第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。したがって、様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「快適で豊かな生活環境の創造」・「お客様の満足を第一とした商品・サービスの提供」・「新しい時代に向けた企業活動の推進」・「社員を大切にし、明るい企業をめざす」を経営の理念としております。この経営の理念のもと、当社グループは、ピアノをはじめとする楽器あるいは音楽教育等を通じ感動を皆様に広げ、快適な生活環境の創造に貢献することを使命としております。そのため、「世界一のピアノづくりをめざして」という目標のもと、重点事業への経営資源の集中を図り、高品質で特長ある新製品の開発とともに原価の低減、経費の削減、資産の圧縮等経営効率化諸施策の徹底により経営基盤の整備・強化を進めて業績の向上に努め、株主各位のご期待にお応えする事を経営の基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、企業価値の最大化に向け、営業利益率、ROE(自己資本利益率)を経営指標として重視し取り組むとともに、財務基盤の強化のためキャッシュ・フローを重視し、持続的な成長を目指してまいります。

 第6次中期経営計画「Resonate 2021」(2020年3月期から2022年3月期までの3年間)で掲げた目標指標につきましては、「(4)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

(3)経営環境

 当社を取り巻く経営環境といたしましては、日本経済においては、政府の経済対策により雇用情勢や企業収益の改善がみられ緩やかな回復基調が続いていましたが、世界経済においては、米中の貿易摩擦や新興国経済の減速懸念に伴い金融市場が不安定になるなど、先行き不透明な状況で推移し、年度終盤では日本経済もこの影響により弱まりを見せています。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

 当社グループは、企業価値の向上と持続的な成長を目指して第6次中期経営計画「Resonate 2021」を策定し、その初年度として目標達成に向けた各戦略を実行していきます。

 

・第6次中期経営計画「Resonate 2021」の概要 (2019年3月27日発表)

 

 長期ビジョンとして『100年ブランドの確立』を掲げ、100年、そしてさらにその先の継続的な発展に向け、祖業であるピアノづくりで世界一を目指し、各事業の強みをさらに深化させ、お客様満足度の追求・向上と音楽文化の発展を通して、企業価値・ブランド力の向上と持続的な成長を図ります。

 2019年4月からの3年間は基本方針として、100年ブランドの構築に向け、「販売力」、「製品・サービス力」、「生産力」、「組織力」をそれぞれ深掘りしてKAWAIのブランド力を高め、柱である楽器教育事業の収益性向上と、成長の為の基盤強化に取り組み、企業価値の向上を目指します。

 

・重点戦略

① 販売力の深化

 成熟市場においては、フラッグシップモデルの『Shigeru Kawai』や、ハイブリッド製品などの高付加価値品の販売強化に取り組み、安定成長と収益性の向上を図ります。また、販売網の強化として、特に米国やドイツにおける直営店の販売拡大や、フランスの販売会社の活動強化に取り組みます。国内においては、四位一体の販売体制(直販、調律、音教、卸・楽器店)の確立と、CRM(顧客管理システム)活用による販売基盤強化、旗艦店のリニューアルと首都圏展開の強化に取り組みます。中国市場においては、パートナーとの提携業務を深耕し、バリューチェーンの付加価値を拡大するとともに、音楽教室、調律事業の展開も連携して進め事業拡大を図ります。また東南アジアでの販売拡大と、中南米、中近東、アフリカ等での市場開拓の推進にも積極的に取り組んでいきます。

 

② 製品・サービス力の深化

 『Shigeru Kawai』をはじめ、素材・基礎開発レベルでの研究継続による品質・製品力の深化、顧客満足度の追求に取り組みます。特に2019年からの3年間は、ハイブリッド製品や、タッチと音を追求したデジタルピアノの開発強化に重点を置き、生産工場に企画・開発機能を持たせ、市場ニーズに即した製品開発に取り組めるよう体制を見直し、中国向け商品展開の充実化や低シェア市場攻略の為の商品開発強化を図ります。あわせて、KAWAIのブランドマーケティング強化の為、商品企画・デザイン・プロモーションまでを一元管理する体制を構築します。

 また、アーティストリレーションの強化や、MPA(Master Piano Artisan 技術力の高い調律師のみが持つ社内資格)の育成、アフターサービス体制の充実化を進め、さらなる顧客満足度の向上に取り組みます。

 

③ 生産力の深化

 グローバルかつフレキシブルな生産体制の強化と、QCD(Quality・Cost・Delivery = 品質・コスト・納期)をさらに高める為の重点設備投資を実施します。

 ピアノについては、マザー工場である竜洋工場を中心に、長年培ったKAWAIのオンリーワン技術を次世代につなぎ、100年ブランドに相応しいピアノ造りをグローバルに展開します。また、販売が好調な『Shigeru Kawai』生産ラインの改革・生産能力増強や、新生産システム導入による戦略的な原価管理、最適生産に取り組みます。

 デジタルピアノについては、中国をはじめ全世界での販売増に対応する為の生産体制を強化するとともに、生産工程の内製化など継続的な原価低減活動に取り組みます。

 

④ 組織力の深化

 中長期的にKAWAIグループが躍動するための人的資本の高度化に取り組みます。

・社員がいきいきと活躍できる「健康経営」の推進

・各階層に応じた教育研修プログラムの拡充による育成、能力開発

・女性の活躍を起点とした仕事と子育て・介護の両立支援と働き方改革の推進

・グローバル人財の育成推進、人事システムの刷新

 また、経営基盤の強化のために、横断的な組織体制の構築やマネジメントプロセスの最適化、全社的な生産性向上と定型業務の効率化に継続的に取り組みます。

 

・事業戦略

① 教育・調律事業の海外展開

 教育・調律の自社ノウハウを活かし、各市場におけるKAWAIの総合的なブランド力を発揮する為の基盤構築を進めます。中国においては宋慶齢基金会との連携事業の強化を図り、コースの開発・多様化、カワイ認定講師の組織化、教育機関や楽器店などの教室実施拠点や地域の拡大に取り組みます。また中国楽器協会との調律研修事業の拡充、調律受託サービスの展開を進めます。東南アジアでは、インドネシア、タイでの教室事業の拡大を図るとともに、マレーシア、シンガポール、ベトナムへの展開を加速していきます。

 

② 素材加工事業

 中核である金属事業においては、CVT自動車向け部品の受注増対応の為、3年間で総額18億円の設備投資を実施し、生産能力の増強を図ります。また、EV化の流れを見据えた新規品の開拓に取り組むとともに、第3の柱の育成に取り組みます。塗装事業においては、独自の塗装技術をさらに磨き、コスト競争力の向上と受注拡大活動を強化します。

 

・連結業績指標

(単位:百万円)

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

売上高

73,000

74,000

76,000

営業利益

3,100

3,600

4,200

経常利益

3,100

3,600

4,200

親会社株主に帰属する当期純利益

1,900

2,250

2,650

営業利益率

4.2%

4.8%

5.5%

ROE

7.5%

8.3%

9.2%

(為替の前提レート US$ 110円、ユーロ 125円、元 16円)

(5)株式会社の支配に関する基本方針について

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者(以下「方針決定を支配する者」といいます。)の在り方について、基本的には、株主の自由な判断に基づいた当社株式の自由な取引を通じて決定されるべきものであると考えており、上場企業として多様な投資家に当社の株主となっていただき、また、その様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させることが望ましいと考えております。

 昨今のわが国の資本市場においては、経営陣の同意なく、会社支配権の取得を意図して株式を大量に買い付けようとする事例も少なくありません。このような買付けの中には、当社及び当社グループの顧客、取引先、地域社会、従業員等ステークホルダーの利益を著しく損なう蓋然性の高いものや、株主に十分な判断の時間や判断の材料を与えないものなど、当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして望ましくない買付けが行われることも予想される状況にあります。

 当社は、このような当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして、望ましくない買付けを行おうとする者に対して、方針決定を支配する者となる機会を与えることは、株主からの様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させるためには望ましくないものと考えております。

 また、当社事業の主軸は音楽・教育分野にあり、これらの事業は単にハードやソフトを提供することにとどまるものではなく、文化に深く関わる事業であると考えております。このような事業の運営においては、経済的側面のみならず、文化的側面も視野に入れたバランスのとれた経営姿勢が不可欠であると考えております。かかる観点から、方針決定を支配する者においては、このような経営姿勢についても、十分に理解していることが望ましいと考えております。

 

② 基本方針に関する取組み

(ⅰ)財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み

 当社は、以下のような取組みを鋭意実行することが、当社の企業価値及び株主共同の利益を向上させることとなり、さらなる多様な投資家からの当社への投資を促進させ、結果として、上記①の基本方針の実現に資するものであると考えております。

 

a)当社は、2022年3月までの3ヵ年を対象期間とする第6次中期経営計画「Resonate 2021」を2019年4月1日より遂行しております。同計画では、長期ビジョンとして「100年ブランドの確立」を掲げ、100年、そしてさらにその先の継続的な発展に向け、祖業であるピアノづくりで世界一を目指し、各事業の強みをさらに深化させ、お客様満足度の追求・向上と音楽文化の発展を通して企業価値・ブランド力の向上と持続的な成長を図ってまいります。

 

b)当社は適切な組織体制の構築のために、以下の取組みを行っております。

当社は、意思決定の迅速化と経営陣の責任の明確化のために、執行役員制度を採用し、業務執行と監督の分離に取り組むとともに、取締役の任期を1年としております。

また当社は、独立性の高い社外取締役及び社外監査役を選任し、取締役の業務執行の監督、監査に当たらせております。加えて、2015年6月からは社外取締役を2名選任し、同年12月には社外役員4名と社内取締役3名から構成されるコーポレート・ガバナンス委員会を設け、さらなるガバナンスの強化を図っております。

 

c)上記のほかにも、機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進により、株主との長期安定的な信頼関係の構築に努めてまいります。

 

(ⅱ)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 2016年6月28日開催の当社第89期定時株主総会に基づき更新いたしました当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「旧プラン」といいます。)を2019年6月26日開催の第92期定時株主総会における株主の承認により基本的に旧プランを継承し、新たな対応方針(以下「本プラン」といいます。)として更新しております。(本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載されている2019年5月21日付プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新について」に開示しております。)

③ 当社の取組みが、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

(ⅰ) ②(ⅰ)の取組みについて

 第6次中期経営計画「Resonate 2021」に関する当社の取組みは、究極的にはステークホルダー全体の利益を実現するための施策として当社経営陣に課せられた課題であると考えておりますので、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位を維持することを目的とするものでもありません。

 執行役員制度、取締役の1年任期制、社外取締役の増員、社外監査役による取締役の業務執行監査、コーポレート・ガバナンス委員会の設置については、いずれも適正な業務執行を担保するために導入したものであり、株主共同の利益を害することにはなりませんし、また当社の会社役員の地位を維持するためのものでもありません。

 機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進についても、株主共同の利益を害するものではなく、投資家の判断に資することを目的として行おうとするものですので、当社の会社役員の地位を維持するものでもないと考えております。

 

(ⅱ) ②(ⅱ)の取組みについて

 本プランは、以下のような点から、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないものと考えております。

 

a)本プランの内容は、大規模買付者に対して事前に大規模買付情報の提供及び大規模買付行為の是非を判断する時間を確保することを求めることによって、大規模買付者の提案に応じるか否かについて株主の適切な判断を可能とするものです。したがって、株主共同の利益を害するものではなく、基本方針に沿う内容となっております。

 

b)本プランにおいて、対抗措置が発動される場合としては、大規模買付者が予め定められた大規模買付ルールを遵守しない場合や、当社企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合に限定しております。このように、対抗措置の発動は当社の企業価値及び株主共同の利益に適うか否かという観点から決定することとしておりますので、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的としないものとしております。

 

c)本プランにおいては、独立性の高い社外者を構成員とした独立委員会を設置し、対抗措置の発動を当社取締役会が判断するにあたっては、独立委員会の勧告を最大限尊重することとしております。また、当社取締役会において、必要に応じて外部専門家等の助言を得ることができるものとしております。このように、対抗措置を発動できる場合か否かの判断について、当社取締役会の恣意的判断を排除するための仕組みを備える内容となっており、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもないといえます。

 

 本プランは、更新後3年毎に、本プランの期間更新又は廃止について、定時株主総会の議案として上程し、株主に対して本プランの継続の是非を直接判断いただくこととしております。また、取締役の任期を1年としていることを前提として、毎年、定時株主総会における取締役の選任議案に各取締役候補者の本プランに関する賛否を記載するとともに、定時株主総会後、最初に開催される取締役会において、株主より選任された取締役が本プランの継続又は廃止の決議を行い、決議結果を速やかに株主及び投資家へ開示することとしております。

 このように、本プランの継続については、株主の意思が直接反映されるよう努めており、株主共同の利益を害することのないよう、また、当社の会社役員の地位の維持につながることのないよう努めております。

 

2【事業等のリスク】

 事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

1.経済状況の変化によるリスク

 当社グループが事業活動を行っている国内、欧米及び中国等の市場において、景気後退により急激に個人消費が低迷した場合、当社グループが提供する製品やサービスの需要の減少や価格競争が激化することによって、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

2.為替変動リスク

 当社グループの主力事業である楽器事業における販売先は海外が多く、また主要な原材料である木材や多くの楽器部品を輸入しています。したがって為替変動は販売価格や原材料価格に影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

3.国際化によるリスク

 楽器の主要市場である欧米市場や中国市場における事業環境の変化、ピアノ及びデジタルピアノ工場があるインドネシアの政情の大きな変化、並びに税制等各国特有の法令に関する想定外の運用は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

4.研究開発に関するリスク

 他社との差別化のため技術研究を進めておりますが、開発した製品が市場に受け入れられない可能性、また他社が画期的な新製品を開発し市場が席巻される可能性もあります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

5.設備投資、提携等に関するリスク

 当社グループは事業の拡大のため、設備投資等の事業投資を行っております。また、他社との業務提携、出資、合弁会社設立などを行っております。これらの設備投資、業務提携、出資、合弁会社設立などの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っていますが、状況によっては事業環境の変化により当初期待した効果が得られない可能性や、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

6.市場競争激化のリスク

 ピアノ及びデジタルピアノの普及価格帯における競争が激しくなっております。それに対抗する製品を継続的に市場に投入してまいりますが、充分な競争力が発揮できなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

7.コスト増加のリスク

 当社グループの製品の原材料となる木材、銅等の金属、樹脂等の部品の市況変化等による原材料コストの増加、原油価格の高騰等による物流コストの増加、海外人件費の高騰等による労務コストの増加など各種コストの増加が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

8.取引先依存によるリスク

 金属事業や塗装事業等における受託生産は、受託先企業の業績の影響を受けるとともに、品質や納期等において受託先企業の要求を満たせなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。また、楽器部品など当社専用部品の生産委託先企業や、OEM生産委託先企業の経営状況の悪化などによる生産遅延や操業停止、主要取引先企業の受注変動等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

9.自然災害等に見舞われるリスク

 地震を含む自然災害、疫病、戦争、テロ等により当社グループの営業活動が直接的又は間接的な影響を受けた場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。特に国内主要施設が静岡県浜松市近辺に集中していることから東南海地震及び津波による本社及び工場への被害や営業活動への影響は大きなものとなる可能性があります。

10.人材の確保・育成に関するリスク

 当社グループは平均年齢が高く、次世代を担う人材の確保・育成は重要な課題となっております。したがって、事業展開に必要な人材を確保できなかった場合や、生産部門の従業員による技術の継承が円滑に行われず人材育成が計画的に進まなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

11.技術・技能流出のリスク

 当社は楽器事業においてコストダウンやリスク分散のため海外生産を展開しています。これに伴い生産技術の流出や、知的財産の侵害による類似品や模倣品が出現した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

12.製品及びサービスに係る事故等のリスク

 当社製品による製造物責任を伴う事故は、コスト増大や社会的評価の低下をもたらします。また当社店舗や教室における火災や事故・事件、教室生徒及び講師等を巻き込んだ犯罪等により、当社のブランドイメージが損なわれた場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

13.環境法制に関するリスク

 当社グループが製造するピアノは、大半が木材を原材料とする部品で構成されており、その原材料の多くを海外調達しておりますが、海外における環境法制の変化が原材料の調達面に影響した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

14.感染症が流行するリスク

 新型インフルエンザ等の感染力の強い感染症が流行した場合、当社の音楽教室や体育教室の休講並びにコンサート等のイベントの中止を余儀なくされる恐れがあり、流行の規模や期間によっては、収入の減少等により、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

15.少子化進行のリスク

 日本における少子化が、予想を超えて急速に進行した場合、当社の音楽教室や体育教室の業績を悪化させる可能性があります。また、少子化による市場の縮小により楽器販売が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

16.株価変動に関するリスク

 当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っております。したがって、株価の動向次第では、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

17.情報システムに関するリスク

 当社グループが事業活動を行っていく上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であります。コンピュータウイルスへの感染や不正侵入などにより情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

18.個人情報漏洩に関するリスク

 当社グループは業務を円滑に行うため、お客様のお名前、ご住所、お電話番号、Eメールアドレス等の情報を取得・利用しております。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に意図せず違反した場合をはじめ、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合、当社グループの信頼の失墜等につながり、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

19.インターネット等による風評被害に関するリスク

 当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上に努めておりますが、インターネット等を利用した当社グループに関する誤った情報の書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

20.退職給付債務及び退職給付費用に関するリスク

 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で設定される割引率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しています。この前提条件は、市場金利の影響を受けることから実際の結果とは異なる場合があり、退職給付債務が増加する可能性があります。その場合、当社グループの業績と財務状況に影響を与える可能性があります。

21.金利が上昇するリスク

 上記1~20の事象の発生等により、当社グループの業績が著しく悪化した場合や金融機関を取り巻く環境が大幅に変化した場合、金融機関からの資金借入れ条件が厳しくなることが考えられます。借入金の金利上昇は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における日本経済は、政府の経済対策により雇用情勢や企業収益の改善がみられ緩やかな回復基調が続いていましたが、世界経済は、米中の貿易摩擦や新興国経済の減速懸念に伴い金融市場が不安定になるなど、先行き不透明な状況で推移し、年度終盤では日本経済もこの影響により弱まりを見せています。

 このような経営環境のもと、当社グループは中期経営計画「Resonate2018」の最終年度として、100年ブランドとしての企業価値向上の推進と長期的な安定成長を目指し、掲げている主要戦略と基盤づくりに取り組みました。

 こうした中で、昨年11月に開催された『第10回浜松国際ピアノコンクール』において、前回に引き続き、公式ピアノである当社フラッグシップモデル『SK-EX』を弾いたジャン・チャクムル氏(トルコ)が優勝、また第5位・第6位入賞者も『SK-EX』を選択するという当社にとって大きなトピックがありました。

 国内では店舗戦略として「カワイ仙台」をリニューアルオープンし、これまで継続的に取り組んできた中核都市におけるお客様とのタッチポイントの拡大を進め、『Shigeru Kawai』をはじめとした高付加価値商品の販売に取り組みました。

 海外では、米国やドイツでの直営店展開の強化により鍵盤楽器の販売拡大を図るとともに、中国や東南アジアでは、当社の強みである販売・音楽教室・調律・生産の四位一体のノウハウを活かして、中長期的な成長に向けた展開を推進しました。

 商品政策としては、消音機能と高性能の響板スピーカーを搭載したハイブリッドアップライトピアノ『AURES(オーレス)』を開発し、大型のスピーカーに匹敵する迫力と、響板ならではの豊かな響きを実現し、お客様がよりピアノライフを楽しめる新製品を市場に投入しました。

 また創立90周年の節目に合わせ創設した、『Shigeru Kawai国際ピアノコンクール』の第2回を開催し、17の国と地域から239名のピアニストがエントリーしてハイレベルな演奏が繰り広げられ、大きな反響を頂きました。引き続き次世代を担うピアニストの発掘・育成や、世界の音楽文化の振興にも力を入れてまいります。

 

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は 72,376百万円(前年同期比 2.2%増)、営業利益は 3,669百万円(前年同期比 33.5%増)、経常利益は 3,918百万円(前年同期比 27.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 2,010百万円(前年同期比 3.0%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(楽器教育事業)

 楽器教育事業は、主力のピアノは中国での二桁伸長をはじめ、欧州、北米、日本で販売が堅調に推移しました。

また商品としましても『Shigeru Kawai』や、ハイブリッドアップライトピアノ『AURES』、消音ピアノ『ATX』などの高付加価値商品の販売が好調でした。デジタルピアノは、グランドピアノアクションを搭載したハイブリッドデジタルピアノ『NOVUS NV10』や、最上位モデルの『CA』シリーズが欧州や日本で順調に推移しました。音楽教室ではピアノコースの展開に注力した結果、生徒数が増え売上が増加しました。

 この結果、売上高は 58,586百万円(前年同期比 5.5%増)となり、営業利益 2,578百万円(前年同期比 57.5%増)となりました。

 

(素材加工事業)

 素材加工事業は、半導体関連部品や自動車の内装部品の受注が減少したことなどにより、売上高は 10,606百万円(前年同期比 2.2%減)となり、営業利益 1,131百万円(前年同期比 5.3%減)となりました。

 

(その他)

 その他の事業は、医療機関向けIT機器の販売減少により、売上高は 3,183百万円(前年同期比 27.9%減)となりましたが、ソフトウェア開発の受託増などにより営業利益 7百万円(前年同期比 12百万円増益)となりました。

 

 また、財政状態は次のとおりであります。

 

(資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、現金及び預金の増加、たな卸資産の増加により 29,861百万円(前期末比 5.0%増)となりました。また固定資産は、投資有価証券の減少等により 23,370百万円(前期末比 4.5%減)となり、資産合計は 53,231百万円(前期末比 0.6%増)となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末の流動負債は、16,602百万円(前期末比 3.5%減)となりました。これは主に短期借入金が減少したことによるものです。また固定負債は、長期借入金の減少や退職給付に係る負債の減少などにより 11,624百万円(前期末比 6.3%減)となり、負債合計は 28,226百万円(前期末比 4.6%減)となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は 25,005百万円(前期末比 7.3%増)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益などによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得による支出等の減少、税金等調整前当期純利益及び減価償却費等により、前連結会計年度末に比べ 1,094百万円増加し、当連結会計年度末には 11,055百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は 3,654百万円(前年同期に得られた資金は 3,112百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益 3,430百万円、減価償却費 1,526百万円、法人税等の支払額 765百万円などによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は 846百万円(前年同期に使用した資金は 2,515百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出 1,287百万円、無形固定資産の取得による支出 343百万円などによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は 1,656百万円(前年同期に得られた資金は 687百万円)となりました。これは主に短期借入金返済による支出 516百万円、長期借入金返済による支出 816百万円などによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器教育

26,854

112.7

素材加工

10,882

101.5

報告セグメント計

37,736

109.2

その他

208

89.9

合計

37,945

109.1

(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器教育

12,065

113.5

素材加工

169

94.3

報告セグメント計

12,235

113.1

その他

2,300

66.3

合計

14,535

101.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

 当連結会計年度における素材加工事業及びその他の事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。

 なお、素材加工事業、その他の事業の一部を除く製品については主に見込み生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

素材加工

6,857

91.4

641

103.5

その他

4,146

102.2

2,173

205.6

合計

11,003

95.2

2,814

167.9

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度において、その他の受注残高に著しい変動がありました。これは、IT機器の受注が増加したことによるものであります。

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器教育

58,586

105.5

素材加工

10,606

97.8

報告セグメント計

69,192

104.2

その他

3,183

72.1

合計

72,376

102.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

パーソンズ ミュージック

コーポレーション グループ

9,981

14.1

10,906

15.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度末現在における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続して評価を行っております。

 なお、見積り及び評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性がありますため、実際の結果は異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

 当連結会計年度の売上高は 72,376百万円(前年同期比 2.2%増)となりました。

 基幹事業である楽器教育事業は、国内では店舗戦略として「カワイ仙台」をリニューアルオープンし、これまで継続して取り組んできた国内の中核都市での店舗リニューアルや、海外では、米国ヒューストン、ダラスにおける直営店展開など販売基盤の強化・タッチポイントの拡大などを進めてまいりました。これらの施策により、鍵盤楽器販売については、フラッグシップモデルの『Shigeru Kawai』が国内・海外ともに伸長し、ピアノ全体につきましても中国や北米などで好調に推移し販売が増加しました。商品政策としましては、消音機能と高性能の響板スピーカーを搭載したハイブリッドアップライトピアノ『AURES(オーレス)』を開発し、大型のスピーカーに匹敵する迫力と、響板ならではの豊かな響きを実現し、お客様がよりピアノライフを楽しめる新製品を市場に投入しました。また音楽教室ではピアノコースの展開に注力した結果、生徒数が増え売上が増加しました。この結果、売上高は 58,586百万円(前年同期比 5.5%増)となり、営業利益 2,578百万円(前年同期比 57.5%増)となりました。

 素材加工事業は、半導体関連部品や自動車の内装部品の受注が減少したことなどにより、売上高は 10,606百万円(前年同期比 2.2%減)となり、営業利益 1,131百万円(前年同期比 5.3%減)となりました。

 その他の事業は、医療機関向けIT機器の販売減少により、売上高は 3,183百万円(前年同期比 27.9%減)となりましたが、ソフトウェア開発の受託増などにより営業利益 7百万円(前年同期比 12百万円増益)となりました。

 

b.営業損益

 当連結会計年度の営業利益は 3,669百万円となり、前連結会計年度に比べ 920百万円の増益となりました。

 主に基幹事業の楽器教育事業で、売上が好調に推移したことに加え、高付加価値商品の販売が好調だったことにより前年同期比で 941百万円増益となり全体の利益を押し上げたことによります。

 

c.経常損益

 当連結会計年度の経常利益は 3,918百万円となりました。営業利益の増益などにより、前連結会計年度に比べ 850百万円増益となりました。

 

d.親会社株主に帰属する当期純利益

 上記の結果に加え、投資有価証券売却損の発生などにより、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は 2,010百万円となり、前連結会計年度に比べ 58百万円増益となりました。

 

 当社グループは、目標経営指標として中期経営計画「Resonate2018」の最終年度(2019年3月期)で営業利益率5%以上の達成、またROE(自己資本利益率)は8%以上を掲げておりましたが、当連結会計年度における営業利益率は 5.1%(前年同期比 1.2%改善)、ROE(自己資本利益率)は 8.4%(前年同期比 0.2%悪化)となりました。

 2019年4月からの3か年を対象とする第6次中期経営計画「Resonate 2021」を2019年3月に発表いたしましたが、中期経営計画で掲げている各戦略を着実に実行し企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

・主要拠点(日本・欧米・中国・インドネシア)の政治及び経済状況の著しい変化

・主要市場における製品需要の急激な変動

・為替相場の大幅な変動

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

② 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、楽器製造のための材料費、楽器製造・販売及び音楽教室等の運営に携わる要員の給料手当、福利厚生費などの人件費の他、販売並びに役務提供に関する販売促進費、運送・保管料、物件費等であり、営業キャッシュ・フローによる充当を基本としています。また、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入れによっております。

 当連結会計年度末において複数の金融機関との間で機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約及び当座貸越契約等を締結し、10,799百万円の資金調達枠を設定しており、事業展開での資金需要に伴う手元資金の一時的な減少を防ぎ、経営の更なる安定化を図っております。(借入実行額残高 5,382百万円、借入未実行残 5,417百万円)

 

4【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携契約)

契約会社名

相手先の名称

契約

締結日

契約期間

契約の内容

(株)河合楽器

製作所

(株)学研

ホールディングス

2015年

7月31日

自:2015年10月1日

至:2020年9月30日

以後1年ごとの自動更新

業務提携

① 教室事業の拡大

② シニア向け事業の拡大

③ グローバル事業の拡大

④ 園・学校向けの教室運営ノウハウやコンテンツ、リソースなどを活用し、それぞれの事業拡大に向けた連携

⑤ 人材の交流

資本提携

① 株式の相互保有

(株)河合楽器

製作所

オンキヨー(株)

2015年

11月24日

期間の定めなし

業務提携

① 電子楽器等の新規カテゴリ製品や、音楽教室とオンキヨーグループで連携して行う新サービス開始に向けた両社による研究開発と販売

② 上記新規カテゴリ製品や新サービス及び両社製品やサービスのマーケティングにおける連携

③ コールセンター等のサービス拠点、国内外の事業所の相互利用を含めた、バックオフィスにおける連携

④ 電子部品、木材等の調達や、生産における連携

(株)河合楽器

製作所

パーソンズ

ミュージック

コーポレーション

2017年

2月9日

自:2017年2月9日

至:2027年2月8日

以後1年ごとの自動更新

業務提携

① KAWAI ブランドの楽器生産

② KAWAI ブランド商品のプロモーションと販売、アフターサービス

③ 音楽教室展開と講師人材の育成

④ ピアノ調律サービスの普及、調律技術者の育成と調律技術の向上

⑤ その他、新商品・サービスの企画・開発、音楽イベントの企画等、音楽産業の発展と音楽文化振興に資する事業活動全般

資本提携

① パーソンズ ミュージック コーポレーションは当社株式を共同保有

② (株)河合楽器製作所はパーソンズ ミュージック コーポレーションの完全子会社であるパーソンズ ミュージック ホールディング リミテッドが発行した転換社債型新株予約権付社債を保有

(注)2018年6月27日をもって、オンキヨー株式会社との資本提携を解消いたしました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、より良い楽器作りと音楽文化への貢献を目指すとともに、持続的な企業の成長に向け、楽器教育事業、素材加工事業の各セグメントにおいて研究開発活動を行っております。当社及び連結グループ全体の研究開発要員は81名で、研究開発費は 670百万円であります。

 

① 楽器教育事業

 アコースティックピアノに関しては、100年ブランドの構築に向け「ピアノでNo.1」を目指し、「Shigeru Kawai」をはじめとした生産ラインの改革を進めております。また、素材・基礎開発レベルでの研究継続により、品質・製品力の進化に取り組んでおります。電子楽器との融合であるハイブリッド製品においては、定評あるハンマーセンサーを搭載した消音ピアノ「ATXシリーズ」をフルモデルチェンジした「ATX3」を開発しました。音色を大幅に改良した新音源や、大型タッチパネルを拍子木に採用し、スマートフォン感覚での操作を実現しました。さらにアコースティックピアノに消音機能と響板スピーカーシステムを搭載した、新しいジャンルの新製品「AURES(オーレス)」を開発しました。新駆動システムにより、天然木でつくられた大面積のピアノ響板をスピーカーとして振動・発音させることで、豊かな音場のオーディオシステムとなりました。また、ピアノ練習時にヘッドホン未使用での音量調節を可能としたり、消音しないピアノ音に電子音を重ねて演奏を楽しめるなど、市場でも高い評価を得ております。

 デジタルピアノに関しては、前期に発売し好評を頂いているCAシリーズ「CA98」「CA78」の黒艶モデル「CA98EP」「CA78EP」を発売しました。CAシリーズは、「SK-EX」レンダリング音源とオンキヨー株式会社の高品位オーディオ技術を搭載、操作パネルには業界初となるカラー液晶タッチパネルを採用し『高性能と使いやすさ』を追求したモデルとなっております。今後も高付加価値製品の投入や低価格帯モデルへの技術展開により競争力を高めるべく、技術開発を進めております。

 音楽教室に関しては、海外音楽教室向けの教材開発の取り組みを継続して進めております。2018年9月より北京市にある国家的教育事業施設「中国宋慶齢青少年科技文化交流中心」で、3歳児~4歳児対象のグループレッスン「ピコルわーるど」を開講しました。また、1歳児対象の「クーちゃんランド」、2歳児対象の「くるくるクラブ」についても早期開講を目指し、教材開発を進めております。いずれのコースも中国の音楽大学教授を中心とした専門家の意見を取り入れながら中国向け教材のカスタマイズを行っております。また、東南アジア等へ向けたポピュラーピアノコース教材「サウンドファン」シリーズの現地向け教材の作成を進めております。これにより子どもの音楽教室だけではなく、大人を対象とした新たな市場開拓を図っております。

 体育教室、英語教室、絵画造形教室につきましても、各カリキュラムの研究と教材の開発を継続的に行っております。体育教室では、子ども向けの体育教室のみにとどまらず、企業向けフィットネスプログラムや、高齢者向けの健康コース・シニアクラスの開発にも取り組んでおります。

 音楽ソフトウェアに関しては、ゲームモード機能と自動運指ナビ機能を搭載したピアノ独習ソフトウェア「ピアノマスターdp」を開発しました。また、耳コピ支援ソフトウェア「バンドプロデューサー5」に楽譜認識作成ソフトウェア「スコアメーカーZERO」シリーズと連携する機能を開発し、楽譜を見ながら耳コピができるようにしました。「スコアメーカーZERO」シリーズに関しては、階名表示、階名唱、ReWire対応、楽器演奏の音律対応などを開発し、継続的な機能向上とユーザーの獲得を進めております。

 当事業に係る研究開発費は 649百万円であります。

 

② 素材加工事業

 カワイ精密金属株式会社が、自動車向け異形条の開発及びローコスト製法の研究、合わせ材料(クラッド)における物性、塑性研究といった異種金属接合加工研究等、金属全般の異形加工に関する研究を行っております。また、株式会社カワイ音響システムが開発した、限られた空間で楽器本来の響きを楽しむピアニストのための防音室「ナサール・オーダータイプ・リフレクス」を発売しました。株式会社カワイハイパーウッドでは、自動車向け本杢塗装部品を柱にアルミ加飾やカーボン加飾など異素材の分野においても研究を行っております。

 当事業に係る研究開発費は 21百万円であります。