第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。したがって、様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「快適で豊かな生活環境の創造」・「お客様の満足を第一とした商品・サービスの提供」・「新しい時代に向けた企業活動の推進」・「社員を大切にし、明るい企業をめざす」を経営の理念としております。この経営の理念のもと、当社グループは、ピアノをはじめとする楽器あるいは音楽教育等を通じ感動を皆様に広げ、快適な生活環境の創造に貢献することを使命としております。そのため、「世界一のピアノづくりをめざして」という目標のもと、重点事業への経営資源の集中を図り、高品質で特長ある新製品の開発とともに原価の低減、経費の削減、資産の圧縮等経営効率化諸施策の徹底により経営基盤の整備・強化を進めて業績の向上に努め、株主各位のご期待にお応えする事を経営の基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、企業価値の最大化に向け、営業利益率、ROE(自己資本利益率)を経営指標として重視し取り組むとともに、財務基盤の強化のためキャッシュ・フローを重視し、持続的な成長を目指してまいります。

 第7次中期経営計画「Resonate 2024」(2023年3月期から2025年3月期までの3年間)で掲げた目標指標につきましては、「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。

 

(3)経営環境

 当社を取り巻く経営環境といたしましては、日本経済において断続的な新型コロナウイルス感染症の拡大により度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令を余儀なくされましたが、政府による経済対策や水際対策等

の効果もあり経済社会活動の持ち直しに向けた動きが見られました。世界経済は、ウクライナ情勢を受けてエネルギーや食料品価格が高騰しており、新型コロナウイルス感染症が収束していない中で経済の見通しは非常に不透明になっています。特に、為替変動や輸送費、材料費の高騰などは、経営環境に悪い影響を与えると予想されます。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、企業価値の向上と持続的な成長を目指して第7次中期経営計画「Resonate 2024」を策定し、その目標達成に向けた各戦略を進めていくことを優先的に対処すべき課題としております。

 

・第7次中期経営計画「Resonate 2024」の概要 (2022年3月25日発表)

 

 長期ビジョンとして『100年ブランドの確立』を掲げ、100年、そしてさらにその先の継続的な発展に向け、祖業であるピアノづくりで世界一を目指し、各事業の強みをさらに深化させ、お客様満足度の追求・向上と音楽文化の発展を通して、企業価値・ブランド力の向上と持続的な成長を図ります。

 2022年4月からの3年間は基本方針として、100年ブランドの構築に向け、新たな事業環境に適合しながら堅実に成長し、100周年に向けた盤石の体制を構築いたします。そして、100周年の「その先」を見据え、KAWAIが実現したい未来を描きます。

 

・重点戦略

① 顧客接点の進化

 顧客購買行動の変化に適合したプロモーション政策を強化し、リアル施策とデジタル施策を融合させて「より多くのターゲット顧客」に対して、製品・サービスの価値を「より分かりやすく」伝えていきます。

 

② 需要拡大領域の強化

 ライフスタイルの変化により、ハイブリッド製品、電子ピアノに対する需要が増加しており、こうしたニーズに応えるラインナップの拡充と生産体制の増強に取り組みます。

 

 

③ コスト増への対応

 半導体などの材料費や海外輸送費の高騰によるコスト上昇に対応する為に、生産性の向上と販売価格の適正化を進めます。

 

 

・基本戦略

① 楽器教育事業

(ⅰ)ブランド力の強化

「100年ブランド」構築に向けたKAWAIブランドの更なる強化

 

(ⅱ)販売力の強化

(a)楽器製造販売 各市場における高付加価値化とシェアアップの追求

(b)音楽教育   音楽文化の振興と普及によるブランドの発信と鍵盤楽器の需要創造

 

(ⅲ)製品・サービス力の強化

ピアノメーカーならではの技術を生かした「顧客満足度」の絶え間ない探求

 

(ⅳ)生産力の強化

グローバル生産体制におけるQCDF※の強化

※Quality, Cost, Delivery, Flexibility (良い製品を、効率的に生産し、適時に、安定的に供給する)

 

(ⅴ)組織力の強化

機能面から組織を見直し、企業拡大のために必要な組織体制の構築と人員配置の実施

 

② 素材加工事業

(ⅰ)金属事業

車載向け新規品の受注拡大と増産体制の構築

既存品の横展開と新規品の受注

生産性向上のための設備投資の加速

 

(ⅱ)音響事業

個人用途の拡大と法人市場の開拓

快適な音響空間の追求による新商品開発

増販に対応する為の生産体制の確立

 

・連結業績予想

(単位:百万円)

 

2025年3月期

売上高

90,000

営業利益

6,800

経常利益

6,800

親会社株主に帰属する当期純利益

4,400

営業利益率

7.6%

ROE

10%以上

(為替の前提レート US$ 115円、ユーロ 125円、人民元 18円)

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 中期経営計画(2019年4月~2022年3月)の3年目である2022年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。

 売上高は計画比9,703百万円増、営業利益は2,496百万円増となりました。これは、『Shigeru Kawai』の伸長をはじめ、前期からの世界各地での巣ごもり需要を背景に鍵盤楽器の販売が好調に推移したことなどによるものです。

(単位:百万円)

 

2022年3月期(計画)

2022年3月期(実績)

2022年3月期(計画比)

売上高

76,000

85,703

9,703増(12.8%増)

営業利益

4,200

6,696

2,496増(59.4%増)

経常利益

4,200

7,304

3,104増(73.9%増)

親会社株主に帰属する当期純利益

2,650

5,046

2,396増(90.4%増)

営業利益率

5.5%

7.8%

2.3ポイント増

ROE

9.2%

16.5%

7.3ポイント増

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.経済状況の変化によるリスク

 当社グループが事業活動を行っている国内、欧米及び中国等の市場において、景気後退により急激に個人消費が低迷した場合、当社グループが提供する製品やサービスの需要の減少や価格競争が激化することによって、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

 当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化を注意深く見守り、状況に応じた対応が取れるように対策を行っております。

2.為替変動リスク

 当社グループの主力事業である楽器事業における販売先は海外が多く、また主要な原材料である木材や多くの楽器部品を輸入しています。したがって為替変動は販売価格や原材料価格に影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、金融機関等と主要通貨の為替予約等のヘッジ取引を行っております。

3.国際化によるリスク

 楽器の主要市場である欧米市場や中国市場における事業環境の変化、ピアノ及び電子ピアノ工場があるインドネシアの政情の大きな変化、並びに税制等各国特有の法令に関する想定外の運用は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、関係部門における情報収集の他、各国の会計監査人や弁護士等の見解を確認しながら対応しております。

4.研究開発に関するリスク

 他社との差別化のため技術研究を進めておりますが、開発した製品が市場に受け入れられない可能性、また他社が画期的な新製品を開発し市場が席巻される可能性もあります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、常に市場の情報を収集するとともに市場のニーズに合致した技術研究を進めております。

5.設備投資、提携等に関するリスク

 当社グループは事業の拡大のため、設備投資等の事業投資を行っております。また、他社との業務提携、出資、合弁会社設立などを行っております。これらの設備投資、業務提携、出資、合弁会社設立などの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っていますが、状況によっては事業環境の変化により当初期待した効果が得られない可能性や、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、重要案件を審議・決定やモニタリングできるよう、会議体・決定機関を配置しております。

6.市場競争激化のリスク

 ピアノ及び電子ピアノの普及価格帯における競争が激しくなっております。それに対抗する製品を継続的に市場に投入してまいりますが、充分な競争力が発揮できなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

 当社グループでは、競争力の有無については慎重に検討して市場投入し実施することとしております。

7.コスト増加のリスク

 当社グループの製品の原材料となる木材、銅等の金属、樹脂等の部品の市況変化等による原材料コストの増加、原油価格の高騰等による物流コストの増加、海外人件費の高騰等による労務コストの増加など各種コストの増加が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、市況変化を確認しコスト増加のバランスを勘案した調達先の選択や分散を進めております。

8.取引先依存によるリスク

 金属事業や塗装事業等における受託生産は、受託先企業の業績の影響を受けるとともに、品質や納期等において受託先企業の要求を満たせなかった場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。また、楽器部品など当社専用部品の生産委託先企業や、OEM生産委託先企業の経営状況の悪化などによる生産遅延や操業停止、主要取引先企業の受注変動等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、受託先・委託先の情報を常に収集し、経営状況の変化に対応しております。

9.自然災害等に見舞われるリスク

 近年、地震や気候変動により発生頻度・影響度が増大している自然災害、疫病、戦争、テロ等により当社グループの営業活動が直接的又は間接的な影響を受けた場合、当社グループの業績が悪化する可能性があります。特に国内主要施設が静岡県浜松市近辺に集中していることから東南海地震及び津波による本社及び工場への被害や営業活動への影響は大きなものとなる可能性があります。

 当社グループでは、非常時の初期対応、報告方法、各対策本部の設置と役割について明記し、災害発生の際に適切な対応が取れるよう仕組みを構築しております。

10.人材の確保・育成に関するリスク

 当社グループは平均年齢が高く、次世代を担う人材の確保・育成は重要な課題となっております。したがって、事業展開に必要な人材を確保できなかった場合や、生産部門の従業員による技術の継承が円滑に行われず人材育成が計画的に進まなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、新卒採用だけではなく、専門性をもつ人材の中途採用を進めております。また、技能継承を目的とした若手技術者の研修を定期的に行っております。

11.技術・技能流出のリスク

 当社は楽器事業においてコストダウンやリスク分散のため海外生産を展開しています。これに伴い生産技術の流出や、知的財産の侵害による類似品や模倣品が出現した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、知的財産を管理する部門を設置し、技術の流出・侵害に対応しております。

12.製品及びサービスに係る事故等のリスク

 当社製品による製造物責任を伴う事故は、コスト増大や社会的評価の低下をもたらします。また当社店舗や教室における火災や事故・事件、教室生徒及び講師等を巻き込んだ犯罪等により、当社のブランドイメージが損なわれた場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 当社グループでは、製品安全対策に関する管理体制を整備し、営業物件にはセキュリティ対策を講じるなど事故・犯罪等の発生の回避に努めております。

13.環境法制に関するリスク

 当社グループが製造するピアノは、大半が木材を原材料とする部品で構成されており、その原材料の多くを海外調達しておりますが、海外における環境法制の変化が原材料の調達面に影響した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、環境負荷を考慮し、定期的な調達の検討に努めております。

14.感染症が流行するリスク

 新型コロナウイルス・新型インフルエンザ等の感染力の強い感染症が流行した場合、当社グループが事業活動を行っている国内外の市場では、各国政府によるロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請などにより、生産活動においては、工場の一時的な操業停止や減産の可能性があります。また営業活動においては、店舗の営業自粛や音楽教室・体育教室の休講並びにコンサート等のイベント中止を余儀なくされる恐れがあり、流行の規模や期間によっては、収入の減少等により、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 当社グループでは、従業員等の感染の恐れが生じた場合の報告体制等の整備を行い、情報収集と感染予防対策の実施に努めております。

15.少子化進行のリスク

 日本における少子化が、予想を超えて急速に進行した場合、当社の音楽教室や体育教室の業績を悪化させる可能性があります。また、少子化による市場の縮小により楽器販売が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、対象世代を広げるとともに、各世代へのニーズに対応できるよう常に検討を行っております。

16.株価変動に関するリスク

 当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っております。したがって、株価の動向次第では、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、投資先企業の業績等の情報を収集し、保有についての検討を行っております。

17.情報システムに関するリスク

 当社グループが事業活動を行っていく上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であります。コンピュータウイルスへの感染や不正侵入などにより情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、日々変化する情報セキュリティ情勢を常に把握し、適切な情報セキュリティ対策を検討・推進しております。

18.個人情報漏洩に関するリスク

 当社グループは業務を円滑に行うため、お客様のお名前、ご住所、お電話番号、Eメールアドレス等の情報を取得・利用しております。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に意図せず違反した場合をはじめ、当社グループが扱う個人情報が漏洩した場合、当社グループの信頼の失墜等につながり、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

 当社グループでは、個人情報に関する規程及び管理体制を整備し、漏洩防止にあたっております。

19.インターネット等による風評被害に関するリスク

 当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上に努めておりますが、インターネット等を利用した当社グループに関する誤った情報の書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、リスクマネジメント委員会及び情報セキュリティ委員会を設置し、情報に関する不測の事態の対応体制を整えております。

20.退職給付債務及び退職給付費用に関するリスク

 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、数理計算上で設定される割引率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しています。この前提条件は、市場金利の影響を受けることから実際の結果とは異なる場合があり、退職給付債務が増加する可能性があります。その場合、当社グループの業績と財務状況に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、割引率等が実際と乖離しないよう適正な情報に基づいて計算を行っております。

21.訴訟に関するリスク

 当社は音楽教室の著作権使用に係る裁判において係争中ですが、裁判の結果によっては著作権使用料の増加によるコスト増加の可能性があります。

22.ロシア・ウクライナ情勢に関するリスク

 当社グループは、ロシア国内に連結子会社カワイピアノ・ロシアを有しており、ロシア・ウクライナ情勢の趨勢により財政状態等に影響を与える可能性があります。

23.金利が上昇するリスク

 上記1~22の事象の発生等により、当社グループの業績が著しく悪化した場合や金融機関を取り巻く環境が大幅に変化した場合、金融機関からの資金借入れ条件が厳しくなることが考えられます。借入金の金利上昇は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 当社グループでは、資金の借入に備え、コミットメントライン・当座借越契約を締結しております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」とい

う。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高は 85,703百万円(前年同期は 67,520百万円)、営業利益は 6,696百万円(前年同期は 3,492百万円)、経常利益は 7,304百万円(前年同期は 4,002百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は 5,046百万円(前年同期は 2,579百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は7百万円増加し、営業利益は7百万円増加しております。

 

 当社グループは第6次中期経営計画「Resonate 2021」(2020年3月期から2022年3月期)の最終年度として、2027年に迎える『創立100周年』とさらにその先の継続的な発展に向け、企業価値・ブランド力の向上と持続的な成長に取り組みました。

こうした中で、昨年10月にポーランドで開催された『第18回ショパン国際ピアノコンクール』において、公式ピアノである当社Shigeru Kawaiフルコンサートピアノ『SK-EX』を弾いたアレクサンダー・ガジェヴ氏(イタリア/スロヴェニア)が第2位、ジェイ・ジェイ・ジュン・リー・ブイ氏(カナダ)が第6位という当社にとって大きなトピックがありました。

 商品政策としては、ハイブリッドピアノ『NVシリーズ』において、アップグレード機種『NV5S』『NV10S』を昨年5月に発売、グランドピアノ『GXシリーズ』のコンパクトモデル『GX-1LE』を昨年7月に限定発売、更にハイブリッドピアノ『AURESシリーズ』に新たなラインナップ『AR2』を本年2月に発売いたしました。

 

 財政状態は次のとおりであります。

 

(資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、現金及び預金の増加などにより 46,436百万円(前期末は 38,215百万円)となりました。また固定資産は、投資有価証券の減少などにより 21,955百万円(前期末は 22,484百万円)となり、資産合計は 68,391百万円(前期末は 60,699百万円)となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末の流動負債は、20,572百万円(前期末は 17,096百万円)となりました。これは支払手形及び買掛金や未払法人税等などが増加したことによるものです。また固定負債は、長期借入金の減少などにより 14,259百万円(前期末は 15,668百万円)となり、負債合計は 34,831百万円(前期末は 32,765百万円)となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は 33,559百万円(前期末は 27,934百万円)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益などによるものです。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(楽器教育事業)

 楽器教育事業は、『Shigeru Kawai』の伸長をはじめ、前期からの世界各地での巣ごもり需要を背景に鍵盤楽器の販売が好調に推移しました。また音楽教室や体育教室においては、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努める中、生徒募集やイベント開催などに取り組んだ結果、売上が増加しました。これらの結果、売上高は 69,039百万円(前年同期は 55,147百万円)となり、営業利益は高付加価値商品の販売増加や費用の削減などにより 4,862百万円(前年同期は 2,241百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は7百万円増加し、営業利益は7百万円増加しております。

 

(素材加工事業)

 素材加工事業は、需要変動に対応する中、半導体関連部品や自動車関連部品の受注が堅調に推移したことなどにより、売上高は11,380百万円(前年同期は 9,112百万円)となり、営業利益は費用削減などにより 1,765百万円(前年同期は 1,291百万円)となりました。

 

(その他)

 その他の事業は、医療機関向けIT機器の受注回復などにより、売上高は 5,283百万円(前年同期は 3,259百万円)となり、営業利益は 115百万円(前年同期は 49百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は 5,082百万円(前年同期に得られた資金は 4,942百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益 7,314百万円、減価償却費 1,527百万円、法人税等の支払額 1,212百万円などによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は 877百万円(前年同期に使用した資金は 899百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出 899百万円、無形固定資産の取得による支出 154百万円などによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は 1,800百万円(前年同期に得られた資金は 4,803百万円)となりました。これは長期借入金の返済による支出 915百万円などによるものであります。

 

 これらにより、当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、換算差額等を含め前連結会計年度末に比べ 3,072百万円増加したことなどにより、当連結会計年度末には 21,489百万円となりました。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金需要のうち主なものは楽器製造のための材料費、楽器製造・販売及び音楽教室等の運営に携わる要員の給料手当、福利厚生費などの人件費の他、販売並びに役務提供に関する販売促進費、運送・保管料、物件費等であり、営業キャッシュ・フローによる充当を基本としています。また、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入れによっております。

 当連結会計年度末において複数の金融機関との間で機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約及び当座貸越契約等を締結し、15,302百万円の資金調達枠を設定しており、事業展開での資金需要に伴う手元資金の一時的な減少を防ぎ、経営の更なる安定化を図っております。(借入実行額残高 4,857百万円、借入未実行残 10,445百万円)

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度末現在における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについては、継続して評価を行っております。

 なお、見積り及び評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性がありますため、実際の結果は異なる場合があります。

 会計上の見積りの重要なものについては以下のとおりであります。

 

(棚卸資産)

 当社グループは、棚卸資産については、主として総平均法による原価法を採用し、期末における正味売却価額が収益性の低下により取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額に帳簿価額を切り下げております。正味売却価額は期末前の一定期間の販売実績等を用いて算定しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響等により、将来の市場状況の変化や販売価格の下落等が生じた場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

(固定資産の減損)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識すべきであると判定し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として処理しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、主として取締役会により承認された翌連結会計年度の計画及び中期経営計画等に基づき慎重に検討を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により、その見積もりの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社グループは、資産及び負債の金額についての、会計上と税務上の差額である一時差異に係る税金の額について、将来の会計期間において回収または支払が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産または繰延税金負債として計上しております。繰延税金資産につきましては、合理的な仮定に基づく業績予測によって見積もられた、将来の課税所得または税務上の欠損金に基づき、将来の回収可能見込額を毎期見直しております。当社グループは、将来の課税所得の見積りについて、主として取締役会により承認された翌連結会計年度の計画及び中期経営計画を基礎として見積りを行っております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異のスケジューリングに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産の取崩が発生する可能性があります。

 なお、詳細に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器教育

34,156

132.0

素材加工

11,903

127.1

報告セグメント計

46,060

130.7

その他

180

95.4

合計

46,240

130.5

(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器教育

16,204

142.5

素材加工

218

119.2

報告セグメント計

16,423

142.1

その他

4,258

191.4

合計

20,682

150.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、その他の仕入金額に著しい変動がありました。これは、IT機器の仕入が増加したことによるものであります。

 

 

c.受注実績

 当連結会計年度における素材加工事業及びその他の事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。

 なお、素材加工事業、その他の事業の一部を除く製品については主に見込み生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

素材加工

8,961

127.7

701

92.7

その他

4,995

119.0

1,919

91.1

合計

13,957

124.4

2,620

91.5

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器教育

69,039

125.2

素材加工

11,380

124.9

報告セグメント計

80,419

125.1

その他

5,283

162.1

合計

85,703

126.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、その他の販売金額に著しい変動がありました。これは、IT機器の販売が増加したことによるものです。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

パーソンズ ミュージック

コーポレーション グループ

10,373

15.4

15,969

18.6

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携契約)

契約会社名

相手先の名称

契約

締結日

契約期間

契約の内容

(株)河合楽器

製作所

(株)学研

ホールディングス

2015年

7月31日

自:2015年10月1日

至:2020年9月30日

以後1年ごとの自動更新

業務提携

① 教室事業の拡大

② シニア向け事業の拡大

③ グローバル事業の拡大

④ 園・学校向けの教室運営ノウハウやコンテンツ、リソースなどを活用し、それぞれの事業拡大に向けた連携

⑤ 人材の交流

資本提携

① 株式の相互保有

(株)河合楽器

製作所

パーソンズ

ミュージック

コーポレーション

2017年

2月9日

自:2017年2月9日

至:2027年2月8日

以後1年ごとの自動更新

業務提携

① KAWAI ブランドの楽器生産

② KAWAI ブランド商品のプロモーションと販売、アフターサービス

③ 音楽教室展開と講師人材の育成

④ ピアノ調律サービスの普及、調律技術者の育成と調律技術の向上

⑤ その他、新商品・サービスの企画・開発、音楽イベントの企画等、音楽産業の発展と音楽文化振興に資する事業活動全般

資本提携

① パーソンズ ミュージック コーポレーションは当社株式を共同保有

② (株)河合楽器製作所はパーソンズ ミュージック コーポレーションの完全子会社であるパーソンズ ミュージック ホールディング リミテッドが発行した転換社債型新株予約権付社債を保有

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、より良い楽器作りと音楽文化への貢献を目指すとともに、持続的な企業の成長に向け、楽器教育事業、素材加工事業の各セグメントにおいて研究開発活動を行っております。当社及び連結グループ全体の研究開発要員は78名で、研究開発費は 493百万円であります。

 

① 楽器教育事業

 アコースティックピアノに関しては、100周年に向けた堅実な成長と、生産・供給体制の強化を図っております。その中で、主力製品であるグランドピアノ「Shigeru Kawai」では、職人による、より丁寧なピアノ造りを追及することによってマイナーチェンジを実施するとともに、生産体制を増強し生産台数を拡大しております。商品政策においては、当社の最高資格であるMPAを習得した調律技術者の監修のもと、アコースティックピアノの音とタッチに極限まで近づけた消音ピアノ「ATX4」と、それに響板スピーカーを搭載したハイブリッドピアノ「AURES2」を発売致しました。国内市場では、限定パーツを搭載したグランドピアノ「GX-1LE」を台数限定で発売し市場の活性化を図っております。また、中国市場においては、重厚感あふれるデザインを特徴としたキャビネットをはじめ、市場特有のニーズに応えたアップライトピアノ「Aシリーズ」を開発し高価格帯の開拓を行うとともに、台湾市場ではアップライトピアノ「KVシリーズ」を販売し市場における当社の価値を高める活動を行っております。

 電子ピアノに関しては、発売以来世界各地で好評を博しているハイブリッドピアノ「NOVUSシリーズ」において、アップグレード機種「NV5S」「NV10S」を開発し、5月に発売いたしました。「NOVUSシリーズ」は、アコースティックピアノアクションとアコースティックピアノ特有のダンパー機構を搭載し、さらにBluetooth(r)Audio、カラー液晶タッチパネルなどのデジタル技術を兼ね備えた新たなジャンルの製品として多くの皆様にご愛顧いただいております。今回アップグレード機種においては、音源システムのバージョンアップやスピーカーシステムの改良などで、よりアコースティックピアノに近い音をお楽しみいただけるとともに、カラー液晶タッチパネルのデザインを一新したことで機能面においてもより充実した製品となっております。今後も、スタンダードタイプからポータブルタイプ、ハイブリッドピアノまで、お客様のニーズを捉えた製品を実現する製品開発、技術開発を進めて参ります。

 音楽教室に関しては、4歳からの本格的なピアノレッスンへの準備として開設している「3歳ソルフェージュコース」の教材を全面改定しました。従来の鍵盤あそびや歌唱に加え、読譜力を高めるワークブック、キャラクター絵本、ダウンロード音源等で教材の充実を図り、より演奏力の向上に直結するカリキュラムを目指しました。また、中国での教育事業活性化のため、ピアノ教材「サウンドツリー1A・1B」を素材としたグループレッスンのカリキュラムを開発し、北京市の国家的教育事業施設「中国宋慶齢青少年科技文化交流中心」にコースを新設しました。

 体育教室、英語教室、絵画造形教室に関しては、各カリキュラムの研究と教材の開発を継続的に行っております。体育教室では、子ども向けの体育教室のみにとどまらず、企業向けフィットネスプログラムや、高齢者向けの健康コース・シニアクラスの開発にも取り組んでおります。

 音楽ソフトウェアに関しては、楽譜認識作成ソフトウェア「スコアメーカーZERO」の追加機能として、ギターやベースの運指を楽譜演奏に合わせて表示する「楽器パネル」を開発して搭載しました。学校市場向けには、この「楽器パネル」をリコーダーや鍵盤ハーモニカに対応させ「スコアメーカー学校版 12.1」としてリリースしました。歌詞を歌うボーカル機能が装飾音符にも対応するなど継続的な改良を続けることで、新規ユーザーの獲得と継続ユーザーの満足度向上に取り組んでおります。

 当事業に係る研究開発費は 479百万円であります。

 

② 素材加工事業

 カワイ精密金属株式会社は、自動車向け異形条の開発及びローコスト製法の研究、合わせ材料(クラッド)における物性、塑性研究といった異種金属接合加工研究など、金属全般の異形加工に関する研究を行っております。株式会社カワイ音響システムは、個人用途では楽器演奏、テレワーク、映像配信などに使用できる防音室を、法人用途では研究機関や企業向けの実験室、検査室、会議室などに使用できる防音室の研究開発を行っております。株式会社カワイハイパーウッドでは、自動車向け本杢塗装部品を柱にカーボンフリーを意識した素材、塗装工法においても研究を行っております。

 当事業に係る研究開発費は 13百万円であります。