業の更なる展開

④ 投資と資本政策 〜資本効率向上〜

・成長分野や基幹事業強化に向けた設備投資の集中

・株主還元の強化と資本効率の向上

 

(基盤づくり)

⑤ ブランドづくり 〜お客様と共に感動をつくる取り組み〜

・選ばれ続けるブランドに

・音楽文化普及への貢献

⑥ 人財育成 〜将来を見据えた人財育成〜

・人材の専門性・多様性の強化

・トップブランドであるためのマインド改革

 

(2)会社の支配に関する基本方針

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者(以下「方針決定を支配する者」といいます。)の在り方について、基本的には、株主の自由な判断に基づいた当社株式の自由な取引を通じて決定されるべきものであると考えており、上場企業として多様な投資家に当社の株主となっていただき、また、その様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させることが望ましいと考えております。

昨今のわが国の資本市場においては、経営陣の同意なく、会社支配権の取得を意図して株式を大量に買い付けようとする事例も少なくありません。このような買付けの中には、当社及び当社グループの顧客、取引先、地域社会、従業員等ステークホルダーの利益を著しく損なう蓋然性の高いものや、株主に十分な判断の時間や判断の材料を与えないものなど、当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして望ましくない買付けが行われることも予想される状況にあります。

当社は、このような当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして、望ましくない買付けを行おうとする者に対して、方針決定を支配する者となる機会を与えることは、株主からの様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させるためには望ましくないものと考えております。

また、当社事業の主軸は音楽・教育分野にあり、これらの事業は単にハードやソフトを提供することにとどまるものではなく、文化に深く関わる事業であると考えております。このような事業の運営においては、経済的側面のみならず、文化的側面も視野に入れたバランスのとれた経営姿勢が不可欠であると考えております。かかる観点から、方針決定を支配する者においては、このような経営姿勢についても、十分に理解していることが望ましいと考えております。

 

②基本方針に関する取組み

(ⅰ)財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み

 当社は、以下のような取組みを鋭意実行することが、当社の企業価値及び株主共同の利益を向上させることとなり、さらなる多様な投資家からの当社への投資を促進させ、結果として、上記①の基本方針の実現に資するものであると考えております。

 

(a) 当社は、平成31年3月までの3ヵ年を対象期間とする新中期経営計画「Resonate2018」を平成28年4月1日より遂行中であります。同計画では、ビジョンとして「Resonate2018 -100周年に向けて- トップブランドであるために」の下、「信頼と革新を追求し、感動体験を提供することで、KAWAIファンを拡大する。また音楽文化の更なる普及に努め続けることで、次の100年も選ばれ続けるピアノトップブランドを目指す。」を掲げ、100年ブランドとしての企業価値を推進し、長期的な安定成長の実現を目指すことを基本方針に、目標指標である営業利益率5%以上に向け、収益力の向上を図るべく、主要戦略とこれを推進していくための基盤づくりに取り組んでおります。

 

(b) 当社は適切な組織体制の構築のために、以下の取組みを行っております。

   当社は、意思決定の迅速化と経営陣の責任の明確化のために、執行役員制度を採用し、業務執行と監督の分離に取り組むとともに、取締役の任期を1年としております。

   また当社は、独立性の高い社外取締役及び社外監査役を選任し、取締役の業務執行の監督、監査に当たらせております。加えて、平成27年6月からは社外取締役を2名選任し、同年12月には社外役員4名と社内取締役3名から構成されるコーポレートガバナンス委員会を設けることにより、さらなるコーポレートガバナンスの強化を図っております。

 

(c) 上記のほかにも、機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進により、株主との長期安定的な信頼関係の構築に努めてまいります。

 

(ⅱ)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 平成25年6月27日開催の当社第86期定時株主総会に基づき更新いたしました当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「旧プラン」といいます。)を平成28年6月28日開催の第89期定時株主総会における株主の承認により基本的に旧プランを継承し、新たな対応方針(以下「本プラン」といいます。)として更新しております。(本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載されている平成28年5月24日付プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新について」に開示しております。)

 

③当社の取組みが、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

(ⅰ) ②(ⅰ)の取組みについて

 新中期経営計画「Resonate2018」に関する当社の取組みは、究極的にはステークホルダー全体の利益を実現するための施策として当社経営陣に課せられた課題であると考えておりますので、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位を維持することを目的とするものでもありません。

 執行役員制度、取締役の1年任期制、社外取締役の増員、社外監査役による取締役の業務執行監査、コーポレートガバナンス委員会の設置については、いずれも適正な業務執行を担保するために導入したものであり、株主共同の利益を害することにはなりませんし、また当社の会社役員の地位を維持するためのものでもありません。

 機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進についても、株主共同の利益を害するものではなく、投資家の判断に資することを目的として行おうとするものですので、当社の会社役員の地位を維持するものでもないと考えております。

 

(ⅱ) ②(ⅱ)の取組みについて

 本プランは、以下のような点から、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないものと考えております。

 

(a) 本プランの内容は、大規模買付者に対して事前に大規模買付情報の提供及び大規模買付行為の是非を判断する時間を確保することを求めることによって、大規模買付者の提案に応じるか否かについて株主の適切な判断を可能とするものです。したがって、株主共同の利益を害するものではなく、基本方針に沿う内容となっております。

 

(b) 本プランにおいて、対抗措置が発動される場合としては、大規模買付者が予め定められた大規模買付ルールを遵守しない場合や、当社企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合に限定しております。このように、対抗措置の発動は当社の企業価値及び株主共同の利益に適うか否かという観点から決定することとしておりますので、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的としないものとしております。

 

(c) 本プランにおいては、独立性の高い社外者を構成員とした独立委員会を設置し、対抗措置の発動を当社取締役会が判断するにあたっては、独立委員会の勧告を最大限尊重することとしております。また、当社取締役会において、必要に応じて外部専門家等の助言を得ることができるものとしております。このように、対抗措置を発動できる場合か否かの判断について、当社取締役会の恣意的判断を排除するための仕組みを備える内容となっており、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもないといえます。

 

本プランは、更新後3年毎に、本プランの期間更新又は廃止について、定時株主総会の議案として上程し、株主に対して本プランの継続の是非を直接判断いただくこととしております。また、取締役の任期を1年としていることを前提として、毎年、定時株主総会における取締役の選任議案に各取締役候補者の本プランに関する賛否を記載するとともに、定時株主総会後、最初に開催される取締役会において、株主より選任された取締役が本プランの継続又は廃止の決議を行い、決議結果を速やかに株主及び投資家へ開示することとしております。

このように、本プランの継続については、株主の意思が直接反映されるよう努めており、株主共同の利益を害することのないよう、また、当社の会社役員の地位の維持につながることのないよう努めております。

 

 

4 【事業等のリスク】

事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

1.経済状況の変化によるリスク

当社グループが事業活動を行っている国内、欧米及び中国等の市場において、景気後退により急激に個人消費が低迷した場合、当社グループが提供する製品やサービスの需要の減少や価格競争が激化することによって、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

2.為替変動リスク

当社グループの主力事業である楽器事業における販売先は海外が多く、また主要な原材料である木材や多くの楽器部品を輸入しています。したがって為替変動は販売価格や原材料価格に影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

3.国際化によるリスク

楽器の主要市場である欧米市場や中国市場における経済の急激な変動、あるいは今後特に伸長が期待される中国での事業環境の変化、ピアノ及びデジタルピアノ工場があるインドネシアの政情の大きな変化、並びに税制等各国特有の法令に関する想定外の運用は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

4.研究開発に関するリスク

他社との差別化のため技術研究を進めておりますが、開発した製品が市場に受け入れられない可能性、また他社が画期的な新製品を開発し市場が席巻される可能性もあります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

5.市場競争激化のリスク

ピアノの普及価格帯における競争が激しくなっております。それに対抗する製品を市場に投入する計画ですが、充分な競争力が発揮できなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

6.取引先依存によるリスク

金属事業や塗装事業等における受託生産は、受託先企業の業績の影響を受けるとともに、品質や納期等において受託先企業の要求を満たせなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。また、楽器部品など当社専用部品の生産委託先企業や、OEM生産委託先企業の経営状況の悪化などによる生産遅延や操業停止、主要取引先企業の受注変動等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

7.自然災害等に見舞われるリスク

地震を含む自然災害、疫病、戦争、テロ等により当社グループの営業活動が直接的又は間接的な影響を受けた場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。特に国内主要施設が静岡県浜松市近辺に集中していることから東南海地震及び津波による本社及び工場への被害や営業活動への影響は大きなものとなる可能性があります。

8.技術や技能に関するリスク

楽器事業においてコストダウンのため海外生産を推進しています。これに伴い生産技術の流出や、知的財産の侵害による類似品や模倣品が出現した場合や、生産部門の従業員の高齢化による技術の継承が円滑に行われなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

9.製品及びサービスに係る事故等のリスク

当社製品による製造物責任を伴う事故は、コスト増大や社会的評価の低下をもたらします。また当社店舗や教室における火災や事故・事件、教室生徒及び講師等を巻き込んだ犯罪等により、当社のブランドイメージが損なわれた場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

10.環境法制に関するリスク

当社グループは、原材料である木工材の大部分を海外調達しておりますが、海外における環境法制の高まりが木工原材料の調達面に影響した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

11.感染症が流行するリスク

新型インフルエンザ等の感染力の強い感染症が流行した場合、当社の音楽教室や体育教室の休講並びにコンサート等のイベントの中止を余儀なくされる恐れがあり、流行の規模や期間によっては、収入の減少等により、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

12.少子化進行のリスク

日本における少子化が、予想を超えて急速に進行した場合、当社の音楽教室や体育教室の業績を悪化させる可能性があります。また、少子化による市場の縮小により楽器販売が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

13.株価変動に関するリスク

当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っており  ます。なお、株価の動向次第では、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

14.個人情報漏洩に関するリスク

当社グループは業務を円滑に行うため、お客様のお名前、ご住所、お電話番号、Eメールアドレス等の情報を取得・利用しております。これに伴い当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合、当社グループの信頼の失墜等につながり、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

15.インターネット等による風評被害に関するリスク

当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上に努めておりますが、インターネット等を利用した書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

16.金利が上昇するリスク

上記1~15の事象の発生等により、当社の業績が著しく悪化した場合や金融機関を取り巻く環境が大幅に変化した場合、金融機関からの資金借入れ条件が厳しくなることが考えられます。借入金の金利上昇は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携契約及び新株の発行)

当社は、平成27年11月5日の取締役会において、オンキヨー株式会社(以下、「オンキヨー」といいます。)と資本業務提携契約(以下、「本契約」といいます。)を締結、及びオンキヨーが発行した第三者割当による新株式を当社が引き受けること(以下、「本株式引受」といいます。)、並びに当社がオンキヨーを割当先とした第三者割当による新株式の発行(以下、「本第三者割当増資」といいます。)を実施することを決議いたしました。平成27年11月24日にオンキヨーと本契約を締結し、同日付でオンキヨーが発行した第三者割当による本株式引受に関する払込手続、及び当社がオンキヨーを割当先とした本第三者割当増資に関する払込手続が完了いたしました。本契約の概要は以下のとおりです。
 

1. 資本業務提携の理由

当社とオンキヨーとは、両社がお互いの株式を保有する資本提携の内容に加え、両社グループの技術力、ブランド力を融合し、また相互の経営資源を有効に補完し合うことで、新規カテゴリ製品の共同開発による新規市場の開拓、両社製品の販売拡大、製品や教育サービスにおける付加価値向上を実現するとともに、両社グループのサービス・販売部門等の各拠点の設備を相互利用するなどの事業基盤の有効活用を通じた経営の効率化を目指していくことを含めた資本業務提携契約を締結いたしました。
 

2. 資本業務提携の内容等

本提携の内容は以下のとおりです。

電子楽器等の新規カテゴリ製品や、カワイ音楽教室とオンキヨーグループのハイレゾ音源配信サービス

 

とで連携して行う新サービス開始に向けた両社による研究開発と販売

上記新規カテゴリ製品や新サービスおよび両社製品やサービスのマーケティングにおける連携

コールセンター等のサービス拠点、国内外の事業所の相互利用を含めた、バックオフィスにおける連携

電子部品、木材等の調達や、生産における連携

株式の相互保有

 

  (i) オンキヨーが新たに取得した当社の株式の数:450,500株、本第三者割当増資後の発行済株式総数に

    対する割合 5.00%

  (ii) 当社が新たに取得したオンキヨーの株式の数:8,080,600株、本株式引受後の発行済株式総数に対す

    る割合 9.94%

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、より良い楽器作りと音楽文化への貢献を目指すとともに、持続的な企業の成長に向け、楽器事業、教育関連事業、素材加工事業の各セグメントにおいて研究開発活動を行っております。当社及び連結グループ全体の研究開発要員は81名で、研究開発費は 680百万円であります。

 

①楽器事業

ピアノに関しては「世界一のピアノづくり」を目指し、アクション、ハンマー、響板をはじめ、すべての部品や機構に関して素材や形状に至るまで一つ一つを見直し、日々研究と技術の革新に取り組んでおります。
 グランドピアノについては、「GM」、「GE」シリーズの統合を行い、「Shigeru Kawai」、「GX」シリーズで採用されている長尺鍵盤やピアノ本体の剛性強化などを図った「GL」シリーズを新たに市場投入しました。
 アップライトピアノについては、卸販売店向けの「C」シリーズをモデルチェンジし、「K」シリーズで採用した構造強化思想を取り入れ、音色、演奏性を向上させました。
 電子ピアノに関しては、木製鍵盤の低額帯モデルとして、当社のフルコンサートピアノ「SK-EX」の音源や、グランドピアノの踏み心地を目指したグランドフィールペダルシステムなどを搭載し、本格的な演奏を楽しめる「CA17」を開発しました。またスタイリッシュモデルとして「ES8」を開発し、グランドピアノの手応えを再現する「RHⅢ鍵盤」や、高精度な3センサーの鍵盤動作検出によりコンロール性を向上させ、繊細な演奏表現を可能にしました。2機種とも発売当初より国内、海外から高い評価を頂いております。今後も成長が見込まれる中国市場向けの製品としましては、新型プラスチック鍵盤を搭載した「KDP100」、木製鍵盤モデルの「CA30」を開発し、市場投入しました。
 また資本業務提携をしたオンキヨー株式会社との協業では、それぞれの技術を融合したコンセプトモデル「CS-X1」を、2016年4月に開催されたフランクフルトメッセに向けて開発しました。今後さらにシナジーを深化させ、新たな製品開発と投入を進めてまいります。
 当事業に係る研究開発費は 577百万円であります。

 

②教育関連事業

音楽ソフトウェア開発に関しては、主力商品の楽譜認識作成ソフト「スコアメーカー」シリーズの20周年記念バージョン「スコアメーカー10」を商品化しました。世界最高レベルの楽譜認識性能をさらに向上させるとともに歌詞入力編集の操作性を改善し、きれいな楽譜が簡単に作成できるスマートグリッド機能を搭載しました。
Apple社のiOS向けアプリに関しては、海外では、手書き楽譜作成アプリ「タッチノーテーション」を投入し、国内では、楽譜認識精度の向上とデザインを一新した「楽譜カメラ」のアップデートを行いました。
 音楽教室に関しては、継続的なピアノ学習者のための教材開発を行い、個人ピアノコースの教材を改訂して「サウンドツリー5A」及び「サウンドツリー5B」を作成・発刊しました。また、更なる音楽ファンの獲得に向け、レパートリーの広がりや、弾きやすく美しい響きのアレンジに拘った、大人のためのピアノレッスン教材「サウンドファン1a」の改訂を行いました。さらにグローバルでのKAWAI音楽教育システムの拡大に向けて、事業の調査やピアノ教材の研究・発刊を進めました。
 体育教室、英語教室、絵画造形教室につきましても、各カリキュラムの研究と教材の開発を継続的に行っております。
 当事業に係る研究開発費は 77百万円であります。

 

③素材加工事業

カワイ精密金属株式会社が、自動車向け異形条の開発及びローコスト製法の研究、合わせ材料(クラッド)における物性、塑性研究といった異種金属接合加工研究等、金属全般の異形加工に関する研究を行っております。また、株式会社カワイ音響システムが音環境を追求した遮音材、吸音材の研究及び防音室の開発を行っており、当連結会計年度は高性能で小型サイズにも対応した防音ルーム「ナサール ユニットライトタイプ(Dr-40)」を発売いたしました。
 当事業に係る研究開発費は 26百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度末現在における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続して評価を行っております。

なお、見積り及び評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性がありますため、実際の結果は異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高
 楽器事業は、国内では販売力の強化、活動の効率化により『Shigeru Kawai』を中心にピアノの販売が増加し、デジタルピアノについても主力のCNシリーズや木製鍵盤搭載モデルCAシリーズが好調に推移し販売が増加しました。海外においては、ピアノは普及価格帯GLシリーズの発売により北米や中国を中心に販売が伸び、デジタルピアノについては中国を中心に販売が増加しました。この結果、売上高は為替影響もあり 38,640百万円(前年同期比 3,678百万円 10.5%増)となりました。
 教育関連事業は、教室の新設による新入生徒の増加、また学研グループとのアライアンスに積極的に取り組みましたが、幼児グループ・大人コースでの生徒数の減少により、売上高は 16,603百万円(前年同期比 30百万円 0.2%減)となりました。
 素材加工事業は、金属事業における半導体の受注減少などにより、売上高は 10,286百万円(前年同期比 1,004百万円 8.9%減)となりました。
 情報関連事業は、IT機器の医療機関向け販売の増加により、売上高は 3,532百万円(前年同期比 289百万円 8.9%増)となり、その他の事業の売上高は 194百万円(前年同期比 17百万円 8.1%減)となりました。
 以上の結果、当連結会計年度の売上高は 69,258百万円(前年同期比 2,916百万円 4.4%増)となりました。
 

②営業損益
 楽器事業は、『Shigeru Kawai』をはじめとした鍵盤楽器販売の増加などにより 997百万円の営業利益(前年同期比 1,038百万円増益)となりました。
 教育関連事業は、重点戦略であるピアノコースの拡大や、教室の新設などにより、ピアノコースの生徒数が増加し、また運営効率の改善など収益性を重視した活動を行った結果、営業利益は 894百万円(前年同期比 19百万円増益)となりました。
 素材加工事業は、CVT(無段変速機)関連部品の受注が堅調だったことや、塗装事業における自動車内装部品の受注増加、生産効率の向上などにより、営業利益は 881百万円(前年同期比 144百万円増益)となりました。
 情報関連事業は、前連結会計年度に高収益の販売があったことにより、営業損失は 18百万円(前年同期比 91百万円減益)となり、その他の事業の営業損失は 15百万円(前年同期比 8百万円改善)となりました。
 以上の結果、営業利益は 2,661百万円(前年同期比 1,105百万円増益)となりました。
 

③経常損益
 経常利益は、為替差損の発生などにより 2,628百万円(前年同期比 688百万円増益)となりました。

 

④親会社株主に帰属する当期純利益
 以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は 1,797百万円(前年同期比 743百万円増益)となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

・主要拠点(日本・欧米・中国・インドネシア)の政治及び経済状況の著しい変化

・主要市場における製品需要の急激な変動

・為替相場の大幅な変動

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

楽器事業については、国内では『Shigeru Kawai』を軸としたグランドピアノのシェア拡大を目指し、中核都市店舗の移転・リニューアルを引き続き進め、地域ユニット体制による営業力のさらなる深化、アフターサービスの高品質化に向けた調律師の技術・サポート力の強化など、高付加価値戦略の遂行により収益力の向上を図ります。海外においては、北米・西欧市場では直営店進出による販売・シェアの拡大、中国市場では新たに設立予定の統括会社を核とし、楽器販売をはじめ調律・音楽教室など事業の拡大、ブランド力の向上を進めてまいります。新興国市場では普及価格帯ピアノの販売拡大、デジタルピアノの新機種投入により成長を加速させます。またピアノ・デジタルピアノの商品力強化に向け、業務提携をしたオンキヨー株式会社との共同開発や情報通信技術への対応など研究開発にも力を入れるとともに、グローバル生産体制のさらなる最適化・整備により原価低減を図り、収益構造の強化を推し進めます。
 教育関連事業については、音楽教室では、幼児向けの「3歳ソルフェージュ」「4歳からの子どもピアノコース」から、高水準な方を対象とした「ハイレベルレッスンコース」まで、ピアノに特化したコースを拡充するとともに、新しい教室価値創造に向けて業務提携企業である学研グループとの協業にも力を入れ、収益力の向上に取り組んでまいります。また長期的な事業の成長のために、「カワイ音楽教育システム」のフランチャイズ展開等により中国市場や東南アジア等の新興国市場で音楽教室を広めていくとともに、カワイ音楽コンクールを国際コンクールへと発展させ、KAWAIブランドの向上とピアニストの発掘・育成などにも取り組んでまいります。
 体育教室では、幼稚園・保育園における教室開設活動と生徒募集の強化、民間クラブの教室開設、地方公共団体の指定管理者制度を活用した施設運営、企業や行政への健康プログラムの展開などにより、年少から高齢者までの健康づくりをサポートし、事業の拡大を図ってまいります。
 素材加工事業では、新たな技術開発や市場開拓を進めるとともに、引き続き品質の向上・コスト削減、信頼性の向上に取り組み、受注拡大に努めてまいります。
 情報関連事業では新規顧客の開拓や、医療ベンダーとのアライアンスにより大型・中型案件の獲得をはじめ、新しいテクノロジーへの対応に取り組み、販売・事業の拡大を進めてまいります。
 以上により、平成29年3月期の連結業績は、売上高 67,500百万円、営業利益 2,600百万円、経常利益 2,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,650百万円を見通しております。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、3,661百万円の収入となりました。税金等調整前当期純利益の増加や、法人税等の支払額の減少などにより前年同期と比較して 1,826百万円の資金の増加となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の取得による支出などにより 4,055百万円の支出となり、前年同期と比較して 2,442百万円の資金の減少となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の増加、株式発行による収入などにより 2,868百万円の資金の増加となり、前年同期と比較して 4,383百万円の資金の増加となりました。

 

②資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、楽器製造のための材料費、楽器製造・販売及び音楽教室等の運営に携わる要員の給料手当、福利厚生費などの人件費の他、販売並びに役務提供に関する販売促進費、運送・保管料、物件費等であり、営業キャッシュ・フローによる充当を基本としています。また、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入れによっております。

 

 (6) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。当社グループは新中期経営計画「Resonate2018」を策定し、同計画に即した諸施策を着実に遂行し企業価値を高めてまいります。
 同詳細は、「3 対処すべき課題」の項に記載のとおりであります。
 また、事業別の方針については、「(4)経営戦略の現状と見通し」の項に記載のとおりであります。