文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。したがって、様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「快適で豊かな生活環境の創造」・「お客様の満足を第一とした商品・サービスの提供」・「新しい時代に向けた企業活動の推進」・「社員を大切にし、明るい企業をめざす」を経営の理念としております。この経営の理念のもと、当社グループは、ピアノをはじめとする楽器あるいは音楽教育等を通じ感動を皆様に広げ、快適な生活環境の創造に貢献することを使命としております。そのため、「世界一のピアノづくりをめざして」という目標のもと、重点事業への経営資源の集中を図り、高品質で特長ある新製品の開発とともに原価の低減、経費の削減、資産の圧縮等経営効率化諸施策の徹底により経営基盤の整備・強化を進めて業績の向上に努め、株主各位のご期待にお応えする事を経営の基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の最大化に向け、営業利益率、ROE(自己資本利益率)を経営指標として重視し取り組むとともに、財務基盤の強化のためキャッシュ・フローや自己資本比率を重視し、持続的な成長を目指してまいります。中期経営計画「Resonate2018」(平成29年3月期から平成31年3月期までの3年間)で掲げた目標指標につきましては、「(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおりです。
(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社グループは企業価値向上を推進し、長期的な安定成長を目指すことを基本方針とした、平成28年4月からの3年間を対象とする中期経営計画「Resonate2018」を策定しております。
今後の経営環境は、国内景気は緩やかな回復基調が続くものの、中国等の新興国の景気の下振れや米国の政策動向など、世界経済は引き続き先行き不透明な状況が続くものと思われます。
このような環境の中で、中期経営計画「Resonate2018」の最終年度として目標達成に向けた各主要戦略を実行していきます。
・中期経営計画「Resonate2018」の概要(平成28年3月22日発表)
祖業であり経営の原点であるピアノづくりを軸として、4つの主要戦略と2つの基盤づくりに取り組んでまいります。特に基幹事業である楽器教育事業における収益体質の強化を行うとともに、製品の品質向上や将来を見据えたモノづくりを推し進めることにより、企業価値の向上、長期的な安定成長を目指してまいります。
(ビジョン)
・信頼と革新を追求し、感動体験を提供することで、KAWAIファンを拡大する。
・音楽文化の更なる普及に努め続けることで、次の100年も選ばれ続けるピアノトップブランドを目指す。
(基本方針)
・100年ブランドとしての企業価値向上を推進し、長期的な安定成長の実現を目指す。
・目標指標:営業利益率5%以上
(主要戦略)
① 基幹事業の更なる成長への挑戦 〜楽器・教育事業での収益体質の強化〜
・国内市場における高付加価値戦略
・海外市場におけるエリア戦略
② モノづくり改革 〜品質向上と将来を見据えたモノづくり〜
・「ピアノという革新」の更なる深化
・デジタルピアノの新たな挑戦
③ 素材加工事業の拡大 〜受注拡大・新規開拓〜
・素材加工事業の更なる展開
④ 投資と資本政策 〜資本効率向上〜
・成長分野や基幹事業強化に向けた設備投資の集中
・株主還元の強化と資本効率の向上
(基盤づくり)
⑤ ブランドづくり 〜お客様と共に感動をつくる取り組み〜
・選ばれ続けるブランドに
・音楽文化普及への貢献
⑥ 人財育成 〜将来を見据えた人財育成〜
・人材の専門性・多様性の強化
・トップブランドであるためのマインド改革
なお、中期経営計画「Resonate2018」の詳細については、当社ホームページに掲載しております。
http://www.kawai.co.jp/ir/setsumei/
(4)会社の支配に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者(以下「方針決定を支配する者」といいます。)の在り方について、基本的には、株主の自由な判断に基づいた当社株式の自由な取引を通じて決定されるべきものであると考えており、上場企業として多様な投資家に当社の株主となっていただき、また、その様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させることが望ましいと考えております。
昨今のわが国の資本市場においては、経営陣の同意なく、会社支配権の取得を意図して株式を大量に買い付けようとする事例も少なくありません。このような買付けの中には、当社及び当社グループの顧客、取引先、地域社会、従業員等ステークホルダーの利益を著しく損なう蓋然性の高いものや、株主に十分な判断の時間や判断の材料を与えないものなど、当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして望ましくない買付けが行われることも予想される状況にあります。
当社は、このような当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして、望ましくない買付けを行おうとする者に対して、方針決定を支配する者となる機会を与えることは、株主からの様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させるためには望ましくないものと考えております。
また、当社事業の主軸は音楽・教育分野にあり、これらの事業は単にハードやソフトを提供することにとどまるものではなく、文化に深く関わる事業であると考えております。このような事業の運営においては、経済的側面のみならず、文化的側面も視野に入れたバランスのとれた経営姿勢が不可欠であると考えております。かかる観点から、方針決定を支配する者においては、このような経営姿勢についても、十分に理解していることが望ましいと考えております。
② 基本方針に関する取組み
(ⅰ)財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、以下のような取組みを鋭意実行することが、当社の企業価値及び株主共同の利益を向上させることとなり、さらなる多様な投資家からの当社への投資を促進させ、結果として、上記①の基本方針の実現に資するものであると考えております。
(a)当社は、平成31年3月までの3ヵ年を対象期間とする中期経営計画「Resonate2018」を平成28年4月1日より遂行中であります。同計画では、ビジョンとして「Resonate2018 -100周年に向けて- トップブランドであるために」の下、「信頼と革新を追求し、感動体験を提供することで、KAWAIファンを拡大する。また音楽文化の更なる普及に努め続けることで、次の100年も選ばれ続けるピアノトップブランドを目指す。」を掲げ、100年ブランドとしての企業価値を推進し、長期的な安定成長の実現を目指すことを基本方針に、目標指標である営業利益率5%以上の達成に向け、主要戦略とこれを推進していくための基盤づくりに取り組んでおります。
(b)当社は適切な組織体制の構築のために、以下の取組みを行っております。
当社は、意思決定の迅速化と経営陣の責任の明確化のために、執行役員制度を採用し、業務執行と監督の分離に取り組むとともに、取締役の任期を1年としております。
また当社は、独立性の高い社外取締役及び社外監査役を選任し、取締役の業務執行の監督、監査に当たらせております。加えて、平成27年6月からは社外取締役を2名選任し、同年12月には社外役員4名と社内取締役3名から構成されるコーポレート・ガバナンス委員会を設け、さらなるガバナンスの強化を図っております。
(c)上記のほかにも、機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進により、株主との長期安定的な信頼関係の構築に努めてまいります。
(ⅱ)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
平成25年6月27日開催の当社第86期定時株主総会に基づき更新いたしました当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「旧プラン」といいます。)を平成28年6月28日開催の第89期定時株主総会における株主の承認により基本的に旧プランを継承し、新たな対応方針(以下「本プラン」といいます。)として更新しております。(本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載されている平成28年5月24日付プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新について」に開示しております。)
③ 当社の取組みが、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
(ⅰ)②(ⅰ)の取組みについて
中期経営計画「Resonate2018」に関する当社の取組みは、究極的にはステークホルダー全体の利益を実現するための施策として当社経営陣に課せられた課題であると考えておりますので、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位を維持することを目的とするものでもありません。
執行役員制度、取締役の1年任期制、社外取締役の増員、社外監査役による取締役の業務執行監査、コーポレート・ガバナンス委員会の設置については、いずれも適正な業務執行を担保するために導入したものであり、株主共同の利益を害することにはなりませんし、また当社の会社役員の地位を維持するためのものでもありません。
機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進についても、株主共同の利益を害するものではなく、投資家の判断に資することを目的として行おうとするものですので、当社の会社役員の地位を維持するものでもないと考えております。
(ⅱ)②(ⅱ)の取組みについて
本プランは、以下のような点から、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないものと考えております。
(a)本プランの内容は、大規模買付者に対して事前に大規模買付情報の提供及び大規模買付行為の是非を判断する時間を確保することを求めることによって、大規模買付者の提案に応じるか否かについて株主の適切な判断を可能とするものです。したがって、株主共同の利益を害するものではなく、基本方針に沿う内容となっております。
(b)本プランにおいて、対抗措置が発動される場合としては、大規模買付者が予め定められた大規模買付ルールを遵守しない場合や、当社企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合に限定しております。このように、対抗措置の発動は当社の企業価値及び株主共同の利益に適うか否かという観点から決定することとしておりますので、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的としないものとしております。
(c)本プランにおいては、独立性の高い社外者を構成員とした独立委員会を設置し、対抗措置の発動を当社取締役会が判断するにあたっては、独立委員会の勧告を最大限尊重することとしております。また、当社取締役会において、必要に応じて外部専門家等の助言を得ることができるものとしております。このように、対抗措置を発動できる場合か否かの判断について、当社取締役会の恣意的判断を排除するための仕組みを備える内容となっており、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもないといえます。
本プランは、更新後3年毎に、本プランの期間更新又は廃止について、定時株主総会の議案として上程し、株主に対して本プランの継続の是非を直接判断いただくこととしております。また、取締役の任期を1年としていることを前提として、毎年、定時株主総会における取締役の選任議案に各取締役候補者の本プランに関する賛否を記載するとともに、定時株主総会後、最初に開催される取締役会において、株主より選任された取締役が本プランの継続又は廃止の決議を行い、決議結果を速やかに株主及び投資家へ開示することとしております。
このように、本プランの継続については、株主の意思が直接反映されるよう努めており、株主共同の利益を害することのないよう、また、当社の会社役員の地位の維持につながることのないよう努めております。
事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
1.経済状況の変化によるリスク
当社グループが事業活動を行っている国内、欧米及び中国等の市場において、景気後退により急激に個人消費が低迷した場合、当社グループが提供する製品やサービスの需要の減少や価格競争が激化することによって、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
2.為替変動リスク
当社グループの主力事業である楽器事業における販売先は海外が多く、また主要な原材料である木材や多くの楽器部品を輸入しています。したがって為替変動は販売価格や原材料価格に影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
3.国際化によるリスク
楽器の主要市場である欧米市場や中国市場における事業環境の変化、ピアノ及びデジタルピアノ工場があるインドネシアの政情の大きな変化、並びに税制等各国特有の法令に関する想定外の運用は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
4.研究開発に関するリスク
他社との差別化のため技術研究を進めておりますが、開発した製品が市場に受け入れられない可能性、また他社が画期的な新製品を開発し市場が席巻される可能性もあります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
5.設備投資、提携等に関するリスク
当社グループは事業の拡大のため、設備投資等の事業投資を行っております。また、他社との業務提携、出資、合弁会社設立などを行っております。これらの設備投資、業務提携、出資、合弁会社設立などの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っていますが、状況によっては事業環境の変化により当初期待した効果が得られない可能性や、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
6.市場競争激化のリスク
ピアノ及びデジタルピアノの普及価格帯における競争が激しくなっております。それに対抗する製品を継続的に市場に投入してまいりますが、充分な競争力が発揮できなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
7.コスト増加のリスク
当社グループの製品の原材料となる木材、銅等の金属、樹脂等の部品の市況変化等による原材料コストの増加、原油価格の高騰等による物流コストの増加、海外人件費の高騰等による労務コストの増加など各種コストの増加が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
8.取引先依存によるリスク
金属事業や塗装事業等における受託生産は、受託先企業の業績の影響を受けるとともに、品質や納期等において受託先企業の要求を満たせなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。また、楽器部品など当社専用部品の生産委託先企業や、OEM生産委託先企業の経営状況の悪化などによる生産遅延や操業停止、主要取引先企業の受注変動等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
9.自然災害等に見舞われるリスク
地震を含む自然災害、疫病、戦争、テロ等により当社グループの営業活動が直接的又は間接的な影響を受けた場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。特に国内主要施設が静岡県浜松市近辺に集中していることから東南海地震及び津波による本社及び工場への被害や営業活動への影響は大きなものとなる可能性があります。
10.人材の確保・育成に関するリスク
当社グループは平均年齢が高く、次世代を担う人材の確保・育成は重要な課題となっております。したがって、事業展開に必要な人材を確保できなかった場合や、生産部門の従業員による技術の継承が円滑に行われず人材育成が計画的に進まなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
11.技術・技能流出のリスク
当社は楽器事業においてコストダウンのため海外生産を推進しています。これに伴い生産技術の流出や、知的財産の侵害による類似品や模倣品が出現した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
12.製品及びサービスに係る事故等のリスク
当社製品による製造物責任を伴う事故は、コスト増大や社会的評価の低下をもたらします。また当社店舗や教室における火災や事故・事件、教室生徒及び講師等を巻き込んだ犯罪等により、当社のブランドイメージが損なわれた場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
13.環境法制に関するリスク
当社グループが製造するピアノは、大半が木材を原材料とする部品で構成されており、その原材料の多くを海外調達しておりますが、海外における環境法制の変化が原材料の調達面に影響した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
14.感染症が流行するリスク
新型インフルエンザ等の感染力の強い感染症が流行した場合、当社の音楽教室や体育教室の休講並びにコンサート等のイベントの中止を余儀なくされる恐れがあり、流行の規模や期間によっては、収入の減少等により、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
15.少子化進行のリスク
日本における少子化が、予想を超えて急速に進行した場合、当社の音楽教室や体育教室の業績を悪化させる可能性があります。また、少子化による市場の縮小により楽器販売が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
16.株価変動に関するリスク
当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っております。したがって、株価の動向次第では、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
17.情報システムに関するリスク
当社グループが事業活動を行っていく上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であります。コンピュータウイルスへの感染や不正侵入などにより情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
18.個人情報漏洩に関するリスク
当社グループは業務を円滑に行うため、お客様のお名前、ご住所、お電話番号、Eメールアドレス等の情報を取得・利用しております。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に意図せず違反した場合をはじめ、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合、当社グループの信頼の失墜等につながり、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
19.インターネット等による風評被害に関するリスク
当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上に努めておりますが、インターネット等を利用した当社グループに関する誤った情報の書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
20.退職給付債務及び退職給付費用に関するリスク
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で設定される割引率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しています。この前提条件は、市場金利の影響を受けることから実際の結果とは異なる場合があり、退職給付債務が増加する可能性があります。その場合、当社グループの業績と財務状況に影響を与える可能性があります。
21.金利が上昇するリスク
上記1~20の事象の発生等により、当社グループの業績が著しく悪化した場合や金融機関を取り巻く環境が大幅に変化した場合、金融機関からの資金借入れ条件が厳しくなることが考えられます。借入金の金利上昇は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、政府の経済対策により雇用情勢や企業収益の改善がみられ、緩やかな回復基調が続きましたが、世界経済は、米国の政策動向や地政学リスクなどにより先行き不透明な状況で推移しました。
このような経営環境のもと、創立90周年を迎えた当社グループは、100年ブランドとしての企業価値向上を推進し、長期的な安定成長を目指すことを基本方針とした中期経営計画「Resonate2018」で掲げる主要戦略と基盤づくりに取り組んでまいりました。
国内では、教室・販売・アフターサービスを一体化した地域ユニット体制による営業活動の強化に継続して取り組み、カワイブランドの発信拠点となる中核店舗のリニューアルを進め、『Shigeru Kawai』をはじめとした高付加価値製品の販売拡大に注力しました。また、音楽教室ではピアノコースの募集強化や、学研教室とカワイ音楽教室の相互開設など、教室の高付加価値化に取り組み、事業と収益力の拡大を図りました。
海外では、販売基盤の強化として米国のヒューストンに続いてダラスに直営店をオープンし、欧州ではさらなる販売拡大・ブランド力強化を目指し、フランスに新たに販売会社を設立するとともに、ドイツのハンブルグに直営店を開設しました。特に重要市場である中国においては、各地でプロモーション活動を展開して鍵盤楽器の拡販に努めるとともに、カワイ音楽教育システムによる幼児教育の普及や、調律技術指導者の育成事業に取り組むなど、中長期的な成長に向け楽器販売・音楽教室・調律サービスの三位一体での事業展開を着実に進めております。東南アジアにおいては、インドネシアでは生産・販売・音楽教育を担うグループ各社が一体となって、直営教室並びに販売店へのフランチャイズ方式による音楽教室の展開や顧客の新規開拓を進めるとともに、タイ、ベトナムでのカワイ音楽教育システムの展開加速に取り組みました。
商品政策面では、オンキヨー株式会社の最新オーディオ技術を採用し、グランドピアノの鍵盤アクションを搭載したハイブリッドデジタルピアノ『NOVUS NV10』を発売しました。昨年10月に発表した最上位モデル「CAシリーズ」にもその高付加価値技術を展開し、デジタルピアノの全世界での販売拡大を図りました。また、90周年を記念して新型クリスタルグランドピアノを開発し、ブランディングとしてイタリアのミラノで開催された世界最大規模のデザインイベント「ミラノデザインウィーク2018」に出展して、ピアノと音楽がある空間の豊かさや魅力を発信しました。
創立90周年の節目に合わせ創設した『Shigeru Kawai国際ピアノコンクール』では、世界25カ国から351名ものピアニストがエントリーして熱い演奏が繰り広げられ、各方面から高い評価を頂きました。引き続きその評価に応えるべく、本年8月にも予選枠を拡大するなど内容をより充実させて、第2回のコンクールを開催致します。今後も次世代を担うピアニストを世界各地から発掘して育成を進めるとともに、国際交流の推進や世界の音楽文化の振興を目指してまいります。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は 70,795百万円(前年同期比 6.4%増)、営業利益は 2,749百万円(前年同期比 18.5%増)、経常利益は 3,068百万円(前年同期比 19.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,951百万円(前年同期比 19.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(楽器教育事業)
楽器教育事業は、鍵盤楽器販売については、フラッグシップモデルの『Shigeru Kawai』が国内・海外ともに伸長し、ピアノ全体につきましても中国や北米などで好調に推移し販売が増加しました。デジタルピアノについては、音色や操作パネル、外装デザインを刷新した「CNシリーズ」や、当社のピアノ技術と資本業務提携をしたオンキヨーのオーディオ技術を融合した「CAシリーズ」の発売により、日本や北米などで堅調に推移しました。音楽教室では、引き続きピアノコースの展開に注力した結果、生徒数が増え売上が増加しました。
この結果、売上高は 55,536百万円(前年同期比 5.9%増)となり、営業利益 1,637百万円(前年同期比 30.8%増)となりました。
(素材加工事業)
素材加工事業は、半導体関連部品や自動車関連部品の受注が増加し、売上高は 10,844百万円(前年同期比 7.6%増)となり、営業利益 1,194百万円(前年同期比 9.6%増)となりました。
(その他)
その他の事業は、医療機関向けIT機器の販売が増加し、売上高は 4,414百万円(前年同期比 9.7%増)となりましたが、ソフトウェア開発の受託減などにより営業損失 4百万円(前年同期は 52百万円の利益)となりました。
また、財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、預金の増加、受取手形や売掛金の増加により 29,050百万円(前期末比 7.3%増)となりました。また固定資産は投資有価証券の増加等により 23,861百万円(前期末比 4.8%増)となり、資産合計は 52,911百万円(前期末比 6.2%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、17,198百万円(前期末比 21.8%増)となりました。これは主に短期借入金が増加したことによるものです。また固定負債は、長期借入金の減少や退職給付に係る負債の減少などにより 12,401百万円(前期末比 9.3%減)となり、負債合計は 29,599百万円(前期末比 6.5%増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は 23,311百万円(前期末比 5.8%増)となりました。これは、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金が増加したことなどによるものです。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得による支出等による減少、税金等調整前当期純利益及び減価償却費並びに短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ 1,348百万円増加し、当連結会計年度末には 9,960百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は 3,112百万円(前年同期比 22.6%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益 2,961百万円、減価償却費 1,713百万円、法人税等の支払額 1,677百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は 2,515百万円(前年同期比 37.1%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出 1,583百万円、投資有価証券の取得による支出 1,144百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は 687百万円(前年同期は 1,330百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の増加額 2,973百万円、長期借入金返済による支出 1,037百万円、自己株式の取得による支出 800百万円などによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
楽器教育 |
23,837 |
102.9 |
|
素材加工 |
10,716 |
104.3 |
|
その他 |
231 |
89.2 |
|
合計 |
34,785 |
103.3 |
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
楽器教育 |
10,633 |
111.6 |
|
素材加工 |
179 |
80.2 |
|
報告セグメント計 |
10,813 |
110.9 |
|
その他 |
3,468 |
125.8 |
|
合計 |
14,282 |
114.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当連結会計年度における素材加工事業及びその他の事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。
なお、素材加工事業、その他の事業の一部を除く製品については主に見込み生産を行っております。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
素材加工 |
7,498 |
113.8 |
619 |
97.4 |
|
その他 |
4,057 |
100.9 |
1,056 |
116.0 |
|
合計 |
11,556 |
108.9 |
1,676 |
108.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
楽器教育 |
55,536 |
105.9 |
|
素材加工 |
10,844 |
107.6 |
|
報告セグメント計 |
66,380 |
106.2 |
|
その他 |
4,414 |
109.7 |
|
合計 |
70,795 |
106.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
パーソンズ ミュージック コーポレーション グループ |
8,029 |
12.1 |
9,981 |
14.1 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度末現在における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性がありますため、実際の結果は異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度の売上高は 70,795百万円(前年同期比 6.4%増)となりました。
基幹事業である楽器教育事業は、これまで継続して取り組んできた国内の中核都市での店舗リニューアルや、米国ヒューストン、ダラスにおける直営店展開など販売基盤の強化・タッチポイントの拡大などにより、鍵盤楽器販売については、フラッグシップモデルの『Shigeru Kawai』が国内・海外ともに伸長し、ピアノ全体につきましても中国や北米などで好調に推移し販売が増加しました。デジタルピアノについては、音色や操作パネル、外装デザインを刷新した「CNシリーズ」や、当社のピアノ技術と資本業務提携をしたオンキヨー株式会社のオーディオ技術を融合した「CAシリーズ」の発売により、日本や北米などで堅調に推移しました。今後も引き続き両社の強みを活かした競争力ある商品の投入を進め、事業の拡大を目指してまいります。音楽教室では、引き続きピアノコースの展開に注力した結果、生徒数が増え売上が増加しました。また、中長期的な成長に向けてアジアでの音楽教室展開や、資本業務提携をした株式会社学研ホールディングスとの協業による教室の高付加価値化による展開も着実に進んでおります。この結果、売上高は 55,536百万円(前年同期比 5.9%増)となり、営業利益 1,637百万円(前年同期比 30.8%増)となりました。
素材加工事業は、半導体関連部品や自動車関連部品の受注が増加し、売上高は 10,844百万円(前年同期比 7.6%増)となり、営業利益 1,194百万円(前年同期比 9.6%増)となりました。
その他の事業は、医療機関向けIT機器の販売が増加し、売上高は 4,414百万円(前年同期比 9.7%増)となりましたが、ソフトウェア開発の受託減などにより営業損失 4百万円(前年同期は 52百万円の利益)となりました。
b.営業損益
当連結会計年度の営業利益は 2,749百万円となり、前連結会計年度に比べ 429百万円の増益となりました。
主に基幹事業の楽器教育事業で、売上が好調に推移したことにより前年同期比で 385百万円増益となり全体の利益を押し上げたことと、素材加工事業における受注が堅調だったことによります。
c.経常損益
当連結会計年度の経常利益は 3,068百万円となりました。期末に外貨建て債権の評価替えによる為替差益の発生があり、前連結会計年度に比べ 492百万円増益となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は 1,951百万円となり、前連結会計年度に比べ 320百万円増益となりました。
当社グループは、目標経営指標として中期経営計画の最終年度(2019年3月期)で営業利益率5%以上の達成、またROE(自己資本利益率)は8%以上を掲げておりますが、当連結会計年度における営業利益率は 3.9%(前年同期比 0.4%改善)、ROE(自己資本利益率)は 8.6%(前年同期比 1.0%改善)となりました。
引き続き、中期経営計画で掲げている各戦略を着実に実行し企業価値の向上に取り組んでまいります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
・主要拠点(日本・欧米・中国・インドネシア)の政治及び経済状況の著しい変化
・主要市場における製品需要の急激な変動
・為替相場の大幅な変動
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、楽器製造のための材料費、楽器製造・販売及び音楽教室等の運営に携わる要員の給料手当、福利厚生費などの人件費の他、販売並びに役務提供に関する販売促進費、運送・保管料、物件費等であり、営業キャッシュ・フローによる充当を基本としています。また、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入れによっております。
平成30年3月31日現在、長期借入金残高は 2,234百万円であります。また、当連結会計年度末において複数の金融機関との間で機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約及び当座貸越契約等を締結し、12,849百万円の資金調達枠を設定しており、事業展開での資金需要に伴う手元資金の一時的な減少を防ぎ、経営の更なる安定化を図っております。(借入実行額残高 5,948百万円、借入未実行残 6,900百万円)。
(資本業務提携契約)
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契約会社名 |
相手先の名称 |
契約 締結日 |
契約期間 |
契約の内容 |
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(株)河合楽器 製作所 |
(株)学研 ホールディングス |
平成27年 7月31日 |
自:平成27年10月1日 至:平成32年9月30日 以後1年ごとの自動更新 |
業務提携 ① 教室事業の拡大 ② シニア向け事業の拡大 ③ グローバル事業の拡大 ④ 園・学園向けの教室運営ノウハウやコンテンツ、リソースなどを活用し、それぞれの事業拡大に向けた連携 ⑤ 人材の交流 資本提携 ① 株式の相互保有 |
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(株)河合楽器 製作所 |
オンキヨー(株) |
平成27年 11月24日 |
期間の定めなし |
業務提携 ① 電子楽器等の新規カテゴリ製品や、音楽教室とオンキヨーグループで連携して行う新サービス開始に向けた両社による研究開発と販売 ② 上記新規カテゴリ製品や新サービス及び両社製品やサービスのマーケティングにおける連携 ③ コールセンター等のサービス拠点、国内外の事業所の相互利用を含めた、バックオフィスにおける連携 ④ 電子部品、木材等の調達や、生産における連携 資本提携 ① 株式の相互保有 |
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(株)河合楽器 製作所 |
パーソンズ ミュージック コーポレーション |
平成29年 2月9日 |
自:平成29年2月9日 至:平成39年2月8日 以後1年ごとの自動更新 |
業務提携 ① KAWAI ブランドの楽器生産 ② KAWAI ブランド商品のプロモーションと販売、アフターサービス ③ 音楽教室展開と講師人材の育成 ④ ピアノ調律サービスの普及、調律技術者の育成と調律技術の向上 ⑤ その他、新商品・サービスの企画・開発、音楽イベントの企画等、音楽産業の発展と音楽文化振興に資する事業活動全般 資本提携 ① パーソンズ ミュージック コーポレーションは当社株式を共同保有 ② (株)河合楽器製作所はパーソンズ ミュージック コーポレーションの完全子会社であるパーソンズ ミュージック ホールディング リミテッドが発行した転換社債型新株予約権付社債を保有 |
当社グループは、より良い楽器作りと音楽文化への貢献を目指すとともに、持続的な企業の成長に向け、楽器教育事業、素材加工事業の各セグメントにおいて研究開発活動を行っております。当社及び連結グループ全体の研究開発要員は80名で、研究開発費は 648百万円であります。
①楽器教育事業
ピアノに関しては「世界一のピアノづくり」を目指し、アクション・ハンマー・響板をはじめ、すべての部品や機構に関して素材や形状に至るまで一つ一つを見直し、日々研究と技術の革新に取り組んでおります。
グランドピアノについては、フルコンサートピアノの、より一層の性能向上を目指し、細部の部品に至るまで機能や材質の追及を行っております。なかでも今年予定されている国際コンクール向けのピアノには、より繊細な表現を引き出す為の特別な仕様の部品を搭載します。アップライトピアノについても性能をより向上させたモデルの開発を継続して進めています。
デジタルピアノに関しては、ピアノ音・鍵盤・再生システム・操作性など、電子楽器としての本質部分を進化させるべく研究開発を続ける中、当期はハイブリッドデジタルピアノ「NOVUS NV10」と、新CAシリーズ「CA98」「CA78」「CA58」「CA48」を発売しました。「NOVUS NV10」「CA98」「CA78」には、SK-EXレンダリング音源とオンキヨー株式会社の高品位オーディオ技術を新規搭載し、操作パネルには業界初となるカラー液晶タッチパネルを採用し、高性能と使いやすいユーザーインターフェイスという新しい付加価値を創造したモデルとなりました。また「NOVUS NV10」は、ハイブリッドジャンルに新たに参入したモデルで、当社のグランドピアノ同等の鍵盤とアクション、ハイブリッド初のダンパー機構を搭載しグランドピアノのタッチ感を再現、グッドデザイン賞を受賞した画期的なモデルとなっております。「CA58」「CA48」には、性能はそのままにコストダウンを実現した新開発の木製鍵盤を搭載しました。また、ステージ用デジタルピアノとして定評のある「MP」シリーズについては、木製鍵盤を搭載した
「MP11SE」とプラスチック鍵盤を搭載した「MP7SE」を発売しました。当社のコンサートグランドピアノ「SK-EX」の音に刷新、このジャンルの根強いカワイファンの期待に応えるものです。今後もオンキヨー株式会社との協業などによる高付加価値製品の投入により競争力を高めるべく、技術開発を進めてまいります。
音楽教室に関しては、近年力を入れている海外音楽教室向けの教材開発に取り組みを進めています。今期は特に中国での本格的な教室展開の準備として、中国の音楽大学教授を始めとした専門家の方々と教材開発プロジェクトを立ち上げ、専門家の意見を取り入れながら日本教材の中国向けカスタマイズを進めました。グループコースでは2歳児のための「くるくるクラブ」、3~4歳児のための「チャイルドコーナー」、ピアノ個人コースでは「サウンドツリー」シリーズ「1A」~「6new」の中国語訳を行うのみならず、より子どもたちに親しまれるように有名な中国曲の挿入やイラストの変更も行いました。現在、北京市にある国家的教育事業施設である「中国宋慶齢青少年科技文化交流中心」で、これらの教材を使用したレッスンを開始するための準備を進めています。また、東南アジア諸国ではすでに英訳したテキストによるレッスンを行っておりますが、日本のように低年齢でのピアノレッスンの開始が進んでいないため、今期は新たに小学生向けのピアノ導入テキスト「サウンドツリーJ」の英語版を開発し、事業の拡大を図りました。
体育教室、英語教室、絵画造形教室につきましても、各カリキュラムの研究と教材の開発を継続的に行っております。昨年創設50周年を迎えた体育教室では、子ども向けの体育教室のみにとどまらず、企業向けフィットネスプログラムや、高齢者向けの健康コース・シニアクラスの開発にも取り組んでおります。
音楽ソフトウェア開発に関しては、楽譜認識作成ソフト「スコアメーカー」の新バージョン「スコアメーカーZEROシリーズ」を開発しました。「スコアメーカーZEROシリーズ」は、入力した歌詞をスコアメーカーが歌う『ボーカル音源』を搭載しております。また、スキャナから読み取った楽譜画像に加え、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した楽譜画像からも認識ができます。
当事業に係る研究開発費は 624百万円であります。
②素材加工事業
カワイ精密金属株式会社が、自動車向け異形条の開発及びローコスト製法の研究、合わせ材料(クラッド)における物性、塑性研究といった異種金属接合加工研究等、金属全般の異形加工に関する研究を行っております。また、株式会社カワイ音響システムがピアノメーカーとして推奨する音環境を追求した遮音材、吸音材の研究及び防音室の開発を行っております。株式会社カワイハイパーウッドでは、自動車向け本杢塗装部品を柱にアルミ加飾やカーボン加飾など異素材の分野においても研究を行っております。
当事業に係る研究開発費は 23百万円であります。