文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。したがって、様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「快適で豊かな生活環境の創造」・「お客様の満足を第一とした商品・サービスの提供」・「新しい時代に向けた企業活動の推進」・「社員を大切にし、明るい企業をめざす」を経営の理念としております。この経営の理念のもと、当社グループは、ピアノをはじめとする楽器あるいは音楽教育等を通じ感動を皆様に広げ、快適な生活環境の創造に貢献することを使命としております。そのため、「世界一のピアノづくりをめざして」という目標のもと、重点事業への経営資源の集中を図り、高品質で特長ある新製品の開発とともに原価の低減、経費の削減、資産の圧縮等経営効率化諸施策の徹底により経営基盤の整備・強化を進めて業績の向上に努め、株主各位のご期待にお応えする事を経営の基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の最大化に向け、営業利益率、ROE(自己資本利益率)を経営指標として重視し取り組むとともに、財務基盤の強化のためキャッシュ・フローを重視し、持続的な成長を目指してまいります。
第6次中期経営計画「Resonate 2021」(2020年3月期から2022年3月期までの3年間)で掲げた目標指標につきましては、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。
(3)経営環境
当社を取り巻く経営環境といたしましては、日本経済において新型コロナウイルス感染の拡大を受け、政府による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されるなど、社会活動の抑制を余儀なくされました。依然として感染症の動向に左右される状況が続いており、更なる感染の拡大による景気回復の遅れが懸念されます。また世界経済においては、新型コロナウイルス感染の拡大により2020年前半に大きく落ち込んだ後、各国の積極的な財政政策により徐々に持ち直しに転じましたが、ワクチン接種への課題や変異株の拡大など、今後も不安定な状況が続くことが予測されます。特に、教室事業等における休講、発表会・コンクールなど催事イベントの中止など活動自粛要請による影響は経営環境に悪い影響を与えるものと予想されます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、企業価値の向上と持続的な成長を目指して第6次中期経営計画「Resonate 2021」を策定し、その目標達成に向けた各戦略を進めていくことを優先的に対処すべき課題としております。
・第6次中期経営計画「Resonate 2021」の概要 (2019年3月27日発表)
長期ビジョンとして『100年ブランドの確立』を掲げ、100年、そしてさらにその先の継続的な発展に向け、祖業であるピアノづくりで世界一を目指し、各事業の強みをさらに深化させ、お客様満足度の追求・向上と音楽文化の発展を通して、企業価値・ブランド力の向上と持続的な成長を図ります。
2019年4月からの3年間は基本方針として、100年ブランドの構築に向け、「販売力」、「製品・サービス力」、「生産力」、「組織力」をそれぞれ深掘りしてKAWAIのブランド力を高め、柱である楽器教育事業の収益性向上と、成長の為の基盤強化に取り組み、企業価値の向上を目指します。
・重点戦略
① 販売力の深化
成熟市場においては、フラッグシップモデルの『Shigeru Kawai』や、ハイブリッド製品などの高付加価値品の販売強化に取り組み、安定成長と収益性の向上を図ります。また、販売網の強化として、特に米国やドイツにおける直営店の販売拡大や、フランスの販売会社の活動強化に取り組みます。国内においては、四位一体の販売体制(直販、調律、音教、卸・楽器店)の確立と、CRM(顧客管理システム)活用による販売基盤強化、旗艦店のリニューアルと首都圏展開の強化に取り組みます。中国市場においては、パートナーとの提携業務を深耕し、バリューチェーンの付加価値を拡大するとともに、音楽教室、調律事業の展開も連携して進め事業拡大を図ります。また東南アジアでの販売拡大と、中南米、中近東、アフリカ等での市場開拓の推進にも積極的に取り組んでいきます。
② 製品・サービス力の深化
『Shigeru Kawai』をはじめ、素材・基礎開発レベルでの研究継続による品質・製品力の深化、顧客満足度の追求に取り組みます。特に2019年からの3年間は、ハイブリッド製品や、タッチと音を追求したデジタルピアノの開発強化に重点を置き、生産工場に企画・開発機能を持たせ、市場ニーズに即した製品開発に取り組めるよう体制を見直し、中国向け商品展開の充実化や低シェア市場攻略の為の商品開発強化を図ります。あわせて、KAWAIのブランドマーケティング強化の為、商品企画・デザイン・プロモーションまでを一元管理する体制を構築します。
また、アーティストリレーションの強化や、MPA(Master Piano Artisan 技術力の高い調律師のみが持つ社内資格)の育成、アフターサービス体制の充実化を進め、さらなる顧客満足度の向上に取り組みます。
③ 生産力の深化
グローバルかつフレキシブルな生産体制の強化と、QCD(Quality・Cost・Delivery = 品質・コスト・納期)をさらに高める為の重点設備投資を実施します。
ピアノについては、マザー工場である竜洋工場を中心に、長年培ったKAWAIのオンリーワン技術を次世代につなぎ、100年ブランドに相応しいピアノづくりをグローバルに展開します。また、販売が好調な『Shigeru Kawai』生産ラインの改革・生産能力増強や、新生産システム導入による戦略的な原価管理、最適生産に取り組みます。
デジタルピアノについては、中国をはじめ全世界での販売増に対応する為の生産体制を強化するとともに、生産工程の内製化など継続的な原価低減活動に取り組みます。
④ 組織力の深化
中長期的にKAWAIグループが躍動するための人的資本の高度化に取り組みます。
・社員がいきいきと活躍できる「健康経営」の推進
・各階層に応じた教育研修プログラムの拡充による育成、能力開発
・女性の活躍を起点とした仕事と子育て・介護の両立支援と働き方改革の推進
・グローバル人財の育成推進、人事システムの刷新
また、経営基盤の強化のために、横断的な組織体制の構築やマネジメントプロセスの最適化、全社的な生産性向上と定型業務の効率化に継続的に取り組みます。
・事業戦略
① 教育・調律事業の海外展開
教育・調律の自社ノウハウを活かし、各市場におけるKAWAIの総合的なブランド力を発揮する為の基盤構築を進めます。中国においては宋慶齢基金会との連携事業の強化を図り、コースの開発・多様化、カワイ認定講師の組織化、教育機関や楽器店などの教室実施拠点や地域の拡大に取り組みます。また中国楽器協会との調律研修事業の拡充、調律受託サービスの展開を進めます。東南アジアでは、インドネシア、タイでの教室事業の拡大を図るとともに、マレーシア、シンガポール、ベトナムへの展開を加速していきます。
② 素材加工事業
中核である金属事業においては、CVT自動車向け部品の受注増対応の為、3年間で総額18億円の設備投資を実施し、生産能力の増強を図ります。また、EV化の流れを見据えた新規品の開拓に取り組むとともに、第3の柱の育成に取り組みます。塗装事業においては、独自の塗装技術をさらに磨き、コスト競争力の向上と受注拡大活動を強化します。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画(2019年4月~2022年3月)の2年目である2021年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。
売上高は計画比6,479百万円減となりました。これは、第1四半期の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い音楽教室や体育教室を休講としたことなどによるものです。
(単位:百万円)
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|
2021年3月期(計画) |
2021年3月期(実績) |
2021年3月期(計画比) |
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売上高 |
74,000 |
67,520 |
6,479減(8.8%減) |
|
営業利益 |
3,600 |
3,492 |
107減(3.0%減) |
|
経常利益 |
3,600 |
4,002 |
402増(11.2%増) |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
2,250 |
2,579 |
329増(14.7%増) |
|
営業利益率 |
4.8% |
5.2% |
0.4ポイント増 |
|
ROE |
8.3% |
9.7% |
1.4ポイント増 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.経済状況の変化によるリスク
当社グループが事業活動を行っている国内、欧米及び中国等の市場において、景気後退により急激に個人消費が低迷した場合、当社グループが提供する製品やサービスの需要の減少や価格競争が激化することによって、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化を注意深く見守り、状況に応じた対応が取れるように対策を行っております。
2.為替変動リスク
当社グループの主力事業である楽器事業における販売先は海外が多く、また主要な原材料である木材や多くの楽器部品を輸入しています。したがって為替変動は販売価格や原材料価格に影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、金融機関等と主要通貨の為替予約等のヘッジ取引を行っております。
3.国際化によるリスク
楽器の主要市場である欧米市場や中国市場における事業環境の変化、ピアノ及びデジタルピアノ工場があるインドネシアの政情の大きな変化、並びに税制等各国特有の法令に関する想定外の運用は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、関係部門における情報収集の他、各国の会計監査人や弁護士等の見解を確認しながら対応しております。
4.研究開発に関するリスク
他社との差別化のため技術研究を進めておりますが、開発した製品が市場に受け入れられない可能性、また他社が画期的な新製品を開発し市場が席巻される可能性もあります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、常に市場の情報を収集するとともに市場のニーズに合致した技術研究を進めております。
5.設備投資、提携等に関するリスク
当社グループは事業の拡大のため、設備投資等の事業投資を行っております。また、他社との業務提携、出資、合弁会社設立などを行っております。これらの設備投資、業務提携、出資、合弁会社設立などの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っていますが、状況によっては事業環境の変化により当初期待した効果が得られない可能性や、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、重要案件を審議・決定やモニタリングできるよう、会議体・決定機関を配置しております。
6.市場競争激化のリスク
ピアノ及びデジタルピアノの普及価格帯における競争が激しくなっております。それに対抗する製品を継続的に市場に投入してまいりますが、充分な競争力が発揮できなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
当社グループでは、競争力の有無については慎重に検討して市場投入し実施することとしております。
7.コスト増加のリスク
当社グループの製品の原材料となる木材、銅等の金属、樹脂等の部品の市況変化等による原材料コストの増加、原油価格の高騰等による物流コストの増加、海外人件費の高騰等による労務コストの増加など各種コストの増加が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、市況変化を確認しコスト増加のバランスを勘案した調達先の選択や分散を進めております。
8.取引先依存によるリスク
金属事業や塗装事業等における受託生産は、受託先企業の業績の影響を受けるとともに、品質や納期等において受託先企業の要求を満たせなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。また、楽器部品など当社専用部品の生産委託先企業や、OEM生産委託先企業の経営状況の悪化などによる生産遅延や操業停止、主要取引先企業の受注変動等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、受託先・委託先の情報を常に収集し、経営状況の変化に対応しております。
9.自然災害等に見舞われるリスク
近年、地震や気候変動により発生頻度・影響度が増大している自然災害、疫病、戦争、テロ等により当社グループの営業活動が直接的又は間接的な影響を受けた場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。特に国内主要施設が静岡県浜松市近辺に集中していることから東南海地震及び津波による本社及び工場への被害や営業活動への影響は大きなものとなる可能性があります。
当社グループでは、非常時の初期対応、報告方法、各対策本部の設置と役割について明記し、災害発生の際に適切な対応が取れるよう仕組みを構築しております。
10.人材の確保・育成に関するリスク
当社グループは平均年齢が高く、次世代を担う人材の確保・育成は重要な課題となっております。したがって、事業展開に必要な人材を確保できなかった場合や、生産部門の従業員による技術の継承が円滑に行われず人材育成が計画的に進まなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、新卒採用だけではなく、専門性をもつ人材の中途採用を進めております。また、技能継承を目的とした若手技術者の研修を定期的に行っております。
11.技術・技能流出のリスク
当社は楽器事業においてコストダウンやリスク分散のため海外生産を展開しています。これに伴い生産技術の流出や、知的財産の侵害による類似品や模倣品が出現した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、知的財産を管理する部門を設置し、技術の流出・侵害に対応しております。
12.製品及びサービスに係る事故等のリスク
当社製品による製造物責任を伴う事故は、コスト増大や社会的評価の低下をもたらします。また当社店舗や教室における火災や事故・事件、教室生徒及び講師等を巻き込んだ犯罪等により、当社のブランドイメージが損なわれた場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、製品安全対策に関する管理体制を整備し、営業物件にはセキュリティ対策を講じるなど事故・犯罪等の発生の回避に努めております。
13.環境法制に関するリスク
当社グループが製造するピアノは、大半が木材を原材料とする部品で構成されており、その原材料の多くを海外調達しておりますが、海外における環境法制の変化が原材料の調達面に影響した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、環境負荷を考慮し、定期的な調達の検討に努めております。
14.感染症が流行するリスク
新型コロナウイルス・新型インフルエンザ等の感染力の強い感染症が流行した場合、当社グループが事業活動を行っている国内外の市場では、各国政府によるロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請などにより、生産活動においては、工場の一時的な操業停止や減産の可能性があります。また営業活動においては、店舗の営業自粛や音楽教室・体育教室の休講並びにコンサート等のイベント中止を余儀なくされる恐れがあり、流行の規模や期間によっては、収入の減少等により、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、従業員等の感染の恐れが生じた場合の報告体制等の整備を行い、情報収集と感染予防対策の実施に努めております。
15.少子化進行のリスク
日本における少子化が、予想を超えて急速に進行した場合、当社の音楽教室や体育教室の業績を悪化させる可能性があります。また、少子化による市場の縮小により楽器販売が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、対象世代を広げるとともに、各世代へのニーズに対応できるよう常に検討を行っております。
16.株価変動に関するリスク
当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っております。したがって、株価の動向次第では、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、投資先企業の業績等の情報を収集し、保有についての検討を行っております。
17.情報システムに関するリスク
当社グループが事業活動を行っていく上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であります。コンピュータウイルスへの感染や不正侵入などにより情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、日々変化する情報セキュリティ情勢を常に把握し、適切な情報セキュリティ対策を検討・推進しております。
18.個人情報漏洩に関するリスク
当社グループは業務を円滑に行うため、お客様のお名前、ご住所、お電話番号、Eメールアドレス等の情報を取得・利用しております。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に意図せず違反した場合をはじめ、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合、当社グループの信頼の失墜等につながり、当社グループの業績が悪化する可能性があります。
当社グループでは、個人情報に関する規程及び管理体制を整備し、漏洩防止にあたっております。
19.インターネット等による風評被害に関するリスク
当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上に努めておりますが、インターネット等を利用した当社グループに関する誤った情報の書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、リスクマネジメント委員会及び情報セキュリティ委員会を設置し、情報に関する不測の事態の対応体制を整えております。
20.退職給付債務及び退職給付費用に関するリスク
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で設定される割引率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しています。この前提条件は、市場金利の影響を受けることから実際の結果とは異なる場合があり、退職給付債務が増加する可能性があります。その場合、当社グループの業績と財務状況に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、割引率等が実際と乖離しないよう適正な情報に基づいて計算を行っております。
21.訴訟に関するリスク
当社は音楽教室の著作権使用に係る裁判において係争中ですが、裁判の結果によっては著作権使用料の増加によるコスト増加の可能性があります。
22.金利が上昇するリスク
上記1~21の事象の発生等により、当社グループの業績が著しく悪化した場合や金融機関を取り巻く環境が大幅に変化した場合、金融機関からの資金借入れ条件が厳しくなることが考えられます。借入金の金利上昇は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、資金の借入に備え、コミットメントライン・当座借越契約を締結しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高は 67,520百万円(前年同期比 5.3%減)、営業利益は 3,492百万円(前年同期比 18.0%増)、経常利益は 4,002百万円(前年同期比 28.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 2,579百万円(前年同期比 67.0%増)となりました。
当社グループは第6次中期経営計画「Resonate2021」(2020年3月期から2022年3月期)を推進しております。「100年ブランド」の構築に向け、「販売力」「製品・サービス力」「生産力」「組織力」をそれぞれ深掘りしてKAWAIのブランド力を高め、柱である楽器教育事業の収益力向上と事業拡大を目指し、当社グループ全体の更なる基盤強化に取り組んでおります。
コロナ禍における消費者の購買行動に変化が見られる中、商品政策としては、当社のマザー工場であり「世界一
のピアノづくり」の拠点でもある竜洋工場の竣工40周年を記念したグランドピアノ『GL-10SE』、デジタルピアノ
『CA59』『CA49』、ポータブルデジタルピアノ『ES920』を開発し、発売いたしました。
また、音楽文化振興や社会貢献への一環として、オンラインコンサートの実施や若手ピアニストへの支援、震災被災地に向けたチャリティーコンサートの開催にも取り組みました。
財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、現金及び預金の増加などにより 38,215百万円(前期末比 30.9%増)となりました。また固定資産は、投資有価証券の減少などにより 22,484百万円(前期末比 0.4%減)となり、資産合計は 60,699百万円(前期末比 17.3%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、17,096百万円(前期末比 14.5%増)となりました。これは短期借入金や未払金などが増加したことによるものです。また固定負債は、長期借入金の増加などにより 15,668百万円(前期末比 41.0%増)となり、負債合計は 32,765百万円(前期末比 25.8%増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は 27,934百万円(前期末比 8.6%増)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益などによるものです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(楽器教育事業)
楽器教育事業は、楽器販売において、ピアノは各国政府からの外出規制や楽器店の休業命令による販売減少が大
きく影響しましたが、規制緩和や生活様式の変化の中、第2四半期以降回復基調に転じました。デジタルピアノや
ハイブリッドピアノについては、世界各地において巣ごもり需要を背景に好調な販売を維持しました。中でもグラ
ンドピアノの弾き心地を再現した最上位モデルである『CAシリーズ』及びアコースティックピアノアクションを搭
載したハイブリッドピアノモデルである『NVシリーズ』の販売が好調でした。一方で、国内の音楽教室及び体育教
室は回復基調にあるものの、第1四半期での休講措置が大きく影響しました。これらの結果、売上高は 55,147百万円(前年同期比 3.3%減)となり、営業利益は高付加価値商品の販売増加や費用の削減などにより 2,241百万円(前年同期比 23.5%増)となりました。
(素材加工事業)
素材加工事業は、第3四半期以降回復が見られたものの、第2四半期までにおける新型コロナウイルス感染症による供給先の生産調整に起因して、半導体関連部品や自動車関連部品の受注が減少したことなどにより、売上高は9,112百万円(前年同期比 5.5%減)となり、営業利益は費用削減などにより 1,291百万円(前年同期比 14.8%増)となりました。
(その他)
その他の事業は、医療機関向けIT機器販売の受託減少などにより、売上高は 3,259百万円(前年同期比 29.2%減)となり、営業利益は 49百万円(前年同期比 65.3%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は 4,942百万円(前年同期に得られた資金は 1,572百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益 3,166百万円、減価償却費 1,558百万円、法人税等の支払額 800百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は 899百万円(前年同期に使用した資金は 1,651百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出 795百万円、無形固定資産の取得による支出 65百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は 4,803百万円(前年同期に使用した資金は 1,393百万円)となりました。これは長期借入による収入 5,500百万円などによるものであります。
これらにより、当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、換算差額等を含め前連結会計年度末に比べ 8,855百万円増加したことなどにより、当連結会計年度末には 18,417百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金需要のうち主なものは楽器製造のための材料費、楽器製造・販売及び音楽教室等の運営に携わる要員の給料手当、福利厚生費などの人件費の他、販売並びに役務提供に関する販売促進費、運送・保管料、物件費等であり、営業キャッシュ・フローによる充当を基本としています。また、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入れによっております。
当連結会計年度末において複数の金融機関との間で機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約及び当座貸越契約等を締結し、15,436百万円の資金調達枠を設定しており、事業展開での資金需要に伴う手元資金の一時的な減少を防ぎ、経営の更なる安定化を図っております。(借入実行額残高 5,194百万円、借入未実行残 10,242百万円)
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度末現在における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性がありますため、実際の結果は異なる場合があります。
会計上の見積りの重要なものについては以下のとおりであります。
(たな卸資産)
当社グループは、たな卸資産については、主として総平均法による原価法を採用し、期末における正味売却価額が収益性の低下により取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額に帳簿価額を切り下げております。正味売却価額は期末前の一定期間の販売実績等を用いて算定しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響等により、将来の市場状況の変化や販売価格の下落等が生じた場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識すべきであると判定し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として処理しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、主として取締役会により承認された翌連結会計年度の計画及び中期経営計画等に基づき慎重に検討を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により、その見積もりの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、資産及び負債の金額についての、会計上と税務上の差額である一時差異に係る税金の額について、将来の会計期間において回収または支払が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産または繰延税金負債として計上しております。繰延税金資産につきましては、合理的な仮定に基づく業績予測によって見積もられた、将来の課税所得または税務上の欠損金に基づき、将来の回収可能見込額を毎期見直しております。当社グループは、将来の課税所得の見積りについて、主として取締役会により承認された翌連結会計年度の計画及び中期経営計画を基礎として見積りを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せない状況が続いておりますが、当社グループは当連結会計年度での入手可能な情報に基づき、過去の販売実績や直近の市場動向を鑑み、当連結会計年度と同水準の損益構造で推移するとの仮定のもと、将来課税所得の見積りを行っております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異のスケジューリングに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産の取崩が発生する可能性があります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
楽器教育 |
25,877 |
97.1 |
|
素材加工 |
9,364 |
93.9 |
|
報告セグメント計 |
35,242 |
96.2 |
|
その他 |
189 |
90.7 |
|
合計 |
35,431 |
96.2 |
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
楽器教育 |
11,371 |
92.9 |
|
素材加工 |
183 |
102.0 |
|
報告セグメント計 |
11,554 |
93.0 |
|
その他 |
2,225 |
62.4 |
|
合計 |
13,780 |
86.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度において、その他の仕入金額に著しい変動がありました。これは、IT機器の仕入が減少したことによるものであります。
c.受注実績
当連結会計年度における素材加工事業及びその他の事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。
なお、素材加工事業、その他の事業の一部を除く製品については主に見込み生産を行っております。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
素材加工 |
7,019 |
103.8 |
756 |
131.2 |
|
その他 |
4,197 |
137.8 |
2,105 |
227.8 |
|
合計 |
11,217 |
114.4 |
2,862 |
190.7 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度において、その他の受注残高に著しい変動がありました。これは、IT機器の受注が増加したことによるものであります。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
楽器教育 |
55,147 |
96.7 |
|
素材加工 |
9,112 |
94.5 |
|
報告セグメント計 |
64,260 |
96.3 |
|
その他 |
3,259 |
70.8 |
|
合計 |
67,520 |
94.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
パーソンズ ミュージック コーポレーション グループ |
11,250 |
15.8 |
10,373 |
15.4 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(資本業務提携契約)
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契約会社名 |
相手先の名称 |
契約 締結日 |
契約期間 |
契約の内容 |
|
(株)河合楽器 製作所 |
(株)学研 ホールディングス |
2015年 7月31日 |
自:2015年10月1日 至:2020年9月30日 以後1年ごとの自動更新 |
業務提携 ① 教室事業の拡大 ② シニア向け事業の拡大 ③ グローバル事業の拡大 ④ 園・学校向けの教室運営ノウハウやコンテンツ、リソースなどを活用し、それぞれの事業拡大に向けた連携 ⑤ 人材の交流 資本提携 ① 株式の相互保有 |
|
(株)河合楽器 製作所 |
パーソンズ ミュージック コーポレーション |
2017年 2月9日 |
自:2017年2月9日 至:2027年2月8日 以後1年ごとの自動更新 |
業務提携 ① KAWAI ブランドの楽器生産 ② KAWAI ブランド商品のプロモーションと販売、アフターサービス ③ 音楽教室展開と講師人材の育成 ④ ピアノ調律サービスの普及、調律技術者の育成と調律技術の向上 ⑤ その他、新商品・サービスの企画・開発、音楽イベントの企画等、音楽産業の発展と音楽文化振興に資する事業活動全般 資本提携 ① パーソンズ ミュージック コーポレーションは当社株式を共同保有 ② (株)河合楽器製作所はパーソンズ ミュージック コーポレーションの完全子会社であるパーソンズ ミュージック ホールディング リミテッドが発行した転換社債型新株予約権付社債を保有 |
当社グループは、より良い楽器作りと音楽文化への貢献を目指すとともに、持続的な企業の成長に向け、楽器教育事業、素材加工事業の各セグメントにおいて研究開発活動を行っております。当社及び連結グループ全体の研究開発要員は83名で、研究開発費は
① 楽器教育事業
アコースティックピアノに関しては、100年ブランドの構築に向けて「ピアノでNo.1」を目指し、マザー工場である竜洋工場を中心に生産ラインの改革を続けております。主力商品のShigeruKawaiの「深化」はもちろんのこと、全てのピアノにおいて弾く人の感性に共鳴する本物の楽器を追求する姿勢で研究開発、生産活動を行いました。商品政策においては、国内では昨年迎えた竜洋工場竣工40周年を記念しグランドピアノ「GL-10SE」を開発しました。ShigeruKawaiシリーズにも搭載しているウルトラ・レスポンシブ・アクションⅡを採用し、コンパクトサイズではありながら伸びやかな響きと優れたタッチを実現しました。また鍵盤においては、帯電性が少なく優れた吸水性を持つ人工象牙のファインアイボリー白鍵と人工黒檀のファインエボニー黒鍵を使用することで、心地よい弾き心地を実現しました。海外においては、黒艶色の需要が高まりつつある米国市場においてアップライトピアノ「ST-1」を発売しました。
デジタルピアノに関しては、CAシリーズの普及価格帯モデル「CA59」「CA49」を発売しました。グランドピアノに近いタッチ感を備える木製鍵盤モデルに、有機ELディスプレイを搭載し、操作性を大幅に向上させました。また、ポータブルタイプESシリーズの上位モデル「ES920」「ES520]を発売しました。従来モデル「ES8」で好評を頂いている高音質スピーカーシステムを継承した上で、ケースを樹脂化し本体重量を大幅に軽減、可搬性を飛躍的に向上させました。音の良さをそのままに機能を絞った普及価格帯モデル「ES520」でポータブルタイプ市場におけるシェア拡大を図ります。今後も、スタンダードタイプからポータブルタイプまで、お客様のニーズを捉えた製品を実現する製品開発、技術開発を進めて参ります。
音楽教室に関しては、コロナ禍における幼児のグループレッスン需要に応えるため、1歳児対象「クーちゃんランド」及び2歳児対象「くるくるクラブ」のオンラインレッスン教材を開発しました。また各種コンクール入賞や音高・音大進学を目的として開設している「ハイレベルピアノコース」について、一層のカリキュラム充実と担当講師の指導力向上を図るため、ソルフェージュテキスト、講師用指導書、講師用研修ビデオの制作を行いました。また、中国・北京市の国家的教育事業施設「中国宋慶齢青少年科技文化交流中心」で展開中の幼児グループコース「クーちゃんランド(1歳)」及び「ピコルわーるど(3~4歳)」の教材開発を完了しました。
体育教室、英語教室、絵画造形教室に関しては、各カリキュラムの研究と教材の開発を継続的に行っております。体育教室では、子ども向けの体育教室のみにとどまらず、企業向けフィットネスプログラムや、高齢者向けの健康コース・シニアクラスの開発にも取り組んでおります。
音楽ソフトウェアに関しては、楽譜認識作成ソフトウェア「スコアメーカーZERO」の追加機能として、楽器や歌の練習に役立つ「練習モード」を開発して搭載しました。認識対象や精度を向上させるなど、継続的な改良を続けることで新規ユーザーの獲得と、継続ユーザーの利用満足度向上に取り組んでおります。
デジタルピアノの楽しみを広げるアプリに関しては、内蔵曲の楽譜を閲覧・試聴できる「PiaBookPlayer」のAndroid版をリリースしました。また、デジタルピアノをスマホやタブレットから操作できる「PianoRemote」を全ての新モデルに対応させました。
当事業に係る研究開発費は
② 素材加工事業
カワイ精密金属株式会社は、自動車向け異形条の開発及びローコスト製法の研究、合わせ材料(クラッド)における物性、塑性研究といった異種金属接合加工研究など、金属全般の異形加工に関する研究を行っております。株式会社カワイ音響システムは、個人用途では楽器演奏、テレワーク、映像配信などに使用できる防音室を、法人用途では研究機関や企業向けの実験室、検査室、会議室などに使用できる防音室の研究開発を行っております。株式会社カワイハイパーウッドでは、自動車向け本杢塗装部品を柱にアルミ加飾やカーボン加飾など異素材の分野においても研究を行っております。
当事業に係る研究開発費は